説明

排水出口装置

本発明は、家庭雑排水発生衛生器具用の排水出口装置を提供し、その排水出口装置は、(i)家庭雑排水を導入する入口と、(ii)家庭雑排水を排出する第1と第2の出口(19、21)であって、第1の出口(21)は、排水システムへ接続するように配置され、また第2の出口(21)は、再生利用システムへ接続するように配置される、第1と第2の出口(19、21)と、(iii)水を第1の出口または第2の出口へ選択的に向ける弁であって、第1と第2の位置間で作動自在であり、かつ第1の位置において入口を第1の出口へ接続し、かつ第2の位置において入口を第2の出口へ接続する弁と、および(iv)入口へ嵌るように寸法が決められる栓部材(26)と、を備え、その弁は、栓部材を操作することにより作動自在であるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭雑排水を発生させる衛生器具用の排水出口装置、および、排水出口装置を有する家庭雑排水を発生させる衛生器具の製品に関する。この文脈において、排水出口装置は、衛生器具の製品の排水口への取付け装置であり、また、衛生器具の製品は、限定することなく、浴槽、洗面台または流しを含む。
【背景技術】
【0002】
飲料水の家庭需要の低減の要求が高まっており、同時に、排水の下水への排出量の低減の要求が高まっている。飲料水を家庭で使用すると、浴槽、洗面台および流しを含む衛生器具から大量の家庭雑排水を発生する。家庭雑排水は、再生利用して、飲料水を必要としない他の用途、たとえば、庭の散水に、便器の水洗に、また洗濯機と皿洗い機の適切なサイクルに使用できる。
【0003】
家庭雑排水を収集する既知の方法は、衛生器具により発生される全ての水を貯留タンクへ向けて送ることである。たとえば、家庭雑排水は、排水管への溢流口、および庭用ホースへの出口を有する外部貯水槽に収集されるか、またはその水は、それぞれがポンプの使用を必要とする埋設タンクまたは高架タンクに収集できる。埋設タンクにおいては、水が必要なときにはポンプがタンクから水を送り出し、また高架タンクにおいては、水を貯留するためにポンプがタンクへ水を移送することになる。
【0004】
これらのシステムは、種々の量の汚染物を含有する家庭雑排水を収集する。その結果、貯留タンクは、汚染廃棄物を収集し、かくして、有害物質が家庭雑排水と共に送出されるおそれがある。使用可能な家庭雑排水を発生するために、そのシステムには、排水を清浄化するフィルタおよび/または排水処理ユニットが取付けられる。さらに、この型式のシステムは、新設建物内へ設置する場合においても、また既存建物内の衛生器具へ取付ける場合においても、経済的ではない。
【0005】
他の既知の装置が、多くの家庭用水器具により発生する家庭雑排水を収集するのに使用される。それぞれの器具により生成される家庭雑排水の汚染物濃度はそれぞれ異なっている。その排水は、その装置内の弁により、排水システムまたは再生利用システムへ向けて送られる。したがって、種々の器具により生成される再生利用される家庭雑排水は、その装置により互いに混合され、家庭雑排水の用途が、ある濃度の汚染物を容認できる用途に限定される。また、その装置は、排水システムの家庭からの流出口に接続されるので、その装置を既存の汚水排水システムへ取付けるためには、汚染排水システムにかなりの程度の変更を必要とする。通常、家庭雑排水は、汚水排水システムへ向けて直接送られる。
【0006】
上述のように、従来技術の家庭雑排水システムの場合、排水システム内に弁を設けることが知られており、その弁は、家庭用器具または衛生器具の製品から排水される水の送出先を、家庭雑排水貯留タンク、または直接排水システムに切換えることができる。そのような従来技術の弁の例としては、米国特許第5,313,677号明細書に示されるものがある。ここで、弁には、浴槽の排水管からの水を受容する第1の入口、浴槽の溢流管からの水を受容する第2の入口、下水管へ至る第1の出口、および家庭雑排水貯留タンクへ至る第2の出口が設けられる。その弁は、第1の入口と、第1の出口または第2の出口のみを閉止し、かつ全ての他の部材を開放したままにするように作動する。その弁は、家庭用器具から通じる衛生配管システムの配管に組込まれるように配置され、かつ、複雑なレバーシステムが、その弁の遠隔操作ができるように設けられる。そのような弁の設置は、壁などに隠れている管へのアクセスが必要で、家庭内の既存衛生配管システムの大幅な変更を必要とする。
【0007】
同様な例が、フランス特許出願公開第2830552号明細書に示される。またここでも、この文書は、洗面台や流しのような衛生器具の製品からの出口管に設けられる弁を記述している。またここでも、そのような弁を設置するために、家庭の衛生配管システムを変更しなければならないし、および複雑なプーリーシステムが、衛生器具の製品において、またはその製品内に立っている使用者が遠隔操作できるように、採用される。したがって、これらのいずれの従来技術の文書、衛生器具の製品においてではなく、衛生配管システム内の弁の遠隔操作は、複雑性を益々高める。
