説明

排水ます

【課題】配管の自由度を向上させることができ、かつ、配管施工作業の作業性を向上させることができる排水ますを提供することを課題とする。
【解決手段】排水管接続口3と点検掃除口4とトラップ接続口5とを有するドロップます2と、該ドロップます2のトラップ接続口5に一端が回転自在に取り付けられる回転トラップ14とを備えた排水ますにおいて、該ドロップます2には回転脚部6が回転自在に取り付けられており、該回転トラップ14と該回転脚部6とは一緒に回転するようにされている排水ます1を提供する。該回転トラップ14の一端の中心軸Xは、該回転トラップ14の回転角度θが大きくなる方向に該トラップ接続口5の中心軸Yから偏心した位置に設定されており、該回転トラップ14の他端には回転エルボ18が回転自在に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転トラップと回転脚部とを有する排水ますに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転トラップ付きの排水ますとして、小口径ますの底部に、Uトラップのます用挿し口を回動自在に挿入するための若干大径のトラップ用受け口を形成し、該受け口と該挿し口との間に上下方向に設けたブッシュに挟まれたOリングを介在させることにより、該小口径ますに対し該Uトラップを常時回動可能としたトラップますが提供されている(特許文献1参照)。
また従来、トラップ付きのドロップますとして、桝本体の下部にドロップ管用受口を形成し、該ドロップ管用受口にU字形状のトラップを取り付けた宅地等使用の桝が提供されている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】実開昭63−121673号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】実開平1−69890号公報(第1頁、第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来のトラップますでは、小口径ますの底部の略中央、すなわちUトラップの側方に、排水本管用受け口が形成され、該排水本管用受け口に排水本管の挿し口が挿入されて排水本管用流路が形成されるので、常時回動可能としたUトラップであっても、該排水本管用流路によってUトラップの回動角度がかなり制限されることとなり、そのため、配管の自由度が低下して、所望の配管を実現することができない場合があるという問題があった。更に、上記のトラップますでは、配管施工作業の作業性を向上させるために、該排水本管用受け口の下部に脚部を設けることも考えられるが、その場合には、該脚部によってもUトラップの回動角度が制限されることとなり、配管の自由度が更に低下する場合があるという問題があった。
また上記従来の宅地等使用の桝では、桝本体の下部に脚部が設けられていないため、配管施工作業をする際に桝の姿勢が安定せず、配管施工作業の作業性が低下するおそれがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、排水管接続口3と点検掃除口4とトラップ接続口5とを有するます本体2と、該ます本体2のトラップ接続口5に一端が回転自在に取り付けられる回転トラップ14とを備えた排水ますにおいて、該ます本体2には回転脚部6が回転自在に取り付けられており、該回転トラップ14と該回転脚部6とは一緒に回転するようにされている排水ます1を提供するものである。
該回転トラップ14の一端の中心軸Xは、該回転トラップ14の回転角度θが大きくなる方向に該トラップ接続口5の中心軸Yから偏心した位置に設定されていることが望ましい。
また、該回転トラップ14の他端には回転エルボ18が回転自在に取り付けられていることが望ましい。
更に、該ます本体はドロップます2であることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の排水ます1では、ます本体2に取り付けられた回転トラップ14と回転脚部6とが一緒に回転するようにされているので、該回転脚部6によって該回転トラップ14の回転角度θが制限されることがなく、該回転トラップ14の回転範囲を広く確保することができ、そのため、配管の自由度が向上し、所望の配管を実現することが可能となる。
また、本発明の排水ます1では、ます本体2に取り付けられた回転脚部6によってます本体2を支持することができるので、配管施工作業をする際に排水ます1の姿勢を安定させることができ、配管施工作業の作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を図1〜図7に示す一実施例によって説明する。
