説明

排水ユニット

【課題】機器からドレン管を介して排出されるドレン水を、浴槽パン等の排水口を介して排水管内に排出するための排水ユニットにおいて、当該排水口付近をできるだけ乾燥状態に維持して清潔に保ちながら、機器のドレン管からのドレン水の排出を良好に継続させることができる技術を提供する。
【解決手段】排水口に取り付けられる筒状の本体筒部11と、ドレン管と本体筒部11とを接続して、ドレン管内から受け入れたドレン水Dを本体筒部11内に導く管状の継手部15と、本体筒部11の下端側に設けられ、本体筒部11内から排水管内への排水の流通を許容し、排水管内から本体筒部11内への排水の逆流を阻止する逆止弁19とを備え、本体筒部11の上端側に、当該本体筒部11内のドレン水Dをオーバーフローさせるオーバーフロー用開口部22が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器のドレン管から排出されるドレン水を、排水口を介して排水管内に排出するための排水ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室ユニットにおいて、浴槽が設置される浴槽パンの排水口に通じる浴槽排水管を洗い場側の排水トラップに接続するような排水構造では、浴槽の排水などのような大量の湯水が上記洗い場側の排水トラップに排出されたときに、その湯水が上記浴槽排水管を介して浴槽パンの排水口から溢れ出て、浴槽パンが不潔な状態になる場合がある。
そこで、浴槽パンをできるだけ乾燥状態に維持して清潔に保つための浴室ユニットにおける排水構造として、上記浴槽パンの排水口や浴槽排水管に逆止弁を設け、上記洗い場側の排水トラップから上記浴槽パンの排水口への排水の逆流を阻止するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
例えば浴室に関連する機器であって、ドレン水の排出を行う必要がある機器としては、下記のような潜熱回収型給湯器(例えば、特許文献2を参照。)やミスト装置(例えば、特許文献3を参照。)が知られている。
【0004】
即ち、上記潜熱回収型給湯器は、燃焼ガスの顕熱に加え同燃焼ガス中の水蒸気の凝縮潜熱をも回収して浴室等への給湯を行うように構成されており、当該水蒸気が凝縮して生成される凝縮水等がドレン水として排出される。
一方、上記ミスト装置は、ミストノズルから浴室に温水ミストを噴射して当該浴室をサウナ空間として利用するように構成されており、当該ミストノズルに通じる管内の残留水等がドレン水として排出される。
【0005】
また、これら潜熱回収型給湯器やミスト装置等の機器は、ドレン水の排出を行うためのドレン管を、使用者の目に付かないように、浴室において浴槽が設置される浴槽パン側の排水口付近に端部が位置するように配設して、当該端部から流出したドレン水が、当該浴槽パンに受けられた後に、排水口に流入して排出されるように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−253722号公報
【特許文献2】特開2006−138527号公報
【特許文献3】特開2005−152197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような潜熱回収型給湯器やミスト装置等の機器において、ドレン水の排出を行うためのドレン管の端部を、浴槽パン等の浴室の排水口付近に位置するように配置すると、そのドレン管の端部から流出したドレン水により、浴槽パンの特に排水口付近が濡れてしまって不潔な状態になり易くなる。そこで、ドレン管の端部から流出したドレン水が直接排水口に落とし込まれるように、当該端部を保持具用により上記排水口の上空に保持したとしても、当該流出したドレン水の一部が排水口の縁や目皿に衝突して周囲に飛散する、排水口付近が不潔な状態になり易くなる。
特に、上記ドレン水の排出を行う必要がある機器が複数ある場合には、上記排水口付近ができるだけ濡れないように当該複数の機器の夫々のドレン管の端部を適切に配置することは困難であり、それら複数のドレン管の端部から流出するドレン水により、排水口付近を一層広範囲に濡らしてしまい、一層不潔な状態になり易くなる。
【0008】