【0008】
しかしながら、衛生配管システム自体の変更および、そのような設置された弁の遠隔操作を必要することなく、家庭雑排水を家庭雑排水再生利用システムまたは排水システムへ向けて送る切換を実施することが知られている。特に、ドイツ特許出願公開第19613631号明細書には、衛生器具の製品用の排水出口装置が記載され、その装置は、家庭雑排水を排水システムまたは再生利用システムへの切換ができるように思われる。しかしながら、そのような排水出口装置は、シャワーにおける使用を意図し、したがって、浴槽または流しにおける使用のために排水出口装置により必要であろう出口の閉止もできない。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,313,677号明細書
【特許文献2】フランス特許出願公開第2830552号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第19613631号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、従来技術の上述の欠点を、家庭雑排水発生衛生器具用の排水出口装置を提供することにより解決するものであり、その装置により、衛生器具の製品により生成される家庭雑排水を排水システムまたは家庭雑排水再生利用システムへ向けての選択的な送出ができる。加えて、しかしながら、その排水出口装置を、たとえば、浴槽または流しユニットにおける使用に適切なものにするために、その装置は、衛生器具の製品を水で充満されるために、その製品からの出口の閉止に関しての栓機能を備えるように構成される。家庭雑排水を再生利用システムへ向けて選択的に送出できる機能、および衛生器具の製品用の栓機能の両方を有する排水出口装置の設置は、既存の衛生配管システムの大規模な変更を実施する必要が無い点で、および切換と栓閉止の両方の機能が、衛生器具の製品に位置決めされる排水出口装置により提供されるので、複雑な遠隔操作機構を設ける必要が無い点で、利点を有する。
【0011】
本発明の第1の態様において、家庭雑排水発生衛生器具用の排水出口装置が提供され、その排水出口装置は、
(i)家庭雑排水を導入する入口と、
(ii)家庭雑排水を排出する第1と第2の出口であって、前記第1の出口は、排水システムへ接続するように配置され、また前記第2の出口は、再生利用システムへ接続するように配置される、第1と第2の出口と、
(iii)排水を前記第1の出口または第2の出口へ選択的に向ける弁とを備え、前記弁は、第1と第2の位置間で作動自在であり、前記弁は、前記第1の位置において前記入口を前記第1の出口へ接続し、かつ前記第2の位置において前記入口を前記第2の出口へ接続し、および
(iv)前記弁は、前記入口に嵌るように寸法が決められる栓部材をさらに有し、前記弁は、前記栓部材を操作することにより作動自在であるように配置される。
【0012】
好都合には、排水出口装置は、家庭雑排水発生衛生器具の製品へ直接取付けできるので、その衛生器具の一体部分である。排水出口装置に弁を有することにより、その装置が使用される毎に使用者による装置の弁の操作が容易になる。その水に汚染物が殆どなければ、再使用のために再生利用システムへ向けて送出され、代わりに、再使用するには多すぎる汚染物を含有するならば、排水システムへ向けて送出される。
【0013】
その弁は、両方の出口が閉止される第3の位置を有することができる。好都合には、排水出口装置は、水の流出を防止する一体式の弁を有する。
【0014】
好都合には、その弁を操作する手段が、排水出口装置に位置決めされ、したがって、その手段の設置が容易である。
【0015】
その弁は、それらの位置のそれぞれの間で回転自在であるように配置されるスリーブを有することできる。他の配置においては、その弁は、スリーブを弁内で上下に操作できるであろう。
【0016】
そのスリーブには、第1と第2のポートが備えられるだろうし、第1のポートは、第1の位置において第1の出口と整合するように配置され、また第2のポートは、第2の位置において第2の出口と整合するように配置される。
【0017】
その弁は、スリーブを内蔵するハウジングを備えることができ、およびスリーブは、スリーブが回転するときにハウジングの長さ方向に沿って変位自在であるように配置されることができる。
【0018】