図1〜図6に示すように、排水ます1のます本体はドロップます2であり、該ドロップます2の側部には上流側の排水管(図示せず)が接続される一つの排水管接続口3が設けられており、該ドロップます2の上部にはドロップます2の内部の点検や掃除をするための点検掃除口4が設けられており、該ドロップます2の下部にはトラップ接続口5が設けられている。
【0008】
該ドロップます2の下部には回転脚部6が取り付けられている。該回転脚部6の上部には偏心継手部7が形成されており、該偏心継手部7の上側受口8の外周面には環状の係止爪9が設けられている。一方、該トラップ接続口5の外周面には環状の係止リブ10が設けられている。そして、該偏心継手部7の係止爪9が該トラップ接続口5の係止リブ10に係止することによって、該回転脚部6は該偏心継手部7を介して該トラップ接続口5に回転自在に取り付けられている。
なお本実施例では、該トラップ接続口5の外周面と該偏心継手部7の上側受口8の内周面との間には、封止用のゴムリング11が介在されており、更に、該ドロップます2の内部において該トラップ接続口5には掃除用の目皿12が上側から嵌着されている(図1および図5参照)。
【0009】
該回転脚部6の偏心継手部7の下側偏心受口13にはU字形状の回転トラップ14の一端が挿入されて接着固定されており、該回転トラップ14の一端は、該回転脚部6の偏心継手部7を介して該ドロップます2のトラップ接続口5に回転自在に取り付けられている。このようにして、該回転トラップ14と該回転脚部6とは一緒に回転するようにされている。
本実施例では、該回転トラップ14の一端の中心軸Xは、該回転トラップ14の回転角度θが大きくなる方向に、すなわち、該排水管接続口3とは反対側の方向に該トラップ接続口5の中心軸Yから偏心した位置に設定されている(図1、図2および図6参照)。
【0010】
該回転脚部6には左右一対の支持脚部15が設けられている。該回転脚部6の前後には切欠き部16が設けられ、該回転脚部6は正面視略U字形状とされている(図3および図4参照)。
そして、該回転脚部6の偏心継手部7に接続された回転トラップ14の一端側の略半分は、該回転脚部6の左右一対の支持脚部15の間に収容された状態とされているとともに、該回転トラップ14の他端側の略半分は、該回転脚部6の切欠き部16から突出した状態とされている(図1および図2参照)。
なお本実施例では、該回転トラップ14の下部には、該回転トラップ14を支持するための支持脚部17が設けられている。
【0011】
該回転トラップ14の他端には回転エルボ18が取り付けられている。該回転トラップ14の他端の外周面には環状の係止リブ19が設けられており、一方、該回転エルボ18の一端の受口20には環状の係止爪21が設けられている。そして、該回転エルボ18の係止爪21が該回転トラップ14の係止リブ19に係止することによって、回転エルボ18の一端は該回転トラップ14の他端に回転自在に取り付けられている。
なお本実施例では、該回転トラップ14の他端の外周面と該回転エルボ18の一端の内周面との間には封止用のゴムリング22が介在されており、また、該回転エルボ18の他端の受口23には下流側の排水管(図示せず)が接続されている。
【0012】
上記の排水ます1を用いて配管施工する場合には、図7に示すように、配管レイアウトに応じて、ドロップます2に対して回転トラップ14と回転脚部6とを一緒に回転させるとともに、該回転トラップ14に対して回転エルボ18を回転させて、排水管接続口3と回転エルボ18の向きを調整し、該排水管接続口3に上流側の排水管を接続するとともに、該回転エルボ18の他端に下流側の排水管を接続する。
【0013】
上記のように、本実施例の排水ます1では、ドロップます2の下部に取り付けられた回転トラップ14と回転脚部6とが一緒に回転するようにされているので、該回転脚部6によって該回転トラップ14の回転角度θが制限されることがなく、該回転トラップ14の回転範囲を広く確保することができ、そのため、配管の自由度が向上し、所望の配管を実現することが可能となる。
また、本実施例の排水ます1では、ドロップます2の下部に取り付けられた回転脚部6の支持脚部15によってドロップます2を支持することができるとともに、回転トラップ14の下部に設けられた支持脚部17によって回転トラップ14を支持することができるので、配管施工作業をする際に排水ます1の姿勢を安定させることができ、配管施工作業の作業性を向上させることができる。
【0014】
