説明

排水処理装置及び排水処理装置の洗浄方法

【課題】洗浄効果及び洗浄効率を向上させることができる排水処理装置の洗浄方法及び排水処理装置を提供する。
【解決手段】ろ過槽1と、ろ過槽1に充満されるろ材2と、ろ材2に、被ろ過物を含む被処理水を流通させるろ過流路20と、ろ材2に、ろ材洗浄用流体を流通させる洗浄流路21とを備え、ろ材2に被処理水を通過させることにより、被ろ過物をろ材2に付着させて被処理水から被ろ過物を除去し、ろ材2にろ材洗浄用流体を通過させることにより、ろ材2を洗浄する排水処理装置である。洗浄用流体導入通路4aにろ材洗浄用流体生成手段22を設ける。ろ材洗浄用流体生成手段22は、マイクロバブル発生器7と、洗浄用流体導入ポンプ6とからなり、液体と気泡状とした気体との2相からなるろ材洗浄用流体を発生させて、ろ過槽1からろ材洗浄用流体を導入して、ろ材2へろ材洗浄用流体を流通させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水をろ過させて処理するとともに、ろ材洗浄用流体をろ材に通過させて、ろ材を洗浄することができる排水処理装置及び排水処理装置の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ろ過槽内にろ材を充填してろ層を形成した排水処理装置(ろ過装置)は、ろ過槽に原水を導入して処理水を取り出すろ過処理工程と、ろ材を洗浄するための洗浄工程とを交互に行っている。すなわち、ろ過処理工程は、被処理水に含まれる被ろ過物を、ろ材に付着させて除去するため、長期間ろ過処理工程を行うと、ろ材に付着する被ろ過物が蓄積される。これにより、ろ材の処理能力が低下するため、ろ材を洗浄する工程が必要となる。
【0003】
ろ材の洗浄工程では、一般的に、ろ過槽の下方から洗浄用の流体(例えば水)を導入し、ろ過槽の上方から洗浄排水を導出する、いわゆる逆洗が行われる(特許文献1)。特許文献1のろ材の洗浄方法は、逆洗水として、ろ過後の処理水を用いる。その際、逆洗水に対して殺菌剤を添加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−175342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1のように、殺菌剤を用いてろ材を洗浄する方法では、ろ材に付着した被ろ過物と殺菌剤とを反応させるものであるため、被ろ過物の組成によっては、ろ材内部に付着した被ろ過物を除去できないものもある。また、被ろ過物と殺菌剤とを反応させる反応時間を要するため、洗浄時間に長時間を要するという問題があった。特に、ろ材が繊維にて構成されている場合は、繊維同士が密接に絡み合っており、繊維同士の隙間が微小であるため、ろ材内部の被ろ過物を、ろ材外に排出することが難しく、ろ材の内部にまで十分な洗浄効果を発揮することができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みて、洗浄効果及び洗浄効率を向上させることができる排水処理装置の洗浄方法及び排水処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の排水処理装置は、密閉空間を有するろ過槽と、このろ過槽に内装され、ろ過槽の上下方向中間部に充満されるろ材と、前記ろ材に、被ろ過物を含む被処理水を流通させるろ過流路と、前記ろ材に、ろ材洗浄用流体を流通させる洗浄流路とを備え、前記ろ過流路の被処理水導入通路を介してろ過槽内に被処理水を導入し、前記ろ材の上方側から下方側に被処理水を通過させることにより、被ろ過物をろ材に付着させて被処理水から被ろ過物を除去し、前記洗浄流路の洗浄用流体導入通路を介してろ過槽内にろ材洗浄用流体を導入し、前記ろ材の下方側から上方側にろ材洗浄用流体を通過させることにより、前記ろ材を洗浄する排水処理装置であって、前記洗浄用流体導入通路にろ材洗浄用流体生成手段を設け、前記ろ材洗浄用流体生成手段は、マイクロバブル発生器と、このマイクロバブル発生器の上流側に配置されてマイクロバブル発生器に液体を供給する洗浄用流体導入ポンプとからなり、前記マイクロバブル発生器にて、液体と気泡状とした気体との2相からなるろ材洗浄用流体を発生させて、前記ろ過槽の底壁側から前記ろ材洗浄用流体を導入して、ろ材の下方側から上方側へろ材洗浄用流体を流通させるものである。
【0008】