排水出口装置は、衛生器具の製品の開口の周辺縁部へ排水出口装置を固定するように配置されるフランジをさらに備えることができる。それらのフランジは、周辺縁部の両側に位置決めされる内側フランジと外側フランジを備えることができる。好都合には、この配置により、排水出口装置と、装置が装着される衛生器具との間に水密シールが生成される。ハウジングは、ハウジングへ固定され、かつ中で第1のスリーブが回転する別のスリーブを備えることができる。外側フランジは、別のスリーブの一部分を備えることができる。外側フランジは、開口の周辺縁部の下側へ固定し、かつハウジングの一部分を備える。別のスリーブは、好ましくはネジによりハウジングへ固定できる。
【0019】
排水出口装置は、それらの位置のそれぞれを識別するように配置される触覚手段をさらに備えることができる。好都合には、使用者は、弁のそれぞれの位置を識別できる。触覚手段は、好ましくは、2個のスリーブ間に位置決めされるバネ入りの窪みおよび対応する切欠きである。
【0020】
第2の出口は、両出口であることができる。これは、第2の出口の一方のみを再生利用システムへ接続される必要があるので、排水出口装置の再生利用システムへの接続を容易にする。
【0021】
第1の出口は、一体型トラップを備えることができる。好都合には、排水出口装置は、標準トラップを排水出口装置へ取付けることなく、排水システムへ直接取付けることができる。
【0022】
第1の出口は、溢流口へ接続する手段をさらに備えることができる。排水出口装置は、溢流管へ直接接続できる差口(spigot)を有する。
【0023】
本発明の第2の態様において、水を保持する容器、および水を容器から排出する排水出口装置を有する家庭雑排水発生衛生器具の製品が提供され、排水出口装置は、
(i)家庭雑排水の流入用の入口であって、容器内に位置決めされ、かつ重力の影響を受けて容器から水を受容するのに使用されるように配置される入口と、
(ii)家庭雑排水を排出する第1と第2の出口であって、第1の出口は、排水システムへ接続するように配置され、また第2の出口は、再生利用システムへ接続するように配置される、第1と第2の出口と、
(iii)水を入口から第1の出口または第2の出口へ選択的に向ける弁とを備え、その弁は、第1と第2の位置間で作動自在であり、その弁は、第1の位置において入口を第1の出口へ接続し、かつ第2の位置において入口を第2の出口へ接続し、および
(iv)その弁は、入口に嵌るように寸法が決められる栓部材をさらに有し、その弁は、栓部材を操作することにより作動自在である。
【0024】
好都合には、排水出口装置は、家庭雑排水が再生利用目的に直ちに必要ないならば、衛生器具製品により発生される家庭雑排水をその製品内に貯留させる。
【0025】
本発明の第3の態様は、衛生器具の製品用の排水出口装置を提供し、その排水出口装置は、
水を排水システムへ排出する第1の出口と、
水を再生利用システムへ排出する第2の出口と、および
排水出口装置制御部材であって、排水出口装置用の3種類の作動モードの1種類、すなわち
i)第1の出口から水を排出されるモード、
ii)第2の出口から水を排出させるモード、または
iii)排水出口装置からの排出を阻止するモード、を選択的に提供するように配置され、使用者により直接手動で操作自在である排水出口装置制御部材と、を備える。
【0026】
幾つかの他の好ましい特徴と態様が、従属請求項に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に従って構成される排水出口装置に実施態様、およびそのような排水出口装置を有する家庭雑排水発生器具の製品を、図面を参照し、例示のみを目的として、ここに説明する。
【0028】
図面を参照すると、図1は、排水機具の出口1へ嵌められる第1の実施態様に従う排水出口装置を示す。排水出口装置は、排水システムへの接続用の排水出口5、再生利用システムへの接続用の再生利用出口7、および外側スリーブ13用の収納空間を有するハウジング3を備える。外側スリーブ13は、ハウジング3へ固定され、かつほぼ円筒形である。内側スリーブ25が、外側スリーブ13内に設けられる。図2は、排水出口5、再生利用出口7、および内側と外側のスリーブ13、25の相対的位置を示す。
【0029】
外側スリーブ13は、内側スリーブ25と密着嵌合し、および2個のスリーブは、相補的な形状のものであり、内側スリーブ25は、外側スリーブ13内で手動回転自在である。図3〜6に示されるように、内側スリーブ25は、ハウジングと外側スリーブの開口と重なる幾つかのポートを有して、器具内の水を排水出口5または再生利用出口7へ向けて送出するか、もしくは水が排水出口装置を通過するのを阻止する。ハウジング3、内側スリーブ25および外側スリーブ13の機構は、弁として機能する。
【0030】
ハウジング3は、外側スリーブ13のベースに位置決めされる固定ボス9、および出口1の周辺縁部の下側へ固定するハウジングフランジ11をさらに備える。外側スリーブ13は、出口1の周辺縁部の上側へ固定するスリーブフランジ15も有する。排水出口装置は、外側スリーブ13のベースを通して固定ボス9中に通るネジ17により、出口の周辺縁部へ固定される。ネジ17が締付けられると、それらのフランジは、互いに当接して周辺縁部の両側を挟持する。同一のネジ17は、外側スリーブ13をハウジング3へ固定もする。
【0031】
ハウジング3は、スリーブ13、25用の収納空間を排水出口5と再生利用出口7へ相互接続する開口を有する。外側スリーブ13の側壁には、排水開口19および再生利用開口21が設けられる。排水開口19は、排水出口5へ接続するハウジング内の開口と整合し、および再生利用開口21は、再生利用出口7へ接続する開口と整合する。
【0032】
内側スリーブ25は、外側スリーブ13と密着嵌合する。そのスリーブは、栓部材として機能する蓋26を有する。握り35が、蓋の上端部に設けられ、その握りは、排水出口装置を手で操作するのに有用である。内側スリーブ25の側壁は、排水ポート29、再生利用ポート31、および複数の入口ポート27を有する。内側スリーブ25は、外側スリーブ13の先細周辺縁部(tapered rim)16へ形状が対応する先細肩部(tapered
shoulders)34を有する。内側スリーブ25のベースは、傾斜構成部分33を有する。外側スリーブ13は、対応する傾斜構成部分23を有する。内側スリーブ25が外側スリーブ13内で回されると、2箇所の傾斜構成部分23、33が相互作用して、内側スリーブが外側スリーブ内で上昇する。
【0033】
図1に示されるように、蓋26は、スリーブフランジ15の表面に押付けられ、および入口ポート27は、出口1の周辺縁部の下方に位置するので、器具内に含まれる水は、排水出口装置に流入できない。事実、蓋上の排水の圧力は、蓋26およびスリーブフランジ15の表面間に形成される水密シールを維持するであろう。先細周辺縁部(tapered rim)14と先細肩部(tapered
shoulders)24は、そのシールの有効性を高める。水が内側スリーブ25に流入したならば、2箇所のポート29、31のいずれも、排水開口19または再生利用開口21と整合しないので、水は、排水出口5または再生利用出口7へ流入しないであろう。
【0034】
図3において、内側スリーブ25は、排水出口装置を排水出口5へ開放する第1の位置に回されている。この位置において、外側スリーブ25と内側スリーブ13の傾斜構成部分23と33との間の相互作用により、内側スリーブが上昇している。蓋26は、スリーブフランジ15から分離されているので、ここで入口ポート27は、出口1の周辺縁部の上方に位置し、および排水ポート29は、排水開口19と整合される。ここで、器具内の水は、入口ポート27を通して内側スリーブ25に流入できる。ついで水は、内側スリーブ25から排水出口5に流入できる。図4は、排水ポート29と排水出口19の配置を示す。
【0035】
図5に示される位置において、内側スリーブ25は、排水出口装置を再生利用出口7へ開放する第2の位置に回されている。この位置において、外側スリーブ25と内側スリーブ13の傾斜構成部分23と33との間の相互作用により、内側スリーブが上昇している。蓋26は、スリーブフランジ15から分離されているので、ここで入口ポート27は、出口1の周辺縁部の上方に位置し、および再生利用ポート31は、再生利用開口21と整合される。ここで、器具内の水は、入口ポート27を通して内側スリーブ25に流入できる。ついで水は、内側スリーブ25から再生利用出口7に流入できる。図6は、再生利用ポート31と再生利用入口21の配置を示す。
【0036】
排水出口装置を操作することにより、使用者は、水を排水システムまたは再生利用システムへ向けて送出することができる。排水出口装置は、使用者が、弁を操作して排水システムまたは再生利用システムへ弁を開放できるように、構成される。弁が開放されると、使用者は、排水出口装置を操作して、他の開放位置まで動かすか、または弁を閉止することができる。
【0037】
再生利用システムは、水を再生利用システムへ向けて送出するときに水を再使用するように設計できる。水が再生利用に適切であるが、未だそれが要求されないならば、水は、必要とされるまで器具内に残すことができる。かくして、排水出口装置は、器具を短期間の貯留手段に変換する。
【0038】
排水出口装置は、既存の家庭器具へ取付けできる。先ず、家庭器具が既存の排水出口装置を有するならば、その装置が除去される。ついで排水出口5が、既存の排水システムへ嵌められ、および再生利用出口7の一端部が、再生利用システムへ接続される。再生利用出口7の他端部は、閉止される(他の実施態様において、再生利用出口7は一端部のみを有する)。ハウジングフランジ11は、出口1の周辺縁部と整合され、および外側スリーブ13は、その出口を通過される。外側スリーブ25をボス9へ固定することにより、ハウジングフランジ11およびスリーブフランジ15は、排水出口装置を家庭器具へ固定する。外側スリーブ25がハウジング3へ完全に固定される前に、排水出口19と再生利用出口21は、外側スリーブ13用の収納空間を排水出口5と再生利用出口7と相互接続する開口と整合されることが保証される。ついで内側スリーブ25は、外側スリーブ13に挿入される。
