説明

振動溶着装置

【課題】振動溶着装置の加工材保持において、振動伝達ロスを少なくして、振動側加工材の表面に傷が付くのを少なくすること。
【解決手段】振動溶着装置10は、振動側加工材を保持する保持機構13と、固定側加工材を保持して固定側加工材を振動側加工材に押圧する固定側ユニットと、保持機構を振動させる振動発生ユニットと、保持機構が振動側加工材を保持している状態を解除するプランジャ1081とを備えている。保持機構は、スプリング1002と、スプリングによって振動側加工材を押圧するクランプレバー1003と、クランプレバーに押圧された振動側加工材を受け止める加工材固定ブロック1005を有している。プランジャは、通常、クランプレバーから離れており、振動側加工材を保持機構から解放させるときクランプレバーに作用して、スプリングに抗してクランプレバーを振動側加工材から離間させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性材料からなる振動側加工材に固定側加工材を押し当てた状態で、振動側加工材を振動させることで、振動側加工材と固定側加工材とを溶着する振動溶着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の振動溶着装置は、電磁駆動系の振動手段及び板バネ等の振動伝達手段を有する上冶具に振動側加工材を保持し、エアシリンダによって上昇し加圧装置を有する下冶具に固定側加工材を保持するようになっている。そして、振動溶着装置は,振動側加工材と固定側加工材とを密着させて、振動側加工材を振動させることで、両方の加工部材同士を溶着させるようになっている。
【0003】
このような、振動溶着装置として、特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の振動溶着装置は、上治具に弾性体であるクッション部が設けられている。このため、振動側加工材は、クッション部に押し当てられた状態で上治具に保持される。この場合、振動側加工材が当接するクッション部の加工材当接面とこの加工材当接面と異なる他の冶具の当接面は、粗面になっている。このことによって、振動溶着装置は、振動によって振動側加工材が各当接面に対して位置がずれて、振動伝達ロスによって振動側加工材の表面に傷が付くのを極力少なくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-296460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の振動溶着装置は、粗面の摩擦力を利用して振動側加工材を保持するため、長期間の使用によって上冶具表面の摩擦力が劣化して、上治具の保持力が低下し、振動側加工材の表面に傷が付くのを少なくするのが困難であった。
【0006】
本発明は、振動伝達ロスを少なくして、振動側加工材の表面に傷が付くのを少なくした振動溶着装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の振動溶着装置は、振動側加工材と固定側加工材とを圧接した状態で、前記振動側加工材を振動させて、前記振動側加工材と前記固定側加工材とを溶着するようになっており、前記振動側加工材を保持する保持手段と、前記固定側加工材を保持して前記固定側加工材を前記振動側加工材に押圧する押圧手段と、前記保持手段を振動させる振動手段と、前記保持手段が前記振動側加工材を保持している状態を解除する解除手段と、を備え、前記保持手段は、弾性部材と、前記弾性部材によって前記振動側加工材を押圧する押圧部材と、前記押圧部材に押圧された前記振動側加工材を受け止める受け止め部材とを有し、前記解除手段は、通常、前記押圧部材から離れており、前記振動側加工材を前記保持手段から解放させるとき、前記押圧部材に作用し、前記弾性部材に抗して前記押圧部材を前記振動側加工材から離間させる、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の振動溶着装置は、振動側加工材を押圧部材で受け止め部材に押圧して保持するようになっているので、振動伝達時のエネルギロスを低減して、振動側加工材に傷を付けることを少なくすることができる。
【0009】
