説明

排気トップと熱交換器との組み合わせ構造およびこの構造を備えた温水装置

【課題】ドレン水や外部から進入した雨水などの排水構造を簡素とし、かつ製造コストを廉価にすることが可能な熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造を提供する。
【解決手段】ケース2内に伝熱管4を収容した熱交換器HEの排気口23の下部は、ケース2の底壁部20aの端縁部20a’により規定され、底壁部20a上を流れてきたドレン水が排気口23をそのまま通過して排気トップ6内に流入することが可能であり、底壁部20aの端縁部20a’またはこの端縁部20a’の下面には、下向きに突出するフランジ部28が設けられ、排気トップ6は、その一部分がフランジ部28に対向するようにしてケース2に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスなどの気体から熱回収を行なうための熱交換器とこの熱交換器から排出される熱回収後の気体を所定の排気箇所に導いて排気するための排気トップとの組み合わせ構造、およびこの構造を備えた給湯装置などの温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、給湯装置またはその熱交換器の具体例として、特許文献1,2に記載されたものを先に提案している。
【0003】
特許文献1に記載された給湯装置は、バーナを用いて発生させた燃焼ガスが流入するケース内に、熱回収用の伝熱管を収容した熱交換器と、この熱交換器に取り付けられた排気トップとを備えている。前記バーナや熱交換器は、これらを保護するための外装ケース内に収容されている。前記排気トップは、前記熱交換器から排出される熱回収後の排ガスを前記外装ケースの外部に導く役割を果たす。また、前記熱交換器においては、燃焼ガスからの潜熱回収に伴って強酸性のドレン水(凝縮水)が発生するが、このドレン水は、熱交換器のケースの底壁部に設けられている排出口から排出されるように構成されている。したがって、熱交換器のケース内に多くのドレン水が滞留する不具合が適切に回避される。
【0004】
一方、特許文献2に記載された熱交換器は、伝熱管を内部に収容するケースの前部に排気部材が取り付けられ、前記ケースの前面開口部分が前記排気部材によって塞がれた構成を有している。前記排気部材は、たとえば合成樹脂製であり、排ガス用の排気口に加えて、ドレン水用の排水口を有している。
【0005】
しかしながら、前記した特許文献1,2においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0006】
すなわち、特許文献1に記載された給湯装置の排気トップは、熱交換器から発生する排ガスを外装ケースの外部に導いて排出させるものであるため、この排気トップの一部は、外装ケースの外部において開口している。したがって、この開口部分から雨水などの水が排気トップ内に進入する虞がある。このため、排気トップには、内部に進入した水を排出するための排水口を設けることが望まれる。これに対し、特許文献1においては、熱交換器自体にもドレン水用の排出口が設けられている。したがって、熱交換器に設けられたドレン水用の排出口に加えて、排気トップにも排水口を設けたのでは、給湯装置に2系統の排水経路が設けられることとなる。これでは、給湯装置の配管構造が複雑化し、製造コストが高価となる。
【0007】
一方、特許文献2においては、熱交換器を構成する排気部材に設けられた排水口を利用して、ドレン水を外部に排出することが可能であることに加え、排気部材の開口部から雨水などが仮に熱交換器内に進入しても、やはりこの雨水などを前記排水口を利用して外部に排出することが可能である。ところが、この特許文献2においては、排気部材自体が熱交換器のケースの前壁部の役割を果たす構造とされており、ケースの前部に排気部材を取り付ける手段として、排気部材の後部を筒状部として形成し、この筒状部をケースの前部に嵌合させる方式が採用されている。このような嵌合方式を採用したのでは、嵌合部の隙間から燃焼ガスが漏れを生じないように排気部材の後部をケースの前部に精度良く嵌合する筒状に形成する必要が生じる。これでは、金属板にプレス加工を施すなどして排気部材を廉価に製造することが難しく、たとえば排気部材を樹脂成形するといった必要を生じ、
製造コストが高価になり易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−33000号公報