本発明の排水処理装置では、ろ材洗浄用流体を、ろ材の下方側から上方側へ流通させる。その際、ろ材洗浄用流体の気体を気泡状として流通させるため、気泡がろ材の内部隙間に入り込んで、ろ材内部に付着した被ろ過物を擦り取ることができる。これにより、ろ材に詰まっている微細な被ろ過物を除去することができる。擦り取られた被ろ過物は、ろ材洗浄用流体を構成する液体にて、ろ材外に強制的に運ばれる。この場合、洗浄用流体導入通路に、マイクロバブル発生器とポンプとからなるろ材洗浄用流体生成手段を設けており、マイクロバブル発生器は浸水していない状態となっている。すなわち、ポンプにて液体を送水すると同時に、マイクロバブル発生器にてマイクロバブルを発生させることができるため、マイクロバブル発生器において、空気吸込穴への浸水により空気流量が低下するのを防止することができる。これにより、ポンプからマイクロバブル発生器までに生じる空気流量の損失がなくなる。ここで、マイクロバブルとは、直径寸法が数μm〜数十μmの体積が小さな微細な気泡をいい、表面積が大きい気泡をいう。マイクロバブルは、通常のミリサイズ以上の気泡とは異なり、長時間水中に残存することができる。
【0009】
前記構成において、前記マイクロバブル発生器は空気吸込穴を備え、この空気吸込孔から気体を吸込んで液体と気体とのろ材洗浄用流体を発生させるものとするのが望ましい。すなわち、いわゆるエジェクタタイプのマイクロバブル発生器を使用し、気体と液体とが共存する状態を乱流にしてマイクロバブルを発生させるものとできる。
【0010】
前記ろ材は、繊維製シートを積層されてなるものとできる。このように、繊維同士が密接に絡み合い、繊維同士の隙間が微小なろ材であっても、ろ材内部の被ろ過物を、ろ材外に排出することができる。
【0011】
前記ろ過槽を複数設け、単一の配管からろ過槽を並列に配設し、この配管に前記ろ材洗浄用流体生成手段を設けることができる。これにより、ろ過槽毎に、ろ材洗浄用流体生成手段を設ける必要がなくなって、単一のろ材洗浄用流体生成手段にて複数のろ過槽を洗浄することができる。
【0012】
本発明の排水処理装置の洗浄方法は、ろ材が上下方向中間部に充満されたろ過槽に、被ろ過物を含む被処理水を供給して、このろ材の上方側から下方側に被処理水を通過させてろ過する排水処理装置における、前記ろ材を洗浄する排水処理装置の洗浄方法であって、液体と、気泡状とした気体との2相からなるろ材洗浄用流体を、前記ろ過槽の底壁側から導入して、ろ材の下方側から上方側へ、前記ろ材洗浄用流体を流通させるものである。
【0013】
本発明の排水処理装置の洗浄方法では、ろ材洗浄用流体を、ろ材の下方側から上方側へ流通させる。その際、ろ材洗浄用流体の気体を気泡状として流通させるため、気泡がろ材の内部隙間に入り込んで、ろ材内部に付着した被ろ過物を擦り取ることができる。そして、擦り取られた被ろ過物は、ろ材洗浄用流体を構成する液体にて、ろ材外に強制的に運ばれる。
【0014】
前記構成において、前記ろ材洗浄用流体は、マイクロバブルを含有することができる。これにより、ろ材の微小な隙間にも気泡が入り込んで、被ろ過物を擦り取ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の排水処理装置及び排水処理装置の洗浄方法によれば、ろ材の内部隙間に気泡が入り込んで、ろ材に詰まっている微細な被ろ過物を除去するとともに、被ろ過物が強制的にろ材外部に運ばれるため、洗浄効果及び洗浄効率を向上させることができる。これにより、ろ過処理の効率を向上させることができる。また、洗浄用流体導入通路に、ろ材洗浄用流体生成手段を設けているため、ろ材洗浄用流体導入用ポンプからマイクロバブル発生器までの損失が少なくなり、エネルギーを効率よく使用することができ、低エネルギーで効率よくマイクロバブルを発生させることができる。さらには、既存の装置に取付けが容易であるとの利点もある。
【0016】
エジェクタタイプのマイクロバブル発生器を使用すると、超低圧でマイクロバブルを生成することができる。また、消費動力が少なく、効率よくマイクロバブルを発生できる。さらには、小型であるため、装置全体としてコンパクトなものとなり、また、既存の装置に取付けが容易なものとなる。
【0017】
単一の配管から複数のろ過槽を並列に配設し、この配管に前記ろ材洗浄用流体生成手段を設けると、単一のろ材洗浄用流体生成手段にて複数のろ過槽を洗浄することができて、コストの低減を図ることができるとともに、既存の設備に容易に取り付けができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の排水処理装置を示す模式図である。
【図2】本発明の排水処理装置に使用されるマイクロバブル発生器を示し、(a)は断面図、(b)は正面図である。
【図3】本発明の第2実施形態の排水処理装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態の排水処理装置を示す模式図である。本発明の排水処理装置で処理される被処理水は、被ろ過物(排水時に、被処理水から除去すべきもの)として塩化第二鉄を含む排水である。
【0021】
本発明の第1実施形態の排水処理装置は、密閉空間を有するろ過槽1と、ろ過槽1に内装されるろ材2とを備えている。このろ過槽1には、被処理水を、ろ材2の上方側から下方側に通過させることにより、被ろ過物としての塩化第二鉄をろ材2に付着させるろ過流路20と、ろ材洗浄用流体を、ろ材2の下方側から上方側に通過させることにより、ろ材2を洗浄する洗浄流路21とを備えている。
【0022】
ろ過槽1は、被処理水が導入される略円筒状体であり、その上部には後述する被処理水導入通路5aが設けられるとともに、洗浄用流体排出通路4bが設けられている。また、ろ過槽1の下部には後述する被処理水排出通路5bが設けられるとともに、洗浄用流体導入通路4aが設けられている。
【0023】
ろ材2は、ろ過槽1の上下方向中間部に充満されている。すなわち、ろ材2は、ろ過槽1の上下方向中間部の内周壁に隙間なく充填されており、ろ過槽1に導入された被処理水は、ろ材2を通過することになる。本実施形態では、ろ材2は、繊維製シート(例えばポリプロピレン製繊維シート)を積層したものにて構成されており、ろ材2は、繊維同士が密接に絡み合い、繊維同士の隙間が微小なものとなる。ろ過槽1内の下方には、ろ材支持用の砂利8が充填されており、この砂利上にろ材2が配置されることにより、ろ過槽内にろ材2が支持されている。
【0024】
ろ過流路20は、ろ過槽1へ、被処理水を導入する被処理水導入通路5aと、ろ材2を通過して処理された処理水を排出する被処理水排出通路5bとを有している。被処理水導入通路5aには、被処理水を導入する被処理水導入用ポンプ3が設けられており、被処理水を、ろ材2の上方側から下方側に通過させることにより、塩化第二鉄をろ材2に付着させて、被処理水から塩化第二鉄を除去する。
【0025】
洗浄流路21は、ろ過槽1へ、ろ材洗浄用流体を導入する洗浄用流体導入通路4aと、ろ材洗浄用流体が排出される洗浄用流体排出通路4bとを有している。すなわち、洗浄流路21は、ろ材洗浄用流体を、ろ材2の下方側から上方側に通過させることによりろ材2を洗浄する、いわゆる逆洗を行うための流路である。
【0026】
洗浄用流体導入通路4aには、ろ材洗浄用流体生成手段22が設けられている。ろ材洗浄用流体生成手段22は、マイクロバブル発生器7と、このマイクロバブル発生器7の上流側に配置されてマイクロバブル発生器7に液体(例えば水)を供給する洗浄用流体導入ポンプ6とから構成されている。
【0027】
マイクロバブル発生器7は、空気吸込孔から気体を吸込んで液体と気体とのろ材洗浄用流体を発生させる、いわゆるエジェクタタイプのものとしている。マイクロバブル発生器7は、図2(a)に示すような円柱体であり、円柱体の径方向に沿って延びて、内部に空気を吸入する空気吸込穴10と、円柱体の一方の軸方向端部(図面上左側)に設けられる液体流入口11と、円柱体の他方の軸方向端部(図面上右側)に設けられる吐出口13と、吐出口13の液体流入口側に設けられる引込室14と、液体流入口11と引込室14とに連通し、この液体流入口11より口径が小さい液体流路12と、空気吸込穴10から、引込室14まで連通する気体流路15とを備えている。液体流路12は、図2(b)に示すように、周方向に沿って120°ピッチで3つ配設される。
【0028】
このマイクロバブル発生器7に、空気吸込穴10から気体(例えば空気)を引き込むと、空気は引込室14へ導入される。また、洗浄用流体導入用ポンプ6の作動により、液体流入口11を介して水が吸引されて、液体流路12を通過することにより、その流速が高められる。そして、液体流路12の出口から水を噴出することで、引込室14は負圧領域となる。そして、この引込室14にて水と空気が乱流混合されることにより、水と気泡状となった気体(空気)との2相からなる洗浄用混合流体を発生させるものである。気泡状となった気体はマイクロバブルであり、吐出口13より吐出される。マイクロバブルとは、直径寸法が数μm〜数十μm体積が小さな微細な気泡をいい、表面積が大きい気泡をいう。マイクロバブルは、通常のミリサイズ以上の気泡とは異なり、長時間水中に残存することができる。
【0029】
次に、本発明の排水処理装置のろ材を洗浄する方法は、ろ材洗浄用流体生成手段22にて、液体(例えば水)と気泡状となった気体(マイクロバブル)との2相からなるろ材洗浄用流体を発生させる。そして、洗浄用流体導入通路4aを介して、ろ過槽1の底壁側から洗浄用混合流体を導入して、ろ材2の下方側から上方側へろ材洗浄用流体を流通させる。このとき、ろ材洗浄用流体の気体を気泡状として(マイクロバブルとして)流通させるため、マイクロバブルがろ材2の内部隙間に入り込んで、ろ材内部に付着した被ろ過物を擦り取ることができる。これにより、ろ材2に詰まっている微細な被ろ過物を除去することができる。擦り取られた被ろ過物は、ろ材洗浄用流体を構成する液体にて、ろ材外に強制的に運ばれ、洗浄用流体排出通路4bからろ過槽1の外部に排出される。
【0030】
この場合、洗浄用流体導入通路4aに、ろ材洗浄用流体生成手段22を設けており、マイクロバブル発生器7は浸水していない状態となっている。すなわち、ポンプ6にて液体を送水すると同時に、マイクロバブル発生器7にてマイクロバブルを発生させることができるため、マイクロバブル発生器7において、空気吸込穴10への浸水により空気流量が低下するのを防止することができる。これにより、ポンプ6からマイクロバブル発生器7までに生じる空気流量の損失がなくなる。
【0031】
本発明では、気泡が繊維状のろ材2の内部隙間に入り込んで、繊維状のろ材2に詰まっている微細な被ろ過物を除去することができるため、洗浄効果を向上させることができる。これにより、ろ過処理の効率を向上させることができる。また、ろ材洗浄用流体導入用ポンプ6からマイクロバブル発生器7までの損失が少なくなり、エネルギーを効率よく使用することができ、低エネルギーで効率よくマイクロバブルを発生させることができる。
【0032】
エジェクタタイプのマイクロバブル発生器7を使用すると、超低圧でマイクロバブルを生成することができる。また、消費動力が少なく、効率よくマイクロバブルを発生できる。さらには、装置が小型であるため、既存の装置に取付けが容易である。
【0033】
次に、図3は本発明の第2実施形態の排水処理装置を示し、この場合、ろ過槽21を複数設けており、本実施形態では第1〜第3の3つのろ過槽21a〜21cを設けている。第1ろ過槽21aに充填されているろ材22aは砂であり、第2ろ過槽21bに充填されているろ材22bはポリプロピレンであり、第3ろ過槽21cに充填されているろ材22は活性炭としている。
【0034】
被処理水をろ過するろ過流路は、第1〜第3のろ過槽21a〜21cにおいて、直列的に繋がっている。すなわち、被処理水導入用のポンプ3を作動させることにより、被処理水は、配管23を介して第1ろ過槽21aに導入され、第1ろ過槽21aにてろ過された被処理水は、配管24を流通して第2ろ過槽21bに導入される。第2ろ過槽21bにてろ過された被処理水は、配管25を流通して第3ろ過槽21cに導入され、第3ろ過槽21cにてろ過された被処理水は、配管26を介して外部に排出される。
【0035】
洗浄流路は、ろ材洗浄用流体を導入する洗浄用流体導入通路27と、ろ材洗浄用流体が排出される洗浄用流体排出通路29a、29b、29cとを備えている。洗浄用流体導入通路27は、単一の配管28と、第1の分岐部28a、第2の分岐部28b、第3の分岐部28cとで構成されており、夫々の分岐部28a〜28cに、第1〜第3のろ過槽21a〜21cが接続されている。これにより、単一の配管28から3つのろ過槽21a〜21cが並列に配設されることになる。夫々の分岐部28a〜28cには、配管内の流体の流通の許容又は規制の切り替えを行う第1〜第3のバルブ30a〜30cが設けられるとともに、配管28の分岐部間に、第4、第5のバルブ30d、30eが設けられている。そして、単一の配管28に、ろ材洗浄用流体生成手段22が設けられている。第1〜第3のろ過槽28a〜28cには、夫々弟1〜第3の洗浄用流体排出通路29a〜29cが設けられている。
【0036】
これにより、例えば、第2ろ過槽21bのろ材22bのみを洗浄する場合は、第2のバルブ30b及び第5のバルブ30eを開状態とし、第1、第3、第4のバルブ30a、30c、30dを閉状態とする。これにより、ろ材洗浄用流体は、第2ろ過槽21bのみに導入されて、ろ材22bが洗浄される。そして、ろ材22bを流通したろ材洗浄用流体は、第2の洗浄用流体排出通路29bから、第2ろ過槽21bの外部に排出される。
【0037】
このように、第2実施形態の排水処理装置でも、前記第1排水処理装置と同様の作用効果を奏する。特に、単一の配管28から3つのろ過槽21a〜21cを並列に配設し、配管28にろ材洗浄用流体生成手段22を設けると、ろ過槽毎に、ろ材洗浄用流体生成手段22を設ける必要がなくなって、単一のろ材洗浄用流体生成手段22にて複数のろ過槽を洗浄することができる。これにより、コストの低減を図ることができるとともに、既存の設備に容易に取り付けができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、ろ材2の材質、被処理水、被ろ過物は任意のものとすることができる。第2実施形態の排水処理装置において、ろ過槽21の数は任意のものとでき、バルブ30を制御して複数のろ過槽21を同時に洗浄することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
1、21 ろ過槽
2、22 ろ材
4a、28 洗浄用流体導入通路
5a、23 被処理水導入通路
6 流体導入ポンプ
7 マイクロバブル発生器
20 ろ過流路
21 洗浄流路
22 ろ材洗浄用流体生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉空間を有するろ過槽と、
このろ過槽に内装され、ろ過槽の上下方向中間部に充満されるろ材と、
前記ろ材に、被ろ過物を含む被処理水を流通させるろ過流路と、
前記ろ材に、ろ材洗浄用流体を流通させる洗浄流路とを備え、
前記ろ過流路の被処理水導入通路を介してろ過槽内に被処理水を導入し、前記ろ材の上方側から下方側に被処理水を通過させることにより、被ろ過物をろ材に付着させて被処理水から被ろ過物を除去し、前記洗浄流路の洗浄用流体導入通路を介してろ過槽内にろ材洗浄用流体を導入し、前記ろ材の下方側から上方側にろ材洗浄用流体を通過させることにより、前記ろ材を洗浄する排水処理装置であって、
前記洗浄用流体導入通路にろ材洗浄用流体生成手段を設け、
前記ろ材洗浄用流体生成手段は、マイクロバブル発生器と、このマイクロバブル発生器の上流側に配置されてマイクロバブル発生器に液体を供給する洗浄用流体導入ポンプとからなり、
前記マイクロバブル発生器にて、液体と、気泡状とした気体との2相からなるろ材洗浄用流体を発生させて、前記ろ過槽の底壁側から前記ろ材洗浄用流体を導入し、ろ材の下方側から上方側へろ材洗浄用流体を流通させることを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
前記マイクロバブル発生器は空気吸込穴を備え、この空気吸込孔から気体を吸込んで液体と気体とのろ材洗浄用流体を発生させるものとしたことを特徴とする請求項1の排水処理装置。
【請求項3】
前記ろ材は、繊維製シートを積層されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2の排水処理装置。
【請求項4】
前記ろ過槽を複数設け、単一の配管からろ過槽を並列に配設し、この配管に前記ろ材洗浄用流体生成手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項の排水処理装置。
【請求項5】
ろ材が上下方向中間部に充満されたろ過槽に、被ろ過物を含む被処理水を供給して、このろ材の上方側から下方側に被処理水を通過させてろ過する排水処理装置における、前記ろ材を洗浄する排水処理装置の洗浄方法であって、
液体と、気泡状とした気体との2相からなるろ材洗浄用流体を、前記ろ過槽の底壁側から導入して、ろ材の下方側から上方側へ、前記ろ材洗浄用流体を流通させることを特徴とする排水処理装置の洗浄方法。
【請求項6】
前記ろ材洗浄用流体は、マイクロバブルを含有するものであることを特徴とする請求項5の排水処理装置の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−217968(P2012−217968A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89097(P2011−89097)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】