また、本発明の振動溶着装置は、解除手段が、通常、押圧部材から離れているので、振動側加工材に振動を加えているとき、その振動によって解除手段が押圧部材に作用することがなく、振動側加工材を解除するようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態における振動溶着装置の振動側ユニットを下側から見た斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における振動溶着装置の正面図であり、かつ動作説明用の図である。(A)は、振動溶着装置の静止状態の図ある。(B)は、振動溶着装置が溶着動作をしているときの図である。
【図4】図3の振動溶着装置の振動側ユニットを下側から見た図であり、かつ動作説明用の図である。(A)は、振動治具ユニットが振動側加工材の保持を解除したときの図である。(B)は、振動治具ユニットが振動側加工材を保持しているときの図である。
【図5】クランクレバーの代わりに移動レバーを使用した場合の図である。(A)は、振動治具ユニットが振動側加工材の保持を解除したときの図である。(B)は、振動治具ユニットが振動側加工材を保持しているときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態における振動溶着装置を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態における振動溶着装置10の振動側ユニットを下側から見た斜視図である。図2は、図1の分解斜視図である。図3は、本発明の実施形態における振動溶着装置10の正面図であり、かつ動作説明用の図である。(A)は、振動溶着装置10の静止状態の図ある。(B)は、振動溶着装置10が溶着動作をしているときの図である。図4は、図3の振動溶着装置10の振動側ユニットを下側から見た図であり、かつ動作説明用の図である。(A)は、振動治具ユニットが振動側加工材の保持を解除したときの図である。(B)は、振動治具ユニットが振動側加工材を保持しているときの図である。
【0013】
振動溶着装置10の構成を図1乃至図3に基づいて説明する。
【0014】
振動溶着装置10は、振動側ユニット11と、固定側ユニット12とで構成されている。
【0015】
(振動側ユニット11)
振動側ユニット11は、振動側加工材W1を保持(クランプ)して、振動側加工材W1に振動を与えるユニットである。
【0016】
振動側ユニット11は、振動発生ユニット102と、振動伝達ユニット103と、振動治具ユニット100と、クランプ解放ユニット108等で構成されている。
【0017】
振動発生ユニット102と、振動伝達ユニット103と、振動治具ユニット100は、振動溶着装置10の架台110に設けられた支柱101の上部に防振ゴム107を介して設けられている。クランプ解放ユニット108は、支柱101に固定されている。
【0018】
防振ゴム107は、振動側ユニット11より発生した振動が振動側加工材の表面のみに伝達するようにして、振動側ユニット11と固定側ユニット12とが共振するのを防止し、振動溶着装置10が、より良い溶着動作を行えるようにするために設けられている。このため、防振ゴム107の代わりにばねを使用してもよい。
【0019】
振動発生ユニット102は、不図示の電磁石の作動によって振動を発生するようになっている。振動伝達ユニット103は、振動発生ユニット102で発生する振動を、下面に取付けられた振動治具ユニット100に、板ばね等によって伝達するようになっている。
【0020】
振動治具ユニット100は、ベース1001を有している。ベース1001は、振動伝達ユニット103の下面に、取付け孔1006を貫通するボルト等で固定されている。ベース1001の下面には、振動側加工材W1を固定する加工材固定ブロック1005がボルト等によって固定されている。
【0021】
図1に示すように、加工材固定ブロック1005は、振動側加工材W1を受け入れるため、コの字状に配置された端部片1005Aと1対の側部片1005Bとを有している。また、加工材固定ブロック1005には、クランプ解放ユニット108に回転させられて振動側加工材W1を振動方向(矢印V方向)に押圧するクランプレバー1003と、クランプレバーを回転支持する軸1008及びブッシュ1004とが設けられている。さらに、加工材固定ブロック1005の突片1007とクランプレバー1003との間には、加工部材同士を振動溶着するとき、クランプレバー1003に、図4(B)において矢印A方向の回転力を加えるスプリング1002が設けられている。
