説明

振動搬送装置及びそれを用いた粉粒体混合システム

【課題】 複数種類の粉粒体を搬送しながら混合する機能を有する振動搬送装置及びそれを用いた粉粒体混合システムを提供する。
【解決手段】 複数のばね2で浮動支持され、振動させられることによって粉粒体を所定の搬送方向(矢印a方向)へ搬送して搬送端の排出口5から排出するための搬送部1と、搬送部1内の粉粒体を搬送するために搬送部1を振動させる搬送用振動モータ7a、7bと、偏心ウエイトの取り付けられたモータ軸が搬送方向と実質平行となるように、搬送部1に固定された混合用振動モータ8とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の粉粒体を搬送する振動搬送装置及びそれを用いた粉粒体混合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の粉粒体を供給し混合する粉粒体混合システムでは、例えば、各種類の粉粒体ごとに、粉粒体を連続して供給(排出)する連続供給装置を用い、複数の連続供給装置から排出される粉粒体が振動搬送装置に供給され、振動搬送装置によって混合装置へ搬送され、混合装置で混合される。
【0003】
振動搬送装置には、振動コンベア等の種々の装置が知られている(例えば、特許文献1、2等参照)。また、粉粒体等の飛散性の原料の搬送に適した振動搬送装置として搬送部がパイプ形になっているものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−314726号公報
【特許文献2】特開2004−91193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の粉粒体混合システムでは、振動搬送装置に粉粒体を混合する機能がないため、振動搬送装置の後段の混合装置における混合時間を短縮することができない。あるいは、混合装置において複数種類の粉粒体をより均一に混合するためには混合時間を長くしなければならない。また、従来の振動搬送装置では、粉粒体が混合されないだけでなく、偏析する場合もある。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、複数種類の粉粒体を搬送しながら混合する機能を有する振動搬送装置及びそれを用いた粉粒体混合システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある形態(aspect)に係る振動搬送装置は、複数のばねで浮動支持され、振動させられることによって複数種類の粉粒体を所定の搬送方向へ搬送して搬送端の排出口から排出するための搬送部と、前記搬送部内の粉粒体を搬送するために前記搬送部を振動させる搬送用振動装置と、偏心ウエイトの取り付けられたモータ軸が前記搬送方向と実質平行となるように、前記搬送部に固定された1個または複数個の混合用振動モータとを備えている。
【0008】
この構成によれば、混合用振動モータによる振動によって搬送部内の複数種類の粉粒体が混合されるので、複数種類の粉粒体を混合しながら搬送して排出口から排出することができる。そのため、振動搬送装置から排出される粉粒体が供給される混合装置において、より均一に混合された粉粒体の混合物を得ることができる。また、混合装置における混合時間の短縮も可能になる。
【0009】
また、前記搬送用振動装置は、モータ軸が鉛直方向に対して15度ないし30度傾斜し、かつ互いの前記モータ軸が平行になるようにして前記搬送部に取り付けられた一対または複数対の搬送用振動モータによって構成されていてもよい。
【0010】
また、前記搬送部に、粉粒体の流れ方を規制するための流動規制部材が設けられていてもよい。
【0011】
この構成によれば、流動規制部材によって粉粒体をより混合させるようにすることが可能になる。
【0012】
また、本発明の他の形態に係る粉粒体混合システムは、上記本発明のある形態に係る振動搬送装置と、各々、異なる種類の粉粒体を前記振動搬送装置の搬送部へ連続して排出し、各粉粒体の単位時間当たりの設定排出量に基づいて各粉粒体の排出量を制御するように構成された複数の連続供給装置と、前記振動搬送装置の搬送部の排出口から排出される粉粒体を混合するための混合装置とを備えている。
【0013】