【0039】
図7は、排水出口5へ接続される一体型トラップ37を有する排水出口装置ハウジング3を示す。差口が、排水出口5近くのトラップの一端部に設けられ、その差口は、溢流接続部39へ接続される。図8は、図7に示される線B−Bに沿った同一の排水出口装置の横断面図である。排水出口装置へトラップを事前取付けることにより、既存器具への排水出口装置の取付けが容易になる。図7と8には、ハウジングのみが示されることに留意する。図1〜6に示される内側と外側のスリーブ13、25の同一の配置が、この実施態様において示される。
【0040】
本発明の第2の実施態様を、ここで図9と10を参照して説明する。
【0041】
ここで、第2の実施態様に従う排水出口装置101は、3箇の部材、すなわち上方部材1031、中間部材1032、および下方部材1033が形成される外側スリーブ103を備える。外側スリーブ103の上方部材1031には、フランジ115が設けられる。外側スリーブ103は、形状がほぼ円筒形であり、および衛生器具の製品のベース110内に設けられるほぼ円形の孔に嵌込むように適応される。スリーブ103の上端部に設けられるフランジ115は、衛生器具の製品のベース110の上面に当接して、外側スリーブ103を所定の位置に保持するように機能する。外側スリーブ103の上方部材1031は、クリップ留め接続部材130の手段により中間部材1032へ装着される。封止リング131が、上方部分1031と中間部材1032との間に設けられる。外側スリーブ103の中間部材1032には、排水再生利用システムへ通じる第1の開口107が設けられる。これを考慮して、開口107は、以下では再生利用開口と呼ばれる。別の開口105が、スリーブ103の再生利用開口107と反対側に設けられ、その開口は、既存排水システムへの接続用のものである。かくして、外側スリーブ103には、再生利用開口107と排水開口105の両方が設けられる。これらの開口の両方は、外側スリーブ103の中間部材1032内に設けられる。
【0042】
外側スリーブ103の中間部材1032は、外側スリーブ103のベースまでほぼ延び、かつ端部が開放される。外側スリーブ103の下部開放端部を閉止するために、下方部材1033が設けられ、その部材は、接続部140を経て中間部材1032へ装着するように配置される。その装着は、ネジ締付、セメント接着、またはグルー接着などにより実施できることに留意されたい。封止リング141が、外側スリーブ103の中間部材1032と下方部材1033との間に設けられる。
【0043】
外側スリーブ103の下方部材1033には、下面1034が設けられ、その下面は、外側スリーブ103の円周の内側内方に延びる。下面1034の内側には、直立壁1036が設けられ、その壁は、外側スリーブ103の内側に延び、かつ接続壁1035により接続される。接続壁1035と直立壁1036は共に、断面が倒立U形を形成する。外側スリーブ103の円周の内側に位置決めされる直立壁1036は、中間セクション1032の壁と共に、スリーブ103の底部材内に環状窪み1040を形成し、その窪みは、後述されるように、使用に際して内側スリーブ125の下部セクションを受容する。
【0044】
したがって外側スリーブ103は、衛生器具の製品に排水出口装置を取付けできるフランジ115の形態の適切な接続部を提供し、および既存排水システムと再生利用システムへ衛生配管接続部も提供する。しかしながら、衛生器具の製品からの水を排水システムまたは再生利用システムへの切換を実施するために、また排水出口装置に栓機能を実施させるために、内側スリーブ125が設けられ、そのスリーブは、形状がほぼ円筒形であり、かつ外側スリーブ103内で回転自在であるように外側スリーブ103内に同心に配置される。
【0045】
具体的には、内側スリーブ125は、スリーブ125が外側スリーブ130に挿入されるとき、開口120が外側スリーブ103の開口107および105と配置において同一の高さであるように、スリーブ125に沿う位置において開口120を中に有するほぼ円筒形スリーブから成る。内側スリーブ125の壁は、下方スリーブ部材1033の直立壁1036と中間スリーブ部材1032の壁とにより形成される環状窪み1040中に下方へ延びる。内側スリーブ125の壁の下端部には、受け部分127が設けられ、その受け部分は、スリーブ125が環状部分140中に最大限度まで挿入されるときに、内側スリーブ125を外側スリーブ103内の所定の位置に維持するために、中間部材1032の壁の下面を上に受ける。