【0022】
図3に示すようにクランプ解放ユニット108は、支柱101にブラケット1083によって固定されている。図1に示すようにブラケット1083には、クランプ解放ステ−1082が取付けられている。クランプ解放ステー1082には、プランジャ1081が取付けられている。図4(A)において、プランジャ1081は、クランプレバー1003を矢印B方向に回転させて、振動側加工材W1の保持を解放するクランプ解放用のプランジャである。
【0023】
クランプレバー1003と加工材固定ブロック1005とスプリング1002は、振動側加工材W1を振動治具ユニット100に保持する保持機構13を構成している。保持機構13とプランジャ1081は、クランプ装置14を構成している。
【0024】
以上の構成において、振動治具ユニット100及びクランプ解放ユニット108は、基本的に部品加工性、剛性、手扱い時の防錆性を考慮してSUS製である。また、スプリング1002、ブッシュ1004、及びプランジャ1081は、市販品を使用した。各々の材質は、これに限定されることなく、振動溶着装置10の振動方向の各部品にかかる衝撃力に耐えられる材質であれば良い。
【0025】
(固定側ユニット12)
固定側ユニット12は、振動側ユニット11の下方に配置されている。固定側ユニット12は、固定治具ユニット104と、加圧装置106とを備えている。固定治具ユニット104は、支柱101に昇降自在に設けられて、固定側加工材W2を保持するようになっている。加圧装置106は、架台110に設けられて、エアシリンダ等によって固定治具ユニット104を上昇させ、固定治具ユニット104に保持された固定側加工材W2を振動治具ユニット100に保持された振動側加工材W1に圧接させるようになっている。固定治具ユニット104は、振動溶着時に溶着エネルギのロスが少ないように、固定側加工材W2を保持する機構を有している。
【0026】
振動溶着装置10の動作を説明する。
【0027】
まず、振動溶着動作の基本プロセスを説明する。図3(A)に示すように、ユーザが、振動治具ユニット100に振動側加工材W1を保持させ、固定治具ユニット104に固定側加工材W2を保持させる。振動側加工材W1と固定側加工材W2は、熱可塑性材料である。
【0028】
次に、振動溶着装置10のスタートボタンを押す。すると、固定治具ユニット104が上昇し、振動側加工材W1に固定側加工材W2が接触する。そして、図3(B)に示す状態で、加工材同士の押圧力が、固定側ユニット12に設けられた不図示の圧力検出機構もしくは位置検出機構によって検出される。検出された押圧力が設定値に達した時点(トリガーポイント)で、振動治具ユニット100が矢印V方向に振動を開始する。振動開始後、振動治具ユニット100の振動により振動側加工材W1と固定側加工材W2の接触面に摩擦熱が生じ、互いに溶融し始める。その後、所定時間、もしくは所定量の溶融を行った後、振動治具ユニット100の振動を停止し、互いに溶着した振動側加工材W1と固定側加工材W2とを冷却する。
【0029】
最後に、振動治具ユニット100は振動側加工材W1を解放し、固定治具ユニット104は溶着の完了した振動側加工材W1と固定側加工材W2とを保持して図3(A)の位置に戻る。
【0030】
次に、振動溶着装置10の詳細な動作説明をする。
【0031】
図4は、振動溶着における振動側加工材W1の有無に伴うクランプ解放ユニット108の作動状態を示した図である。図4(A)は、振動溶着装置10の振動溶着動作の準備状態において、振動治具ユニット100に振動側加工材W1を装着できる状態の図であり、図3(A)の状態に相当する図である。
【0032】
この状態で、プランジャ1081のピストン1081Aは、矢印C方向に突出している。このため、プランジャ1081は、スプリング1002を縮めて、クランプレバー1003を矢印B方向(反時計方向)に回転させ、振動側加工材W1とクランプレバー1003との間に振動方向(矢印V方向)のクリアランスを生じさせている。このクリアランスは、加工材固定ブロック1005に振動側加工材W1を装着できる隙間である。
【0033】
図4(B)は、振動溶着装置10の振動溶着動作の準備完了状態において、振動治具ユニット100に振動側加工材W1が装着されて、加工材同士が振動溶着開始可能、及び振動溶着中の状態の図であり、図3(B)の状態に相当する図である。
【0034】
この状態では、プランジャ1081のピストン1081Aは、矢印D方向に引っ込んでいる。このため、スプリング1002が伸びて、クランプレバー1003が矢印A方向(時計方向)に回転して、振動側加工材W1の端面を振動方向に押圧し、振動側加工材W1を加工材固定ブロック1005の端部片1005Aに押圧する。同時に、振動側加工材W1は、1対の側部片1005Bによって、振動方向に対して直交する方向の規制がされる。すなわち、振動側加工材W1は、加工材固定ブロック1005に水平方向の移動を規制されて振動治具ユニット100に一体化された状態になる。このため、振動側加工材W1は、振動治具ユニット100と確実に一体に振動することができるので、振動溶着時に溶着エネルギのロスが少ない。この状態は、振動溶着開始から完了まで継続される。
【0035】
なお、クランプレバー1003を矢印A方向(時計回り方向)に回転させて、クランプレバー1003で振動側加工材W1を加工材固定ブロック1005に保持するタイミングは、図3(A)のように固定治具ユニット104が下降したときである。しかし、固定治具ユニット104が、図3(B)に示す位置まで上昇し、振動溶着を開始する直前のタイミングであっても良い。
【0036】
実際には、振動側加工材W1を振動治具ユニット100に装着してから振動溶着を開始するまでの間において、振動治具ユニット100から振動側加工材W1が落下するのを配慮する必要がある。このため、振動側加工材W1は、固定側加工材W2上部に供給し、固定側加工材W2を保持した固定治具ユニット104が上昇して振動溶着を開始する直前に、クランプレバー1003によって加工材固定ブロック1005に保持するようにしている。
【0037】
固定治具ユニット104は、加圧装置106の押し上げ動作と支柱101の案内とによって、上昇して、固定側加工材W2を振動側加工材W1に圧接させる。その後、振動発生ユニット102が作動し、固定側加工材W2に圧接された振動側加工材W1を図3(B)、図4(B)の矢印V方向に振動させる。この結果、振動側加工材W1と固定側加工材W2は、互いの接触面に熱が発生し、互いに溶融して一体になる。
【0038】
その後、プランジャ1081が作動する。プランジャ1081は、ピストン1081Aによって、クランプレバー1003を図4(A)において、矢印B方向に回転させて、今まで保持していた振動側加工材W1を解放する。
【0039】
その後、加圧装置106が固定治具ユニット104を下降させる。固定治具ユニット104は、振動溶着によって振動側加工材W1が溶着した固定側加工材W2を保持してまま下降する。
【0040】
これによって、振動溶着装置10による一連の振動溶着動作が終了する。
【0041】
以上の説明において、構成を理解し易いように、各部の数値を示す。但し、各数値は、参考数値であって、本発明を限定するものではない。
【0042】
まず、振動溶着装置10の基本仕様は、振動の推力1000N、振幅1mm、振動周波数240Hzである。また、両加工材W1、W2の摩擦係数は0.3である。よって、各部品に必要な剛性は、上昇方向に1000N、水平方向に300Nで良い。
【0043】
次に、クランプレバー1003、スプリング1002の仕様は、上述した水平方向の力300Nより大きい力での保持力が必要である。このため、クランプレバー1003は回転中心から振動側加工材W1との接触面までの距離を40mm、回転中心からスプリング設置部までの距離を25mmとし、スプリング1002のバネ荷重は98Nとした。
【0044】
上記算出は、振動側加工材W1の外寸バラツキ幅を0.6mmに設定し、クランプ時の角度バラツキを1度〜11度で行った。また、クランプレバー1003の回転中心よりプランジャ1081との接触部までの距離は30mmとした。この距離は、長いほど弱い力でバネを押えられるがその分ストロークが長くなることを配慮する必要がある。
【0045】
次に、プランジャ1081の仕様は、上述したクランプレバー1003の仕様により推力は82N以上必要である。また、ピストン1081Aのストロークは、振動溶着中にクランプレバー1003との接触しない必要があり、図4のように振動方向に対し直角に配してあるので、次のようになる。すなわち、ストロークは、振動側加工材の外寸ばらつき幅に対応するストローク量5.8mmと振動側加工材の装着に必要なクリアランス0.3mmに相当するストローク量2.9mmとを加えた8.7mmを超えなければならない。本実施形態では上述の値に加え、各部品の組付け精度や加工精度を考慮してストローク量10mmのシリンダを選択した。
【0046】
以上の実施形態の振動溶着装置10は、振動治具ユニット100の総重量を極力少なくするため、クランプ解放ユニット108で振動側加工材W1を押圧する面を振動方向に垂直な一方の面のみにしたが、振動方向の両側の面を押圧するようにしてもよい。
【0047】
また、以上の振動溶着装置10は、回転するクランプレバー1003によって、振動側加工材W1を保持するようになっているが、図5に示すように、直線移動する移動レバー2003によって、振動側加工材W1を保持してもよい。
【0048】
図5(A)は、振動溶着準備状態の図である。図5(B)は振動溶着準備完了状態の図である。スプリング2002、移動レバー2003及びプランジャ1081は、動作方向が全て振動方向(矢印V方向)と同一方向になるように配設されている。そして、スプリング2002と移動レバー2003は図1の振動治具ユニット100に設けられているものとする。また、プランジャ1081は支柱101に設けられているものとする。
【0049】
図5(A)の状態において、プランジャ1081のピストン1081Aは、矢印E方向に突出して、スプリング2002に抗して移動レバー2003を加圧材固定ブロック1005から遠ざけて、振動溶着装置を振動溶着準備状態にしている。この状態において、加圧材固定ブロック1005に振動側加工材W1が装着される。
【0050】
図5(B)の状態において、プランジャ1081のピストン1081Aは、矢印F方向に引っ込んでいる。このため、移動レバー2003は、スプリング2002に押されて、振動側加工材W1を加圧材固定ブロック1005の端部片1005Aに押圧して、振動溶着装置を振動溶着準備完了状態にしている。この状態において、振動側加工材W1に固定側加工材W2が振動溶着される。
【0051】
以上の構成において、移動レバー2003と加工材固定部材1005とスプリング2002は、振動側加工材W1を振動治具ユニットに保持する保持機構113を構成している。保持機構113とプランジャ1081は、クランプ装置114を構成している。
【0052】
以上、振動溶着装置10は、振動側加工材W1を保持する保持手段としての保持機構13(又は113)と、固定側加工材W2を保持して固定側加工材W2を振動側加工材W1に押圧する押圧手段としての固定側ユニット12とを備えている。さらに、振動溶着装置10は、保持機構13(又は113)を振動させる振動手段としての振動発生ユニット102と、保持機構13(又は113)が振動側加工材W1を保持している状態を解除する解除手段としてのプランジャ1081とを備えている。そして、保持機構13(又は113)は、弾性部材としてのスプリング1002(又は2002)と、スプリングによって振動側加工材W1を押圧する押圧部材としてのクランプレバー1003(又は移動レバー2003)とを有している。さらに、保持機構13(又は113)は、クランプレバー1003(又は移動レバー2003)に押圧された振動側加工材W1を受け止める受け止め部材としての加工材固定ブロック1005を有している。また、プランジャ1081は、通常、クランプレバー1003(又は移動レバー2003)から離れている。プランジャ1081は、振動側加工材W1を保持機構13(又は113)から解放させるとき、クランプレバー1003(又は移動レバー2003)に作用する。そして、プランジャ1081は、スプリング1002(又は2002)に抗してクランプレバー1003(又は移動レバー2003)を振動側加工材W1から離間させる。
【0053】
このため、振動溶着装置10は、振動側加工材W1をクランプレバー1003(又は移動レバー2003)で加工材固定ブロック1005に押圧して保持するようになっているので、振動伝達時のエネルギロスを低減することができる。また、振動側加工材W1に傷を付けることを少なくすることができる。
【0054】
また、本発明の振動溶着装置10は、プランジャ1081が、通常、クランプレバー1003(又は移動レバー2003)から離れているので、振動側加工材W1に振動を加えているとき、その振動によってプランジャが振動側加工材を解除するようなことがない。
【0055】
本発明の振動溶着装置10における保持機構13(又は113)と振動発生ユニット102は、防振部材としての防振ゴム107を介して固定部材としての支柱101に支持されている。
【0056】
このため、振動溶着装置10は、振動発生ユニット102の振動が固定側ユニット12に伝わることがなく、振動発生ユニット102と固定側ユニット12との共振を防止して、振動溶着を正確に行うことができる。
【0057】
本発明の振動溶着装置10において、クランプレバー1003(又は移動レバー2003)が振動側加工材W1を受け止め部材に押し付ける方向は、保持機構13(又は113)の振動方向と同じ方向である。
【0058】
このため、振動溶着装置10は、振動側加工材W1を確実に保持することができて、振動側加工材W1と固定側加工材W2と振動溶着を確実に行うことができる。
【0059】
本発明の振動溶着装置10において、クランプレバー1003は、スプリング1002によって振動側加工材W1を押圧する方向に回転自在になっている。
【0060】
このため、振動溶着装置10は、プランジャ1081の作動力を回転するクランプレバー1003によって拡大することができて、クランプレバー1003と加工材固定ブロック1005とで振動側加工材W1を確実に保持することができる。
【符号の説明】
【0061】
W1…振動側加工材、W2…固定側加工材、V…振動側加工材の振動方向、10…振動溶着装置、11…振動側ユニット、12…固定側ユニット(押圧手段)、13…保持機構(保持手段)、100…振動治具ユニット、101…支柱(固定部材)、102…振動発生ユニット(振動手段)、106…加圧装置、107…防振ゴム(防振部材)、113…保持機構(保持手段)、1002…スプリング(弾性部材、保持手段)、1003…クランプレバー(保持手段、押圧部材)、1005…加工材固定ブロック(保持手段、受け止め部材)、1081…クランプ解放用プランジャ(解除手段)、2002…スプリング(弾性部材、保持手段)2003…移動レバー(保持手段、押圧部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動側加工材と固定側加工材とを圧接した状態で、前記振動側加工材を振動させて、前記振動側加工材と前記固定側加工材とを溶着する振動溶着装置において、
前記振動側加工材を保持する保持手段と、
前記固定側加工材を保持して前記固定側加工材を前記振動側加工材に押圧する押圧手段と、
前記保持手段を振動させる振動手段と、
前記保持手段が前記振動側加工材を保持している状態を解除する解除手段と、を備え、
前記保持手段は、弾性部材と、前記弾性部材によって前記振動側加工材を押圧する押圧部材と、前記押圧部材に押圧された前記振動側加工材を受け止める受け止め部材とを有し、
前記解除手段は、通常、前記押圧部材から離れており、前記振動側加工材を前記保持手段から解放させるとき、前記押圧部材に作用し、前記弾性部材に抗して前記押圧部材を前記振動側加工材から離間させる、
ことを特徴とする振動溶着装置。
【請求項2】
前記保持手段と前記振動手段は、防振部材を介して固定部材に支持されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動溶着装置。
【請求項3】
前記押圧部材が前記振動側加工材を前記受け止め部材に押し付ける方向は、前記保持手段の振動方向と同じ方向である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の振動溶着装置。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記弾性部材によって前記振動側加工材を押圧する方向に回転自在なクランプレバーである、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動溶着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−156570(P2011−156570A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21161(P2010−21161)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】