説明

振込詐欺注意装置

【課題】視覚及び聴覚に対して注意喚起を行うことで振込詐欺被害の予防に役立てることができ、構成が簡便で広く普及可能な振込詐欺注意装置を提供する。
【解決手段】人間が振込詐欺注意装置10の前を横切ったり、通話をするために振込詐欺注意装置10の前に立ったりすると、赤外線センサ12によって検知され、出力制御装置14により、例えば「お金、振り込みの言葉に注意!」の文字列がディスプレイ16に表示され、スピーカ18からは「お金、振り込みの言葉に注意!」との音声出力が行われる。「お金、振り込みの言葉を聞いたら振込詐欺である。」とか、「お金、振り込みの言葉を聞いたら冷静に対処する。」などのイメージトレーニングが行われるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振込詐欺被害の防止を目的とする装置に関し、特に、イメージトレーニングを利用した振込詐欺注意装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振込詐欺対策用の背景技術としては、下記特許文献1記載の「不審会話検出装置、方法及びそれを用いた通信装置」がある。これは、振り込め詐欺等の危険性のある会話を自動で検出し、ユーザに危険を報知する不審会話検出装置を提供するもので、相手の会話の内容を単語又は文節として切りだし、各危険類型を識別するための第1類危険キーワードと比較して危険類型を推定する音声データ解析部と、その後に、その危険類型に特化してその危険類型と判定するための第2類危険キーワードを用いて、相手の会話の内容から切り出した単語又は文節を相手の意志を把握するのに必要なカテゴリーに分類して抽出し、あらかじめ登録されているその危険類型に該当する危険文章と抽出した単語又は文節を組み合わせて作成される文章とを比較し、一致する危険文章があらかじめ定めた閾値の回数出現した場合に、その会話を、特定された危険類型の会話であると判定するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-139864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した背景技術では、音声データ解析などの複雑なアルゴリズムの処理を行う必要があり、高性能のコンピュータシステムを利用しなければならない。このため、装置構成が複雑・高価となり、普及の妨げとなる。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、視覚及び聴覚に対して注意喚起を行うことで振込詐欺被害の予防に役立てることができ、構成が簡便で広く普及可能な振込詐欺注意装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、振込詐欺に対する注意を喚起するための振込詐欺注意装置であって、人間の接近を検知するセンサ手段,注意喚起のための表示を行う表示手段,注意喚起のための音声を出力する音声出力手段,前記センサ手段によって人間の接近が検知されたときに、前記表示手段及び前記音声出力手段の少なくとも一方に出力指示を行う出力制御手段,を備えたことを特徴とする。
【0007】
他の発明は、振込詐欺に対する注意を喚起するための振込詐欺注意装置であって、人間の接近を検知するセンサ手段,注意喚起のための表示を行う表示手段,注意喚起のための音声を出力する音声出力手段,電話機における通話を検出する通話検出手段,前記センサ手段によって人間の接近が検知されたときに、前記表示手段及び前記音声出力手段のうち、少なくとも音声出力手段に出力指示を行うとともに、前記通話検出手段によって通話が検出されたときに、前記音声出力手段に音声出力の停止指示を行う出力制御手段,を備えたことを特徴とする。
【0008】
主要な形態の一つは、前記電話機の通話情報を記録するメモリを備えたことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、視覚及び聴覚に対して注意喚起を行うことで振込詐欺被害の予防に役立てることができ、構成が簡便であることから広く普及可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1を示す図である。(A)は設置状態の一例を示す図,(B)は構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例2及び3の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施例1について説明する。本実施例にかかる振込詐欺注意装置10は、いずれに設置してよいが、例えば、図1(A)に示すように、テーブル100の上に置く。図示の例では、更にその上に電話機102が設置されている。
【0013】
図1(B)には、装置構成が示されている。振込詐欺注意装置10の正面側には、赤外線センサ12が設けられている。この赤外線センサ12の検知信号出力側は、出力制御装置14に接続されている。出力制御装置14は、ディスプレイ16及びスピーカ18にそれぞれ接続されている。ディスプレイ16は、図1(A)に示すように、振込詐欺注意装置10の正面側に設けられており、スピーカ18は、振込詐欺注意装置10の側面に設けられている。
【0014】
以上の各部のうち、赤外線センサ12は、人間の接近を感知するためのものである。出力制御装置14は、赤外線センサ12からの検知信号に基づいて、ディスプレイ16もしくはスピーカ18に対する出力の制御を行う機能を備えており、マイコンなどを利用してもよいし、リレー回路やスイッチング回路によって構成してもよい。
【0015】
例えば、人間が振込詐欺注意装置10の前を横切ったり、通話をするために振込詐欺注意装置10の前に立ったりすると、それが赤外線センサ12によって検知され、検知信号が出力制御装置14に出力される。すると、出力制御装置14は、ディスプレイ16に対して表示指示を行うとともに、スピーカ18に対しても出力指示を行う。これにより、例えば「お金、振り込みの言葉に注意!」の文字列がディスプレイ16に表示され、スピーカ18からは、「お金、振り込みの言葉に注意!」との音声出力が行われる。このような表示出力や音声出力は、少なくとも1回,必要があれば複数回繰り返し行われる。これにより、「お金、振り込みの言葉を聞いたら振込詐欺である。」とか、「お金、振り込みの言葉を聞いたら冷静に対処する。」などのイメージトレーニングが行われるようになる。
【0016】
振込詐欺などの犯罪を減らすためには、犯罪の発生をイメージし、どのように対応するのかを予めイメージトレーニングしておくことで、冷静に判断して対処することができ、結果的に犯罪防止に繋げることができる。振込詐欺の場合、必ず犯人が口にする言葉として、「振り込み」,「お金」が考えられる。そこで、本実施例では、上述したように、「お金、振り込みの言葉に注意!」を繰り返し表示するとともに、音声出力することとしている。すなわち、人間が振込詐欺注意装置10の前を通る度に、振込詐欺に対するイメージトレーニングが反復して行われる。
【0017】
以上のように、本実施例によれば、ディスプレイ16における表示とスピーカ18による音声とによって、視覚及び聴覚によるイメージトレーニングないし注意喚起を行うこととしたので、振込詐欺被害の予防に役立てることができる。また、構成が簡便なため、広く普及可能である。
【実施例2】
【0018】
次に、図2(A)を参照して、本発明の実施例2について説明する。図中、上述した実施例に対応するものには同一の符号を用いている。本実施例では、上述した電話機102が通話検出装置20の入力側に接続されており、通話検出装置20の出力側は出力制御装置30に接続されている。出力制御装置30の入力側には赤外線センサ12が接続されており、出力側にはディスプレイ16及びスピーカ18がそれぞれ接続されている。
【0019】
以上の各部のうち、通話検出装置20は、電話機102による通話の開始・終了を検出する機能を備えている。例えば、フックスイッチのオン・オフを検出することで、通話の開始・終了を検出している。出力制御装置30は、上述した実施例1の機能に加えて、通話検出装置20による通話検出に対応して、スピーカ18に対する出力制御を行う機能を備えている。
【0020】
本実施例では、上述した実施例1の動作に加えて、以下のような動作が行われる。電話機102によって通話を行うために振込詐欺注意装置10の前に人間が立ったりすると、それが赤外線センサ12によって検知され、検知信号が出力制御装置30に出力される。すると、出力制御装置30は、ディスプレイ16に対して上述した表示指示を行うとともに、スピーカ18に対しても出力指示を行う。これにより、「お金、振り込みの言葉に注意!」の文字列がディスプレイ16に表示され、スピーカ18からは、「お金、振り込みの言葉に注意!」との音声出力が行われる。
【0021】
このとき、通話を行うために電話機102のハンドセットが取り上げられたとすると、それが通話検出装置20によって検出され、検出信号が出力制御装置30に出力される。すると、出力制御装置30は、スピーカ18に対する出力指示を停止する。これにより、スピーカ18からの音声出力が停止し、ディスプレイ16における表示のみとなる。このように、通話の開始に伴って、スピーカ18の音声出力が停止するため、スピーカ音声によって電話機102による通話が妨げられる恐れがない。しかし、ディスプレイ16における表示は継続して行われるので、振込詐欺に対する注意喚起は行われることになる。なお、ディスプレイ16における表示は、通話終了まで継続してもよいし、予め設定した適宜の時間,あるいは適宜の表示回数で終了するようにしてもよい。
【0022】
以上のように、本実施例によれば、前記実施例と同様に、ディスプレイ16における表示とスピーカ18による音声出力とによって、視覚及び聴覚によるイメージトレーニングないし注意喚起を行うこととしたので、振込詐欺被害の予防に役立てることができる。また、通話中は音声出力を停止することとしたので、通話が妨げられる恐れもない。
【実施例3】
【0023】
次に、図2(B)を参照しながら、本発明の実施例3について説明する。図中、上述した実施例に対応するものには同一の符号を用いている。同図に示すように、本実施例の出力制御装置40にはメモリ42が接続されており、通話情報が記録・保存されるようになっている。通話情報としては、相手方の電話番号,通話の開始・終了の時刻,相手方の携帯電話の位置を示すGPS情報,通話内容など、各種の情報が考えられるが、本実施例では電話番号,通話の開始・終了の時刻,相手方の携帯電話の位置を示すGPS情報としている。
【0024】
本実施例でも、前記実施例1ないし2のイメージトレーニングないし注意喚起の動作が同様に行われる。加えて、本実施例では、電話機102で通話が行われたときに、相手方の電話番号,通話時刻,GPS情報が取得され、出力制御装置40からメモリ42に出力されて保存される。振込詐欺にあったときは、前記通話情報を捜査情報として利用することで、通話相手である詐欺犯の追跡や特定に役立てることができる。なお、必要があれば、メモリ42に記録された通話記録については、例えば、捜査当局だけがアクセス権限を有するようにアクセス制限を行うことで、プライバシーに対する保護を図るようにする。アクセス制限は、通話情報を取り出す際にパスワードを要求する,捜査当局からの電話によるアクセスに対してのみ通話情報を取り出せるようにする,通話情報をメモリ42から出力する際に捜査当局のみが解読可能な暗号として出力する,などが考えられる。
【0025】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例のディスプレイ16における表示は、点滅表示としてもよいし、文字が流れるようなテロップ表示としてもよい。表示の色も、必要に応じて適宜設定してよい。
(2)本装置を電話機と一体の構成としてもよい。また、本装置の一部を電話機と共用するようにしてもよい。例えば、ディスプレイやスピーカを電話機が備えているときは、それを利用するといった具合である。
(3)前記実施例では、注意喚起のために、文字表示と音声出力を行ったが、いずれか一方のみとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、「お金」,「振り込み」といった言葉について表示を行い、音声を出力して注意を喚起することとしたので、振込詐欺被害の予防に役立てることができる。
【符号の説明】
【0027】
10:振込詐欺注意装置
12:赤外線センサ
14:出力制御装置
16:ディスプレイ
18:スピーカ
20:通話検出装置
30:出力制御装置
40:出力制御装置
42:メモリ
100:テーブル
102:電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振込詐欺に対する注意を喚起するための振込詐欺注意装置であって、
人間の接近を検知するセンサ手段,
注意喚起のための表示を行う表示手段,
注意喚起のための音声を出力する音声出力手段,
前記センサ手段によって人間の接近が検知されたときに、前記表示手段及び前記音声出力手段の少なくとも一方に出力指示を行う出力制御手段,
を備えたことを特徴とする振込詐欺注意装置。
【請求項2】
振込詐欺に対する注意を喚起するための振込詐欺注意装置であって、
人間の接近を検知するセンサ手段,
注意喚起のための表示を行う表示手段,
注意喚起のための音声を出力する音声出力手段,
電話機における通話を検出する通話検出手段,
前記センサ手段によって人間の接近が検知されたときに、前記表示手段及び前記音声出力手段のうち、少なくとも音声出力手段に出力指示を行うとともに、前記通話検出手段によって通話が検出されたときに、前記音声出力手段に音声出力の停止指示を行う出力制御手段,
を備えたことを特徴とする振込詐欺注意装置。
【請求項3】
前記電話機の通話情報を記録するメモリを備えたことを特徴とする請求項2記載の振込詐欺注意装置。

【図1】
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【図2】
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