【0046】
内側スリーブ125の上端部には、蓋部分126が設けられ、その蓋部分は、外側スリーブ113のフランジ115上にほぼ水平に延びる。蓋部分126内に、複数の排水孔127が形成されて、水をスリーブ125の内部に流入させる。さらに、蓋126へ装着される握り135が設けられ、その握りは、外側スリーブ103内でスリーブ125の回転を実施するために使用者により握ることができる。
【0047】
したがって、スリーブ125は、スリーブ103の内側に取付けられ、かつその中で回動自在である。スリーブ125と外側スリーブ103との間にシールを形成するために、シール1151が、内側スリーブ125の蓋部分126と外側スリーブ103のフランジ部分115との間に設けられ、およびシール122が、内側スリーブ内の開口120の周りに、内側スリーブ125と外側スリーブ103との間に設けられる。
【0048】
操作時、外側スリーブ103内で内側スリーブ125の回転自在の特性により、排水出口装置は、3種類の操作モード、すなわち、装置が取付けられる衛生器具の製品から従来の排水システム中への水の排水、衛生器具の製品から再生利用システム中への水の排水、および衛生器具の製品の出口の栓閉止のモードを提供できる。これらの3種類のモードは、開口120が、排水開口105と整合して水を従来の排水システム中に排水するように、開口107と整合して水を再生利用システム中に排水するように、もしくは開口105または107と整合しないで栓機能を実施するように、内容スリーブ125を回転することにより達成される。この操作は、図10を参照して以下でさらに説明される。
【0049】
特に、図10は、外側スリーブ103内の開口105と107のレベルにおいて、かつ内側スリーブ125内の開口120のレベルにおいて切られた排水出口装置101の断面図である。図10は、開口120が排水開口105と整合され、およびそのような位置において、装置が装着される衛生器具の製品内の水が、内側スリーブ125の蓋部分126内の排水孔127を通して内側スリーブ125の内部に流入し、ついで開口105と整合される開口120を通して出て、従来の排水システムに流入できるように、配向される内側スリーブ125を図示する。かくして、図10に示される位置において、水は、衛生器具の製品から従来の排水システムへ排水できる。
【0050】
衛生器具の製品を栓閉止するために、内側スリーブ125は、好ましくは握り135を使用する手により、開口120が、部分的にでも、排水開口105と整合されないし、かつ部分的にでも、再生利用開口107と整合されない位置まで回される。かくして、たとえば、この図面に示される特定の配置の場合、内側スリーブ125の、いずれかの方向に約90°だけの回転により、回転20は、開口105または107と整合しなくなる。代わりに、開口120は、外側スリーブ103の内壁に面することになり、および開口120の周りのシール122のために、水が流出するのが阻止されることになる。この場合に一旦、内側スリーブ103の内部が、排水孔127を通して充満されると、衛生器具の製品は、有効に栓閉止され、したがって、水で充満されることになる。そのような操作は、浴槽または流しのような衛生器具の製品にとり要求されるのは明らかである。
【0051】
内側スリーブ125の栓閉止位置から、排水出口装置は、開口120が再生利用開口107と整合されるまで、先の回転と同一の方向に内側スリーブ125をさらに回転することにより、水を再生利用システム中に排水するように切換できる。図面に示される特定の配置において、そのような整合は、さらに約90°の回転を必要とする。この場合に開口120は、再生利用開口107と整合するようになり、および衛生器具の製品内に含まれる水は、内側スリーブ125の内部から、再生利用開口107を通して再生利用システムに流入できる。
【0052】
かくして、第1の実施態様におけるように、第2の実施態様により、水を、既存の排水システム中に、または再生利用システム中に排水でき、およびさらに、衛生器具の製品の栓閉止ができる。そのような操作は、内側スリーブの回転により達成される。さらに、これらの3種類の機能は、3種類の機能全てを組込む排水出口装置によって、複雑な遠隔操作機構を備えない比較的コンパクトで確実なユニットにより達成される。
【0053】
さらに、第2の実施態様の排水出口装置101は、図7の排水出口装置ハウジング3にも組込みできるので、一体型トラップを設けることができる。これに関して、外側スリーブ103と内側スリーブ125の機構は、図7と8に示されるハウジング3に使用される。
【0054】
上述の実施態様のいずれかに対する別の変形態様を、以下に説明するように別の実施態様を提供するために実施できる。
