説明

振動ボウルおよび振動ボウルフィーダ並びに真空蒸着装置

【課題】 搬送路の途中において、簡易な数量調整体により、被搬送物の集合体を適正量に調整することを可能にした振動ボウル等を提供する。
【解決手段】 振動ボウル10は、被搬送物15の集合体を貯留することが可能な凹部10aと、凹部10aの内側に設けられ被搬送物15を加振することにより被搬送物15を上り勾配に向かって搬送可能な搬送路10bと、搬送路10bの搬送面20に対向し、かつ搬送路10bの搬送方向に対し傾斜して延びる端面を有し、前記端面が搬送面20に対し所定間隔の隙間tを有する、被搬送物15の集合体の数量調整体23と、備え、搬送路10bを搬送される被搬送物15の集合体は、高さ方向に積層された状態において隙間tを通過する際に、数量調整体23により被搬送物15の集合体の高さが、上記所定間隔以下に規制されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動ボウルおよび振動ボウルフィーダ並びに真空蒸着装置(以下、「振動ボウル等)という)に係り、更に詳しくは、被搬送物を加振することにより被搬送物を外部に定量排出可能な被搬送物の振動供給技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
被搬送物に対する加振動作を利用して、電子部品や精密機械部品といった多種多様な被搬送物を自動的に一定の方向に並べたうえで、この被搬送物を定数または定量、次の製造工程に送り出すための振動フィーディングシステムは、従来から良く知られている。
【0003】
第1の従来例として、振動部によって振動されたボウルから排出したパーツの供給個数を、シュートの途中で検知可能な部品検知装置(発光素子と光電変換素子)が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
第2の従来例として、バイブレーターにより加振されるボウルフィーダ(ボウル)の側端部に、螺旋状の溝を形成して、バイブレーターの振動によってボウルフィーダの内部の蒸着材料が螺旋状の溝に沿って蒸着材料排出口に移送されるように構成された蒸着材料供給装置が開発されている(特許文献2参照)。
【0005】
第3の従来例として、振動装置を振動させる圧電振動素子から得られた信号を検出可能な振動検知手段を備えたパーツフィーダ制御方法が開示され、これによって、制御部が、振動検知手段によって得られるフィードバック信号によって、圧電振動素子を駆動する電力増幅器を制御することを可能ならしめている(特許文献3参照)。
【0006】
第4の従来例として、検知杆が、その直下を通過するワークの残量に応じて揺動し、この動きを近接センサが検知してワーク送り出し装置(振動式ホッパ)を自動的に運転または停止可能なワーク供給装置が開発されている(特許文献4参照)。
【0007】
第5の従来例として、多数のワークを内周に沿った搬送トラックの上で振動を加えて整列搬送するボウルと、使用電力の電圧、周波数等で決まるワーク搬送用振動を、このボウルに加える加振部と、このボウルの搬送トラック出口に装着されてこの出口からのワーク通過量を検知して電気信号を出力するセンサと、このセンサからの信号入力に応じて加振部の供給電力を制御して出口からのワーク通過量を制御する電気制御部と、を具備したパーツフィーダが提案されている(特許文献5参照)。
【0008】
第6の従来例として、ホッパー内のパーツの総量が概ね一定に保たれるように、ホッパーにパーツを補充する補充タンクの開閉動作および/またはトラフへのパーツ供給動作を制御するための水銀遅動スイッチが知られている(特許文献6参照)。
【0009】
第7の従来例として、複数段または複数列に集まった部品集合体を加振してトラックを搬送させる際に、こうした部品集合体を整列させるための層崩し溝をトラックに設けた振動パーツフィーダが開示されている(特許文献7参照)。
【特許文献1】特開平6−72532号公報
【特許文献2】特開2003−321768号公報
【特許文献3】特開2003−48614号公報
【特許文献4】実開平6−6325号公報
【特許文献5】実開昭60−173517号公報
【特許文献6】実開昭59−88019号公報
【特許文献7】特開平10−181850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、真空蒸着装置の蒸着成膜材料として、過剰に幾重にも山型に積もった状態で搬送され兼ねない顆粒状のサイズ不揃粒子や、積み木の如く多段に積層可能な平坦面を有する固定形状粒子(例えば、角柱形粒子や円柱形粒子)がある。そして、真空蒸着装置の蒸着場所に蒸着成膜材料を定量供給するには、斯かる蒸着成膜材料の積層状況を未然に防止することが不可欠である。
【0011】
しかしながら、特許文献7以外の上記各従来例については、このような状況を想定して材料の定量供給を図るという課題認識が完全に欠落している。
【0012】
また、上記特許文献7に記載の供給技術についても、搬送路の途中において材料の集合体を一列または一段に並べ得る、簡易な配列手段を実現することが難しい。
【0013】
すなわち、特許文献7は確かに、角柱形状の部品を一列かつ一段に並べる構成(例えば、トラックに加工された層崩し溝)を備えた振動パーツフィーダを示した文献ではあるものの、本件発明者等は、特許文献7に記載の層崩し溝のようにトラックに複雑な加工を施さなくても、同様の効果を発揮するより簡易な数量調整体を実現可能であると、考えている。
【0014】
そこで本発明は、搬送路の途中において、簡易な数量調整体により、被搬送物の集合体を適正量に調整することを可能にした振動ボウル等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明に係る振動ボウルは、被搬送物の集合体を貯留することが可能な凹部と、前記凹部の内側に設けられ、前記被搬送物を加振することにより前記被搬送物を上り勾配に向かって搬送可能な搬送路と、前記搬送路の搬送面に対向し、かつ前記搬送路の搬送方向に対し傾斜して延びる端面を有し、前記端面が前記搬送面に対し所定間隔の隙間を有する前記被搬送物の集合体の数量調整体と、備え、前記搬送路を搬送される被搬送物の集合体は、高さ方向に積層された状態において前記隙間を通過する際に、前記数量調整体により前記被搬送物の集合体の高さが前記所定間隔以下に規制されるように構成されている。
【0016】
このような数量調整体によれば、搬送路の途中において、被搬送物の集合体を適正量に簡易に調整することができる。
【0017】
ここで、前記被搬送物の一例は、サイズ不揃粒子であり、前記数量調整体は、山型に積もった前記サイズ不揃粒子の集合体の高さを、前記所定間隔以下に平らにして構成されても良い。
【0018】
これにより、山型に積もり過剰に流れるサイズ不揃粒子の集合体が、数量調整体を通過する際に、上限値としての所定の高さ分(上記間隔)を残して、数量調整体の端面により擦り切られ、その高さが平坦化される。
【0019】
前記被搬送物の他の例は、複数の平坦面を有した固定形状粒子であり、前記数量調整体は、前記平坦面を境にして複数段に積み重なった前記固定形状粒子の集合体の段数を、前記所定間隔により規制された段数に減らして構成されても良い。
【0020】
これにより、平坦面を境にして積み木の如く複数段に積み重なった固定形状粒子の集合体が、崩し板を通過する際に、固定形状粒子の集合体の段数を、上記間隔により規制された段数(例えば1段)に減らすようにして、固形形状粒子の集合体の高さが平坦化される。
【0021】
なおここで、前記搬送路は、前記搬送面から立設する側壁を有し、前記被搬送物は、前記側壁により支持されながら前記搬送路を搬送されるものである。そして、前記数量調整体の一方の側端部は、前記側壁に当接して、前記数量調整体の他方の側端部は、前記搬送面の幅方向の途中に位置付けられても良い。
【0022】
こうすることで、例えば、数量調整体の他方の側端部を、搬送面の内側の略1/2幅領域に位置付けることにより、数量調整体が、被搬送物により目詰まりをきたした場合であっても、適正量の被搬送物を、数量調整体を越えて供給し続けることが可能になる。
【0023】
また、前記数量調整体は板状部材であって、前記板状部材の前記一方の側端部の、前記側壁との当接位置から突出する突出量により、前記被搬送物の滞留を起こさない範囲に、前記板状部材の厚みおよび前記傾斜の角度を調整して構成されても良い。すなわち、一方の側端部と側壁との間の段差を極力無くすようにして、この部位において被搬送物を引っ掛けないように処置する必要がある。
【0024】
また、本発明に係る振動ボウルフィーダは、以上に述べた振動ボウルを支持してこれに振動を加える振動体を備えて構成され、前記振動体による前記振動ボウルの振動に基づいて、前記搬送路に載った前記被搬送物を搬送可能な装置である。
【0025】
また、本発明に係る真空蒸着装置は、内部を減圧可能な真空槽と、前記真空槽内部に配置され、請求項8に記載の振動ボウルフィーダと、前記振動ボウルフィーダから外部に排出された前記被搬送物を成膜材料として充填可能な容器と、前記被搬送物からなる成膜材料を加熱可能な加熱手段と、を備えて構成され、前記加熱手段により加熱した前記成膜材料を、減圧状態にある前記真空槽内部の基板に蒸着させる装置である。
【0026】
このような真空蒸着装置によれば、真空槽の内部において蒸着されるための成膜材料に相当する被搬送物を、振動ボウルフィーダにより、単位時間当たり、一定量正確に容器に供給できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、搬送路の途中において、簡易な数量調整体により、被搬送物の集合体を適正量に調整することを可能にした振動ボウル等が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0029】
最初に、振動ボウルフィーダの概略構成を、図1を参照しながら述べる。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係る振動ボウルフィーダの概略構成を図示した模式図である。
【0031】
振動ボウルフィーダ50(材料供給装置)は標準的には、図1に示すように、振動ボウル10と、振動体11と、ホッパー14と、制御装置19と、を備えて構成されている。
【0032】
振動体11は例えば、電磁石(不図示)と複数箇所(3、4箇所)の板バネ(不図示)により構成され、これによって、電磁石のオン/オフによる駆動力を、板バネを利用して増幅して振動ボウル10を加振する。なお、電磁石に替えて圧電素子を使っても良い。
【0033】
振動体11によって得られる振動ボウル10の振動は、板バネの配置を適宜調整することによって方向性を持つようになり、このことから振動ボウル10の凹部10aの内側の搬送路10b(後記)に載った被搬送物15を一定方向に搬送可能ならしめている。
【0034】
なお、本実施の形態において使用する振動体11は、周知技術に基づくものであり、ここでは振動体11の構成のより詳細な説明は省く。
【0035】
振動ボウル10は、振動体11から与えられた振動により、振動ボウル10の内部の被搬送物15を小刻みに動かして、被搬送物15を搬送路10bに沿って搬送する役割を担っている。
【0036】
この振動ボウル10の形状としては、略半円状(すり鉢状)、円筒状や円錐状等、各種形状が想定されるが、ここでは、下部から上部になるに連れて径を増していくすり鉢状の振動ボウル10が使用されている。
【0037】
また、振動ボウル10の内側には、振動ボウル10の内壁に搬送路10bを設けた、略半円形の段付き凹部10aが形成されている。後程、図2を参照して凹部10aの構成を詳しく説明する。
【0038】
また、振動ボウル10から排出された被搬送物15を、シュート部(不図示)に案内するためのガイド部材12が、振動ボウル10の側壁の外周面適所(正確には搬送路10bの終端に位置する額縁24(図2参照))に配設されている。
【0039】
ホッパー14は、凹部10aの開口部を臨めるように、振動ボウル10(凹部10a)の上方に配置され、所定量以上の被搬送物15の集合体を一時的に貯留する補助タンクとしての役割を果たす。
【0040】
ここで被搬送物15は、例えば、基準寸法3mm以下の顆粒状の粒子である。
【0041】
斯かる顆粒状粒子の一例として、粉砕粒子(例えば、一辺略3mm以下の三角錐形状の粒子)およびこれよりも細かい粉末からなる混合材料(サイズ不揃粒子)が想定される。
【0042】
なお、このような顆粒状粒子を被搬送物15として想定した場合には、この被搬送物15の基準寸法(例えば3mm)に一辺を等しくした略正方形の網目を多数形成した網状部材13を、ホッパー14と振動ボウル10との間のギャップに挿入して配置させても良い。
【0043】
こうすると、3mmを超える被搬送物15や2個以上固着した被搬送物15が、凹部10aの内部に投入されないように適正にふるい分けられ好適である。
【0044】
なお、この網目状部材13を振動ボウル10の開口部の全域を覆うように振動ボウル10の側壁に直接取り付ければ、振動ボウル10によってもたらされる網目状部材13の振動が、被搬送物15に対しふるい分け効果を更に促進させ好適である。
【0045】
制御装置19は、振動ボウルフィーダ50によって加振された振動ボウル10の、被搬送物15への振動搬送動作を制御するマイクロプロセッサにより構成されている。
【0046】
制御装置19の入力センサ例としては、凹部10aに溜まった被搬送物15の集合体の最上高さ位置を検知可能なファイバー状の発光部(不図示)とファイバー状の受光部(不図示)とを備えた反射型の光センサ16(レベル検知手段)がある。
【0047】
なおここで、光センサ16の検知窓(不図示)は、凹部10aの底面に相当する領域を臨め、これにより、振動ボウル10の凹部10aに溜まった被搬送物15の集合体の総量が、第2の光センサ16によって得られた被搬送物15の集合体の最上高さ位置データに基づいて予測可能になる。
【0048】
勿論、このような光センサ16に替えて(または光センサ16と共に)、凹部10aの内側(例えば、凹部10aの内壁)に、この凹部10aに溜まった被搬送物15の集合体の総量を、簡易的に確認可能な目盛り等の目印(不図示)をマーキングしても良く、この様な目印をマーキングした適宜の柱部材(不図示)を凹部10aの内側に配置しても良い。
【0049】
制御装置19の制御対象部材例としては、ホッパー14の供給扉の開閉を駆動するホッパー駆動装置17、および振動体11に内蔵される電磁石コイルに加える振動用の信号の周波数や振幅を可変する周波数/振幅可変回路18(例えば、インバータ回路)がある。
【0050】
このような制御装置19における入力センサおよび制御対象部によれば、制御装置19は、光センサ16によって得られた被搬送物15の最上位置高さデータに基づき、例えば振動ボウル10が内包する被搬送物15の集合体の総量を変化させるような負荷変動を発生した場合に、振動体11(電磁石コイル)に給電する振動用信号の周波数または振幅を、周波数/振幅可変回路18を介して適宜可変することにより振動ボウル10における被搬送物15に対する振動搬送能力を調整可能になる。
【0051】
即ち、制御装置19は、振動ボウル10が内包する被搬送物15の集合体の総量が変化するという負荷変動をきたしても、振動ボウル10の凹部10aから外部に排出される、単位時間当たりの被搬送物15の量を一定に保つように、振動体11(電磁石コイル)に給電する振動用信号の周波数または振幅を、周波数/振幅可変回路18を介して適宜可変できる。
【0052】
また、制御装置19は、光センサ16によって得られた凹部10aにおける被搬送物15の集合体の最上高さ位置データに基づいて、この被搬送物15の集合体の総量を監視して、ホッパー駆動装置17を介してホッパー14における被搬送物15を供給するための扉の開閉のタイミングを制御し、ホッパー14から凹部10aへの被搬送物15の供給を適宜調整できる。
【0053】
例えば、ある実施の形態では、制御装置19によって、光センサ16の最上高さ位置データに基づき、凹部10aに内在された被搬送物15の集合体を使い切る直前に、ホッパー14における被搬送物15を供給するための扉が開閉されれば足るものであり、これにより、ホッパー14の扉開閉制御は簡素化される。
【0054】
また本明細書においては、制御装置とは、単独の制御装置だけではなく、複数の制御装置が協働して振動ボウルフィーダ50の動作を制御する制御装置群をも意味する。よって、制御装置19は、単独の制御装置で構成される必要性は無く、複数の制御装置が分散配置されていて、それらが協働して振動ボウルフィーダ50の動作を制御するように構成されていても良い。また、後程述べるように、この振動ボウルフィーダ50が、真空蒸着装置の真空槽内部に装着される場合には、ここで述べた制御装置19の機能を、真空蒸着装置の作動を制御する制御装置が兼ねることも可能である。
【0055】
次に、振動ボウル10の詳細な構成を、図面を参照して述べる。
【0056】
ここでは、被搬送物15として、基準寸法略3mmの三角錐形状の粒子およびこれより細かい微粒子からなるサイズ不揃粒子としての混合材料(以下、「混合粒子15」という)を例にして、以下、振動ボウル10の詳細な構成を述べる。
【0057】
図2〜図5は各々、振動ボウルの内部の構成を示した図である。
【0058】
図2(a)は、振動ボウルの全体を、その凹部の上面側から見た平面図であり、図2(b)は、図2(a)に示したIIB−IIB線に沿った部分の断面図である。
【0059】
また、図3(a)は、図2(a)における、振動ボウルのA部の部分拡大平面図であり、図3(b)は、図3(a)に示したIIIB−IIIB線に沿った部分の断面図である。
【0060】
更に、図4は、図2における、振動ボウルのB部を搬送方向側から見た斜視図である。
【0061】
また、図5(a)は、図2(a)における、振動ボウルのC部の部分拡大平面図であり、図5(b)は、図5(a)に示したVB−VB線に沿った部分の断面図である。
【0062】
図2によれば、振動ボウル10の中央部には、振動ボウル10を振動体11(図1参照)に固定する固定具(例えばボルト;不図示)を通すための通し孔21が設けられている。
【0063】
斯かる固定具を通し孔21に差し込みまたは通し孔21から外すことにより、振動ボウル10は、振動ボウルフィーダ50から着脱可能に構成され、これによって、振動ボウル10に溜まったゴミ等を清掃するためのメンテナンス作業を容易化せしめている。
【0064】
また、図2(b)に示すように、凹部10aの中央部から周辺部に向かって螺旋状(振動ボウル10の周方向)かつ上り勾配を持った搬送路10bが、振動ボウル10の凹部10aの内壁に沿って形成されている。
【0065】
そして、この搬送路10bのうちの下面10cに載った混合粒子15が、振動ボウル10によって加振されると、この混合粒子15は、この勾配の滑り方向と逆の方向(上り方向)に這い上がるようになる。
【0066】
即ち、下面10cは、図2(a)の矢印で示すように、混合粒子15を搬送可能な搬送面20として機能する。また、搬送路10bの側壁10dは、搬送路10bに沿って混合粒子15を搬送する際のガイド部の役割を果たす。
【0067】
なお、搬送面20としての下面10cは、その幅方向の内側から外側に向かう方向において斜め下方に傾いて構成されている。そうすると、搬送面20(下面10c)に載った混合粒子15がその自重により側壁10dの方向に移動して、これにより、側壁10dが、混合粒子15の搬送時におけるガイド機能を確実に発揮できる。
【0068】
ここで、図2および図3から理解されるとおり、搬送路10bの途中の適所において、搬送面20をその幅方向に、所定幅、例えば搬送面20の幅の半分の幅を残して、下方かつ斜め方向に欠いた切欠溝22(混合粒子15の落とし溝)が形成されている。
【0069】
このような切欠溝22によれば、複数列の混合粒子15の集合体を構成する個々の混合粒子15は、図3(b)に示すように所定幅分(ここでは搬送面20の1/2幅分)のみを残して、切欠溝22の斜面に沿って自重により下方に落下し、その結果として、図3(a)に示すように、搬送面20の幅一杯に亘って搬送される混合粒子15の集合体は、切欠溝22によって搬送面20の1/2幅分に並べられ、その結果として、搬送路10bの側壁10dに隣接する所定列の混合粒子15が、切欠溝22を越えて切欠溝22の下流側の搬送路10bに進入できる。
【0070】
勿論、混合粒子15の単位時間当たりの必要供給量に合わせて、切欠溝22の幅(すなわち、切欠溝22により切り欠かれて残った搬送面20の幅)を適宜、変えても良い。
【0071】
このような切欠溝22は、複数列の混合粒子15の集合体を簡易に所定幅分に並べる役割を果たし、このことから振動ボウル10から外部に単位時間当たりに排出される混合粒子15の数量が、後程詳しく述べるように、擦り切り板23による混合粒子15の高さ方向の平坦化効果と相俟って、適正量に調整され得る。
【0072】
なお、同じ類の切欠溝22を、搬送路10bの途中に複数個、設けることにより、混合粒子15の集合体の幅方向の整列効果をより効果的に発揮させても良い。
【0073】
とりわけ、切欠溝22を、搬送路10bの終端に隣接して設けることにより、混合粒子15を凹部10aの外部に排出する際に、この混合粒子15を所定幅分に並べた状態が適正に保証され好適である。
【0074】
次に、図2および図4から理解されるとおり、上記切欠溝22の上流側であって、搬送路10bの途中の適所にL字型擦り切り板23(数量調整体)が配置されている。
【0075】
擦り切り板23は、搬送路10bの搬送面20(搬送路10bの下面10c)を基準にして上方向に、所定間隔の隙間tを離れた位置、例えば、混合粒子15の基準寸法を僅かに超えて離れた位置から上方に延びる垂直部23aと、この垂直部23aの上端部から略90°に折り曲げられ下面10cに対し平行に延びる水平部23bとを有してなる。また、擦り切り板23の垂直部23aの下端面は、搬送路10bの側壁10dとの当接位置から搬送方向と所定の鋭角αをなすようにして搬送面20の外側の略1/2幅領域(側壁10dに近い方の部分)に亘って延びている。
【0076】
すなわち、擦り切り板23の垂直部23aの一方の側端部23cは、搬送路10bの側壁10dに当接する一方、その他方の側端部23dは搬送路10bの下面10cの幅方向略中央部(幅方向途中)に位置している。
【0077】
なおここで、上記垂直部23aは、その下端面が下面10cに平行になるように設けられ、これにより、垂直部23aの下端面と下面10cとの間には、基準寸法より僅かに長い幅(例えば、基準寸法が3mmであれば、3.1mm程度)のスリット状(矩形状)の混合粒子25の通過口が形成されている。
【0078】
また、側壁10dと当接する、垂直部23aの一方の側端部23cについては、垂直部23aと側壁10dとの間の段差を極力無くすことが肝要である。すなわち、垂直部23aの一方の側端部23cの、側壁10dとの当接位置から突出する突出量(側端部23cの端面に対応する突出量)により、混合粒子15の滞留を起こさない範囲に、擦り切り板23の垂直部23aの厚みおよび垂直部23aの搬送方向に対して傾斜する角度αが調整されている。
【0079】
このようにして、垂直部23aが、側壁10dとの段差を無くして、そこから搬送路10bの搬送方向に対し傾斜するように滑らかに延在している。これにより、基準寸法より大きめの混合粒子15が、側端部23cと側壁10dとの間の段差に引っ掛かって滞留することを未然に防止できる。
【0080】
なお、上記水平部23bは、ボルト25によって凹部10aの領域外側の額縁24に固定されている。
【0081】
以上に述べた、擦り切り板23によれば、幾重にも山型に積もり過剰に流れる、混合粒子15の集合体は、図4に示すように、搬送面20の外側の略1/2幅領域については、混合粒子15の集合体が擦り切り板23を通過する際に、上限値としての所定の高さ分を残して(例えば、混合粒子15の基準寸法程度の高さを残して)、擦り切り板23の垂直部23aの下端面により擦り切られ、混合粒子15の集合体の高さが平坦化される。
【0082】
そうすると、幾重にも山型に積もり過剰に流れる混合粒子15の集合体は、搬送面20の外側の略1/2幅領域については、擦り切り板23によって所定高さに規制され平坦化された上で、擦り切り板23を越えて擦り切り板23の下流側の搬送路10bに進入できる。これにより、混合粒子15の、切欠溝22への過剰供給を未然に防止可能になる。
【0083】
その一方、混合粒子15の集合体のうちの搬送面20の内側の略1/2幅領域(側壁10dから遠い方の部分)については、擦り切り板23によって所定高さに擦り切られずに、擦り切り板23の下流側の搬送路10bに進入することになる。
【0084】
こうすることで、以下の理由により、混合粒子15の切欠溝22への供給不足を未然に防止可能になる。
【0085】
擦り切り板23を搬送面20の外側の略1/2幅領域に限定して配置したことにより、仮に混合粒子15中に基準寸法を超えるサイズ不良粒子が擦り切り板23の擦り切り端面の全域(垂直部23aの下端面全域)に引っ掛かり、後続の混合粒子15を擦り切り板23から全く通さなくなったとしても(サイズ不良粒子による擦り切り板23の完全目詰まり状態)、少なくとも搬送面20の内側の略1/2幅領域においては、混合粒子15は、擦り切り板23を配置してないことから、擦り切り板23の下流側に進入できる。
【0086】
このため、斯かる不具合発生時であっても、混合粒子15の、切欠溝22への供給が中断されない。
【0087】
なおこの場合、擦り切り板23を通過した直後の、搬送面20の内側の略1/2幅領域に偏在する、幾重にも積もった混合粒子15の集合体は、振動ボウルフィーダ50による混合粒子15への横方向(搬送路10bの幅方向)の振動移送作用を受ける。このため、このように偏在した混合粒子15の集合体は、その搬送途中において、搬送面20の外側の方向(側壁10dの方向)に向かう平坦化力(振動力)を印加されながら移送され、これにより、混合粒子15の集合体の偏在状態は適正に解消されると期待される。
【0088】
よって、擦り切り板23と切欠溝22との間の搬送路の離間寸法は、このような振動ボウルフィーダ50による横方向振動移送作用を充分に発揮可能な程度の距離に設定されている。
【0089】
更に、切欠溝22の幅寸法(ここでは搬送面20の略1/2幅領域)に擦り切り板23の配置域(ここでは搬送面20の略1/2幅領域)を一致させていることから、上記のようなサイズ不良粒子による擦り切り板23の完全目詰まり状態であっても、切欠溝22により選別されて残すのに必要な最低限の数量の混合粒子15を、擦り切り板23を越えて切欠溝22に供給できる。
【0090】
また、擦り切り板23の垂直部23aを搬送面20の外側の略1/2幅領域に亘って、搬送路10bの搬送方向に対し斜めに配置したことにより、仮に混合粒子15中に基準寸法を超えるサイズ不良粒子が擦り切り板23の擦り切り端面(垂直部23aの下端面)に引っ掛かったとしても、このようなサイズ不良粒子は、擦り切り板23の擦り切り端面に沿って外側に移動して、搬送面20の内側の略1/2幅領域に達して擦り切り板23から速やかにすり抜け、サイズ不良粒子による、擦り切り板23の目詰まり状態を迅速に解消できる。
【0091】
このようにして、上記擦り切り板23は、幾重にも山型に積もり過剰に流れる混合粒子15の集合体を簡易に所定高さに平坦化させる役割を果たし、このことから振動ボウル10から外部に単位時間当たりに排出される混合粒子15の数量が、既に述べた切欠溝22による混合粒子15の幅方向の整列効果と相俟って、適正量に調整され得る。
【0092】
なお、同じ類の、擦り切り板23を、搬送路10bの途中に複数個、配置することにより、混合粒子15の集合体の平坦化をより効果的に発揮させても良い。
【0093】
またここでは、擦り切り板23を搬送面20の外側の略1/2幅領域に亘って配置する例を述べたが、勿論、擦り切り板23におけるサイズ不良粒子の目詰まり対応能力をある程度犠牲にしても良ければ(但し、基準寸法3mmを超えるサイズ不良粒子を含まないよう適正な前処理が必須)、擦り切り板23を搬送路23の幅全域に配置しても良い。
【0094】
次に、図2および図5から理解されるとおり、搬送路10bの終端近傍に存在する混合粒子15を、搬送路10bにおける混合粒子15の搬送方向に対して略直角方向かつ斜め下方向に沿って凹部10aの外側に排出することを可能にしたステップ部26が、搬送路10bの終端に設けられている。
【0095】
より詳しくは、ステップ部26は、図5に示したように、搬送路10bの終端面分をその幅方向かつ斜め下方に沿って欠いた切欠斜面26aと、ガイド部材12と、を有して構成されている。
【0096】
ここで、ガイド部材12は、図5(b)に示すように、適宜の固定手段(不図示)により振動ボウル10に一体化するように連結され振動ボウル10の振動と共に振動するものである。
【0097】
またガイド部材12は、切欠斜面26aを通過した後の混合粒子15を、例えば真空蒸着装置の蒸着材料容器のような材料供給先に案内する役割を果たし、切欠斜面26aの下端に続いて、切欠斜面26aの傾斜角と同一角の斜面を有している。
【0098】
これによって、切欠斜面26aを通過しようとする混合粒子15を、切欠斜面26aから材料供給先に向けてスムーズに移動可能である。
【0099】
このようなステップ部26によれば、搬送路10bの終端近傍の混合粒子15の集合体が、既述の切欠溝22および擦り切り板23による混合粒子15の数量調整効果によって適正量に調整されていることを前提として、混合粒子15を単位時間当たり一定量、凹部10aから外部に排出できるようになる。
【0100】
次に、以上に述べた振動ボウルフィーダ50の一適用例として、この振動ボウルフィーダ50を真空槽(不図示)内部に装着させた上で、この振動ボウルフィーダ50から排出される混合粒子15を蒸着成膜材料として用い、これを基板(不図示)に被膜を蒸着する真空蒸着装置(不図示)の蒸着動作を述べる。
【0101】
真空蒸着装置の真空槽の内部を適宜の真空排気手段(真空ポンプ等;不図示)により所定の真空度まで減圧させた状態において、振動ボウルフィーダ50(図1)を作動することにより、振動ボウル10の内部で蒸着成膜材料に対し振動搬送動作が実行される。
【0102】
そうすると、振動ボウル10の振動によって振動ボウルフィーダ50の凹部10a(図2)の内壁の搬送路10b(図2)に沿って螺旋状に這い上がって、かつ切欠溝22(図3)および擦り切り板23(図4)によって高さ方向平坦化乃至幅方向整列化された蒸着成膜材料は、搬送路10bの終端におけるステップ部26の切欠斜面26a(図5)を移動して凹部10aの外部に排出される。
【0103】
このような凹部10aの外部に単位時間当たりに、一定量排出された蒸着成膜材料は、供給時間制御をなされた上で、ガイド部材12を移動して蒸着材料容器(不図示)に充填される。
【0104】
ここで、蒸着材料容器への蒸着成膜材料の充填量が予め設定された所定量に到達すると、振動ボウルフィーダ50の作動を止めて、蒸着材料容器への蒸着成膜材料の充填動作が停止される。
【0105】
続いて、所定量の蒸着成膜材料を充填した蒸着材料容器は、蒸着成膜材料の蒸着場所において移動せしめられ、ここで適宜の加熱手段(不図示)によって蒸着成膜材料を加熱させることにより蒸着成膜材料が蒸発する。蒸着成膜材料から蒸発生成された蒸着粒子は、真空槽の内部の基板に向けて飛散して、この基板表面に蒸着材料からなる被膜が形成される。
【0106】
そして、基板表面の被膜が適宜の膜厚センサ(不図示)により所定の厚みに到達した時点で、加熱手段による蒸着成膜材料の加熱を停止して、真空蒸着装置における基板への真空蒸着の一サイクルが終了する。なお必要に応じて、同様の真空蒸着動作が繰り返される。
【0107】
このような真空蒸着装置によれば、真空槽の内部において蒸着させるための蒸着成膜材料を、振動ボウルフィーダ50により単位時間当たり一定量、正確に蒸着材料容器に供給できる。このため、振動ボウルフィーダ50による蒸着成膜材料の振幅と供給時間を適正に管理することによって、真空蒸着装置において真空蒸着に必要な蒸着成膜材料の供給トータル量が制御され得る。
【0108】
(変形例)
ここまで、被搬送物15の一例として、基準寸法略3mmの三角錐形状の粒子15およびこれより細かい微粒子からなる顆粒状の混合粒子15を例にして、以下、振動ボウルフィーダ50の構成例を述べた。
【0109】
本変形例においては、このような混合粒子15に替えて、6つの平坦面を有して、一辺略2mmの立方体形状に均一化された被搬送物15(以下、「固定形状粒子」という)を振動搬送可能な振動ボウルフィーダの構成例を説明する。
【0110】
なおここでは、本変形例による振動ボウルフィーダは、図1乃至図5に示した実施の形態による振動ボウルフィーダ50における網目状部材13および切欠溝22並びに擦り切り板23の構成を除き、この振動ボウルフィーダ50の構成と同じであり、両者に共通する構成の説明を省く。
【0111】
本変形例による固定形状粒子は、予めその形状を立方形に均一化されていることから、図1に示した網目状部材13と同じ類の部材によるふるい選別の必要性に乏しく、斯かる網目状部材を設けることを要しない。
【0112】
また、図3に示した切欠溝22に構成上類型の切欠溝(固定形状粒子15の落とし溝)は、搬送路10bの途中の適所において、搬送面20をその幅方向に、所定幅、例えば固定形状粒子の一辺(略2mm)の略1.5倍の幅を残して、下方かつ斜め方向に欠いて形成されている。
【0113】
なお、本変形例の切欠溝は、図3に示した切欠溝22を類推することにより、その構成を容易に理解可能なことから、斯かる切欠溝の図示は省略する。
【0114】
これにより、搬送面20の幅一杯に亘って搬送される固定形状粒子の集合体は、このような切欠溝によって1列に並べられ、その結果として、搬送路10bの側壁10dに接する1列分の固定形状粒子のみが、切欠溝を越えて切欠溝の下流側の搬送路10bに進入できる。
【0115】
更に、図4に示した、擦り切り板23に構成上類型の被搬送物の崩し板(L字型の板材;数量調整体)が、搬送路10bの搬送面20(搬送路10bの下面10c)を基準にして上方向に、所定間隔の隙間を離れて、例えば、固定形状粒子の高さ方向の一辺の長さを僅かに超えた位置から上方に延びる垂直部と、この垂直部の上端面から略90°に折り曲げられ下面10cに対し平行に延びる水平部とを有してなる。
【0116】
なお、本変形例の崩し板は、図4に示した、擦り切り板23を類推することにより、その構成を容易に理解可能なことから、斯かる崩し板の図示は省略する。
【0117】
要するに、本変形例による崩し板は、以下に述べる如く、実施の形態で述べた擦り切り板23の配置状態(例えば、下記通過口の幅)を適宜の調整手段により調整することにより擦り切り板23で兼用でき便利である。
【0118】
この崩し板の垂直部の下端面は、搬送路10bの側壁10dとの当接位置から搬送方向と所定の鋭角α(図4)をなすようにして搬送面20の外側の略1/2幅領域に亘って延びている。
【0119】
すなわち、崩し板の垂直部の一方の側端部は、搬送路10bの側壁10dに当接する一方、その他方の側端部は、搬送路10bの下面10cの幅方向略中央部(幅方向途中)に位置付けられている。
【0120】
なおここで、上記垂直部は、その下端面が下面10cに平行になるように設けられ、これにより、垂直部の下端面と下面10cとの間には、固定形状粒子の高さ方向の一辺の長さを僅かに上回る幅(例えば、固定形状粒子の一辺が2mmであれば、2.1mm程度)のスリット状(矩形状)の固定形状材料の通過口が形成されている。
【0121】
また、側壁10dと当接する、上記垂直部の一方の側端部については、垂直部と側壁10dとの間の段差を極力無くすことが肝要である。すなわち、垂直部の一方の側端部の、側壁10dとの当接位置から突出する突出量(側端部の端面に対応する突出量)により、固定形状粒子の滞留を起こさない範囲に、崩し板の垂直部の厚みおよび垂直部の搬送方向に対して傾斜する角度が調整されている。このようにして、垂直部23aが、側壁10dとの間の段差を無くして、そこから搬送路10bの搬送方向に対し傾斜するようにして滑らかに延在している。
【0122】
これにより、固定形状粒子が、垂直部の一方の側端部と側壁10dとの間の段差に引っ掛って滞留することを未然に防止できる。
【0123】
特に複数の平坦面を有する固定形状粒子の場合には、このような側壁10dに連なる段差が存在すれば、平坦面を境にして積み木の如くしてなる固定形状粒子の集合体が、側壁10dにも垂れながら段差に引っ掛かった状態に維持されて、この状態から更に積み重なり、最終的には、固定形状粒子が振動ボウル10の凹部10aの外部に溢れるという現象が観察された。
【0124】
よって、垂直部の一方の側端部と側壁10dとの間の段差を無くす処置は、複数の平坦面を有する固定形状粒子を振動ボウルフィーダ50により搬送させる際に、固定形状粒子の外部溢れを適正に防止とする観点から有用と言える。
【0125】
なお上記水平部は、ボルトによって凹部10aの領域外側の額縁24に固定されている。
【0126】
以上に述べた、崩し板によれば、平坦面を境にして積み木の如く複数段に積み重なった固定形状材料の集合体が、崩し板を通過する際に、固定形状粒子の集合体の段数を、下面10cと垂直部の下端面との間に形成された所定間隔(ここでは固定形状粒子の高さ方向の一辺の長さを僅かに超えた所定間隔)により規制された段数(ここでは1段)に減らすように、固形形状粒子の集合体の高さが平坦化される。
【0127】
なお、崩し板を搬送面20の外側の略1/2幅領域(側壁10dに近い方の部分)に限って配置したことにより、固形形状粒子の集合体のうちの搬送面20の内側の略1/2幅領域(側壁10dから遠い方の部分)については、崩し板によって所定段数(ここでは1段)に整えられること無く、複数段に積み重なった状態の固定形状粒子の集合体が崩し板の下流側の搬送路10bに進入する可能性がある。
【0128】
しかしながら、搬送面20の内側の略1/2幅領域において、仮に複数段に積み重なった固定形状粒子の集合体が存在しても、このような固定形状粒子の集合体は、振動ボウルフィーダ50による固定形状粒子への横方向(搬送路10bの幅方向)の振動移送作用を受ける。このため、複数段に積層された固定形状粒子の集合体は、その搬送途中において、搬送面20の外側の方向(側壁10dの方向)に向かう移送力(振動力)を印加されながら搬送され、これにより、上記のような固定形状粒子の集合体の積層状態を適正に解消できると期待される。
【0129】
勿論、崩し板は、搬送面20の幅全域に亘って配置するように構成することも可能である。但しこの場合は、実施の形態で述べた擦り切り板23と別の専用の崩し板を準備することになる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の振動ボウルフィーダによれば、搬送路の途中において、簡易な数量調整体により、被搬送物の集合体を適正量に調整することができ、例えば、基板表面に被膜を蒸着する真空蒸着装置の、材料供給装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の実施の形態に係る振動ボウルフィーダの概略構成を図示した模式図である。
【図2】振動ボウルの内部の構成を示した図である。
【図3】振動ボウルの内部の構成を示した図である。
【図4】振動ボウルの内部の構成を示した図である。
【図5】振動ボウルの内部の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0132】
10 振動ボウル
10a 凹部
10b 搬送路
10c 下面
10d 側壁
11 振動体
12 ガイド部材
13 網目状部材
14 ホッパー
15 被搬送物
16 光センサ
17 ホッパー駆動装置
18 周波数/振幅可変回路
19 制御装置
20 搬送面
21 通し孔
22 切欠溝
23 数量調整体
24 額縁
25 ボルト
26 ステップ部
26a 切欠斜面
50 振動ボウルフィーダ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物の集合体を貯留することが可能な凹部と、
前記凹部の内側に設けられ、前記被搬送物を加振することにより前記被搬送物を上り勾配に向かって搬送可能な搬送路と、
前記搬送路の搬送面に対向し、かつ前記搬送路の搬送方向に対し傾斜して延びる端面を有し、前記端面が前記搬送面に対し所定間隔の隙間を有する前記被搬送物の集合体の数量調整体と、を備え、
前記搬送路を搬送される被搬送物の集合体は、高さ方向に積層された状態において前記隙間を通過する際に、前記数量調整体により前記被搬送物の集合体の高さが、前記所定間隔以下に規制される、振動ボウル。
【請求項2】
前記被搬送物は、サイズ不揃粒子であり、前記数量調整体は、山型に積もった前記サイズ不揃粒子の集合体の高さを、前記所定間隔以下に平らにする請求項1記載の振動ボウル。
【請求項3】
前記被搬送物は、複数の平坦面を有した固定形状粒子であり、前記数量調整体は、前記平坦面を境にして複数段に積み重なった前記固定形状粒子の集合体の段数を、前記所定間隔により規制された段数に減らす請求項1記載の振動ボウル。
【請求項4】
前記搬送路は、前記搬送面から立設する側壁を有し、前記被搬送物は、前記側壁により支持されながら前記搬送路を搬送される請求項1乃至3の何れかに記載の振動ボウル。
【請求項5】
前記数量調整体の一方の側端部は、前記側壁に当接する請求項4記載の振動ボウル。
【請求項6】
前記数量調整体の他方の側端部は、前記搬送面の幅方向の途中に位置付けられている請求項5記載の振動ボウル。
【請求項7】
前記数量調整体は板状部材であり、前記板状部材の前記一方の側端部の、前記側壁との当接位置から突出する突出量により、前記被搬送物の滞留を起こさない範囲に、前記板状部材の厚みおよび前記傾斜の角度を調整して構成される請求項5記載の振動ボウル。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の振動ボウルを支持してこれに振動を加える振動体を備え、
前記振動体による前記振動ボウルの振動に基づいて、前記搬送路に載った前記被搬送物を搬送可能な振動ボウルフィーダ。
【請求項9】
内部を減圧可能な真空槽と、前記真空槽内部に配置され、請求項8記載の振動ボウルフィーダと、前記振動ボウルフィーダから外部に排出された前記被搬送物を成膜材料として充填可能な容器と、前記被搬送物からなる成膜材料を加熱可能な加熱手段と、を備え、
前記加熱手段により加熱した前記成膜材料を、減圧状態にある前記真空槽内部の基板に蒸着させる真空蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−76819(P2007−76819A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267092(P2005−267092)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】