また、機器のドレン管の端部から流出するドレン水により浴槽パン等の排水口付近を濡らしてしまうことを防止するために、上記ドレン管を直接浴槽排水管に接続することが考えられる。しかしながら、上述したように浴槽パンを清潔に保つための上記浴槽パンの排水口や浴槽排水管に設けられる逆止弁が閉状態となっているときには、上記ドレン管からのドレン水の排出が堰き止められることになり、機器側へドレン水が逆流する等の問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、機器からドレン管を介して排出されるドレン水を、浴槽パン等の排水口を介して排水管内に排出するための排水ユニットにおいて、当該排水口付近をできるだけ乾燥状態に維持して清潔に保ちながら、機器のドレン管からのドレン水の排出を良好に継続させることができる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る排水ユニットは、機器のドレン管から排出されるドレン水を、排水口を介して排水管内に排出するための排水ユニットであって、その第1特徴構成は、前記排水口に取り付けられる筒状の本体筒部と、
前記ドレン管と前記本体筒部とを接続して、前記ドレン管内から受け入れたドレン水を前記本体筒部内に導く管状の継手部と、
前記本体筒部の下端側に設けられ、前記本体筒部内から前記排水管内への排水の流通を許容し、前記排水管内から前記本体筒部内への排水の逆流を阻止する逆止弁とを備え、
前記本体筒部の上端側に、当該本体筒部内のドレン水をオーバーフローさせるオーバーフロー用開口部が形成されている点にある。
【0011】
上記第1特徴構成によれば、機器からドレン管を介して排出されるドレン水を、上記継手部を介して、浴室の浴槽パン等に設けられた排水口に取り付けられた上記本体筒部内に適切に導くことができるので、ドレン水が排水口付近に飛散することを防止し、当該排水口付近を清潔な状態に維持することができる。
そして、上記逆止弁が、上記本体筒部内から上記排水管内への排水の流通が許容するべく開状態となっているときに、上記本体筒部内に導かれたドレン水を開状態の逆止弁を介して適切に上記排水管内に排出することができる。
一方、上記逆止弁が、洗い場側の排水トラップ等に接続される上記排水管内から上記本体筒部内への逆流を阻止するべく閉状態となっているときには、上記本体筒部内に導かれたドレン水は、上記本体筒部内に滞留し、次に上記逆止弁が開状態となったときに排水管内に排出することができる。更に、上記逆止弁が閉状態となっているときに上記本体筒部内がドレン水で満杯になった場合でも、上記ドレン水を、上記オーバーフロー用開口部を介してオーバーフローさせることができ、機器のドレン管からのドレン水の排出を滞らせることなく良好に継続させることができる。
【0012】
本発明に係る排水ユニットの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記逆止弁が、前記本体筒部に固定される支持部と、前記支持部により片持支持されて前記本体筒部の下端側開口に対して当接及び離間自在な弁体部とで構成されている点にある。
【0013】
上記第2特徴構成によれば、上記逆止弁としては、上記支持部と上記弁体部とで構成された比較的簡単且つ低廉な構成のものを採用することができる。
即ち、例えば浴槽の排水などのような大量の湯水が上記洗い場側の排水トラップに排出されたときに、上記排水管内の圧力が上記本体筒部内の圧力に対して上昇した場合には、上記逆止弁の弁体部が上記本体筒部の下端側開口に当接して当該下端側開口を閉鎖するので、上記排水管内から上記本体筒部内への排水の逆流を適切に阻止することができる。
逆に、例えば上記本体筒部内にドレン水が滞留しているときに、上記本体筒部内の圧力が上記排水管内の圧力に対して上昇した場合には、上記逆止弁の弁体部が上記本体筒部の下端側開口から離間して当該下端側開口を開放するので、上記本体筒部内に導かれたドレン水を適切に上記排水管内に排出することができる。
【0014】
本発明に係る排水ユニットの第3特徴構成は、上記第1乃至上記第2の何れかの特徴構成に加えて、前記オーバーフロー用開口部内の開口断面積が、前記継手部内の流路断面積よりも大きく設定されている点にある。
【0015】
上記第3特徴構成によれば、上記オーバーフロー用開口部を介してドレン水がオーバーフローする際の圧力損失を、上記継手部がドレン水を本体筒部内に導く際の圧力損失に対して適切に小さくすることができる。よって、上記逆止弁が閉状態となり上記本体筒部内がドレン水で満杯になっている場合でも、当該ドレン水を、上記オーバーフロー用開口部を介して良好にオーバーフローさせて、上記継手部に接続された上記ドレン管におけるドレン水の排出を滞らせることなく良好なものとすることができる。
【0016】
本発明に係る排水ユニットの第4特徴構成は、上記第1乃至上記第3の何れかの特徴構成に加えて、前記継手部が、前記本体筒部側の接続部が当該本体筒部の上端側に対して垂直軸回りに回動自在に接続され、前記ドレン管側の接続部が当該ドレン管に対して水平方向に接続されるように構成されている点にある。
【0017】
上記第4特徴構成によれば、上記継手部が、上記本体筒部の上端側から上方に延出した後に水平方向に屈曲する所謂L字状に形成され、更には、本体筒部の上端側に対する接続部が垂直軸回りに回動自在に構成されている。よって、上記ドレン管に対する接続部を、水平方向の任意の方向に向けることができ、例えば上記ドレン管の取り回し及び上記継手部への接続を簡単なものとすることができる。
【0018】
本発明に係る排水ユニットの第5特徴構成は、上記第1乃至上記第4の何れかの特徴構成に加えて、前記本体筒部が、浴槽が設置される浴槽パンの排水口に取り付けられる点にある。
【0019】
上記第5特徴構成によれば、上記本体筒部を浴槽が設置される浴槽パンの排水口に取り付けることで、上述したように当該浴槽パンの排水口付近をできるだけ乾燥状態に維持して清潔に保つことができ、更に、上記逆止弁が閉状態となっているときに上記本体筒部内がドレン水で満杯になり、上記ドレン水が上記オーバーフロー用開口部を介してオーバーフローした場合でも、そのオーバーフローしたドレン水を上記浴槽パンで受けて、別の排水口から排出したり、次に逆止弁が開状態となったときに当該排水ユニットが設けられた排水口から排出することができる。
【0020】
本発明に係る排水ユニットの第6特徴構成は、上記第1乃至上記第5の何れかの特徴構成に加えて、前記継手部として、燃焼ガス中の水蒸気の凝縮潜熱をも回収して浴室への給湯を行う潜熱回収型給湯器のドレン管に接続される給湯器用継手部と、ミストノズルから浴室にミストを噴射するミスト装置のドレン管に接続されるミスト装置用継手部とを備えた点にある。
【0021】
上記第6特徴構成によれば、上記継手部としては一つに限らず複数個設けることができる。
また、浴室に関連する機器としてドレン水の排出を行う必要がある機器としては、上記潜熱回収型給湯器と上記ミスト装置とがあるので、これら夫々の機器のドレン管を接続するための上記給湯器用継手部と上記ミスト装置用継手部とを設けることで、高い汎用性を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る排水ユニットの実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、浴室1において、浴槽パン3上に浴槽2を設置し、浴槽パン3に受けられた排水と洗い場4からの排水とが、排水トラップ5を介して雑排水管6に排出される。
【0023】
また、浴室1には、ドレン水Dの排出を行う必要がある機器として、給湯器30やミスト装置40が設けられており、これら機器の構成について以下に説明する。
【0024】
上記給湯器30は、公知の潜熱回収型給湯器の如く、燃焼ガスの顕熱に加え同燃焼ガス中の水蒸気の凝縮潜熱をも回収して浴室1等への給湯を行うように構成されている。そして、この種の給湯器30では、当該水蒸気が凝縮して発生した凝縮水等がドレン水Dとしてドレン管38を介して排出されることになる。
【0025】
上記給湯器30の構成について説明を加えると、バーナ31でガスを燃焼させて生成された燃焼ガスが流通する燃焼ガス流路32には、当該燃焼ガスの顕熱を回収するための一次熱交換器33と、当該燃焼ガス中の水蒸気の潜熱を回収するための二次熱交換器34とが、燃焼ガスの流れ方向において上流側から順に配置されている。そして、上記二次熱交換器34及び上記一次熱交換器33の順に給水が流通することで、当該給水が上記燃焼ガスの潜熱及び顕熱により加熱されて温水となり、当該温水が給湯管35を介して浴槽2や後述するミスト装置40やその他の給湯部へ供給される。
更に、この給湯器30では、上記二次熱交換器34において燃焼ガス中の水蒸気が凝縮して発生した凝縮水が、上記二次熱交換器34の下方に配置された凝縮水受け36に受けられ、適宜中和器37で中和処理された後に、ドレン管38を通じてドレン水Dとして排出される。
【0026】
一方、上記ミスト装置40は、公知のミスト装置の如く、給湯器30により循環加熱される暖房水(図示省略)を熱源として浴室1の暖房等を行う暖房ユニット41を有する所謂浴室暖房乾燥機として構成されており、更には、ミストノズル42から浴室1に給湯器30から供給された温水のミストを噴射して、当該浴室をサウナ空間として利用するように構成されている。そして、この種のミスト装置40では、当該ミストノズル42に通じる給湯管35内の残留水等がドレン水Dとしてドレン管43を介して排出される。
【0027】
浴槽2を設置する浴槽パン3には、略円形の浴槽排水口7と、浴槽排水口7に流入した排水を受ける排水受け8とが設けられており、排水受け8が浴槽排水管9を介して排水トラップ5に接続されている。
即ち、浴槽排水口7から排水受け8に流入した排水は、上述した浴槽排水管9を通じて排水トラップ5及び雑排水管6側に排出される。
【0028】
更に、この浴槽排水口7には、上述した上記給湯器30や上記ミスト装置40の夫々のドレン管38,43を通じて排出されたドレン水Dを、適切に浴槽排水口7を介して排水トラップ5及び雑排水管6側に排出するための排水ユニット10が設けられており、この排水ユニット10の詳細構成について以下に説明する。
【0029】
図2〜5に示すように、上記排水ユニット10は、浴槽排水口7に取り付けられる比較的高さが低い円筒状の本体筒部11、及び、ドレン管38,43と本体筒部11とを接続して、ドレン管38,43内から受け入れたドレン水Dを本体筒部11内に導く管状の継手部15、及び、本体筒部11の下端側に設けられ、本体筒部11内から浴槽排水管9内への排水の流通を許容し、浴槽排水管9内から本体筒部11内への排水の逆流を阻止する逆止弁19を備えており、更には、本体筒部11の上端側に、当該本体筒部11内のドレン水Dをオーバーフローさせるオーバーフロー用開口部22が形成されている。
また、本実施例においては、継手部15として、上述した潜熱回収型給湯器としての給湯器30のドレン管38に接続される給湯器用継手部15Aと、上述したミスト装置としてのミスト装置40のドレン管43に接続されるミスト装置用継手部15Bとの複数の継手部15が設けられている。
尚、上記ミスト装置40のドレン管43には、上記給湯器30のドレン管38よりも大量のドレン水Dが排出される場合があることから、上記ミスト装置用継手部15B内の流路断面積は、上記給湯器用継手部15A内の流路断面積よりも若干大きめに設定されている。
【0030】
そして、上記のように構成された排水ユニット10を、上記本体筒部11を円形の浴槽排水口7に内嵌させて取り付ける形態で設置し、更に、上述した上記給湯器30や上記ミスト装置40の夫々のドレン管38,43をその排水ユニット10の給湯器用継手部15A及びミスト装置用継手部15Bの夫々に接続する。よって、夫々のドレン管38,43を通じて排出されたドレン水Dは、浴槽排水口7付近に飛散することなく、上記継手部15を介して、浴槽排水口7に取り付けられた上記本体筒部11内に適切に導かれることになる。
【0031】
即ち、上記逆止弁19が、本体筒部11内から浴槽排水管9内への排水の流通が許容するべく開状態となっているとき(図4(a)参照)には、上記本体筒部11内に導かれたドレン水Dは、開状態の逆止弁19を介して適切に上記浴槽排水管9側に排出されることになる。
一方、上記逆止弁19が、浴槽排水管9内から本体筒部11内への逆流を阻止するべく閉状態となっているとき(図4(b)参照)には、上記本体筒部11内に導かれたドレン水Dは、上記本体筒部11内に滞留する。
そして、この本体筒部11内に滞留するドレン水Dは、次に上記逆止弁19が開状態となったときに浴槽排水管9内に排出されるのであるが、もし上記逆止弁19が閉状態のままで上記本体筒部11内がドレン水Dで満杯になった場合でも、そのドレン水Dは、上記オーバーフロー用開口部22を介してオーバーフローするので、ドレン管38,43からのドレン水Dの排出は滞ることなく良好に継続される。
更に、このようにオーバーフロー用開口部22を介して浴槽パン3にオーバーフローしたドレン水Dは、排水トラップ5等の別の排水口から排出されることになる。また、本体筒部11の上端面が上記浴槽パン3の上面と同じ高さになるように、排水ユニット10を浴槽パン3に多少埋め込む状態で設置すれば、次に逆止弁19が開状態となったときに、浴槽パン3にオーバーフローしたドレン水Dを、本体筒部11内に再度受け入れて、当該排水ユニット10が設けられた浴槽排水口7から排出することもできる。
【0032】
更に、上記逆止弁19は、図4及び5を参照して、本体筒部11の外側に設けられた固定部14に固定される支持部20と、支持部20により片持支持されて本体筒部11の下端側開口に対して当接及び離間自在な弁体部21とで構成されている。
具体的に、逆止弁19は、エラストマー等の弾性材料製の略円盤状部材を用い、一端側に本端筒部11の外周付近に形成された開口に係止されて固定される上記支持部20を形成すると共に、他端側を上下に揺動自在な上記弁体部21とするように構成されている。
【0033】
そして、図4(b)に示すように、逆止弁19の下方の排水受け8内の圧力(即ち浴槽排水管9内の圧力)が逆止弁19の上方の本体筒部11内の圧力に対して上昇した場合には、上記逆止弁19の弁体部21が本体筒部11の下端側開口に当接されて当該下端側開口が閉鎖されるので、排水受け8内から本体筒部11内への排水の逆流が適切に阻止される。
また、前述したが、このように逆止弁19が閉状態のままで、上記本体筒部11内がドレン水Dで満杯になった場合には、そのドレン水Dは、上記オーバーフロー用開口部22を介してオーバーフローされることになる。
【0034】
逆に、図4(a)に示すように、本体筒部11内にドレン水Dが滞留しているときに、本体筒部11内の圧力が排水受け8内の圧力(即ち浴槽排水管9内の圧力)に対して上昇した場合には、逆止弁19の弁体部21が本体筒部11の下端側開口から離間されて当該下端側開口が開放するので、本体筒部11内に導かれたドレン水Dが適切に排水受け8内を通じて浴槽排水管9内に排出される。
【0035】
更に、逆止弁19が閉状態となり本体筒部11内がドレン水Dで満杯になっているときでも、上記ドレン管38,43におけるドレン水Dの排出が滞ることがないように、当該ドレン水Dがオーバーフロー用開口部22を介して良好にオーバーフローするように、オーバーフロー用開口部22内の開口断面積の合計は、継手部15内の流路断面積(給湯器用継手部15Aの流路断面積とミスト装置用継手部15Bの流路断面積との合計)よりも大きく設定されている。
【0036】
図2及び図5に示すように、上記本体筒部11は、外周部にフランジ部13が放射状に突出形成され、その外周部の下端側に係止部12が放射状に形成された、例えば樹脂製の成形体として構成されている。
よって、本体筒部11は、浴槽排水口7に内挿されて、そのフランジ部13の下面が浴槽パン3の上面に当接すると共に、下端側外周部に形成された係止部12が浴槽排水口7の下端側縁部に係止されることで、垂直軸回りに回動自在な状態で浴槽排水口7に取り付けることができる。
よって、上記本体筒部11を浴槽排水口7に取り付けるにあたって、複数の継手部15が適切な位置になるように、当該本体筒部11を垂直軸回りに回動させることができる。
【0037】
一方、上記継手部15は、本体筒部11側の接続部16が当該本体筒部11の上端側に対して垂直軸回りに回動自在に接続され、ドレン管38,43側の接続部18が当該ドレン管に対して水平方向に接続されるように構成されている。
具体的には、上記継手部15は、上記本体筒部11の上端側から上方に延出した後に水平方向に屈曲する所謂L字状に形成された、例えば樹脂製の成形体として構成されている。
更に、上記本体筒部11側の接続部16が、上記本端筒部11の上端側に形成された開口に内挿され、その先端に形成された係止部17を当該開口の下端側縁部に係止させて、上記本端筒部11の上端側に、垂直軸回りに回動自在に接続される。
よって、上記継手部15を垂直軸回りに回動させることで、上記ドレン管38,43に接続される接続部18を、水平方向の任意の方向に向けることができ、上記ドレン管38,43の取り回し及びそれらの上記継手部15への接続が簡単なものとなっている。
【0038】
〔別実施形態〕
(1)上記実施の形態では、ドレン管38,43を通じてドレン水を排出する機器として、給湯器30やミスト装置40を例に挙げて説明したが、本発明は、これら機器を限定するものではなく、別の機器のドレン管から排出されるドレン水を、排水口を介して排水管内に排出するように構成することができる。
【0039】
(2)上記実施の形態では、給湯器用継手部15Aとミスト装置用継手部15Bとの2つの継手部15を設けたが、継手部の数は必要に応じて増減可能である。
【0040】
(3)上記実施の形態では、本体筒部11の下端側に設けられた逆止弁19を、本体筒部11の外側に設けられた固定部14に固定される支持部20と、支持部20により片持支持されて本体筒部11の下端側開口に対して当接及び離間自在な弁体部21とで構成したが、逆止弁をフロートにより本体筒部11の下端側開口を閉鎖するように構成するなど、別の構成の逆止弁を採用しても構わない。
【0041】
(4)上記実施の形態では、本体筒部11を比較的高さが低い円筒状なものとしたが、その高さや断面形状等は適宜改変可能である。
また、上記本体筒部の高さを変更することで、逆止弁が閉状態であるときに本体筒部に滞留するドレン水の量を変更することができる。
【0042】
(5)上記実施の形態では、オーバーフロー用開口部22内の開口断面積を、継手部15内の流路断面積よりも大きく設定したが、本体筒部内に滞留するドレン水が良好にオーバーフローし得る範囲内でオーバーフロー用開口部22内の開口断面積を変更しても構わない。
【0043】
(6)上記実施の形態では、継手部15を、本体筒部11側の接続部16が本体筒部11の上端側に対して垂直軸回りに回動自在に接続され、ドレン管38,43側の接続部18がドレン管38,43に対して水平方向に接続されるように構成したが、この継手部の形状及び本体筒部やドレン管に対する接続形態等を適宜変更しても構わない。
【0044】
(7)上記実施の形態では、本体筒部11を浴槽2が設置される浴槽パン3の浴槽排水口7に取り付けるように構成したが、本体筒部11を浴槽内外の別の排水口に取り付けるように構成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る排水ユニットは、機器からドレン管を介して排出されるドレン水を、浴槽パン等の排水口を介して排水管内に排出するための排水ユニットであって、当該排水口付近をできるだけ乾燥状態に維持して清潔に保ちながら、機器のドレン管からのドレン水の排出を良好に継続させることができるものとして有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】浴室におけるドレン水の排水状態及び排水ユニットの設置状態を示す図
【図2】排水ユニットを排水口に設置した状態を示す側断面図
【図3】排水ユニットの平面図
【図4】排水ユニットにおける逆止弁の開閉状態を示す立断面図
【図5】排水ユニットの分解斜視図
【符号の説明】
【0047】
1:浴室
2:浴槽
3:浴槽パン
6,9:排水管
7:排水口
10:排水ユニット
11:本体筒部
15:継手部
15A:給湯器用継手部
15B:ミスト装置用継手部
16,18:接続部
19:逆止弁
20:支持部
21:弁体部
22:オーバーフロー用開口部
30:給湯器
40:ミスト装置
38,43:ドレン管
D:ドレン水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のドレン管から排出されるドレン水を、排水口を介して排水管内に排出するための排水ユニットであって、
前記排水口に取り付けられる筒状の本体筒部と、
前記ドレン管と前記本体筒部とを接続して、前記ドレン管内から受け入れたドレン水を前記本体筒部内に導く管状の継手部と、
前記本体筒部の下端側に設けられ、前記本体筒部内から前記排水管内への排水の流通を許容し、前記排水管内から前記本体筒部内への排水の逆流を阻止する逆止弁とを備え、
前記本体筒部の上端側に、当該本体筒部内のドレン水をオーバーフローさせるオーバーフロー用開口部が形成されている排水ユニット。
【請求項2】
前記逆止弁が、前記本体筒部に固定される支持部と、前記支持部により片持支持されて前記本体筒部の下端側開口に対して当接及び離間自在な弁体部とで構成されている請求項1に記載の排水ユニット。
【請求項3】
前記オーバーフロー用開口部内の開口断面積が、前記継手部内の流路断面積よりも大きく設定されている請求項1又は2に記載の排水ユニット。
【請求項4】
前記継手部が、前記本体筒部側の接続部が当該本体筒部の上端側に対して垂直軸回りに回動自在に接続され、前記ドレン管側の接続部が当該ドレン管に対して水平方向に接続されるように構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の排水ユニット。
【請求項5】
前記本体筒部が、浴槽が設置される浴槽パンの排水口に取り付けられる請求項1〜4の何れか一項に記載の排水ユニット。
【請求項6】
前記継手部として、燃焼ガス中の水蒸気の凝縮潜熱をも回収して浴室への給湯を行う潜熱回収型給湯器のドレン管に接続される給湯器用継手部と、ミストノズルから浴室にミストを噴射するミスト装置のドレン管に接続されるミスト装置用継手部とを備えた請求項1〜5の何れか一項に記載の排水ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−38384(P2008−38384A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211146(P2006−211146)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000145471)株式会社十川ゴム (28)
【出願人】(592026554)大洋化学株式会社 (26)
【Fターム(参考)】