説明

振動フィーダ

【課題】 振動フィーダの走行時や運搬時にフレームに対して振動体が振動するのを確実に抑える。
【解決手段】 破砕機1に搭載される振動フィーダ17を、破砕機1の本体フレーム7に設けられたホッパ支持フレーム11と、このホッパ支持フレーム11にコイルばね21を介して振動可能に支持された振動体18とにより構成する。そして、ホッパ支持フレーム11には、固定具移動機構22によって上,下方向に移動するフレーム側固定具29を設け、振動体18にはフレーム側固定具29が係合、離脱する振動体側固定具30を設ける構成とする。このため、固定具移動機構22によってフレーム側固定具29を上限位置に移動させ、振動体側固定具30に係合させることにより、振動体18がコイルばね21によって振動可能に支持されることなく、振動体18をホッパ支持フレーム11に対して確実に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築廃材等を破砕するクラッシャを備えた破砕機等に搭載され、搬送すべき対象物を振動を利用して所定の場所へと搬送するのに好適に用いられる振動フィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物を解体することにより生じるコンクリート塊等の建築廃材、産業廃棄物等は、廃材処理場まで運搬されて廃棄処理されるため、その処理コストが嵩む問題がある。このため、粗大な建築廃材を細かく破砕した破砕物を地面の舗装材等として用いることにより、建築廃材等の再利用を図る工夫がなされている。
【0003】
そして、建築物の解体により生じた粗大な建築廃材(被破砕物)を破砕して再利用可能な小さな破砕物を生成する機械として、破砕機が知られており、この従来技術による破砕機は、自走可能な走行体と、該走行体上に設けられた振動フィーダ、クラッシャとにより大略構成され、被破砕物を振動フィーダによってクラッシャへと搬送し、このクラッシャによって細かく破砕することにより、再利用可能な破砕物を生成するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−99339号公報
【0005】
ここで、上述の如き破砕機に搭載された従来技術による振動フィーダは、支持構造体をなすフレームと、該フレームにばねを介して振動可能に支持された振動体とを備え、振動体に対し加振部材からの振動を与えることにより、搬送対象物(被破砕物)をクラッシャへと搬送する構成となっている。
【0006】
この場合、上述した従来技術による振動フィーダは、振動体がばねを介してフレームに振動可能に支持されている。このため、例えば破砕機を自走させて作業現場内を移動するときの振動、あるいは破砕機をトレーラ等の運搬車両に積載して作業現場に運搬するときの振動により、振動体がフレームに対して不用意に振動してしまい、フレームと振動体とが衝突して損傷してしまうという問題がある。
【0007】
このような問題に対し、従来では、例えば振動体側に円筒状のボス部材を設け、フレーム側にはシリンダによって横方向(水平方向)に突出する固定ピンを設け、破砕機を走行させるときには、フレーム側の固定ピンを振動体側のボス部材に挿通することにより、ばねを介して振動可能に支持された振動体をフレームに対して固定し、振動体とフレームとが衝突するのを防止する方法が採用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した従来技術では、フレーム側に設けられたシリンダによって固定ピンを横方向に突出させ、この固定ピンを振動体側に設けたボス部材の内周側に挿通するため、固定ピンとボス部材との間には適度な隙間を形成する必要がある。
【0009】
このため、固定ピンをボス部材内に挿通したとしても、ばねを介してフレームに振動可能に支持された振動体は、固定ピンとボス部材との隙間の範囲で振動を生じてしまい、この振動によって振動体やフレームが損傷してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、走行時や運搬時にフレームに対して振動体が振動するのを確実に抑えることができるようにした振動フィーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため本発明は、支持構造体をなすフレームと、該フレームに振動可能に支持され、加振部材からの振動が与えられることにより投入された搬送対象物を所定の場所へと搬送する振動体とを備えてなる振動フィーダに適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記フレームにはフレーム側固定具を設け、前記振動体には該フレーム固定具に上,下方向から係合することにより前記振動体を前記フレームに対して固定する振動体側固定具を設けたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、前記フレームには、前記フレーム側固定具を前記フレームに対して上,下方向に移動させることにより前記振動体側固定具に係合または離脱させる固定具移動機構を設ける構成としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、前記固定具移動機構は、前記フレームに取付けられたシリンダと、該シリンダと前記フレーム側固定具との間に設けられ前記シリンダの伸縮に応じて前記フレーム側固定具を上,下方向に移動させる楔部材とにより構成したことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記フレームは、ベースとなる固定フレームと、該固定フレームに対し作業位置と運搬位置との間で上,下方向に回動可能に取付けられ前記振動体を振動可能に支持する可動フレームと、該可動フレームを前記固定フレームに対して回動させるアクチュエータとにより構成し、前記フレーム側固定具は前記固定フレームに設け、前記振動体側固定具は前記アクチュエータによって前記可動フレームが作業位置から運搬位置へと回動したときに前記フレーム側固定具に係合する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、フレームに設けたフレーム側固定具と、振動体に設けた振動体側固定具とが上,下方向から係合することにより、振動体をフレームに対して固定することができる。この場合、振動体はフレームに対して振動可能に支持されているので、この振動体の振動方向(上,下方向)においてフレーム側固定具と振動体側固定具とが係合することにより、フレームに対する振動体の振動を禁止することができる。この結果、振動フィーダの運搬時や走行時に、フレームに対して振動体が振動するのを確実に抑えることができ、フレームや振動体の寿命を延ばすことができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、固定具移動機構によってフレーム側固定具を上方に移動させたときには、フレーム側固定具が振動体側固定具に下側から係合してこれを持上げることにより、振動体をフレームに対して固定することができる。一方、固定具移動機構によってフレーム側固定具を下方に移動させたときには、フレーム側固定具が振動体側固定具から離脱することにより、振動体をフレームに対して振動可能に支持することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、フレームに取付けられたシリンダを伸縮させると、このシリンダの伸縮が楔部材を介してフレーム側固定具に伝わり、フレーム側固定具が上,下方向に移動することにより、このフレーム側固定具を振動体側固定具に係合または離脱させることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、アクチュエータによって可動フレームを固定フレームに対して作業位置から運搬位置へと回動させると、可動フレームに振動可能に支持された振動体の振動体側固定具が、固定フレームに設けられたフレーム側固定具に上,下方向から係合し、振動体を固定フレームに対して固定することができる。従って、可動フレームを作業位置から運搬位置へと回動させるときに、振動体を固定フレームに対して自動的に固定することができるので、その作業性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る振動フィーダの実施の形態を、自走式破砕機に用いた場合を例に挙げ、図1ないし図12を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
まず、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。1は自走式の破砕機で、この破砕機1は、例えば建築廃材、産業廃棄物等の被破砕物を細かく破砕し、再利用可能な小さな破砕物を生成するものである。そして、破砕機1は、後述の走行体2、本体フレーム7、ホッパ12、クラッシャ13、排出コンベヤ16、及び本実施の形態による振動フィーダ17等により構成されている。
【0022】
2は自走可能なクローラ式の走行体で、該走行体2は、前,後方向に延びる左,右のサイドフレーム3Aをもったトラックフレーム3と、各サイドフレーム3Aの前,後方向の一端側(前端側)に設けられた駆動輪4と、他端側(後端側)に設けられた遊動輪5と、これら駆動輪4と遊動輪5とに巻回して設けられた履帯6とにより大略構成されている。そして、トラックフレーム3上には、後述の本体フレーム7が設けられている。
【0023】
7は走行体2のトラックフレーム3上に固定して設けられた本体フレームで、該本体フレーム7は、トラックフレーム3上を前,後方向に延びる長方形の枠状に形成され、強固な支持構造体を構成している。そして、本体フレーム7上には、後述の建屋支持フレーム8、ホッパ支持フレーム11、クラッシャ13等が設けられている。
【0024】
8は本体フレーム7の前,後方向の一側に設けられた建屋支持フレームで、該建屋支持フレーム8上には建屋カバー9が設けられ、該建屋カバー9内には、エンジン、熱交換装置等の機器類(図示せず)が収容されている。また、建屋支持フレーム8上には、建屋カバー9の近傍に位置してオペレータが乗込む操縦台10が設けられ、該操縦台10には操作レバー装置10A等の操作機器が設けられている。そして、操縦台10に乗込んだオペレータが操作レバー装置10A等を操作することにより、破砕機1(走行体2)の走行動作等を制御することができる構成となっている。
【0025】
11は本体フレーム7の前,後方向の他側に設けられたホッパ支持フレームで、該ホッパ支持フレーム11は、後述のホッパ12を支持すると共に、後述する振動フィーダ17の一部を構成するものである。ここで、ホッパ支持フレーム11は、図3等に示すように、本体フレーム7の上面側に立設された複数本の支持脚体11A,11A,…と、これら支持脚体11Aの上端部に固着され前,後方向に延びる四角形状の上枠体11Bとにより、強固な支持構造体をなしている。そして、ホッパ支持フレーム11を構成する上枠体11Bの側面部11Cには、後述の固定具移動機構22が設けられる構成となっている。
【0026】
12はホッパ支持フレーム11に支持されたホッパで、該ホッパ12は、建築廃材、産業廃棄物等の被破砕物を、後述の振動フィーダ17へと案内するものである。ここで、ホッパ12は、ホッパ支持フレーム11の上枠体11B上に立設された複数本の支柱12A,12A,…と、各支柱12Aの上端部に取付けられた逆角錐状をなすホッパ枠12Bとにより大略構成されている。そして、図2に示すようにホッパ枠12Bの下端側は開口端12Cとなり、該開口端12Cの下方には後述の振動フィーダ17が配設されている。
【0027】
13は本体フレーム7の前,後方向の中間部位に設けられたクラッシャで、該クラッシャ13は、後述の振動フィーダ17によって搬送されてきた粗大な被破砕物を細かく破砕するものである。ここで、クラッシャ13は、多数の破砕歯を有する固定歯13Aと、同じく多数の破砕歯を有し固定歯13Aに対向して揺動可能に設けられた可動歯13Bとを備えている。また、可動歯13Bの上端側は、クラッシャ用モータ14によって駆動されるフライホイール15に連結され、このフライホイール15が回転することにより、固定歯13Aに対し接近、離間を繰返すように揺動する構成となっている。
【0028】
そして、クラッシャ13は、後述の振動フィーダ17によって被破砕物が固定歯13Aと可動歯13Bとの間に供給された後、可動歯13Bを揺動させることにより、被破砕物を固定歯13Aと可動歯13Bとの間で細かく破砕し、この細粒化した破砕物を後述の排出コンベヤ16に向けて下方へと落下させる構成となっている。
【0029】
16はクラッシャ13によって破砕された破砕物を外部に排出するための排出コンベヤで、該排出コンベヤ16は、図1及び図2に示すように、基端側が本体フレーム7の下側に配置され先端側が本体フレーム7から斜め上向きに延びたコンベヤフレーム16Aと、コンベヤフレーム16Aの先端側に設けられた駆動ローラ16Bと基端側に設けられた従動ローラ(図示せず)とに巻装されたベルト16Cと、該ベルト16Cを周回駆動させるモータ16Dとにより大略構成されている。そして、排出コンベヤ16は、クラッシャ13によって破砕された破砕物をベルト16C上に受取り、該ベルト16Cの周回動作によって定められた排出場所に排出するものである。
【0030】
17はホッパ12の下側に位置して本体フレーム7の前,後方向の他側に設けられた振動フィーダで、該振動フィーダ17は、例えばグリズリフィーダにより構成され、ホッパ12を通じて投入された被破砕物(搬送対象物)を篩いにかけながら、所定の場所であるクラッシャ13へと搬送するものである。そして、振動フィーダ17は、図3等に示すように、上述した支持構造体をなすホッパ支持フレーム11と、後述の振動体18とにより大略構成されている。
【0031】
18はホッパ支持フレーム11に振動可能に支持された振動体で、該振動体18は、前面板18A、左,右の側面板18B(左側のみ図示)等によって囲まれ、全体として前,後方向に延びる長方毛の箱状に形成されている。また、振動体18の左,右の側面板18Bには、後述のコイルばね21を受けるばね受け板18Cが突設されている。そして、振動体18の下面側には、偏心ウエイト(図示せず)を備えた加振部材としての加振モータ19が取付けられ、該加振モータ19を回転させることにより振動体18に振動を与える構成となっている。
【0032】
20は振動体18の内側に階段状に配設された複数(例えば、2枚)の櫛歯プレートで、該各櫛歯プレート20は、図2に示すように、互いに間隔をもって櫛歯状に並設された多数の歯を有している。そして、櫛歯プレート20は、振動体18内に投入された被破砕物の粒度を篩い分けし、一定の粒度よりも大きな被破砕物はクラッシャ13へと導き、一定の粒度以下の被破砕物は下方に落下させるものである。
【0033】
21はホッパ支持フレーム11と振動体18との間に設けられた複数のコイルばねで、該各コイルばね21は、ホッパ支持フレーム11に対して振動体18を振動可能に支持するものである。ここで、コイルばね21の下端側は、ホッパ支持フレーム11の上枠体11Bに取付けられ、コイルばね21の上端側は、振動体18のばね受け板18Cに取付けられている。
【0034】
従って、加振モータ19を作動させて振動体18に振動を与えた状態で、該振動体18内にホッパ12を通じて被破砕物を投入すると、この被破砕物は、振動体18の振動によって櫛歯プレート20上をクラッシャ13に向けて順次搬送される。このとき、櫛歯プレート20上を搬送される被破砕物のうち一定の粒度以下となる土砂等は、櫛歯プレート20から下方に落下し、クラッシャ13内には一定の粒度よりも大きな岩石等のみが供給される構成となっている。
【0035】
22はホッパ支持フレーム11に設けられた固定具移動機構で、該固定具移動機構22は、後述のフレーム側固定具29を上,下方向に移動させて振動体側固定具30に係合または離脱させるものである。ここで、固定具移動機構22は、例えばホッパ支持フレーム11を構成する上枠体11Bの左,右の側面部11Cに2個ずつ、合計4個設けられている。なお、図4及び図5では、上枠体11Bの左側の側面部11Cに設けられた2個の固定具移動機構22のみを例示している。そして、固定具移動機構22は、図6ないし図8に示すように、後述のケーシング23、シリンダ24、駆動楔部材26、従動楔部材28等により構成されている。
【0036】
23は固定具移動機構22のケーシングで、該ケーシング23は、後述のシリンダ24、駆動楔部材26、従動楔部材28が組付けられるものである。ここで、ケーシング23は、上枠体11Bの側面部11Cに沿って前,後方向に延びる基板23Aと、基板23Aの長さ方向の両端側に固着され左,右方向に突出する端板23B,23Cと、一方の端板23Bと基板23Aの下端側に固着され左,右方向に突出する底板23Dと、基板23Aの上端側に固着され底板23Dと上,下方向で対面する上板23Eとにより大略構成され、上板23Eと端板23Bとの間には、後述のフレーム側固定具29が挿通される開口部23Fが形成されている。そして、ケーシング23の基板23Aは、上枠体11Bの側面部11Cにボルト等(図示せず)を用いて固着される構成となっている。
【0037】
24はケーシング23に組付けられたシリンダで、該シリンダ24は、例えば油圧シリンダからなっている。そして、シリンダ24のボトム側は、ケーシング23の端板23Cに固着された二又状の取付アイ25に回動可能にピン結合され、シリンダ24のロッド24Aは、後述の駆動楔部材26に回動可能にピン結合されている。
【0038】
26はシリンダ24のロッド24Aに取付けられた駆動楔部材で、該駆動楔部材26は、後述の従動楔部材28と協働して、シリンダ24の伸縮に応じて後述のフレーム側固定具29を上,下方向に移動させるものである。ここで、駆動楔部材26は、ほぼ三角形状をなすブロック体からなり、その上面側は後述の従動楔部材28に向けて斜め下向きに傾斜する傾斜面26Aとなっている。
【0039】
そして、駆動楔部材26は、ケーシング23の底板23Dと上板23Eとの間に前,後方向に移動可能に配置されている。また、駆動楔部材26のうちシリンダ24と対向する端面には二又状の取付アイ27が固着され、該取付アイ27には、シリンダ24のロッド24Aが回動可能にピン結合されている。従って、駆動楔部材26は、シリンダ24のロッド24Aを伸縮させることにより、ケーシング23の底板23D上を前,後方向に移動する構成となっている。
【0040】
28は駆動楔部材26と後述のフレーム側固定具29との間に設けられた従動楔部材で、該従動楔部材28は、ほぼ三角形状をなすブロック体からなり、駆動楔部材26の傾斜面26Aに摺接する傾斜面28Aを有している。また、従動楔部材28の上面側には、後述のフレーム側固定具29が固着されている。そして、従動楔部材28は、その傾斜面28Aが駆動楔部材26の傾斜面26Aに摺接することにより、図7及び図8に示すように、駆動楔部材26の前,後方向への移動に伴って、ケーシング23の端板23B等に沿って上,下方向に移動する構成となっている。
【0041】
29は従動楔部材28に設けられたフレーム側固定具で、該フレーム側固定具29は、固定具移動機構22によって上,下方向に移動することにより、後述の振動体側固定具30に係合または離脱するものである。ここで、フレーム側固定具29は、従動楔部材28の上面側に溶接等によって固着され、ケーシング23の開口部23Fを通じて上方に延びた支柱29Aと、該支柱29Aの上端部に固着された平坦な当接面部29Bと、該当接面部29Bの中央部から上方に向けて突出したテーパ状の係合突部29Cとにより構成されている。
【0042】
30はフレーム側固定具29に対応して振動体18に設けられた振動体側固定具で、該振動体側固定具30は、フレーム側固定具29が上,下方向から係合することにより、振動体18をホッパ支持フレーム11に対して固定するものである。この場合、振動体側固定具30は、振動体18の左,右の側面板18Bに2個ずつ、合計4個設けられているが、図4及び図5では、振動体18の左側の側面板18Bに設けられた2個の振動体側固定具30のみを例示している。
【0043】
ここで、振動体側固定具30は、図6ないし図8に示すように、振動体18の側面板18Bに溶接等の手段を用いて固着され、ホッパ支持フレーム11の上枠体11Bに向けて水平方向に突出したブラケット部30Aと、該ブラケット部30Aの突出端側に上,下に貫通して設けられた透孔30Bとにより大略構成されている。
【0044】
そして、図4及び図7に示すように、固定具移動機構22のシリンダ24が縮小したときには、従動楔部材28に固着されたフレーム側固定具29は下限位置となり、振動体側固定具30から離脱した状態を保持する。従って、シリンダ24が縮小した状態では、振動体18は、各コイルばね21によってホッパ支持フレーム11上で振動可能に支持される構成となっている。
【0045】
一方、図5及び図8に示すように、固定具移動機構22のシリンダ24が伸長したときには、駆動楔部材26の傾斜面26Aによって従動楔部材28が上方に持上げられることにより、従動楔部材28に固着されたフレーム側固定具29は上限位置へと移動する。これにより、フレーム側固定具29の係合突部29Cが、振動体側固定具30の透孔30Bに下方から係合し、フレーム側固定具29の当接面部29Bが、振動体側固定具30のブラケット部30Aに下面側から当接する。
【0046】
この結果、振動体側固定具30がフレーム側固定具29によって下側から押上げられ、各コイルばね21は、図7の状態よりも上,下方向に伸長する。従って、シリンダ24が伸長した状態では、振動体18は、コイルばね21によって支持されることなく、振動体側固定具30、フレーム側固定具29、固定具移動機構22を介してホッパ支持フレーム11に固定される構成となっている。
【0047】
第1の実施の形態による振動フィーダ17は上述の如き構成を有するもので、この振動フィーダ17を搭載した破砕機1を用いて建築廃材等の被破砕物を破砕するときには、まず、油圧ショベル(図示せず)等を用いて、破砕機1のホッパ12内に建築廃材等の被破砕物を投入する。
【0048】
これにより、被破砕物は、ホッパ12の開口端12Cを通じて振動フィーダ17の振動体18内に投入され、該振動体18が加振モータ19によって振動することにより、櫛歯プレート20によって篩い分けされる。そして、櫛歯プレート20によって篩い分けされた粗大な被破砕物が、櫛歯プレート20に沿ってクラッシャ13内へと順次搬送される。
【0049】
このようにして、クラッシャ13内に搬送された粗大な被破砕物は、クラッシャ13の固定歯13Aと可動歯13Bとの間で破砕されて小さな破砕物となり、排出コンベヤ16によって破砕機1の外部に排出される。
【0050】
ここで、上述した破砕機1による破砕作業時には、図4及び図7に示すように、ホッパ支持フレーム11に設けられた固定具移動機構22のシリンダ24が縮小状態を保持する。これにより、従動楔部材28に固着されたフレーム側固定具29は下限位置となり、振動体側固定具30から離脱する。この結果、振動体18は、各コイルばね21によってホッパ支持フレーム11上で振動可能に支持されるので、加振モータ19によって振動体18に振動を与えることができ、振動体18内に投入された被破砕物(搬送対象物)を、櫛歯プレート20によって篩い分けしつつクラッシャ13内へと搬送することができる。
【0051】
次に、破砕作業が終了した後、例えば破砕機1を走行体2によって他の作業場所まで自走させる場合、あるいは破砕機1をトレーラ等に積載して遠方の作業場所まで運搬する場合には、図5及び図8に示すように、固定具移動機構22のシリンダ24を伸長させる。これにより、駆動楔部材26の傾斜面26Aによって従動楔部材28が上方に持上げられ、従動楔部材28に固着されたフレーム側固定具29は上限位置へと移動する。このため、フレーム側固定具29の係合突部29Cが、振動体側固定具30の透孔30Bに下方から係合し、フレーム側固定具29の当接面部29Bが、振動体側固定具30のブラケット部30Aに下面側から当接する。
【0052】
この結果、振動体側固定具30をフレーム側固定具29によって下側から押上げ、各コイルばね21を図7の状態よりも上,下方向に伸長させることにより、振動体18を、コイルばね21によって支持することなく、振動体側固定具30、フレーム側固定具29、固定具移動機構22を介してホッパ支持フレーム11に固定することができる。
【0053】
しかも、各コイルばね21が伸長することにより振動体側固定具30に対して下向きのばね力が作用するので、フレーム側固定具29を振動体側固定具30に確実に係合させ、振動体18をホッパ支持フレーム11に対して強固に固定しておくことができる。
【0054】
かくして、第1の実施の形態によれば、振動フィーダ17を搭載した破砕機1を自走させる場合、あるいは破砕機1をトレーラ等に積載して運搬する場合には、固定具移動機構22のシリンダ24を伸長させてフレーム側固定具29を振動体側固定具30に上,下方向から係合させることにより、コイルばね21を介してホッパ支持フレーム11に振動可能に支持された振動体18を、ホッパ支持フレーム11に対して固定することができる。この結果、破砕機1の走行時や運搬時に振動体18がホッパ支持フレーム11上で不用意に振動して両者が衝突するのを確実に抑えることができ、振動フィーダ17の寿命を延ばすことができる。
【0055】
この場合、振動体18は、コイルばね21によりホッパ支持フレーム11に対して上,下方向に振動可能に支持されているので、この振動体18の振動方向(上,下方向)においてフレーム側固定具29と振動体側固定具30とが係合することにより、ホッパ支持フレーム11に対する振動体18の振動を確実に禁止することができる。
【0056】
しかも、固定具移動機構22のシリンダ24を伸縮させることにより、フレーム側固定具29を振動体側固定具30に対して係合、離脱させることができる。従って、振動体18をホッパ支持フレーム11に対して振動可能に支持する作業と、振動体18をホッパ支持フレーム11に対して固定する作業とを、シリンダ24の伸縮によって容易に行なうことができ、その作業性、安全性を高めることができる。
【0057】
次に、図9ないし図12は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、固定フレームに対して作業位置と運搬位置との間で回動可能となった可動フレームに振動体を支持し、可動フレームが作業位置から運搬位置に回動したときに、振動体側固定具がフレーム側固定具に係合する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0058】
図中、31は走行体2のトラックフレーム3上に固定して設けられた本体フレームで、該本体フレーム31は、後述の固定フレーム32と、可動フレーム35と、昇降シリンダ37とにより大略構成されている。
【0059】
32はベースとなる固定フレームで、該固定フレーム32は、トラックフレーム3上を前,後方向に延びる長方形の枠状に形成され、強固な支持構造体をなしている。そして、固定フレーム32の前,後方向の一側には建屋支持フレーム33が設けられ、該建屋支持フレーム33上には建屋カバー9が設けられている。また、固定フレーム32の前,後方向の中間部位にはクラッシャ13が設けられ、該クラッシャ13の近傍となる固定フレーム32の中間部位には、後述する可動フレーム35の基端側を支持する可動フレーム支持脚34が立設されている。
【0060】
35は固定フレーム32に対して上,下方向に回動可能に設けられた可動フレームで、該可動フレーム35は、前,後方向に延びる長方形の枠状をなしている。そして、可動フレーム35の前,後方向の一端側(クラッシャ13側)は、回動軸36を介して可動フレーム支持脚34に回動可能に取付けられている。そして、可動フレーム35には、ホッパ12の支柱12Aが立設されると共に、コイルばね21を介して振動体18が振動可能に支持されている。
【0061】
37は固定フレーム32と可動フレーム35との間に設けられたアクチュエータとしての昇降シリンダで、該昇降シリンダ37は、ボトム側が固定フレーム32に接続され、ロッド側が可動フレーム35の前,後方向の他端側に接続されている。従って、昇降シリンダ37を伸縮させることにより、可動フレーム35の他端側は、回動軸36を中心して上,下方向に回動(昇降)する。これにより、可動フレーム35は固定フレーム32に対し、図9及び図11に示す如く振動体18を作動させるときの作業位置と、図10及び図12に示す如くトレーラ等に積載して運搬するとき、または走行体2によって自走するときの運搬位置との間で回動する構成となっている。
【0062】
38は昇降シリンダ37の近傍に位置して固定フレーム32と可動フレーム35との間に設けられた可動フレーム保持具で、該可動フレーム保持具38は、図11及び図12に示すように、下端側が固定フレーム32に回動可能に取付けられた下リンク38Aと、上端側が可動フレーム35に回動可能に取付けられ下端側が下リンク38Aにピン結合された上リンク38Bとにより構成されている。そして、可動フレーム保持具38は、図11に示す如く上,下のリンク38A,38Bが直線状に伸展することにより、可動フレーム35を作業位置に保持し、可動フレーム35を運搬位置へと移動させるときには、図12に示す如く上,下のリンク38A,38Bが逆く字状に折畳まれる構成となっている。
【0063】
39は固定フレーム32に設けられたフレーム側固定具で、該フレーム側固定具39は、後述する振動体側固定具40が係合するものである。ここで、フレーム側固定具39は、図11及び図12に示すように、固定フレーム32の上面側に固着され上方に延びた支柱39Aと、該支柱39Aの上端部に設けられた平坦な当接面部39Bと、該当接面部39Bから上方に向けて突出し上方に向けて徐々に先細りとなるテーパ状(円錐台状)の係合突部39Cとにより構成されている。
【0064】
40は振動体18に設けられた振動体側固定具で、該振動体側固定具40は、フレーム側固定具39に上方から係合することにより、振動体18を固定フレーム32に対して固定するものである。ここで、振動体側固定具40は、振動体18の側面板18Bに固着され水平方向に突出した平板部40Aと、該平板部40Aに上,下に貫通して設けられた透孔40Bとにより構成されている。
【0065】
そして、可動フレーム35が図11に示す作業位置にあるときには、振動体側固定具40の平板部40Aは、フレーム側固定具39から上方に離間している。従って、可動フレーム35が作業位置にあるときには、振動体18は、コイルばね21により可動フレーム35上で振動可能に支持される構成となっている。
【0066】
一方、昇降シリンダ37によって可動フレーム35が図12に示す運搬位置へと回動したときには、振動体側固定具40の透孔40Bがフレーム側固定具39の係合突部39Cに上方から係合し、振動体側固定具40の平板部40Aがフレーム側固定具39の当接面部39Bに当接する。
【0067】
これにより、振動体側固定具40がフレーム側固定具39によって下側から押上げられ、コイルばね21は、図11の状態よりも伸長する。従って、可動フレーム35が作業位置から運搬位置に回動したときには、振動体18は、コイルばね21によって支持されることなく、振動体側固定具40及びフレーム側固定具39を介して固定フレーム32に固定される構成となっている。
【0068】
第2の実施の形態は上述の如き構成を有するもので、可動フレーム35が回動軸36を中心として図9及び図11に示す作業位置から図10及び図12に示す運搬位置へと回動したときには、振動体側固定具40の透孔40Bがフレーム側固定具39の係合突部39Cに上方から係合し、振動体側固定具40の平板部40Aがフレーム側固定具39の当接面部39Bに当接する。
【0069】
これにより、振動体18は、コイルばね21によって支持されることなく、振動体側固定具40及びフレーム側固定具39を介して固定フレーム32に固定することができる。しかも、コイルばね21が伸長することにより振動体側固定具40に対して下向きのばね力が作用するので、振動体側固定具40をフレーム側固定具39に確実に係合させ、振動体18を固定フレーム32に対して強固に固定することができる。
【0070】
かくして、破砕機1をトレーラ等に積載して運搬するとき、または走行体2によって自走するときに、昇降シリンダ37によって可動フレーム35を作業位置から運搬位置へと回動させるだけで、振動体側固定具40がフレーム側固定具39に係合することにより、振動体18が可動フレーム35上で不用意に振動して両者が衝突するのを確実に抑えることができ、可動フレーム35や振動体18の寿命を延ばすことができる。
【0071】
なお、上述した第1,第2の実施の形態では、自走式の破砕機1に設けられたホッパ支持フレーム11に、コイルばね21を介して振動体18を振動可能に支持する構成となった振動フィーダ17を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば地面上に配置される定置式のフレームを備えた振動フィーダにも適用することができる。
【0072】
また、上述した第1,第2の実施の形態では、振動体18内に、被破砕物を粒度に応じて篩い分けするための櫛歯プレート20を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば櫛歯プレート等の篩部材をもたない振動体を用いる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施の形態による振動フィーダを搭載した自走式破砕機を示す正面図である。
【図2】自走式破砕機を示す平面図である。
【図3】図1中の振動フィーダ、ホッパ等を分解した状態で示す正面図である。
【図4】振動フィーダ、固定具移動機構、フレーム側固定具、振動体側固定具等を示す正面図である。
【図5】フレーム側固定具が振動体側固定具に係合した状態を示す図4と同様の正面図である。
【図6】フレーム側固定具、振動体側固定具、固定具移動機構を示す斜視図である。
【図7】図4中の固定具移動機構、フレーム側固定具、振動体側固定具等を拡大して示す一部破断の要部拡大図である。フレーム
【図8】フレーム側固定具が振動体側固定具に係合した状態を示す図7と同様の要部拡大図である。
【図9】第2の実施の形態による振動フィーダを搭載した自走式破砕機を示す正面図である。
【図10】可動フレームを運搬位置へと回動させた自走式破砕機を示す正面図である。
【図11】振動フィーダをフレーム側固定具と振動体側固定具とが離脱した状態で示す拡大正面図である。
【図12】振動フィーダをフレーム側固定具と振動体側固定具とが係合した状態で示す拡大正面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 破砕機
2 走行体
7,31 本体フレーム
11 ホッパ支持フレーム
17 振動フィーダ
18 振動体
19 加振モータ(加振部材)
20 櫛歯プレート
21 コイルばね
22 固定具移動機構
23 ケーシング
24 シリンダ
26 駆動楔部材
28 従動楔部材
29,39 フレーム側固定具
30 振動体側固定具
32 固定フレーム
35 可動フレーム
37 昇降シリンダ(アクチュエータ)
40 振動体側固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体をなすフレームと、該フレームに振動可能に支持され、加振部材からの振動が与えられることにより投入された搬送対象物を所定の場所へと搬送する振動体とを備えてなる振動フィーダにおいて、
前記フレームにはフレーム側固定具を設け、前記振動体には該フレーム固定具に上,下方向から係合することにより前記振動体を前記フレームに対して固定する振動体側固定具を設ける構成としたことを特徴とする振動フィーダ。
【請求項2】
前記フレームには、前記フレーム側固定具を前記フレームに対して上,下方向に移動させることにより前記振動体側固定具に係合または離脱させる固定具移動機構を設ける構成としてなる請求項1に記載の振動フィーダ。
【請求項3】
前記固定具移動機構は、前記フレームに取付けられたシリンダと、該シリンダと前記フレーム側固定具との間に設けられ前記シリンダの伸縮に応じて前記フレーム側固定具を上,下方向に移動させる楔部材とにより構成してなる請求項2に記載の振動フィーダ。
【請求項4】
前記フレームは、ベースとなる固定フレームと、該固定フレームに対し作業位置と運搬位置との間で上,下方向に回動可能に取付けられ前記振動体を振動可能に支持する可動フレームと、該可動フレームを前記固定フレームに対して回動させるアクチュエータとにより構成し、
前記フレーム側固定具は前記固定フレームに設け、前記振動体側固定具は前記アクチュエータによって前記可動フレームが作業位置から運搬位置へと回動したときに前記フレーム側固定具に係合する構成としてなる請求項1に記載の振動フィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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