また、本実施例では、回転トラップ14の一端の中心軸Xが、該回転トラップ14の回転角度θが大きくなる方向にトラップ接続口5の中心軸Yから偏心した位置に設定されているので、該回転トラップ14の回転範囲をより広く確保することができ、そのため、配管の自由度を更に向上させることができ、所望の配管を確実に実現することが可能となる。
【0015】
更に、本実施例では、回転トラップ14の他端に回転エルボ18が回転自在に取り付けられているので、該回転トラップ14を該ドロップます2に対して回転させるとともに、該回転エルボ18を該回転トラップ14の他端に対して回転させることによって(図7参照)、配管の自由度をより向上させることができ、所望の配管をより確実に実現することが可能となる。
【0016】
また更に、本実施例では、該ます本体がドロップます2であり、排水管接続口3がドロップます2の側部に設けられるとともに、トラップ接続口5がドロップます2の下部に設けられるので、該排水管接続口3によって該回転トラップ14の回転角度θがあまり制限されることがない。
【0017】
以上、本発明の実施の形態を実施例により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
例えば、本実施例以外、図8〜図10に示すように、ます本体2には排水管接続口3が二つ以上設けられていてもよく、その場合、回転トラップ14の一端の中心軸Xをトラップ接続口5の中心軸Yから偏心させる方向は、該回転トラップ14の回転角度θが大きくなる方向とすればよい。
また、本実施例では、トラップ接続口5がます本体であるドロップます2の下部(底部)に設けられたものとして説明したが、本実施例以外、トラップ接続口5はます本体2の側部に設けられていてもよい。すなわち、本発明の排水ますは、従来市販されている一般的なトラップ付き排水ますに広く適用することができる。
更に、本実施例では、回転脚部6と回転トラップ14とが別体であるものとして説明したが、本実施例以外、回転脚部6と回転トラップ14とは一体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、配管の自由度を向上させることができ、かつ、配管施工作業の作業性を向上させることができる排水ますとして、産業上利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】排水ますの説明側断面図である。
【図2】排水ますの側面図である。
【図3】排水ますの正面図である。
【図4】排水ますの背面図である。
【図5】排水ますの平面図である。
【図6】排水ますの底面図である。
【図7】回転トラップ(および回転脚部)と回転エルボを回転させた状態の排水ますの説明底面図である。
【図8】排水ますの他の実施例の底面図である。
【図9】排水ますの更に他の実施例の底面図である。
【図10】排水ますのまた更に他の実施例の底面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 排水ます
2 ます本体(ドロップます)
3 排水管接続口
4 点検掃除口
5 トラップ接続口
6 回転脚部
14 回転トラップ
18 回転エルボ
X 回転トラップの中心軸
Y トラップ接続口の中心軸
θ 回転トラップの回転角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管接続口と点検掃除口とトラップ接続口とを有するます本体と、該ます本体のトラップ接続口に一端が回転自在に取り付けられる回転トラップとを備えた排水ますにおいて、該ます本体には回転脚部が回転自在に取り付けられており、該回転トラップと該回転脚部とは一緒に回転するようにされていることを特徴とする排水ます。
【請求項2】
該回転トラップの一端の中心軸は、該回転トラップの回転角度が大きくなる方向に該トラップ接続口の中心軸から偏心した位置に設定されている請求項1に記載の排水ます。
【請求項3】
該回転トラップの他端には回転エルボが回転自在に取り付けられている請求項1または請求項2に記載の排水ます。
【請求項4】
該ます本体はドロップますである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の排水ます。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−265842(P2006−265842A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81408(P2005−81408)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】