【特許文献2】特開2006−349327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、熱回収に伴って発生するドレン水や外部から進入した雨水などの排水構造を簡素にし、かつ製造コストを廉価にすることが可能な熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造、およびこの構造を備えた温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
本発明の第1の側面により提供される熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造は、給気口および排気口が形成されたケース内に伝熱管が収容されて、前記ケース内に流入して前記伝熱管により熱回収が行なわれた気体が前記排気口を通過するように構成され、かつ前記ケースは、前記熱回収に伴って発生したドレン水を受ける底壁部を有している熱交換器と、前記排気口を通過した気体を、前記熱交換器を囲む外装ケースの外部に導いて排出可能であり、かつ内部への水の進入があったときにこの水を外部に排出することが可能な排水口を有している排気トップと、を備えている、熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造であって、 前記排気口の下部は、前記ケースの底壁部の端縁部により規定され、前記底壁部上を流れてきたドレン水が前記排気口をそのまま通過して前記排気トップ内に流入することが可能に形成されており、前記底壁部の端縁部またはこの端縁部の下面には、下向きに突出するフランジ部が設けられ、前記排気トップは、その一部分が前記フランジ部に対向するようにして前記ケースに取り付けられていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、熱交換器における熱回収に伴ってドレン水が発生した場合には、このドレン水を熱交換器の排気口から排気トップ内に円滑に流入させて排気トップの排水口から外部に適切に排出させることができる。一方、外装ケースの外部から排気トップ内にたとえば雨水の進入があった場合にも、この雨水を前記排水口から適切に排出することができる。したがって、ドレン水用と雨水用との2系統の排水経路を設ける必要がなく、排水用の配管構造を簡素にして製造コストを低減することができる。また、排気トップを熱交換器のケースに取り付ける手段としては、熱交換器のケースに設けられたフランジ部が利用されるために、排気トップと熱交換器のケースとを嵌合させる方式を採用する必要がなく、フランジ部に排気トップの一部を当接させて排気トップと熱交換器との位置決めを図るなどして、排気トップを熱交換器に対して容易に取り付けることができる。排気トップを樹脂製にするといった必要も無い。したがって、全体の製造コストをより低減することが可能である。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記フランジ部は、前記底壁部に一体的に繋がって前記端縁部から下向きに屈曲した第1の屈曲部と、この第1の屈曲部の下端から上向きに屈曲して前記第1の屈曲部に重ね合わされた第2の屈曲部とを有している。
【0014】
このような構成によれば、フランジ部が第1および第2の屈曲部を重ね合わせた構造とされているために、底壁部が仮に薄肉部材の場合であっても、フランジ部全体の厚みを大きくし、その剛性を高くすることが可能である。したがって、このフランジ部を利用して
排気トップを熱交換器に取り付ける場合の取付け強度を高くし、取り付けの信頼性に優れたものとすることができる。また、フランジ部が容易に変形し難くなるため、このフランジ部と排気トップとの間に、凝縮水や気体の漏れの要因となる不当な隙間を生じないようにすることにも好ましいものとなる。さらに、前記フランジ部は、たとえば底壁部を金属板により構成する場合に、この金属板の一部分に屈曲加工を施すことによって容易に形成することが可能であり、その製造は容易である。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ケースは、前記排気口の上部および幅方向両側部を規定する前壁部を有し、かつこの前壁部は、前記第2の屈曲部の上部に一体的に繋がって形成されており、前記排気トップは、前記フランジ部および前記前壁部の前面に対向するように配置されて前記ケースに取り付けられている。
【0016】
このような構成によれば、ケースの前壁部がフランジ部の第2の屈曲部に一体的に繋がっているために、たとえばケースの底壁部を金属板で構成した場合には、フランジ部に加えて、前壁部についても、前記金属板を利用して容易に形成することができる。したがって、製造コストをより低減することが可能である。また、排気トップの一側面部を前記前壁部やフランジ部の前面に重ね合わせれば、排気トップの固定が確実化される他、排気トップと熱交換器のケースとの間に、気体の漏れの原因となる隙間が生じないようにするのにより好ましいものとなる。とくに、前記構成によれば、フランジ部の前面と前壁部の前面とを段差の無い面一状とすることが容易であり、排気トップとの間に隙間を生じ難くし、シール性をより高めることができる。
【0017】
本発明の第2の側面により提供される温水装置は、熱回収対象となる気体の供給手段と、前記気体から熱回収を行なって湯水加熱を行なう熱交換器と、この熱交換器から排出される熱回収後の気体を、前記熱交換器を囲む外装ケースの外部に排気するための排気トップと、を備えている、温水装置であって、前記熱交換器と前記排気トップとの組み合わせ構造として、本発明の第1の側面により提供される熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造が用いられていることを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造について述べたのと同様な効果が得られる。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造を備えた温水装置の一例を示す概略正面断面図である。
【図2】図1に示す温水装置の一部分解要部正面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】図1に示された熱交換器の平面断面図である。
【図5】図1に示された熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造の一部省略分解斜視図である。
【図6】図5に示す熱交換器のケースの製作に用いられる金属板の一例を示す斜視図である。
【図7】図6に示す金属板からケースを製作する過程の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の他の例を示す一部破断要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1〜図7は、本発明が適用された熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造を備えた温水装置およびこれに関連する構成の一例を示している。
本実施形態の温水装置WHは、給湯装置として構成されており、図1〜図3によく表われているように、燃焼器3、1次熱交換器1、2次熱交換器HE、排気トップ6、および温水装置WHの各構成要素を囲んでそれらの保護を図るための外装ケース7を備えている。2次熱交換器HEは、本発明が適用された熱交換器の一例に相当する。
【0023】
燃焼器3は、たとえばガスバーナであり、バーナケース30内に配され、かつ配管32を介して外部から供給される燃料ガスを燃焼させる。バーナケース30内には、ファン31から燃焼用空気が上向きに送風される。1次熱交換器1は、燃焼器3によって発生された燃焼ガスから顕熱を回収するためのものであり、たとえば複数のフィン12を有する複数の伝熱管11がケース10内に配された構成である。
【0024】
2次熱交換器HEは、1次熱交換器1によって顕熱が回収された燃焼ガスからさらに潜熱を回収するためのものであり、1次熱交換器1の上部に載設されている。この2次熱交換器HEは、複数の伝熱管4、これら複数の伝熱管4を内部に収容するケース2、ケース2内に設けられたガイド部材5、および入水用および出湯用の一対のヘッダ48,49を備えている。
【0025】
図4に示すように、複数の伝熱管4のそれぞれは、平面視長円状の螺旋状である。各伝熱管4は、ケース2の左右横幅方向に延びる直状管部40a,40bおよびこれらの両端に繋がった曲管部40c,40dを有する複数のループ部40が、一連に繋がって上下高さ方向に複数の隙間を介して積層した構成である。複数の伝熱管4は、ループ部40の大きさが互いに相違し、かつ略同心の重ね巻き状に配されている。各伝熱管4の下端および上端には、ケース2の一対の側壁部20e,20fのいずれか一方を貫通する延設管体部41,42が繋がっており、これら延設管体部41,42の外端にヘッダ48,49が取り付けられている。図1および図2によく表われているように、ヘッダ49の出湯口49aは、適当な配管99を介して伝熱管11の入水口11aに接続されている。ヘッダ48の入水口48aには、給水管(図示略)が接続される。この給水管から入水口48aに供給された水は、複数の伝熱管4,11を順次通過して加熱され、その後出湯口11bから所望の給湯先に供給される。
【0026】
ケース2は、中空の略直方体状であり、複数の伝熱管4を囲む壁部として、先に述べた一対の側壁部20e,20fに加え、図3に示すように、底壁部20a、上壁部20b、後壁部20c、および前壁部20dを有している。底壁部20aの前側の端縁部20a'には、下向きに突出したフランジ部28が一体的に繋がって設けられている。このフランジ部28は、排気トップ6の取り付けに利用されるが、その詳細は後述する。
【0027】
ケース2の底壁部20aおよび前壁部20dには、給気口21および排気口23が形成されている。給気口21は、1次熱交換器1を上向きに進行してきた燃焼ガスを最内周の伝熱管4の中心の空間部分に流入させるための部分であり、その周縁部には、上向きに起立した起立壁22が形成されている。この起立壁22は、燃焼ガスから潜熱を回収した際に発生するドレン水が伝熱管4から底壁部20a上に流れ落ちた場合に、このドレン水が給気口21に流れ込むことを防止するのに役立つ。
【0028】
ガイド部材5は、給気口21からケース2内に進入した燃焼ガスを、矢印N1で示すように、ケース2内の後部側の第1の空間部24Aに向けて進行させるための部材である。このガイド部材5は、たとえば一対の支持部材52を利用して上壁部20bに吊り下げ固定されている(図1も参照)。ガイド部材5の上部5aは、ケース2の上壁部20bから
離間しており、上壁部20bとの間に隙間25bを形成している。この隙間25bは、伝熱管4の最上段の管体部40a’と上壁部20bとの間に形成された隙間25aと連通している。
【0029】
この熱交換器HEにおいては、前記の矢印N1に示したように、第1の空間部24Aに進行した燃焼ガスが、その後に矢印N2で示すように後壁部20cに衝突するなどしてケース2の前方側に向けて進行し、ケース2内の前部側の第2の空間部24Bに流入してから矢印N4に示すように排気口23を通過する。このような過程において、前記燃焼ガスは、複数の伝熱管4の各部に作用する。燃焼ガスとしては、図4の矢印N3のようにガイド部材5の両側方を通過するものに加え、図3の矢印N3’のように、隙間25a,25bを通過するものも発生する。したがって、隙間25aに対面する最上段の管体部40a’にも燃焼ガスを効率良く作用させて、管体部40a’を有効に利用した熱回収も行なわれる。好ましくは、ガイド部材5には、隙間25bを通過した燃焼ガスを、図3の矢印N3”で示す斜め下方に進行させる傾斜部5dが設けられており、ガイド部材5の近傍に存在する伝熱管4に対しても燃焼ガスが効率良く作用するように構成されている。さらに、ガイド部材5は、図3の矢印N1’に示すように、底壁部20aと最下段の管体部40a”との間に形成された隙間25cにも進行するように設けられ、管体部40a”にも燃焼ガスが効率良く作用するように構成されている。
【0030】
排気口23は、たとえば図2に示すような正面視矩形状である。ただし、前壁部20dの下部寄りに設けられており、この排気口23の下部は、底壁部20aの端縁部(前端縁部)20a'によって規定されている。図3に示すように、底壁部20aは、この底壁部20a上のドレン水が排気口23に向けて流れるように前下がりの傾斜状である。端縁部20a'は、排気口23に向けて流れてきたドレン水を塞き止めることなく、そのまま排気口23に通過させ得るように、その上面はフラット状である。
【0031】
フランジ部28は、ドレン水が排気口23を通過する作用に支障を生じないようにしつつ、ケース2に対する排気トップ6の取り付けを図るための部分である。このフランジ部28は、側面視または側面断面視において偏平なU字状を有する第1および第2の屈曲部28a,28bを備えている。第1の屈曲部28aは、底壁部20aに一体的に繋がり、かつ端縁部20a'から下向きに屈曲した部分である。第2の屈曲部28bは、第1の屈曲部28aの下端から上向きに屈曲して第1の屈曲部28aに接触するようにして重なった部分であり、第1の屈曲部28aに一体的に繋がっている。したがって、フランジ部28の全体が、底壁部20aとは一体的に形成されている。
【0032】
前壁部20dは、第2の屈曲部28bの上部に一体的に繋がっている。したがって、前壁部20dは、フランジ部28と同様に、底壁部20aにも一体的に繋がっている。また、前壁部20dの前面とフランジ部28の前面とは、段差の無い面一状である。
【0033】
ケース2の複数の壁部20a〜20fのうち、上壁部20bを除く全ての壁部は互いに一体的に繋がり、かつフランジ部28とも繋がっている。この点をより詳細に説明すると、図5に示すように、ケース2は、上壁部20bと、この上壁部20b以外の本体部29とに区分することができる。本体部29は、たとえば図6に示すように形成された一枚のたとえばステンレス製の金属板29Aに、プレス加工を施すことにより形成される。同図および後述する図7において、仮想線は、折り曲げ線を示している。また、図1〜図5に示したケース2の各部に対応する箇所には、それら各部と同一の符号、またはそれに「’」が付加された符号を付している。図6に示す金属板29Aにおいて、折り曲げ線L1に沿って部分28a’を矢印N10で示す下方に折り曲げると、金属板29Aは、図7に示すような形態となる(ただし、図7においては、便宜上、折り曲げ線L2の箇所においても折り曲げた状態に示している)。図7に示す形態においては、第1の屈曲部28aが形
成されている。次いで、部分20d’を折り曲げ線L2に沿って矢印N11で示す上向きに折り曲げると、図5に示した前壁部20dが形成される。加えて、第2の屈曲部28bも形成され、フランジ部28の形成が完成する。図7の他の部分20c’,20e’,20f’については、矢印N12〜N14に示すように折り曲げ線L3〜5に沿って上向きに折り曲げることにより、後壁部20cおよび一対の側壁部20e,20fが形成される。
【0034】
図3によく表われているように、排気トップ6は、排気口23を通過した排ガスを外装ケース7の外部に導くためのものであり、筒状部60を有する前側壁部61、後側壁部62、排水口63、および後側壁部62に設けられた係止片64を有している。後側壁部62には、排気口23を通過した排ガスを排気トップ6の内部に流入させるための開口部65が設けられており、この排気トップ6内に流入した排ガスは、筒状部60内を通過して外装ケース7の外部に導かれる。温水装置WHがたとえば屋内に設置された場合、筒状部60には、たとえば図3に示すような排気ダクト90が接続され、この排気ダクト90を経由して前記排ガスは屋外に導かれて排出される。もちろん、本発明においては、排気トップ6に排気ダクト90のような部材を接続しない構成とすることもできる。
【0035】
係止片64は、2次熱交換器HEのフランジ部28に排気トップ6の下部を係止させるための部分であり、この係止片64の下端部は、後側壁部62に接合されている。排気トップ6は、ケース2の前壁部20dおよびフランジ部28の正面に配置された状態でケース2に固定して取り付けられるが、この取り付けに際しては、係止片64の上部と後側壁部62との間に形成された隙間にフランジ部28の下部が挿入される。また、排気トップ6の後側壁部62は、ケース2の前壁部20dに対し、ボルトやビスなどのネジ体98を利用して固定されている。好ましくは、排気トップ6とケース2とが互いに対向する部分には、シール用パッキン(図示略)が介装されて気密シールが図られる。
【0036】
排気トップ6は、排気口23を通過したドレン水が開口部65を通過して内部に流入するように取り付けられている。第2の屈曲部28bの上端は、底壁部20aの端縁部20a'よりも低い高さとされている。これは、排気口23をドレン水が通過する際に、このドレン水の流れを第2の屈曲部28bによって妨げないようにするのに好ましい。また、排気トップ6の開口部65の下端縁は、第2の屈曲部28bの上端よりもさらに低い高さとされている。このことにより、排気口23を通過したドレン水が開口部65を通過して排気トップ6内に流入することの円滑化が図られる。排水口63は、排気トップ6内に流入したドレン水やその他の水(広く液体を含む)を排気トップ6の外部に排出するための部分であり、この排水口63には、排水パイプ(図示略)が接続される。
【0037】
次に、前記した温水装置WHの作用について説明する。
【0038】
排気ダクト90は、屋外への排ガスの排気を行なわせるものであるため、この排気ダクト90内には、たとえば雨水が進入する可能性がある。排気ダクト90内に進入した雨水は、この排気ダクト90内を伝って排気トップ6内に流入する場合があるが、この雨水は、排水口63から適切に排出される。一方、2次熱交換器HEにおいては、既述したように、燃焼ガスからの潜熱回収に伴ってドレン水が発生し、このドレン水が複数の伝熱管4からケース2の底壁部20a上に流れ落ち、排気口23に向けて進行する。排気口23の下部は、上面がフラット状の端縁部20a'により規定されているために、前記ドレン水は、この端縁部20a'によって塞き止められることなく排気口23を円滑に通過し、排気トップ6内に流入する。すると、このドレン水も、前記した雨水と同様に、排水口63から適切に排出される。したがって、この温水装置WHにおいては、雨水用とドレン水用との2つの排水経路を設ける必要がなく、排水系の構成を簡素にすることが可能である。
【0039】
2次熱交換器HEに対する排気トップ6の取り付け手段としては、排気トップ6の後側壁部62をケース2の前壁部20dおよびフランジ部28の前面に当接させる方式が採用されている。このような方式によれば、たとえば排気トップ6の一部をケース2の前部に嵌合させる方式(特許文献2に記載された方式)とは異なり、排気トップ6の形状を簡易なものとすることが可能である。したがって、この排気トップ6を、たとえば板金製として、その製作コストを廉価にすることが容易である。また、ケース2と排気トップ6との接続箇所の気密シールを図ることも容易であり、それらの間にシール用パッキンを挟み込むなどして優れた気密シール性を得ることができる。さらに、複数のネジ体98を利用して排気トップ6をケース2に固定させる場合、ネジ体98を排気トップ6の正面側から締め付ければよいために、その作業性もよい。
【0040】
フランジ部28は、第1および第2の屈曲部28bが重ね合わされた構成であるために、金属板29Aとして比較的薄肉のものが用いられている場合であっても、フランジ部28の剛性を高くすることが可能である。このように、フランジ部28の剛性を高くすれば、このフランジ部28を利用した排気トップ6の取り付け強度を高くすることができる。また、たとえば排気トップ6がシール用パッキンを介してフランジ部28を2次熱交換器HEの後方に向けて比較的強い力で押圧しても、このフランジ部28は容易に後方に変形することがなく、排気トップ6とフランジ部28との間のシール性を良好にすることもできる。本実施形態においては、排気トップ6とケース2との位置合わせは、排気トップ6の係止片64にフランジ部28を係止させることによって行なうことが可能であるため、排気トップ6を取り付ける際の作業性が一層良好となる利点も得られる。2次熱交換器HEのケース2のうち、上壁部20b以外の部分は、図5〜図7を参照して説明したように、一枚の金属板29Aを折り曲げて製作されているために、2次熱交換器HEについても、その製造コストを廉価にすることが可能である。
【0041】
その他、本実施形態においては、ガイド部材5が平面視長円状の伝熱管4の中心部に配置されているが、この中心部は、本来的にはデッドスペースとなり得る部分である。したがって、ガイド部材5をケース2内に組み込む場合のスペース効率性に優れ、2次熱交換器HEの全体サイズを小さくする上で好ましい。また、1次熱交換器1および2次熱交換器HEは、既述したとおり、それらのケース10,7が上下方向において直接重ねられて接続されている。しかも、1次熱交換器1によって熱回収された燃焼ガスは、ケース10内からガイド部材5内にそのまま流入するように構成されている。このため、それら2つの熱交換器1,HEのトータルの高さ寸法を小さくし得るとともに、1次熱交換器1から2次熱交換器HEに燃焼ガスを導くための専用部材を別途用いる必要もなく、温水装置WHの全体構成の簡素化をも図ることができる。
【0042】
図8は、本発明の他の実施形態を示している。本実施形態においては、2次熱交換器のケース2の前壁部20dは、底壁部20aに一体的に繋がっているものの、フランジ部28Aは、底壁部20aとは別体の部材280を用いて構成されている。部材280は、L字断面形状であり、この部材280の一部分は、底壁部20aの端縁部20a'およびその近傍の下面部に溶接またはろう付けされている。このことにより、部材280の他の部分が、底壁部20aの下面から下方に突出したフランジ部28Aとなっている。本実施形態においては、フランジ部28Aの形成方法が前記したフランジ部28とは異なるものの、このフランジ部28Aが果たす役割は、前記したフランジ部28と同様であり、本発明が意図する作用を得ることができる。本実施形態から理解されるように、本発明でいうフランジ部は、ケースの底壁部とは別体の部材を用いて構成することができる。
【0043】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造、およびこれを備えた温水装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0044】
たとえば、熱交換器の伝熱管としては、平面視長円状の螺旋管に代えて、これとは異なる形状の螺旋管、あるいは螺旋管以外の直状管体、蛇行状の管体、蛇腹状の管体など、種々の管体を用いることができる。もちろん、熱交換器としては、前記実施形態のガイド部材5を用いない構成とすることができる。1つのケース内に複数組の伝熱管が組み込まれたいわゆる1缶複数回路方式とすることも可能である。ケースに設けられる排気口は、その下部がケースの底壁部の端縁部により規定されて排気トップ内へのドレン水の流入を可能とするように設けられていればよく、やはりその具体的な形状やサイズは問わない。この排気口は、必ずしも温水装置の正面を向いて開口するように設けられていなくてもよく、たとえば温水装置の背面側を向いて開口するように設けられていてもよい。本発明でいう熱交換器のケースの前壁部とは、温水装置の正面を向く壁部を意味するのではなく、排気口が設けられている壁部を意味する。