【0055】
排水出口装置を器具へ取付ける代わりに、排水出口装置は、家庭器具へ事前取付けできる。そのような事前取付けされる排水出口装置は、一体型トラップと溢流接続部を有することができる。
【0056】
排水出口装置は、ここで説明されるフランジおよびネジの手段以外の手段により家庭器具へ取付けできる。排水出口装置は、家庭器具へセメント接着、またはグルー接着できるであろう。
【0057】
弁を操作する機構は、好ましい実施態様に説明されたものである必要はない。適切な機構を使用でき、たとえば、内側スリーブは、ハウジングに関して垂直方向にのみ、または水平方向にのみ動かすようにすることができる。また内側スリーブは、バネ押し式にできる。
【0058】
第1の実施態様において、蓋部分26は、栓部分として機能する。他の実施態様において、内側スリーブ25は、蓋を有しないであろうし、かくして、別個の蓋部材が、排水出口装置を閉止するのに使用されるであろう。第2の実施態様において、栓機能は、外側スリーブと組合せた内側スリーブにより実施され、それらのスリーブは共に栓部材を形成する。
【0059】
これらの実施態様のいずれにおいても、蓋は、内側スリーブの操作を容易にするために、その上端面に位置決めされる握り35または135を有することができる。排水出口装置は、種々の位置、すなわち、閉止位置、排水システムへの開放位置、および再生利用システムへの開放位置の場所を識別するために、蓋上に表示手段を有することもできる。排水出口装置は、その装置内の弁が、閉止位置または、いずれかの開放位置にあるときに、使用者が検出できる触覚手段を有することもできる。たとえば、内側スリーブ25または125の外面、および外側スリーブ3または103の外面に一連の窪みおよび切欠きが、それぞれ設けられるであろうし、それらの窪みと切欠きは、排水出口装置が種々の位置のいずれかにあるときに相互係合する。
【0060】
好ましい実施態様において、排水出口装置は、内側スリーブ25を回転する使用者により操作自在である。
【0061】
弁を、弁が閉じられるときの第3の位置にあるように説明できることに留意する。
【0062】
加えて、上述の実施態様内で、構成部材間に水密嵌合を形成するシールを、必要に応じて示してきた。しかしながら、当該技術で知られる適切なプラスチック材料から製造される他の実施態様において、そのようなシールは、プラスチック材料が水密シールを形成するに足るものであるので、必要とされない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】閉止位置における弁を有する第1の実施態様に従う排水出口装置の縦断面図である。
【図2】閉止された弁を有する排水出口装置の横断面図である。
【図3】排水システムへ開放された弁を有する排水出口装置の縦断面図である。
【図4】排水システムへ開放された弁を有する排水出口装置の横断面図である。
【図5】再生利用システムへ開放された弁を有する排水出口装置の縦断面図である。
【図6】再生利用システムへ開放された弁を有する排水出口装置の横断面図である。
【図7】排水出口装置用のハウジングの縦断面図であり、そのハウジングは、一体型トラップと溢流接続部を有する。
【図8】線B−Bに沿う図7に示されるハウジングの断面図である。
【図9】第2の実施態様に従う排水出口装置の縦断面図であり、排水システムへ開放される位置にある弁を有する。
【図10】図9の排水出口装置の横断面図である。
【符号の説明】
【0064】
3 ハウジング
5 排水出口
7 再生利用出口
11 出口
13 外側スリーブ
15 スリーブフランジ
17 ネジ
19 排水開口
21 再生利用開口
25 内側スリーブ
29 排水ポート
31 再生利用ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭雑排水発生衛生器具用の排水出口装置であって、
(i)家庭雑排水を導入する入口と、
(ii)家庭雑排水を排出する第1と第2の出口であって、前記第1の出口は、排水システムへ接続するように配置され、また前記第2の出口は、再生利用システムへ接続するように配置される、第1と第2の出口と、
(iii)排水を前記第1の出口または第2の出口へ選択的に向ける弁とを備え、前記弁は、第1と第2の位置間で作動自在であり、前記弁は、前記第1の位置において前記入口を前記第1の出口へ接続し、かつ前記第2の位置において前記入口を前記第2の出口へ接続し、および
(iv)前記弁は、前記入口に嵌るように寸法が決められる栓部材をさらに有し、前記弁は、前記栓部材を操作することにより作動自在であるように配置される、排水出口装置。
【請求項2】
前記栓部材が、前記両方の出口が閉止される第3の位置を有する、請求項1に記載の排水出口装置。
【請求項3】
前記栓部材が、前記それらの位置のいずれかの位置間で回転自在であるように配置される、上述の請求項のいずれかに記載される排水出口装置。
【請求項4】
前記栓部材は、第1と第2のポートを有するスリーブを備え、前記第1のポートは、前記第1の位置において前記第1の出口と整合するように配置され、また前記第2のポートは、前記第2の位置において前記第2の出口と整合するように配置される、請求項3に記載の排水出口装置。
【請求項5】
前記弁は、前記スリーブを内蔵するハウジングをさらに備え、および前記スリーブは、前記スリーブが回転するときに前記ハウジングの長さ方向に沿って変位自在であるように配置される、請求項4に記載の排水出口装置。
【請求項6】
衛生器具の製品の開口の周辺縁部へ前記排水出口装置を固定するように配置されるフランジをさらに備える、上述の請求項のいずれかに記載される排水出口装置。
【請求項7】
前記それらの位置のそれぞれを識別するように配置される触覚手段(tactile means)をさらに備える、上述の請求項のいずれかに記載される排水出口装置。
【請求項8】
前記第2の出口が、両出口である、上述の請求項のいずれかに記載される排水出口装置。
【請求項9】
前記第1の出口が、一体型トラップをさらに備える、上述の請求項のいずれかに記載される排水出口装置。
【請求項10】
前記第1の出口が、溢流口へ接続する手段をさらに備える、上述の請求項のいずれかに記載される排水出口装置。
【請求項11】
水を保持する容器、および前記水を前記容器から排出する排水出口装置を有する家庭雑排水発生衛生器具の製品であって、前記排水出口装置は、
(i)家庭雑排水の流入用の入口であって、前記容器内に位置決めされ、かつ重力の影響を受けて前記容器から水を受容するのに使用されるように配置される入口と、
(ii)家庭雑排水を排出する第1と第2の出口であって、前記第1の出口は、排水システムへ接続するように配置され、また前記第2の出口は、再生利用システムへ接続するように配置される、第1と第2の出口と、
(iii)水を前記入口から前記第1の出口または第2の出口へ選択的に向ける弁を備え、前記弁は、第1と第2の位置間で作動自在であり、前記弁は、前記第1の位置において前記入口を前記第1の出口へ接続し、かつ前記第2の位置において前記入口を前記第2の出口へ接続し、および
(iv)前記弁は、前記入口に嵌るように寸法が決められる栓部材をさらに有し、前記弁は、前記栓部材を操作することにより作動自在である、家庭雑排水発生衛生器具の製品。
【請求項12】
第1の出口が、一体型トラップをさらに備える、請求項11に記載の家庭雑排水発生衛生器具の1製品。
【請求項13】
前記第1の出口が、溢流口へ接続する手段をさらに備える、請求項11または13に記載の家庭雑排水発生衛生器具の製品。
【請求項14】
衛生器具の製品用の排水出口装置であって、
排水を排水システムへ排出する第1の出口と、
排水を再生利用システムへ排出する第2の出口と、および
排水出口装置制御部材であって、前記排水出口装置用の3種類の作動モードのうちの1種類のモード、すなわち
i)前記第1の出口から水を排出させるモード、
ii)前記第2の出口から水を排出させるモード、または
iii)前記排水出口装置からの排出を阻止するモード、を選択的に提供するように配置され、使用者により直接手動で操作自在である排水出口装置制御部材と、を備える排水出口装置。
【請求項15】
前記排水出口装置制御部材には、前記手動の操作を容易にするハンドル部材が設けられる、請求項14に記載の排水出口装置。
【請求項16】
前記排水出口装置制御部材が、前記作動モードを選択するために回転自在に手動操作自在である、請求項14または15に記載の排水出口装置。
【請求項17】
前記排水出口装置制御部材が操作されると、使用者へ作動モードの選択の触覚応答(tactile feedback)を提供するように配置される触覚応答手段をさらに備える、請求項14〜16に記載の排水出口装置。
【請求項18】
前記作動モードは、相互に排他的である、請求項14〜17のいずれかに記載の排水出口装置。
【請求項19】
上述の請求項のいずれかに記載の排水出口装置を備える、家庭雑排水発生衛生器具の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−510287(P2009−510287A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532850(P2008−532850)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003134
【国際公開番号】WO2007/036685
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508094570)
【Fターム(参考)】