説明

挿入型イヤホン

【課題】BA型レシーバを備えた挿入型イヤホンにおいて、低音域における聴感上の音量感を十分に確保する。
【解決手段】レシーバユニット12を、レシーバ本体50(BA型レシーバ)が筐体20に収容された構成とする。その際、レシーバ本体50のハウジング56に、その背面空間CRを外部空間と連通させる小孔66aを形成する。また、筐体20を、先端部に音導管16が設けられた筒状フレーム32と、この筒状フレーム32に基端部側から挿入固定されたガスケット36とを備えた構成とする。そして、レシーバ本体50を、その放音孔64aと小孔66aとを隔離する態様でガスケット36に挿入固定する。また、ガスケット36に、放音孔64aと音導管16の音道16aとを連通させる連通孔36eを形成する。さらに、レシーバ本体50と筐体20との間に、小孔66aと連通するとともに音道16aとは隔離された背圧調整用の第1密閉空間C1を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、挿入型イヤホンに関するものであり、特に、そのレシーバユニットの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、挿入型イヤホンは、音導管を有するレシーバユニットと、このレシーバユニットの音導管に装着されたイヤーチップとを備えてなり、そのイヤーチップを外耳道に挿入した状態で使用するように構成されている。そして、この挿入型イヤホンのレシーバユニットは、レシーバ本体とこれを収容する筐体とを備えた構成となっている。
【0003】
「特許文献1」には、このような挿入型イヤホンにおけるレシーバユニットのレシーバ本体として、バランスドアーマチャ型レシーバ(以下「BA型レシーバ」ともいう)を用いたものが記載されている。
【0004】
このBA型レシーバは、ダイヤフラムおよびこれを振動させる駆動ユニットがハウジングに収容された構成となっている。そして、このBA型レシーバにおいては、そのダイヤフラムの両側に正面空間および背面空間が形成されており、そのハウジングには正面空間をレシーバ本体の外部空間と連通させる放音孔が形成されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−143684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
挿入型イヤホンのレシーバ本体としてBA型レシーバを用いることにより、挿入型イヤホンとしての着用時、低音域において比較的平坦な周波数特性を得ることが可能となる。
【0007】
しかしながら、このBA型レシーバは、その背面空間が密閉空間として形成されているので、挿入型イヤホンとしての着用時、聴感上の音量感を十分に確保することが難しい、という問題がある。
【0008】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、BA型レシーバを備えた挿入型イヤホンにおいて、低音域における聴感上の音量感を十分に確保することができる挿入型イヤホンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、レシーバユニットの構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0010】
すなわち、本願発明に係る挿入型イヤホンは、
音導管を有するレシーバユニットと、このレシーバユニットの音導管に装着されたイヤーチップとを備えてなり、上記イヤーチップを外耳道に挿入した状態で使用するように構成された挿入型イヤホンにおいて、
上記レシーバユニットが、レシーバ本体と、このレシーバ本体を収容する筐体とを備えてなり、
上記レシーバ本体が、ダイヤフラムと、このダイヤフラムを振動させる駆動ユニットと、これらダイヤフラムおよび駆動ユニットを収容した状態で、上記ダイヤフラムの両側に正面空間および背面空間を形成するハウジングとを備え、かつ、上記ハウジングに上記正面空間を上記レシーバ本体の外部空間と連通させる放音孔が形成されてなるバランスドアーマチャ型レシーバとして構成されており、
上記レシーバ本体のハウジングに、上記背面空間を上記外部空間と連通させる小孔が形成されており、
上記筐体が、先端部に上記音導管が設けられた筒状フレームと、この筒状フレームの基端部側から該筒状フレームに挿入固定されたガスケットとを備えており、
上記レシーバ本体が、上記放音孔と上記小孔とを隔離する態様で、上記ガスケットに挿入固定されており、
上記ガスケットに、上記放音孔と上記音導管の音道とを連通させる連通孔が形成されており、
上記レシーバ本体と上記筐体との間に、上記小孔と連通するとともに上記音道とは隔離された背圧調整用の第1密閉空間が形成されている、ことを特徴とするものである。
【0011】
上記「駆動ユニット」は、正面空間に配置されていてもよいし、背面空間に配置されていてもよい。
【0012】
上記「筒状フレーム」は、筒状に形成された部材であれば、その断面形状は特に限定されるものではない。すなわち、この「筒状フレーム」の断面形状としては、例えば、円形、矩形、楕円形等が採用可能である。
【0013】
上記「音導管」は、筒状フレーム自体により構成されたものであってもよいし、筒状フレームに別部材を取り付けることにより構成されたものであってもよい。
【0014】
上記「放音孔」および上記「小孔」は、レシーバ本体がガスケットに挿入固定されたときに、互いに隔離される位置関係にあれば、それぞれの具体的な配置は特に限定されるものではない。
【0015】
上記「第1密閉空間」は、完全な密閉空間であってよいことはもちろんであるが、背圧調整を図り得る範囲内であれば、必ずしも完全な密閉空間でなくてもよい。後者の具体例としては、筐体内におけるレシーバ本体よりも基端部側に形成された主空間と、レシーバ本体とガスケットとの間において主空間と小孔とを連通させるように形成された第1の連通路と、主空間と外部空間とを連通させるように形成された第2の連通路とからなる構成とすることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
上記構成に示すように、本願発明に係る挿入型イヤホンにおいては、そのレシーバ本体のハウジングに、レシーバ本体の背面空間をレシーバ本体の外部空間と連通させる小孔が形成されており、そして、このレシーバ本体は、その放音孔と小孔とを隔離する態様でガスケットに挿入固定されているので、レシーバ本体の背面空間の弾性を弱めることができ、これによりダイヤフラムを動きやすくすることができる。
【0017】
その際、単に小孔が形成されているだけでは、音圧感度が低音域(すなわち最低共振周波数以下の帯域)で一様に上昇してしまい、また、最低共振周波数が低音側にずれてしまうとともにその音圧レベルが低下してしまうので、メリハリのある音質を得ることができなくなってしまう。
【0018】
その点、本願発明に係る挿入型イヤホンにおいては、そのレシーバ本体と筐体との間に、小孔と連通するとともに音導管の音道とは隔離された背圧調整用の第1密閉空間が形成されているので、この第1密閉空間を、ダイヤフラムの動きを制限するための音響負荷として機能させることができる。そしてこれにより、低音域における音圧感度をある程度上昇させるようにした上で、最低共振周波数のずれおよびこの最低共振周波数における音圧レベルの低下を抑制することが可能となり、これによりメリハリのある音質を得ることができる。
【0019】
このように本願発明によれば、BA型レシーバを備えた挿入型イヤホンにおいて、低音域における聴感上の音量感を十分に確保することができる。しかもこれを、高音域の周波数特性に影響を及ぼすことなく実現することができる。また、このような作用効果を、電気回路を使用せずに、レシーバユニットの音響要素を調整するだけで容易に得ることができる。
【0020】
上記構成において、第1密閉空間を、筐体内におけるレシーバ本体よりも基端部側に形成された第1主空間と、レシーバ本体とガスケットとの間において第1主空間と小孔とを連通させるように形成された第1連通路とからなる構成とすれば、低音域における所定周波数未満の帯域では音圧感度を十分上昇させるようにした上で、低音域における所定周波数以上の帯域では音圧感度の上昇を抑制することができる。そしてこれにより、一層メリハリのある音質を得ることができる。
【0021】
その際、第1連通路の断面積およびその長さを適宜調整するようにすれば、上記所定周波数の値を調整することができ、これにより所望の音質を得ることが容易に可能となる。
【0022】
上記構成において、レシーバ本体のハウジングに、放音孔を囲むようにして形成された放音ノズルが取り付けられた構成とし、そして、このレシーバ本体がガスケットに挿入固定されたときに、放音ノズルがガスケットの連通孔に圧入される構成とすれば、レシーバ本体の放音孔と小孔とを隔離を、放音ノズルとガスケットとの当接作用により容易かつ確実に行うことができる。
【0023】
上記構成において、筒状フレームとガスケットとの間に、音導管の音道と連通する音響調整用の第2密閉空間が形成された構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0024】
すなわち、挿入型イヤホンにおいては、その音導管の共鳴により特定周波数にピーク音圧が発生しやすい。そして、このようなピーク音圧が発生すると、特定周波数の音のみが強調されて聴取音が耳障りな音になってしまう、という問題がある。
【0025】
このようなピーク音圧を低減させるため、挿入型イヤホンにおいては、その音導管に音響フィルタが設けられた構成となっていることが少なくない。しかしながら、この音響フィルタはメッシュ材料等で構成されるため、小音量での聴取時には篭ったような音質になってしまう、という問題がある。
【0026】
これに対し、筒状フレームとガスケットとの間に、音導管の音道と連通する音響調整用の第2密閉空間が形成された構成とすれば、この第2密閉空間を、ピーク音圧を発生させる周波数成分を取り除くノッチフィルタとして機能させることができる。そしてこれにより、音響フィルタを設けることを必要とせずに(すなわち小音量での聴取時にも篭ったような音質になってしまわないようにした上で)、ピーク音圧を低減させることができる。
【0027】
このようにした場合において、第2密閉空間を、筒状フレームの内周面とガスケットとの間に形成された第2主空間と、筒状フレームの端面とガスケットの端面との間において第2主空間と音道とを連通させるように形成された第2連通路とからなる構成とすれば、周波数成分の選択性を高めることができ、これによりノッチフィルタとして機能を高めることができる。
【0028】
なお、このようにした場合において、さらに音導管に音響フィルタが設けられた構成とすることも可能である。このように第2密閉空間と音響フィルタとを併用することにより、音響フィルタを設けたことによる弊害を実質的に問題のないレベルまで抑えるとともに第2密閉空間の形成を容易化した上で、ピーク音圧の低減を図ることができる。
【0029】
なお、このように音響フィルタを設けるようにした場合において、この音響フィルタの配設位置は特に限定されるものではなく、音導管の先端部であってもよいし、その基端部であってもよいし、その中間部であってもよい。
【0030】
ところで、上記構成において、レシーバ本体のハウジングに上記小孔が形成されていないとした場合であっても、筒状フレームとガスケットとの間に、音道と連通する音響調整用の密閉空間が形成された構成とすれば、周波数成分の選択性を高めることができ、これによりノッチフィルタとして機能を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0032】
図1は、本願発明の一実施形態に係る挿入型イヤホン10を、右向きに配置した状態で示す側断面図である。図2は、図1の要部詳細図である。また、図3は、この挿入型イヤホン10を、その主要構成要素に分解して示す分解斜視図である。
【0033】
これらの図に示すように、本実施形態に係る挿入型イヤホン10は、音導管16を有するレシーバユニット12と、このレシーバユニット12の音導管16に装着されたイヤーチップ14とからなり、そのイヤーチップ14を外耳道に挿入した状態で使用するようになっている。
【0034】
レシーバユニット12は、前後方向に延びる円筒状の外形形状を有しており、その前端部(図1において右端部)に上記音導管16が設けられている。
【0035】
レシーバユニット12は、レシーバ本体50と、このレシーバ本体50を収容する筐体20と、この筐体20内に、レシーバ本体50と共に収容されたスペーサ22およびフレキシブルプリント基板24と、このフレキシブルプリント基板24を介してレシーバ本体50に接続されたプラグ付ケーブル26とを備えてなっている。
【0036】
まず、レシーバ本体50の構成について説明する。
【0037】
図5は、レシーバ本体50を単品で示す側断面図である。ただし、このレシーバ本体50は、同図に示す状態から上下反転させた状態で筐体20に収容されるようになっている。
【0038】
同図に示すように、このレシーバ本体50は、ダイヤフラム52と、このダイヤフラム52を振動させる駆動ユニット54と、これらダイヤフラム52および駆動ユニット54を収容するハウジング56と、このハウジング56に固定された放音ノズル58とからなるバランスドアーマチャ型レシーバとして構成されている。
【0039】
ハウジング56は、ダイヤフラム52を支持する矩形フレーム62と、この矩形フレーム62に対して上方側から固定されたトップハウジング64と、矩形フレーム62に対して下方側から固定されたボトムハウジング66とからなり、略直方体の外形形状を有している。
【0040】
このハウジング56においては、そのトップハウジング64によりダイヤフラム52の上側に正面空間CFを形成するとともに、そのボトムハウジング66によりダイヤフラム52の下側に背面空間CRを形成するようになっている。
【0041】
トップハウジング64には、その前面壁の左右方向中央部に、正面空間CFをレシーバ本体50の外部空間と連通させる放音孔64aが形成されている。この放音孔64aは、横長スリット状に形成されている。
【0042】
また、ボトムハウジング66には、その下面壁の前端近傍における左右方向中央部に、背面空間CRをレシーバ本体50の外部空間と連通させる小孔66aが形成されている。この小孔66aは、円形状に形成されている。
【0043】
駆動ユニット54は、背面空間CRに収容されている。
【0044】
この駆動ユニット54は、水平方向に延びる帯板状のアーマチャ68を有するアーマチャフレーム70と、ボビン72と、上下1対のマグネット74と、磁性ホルダ76と、励磁コイル78と、連結片80と、左右1対の端子部材82とからなり、次のように駆動するようになっている。
【0045】
すなわち、この駆動ユニット54は、その1対のマグネット74間に、この間隙を上下方向に横断する直流磁界が定常的に形成されるようになっている。この状態において、励磁コイル78に信号電流が印加されると、この励磁コイル78を貫通するアーマチャ68に信号電流に応じた磁束が発生し、このアーマチャ68と両マグネット74間に交流磁界が形成される。そして、この交流磁界が上記直流磁界に重畳されることにより、信号電流に応じた上下方向の力がアーマチャ68に作用し、これによりアーマチャ68が上下方向に撓み変形する。これに伴い、アーマチャ68の先端面に固定された連結片80が、図中矢印で示すように上下方向に変位する。そして、この連結片80の変位が、その上端部に連結固定されたダイヤフラム52に伝達されることにより、ダイヤフラム52が振動するようになっている。これにより、レシーバ本体50としては、信号電流に応じた音波を発生させ、この音波を放音孔64aを介して外部へ放射するようになっている。
【0046】
1対の端子部材82は、ボトムハウジング66の下面壁における後端近傍に形成された左右1対の貫通孔(図示せず)を介して下方へ突出している。その際、これら各貫通孔は、各端子部材82を支持するボビン72の下端部が該貫通孔に圧入されることにより閉塞されるようになっている。
【0047】
放音ノズル58は、放音孔64aを囲むようにしてハウジング56の前端部に固定された部材であって、その先端部58Aは円筒状に形成されており、その基端部58Bは、トップハウジング64およびボトムハウジング66に跨るように形成されている。そして、この放音ノズル58は、放音孔64aから放射される音波をハウジング56の前面壁の上下方向中央寄りの位置に導いて前方へ差し向けるようになっている。
【0048】
次に、筐体20の構成について説明する。
【0049】
図1〜3に示すように、この筐体20は、先端部(すなわち前端部)に小径円筒部32aが形成された略円筒状の筒状フレーム32と、この筒状フレーム32の小径円筒部32aに前方側から挿入固定された略円筒状の内筒部材34と、筒状フレーム32の基端部側(すなわち後端部側)から該筒状フレーム32に挿入固定されたガスケット36と、筒状フレーム32の基端部に固定された有底円筒状のキャップ38と、筒状フレーム32とキャップ38との間に装着されたケーブル引出し部材40とからなっている。そして、この筐体20においては、その筒状フレーム32の小径円筒部32aおよび内筒部材34により、上記音導管16が構成されるようなっている。
【0050】
筒状フレーム32、内筒部材34およびキャップ38は、アルミニウムや硬質樹脂等の硬質材料で構成されており、ガスケット36およびケーブル引出し部材40は、シリコーン樹脂あるいはラバー等の軟質材料で構成されている。
【0051】
ガスケット36は、全体として略有底円筒状に形成されている。このガスケット36の円筒部36Aの外径は、筒状フレーム32の内径よりも僅かに小さい値に設定されている。このガスケット36の外周面には、前後方向に所定間隔をおいて複数の環状リブ36aが形成されている。これら各環状リブ36aは、その断面形状が略半円弧状に設定されており、その最大径(すなわち頂点位置における径)は、筒状フレーム32の内径よりも僅かに大きい値に設定されている。
【0052】
このガスケット36は、その端面壁36Bが前方側に位置するようにした状態で、筒状フレーム32に対して圧入により挿入固定されている。そして、このガスケット36は、筒状フレーム32に挿入固定された状態では、各環状リブ36aが多少圧縮変形し、これによりガスケット36と筒状フレーム32との間のシールを図るようになっている。
【0053】
このガスケット36の円筒部36Aの外周面における端面壁36B寄りの部分には、断面弓形で前後所定長にわたって切り取られた切欠き部36bが形成されている。
【0054】
このガスケット36には、断面略矩形状のレシーバ本体収容部36cが形成されている。このレシーバ本体収容部36cは、レシーバ本体50のハウジング56と略同一の断面形状を有している。そして、レシーバ本体50は、図5に示す状態から上下反転させた状態で、図4において斜視図で詳細に示すように、レシーバ本体収容部36cに対して、その後方側から圧入により挿入固定されるようになっている。
【0055】
このガスケット36におけるレシーバ本体収容部36cの後端上部は、断面弓形で前後所定長にわたって切り取られた切欠き部36dとして形成されており、これにより1対の端子部材82との干渉を回避するようになっている。
【0056】
ガスケット36の端面壁36Bにおける中央よりもやや下方に位置する部位には、放音孔64aと音導管16の音道16aとを連通させる連通孔36eが形成されている。この連通孔36eは、レシーバ本体50における放音ノズル58の先端部58Aの外径よりも僅かに小さい内径を有している。そして、レシーバ本体収容部36cにレシーバ本体50が挿入固定されたとき、この連通孔36eに放音ノズル58の先端部58Aが圧入されるとともにガスケット36の端面壁36Bに放音ノズル58の基端部58Bが当接し、これにより放音孔64aと小孔66aとを確実に隔離するようになっている。
【0057】
レシーバ本体50と筐体20との間には、小孔66aと連通するとともに音道16aとは隔離された背圧調整用の第1密閉空間C1が形成されている。
【0058】
この第1密閉空間C1は、筐体20内におけるレシーバ本体50よりも基端部側に形成された第1主空間C1Aと、レシーバ本体50とガスケット36との間において第1主空間C1Aと小孔66aとを連通させるように形成された第1連通路C1Bとからなっている。その際、第1連通路C1Bは、ガスケット36におけるレシーバ本体収容部36cの上部に、その前端縁から後方へ向けて延びる凹溝36fを形成することにより構成されている。この第1連通路C1Bは、その断面形状が略半円弧状に設定されている。
【0059】
ガスケット36における端面壁36Bの前面には、C字状の端面リブ36gが形成されている。この端面リブ36gは、その断面形状が略半円弧状に設定されており、円筒部36Aの中心軸線を中心とする円に沿って形成されているが、その上端部は部分的に欠けている。そしてこれにより、ガスケット36が筒状フレーム32に挿入固定されたとき、端面リブ36gが筒状フレーム32の端面32bに当接して、筒状フレーム32とガスケット36との間に、音導管16の音道16aと連通する音響調整用の第2密閉空間C2を形成するようになっている。
【0060】
すなわち、この第2密閉空間C2は、筒状フレーム32の内周面とガスケット36との間に形成された第2主空間C2Aと、筒状フレーム32の端面とガスケット36の端面との間に第2主空間C2Aと音道16aとを連通させるように形成された第2連通路C2Bとからなっている。
【0061】
筒状フレーム32は、その基端部32cがやや小径で形成されるとともに、その上部および下部にU字溝32dがそれぞれ形成されている。
【0062】
ケーブル引出し部材40は、筒状フレーム32と同一の外径を有する環状部40Aと、この環状部40Aから下方へ延びるケーブル収容部40Bとからなっている。
【0063】
環状部40Aにおける上部および下部には、断面弓形の突起部40aがそれぞれ形成されており、これら各突起部40aにおいて筒状フレーム32の各U字溝32dに係合固定されるようになっている。
【0064】
ケーブル収容部40Bには、プラグ付ケーブル26が挿通支持されている。
【0065】
このプラグ付ケーブル26は、その下端部にプラグ(図示せず)が取り付けられており、その上端部に結び目26aが形成されている。この結び目26aは、環状部40Aの内部に位置している。そして、このプラグ付ケーブル26における結び目26aの下側にはワッシャ42が取り付けられており、このワッシャ42が下側の突起部40aの上面に当接するようになっている。
【0066】
このプラグ付ケーブル26の上端部からは、1対のリード線26bが延びている。そして、これら各リード線26bは、フレキシブルプリント基板24にハンダ付けにより導通固定されている。
【0067】
このフレキシブルプリント基板24は、前方へ向けて水平に延びている。そして、このフレキシブルプリント基板24の前端部には、レシーバ本体50の各端子部材82がハンダ付けにより導通固定されている。
【0068】
スペーサ22は、横長小判形の断面形状で前後方向に延びるブロック状部材として構成されている。このスペーサ22は、シリコーン樹脂あるいはラバー等の軟質材料で構成されており、前後方向に幾分弾性圧縮変形した状態で、ケーブル引出し部材40の環状部40A内に配置されている。その際、このスペーサ22は、その前端面がレシーバ本体50に当接するとともに、その後端面がプラグ付ケーブル26の結び目26aに当接しており、そして、この結び目26aはキャップ38に当接している。そしてこれにより、スペーサ22は、レシーバ本体50をガスケット36の端面壁36Bへ向けて弾性的に押圧するようになっている。
【0069】
キャップ38は、ケーブル引出し部材40の環状部40Aと嵌合した状態で、筒状フレーム32の基端部32cに係合固定されている。そしてこれにより、筐体20内に第1密閉空間C1を形成するようになっている。
【0070】
内筒部材34は、その前端部寄りの部分が僅かに大きい外径を有しており、その前端部には大径のフランジ部34aが形成されている。そして、この内筒部材34は、筒状フレーム32の小径円筒部32aに対して、その前方側から挿入固定されている。
【0071】
この内筒部材34のフランジ部34aには、音響フィルタ44が取り付けられている。この音響フィルタ44は、メッシュ材料もしくは不織布等からなる円板状の部材であって、環状の両面テープ46を介して内筒部材34のフランジ部34aに貼着されている。その際、この音響フィルタ44は、そのメッシュ材料として比較的音響抵抗の小さいものが用いられている。
【0072】
図6および7は、本実施形態に係る挿入型イヤホン10の作用を説明するための図であって、音圧レベル周波数特性を示す図である。
【0073】
まず、図6について説明する。
【0074】
同図において細い実線で示すグラフは、本実施形態に係る挿入型イヤホン10において、仮に、背圧調整用の第1密閉空間C1および音響調整用の第2密閉空間C2のいずれもが形成されていない、とした場合(すなわち通常の挿入型イヤホンであるとした場合)の音圧レベル周波数特性を示すグラフである。
【0075】
また、同図において2点差線で示すグラフは、本実施形態に係る挿入型イヤホン10において、仮に、背圧調整用の第1密閉空間C1および音響調整用の第2密閉空間C2のいずれもが形成されておらず、レシーバ本体50のハウジング56に、開放空間と連通する小孔66aが形成されている、とした場合の音圧レベル周波数特性を示すグラフである。
【0076】
そして、同図において太い実線で示すグラフは、本実施形態に係る挿入型イヤホン10において、仮に、背圧調整用の第1密閉空間C1のみが形成されていて、音響調整用の第2密閉空間C2は形成されていない、とした場合の音圧レベル周波数特性を示すグラフである。
【0077】
同図において、細い実線のグラフと2点差線のグラフとの比較から明らかなように、レシーバ本体50のハウジング56に小孔66aを形成した場合には、通常の挿入型イヤホンの場合に比して、低音域における音圧感度が上昇している。これは、背面空間CRの弾性が弱まり、ダイヤフラム52が動きやすくなることによるものである。そしてこれにより、聴感上の音量感が改善されることとなる。しかしながら、このようにした場合には、最低共振周波数(具体的には2000〜2500Hz程度の範囲内の値)が低音側にずれてしまい、また最低共振周波数における音圧レベルが低下してしまうこととなる。
【0078】
これに対し、同図において太い実線のグラフで示すように、背圧調整用の第1密閉空間C1が形成されている場合には、低音域における音圧感度がある程度上昇しており、かつ、最低共振周波数のずれおよびその音圧レベルの低下が抑制されている。しかも、低音域における所定周波数(具体的には200〜400Hz程度の範囲内の値)未満の帯域では音圧感度が十分上昇した状態に維持された上で、低音域における所定周波数以上の帯域では音圧感度の上昇が抑制されている。このため、低音域における聴感上の音量感が改善されるとともに、十分にメリハリのある音質が得られることとなる。
【0079】
次に、図7について説明する。
【0080】
同図において細い実線で示すグラフは、図6の場合と同様、通常の挿入型イヤホンの場合における音圧レベル周波数特性を示すグラフである。
【0081】
また、同図において破線で示すグラフは、図6において太い実線で示したグラフに対応するグラフである。すなわち、この破線で示すグラフは、本実施形態に係る挿入型イヤホン10において、仮に、背圧調整用の第1密閉空間C1のみが形成されていて、音響調整用の第2密閉空間C2は形成されていない、とした場合の音圧レベル周波数特性を示すグラフである。
【0082】
そして、同図において太い実線で示すグラフは、本実施形態に係る挿入型イヤホン10における音圧レベル周波数特性を示すグラフである。すなわち、この太い実線で示すグラフは、背圧調整用の第1密閉空間C1および音響調整用の第2密閉空間C2がいずれも形成されている場合の音圧レベル周波数特性を示すグラフである。
【0083】
同図において細い実線のグラフあるいは破線のグラフで示すように、音響調整用の第2密閉空間C2が形成されていない場合には、特定周波数(具体的には4500Hz程度の値)にピーク音圧が存在している。このピーク音圧は、音導管16の共鳴により特定周波数において発生するものである。なお、このピーク音圧は、仮に音導管16に音響フィルタ44が設けられていないとすると、さらに大きな値となるが、実際には音響フィルタ44が設けられているので、その値の低減が図られている。ただし、この音響フィルタ44は、小音量での聴取時にも篭ったような音質にならないようにするため、比較的音響抵抗の小さいメッシュ材料で構成されているので、この音響フィルタ44のみでは特定周波数におけるピーク音圧は完全には消滅していない。
【0084】
一方、同図において太い実線のグラフで示すように、音響調整用の第2密閉空間C2が形成されている場合には、特定周波数におけるピーク音圧が消滅している。これは、音導管16の音道16aと連通する第2密閉空間C2が、ピーク音圧を発生させる周波数成分を取り除くノッチフィルタとして機能することによるものである。そして、このように特定周波数におけるピーク音圧が消滅することにより、特定周波数の音のみが強調されて聴取音が耳障りな音になってしまうという不都合は解消されることとなる。
【0085】
以上詳述したように、本実施形態に係る挿入型イヤホン10は、そのレシーバ本体50のハウジング56に、該レシーバ本体50の背面空間CRをレシーバ本体50の外部空間と連通させる小孔66aが形成されており、そして、このレシーバ本体50は、その放音孔64aと小孔66aとを隔離する態様でガスケット36に挿入固定されているので、背面空間CRの弾性を弱めることができ、これによりダイヤフラム52を動きやすくすることができる。
【0086】
その際、本実施形態に係る挿入型イヤホン10は、そのレシーバ本体50と筐体20との間に、小孔66aと連通するとともに音導管16の音道16aとは隔離された背圧調整用の第1密閉空間C1が形成されているので、この第1密閉空間C1を、ダイヤフラム52の動きを制限するための音響負荷として機能させることができる。そしてこれにより、低音域における音圧感度をある程度上昇させるようにした上で、最低共振周波数のずれおよびこの最低共振周波数における音圧レベルの低下を抑制することが可能となるので、メリハリのある音質を得ることができる。
【0087】
このように本実施形態によれば、BA型レシーバを備えた挿入型イヤホン10において、低音域における聴感上の音量感を十分に確保することができる。しかもこれを、高音域の周波数特性に影響を及ぼすことなく実現することができる。また、このような作用効果を、電気回路を使用せずに、レシーバユニット12の音響要素を調整するだけで容易に得ることができる。
【0088】
しかも本実施形態においては、第1密閉空間C1が、筐体20内におけるレシーバ本体50よりも基端部側に形成された第1主空間C1Aと、レシーバ本体50とガスケット36との間において第1主空間C1Aと小孔66aとを連通させるように形成された第1連通路C1Bとからなっているので、低音域における所定周波数未満の帯域では音圧感度を十分上昇させるようにした上で、低音域における所定周波数以上の帯域では音圧感度の上昇を抑制することができる。そしてこれにより、一層メリハリのある音質を得ることができる。
【0089】
その際、第1連通路C1Bの断面積およびその長さを適宜調整するようにすれば、上記所定周波数の値を調整することができ、これにより所望の音質を得ることが容易に可能となる。
【0090】
また本実施形態においては、レシーバ本体50のハウジング56に、放音孔64aを囲むようにして形成された放音ノズル58が取り付けられており、そして、このレシーバ本体50がガスケット36に挿入固定されたとき、放音ノズル58がガスケット36の連通孔36eに圧入される構成となっているので、レシーバ本体50の放音孔64aと小孔66aとを隔離を、放音ノズル58とガスケット36との当接作用により容易かつ確実に行うことができる。具体的には、ガスケット36の連通孔36eが、レシーバ本体50の先端部58Aの外径よりも僅かに小さい内径を有しているので、この連通孔36eに放音ノズル58の先端部58Aが圧入されることにより、連通孔36eの内周面と先端部58Aの外周面とが密着して、放音孔64aと小孔66aとの隔離が確実に行われることとなる。
【0091】
さらに本実施形態においては、筒状フレーム32とガスケット36との間に、音導管16の音道16aと連通する音響調整用の第2密閉空間C2が形成されているので、この第2密閉空間C2を、ピーク音圧を発生させる周波数成分を取り除くノッチフィルタとして機能させることができる。そしてこれにより、音響フィルタを設けることを必要とせずに、ピーク音圧を低減させることができる。
【0092】
ただし、本実施形態に係る挿入型イヤホン10は、その音導管16に音響フィルタ44が設けられた構成となっている。このように第2密閉空間C2と音響フィルタ44とが併用された構成とすることにより、音響フィルタ44の弊害(すなわち小音量での聴取時に篭ったような音質になってしまうという弊害)を実質的に問題のないレベルまで抑えるとともに第2密閉空間C2の形成を容易化した上で、ピーク音圧の低減を図ることができる。
【0093】
その際、第2密閉空間C2は、筒状フレーム32の内周面とガスケット36との間に形成された第2主空間C2Aと、筒状フレーム32の端面とガスケット36の端面との間において第2主空間C2Aと音道16aとを連通させるように形成された第2連通路C2Bとからなっているので、周波数成分の選択性を高めることができ、これによりノッチフィルタとして機能を高めることができる。
【0094】
なお、上記実施形態に係る挿入型イヤホン10は、背圧調整用の第1密閉空間C1および音響調整用の第2密閉空間C2のいずれもが形成されているものとして説明したが、このような構成とする代わりに、背圧調整用の第1密閉空間C1のみが形成されていて、音響調整用の第2密閉空間C2は形成されていない構成とすることも可能である。そして、このようにした場合においても、低音域における聴感上の音量感を十分に確保するとともに、十分にメリハリのある音質を得ることが可能である。あるいは、このような構成とする代わりに、音響調整用の第2密閉空間C2のみが形成されていて、背圧調整用の第1密閉空間C1は形成されていない構成とすることも可能である。このようにした場合においても、第2密閉空間C2を、ピーク音圧を発生させる周波数成分を取り除くノッチフィルタとして機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本願発明の一実施形態に係る挿入型イヤホンを示す側断面図
【図2】図1の要部詳細図
【図3】上記挿入型イヤホンをその主要構成要素に分解して示す分解斜視図
【図4】上記挿入型イヤホンのレシーバ本体がそのガスケットに挿入固定される際の様子を示す斜視図
【図5】上記レシーバ本体を単品で示す側断面図
【図6】上記挿入型イヤホンの作用を説明するための図であって、音圧レベル周波数特性を示す図(その1)
【図7】上記挿入型イヤホンの作用を説明するための図であって、音圧レベル周波数特性を示す図(その2)
【符号の説明】
【0096】
10 挿入型イヤホン
12 レシーバユニット
14 イヤーチップ
16 音導管
16a 音道
20 筐体
22 スペーサ
24 フレキシブルプリント基板
26 プラグ付ケーブル
26a 結び目
26b リード線
32 筒状フレーム
32a 小径円筒部
32b 端面
32c 基端部
32d U字溝
34 内筒部材
34a フランジ部
36 ガスケット
36A 円筒部
36B 端面壁
36a 環状リブ
36b 切欠き部
36c レシーバ本体収容部
36d 切欠き部
36e 連通孔
36f 凹溝
36g 端面リブ
38 キャップ
40 ケーブル引出し部材
40A 環状部
40B ケーブル収容部
40a 突起部
42 ワッシャ
44 音響フィルタ
46 両面テープ
50 レシーバ本体
52 ダイヤフラム
54 駆動ユニット
56 ハウジング
58 放音ノズル
58A 先端部
58B 基端部
62 矩形フレーム
64 トップハウジング
64a 放音孔
66 ボトムハウジング
66a 小孔
68 アーマチャ
70 アーマチャフレーム
72 ボビン
74 マグネット
76 磁性ホルダ
78 励磁コイル
80 連結片
82 端子部材
CF 正面空間
CR 背面空間
C1 第1密閉空間
C1A 第1主空間
C1B 第1連通路
C2 第2密閉空間
C2A 第2主空間
C2B 第2連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音導管を有するレシーバユニットと、このレシーバユニットの音導管に装着されたイヤーチップとを備えてなり、上記イヤーチップを外耳道に挿入した状態で使用するように構成された挿入型イヤホンにおいて、
上記レシーバユニットが、レシーバ本体と、このレシーバ本体を収容する筐体とを備えてなり、
上記レシーバ本体が、ダイヤフラムと、このダイヤフラムを振動させる駆動ユニットと、これらダイヤフラムおよび駆動ユニットを収容した状態で、上記ダイヤフラムの両側に正面空間および背面空間を形成するハウジングとを備え、かつ、上記ハウジングに上記正面空間を上記レシーバ本体の外部空間と連通させる放音孔が形成されてなるバランスドアーマチャ型レシーバとして構成されており、
上記レシーバ本体のハウジングに、上記背面空間を上記外部空間と連通させる小孔が形成されており、
上記筐体が、先端部に上記音導管が設けられた筒状フレームと、この筒状フレームの基端部側から該筒状フレームに挿入固定されたガスケットとを備えており、
上記レシーバ本体が、上記放音孔と上記小孔とを隔離する態様で、上記ガスケットに挿入固定されており、
上記ガスケットに、上記放音孔と上記音導管の音道とを連通させる連通孔が形成されており、
上記レシーバ本体と上記筐体との間に、上記小孔と連通するとともに上記音道とは隔離された背圧調整用の第1密閉空間が形成されている、ことを特徴とする挿入型イヤホン。
【請求項2】
上記第1密閉空間が、上記筐体内における上記レシーバ本体よりも基端部側に形成された第1主空間と、上記レシーバ本体と上記ガスケットとの間において上記第1主空間と上記小孔とを連通させるように形成された第1連通路とからなる、ことを特徴とする請求項1記載の挿入型イヤホン。
【請求項3】
上記レシーバ本体のハウジングに、上記放音孔を囲むようにして形成された放音ノズルが取り付けられており、
上記レシーバ本体が上記ガスケットに挿入固定されたとき、上記放音ノズルが上記ガスケットの連通孔に圧入されるように構成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の挿入型イヤホン。
【請求項4】
上記筒状フレームと上記ガスケットとの間に、上記音道と連通する音響調整用の第2密閉空間が形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の挿入型イヤホン。
【請求項5】
上記第2密閉空間が、上記筒状フレームの内周面と上記ガスケットとの間に形成された第2主空間と、上記筒状フレームの端面と上記ガスケットの端面との間において上記第2主空間と上記音道とを連通させるように形成された第2連通路とからなる、ことを特徴とする請求項4記載の挿入型イヤホン。
【請求項6】
上記音導管に音響フィルタが設けられている、ことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の挿入型イヤホン。
【請求項7】
音導管を有するレシーバユニットと、このレシーバユニットの音導管に装着されたイヤーチップとを備えてなり、上記イヤーチップを外耳道に挿入した状態で使用するように構成された挿入型イヤホンにおいて、
上記レシーバユニットが、レシーバ本体と、このレシーバ本体を収容する筐体とを備えてなり、
上記レシーバ本体が、ダイヤフラムと、このダイヤフラムを振動させる駆動ユニットと、これらダイヤフラムおよび駆動ユニットを収容した状態で、上記ダイヤフラムの両側に正面空間および背面空間を形成するハウジングとを備え、かつ、上記ハウジングに上記正面空間を上記レシーバ本体の外部空間と連通させる放音孔が形成されてなるバランスドアーマチャ型レシーバとして構成されており、
上記筐体が、先端部に上記音導管が設けられた筒状フレームと、この筒状フレームの基端部側から該筒状フレームに挿入固定されたガスケットとを備えており、
上記ガスケットに、上記放音孔と上記音導管の音道とを連通させる連通孔が形成されており、
上記筒状フレームと上記ガスケットとの間に、上記音道と連通する音響調整用の密閉空間が形成されている、ことを特徴とする挿入型イヤホン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−193449(P2008−193449A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26347(P2007−26347)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(000107642)スター精密株式会社 (253)
【Fターム(参考)】