【0045】
熱交換器のケースに設けられるフランジ部は、ケースの底壁部の端縁部またはこの端縁部の下面から下向きに突出する形態であればよく、そのサイズなども限定されない。ただし、フランジ部の幅(たとえば図2に示すような正面視の左右方向の幅)は、排気口の下部の幅よりも大きくすることが好ましい。フランジ部には、前記実施形態の係止片64に相当する手段を設けることが好ましいが、やはりこのような手段も省略することができる。フランジ部は、熱交換器に対する排気トップの取り付けに際し、少なくとも排気トップの一部分を対向させるための部分として利用されていればよい。本発明でいう排気トップは、熱交換器の排気口を通過した気体を、熱交換器を囲む外装ケースの外部に導いて排出するための部品または部材を意味し、やはりその具体的な形状なども限定されない。
【0046】
本発明でいう温水装置とは、湯を生成する機能を備えた装置の意であり、一般給湯用、風呂給湯用、暖房用、あるいは融雪用などの各種の給湯装置、および給湯以外に用いられる湯を生成する装置を広く含む概念である。熱回収の対象となる気体としては、燃焼ガス以外として、たとえばコージェネレーション用のガスエンジンや燃料電池からの排ガスを用いることもできる。
【符号の説明】
【0047】
WH 温水装置
HE 2次熱交換器(熱交換器)
2 ケース(熱交換器の)
3 燃焼器(熱回収対象となる気体の供給手段)
4 伝熱管
6 排気トップ
7 外装ケース
20a 底壁部(ケースの)
20a’端縁部
20d 前壁部(ケースの)
21 給気口
23 排気口
28,28A フランジ部
63 排水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気口および排気口が形成されたケース内に伝熱管が収容されて、前記ケース内に流入して前記伝熱管により熱回収が行なわれた気体が前記排気口を通過するように構成され、かつ前記ケースは、前記熱回収に伴って発生したドレン水を受ける底壁部を有している熱交換器と、
前記排気口を通過した気体を、前記熱交換器を囲む外装ケースの外部に導いて排出可能であり、かつ内部への水の進入があったときにこの水を外部に排出することが可能な排水口を有している排気トップと、
を備えている、熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造であって、
前記排気口の下部は、前記ケースの底壁部の端縁部により規定され、前記底壁部上を流れてきたドレン水が前記排気口をそのまま通過して前記排気トップ内に流入することが可能に形成されており、
前記底壁部の端縁部またはこの端縁部の下面には、下向きに突出するフランジ部が設けられ、
前記排気トップは、その一部分が前記フランジ部に対向するようにして前記ケースに取り付けられていることを特徴とする、熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造。
【請求項2】
前記フランジ部は、前記底壁部に一体的に繋がって前記端縁部から下向きに屈曲した第1の屈曲部と、この第1の屈曲部の下端から上向きに屈曲して前記第1の屈曲部に重ね合わされた第2の屈曲部とを有している、請求項1に記載の熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造。
【請求項3】
前記ケースは、前記排気口の上部および幅方向両側部を規定する前壁部を有し、かつこの前壁部は、前記第2の屈曲部の上部に一体的に繋がって形成されており、
前記排気トップは、前記フランジ部および前記前壁部の前面に対向するように配置されて前記ケースに取り付けられている、請求項2に記載の熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造。
【請求項4】
熱回収対象となる気体の供給手段と、
前記気体から熱回収を行なって湯水加熱を行なう熱交換器と、
この熱交換器から排出される熱回収後の気体を、前記熱交換器を囲む外装ケースの外部に排気するための排気トップと、
を備えている、温水装置であって、
前記熱交換器と前記排気トップとの組み合わせ構造として、請求項1ないし3のいずれかに記載の熱交換器と排気トップとの組み合わせ構造が用いられていることを特徴とする、温水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate