説明

挿入可能摩耗特徴部を有する燃焼ライナストップブロック並びに関連方法

【課題】挿入可能摩耗特徴部を有する燃焼ライナストップブロックを提供する。
【解決手段】挿入可能摩耗特徴部(78)を有するライナストップブロック(40)及び燃焼ライナストップブロック(40)に摩耗特徴部(78)を装着する方法が開示される。本方法は、一般に、ライナストップブロック(40)内に画成されるスロット(52)を拡大しキャビティ(60)を形成する段階と、キャビティ(60)内に挿入ブロック(62)を位置決めする段階と、挿入ブロック(62)に付随した少なくとも1つの摩耗特徴部(78)を設ける段階とを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、広義には、ガスタービン燃焼器の燃焼ライナストップに関し、より詳細には、挿入可能摩耗特徴部を有する燃焼ライナストップブロック及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは通常、圧縮機セクション、燃焼器セクション、及びタービンセクションを含む。圧縮機セクションは、タービンに流れる空気を加圧する。圧縮機セクションから吐出される加圧空気は、燃焼器セクションに流れ、該燃焼器セクションは、ガスタービンの軸線を中心として環状アレイで配置された複数の燃焼器によって一般に特徴付けられる。複数の燃焼器の各々は、燃焼器ライナを含み、該燃焼器ライナは、燃焼器の燃焼室を画成する。従って、各燃焼器に流入する空気は燃料と混合され、燃焼器ライナ内で燃焼される。高温の燃焼ガスが、燃焼器ライナからトランジションピースを通ってガスタービンのタービンセクションに流れて、タービンを駆動し出力を生成する。
【0003】
ガスタービン燃焼器の燃焼器ライナは通常、燃焼器の流れスリーブ内に同心状に配置され、これから半径方向内向きに離間して配置される。燃焼器ライナの前方端部は、一般に、複数の円周方向に離間したライナストップタブ(すなわち、雄ライナストップ)を備え、該ライナストップタブは、流れスリーブに、又は幾つかの実施形態では燃焼ケーシングに固定される対応する幾つかのライナストップブロック(すなわち、雌ライナストップ)と協働及び/又は嵌合する。従って、燃焼器ライナが流れスリーブに装着されると、ライナストップは、流れスリーブ内の燃焼ライナの適正な半径方向及び軸方向位置を確保し、さらに、燃焼ライナが軸方向の下流方向に(すなわち、トランジションピースに向かって)移動するのを阻止する。
【0004】
燃焼ライナストップは、一般に、燃焼器内で生じる燃焼によって生成される過酷な振動及び熱の間に燃焼ライナを支持する。多くの場合、燃焼によって生じる振動及び熱変形により、燃焼器の燃焼ライナ、流れスリーブ及び他の部品は振動し、或いは互いに対して移動するようになる。詳細には、燃焼ライナは通常、流れスリーブに対して熱的変形及び振動を生じる。従って、かかる変形及び/又は振動の結果としてライナストップ上に摩耗が生じることが多い。これはまた、ライナストップタブ及び/又はライナストップブロックの故障につながる可能性があり、これにより流れスリーブ内での燃焼ライナの位置不良、及び/又は燃焼ライナ又は流れスリーブへの損傷をもたらす結果となる。
【0005】
かかる故障を防ぐために、燃焼器のライナストップブロック全体を、ライナストップブロックとライナストップタブとの間に生じる摩耗量を低減するよう設計された硬化合金から形成することができる。しかしながら、かかるライナストップブロックを既存の燃焼器内に含めるために、既に存在するライナストップブロックを流れスリーブから取り外さなければならず、このことは幾つかの問題を提示する可能性がある。詳細には、既存のライナストップブロックの取り外しは、保守要員が流れスリーブからライナストップブロックをドリル加工で取り出すことが必要とし、これは極めて大きな労力を要し、時間を要するプロセスとなる可能性がある。その上、元のストップブロックを取り除くことにより、流れスリーブとライナストップブロックを位置合わせするために元の設計に組み込まれていた位置決め特徴部の何れかが事実上排除される。従って、新しいライナストップブロックの装着がさらに難しくなる場合が多く、ライナストップブロックの流れスリーブへの位置不良につながる可能性がある。さらに、既存のライナストップブロック及び交換のライナストップブロックは、比較的高価な合金から形成されることが多い。従って、ライナストップブロックを完全に交換すると、材料コストの増大をもたらす可能性がある。
【0006】
その結果、挿入可能摩耗特徴部を有する燃焼ライナストップブロック及びライナストップブロック内にかかる特徴部を装着するための方法は、当該技術において望ましいことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6279313号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の態様及び利点は、その一部を以下の説明に記載しており、又はその説明から自明なものとすることができ、或いは本発明を実施することにより知ることができる。
【0009】
1つの態様では、本主題は、燃焼ライナストップブロックに摩耗特徴部を装着する方法を開示する。本方法は、一般に、ライナストップブロック内に画成されるスロットを拡大しキャビティを形成する段階と、キャビティ内に挿入ブロックを位置決めする段階と、挿入ブロックに付随した少なくとも1つの摩耗特徴部を設ける段階とを含む。
【0010】
別の態様では、本主題は、燃焼器の燃焼ライナストップブロックを開示する。ライナストップブロックは、一般に、キャビティを画成する外側ブロックと、キャビティ内に配置される挿入ブロックとを含むことができる。挿入ブロックは、ライナストップブロックの嵌合部品を受けるよう構成されたチャンネルを画成する。加えて、ライナストップブロックは、挿入ブロック)に付随した少なくとも1つの摩耗特徴部を含むことができる。
【0011】
さらに別の態様では、本主題は、燃焼ケーシングと、流れスリーブと、流れスリーブ内に実質的に同心状に配列された燃焼器ライナとを含む燃焼器を開示する。燃焼器はまた、i)流れスリーブ、ii)燃焼ライナ、及びiii)燃焼ケーシングのうちの1つに固定された少なくとも1つのライナストップタブと、i)流れスリーブ、ii)燃焼ライナ、及びiii)燃焼ケーシングのうちの1つに固定された少なくとも1つのライナストップブロックとを含むことができる。ライナストップブロックは、一般に、ライナストップタブを係合するよう構成することができる。加えて、ライナストップブロックは、キャビティを画成する外側ブロックと、キャビティ内に配置された挿入ブロックと、挿入ブロックに付随した少なくとも1つの摩耗特徴部とを含むことができる。
【0012】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載から理解を深めることができるであろう。本願の一部をなす図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、本明細書と共に本発明の原理を説明するためのものである。
【0013】
本明細書では、図面を参照して、本発明について、その最良の実施形態を含めて、十分に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ガスタービン燃焼器の一実施形態の断面図。
【図2】燃焼ライナストップブロック及びライナストップタブの実施形態の斜視図。
【図3】本主題の態様による、燃焼ライナストップブロックに摩耗特徴部を装着する方法の一実施形態を示すフローチャート。
【図4】本主題の態様による、燃焼ライナストップブロック、及びライナストップブロック内に挿入できる挿入ブロックの実施形態の斜視図。
【図5】本主題の態様による、細長チャンネルを画成しライナストップブロック内に固定される挿入ブロックを詳細に示す、図4に示したライナストップブロック及び挿入ブロックの実施形態の斜視図。
【図6】本主題の態様による、挿入ブロックの実施形態に挿入することができる摩耗特徴部の実施形態の斜視図。
【図7】本主題の態様による、挿入可能摩耗特徴部を含む組み立てられた燃焼ライナストップブロックの一実施形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明するが、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は例示にすぎず、本発明を限定するものではない。実際、本発明の技術的範囲又は技術的思想から逸脱せずに、本発明に様々な修正及び変形をなすことができることは当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は説明した特徴を、別の実施形態に用いてさらに別の実施形態としてもよい。従って、本発明は、かかる修正及び変形を特許請求の範囲で規定される技術的範囲及びその均等の範囲に属するものとして包含する。
【0016】
本発明の主題は、全体的に、挿入可能摩耗特徴部を含む燃焼ライナストップブロック及びかかる摩耗特徴部をライナストップブロックに装着する方法に関する。例えば、開示のライナストップブロックは、一般に、ライナストップブロックとライナストップタブとの間で生じる摩耗の量を低減するよう構成された1以上の付随摩耗特徴部を有する挿入ブロックを含む。かかる摩耗特徴部を開示された挿入ブロックに付随させることにより、元のライナストップブロックを交換する必要性が排除される。詳細には、挿入ブロック及び付随した摩耗特徴部を受けるように構成されたキャビティを元のストップブロック内に形成することができる。これに応じて、労力及び材料コストなどのライナストップブロックの取り外しに伴うコストを排除することができる。加えて、元のライナストップブロックを利用することにより、最初の装着の間に得られた正確なライナストップブロックの位置決めを維持することができる。その上、本主題の挿入ブロックは、様々なサイズ、形状、及び/又は構成を含むライナストップブロックを有する、広範囲にわたる異なるガスタービンで使用できるように、標準サイズ及び/又は形状を有するよう構成することができる。
【0017】
ここで図面を参照すると、図1は、ガスタービン燃焼器20の一実施形態の側断面図を示している。燃焼器20は、一般に、圧縮機吐出ケーシング又は燃焼ラッパーケーシングのような、ガスタービンケーシング24の一部に固定された実質的に円筒形の燃焼ケーシング22を含むことができる。燃焼器20はまた、内部流れスリーブ26と、該流れスリーブ26内に実質的に同心状に配列された燃焼ライナ28とを含むことができる。流れスリーブ26及び燃焼ライナ28の両方は、下流側端部において、インピンジメントスリーブ30及び該インピンジメントスリーブ30内に配置されるトランジションピース32を含む、二重壁式遷移ダクトに延在することができる。しかしながら、一部のガスタービンは単一壁式遷移ダクトを含む場合がある点は理解されたい。加えて、インピンジメントスリーブ30及び流れスリーブ26は、これらの表面の一部の上に複数の空気供給孔34を備えることができ、これによりガスタービンの圧縮機セクションからの加圧空気が、燃焼ライナ28と流れスリーブ26との間で半径方向スペースに流入できるようにする。
【0018】
燃焼器20の燃焼ライナ28は、一般に、実質的に円筒形の燃焼室36を画成することができ、燃料及び空気が噴射され燃焼されて高温の燃焼ガスを生成する。加えて、燃焼ライナ28は、その下流端部でトランジションピース32に結合され、燃焼ライナ28及びトランジションピース32が一般に各燃焼器20からガスタービンのタービンセクションに流れる高温燃焼ガスの流路を画成するようにすることができる。
【0019】
燃焼ライナ28はまた、流れスリーブ26又は幾つかの実施形態では燃焼器ケーシング22に固定される1以上の雌ライナストップブロック40と嵌合又は他の方法で係合するよう構成される、1以上の雄ライナストップタブ38を含むことができる。詳細には、ライナストップタブ38は、燃焼ライナ28が燃焼器20に装着されて、流れスリーブ26内でのライナ28の適正な円周方向位置合わせを確保するようにするときに、ライナストップブロック40内に画成された細長スロット52(図2)に滑動するよう適合させることができる。加えて、ライナストップ38、40をさらに利用して燃焼ライナ28の適正な装着深さを示すと共に、燃焼器20の作動中にライナ28の回転及び/又は軸方向の移動を阻止することができる。代替の実施形態では、ライナストップタブ38は、流れスリーブ26又は燃焼ケーシング22上に配置することができ、他方、ライナストップブロック40は、燃焼ライナ28上に配置することができる点は理解されたい。
【0020】
ここで図2を参照すると、燃焼ライナストップタブ38及び燃焼ライナストップブロック40の実施形態の斜視図が示される。一般に、ライナストップブロック40は、流れスリーブ26の内側表面42に固定することができる。しかしながら、上述のように、幾つかの実施形態では、ライナストップブロック40は、燃焼ケーシング22の内側表面に固定することができる。加えて、ライナストップタブ38は、燃焼ライナ28の外側表面44に固定することができる。ライナストップブロック40及びライナストップタブ38は、当該技術分野で公知の好適な手段を用いて、流れスリーブ26及び燃焼ライナ28にそれぞれ固定できる点は理解されたい。例えば、図2に示すように、ライナストップブロック40は、流れスリーブ26の内側表面に溶接することができる。ライナストップブロック40はまた、流れスリーブ26を通って延在するピン、ロッド又は他の取付具(図示せず)を含み、ストップブロック40と流れスリーブ26との間に追加の取付機構を設けてもよい。同様に、ライナストップタブ38は、燃焼ライナ28の外側表面44に溶接することができる。しかしながら、代替の実施形態では、ライナストップ38、40は、ネジ、ボルトその他の公知の機械的締結具を用いるなど、好適な取付機構を用いてそれぞれの燃焼器部品に固定することができる点は理解されたい。
【0021】
一般に、ライナストップブロック40及びライナストップタブ38は、ライナストップタブ38がライナストップブロック40と嵌合及び/又は係合可能にして、燃焼ライナ28の装着を容易にし、及び/又は燃焼ライナ28を流れスリーブ26(又は燃焼ケーシング22)内に適正に位置合わせし、及び/又は燃焼器20の作動中のライナ28の回転及び/又は軸方向移動を阻止するようにする、何らかの好適な形状及び/又は構成を有するように設計できる点は理解されたい。例えば、図2に示す実施形態では、ライナストップブロック40は、実質的に平面又は平坦な端部46、丸みのある又は湾曲した端部48、及び平坦端部46と湾曲端部48との間を延在する側壁50のペアとを含むことができる。ライナストップブロック40はまた、ライナストップタブ38を受けるように構成された細長スロット52を画成することができる。細長スロット52は、一般に、ライナストップブロック40の平坦端部46から画成することができ、湾曲端部48の方向に延在することができる。加えて、図2に示すように、ライナストップタブ38は、一般に、ベース54と、該ベース54から延在する実質的に矩形の突出部56とを含み、燃焼ライナ28が流れスリーブ26に装着されたときに、ライナストップタブ38が、ライナストップブロック40に滑動して係合することができるようにする。ライナストップ38、40の単一のセットが図2に示されているが、ライナストップ38、40の2つ、3つ又はそれ以上のセットを各燃焼器20内に含めることができる点は理解されたい。
【0022】
上述のように、本発明の主題は、全体的に、挿入可能摩耗特徴部を有する燃焼ライナストップブロック及び摩耗特徴部をライナストップブロックに装着する方法に関する。従って、開示の方法の一実施形態は、図3を参照して全体的に説明され、図4から7を参照しながらさらに詳細に説明する。加えて、開示のライナストップブロックの種々の実施形態もまた、図4から7を参照して説明する。
【0023】
従って、図3を参照すると、燃焼器ライナストップブロックに摩耗特徴部を装着する方法の一実施形態が示される。一般に、本方法は、ライナストップブロック内に画成されたスロットを拡大してキャビティを形成する段階(302)と、キャビティ内に挿入ブロックを位置決めする段階(304)と、挿入ブロックに付随した少なくとも1つの摩耗特徴部を設ける段階(306)とを含む。上述のように、開示される方法は、一般に、既存のストップブロックの取り外しを必要とすることなく、摩耗特徴部をライナストップブロックに装着するのを可能にすることができる。従って、本方法は、一般に、新規ライナストップブロック及びかかる特徴部を含めるように当初は設計されていなかったライナストップブロックに、摩耗特徴部を装着する段階に関して説明する。しかしながら、開示される方法はまた、実際には1以上の摩耗特徴部を当初は含めていたライナストップブロックに、新たな摩耗特徴部を迅速且つ効率的に装着するのに用いることができる点は理解されたい。また、開示の方法の種々の段階302、304、306が図3において特定の順序で示されているが、これらの段階は、一般に、本明細書で提供される開示事項に矛盾しない任意の配列及び/又は順序で実施できる点は理解されたい。
【0024】
ここで図4を参照すると、燃焼器20(図1)の流れスリーブ26の一部に取り付けられるライナストップブロック40の実施形態の斜視図が示される。詳細には、図4は、本発明の主題の態様に従ってキャビティ60を画成するために拡大される前と後のライナストップブロック40の実施形態を示している。すなわち、最初に、ライナストップブロック40は、上述のように、対応するライナストップタブ38(図2)を収容するよう構成できる細長スロット52を全体的に画成することができる。しかしながら、図4に示すように、細長スロット52に隣接する領域においてストップブロック40から材料を機械加工その他の方法で除去することにより、ライナストップブロック40内に拡大キャビティ60を形成することができる。これに応じて、一実施形態では、キャビティ60は、細長スロット52で画成される容積よりも大きな容積を画成することができる。一般に、キャビティ60は、挿入ブロック62をキャビティ60内に挿入するか、或いはその他の方法で配置できるように、ライナストップブロック40内に形成することができる。従って、ライナストップブロック40は、一般に、挿入ブロック62を受け取るための外側ブロック64として機能することができる。キャビティ60は、当該技術分野で公知の好適な手段を用いて形成することができる。例えば、フライスプロセス、ドリルプロセス、他の精密機械加工プロセスなど、様々な公知の機械加工プロセスを利用して、ライナストップブロック40内にキャビティ60を形成することができる。
【0025】
一般に、挿入ブロック62及びキャビティ60は、かかる部品が本明細書で説明されるように機能することができる好適な形状及び/又は構成を有するように設計することができる。例えば、一実施形態では、挿入ブロック62は、ライナストップブロック40のものと実質的に類似して構成することができる。従って、例示の実施形態では、挿入ブロック62は、実質的に平面又は平坦な端部66、丸みのある又は湾曲した端部48、及び平坦端部46と湾曲端部48との間を延在する側壁50のペアとを含むことができる。加えて、図4に示すように、キャビティ60は、挿入ブロック62を受けることができるように対応する形状を画成することができる。しかしながら、代替の実施形態では、挿入ブロック62及び対応するキャビティ60は、実質的に矩形形状とすることができ、或いは、他の好適な形状及び/又は断面を画成することができる点は理解されたい。また、挿入ブロック62は、一般に、任意の好適な材料から形成できる点は理解されたい。しかしながら、特定の実施形態では、挿入ブロック62は、炭素鋼のような比較的安価な材料から形成することができる。
【0026】
引き続き図4を参照すると、挿入ブロック62はまた、当該技術分野で公知の好適な手段を用いてキャビティ60内に固定するよう構成することができる。例えば、一実施形態では、挿入ブロック62は、ライナストップブロック40に溶接するよう構成することができる。かかる実施形態では、挿入ブロック62は、ライナストップブロック40に挿入ブロック62を溶接するのを助けるよう構成された1以上の溶接準備特徴部を画成することができる。例えば、図示のように、挿入ブロック62は、外周の一部に沿って面取り又は勾配が付けられた縁部72を画成することができる。他の好適な溶接準備特徴部は、溝、リッジ、ノッチなどを含むことができる。代替の実施形態では、挿入ブロック62は、ボルト又はスクリューを用いることによるような、機械的締結具を用いて、或いは、当該技術分野で公知の他の好適な取付機構及び/又はプロセスを用いてキャビティ60内に固定するよう構成することができる。加えて、ライナストップブロック40内に挿入されたときに、挿入ブロック62は、図4に示すようなブランク(例えば、材料の中実ブロック)として構成する必要はない点は理解されたい。例えば、代替の実施形態では、挿入ブロック62は、図5及び6を参照して説明されたチャンネル74及び/又は陥凹領域76などの機械加工特徴部を含むことができ、及び/又はライナストップブロック40に挿入される前に、1以上の摩耗特徴部を含むことができる。
【0027】
次に図5を参照すると、ライナストップブロック40のキャビティ60内に固定された挿入ブロック62の一実施形態の斜視図を示している。詳細には、挿入ブロック62は、挿入ブロック62及びライナストップブロック40の境界部に画成される勾配付き縁部72に沿ってライナストップブロック40に溶接されるように図示されている。その上、図5に示すように、チャンネル74は、挿入ブロック62内に形成することができ、燃焼ライナ28が流れスリーブ26に装着されたときに、燃焼ライナ28のライナストップタブ38(図2)をチャンネル74内に受けることができるようにする。一般に、チャンネル74は、好適な形状及び/又は断面を画成するように挿入ブロック62内に形成できる点を理解されたい。しかしながら、本発明の主題の特定の実施形態では、チャンネル74は、ライナストップブロック40内に画成された細長スロット52(図4)と同じサイズ、形状、及び/又は寸法を画成することができる。
【0028】
チャンネル74は、好適な手段を用いて形成することができる点を理解されたい。例えば、フライスプロセス、ドリルプロセス、他の精密機械加工プロセスなど、様々な公知の機械加工プロセスを利用して、挿入ブロック62内にチャンネル74を形成することができる。加えて、上述のように、チャンネル74は、挿入ブロック62がライナストップブロック40に挿入及び/又は固定される前又は後に形成することができる。例えば、挿入ブロック62は、ライナストップブロック40に挿入される前にチャンネル74が挿入ブロック62内に画成されるように予め機械加工するか、又は他の方法で形成(例えば、成形プロセスにより)することができる。
【0029】
次に図6を参照すると、本主題の態様に従って挿入ブロック62内に含めることができる摩耗特徴部の一実施形態が示されている。図示のように、摩耗特徴部は、摩耗シム又は摩耗ストリップ78を含み、全体的に、ライナストップブロック40とライナストップタブ38との間に生じる摩耗の量を低減するよう構成することができる。詳細には、摩耗ストリップ78は、ライナストップブロック40とライナストップタブ38との間の摩耗を防止又は低減できる好適な耐摩耗性材料から形成することができる。例えば、摩耗ストリップ78を形成するのに用いることができる好適な材料は、FSX-14及びL−605のようなコバルト基合金、ニッケル基合金、他の摩耗に強い/表面硬化材料などを含むことができる。
【0030】
代替の実施形態では、本発明の主題の摩耗特徴部は、溶接、金属スプレー、溶射、拡散プロセスなどによるなど、好適なプロセスを用いて挿入ブロック62内に画成されるチャンネル74の表面に施工できる耐摩耗性コーティングを含むことができる。好適な耐摩耗性コーティングは、限定ではないが、以下の材料:炭化クロム、タングステン、コバルト、STELITE 6合金、好適な摩耗に強い/表面硬化材料、及び/又はチャンネル74に付加されたときに挿入ブロック62の耐摩耗性を高めることができる他の材料の1以上を含むコーティングを含むことができる。別の実施形態では、挿入ブロック62全体を耐摩耗性材料から形成することができる。かかる実施形態では、挿入ブロック62自体は、本発明の主題の摩耗特徴部として機能することができる。好適な耐摩耗性材料には、FSX-14及びL−605のようなコバルト基合金、ニッケル基合金、他の摩耗に強い/表面硬化材料などを含むことができる。
【0031】
引き続き図6を参照すると、摩耗特徴部が摩耗ストリップ78を含む実施形態では、摩耗ストリップ78は一般に、ストリップ78を挿入ブロック62内に挿入又は他の方法で配置可能にする好適な形状及び/又は構成を有するように構成することができる。摩耗ストリップ78はまた、細長開口80を画成するように構成することができる。例えば、一実施形態では、開口80は、挿入ブロック62内に画成されるチャンネル74及び/又はライナストップブロック40内に画成されるスロット52(図4)に類似した実質的形状、サイズ、及び/又は寸法にすることができる。従って、開口80は、燃焼ライナ28が流れスリーブ26に装着されたときに燃焼ライナ28のライナストップタブ38(図2)と係合又は他の方法で受けるように適合することができる点を理解されたい。これに応じて、摩耗ストリップ78は、一般に、挿入ブロック62とライナストップタブ38との間の境界部として機能することができ、従って、燃焼器20の運転中にライナストップブロック40とライナストップタブ38との間で生じる摩耗の量を低減することができる。
【0032】
その上、一実施形態では、陥凹領域76は、挿入ブロック62のチャンネル74内に画成することができ、摩耗ストリップ78を収容するよう構成することができる。従って、図6に示すように、陥凹領域76は、チャンネル74の少なくとも一部が拡大され又は他の方法で広げられるように、挿入ブロック62から材料を機械加工又は他の方法で除去することによって挿入ブロック62内に形成することができる。一実施形態では、陥凹領域76は、一般に、摩耗ストリップ78の形状、サイズ及び/又は寸法が実質的に同じであるような形状、サイズにし、又は他の方法で構成することができる。例えば、図7に示すように、陥凹領域76は、摩耗ストリップ78が挿入ブロック62内に挿入されたときに、陥凹領域76の形成によって拡大又は他の方法で広げられないチャンネル74の部分と摩耗ストリップ78が実質的に同一平面に配置されるように形成することができる点を理解されたい。例えば、フライスプロセス、ドリルプロセス、他の精密機械加工プロセスなど、様々な公知の機械加工プロセスを利用して、挿入ブロック62内に陥凹領域76を形成することができる。また、代替の実施形態では、陥凹領域76は挿入ブロック62内に画成する必要はない点を理解されたい。例えば、チャンネル74は、摩耗ストリップ78を受けるような適切な寸法を画成するように、挿入ブロック62内に形成することができる。
【0033】
次に図7を参照すると、本発明の主題の態様による、挿入可能摩耗特徴部を有する組み立てられた燃焼ライナストップブロック40の一実施形態が示されている。図示のように、ライナストップブロック40は一般に、外側ブロック64、挿入ブロック62、及び摩耗ストリップ78を含むことができ、その各々は一般に、上述のように構成することができる。従って、外側ブロック64は、流れスリーブ26の一部、或いは、場合によっては、燃焼器20(図1)の燃焼ケーシング22に固定するよう構成することができる。加えて、外側ブロック64は、一般に、挿入ブロック62を受けるためキャビティ60(図4)を画成することができる。図示のように、挿入ブロック62は、一般に、摩耗ストリップ78を受けるためチャンネル74内に陥凹領域76(図6)を含むことができる。さらに、摩耗ストリップ78は、陥凹領域76内に収まるように構成することができ、さらに、燃焼ライナ28のライナストップタブ38(図2)を受けるように構成された細長開口80を画成することができる。従って、摩耗ストリップ78は、ライナストップブロック40とライナストップタブ38との間に境界部として機能することができ、従って、かかる部品間に生じる摩耗の量を低減することができる。
【0034】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の実施例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0035】
20 ガスタービン燃焼器
22 燃焼ケーシング
24 ガスタービンケーシング
26 内部流れスリーブ
28 燃焼ライナ
30 インピンジメントスリーブ
32 トランジションピース
34 空気供給孔
36 燃焼室
38 雄ライナストップタブ
40 雌ライナストップブロック
42 内側表面(スリーブ26の)
44 外側表面(ライナ28の)
46 平坦端部
48 湾曲端部
50 側壁
52 細長スロット
54 ベース
56 突出部
60 拡大キャビティ
62 挿入ブロック(IB)
64 外側ブロック
66 IBの平坦端部
68 IBの丸みのある又は湾曲した端部
70 IBの側壁
72 勾配付き縁部
74 チャンネル
76 陥凹領域
78 摩耗ストリップ
80 開口
302 ライナストップブロック
304 キャビティ
306 挿入ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ライナストップタブ(38)を受けるように構成されたスロット(52)を画成する燃焼ライナストップブロック(40)に摩耗特徴部(78)を装着する方法であって、
前記ライナストップブロック(40)内に画成される前記スロット(52)を拡大してキャビティ(60)を形成する段階と、
前記キャビティ(60)内に挿入ブロック(62)を位置決めする段階と、
前記挿入ブロック(62)に付随した少なくとも1つの摩耗特徴部(78)を設ける段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記キャビティ(60)に挿入ブロック(62)を位置決めする前又は後に、前記挿入ブロック(62)内にチャンネル(74)を形成する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記チャンネル(74)が、前記ライナストップタブ(38)を前記チャンネル(74)内に受けることができるように、前記ライナストップブロック(40)内に画成される前記スロット(52)と実質的に同じ寸法を有する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記キャビティ(60)に挿入ブロック(62)を位置決めする前又は後に、前記少なくとも1つの摩耗特徴部(78)を前記チャンネル(74)内に挿入する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記挿入ブロック(62)内に陥凹領域(76)を形成するよう前記チャンネル(74)を修正する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの摩耗特徴部(78)が前記陥凹領域(76)内に配置される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの摩耗特徴部(78)が、耐摩耗性材料から形成された摩耗ストリップ(78)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記摩耗ストリップ(78)は、前記ライナストップタブ(38)が前記ライナストップブロック(40)内に受けられたときに、前記ライナストップタブ(38)が摩耗ストリップ(78)と接触するように前記挿入ブロック(62)内に配置される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの摩耗特徴部(78)が、前記挿入ブロック(62)に施工される耐摩耗性コーティングを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記挿入ブロック(62)を前記ライナストップブロック(40)に固定する段階をさらに含む、前記請求項の何れか記載の方法。
【請求項11】
前記挿入ブロック(62)を前記ライナストップブロック(40)に固定する段階が、前記挿入ブロック(62)を前記ライナストップブロック(40)に溶接する段階を含み、前記挿入ブロック(62)が、該挿入ブロック(62)と前記ライナストップブロック(40)との境界部に少なくとも1つの溶接準備特徴部を画成する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
燃焼器(20)用のライナストップブロック(40)であって、
キャビティ(60)を画成する外側ブロック(64)と、
前記キャビティ(60)内に配置され、前記ライナストップブロック(40)の嵌合部品を受けるよう構成されたチャンネル(74)を画成する挿入ブロック(62)と、
前記挿入ブロック(62)に付随した少なくとも1つの摩耗特徴部(78)と
を備える、ライナストップブロック(40)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの摩耗特徴部(78)が、耐摩耗性材料から形成される摩耗ストリップ(78)を含む、請求項12記載のライナストップブロック(40)。
【請求項14】
前記挿入ブロック(62)がさらに、前記チャンネル(74)内に陥凹領域(76)を画成し、該陥凹領域(76)内に前記摩耗ストリップ(78)が配置される、請求項13記載のライナストップブロック(40)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの摩耗特徴部(78)が、前記チャンネル(74)に施工される耐摩耗性コーティングを含む、請求項12記載のライナストップブロック(40)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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