この構成によれば、複数の連続供給装置から排出された複数の粉粒体は、振動搬送装置によって混合されながら搬送されて混合装置へ供給されるので、混合装置においてより均一に混合された粉粒体の混合物を得ることができる。また、混合装置における混合時間の短縮も可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上に説明した構成を有し、複数種類の粉粒体を搬送しながら混合する機能を有する振動搬送装置及びそれを用いた粉粒体混合システムを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本発明の実施形態の一構成例の振動搬送装置を側方から視た概略図であり、(b)は、図1(a)のA−A線において矢視した振動搬送装置を示す概略図であり、(c)は、図1(a)のB−B線において矢視した振動搬送装置を示す概略図である。
【図2】(a)は、振動モータの一構成例を示す断面図であり、(b)は、図2(a)のC−C線において矢視した同振動モータを示す概略図である。
【図3】搬送用振動モータの駆動によって生じる搬送部内の粉粒体の移動の軌跡を示す概略図である。
【図4】図1(a)のD−D線において矢視した混合用振動モータの駆動によって生じる搬送部内の粉粒体の移動を示す概略模式図である。
【図5】本発明の実施形態の振動搬送装置において、3種類の粉粒体を搬送する場合の搬送部内部の各粉粒体の流れの一例を示す模式図である。
【図6】(a)〜(f)は、それぞれ、本発明の実施形態の振動搬送装置において、混合用の振動モータの取り付け位置の一例を示す図である。
【図7】(a)は、内部に複数の流動規制部材を配設した搬送部の一例を示す図であり、(b)〜(e)はそれぞれ、図7(a)において、搬送部の下流側から見た各流動規制部材を示す図であり、(f)は、図7(a)において、上から見た1つの流動規制部材を示す図であり、(g)〜(j)はそれぞれ、図7(a)において、搬送部の下流側から見た各流動規制部材と粉粒体の流れを示す図である。
【図8】(a)は、別の流動規制部材を配設した搬送部の一例を示す図であり、(b)は、図8(a)において、搬送部の下流側から見た同流動規制部材を示す図である。
【図9】本発明の実施形態の振動搬送装置を用いた粉粒体混合システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0017】
(実施形態)
図1(a)は、本発明の実施形態の一構成例の振動搬送装置を側方から視た概略図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線において矢視した振動搬送装置を示す概略図であり、図1(c)は、図1(a)のB−B線において矢視した振動搬送装置を示す概略図である。
【0018】
この振動搬送装置は、断面形状が円形であり一方向(搬送方向)に長く延びたパイプ状の搬送部1が複数(本例では4つ)のばね2で実質水平に吊り下げ支持されている。すなわち、搬送部1は、弾性的に浮動支持されている。この搬送部1では、矢印a方向へ内部の被搬送物(粉粒体)を搬送し、搬送の上流側に2つの供給口3、4が設けられ、下流側の搬送終端部分に1つの排出口5が設けられている。搬送部1の中央部にはモータ取付部6が固定されている。矢印aで示す搬送方向と平行するモータ取付部6の両側面に、対をなす搬送用の振動モータ7a、7bが取り付けられている。
【0019】
この一対の振動モータ7a、7bは、それぞれのモータ軸13(図2参照)の軸心A1が鉛直方向(鉛直軸)に対して所定角度θ1(θ1は15度ないし30度)傾斜し、互いのモータ軸が平行になるようにしてモータ取付部6に取り付けられている。この一対の振動モータ7a、7bは互いに逆方向に回転駆動することによって、搬送部1が矢印bの方向(モータ軸と直交する方向)に振動するように構成されている。一対の振動モータ7a、7bは、それぞれのモータ軸が、実線の矢印Ra、Rbで示す方向または破線の矢印La、Lbで示す方向に回転するように駆動される。
【0020】
また、モータ取付部6の下面には混合用の振動モータ8が取り付けられている。この振動モータ8は、モータ軸の軸心が矢印aで示す搬送方向と平行になるように、モータ取付部6に取り付けられている。
【0021】
図2(a)は、振動モータ7a、7b、8の一構成例を示す断面図であり、図2(b)は、図2(a)のC−C線において矢視した同振動モータを示す概略図である。
【0022】
この振動モータは、モータ軸13と、その軸受け14と、フレーム15に固定された固定子11と、モータ軸13に固定された回転子12と、モータ軸13の両側に取り付けられた偏心ウエイト16とを備えている。
【0023】
両側の偏心ウエイト16は、それぞれ2つのウエイト16a、16bを有し、2つのウエイト16a、16bの取付け角度を調整することにより、加振力の大きさを調整することができる。
【0024】
本実施形態では、搬送用振動モータ7a、7b及び混合用振動モータ8の全ての振動モータを同じ回転数(回転速度)で駆動するようにしている。これにより、全ての振動モータ7a、7b、8は、偏心ウエイトが最小の動力で回転しようとして回転位相が揃った状態で駆動される。
【0025】
〔搬送用振動モータ7a、7bによる搬送機能〕
図3は、一対の振動モータ7a、7bの駆動によって生じる搬送部1内の粉粒体の移動の軌跡を示す概略図である。一対の振動モータ7a、7bが駆動することによって搬送部1は矢印bの方向に振動(往復運動)し、それにより搬送部1内部の粉粒体は、図3中の破線矢印で示すように、斜め上方へ飛び上がりながら上流側から下流側に向かって移動する(すなわち矢印a方向へ移動する)。
【0026】
〔混合用振動モータ8による混合機能〕
図4は、図1(a)のD−D線において矢視した混合用振動モータ8の駆動によって生じる搬送部1内の粉粒体の移動を示す概略模式図である。図4において、搬送部1内部に図示した大小の丸は搬送部1内の一部の粉粒体を示し、搬送部1内部の矢印は粉粒体の移動方向を示す。この図4は本実施形態の振動搬送装置を試作し、目視により確認した結果を示す図である。
【0027】
また、このときの搬送部1の内壁部の各部(8か所)の運動軌跡を目視により確認した結果を図6(a)に示す。図6(a)に示すように、混合用振動モータ8を矢印S方向に回転させると、搬送部1の内壁部の各部は、その近傍に記載した軌跡e1〜e8となるように運動し、搬送部1内の粉粒体は矢印Pの方向に回動(移動)する(図4も参照)。なお、軌跡e1〜e8は、内壁部の各部(8か所)に目印を付け、その目印の軌跡を目視により確認したものである。
【0028】
粉粒体の回動方向は、ばね2によって支持された部分全体(粉粒体を含む)の重心点G、及び、混合用振動モータ8の回転方向等によって変化する。例えば、搬送部1内の粉粒体の充満率が高いとき(例えば50%以上のとき)には、図4の搬送部1内の矢印(図6(a)の矢印P)で示す方向に粉粒体は回動するが、粉粒体の充満率が低いとき(例えば50%未満のとき)には上記矢印とは逆方向に回動した。
【0029】
また、混合用振動モータ8の回転方向を逆にすると、粉粒体の回動方向も逆になる。混合用振動モータ8を、所定時間(例えば10〜20秒)ごとに回転方向が逆になるように駆動してもよい。いずれにしても、混合用振動モータ8を駆動することによって粉粒体が回動し、混合される。
【0030】
図5は、本実施形態の振動搬送装置において、3種類の粉粒体x、y、zを搬送する場合の搬送部1内部の各粉粒体の流れの一例を示す模式図である。
【0031】
図5では、最初の供給口3に2種類の粉粒体x、yが供給され、2番目の供給口4に粉粒体zが供給される場合を示している。これらの各粉粒体x、y、zは、例えば、各々の連続供給装置によって実排出流量が設定排出流量と一致するように制御されて各々の連続供給装置から連続供給される。
【0032】
最初の供給口3に供給される2種類の粉粒体x、yは、最初は粉粒体xの層Lxと、粉粒体yの層Lyとに分かれているが、下流側へ送られるにつれて振動モータ8による混合機能によって2種類の粉粒体x、yの混合層Lxyとなる。そして、さらに2番目の供給口4に粉粒体zが供給されると、下流側へ送られるにつれて振動モータ8による混合機能によって粉粒体zの層Lzと混合層Lxyとが混合されて3種類の粉粒体x、y、zの混合層Lxyzとなり、排出口5から排出される。
【0033】
本実施形態の振動搬送装置では、混合用の振動モータ8を搬送部1に取り付けたことによって、複数種類の粉粒体を搬送しながら混合することができる。そのため、振動搬送装置の後段に設けられる混合装置において、より均一に混合された粉粒体の混合物を得ることができる。また、混合装置における混合時間の短縮も可能になる。
【0034】
次に、混合用の振動モータ8の取り付け位置の他の例を、図6(b)〜図6(f)に示す。図6(b)〜図6(f)の各図では、前述の図6(a)の場合と同様、目視により確認した搬送部1の内壁部の各部(8か所)の運動軌跡を、符号を付してはいないが(図6(a)の軌跡e1〜e8参照)、搬送部1の内壁部の各部(8か所)の近傍に記載している。なお、図6(a)〜図6(f)の各図では、搬送部1に対する振動モータ8の取り付け位置を示し、モータ取付部6等は省略している。また、図6(d)〜図6(f)のように混合用の振動モータ8(8a、8b、8c)が複数取り付けられる場合には、それらの振動モータ8と搬送用の振動モータ7a、7bとが、搬送方向にずらして取り付けられる。なお、図6(a)〜図6(f)のいずれの場合も、各振動モータ(8、8a、8b、8c)は、モータ軸の軸心が矢印a(図1等参照)で示す搬送方向と平行になるように取り付けられる。
【0035】
図6(b)の場合には、振動モータ8を搬送部1の上方に取り付け、図6(c)の場合には、振動モータ8を搬送部1の側方に取り付けている。これら図6(b)、図6(c)の場合、図6(a)の場合と同様に、搬送部1内の粉粒体は矢印Pの方向に回動しようとする。
【0036】
また、図6(d)の場合には、2個の混合用の振動モータ8a、8bを搬送部1の左右(図中)の斜め下方に取り付け、同一方向(S1、S2)に回転させるようにしている。この場合も、図6(a)の場合と同様に、搬送部1内の粉粒体は矢印Pの方向に回動しようとする。
【0037】
また、図6(e)、図6(f)の場合には、混合用の振動モータ8(8a、8b、8c)を3個取り付け、2個の振動モータ8と1個の振動モータ8との回転方向が異なるようにしている。図6(e)の場合には、振動モータ8aの回転方向S3と振動モータ8b、8cの回転方向S4、S5とを逆方向にしており、この場合、搬送部1内の粉粒体は矢印Qの方向に回動しようとする。また、図6(f)の場合には、振動モータ8bの回転方向S7と振動モータ8a、8cの回転方向S6、S8とを逆方向にしており、この場合、搬送部1内の粉粒体は矢印Qの方向に回動しようとする。
【0038】
なお、図6(b)〜図6(f)の場合において、それぞれの粉粒体の回動方向(矢印P、Q)は、前述の図6(a)の場合と同様、搬送部1内の粉粒体の充満率が高いとき(例えば50%以上のとき)の回動方向を示している。粉粒体の充満率が低いとき(例えば50%未満のとき)には、図6(a)の場合と同様、それぞれ矢印P、Qで示された方向とは逆方向に回動すると考えられる。
【0039】
また、本実施形態において、搬送部1の内部に、粉粒体の混合機能をより高めるための流動規制部材を配設するようにしてもよい。図7(a)は、内部に流動規制部材を配設した搬送部1の一例を示す図である。図7(b)、(c)、(d)、(e)はそれぞれ、図7(a)において、矢印28の方向から見た流動規制部材21〜24を示す図であり、図7(f)は、図7(a)において、矢印29の方向から見た流動規制部材25を示す図である。また、図7(g)、(h)、(i)、(j)はそれぞれ、図7(a)において、矢印28の方向から見た流動規制部材(21〜24)と粉粒体の流れを示す図であり、搬送部1内部の大小の丸は搬送部1内の一部の粉粒体を示し、搬送部1内部の矢印は粉粒体の移動方向を示す。
【0040】
流動規制部材21〜24は、それぞれ方形の板状部材からなる。また、流動規制部材25は、搬送方向に長い板状部材が捩じられた部材からなる。図7(a)に示すように、流動規制部材23は、例えば、4本の支持部材27によって搬送部1の内壁に固定されている。同様にして、他の流動規制部材21、22、24、25も支持部材(図示せず)によって搬送部1の内壁に固定されている。
【0041】
また、流動規制部材21〜24は、それぞれ傾き方が異なり、これらを配設することにより、図7(g)、(h)、(i)、(j)に示すように、粉粒体の流れ方が、図4の場合とは異なり、より混合効果を高めることができる。また、流動規制部材25は、4つの流動規制部材21〜24とさらに1つの流動規制部材21とが連続的に形成されたものと考えることができ、この場合も粉粒体の流れ方が、図4の場合とは異なり、より混合効果を高めることができる。
【0042】
なお、ここでは、5種類の流動規制部材21〜25を設けているが、少なくともいずれか1種類の流動規制部材を1個以上設けて混合効果を高めるようにしてもよい。
【0043】
図8(a)は、上記流動規制部材21〜25以外の流動規制部材26を配設した搬送部1の一例を示す図であり、図8(b)は、図8(a)において、矢印28の方向から見た流動規制部材26を示す図である。この流動規制部材26は、搬送方向に長い板状部材からなり、この板状部材を上流側より下流側の方が高くなるように所定角度θ2傾斜させて配設したものである。
【0044】
この場合、図8(a)において、搬送部1内部の2つの矢印で示すように、流動規制部材26の傾斜により、流動規制部材26の上を流れる粉粒体は流動規制部材26の下を流れる粉粒体より搬送速度が遅くなり、流動規制部材26を通過した合流点では、時間差をもった粉粒体が混合されることにより、混合効果を高めることができる。ここでは、流動規制部材26を2個設けているが、1個あるいは3個以上設けるようにしてもよい。
【0045】
次に、本実施形態の振動搬送装置を用いた粉粒体混合システムについて説明する。
【0046】
図9は、本実施形態の振動搬送装置を用いた粉粒体混合システムの一例を示す概略図である。
【0047】
この粉粒体混合システムは、本実施形態の振動搬送装置10と、第1〜第3の3つの粉粒体用連続供給装置30、40、50と、混合装置60と、総合制御器70などを備えている。
【0048】
振動搬送装置10は、例えば、図1(a)〜図1(c)で示された振動搬送装置と同様の構成のものである。なお、先に述べたように、搬送部1内部に流動規制部材21〜26等の流動規制部材が配設された振動搬送装置でもよい。また、図6(b)〜図6(f)のように混合用の振動モータが設けられたものであってもよい。
【0049】
第1の連続供給装置30は、粉粒体xが供給されるホッパ31と、例えばロードセルを用いた重量センサ32と、ホッパ31内の粉粒体xを排出するためのベルトコンベア33と、制御器34とを備えている。重量センサ32は、ベルトコンベア33のコンベアベルトの搬送部の下面に当接された計量ローラr1にかかるコンベアベルト上の粉粒体xの重量を所定時間間隔(例えば10ms間隔)で計量し、その計量値を制御器34へ出力する。制御器34では、重量センサ32からの計量値とコンベアベルトの搬送速度とに基づいて実排出流量(単位時間当たりの排出重量の実測値)を算出し、この実排出流量が設定排出流量(単位時間当たりの排出重量の設定値)と一致するようにベルトコンベア33のモータ33mの回転速度を制御する。
【0050】
第2の連続供給装置40は、粉粒体yが供給されるホッパ41と、例えばロードセルを用いた重量センサ42と、ホッパ41内の粉粒体yを排出するためのディスクフィーダ43と、制御器44とを備えている。ディスクフィーダ43は、例えば、ホッパ41の下部からモータ43mによって回転するディスク上に粉粒体yが送り込まれ、その出口でスクレーパによって粉粒体yがかき出されることによってホッパ41内の粉粒体yを排出するように構成されている。重量センサ42は、所定時間間隔(例えば10ms間隔)でホッパ41内の粉粒体yの重量を計量し、その計量値を制御器44へ出力する。制御器44では、重量センサ42から所定時間間隔で入力される計量値に基づいて実排出流量を算出し、この実排出流量が設定排出流量と一致するようにディスクフィーダ43のモータ43mの回転速度を制御する。
【0051】
第3の連続供給装置50は、粉粒体zが供給されるホッパ51と、例えばロードセルを用いた重量センサ52と、ホッパ51内の粉粒体zを排出するためのスクリューフィーダ53と、制御器54とを備えている。重量センサ52は、所定時間間隔(例えば10ms間隔)でホッパ51内の粉粒体zの重量を計量し、その計量値を制御器54へ出力する。制御器54では、重量センサ52から所定時間間隔で入力される計量値に基づいて実排出流量を算出し、この実排出流量が設定排出流量と一致するようにスクリューフィーダ53のモータ53mの回転速度を制御する。
【0052】
このように、各々の連続供給装置30、40、50では、実排出流量と設定排出流量とが逐次比較され、これらが一致するように粉粒体の排出速度が逐次、制御される。
【0053】
また、混合装置60は、例えば、振動搬送装置10の排出口5から排出される粉粒体を貯留して混合する装置であり、2種類以上の粉粒体を混合できる装置であればよく、特に限定されるものではない。例えば、粉粒体を入れる容器本体を回転するタイプのものでもよいし、粉粒体を入れる容器本体は固定されており、容器本体内で混合羽根を回転させるタイプのものでもよい。
【0054】
運転開始前に、総合制御器70は、連続供給装置30、40、50のそれぞれの設定排出流量を、それぞれの制御器34、44、54へ送信し、各制御器34、44、54では、それぞれの設定排出流量を記憶している。
【0055】
なお、総合制御器70は、運転開始、運転終了等の指令信号を制御器34、44、54等へ出力し、制御器34、44、54では総合制御器70からの指令信号に基づいて、連続供給装置30、40、50の動作を制御する。また、ここでは、総合制御器70は、振動搬送装置10及び混合装置60のそれぞれの動作を制御するものとする。
【0056】
なお、総合制御器70及び制御器34、44、54の各制御器は、それぞれ、例えば、マイクロコントローラ、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等で構成することができる。また、これらの制御器は、集中制御する単独の制御器によって構成されていてもよいし、図9の例で示した以外の互いに協働して分散制御する複数の制御器によって構成されていてもよい。
【0057】
以上のように構成される粉粒体混合システムの動作の一例について説明する。
【0058】
総合制御器70に接続された操作手段(図示せず)に操作者が運転開始操作を行うと、総合制御器70からの運転開始信号(指令信号)に基づいて、連続供給装置30、40、50と、振動搬送装置10と、混合装置60とはそれぞれの動作を開始する。ここで、3つの連続供給装置30、40、50のそれぞれから動作開始時の最初に排出される粉粒体x、y、zが合流するように、それぞれの動作開始時間を異ならせるようにしている。
【0059】
そして、第1、第2の連続供給装置30、40から排出される粉粒体x、yは、振動搬送装置10の最初の供給口3へ供給され、振動搬送装置10の搬送部1内で混合されながら搬送される。さらに、第3の連続供給装置50から排出される粉粒体zは、振動搬送装置10の2番目の供給口4へ供給され、粉粒体x、yとともに混合されながら搬送され、排出口5から排出される。排出口5から排出された粉粒体x、y、zは、混合装置60に供給されて十分に混合される。
【0060】
この粉粒体混合システムでは、混合装置60に供給される前に、振動搬送装置10の搬送部1内で粉粒体x、y、zがある程度混合されているので、混合装置60においてより均一に混合された粉粒体の混合物を得ることができる。また、混合装置60における混合時間の短縮も可能になる。
【0061】
なお、本実施形態における振動搬送装置では、3種類の粉粒体を搬送するものとしたが、2種類以上の粉粒体を搬送するものであればよい。また、2つの供給口(3、4)を設けた構成について説明したが、1つの供給口を設けた構成でもよいし、3つ以上の供給口を設けた構成でもよい。なお、供給口は、複数の連続供給装置のレイアウトに応じて設けるようにしてもよい。また、複数の供給口を設ける場合に、振動搬送装置での混合効果を得る点を考慮すれば、なるべく上流側に設ける方が好ましい。
【0062】
また、本実施形態では、粉粒体を搬送方向へ搬送するために、搬送部1に一対の搬送用振動モータ7a、7bを設けているが、これに限られない。例えば、複数対の搬送用振動モータを設けるようにしてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、振動搬送装置の搬送部1に、断面形状が円形のものを用いたが、これに限られない。例えば、断面形状が方形などの四角形以上の多角形のものを用いてもよい。また、粉粒体が飛散しなければ、上部が開口したもの、例えば断面形状がU字形のものを用いてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、搬送部1をばね2で吊り下げ支持するようにしたが、これに限られない。搬送部1は浮動支持されていればよく、搬送部1が下方から例えばばねによって弾性支持されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、複数種類の粉粒体を搬送しながら混合する機能を有する振動搬送装置及びそれを用いた粉粒体混合システム等として有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 搬送部
2 ばね
3、4 供給口
5 排出口
7a、7b 搬送用振動モータ
8、8a、8b、8c 混合用振動モータ
21〜26 流動規制部材
30、40、50 連続供給装置
60 混合装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のばねで浮動支持され、振動させられることによって複数種類の粉粒体を所定の搬送方向へ搬送して搬送端の排出口から排出するための搬送部と、
前記搬送部内の粉粒体を搬送するために前記搬送部を振動させる搬送用振動装置と、
偏心ウエイトの取り付けられたモータ軸が前記搬送方向と実質平行となるように、前記搬送部に固定された1個または複数個の混合用振動モータと
を備えた振動搬送装置。
【請求項2】
前記搬送用振動装置は、モータ軸が鉛直方向に対して15度ないし30度傾斜し、かつ互いの前記モータ軸が平行になるようにして前記搬送部に取り付けられた一対または複数対の搬送用振動モータによって構成された、請求項1に記載の振動搬送装置。
【請求項3】
前記搬送部に、粉粒体の流れ方を規制するための流動規制部材が設けられた、請求項1に記載の振動搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の振動搬送装置と、
各々、異なる種類の粉粒体を前記振動搬送装置の搬送部へ連続して排出し、各粉粒体の単位時間当たりの設定排出量に基づいて各粉粒体の排出量を制御するように構成された複数の連続供給装置と、
前記振動搬送装置の搬送部の排出口から排出される粉粒体を混合するための混合装置と
を備えた粉粒体混合システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate