説明

振動篩装置及びその運転方法

【課題】本発明は、分級した粉体を確実に回収できるとともに簡単な構造の振動篩装置及びその運転方法を提供する。
【解決手段】本発明の振動篩装置10によれば、篩本体44、上部シュート46、及び下部シュート48によって構成され、篩本体44に取り付けられたボールバイブレータ54によって発生している振動を、シリコンゴム製の上部シュート46及び下部シュート48によって吸収することにより、エアチューブ28及び保管容器16に振動が伝達するのを阻止する。そして、篩本体44の篩網52によって振るい落とされた粉体を、その下方に直結された下部シュート48を通過させることにより鉛直線に沿って落下させ保管容器16に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動篩装置及びその運転方法に係り、特に医薬品固形製剤工場に設置され、造粒装置によって製造された医薬粒状物を篩にかける振動篩装置及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬製剤の顆粒剤製造工程は、一般に、製剤の原料粉体に結合剤溶液を添加して攪拌することにより造粒する造粒工程、造粒された粒状物を乾燥させる乾燥工程、粒状物を整粒する整粒工程、整粒された粒状物を細粉と大径粒子(以下、「ダマ」と称する)とに分級する分級工程等を経て製造され、錠剤については、その後、細粉を圧縮して形状を形成する打錠工程を経て製造される。造粒装置としては、高速攪拌羽根により原料粉体と結合剤溶液を混合する高速混合攪拌造粒装置が知られており、乾燥装置としては流動層乾燥機が知られ、更にまた、分級装置としては、特許文献1に開示された振動篩装置が知られている。
【0003】
特許文献1の振動篩装置は、篩網を有する篩本体がスプリングを介してベースに立設されるとともに、モータにより回転されるアンバランスウエイトによって篩本体に周方向の旋回振動を発生させる装置である。この振動により、篩網に供給された粒状物が細粉とダマとに分級され、分級された粉体が、篩本体に対し下方に傾斜配置されたシュートを介して容器に回収される。一方でアンバランスウエイトによって発生された振動は、前記スプリングにより吸収され、前記ベースに振動が伝達するのを阻止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−7825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の振動篩装置は、分級した粉体を、篩本体に対し下方に傾斜配置されたシュートを介して容器に摺動落下させる装置なので、シュートに粉体が付着したまま残存する場合があり、よって、分級した粉体を確実に回収できないという不具合があった。また、特許文献1の振動篩装置は、振動を吸収するスプリングやシュートを別個に備えているため部品点数が多く、これにより、解体による洗浄作業に手間がかかるという欠点もあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、分級した粉体を確実に回収できるとともに簡単な構造の振動篩装置及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、振動機によって振動されている篩網に粒状物を供給し、粒状物のうち所定の粒径以下の粒状物を容器に振るい落とす振動篩装置において、前記振動篩装置は、前記篩網及び前記振動機が取り付けられた筒状の篩本体と、前記篩本体の上部開口部にその下部開口部が連結されるとともに、その上部開口部が前記粒状物の供給管に連結され、前記振動機の振動を吸収する弾性部材によって作られた上部シュートと、前記篩本体の下部開口部にその上部開口部が連結されるとともに、その下部開口部が前記容器の供給口に連結され、前記振動機の振動を吸収する弾性部材によって作られた下部シュートと、を備え、前記容器の供給口の周囲には、リング状に形成されてその内周面に複数の吸引孔が所定の間隔で形成された筒状の吸引部材が取り付けられるとともに、該吸引部材には吸引手段が連結され、該吸引手段が駆動されることにより、前記容器の供給口から外部に飛散する粒状物及び/又は粉状体が前記吸引部材から吸引されることを特徴とする振動篩装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、篩本体、上部シュート、及び下部シュートの3部材によって振動篩装置を構成し、篩本体に取り付けられた振動機によって発生している振動を、弾性部材の上部シュート及び下部シュートによって吸収することにより、粒状物の供給管及び容器に振動が伝達するのを阻止した。そして、篩本体の篩網によって振るい落とされた粉体(所定の粒径以下の粒状物)を、その下方に直結された下部シュートを通過させることにより鉛直線に沿って落下させ容器に回収する。すなわち、本発明は、容器に粉体を落下させる下部シュートを鉛直線に沿って配置したので、下部シュートに粉体が付着するのを阻止することができ、よって粉体を確実に回収することができる。そして、下部シュートを振動吸収体として兼用したので、部品点数が削減して簡単な構造となり、洗浄性も向上する。
【0009】
容器に回収された粉体が容器に満杯になると、空の容器に交換される。この際、振動篩装置は容器から取り外されるが、容器の交換時において、容器の供給口から粉塵(粒状物及び/又は粉状体)が外気に飛散するのを防止する必要がある。この課題を解消するために、本発明では、容器の供給口の周囲に吸引部材を取り付け、振動篩装置を容器の供給口から取り外したときに、吸引手段を駆動して容器の供給口から外部に飛散する粉塵を吸引部材の吸引孔から吸引した。これにより、粉塵が大気へ飛散するのを防止できる。吸引した粉塵は、吸引部材と吸引手段とを連結する吸引チューブに設けられたHEPAフィルタによって除去できる。
【0010】
また、本発明は、前記目的を達成するために、振動機によって振動されている篩網に粒状物を供給し、粒状物のうち所定の粒径以下の粒状物を容器に振るい落とす振動篩装置において、前記振動篩装置は、前記篩網及び前記振動機が取り付けられた筒状の篩本体と、前記篩本体の上部開口部にその下部開口部が連結されるとともに、その上部開口部が前記粒状物の供給管に連結され、前記振動機の振動を吸収する弾性部材によって作られた上部シュートと、前記篩本体の下部開口部にその上部開口部が連結されるとともに、その下部開口部が前記容器の供給口に連結され、前記振動機の振動を吸収する弾性部材によって作られた下部シュートと、を備え、前記振動機は、圧縮エアを供給することにより振動を生成するエア式バイブレータであり、前記容器の供給口の周囲には、リング状に形成されてその内周面に複数の吸引孔が所定の間隔で形成された筒状の吸引部材が取り付けられ、前記吸引部材の吸引用チューブは、その途中部において前記エア式バイブレータの排気用チューブに開閉バルブを介して連通され、該開閉バルブが開放された際に生じる排気用チューブに流れる圧縮エアの巻き込み作用によって、吸引部材の吸引孔から外気が吸引用チューブに吸引され、前記容器の供給口から外部に飛散する粒状物及び/又は粉状体が吸引用チューブに吸引されることを特徴とする振動篩装置を提供する。
【0011】
吸引部材の吸引手段として、エア式バイブレータの排気エアを有効利用することにより、吸引手段を別個設ける必要がなくなり、イニシャルコスト及びランニングコストを抑えることができる。すなわち、吸引部材の吸引用チューブを、その途中部においてエア式バイブレータの排気用チューブに開閉バルブを介して連通する。そして、開閉バルブを開放した際に生じる排気用チューブに流れる圧縮エアの巻き込み作用(エジェクタ効果)によって、吸引部材の吸引孔から外気を吸引用チューブに吸引し、容器の供給口から外部に飛散する粉塵を吸引用チューブに吸引する。この吸引用チューブに末端部にHEPAフィルタを連結することにより、吸引した粉塵をHEPAフィルタによって除去できる。
【0012】
本発明の振動篩装置においては、前記容器の供給口には、粉体中に混在する金属粉を除去する金属除去装置が設けられていることが好ましい。
これにより、振動篩装置によって分級された粉体中に混在する金属粉を、容器に貯留される直前で除去することができる。
【0013】
本発明の振動篩装置においては、前記振動篩装置の前記上部シュートと前記粒状物の供給管との間に、サイクロン及び/又はバグフィルタが設けられたことが好ましい。
【0014】
粒状物は空気輸送装置によって振動篩装置に搬送されるため、振動篩装置の上部シュートと粒状物の供給管との間にサイクロン及び/又はバグフィルタを設けることにより、空気輸送用の圧縮エアと粒状物とを分離して、粒状物のみを振動篩装置に供給することができる。また、バグフィルタのろ布によって、排気エア中に残存する微細な粉塵を除去できるので、排気エアを大気に排出する場合には好適となる。
【0015】
本発明の振動篩装置においては、前記上部シュート及び前記下部シュートは、シリコンゴム製であることが好ましい。
【0016】
上部シュート及び下部シュートを、表面が滑らかなシリコンゴム製とすることにより、粉体が付着し難くなり、また、洗浄性も向上する。
【0017】
本発明は、前記目的を達成するために、本発明の振動篩装置の吸引手段は、前記振動篩装置を前記容器の供給口から取り外される際に駆動され、開放された前記供給口が蓋部材によって遮蔽されると停止されることを特徴とする振動篩装置の運転方法を提供する。
【0018】
本発明の吸引手段は、振動篩装置を容器の供給口から取り外される際に駆動され、開放された供給口が蓋部材によって遮蔽されると停止される。すなわち、吸引手段は、容器の供給口から粉塵が外部に飛散する虞のある場合のみ駆動される。
【0019】
本発明は、前記目的を達成するために、本発明の振動篩装置の開閉バルブは、前記振動篩装置を前記容器の供給口から取り外される際に開放され、開放された前記供給口が蓋部材によって遮蔽されると閉鎖されることを特徴とする振動篩装置の運転方法を提供する。
【0020】
本発明の開閉バルブは、振動篩装置を容器の供給口から取り外される際に開放され、開放された供給口が蓋部材によって遮蔽されると閉鎖される。すなわち、開閉バルブは、容器の供給口から粉塵が外部に飛散する虞のある場合のみ開放される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る振動篩装置によれば、篩本体、上部シュート、及び下部シュートの3部材によって振動篩装置を構成し、篩本体に取り付けられた振動機によって発生されている振動を、弾性部材の上部シュート及び下部シュートによって吸収することにより、粒状物の供給管及び容器に振動が伝達するのを阻止し、そして、篩本体の篩網によって振るい落とされた所定の粒径以下の粒状物を、その下方に直結された下部シュートを通過させることにより鉛直線に沿って落下させ容器に回収するので、粉体を確実に回収することができ、かつ部品点数が削減して簡単な構造となる。また、本発明は、吸引部材が設けられているので、満杯となった容器を空の容器に交換する時に、満杯となった容器からの粉塵が大気へ飛散するのを防止できる。
【0022】
また、本発明に係る振動篩装置の運転方法によれば、容器の供給口から粉塵が外部に飛散する虞のある場合のみ吸引手段を駆動し、開閉バルブを開放するようにしたので、容器に溜まった粉体を吸引部材によって吸引するというエラーな運転を防止でき、容器の交換時における容器の供給からの粉塵の飛散を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態の振動篩装置が顆粒剤製造装置に適用された例を示す斜視図
【図2】図1に示した振動篩装置及び保管容器の縦断面図
【図3】図1に示した振動篩装置の組み立て斜視図
【図4】マグネットユニットの取付例を示す要部縦断面図
【図5】図4に示したマグネットユニットの組立斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下添付図面に従って、本発明に係る振動篩装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0025】
図1は、実施の形態の振動篩装置10が顆粒剤製造装置12に適用された例を示す斜視図である。同図に示す顆粒剤製造装置12は、流動層乾燥機14によって乾燥された医薬粒状物を振動篩装置10に供給し、振動篩装置10にて粉体(所定の粒径以下の粒状物)とダマとを分級し、分級した粉体を、振動篩装置10に接続された保管容器(容器)16に保管する装置である。
【0026】
なお、図示していないが、流動層乾燥機14の上流側には、製剤の原料粉体と結合剤溶液とを攪拌して造粒する造粒装置が設置され、この造粒装置によって造粒された粒状物が流動層乾燥機14に供給されて乾燥される。
【0027】
流動層乾燥機14は、粒状物をバッチ式により乾燥させる装置であり、円筒状に形成された乾燥機本体18の側面に粒状物の供給口20が形成される。この供給口20から乾燥機本体18に供給された、水分を多く含む粒状物は、乾燥機本体18の底部から供給される空調エアによって掻き混ざられながら乾燥される。空調エアとしては例えば80°C、湿度25%に空調されたエアであり、この空調エアは乾燥機本体18とは別個に設けられた空調機によって生成されて供給される。
【0028】
なお、流動層乾燥機14において、符号22は、粒状物の乾燥状態を作業者が目視にて観察するための観察窓であり、符号24は、流動層乾燥機14の運転時間等をコントロールする操作盤である。この流動層乾燥機14は、乾燥機本体18の下部に取り付けたキャスタ15、15…によって走行移動され、工場内の所望の位置に設置される。
【0029】
流動層乾燥機14によって乾燥された粒状物は、振動篩装置10側に設置された吸引ファン26を駆動することにより、流動層乾燥機14からエアチューブ(粒状物の供給管)28を介して振動篩装置10側に空気輸送される。
【0030】
振動篩装置10側に空気輸送された粒状物は、振動篩装置10の上部に設置されたサイクロン30に供給され、ここで空気輸送に供した圧縮エアと粒状物とが分離される。圧縮エアは、吸引ファン26によって吸引され、サイクロン30の上部に設置されたバグフィルタ32に導入される。バグフィルタ32は、図2に示すように複数のろ布34、34…が仕切板36に仕切られた状態で吊り下げ支持されており、これらのろ布34、34…に前記圧縮エアが通過することにより、圧縮エア中の粉塵(薬塵)がろ布34、34…によって除去される。粉塵が除去された圧縮エア、すなわち、排気エアは、ダクト38を介して吸引ファン26に吸引され大気に放出される。
【0031】
サイクロン30によって分離された粒状物は、サイクロン30の下端部に設けられたバルブ40を閉鎖することにより、サイクロン30のホッパ部31に溜められる。そして、一定量溜められた後にバルブ40が開放されることによって、溜められた粒状物は、ホッパ状のシュート42を介して振動篩装置10に供給される。
【0032】
振動篩装置10は、図3に示すように、略筒状に形成された篩本体44、筒状に形成された上部シュート46、及び略筒状に形成された下部シュート48から構成される。
【0033】
篩本体44は、金属製の筒部本体50、ステンレス製の篩網52、及びボールバイブレータ(振動機:エア式バイブレータ)54等から構成される。篩網52は、粒状物を粉体とダマとに分級するものであり、円盤状に形成されて外周部が筒部本体50の内周部に隙間なく密着されている。
【0034】
ボールバイブレータ54は、その本体部56が篩本体44のフランジ部58に固定されている。ボールバイブレータ54は、中空に形成された本体部56に圧縮エアを供給することにより、本体部56に封入した鋼製ボールを本体部56に形成されたレールに沿って高速回転させ、強力な遠心力振動を発生するバイブレータである。よって、本体部56には、圧縮エアを供給する供給用チューブ60と排気用チューブ62とが接続され、供給用チューブ60を介してコンプレッサ(不図示)からの圧縮エアが本体部56に供給され、振動に供した圧縮エアが排気用チューブ62を介して排気される。
【0035】
なお、実施の形態では、振動機としてボールバイブレータ54を適用したが、これに限定されるものではなく、篩本体44の篩網52に粉体とダマとを分級するだけの十分な振動を与えることができる振動機であればよい。
【0036】
上部シュート46は円筒状に形成されており、篩本体44を密閉する蓋部64の中央に形成された連結管部66に、その下部開口端68が嵌入され、また、上部開口端70が、シュート42の連結管部72に嵌入される。このように嵌入された下部開口端68及び上部開口端70は、不図示のバンド部材によって連結管部66及び連結管部72に嵌着され、その嵌着部において気密が維持されている。これにより、上部シュート46の上部及び下部の連結部における粒状物の洩れが防止されている。
【0037】
また、上部シュート46は、シリコンゴム製であり、ボールバイブレータ54による振動を吸収し、シュート42に振動が伝達するのを阻止する機能を有している。なお、上部シュート46の材質は、シリコンゴムに限定されるものではなく、ボールバイブレータ54の振動を吸収できる材質(例えば、天然ゴム)であればよい。
【0038】
下部シュート48は、シリコンゴム製の筒部本体74を有している。この筒部本体74の径は、篩本体44の径と同等或いは若干量大きめに形成され、篩網52によって振るい落とされた粉体が筒部本体74の内周面に直接当たらないような大きさに形成されている。また、筒部本体74の上縁部にはフランジ部76が一体形成され、このフランジ部76には、ボルト78の挿通孔80、80…が所定の間隔をもって複数形成されている。ボルト78は、篩本体44のフランジ部58に形成された挿入孔82、82…から挿通孔80、80…に挿入され、そして、フランジ部76の下面に支持された不図示の押さえリングのねじ孔にねじ込まれる。
【0039】
これにより、篩本体44の下部鉛直線上に下部シュート48が連結され、また、ボルト78のねじ込みによって生じた軸力によってシリコンゴム製のフランジ部76が弾性変形し、その復元力によってフランジ部58に密着される。したがって、篩本体44と下部シュート48とが気密が維持された状態で連結されるので、篩本体44と下部シュート48の連結部における粉体の洩れが防止される。
【0040】
更に、筒部本体74の下縁部にはフランジ部84が一体形成されている。このフランジ部84の上面には、ボルト86の挿通孔88、88…が所定の間隔をもって複数形成された押さえリング90が載置されている。ボルト86は、押さえリング90に形成された挿通孔88、88…から、フランジ部84に形成された不図示の挿入孔に挿入される。そして、ボルト86は、保管容器16の上面に開口された供給口92の周囲に形成されているねじ孔94にねじ込まれる。
【0041】
これにより、篩本体44の下部鉛直線上に下部シュート48を介して保管容器16の供給口92が連結され、また、ボルト86のねじ込みによって生じた軸力によってシリコンゴム製のフランジ部84が弾性変形し、その復元力によって保管容器16の供給口92周りの上面部96に密着される。したがって、下部シュート48と保管容器16とが、気密が維持された状態で連結されるので、下部シュート48と保管容器16の連結部における粉体の洩れが防止される。
【0042】
なお、下部シュート48の材質は、シリコンゴムに限定されるものではなく、ボールバイブレータ54の振動を吸収し、保管容器16に伝達させない材質(例えば、天然ゴム)であればよい。また、保管容器16は、保管容器16の下部に取り付けたキャスタ17、17…によって走行移動され、工場内の所望の位置に設置される。更にまた、保管容器16に溜められた粉体は、保管容器16の下部に設けられたバルブ19を開放することにより、保管容器16から排出される。
【0043】
一方、保管容器16の供給口92の周囲には、吸引部材98が取り付けられている。この吸引部材98は、供給口92を囲むようにリング状に形成されるとともに、内周面に複数の吸引孔100、100…が所定の間隔で形成されている。また、吸引部材98は、図2の如く内部が空洞の筒状体であり、その空洞部に吸引用チューブ102が接続されている。この吸引用チューブ102は、保管容器16の外部に配設されるとともに、図1の如くボールバイブレータ54の排気用チューブ62に開閉バルブ104を介してその中途部が連通されている。また、吸引用チューブ102の末端部は、HEPAフィルタ106が内蔵された除埃ボックス108に接続されている。
【0044】
また、吸引部材98の下部には、金属除去装置であるマグネットユニット112が取り付けられている。このマグネットユニット112は、供給口92において所定間隔をもって配設された4本の棒磁石114、114…から構成される。よって、振動篩装置10によって分級された粉体は、棒磁石114、114…の間の隙間を通過して保管容器16に落下する。この通過の際に、粉体中に混在されている金属粉が棒磁石114、114…の磁力によって吸着されて除去される。したがって、振動篩装置10によって分級された粉体中に混在する金属粉を、保管容器16に貯留される直前で除去することができる。また、ステンレス製の篩網52をボールバイブレータ54によって振動させる振動篩装置10の下流側に、このようなマグネットユニット112を設けることは、篩網52のほつれも確実に除去することができるので、特に有効である。
【0045】
次に、前記の如く構成された振動篩装置10の作用について説明する。
【0046】
振動篩装置10に供給された乾燥粒状物は、ボールバイブレータ54によって振動されている篩網52によって粉体とダマとに分級され、分級された粉体は、篩本体44の下方に直結された下部シュート48を通過し、鉛直線に沿って落下して保管容器16に溜められる。すなわち、実施の形態の振動篩装置10は、保管容器16に粉体を落下させる下部シュート48を鉛直線に沿って配置したので、下部シュート48に粉体が付着するのを阻止することができ、よって粉体を確実に回収することができる。そして、下部シュート48を振動吸収体として兼用したので、部品点数が削減して簡単な構造となり、洗浄性も向上する。
【0047】
一方で、実施の形態では、振動篩装置10の上部シュート46と空気輸送装置のエアチューブ28との間に、サイクロン30とバグフィルタ32とを設けている。粒状物は空気輸送装置によって振動篩装置10に搬送されるため、振動篩装置10の上部シュート46とエアチューブ28との間にサイクロン30とバグフィルタ32とを設けることにより、空気輸送用の圧縮エアと粒状物とを分離して、粒状物のみを振動篩装置10に供給することができる。また、バグフィルタ32のろ布34によって、排気エア中に残存する微細な薬塵を除去できるので、排気エアを大気に排出することができる。
【0048】
また、振動篩装置10上部シュート46及び下部シュート48は、表面が滑らかなシリコンゴム製であるため、粉体が付着し難くなり、また、洗浄性も向上する。
【0049】
ところで、保管容器16に回収された粉体が保管容器16に満杯になると、空の保管容器16に交換される。この際、振動篩装置10はボルト86を外して保管容器16から取り外されるが、保管容器16の交換時において、保管容器16の供給口92から薬塵(粒状物及び/又は粉状体)が外気に飛散するのを防止する必要がある。
【0050】
この課題を解消するために、実施の形態では、容器の供給口の周囲に吸引部材98を取り付け、振動篩装置10を保管容器の供給口92から取り外したときに、吸引手段を駆動して保管容器の供給口92から外部に飛散する薬塵を吸引部材98の吸引孔100、100…から吸引する。これにより、粉塵が大気へ飛散するのを防止できる。吸引した薬塵は、HEPAフィルタ106によって除去できる。
【0051】
吸引部材98の吸引手段として、図1の如くボールバイブレータ54の排気エアを有効利用することにより、吸引手段を別個設ける必要がなくなり、イニシャルコスト及びランニングコストを抑えることができる。図1の如く、吸引部材98の吸引用チューブ102を、その途中部においてボールバイブレータ54の排気用チューブ62に開閉バルブ104を介して連通している。そして、振動篩装置10を保管容器16の供給口92から取り外したときに、開閉バルブ104を開放し、排気用チューブ62からの排気エアを吸引用チューブ102に流す。これによって生じるエジェクタ効果により、吸引部材98の吸引孔100、100…から外気が吸引用チューブ102に吸引される。したがって、保管容器16の供給口92から外部に飛散する薬塵が吸引用チューブ102に吸引されてHEPAフィルタ106に捕集される。なお、開閉バルブ104は、振動篩装置10を保管容器16の供給口92から取り外される際に開放され、開放された供給口92が不図示の蓋部材によって遮蔽されると閉鎖される。すなわち、開閉バルブ104は、保管容器16の供給口92から薬塵が外部に飛散する虞のある場合のみ開放される。
【0052】
また、前記エジェクタ効果を利用することなく、図2の二点鎖線で示すように吸引用チューブ102を除埃ボックス108に直結し、吸引ファン(吸引手段)110によって吸引するように構成してもよい。吸引ファン110は、振動篩装置10を保管容器16の供給口92から取り外される際にのみ駆動される。
【0053】
なお、吸引部材98を設けることは薬塵の外部飛散を防止することで有効に機能するが、吸引部材98は必ずしも設ける必要はない。
【0054】
一方、供給口92を通過した粉体は、マグネットユニット112の棒磁石114、114…間の隙間を通過することにより、混在している金属粉が棒磁石114、114…の磁力によって吸着されて除去される。
【0055】
図4、図5は、保管容器16の供給口92に対するマグネットユニット112の取付例を示した断面図、及び斜視図である。マグネットユニット112の同径の4本の棒磁石114、114…は、2枚の支持板116、116によって所定の間隔が保持された状態で固定される。前記所定の間隔は、棒磁石114、114…間において粉体のブリッジ発生を防止するために棒磁石114の径よりも大きめに設定されている。
【0056】
支持板116、116によって間隔が保持された棒磁石114、114…は、供給口92に固定される円筒状支持管118によって供給口92に取り付けられる。この支持管118の上部には、外側に張り出されたフランジ部120が形成され、フランジ部120には、貫通孔122、122…が所定の間隔で形成される。これらの貫通孔122、122…にボルト86を挿入することによって、図4の如くフランジ部120が、下部シュート48のフランジ部84と保管容器160の上面部96とによって挟圧保持される。これにより、支持管118が供給口92に固定される。
【0057】
支持管118の下部には、内側に張り出されたフランジ部124が形成され、このフランジ部124に支持板116、116が載置される。これによって、マグネットユニット112が支持管118を介して保管容器16の供給口92に取り付けられる。マグネットユニット112を通過した粉体は、支持管118の下部開口部126を介して保管容器16に落下される。
【0058】
なお、フランジ部124に粉体が付着しないように、フランジ部124を可能な限り傾斜形成してもよく、網で構成してもよい。
【0059】
また、マグネットユニット112の棒磁石114の本数は4本に限定されるものではなく複数本であればよい。また、支持板116の枚数も2枚に限定されるものではなく複数枚であればよい。更には、このようなマグネットユニット112を上下に多段積み重ねたような構成のマグネットユニットを適用してもよい。この場合、上下に位置する棒磁石114の配置位置を所定量ずらし、上下に配置される複数本の棒磁石114を千鳥状に配置することが好ましい。
【符号の説明】
【0060】
10…振動篩装置、12…顆粒剤製造装置、14…流動層乾燥機、16…保管容器、26…吸引ファン、30…サイクロン、32…バグフィルタ、34…ろ布、44…篩本体、46…上部シュート、48…下部シュート、52…篩網、54…ボールバイブレータ、60…供給用チューブ、62…排気用チューブ、98…吸引部材、100…吸引孔、102…吸引用チューブ、104…開閉バルブ、106…HEPAフィルタ、108…除埃ボックス、112…マグネットユニット、114…棒磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動機によって振動されている篩網に粒状物を供給し、粒状物のうち所定の粒径以下の粒状物を容器に振るい落とす振動篩装置において、
前記振動篩装置は、
前記篩網及び前記振動機が取り付けられた筒状の篩本体と、
前記篩本体の上部開口部にその下部開口部が連結されるとともに、その上部開口部が前記粒状物の供給管に連結され、前記振動機の振動を吸収する弾性部材によって作られた上部シュートと、
前記篩本体の下部開口部にその上部開口部が連結されるとともに、その下部開口部が前記容器の供給口に連結され、前記振動機の振動を吸収する弾性部材によって作られた下部シュートと、を備え、
前記容器の供給口の周囲には、リング状に形成されてその内周面に複数の吸引孔が所定の間隔で形成された筒状の吸引部材が取り付けられるとともに、該吸引部材には吸引手段が連結され、該吸引手段が駆動されることにより、前記容器の供給口から外部に飛散する粒状物及び/又は粉状体が前記吸引部材から吸引されることを特徴とする振動篩装置。
【請求項2】
振動機によって振動されている篩網に粒状物を供給し、粒状物のうち所定の粒径以下の粒状物を容器に振るい落とす振動篩装置において、
前記振動篩装置は、
前記篩網及び前記振動機が取り付けられた筒状の篩本体と、
前記篩本体の上部開口部にその下部開口部が連結されるとともに、その上部開口部が前記粒状物の供給管に連結され、前記振動機の振動を吸収する弾性部材によって作られた上部シュートと、
前記篩本体の下部開口部にその上部開口部が連結されるとともに、その下部開口部が前記容器の供給口に連結され、前記振動機の振動を吸収する弾性部材によって作られた下部シュートと、を備え、
前記振動機は、圧縮エアを供給することにより振動を生成するエア式バイブレータであり、前記容器の供給口の周囲には、リング状に形成されてその内周面に複数の吸引孔が所定の間隔で形成された筒状の吸引部材が取り付けられ、
前記吸引部材の吸引用チューブは、その途中部において前記エア式バイブレータの排気用チューブに開閉バルブを介して連通され、該開閉バルブが開放された際に生じる排気用チューブに流れる圧縮エアの巻き込み作用によって、吸引部材の吸引孔から外気が吸引用チューブに吸引され、前記容器の供給口から外部に飛散する粒状物及び/又は粉状体が吸引用チューブに吸引されることを特徴とする振動篩装置。
【請求項3】
前記容器の供給口には、粉体中に混在する金属粉を除去する金属除去装置が設けられていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の振動篩装置。
【請求項4】
前記振動篩装置の前記上部シュートと前記粒状物の供給管との間に、サイクロン及び/又はバグフィルタが設けられたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の振動篩装置。
【請求項5】
前記上部シュート及び前記下部シュートは、シリコンゴム製であることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の振動篩装置。
【請求項6】
請求項1に記載の振動篩装置の吸引手段は、前記振動篩装置を前記容器の供給口から取り外される際に駆動され、開放された前記供給口が蓋部材によって遮蔽されると停止されることを特徴とする振動篩装置の運転方法。
【請求項7】
請求項2に記載の振動篩装置の開閉バルブは、前記振動篩装置を前記容器の供給口から取り外される際に開放され、開放された前記供給口が蓋部材によって遮蔽されると閉鎖されることを特徴とする振動篩装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−234371(P2010−234371A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134200(P2010−134200)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【分割の表示】特願2004−146598(P2004−146598)の分割
【原出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】