排水口装置
【課題】排水口に対して排水口部材を安定した状態で取付けることができるとともに、排水口部材の取付を容易に行うことができる排水口装置を提供する。
【解決手段】排水口装置は、下方に向けて延びる筒状の垂下部104Sと、垂下部104Sの下端から径方向内側に向けて膨出する鍔部104Fとを備えた排水口104に取付けられる。排水口装置は、鍔部104Fに接触する外筒部32を有する排水口部材3を備え、排水口部材3には、外筒部32から下方側に延び、先端側に外周側へと突出する爪部34Nを具備する係止部34が設けられる。鍔部104Fの下部に環状の取付部材2が配置されており、爪部34Nを取付部材2に係止させて、外筒部32と爪部34Nとで鍔部104Fと取付部材2とを挟み込んだ状態とすることで、排水口部材3が鍔部104Fに取付けられる。
【解決手段】排水口装置は、下方に向けて延びる筒状の垂下部104Sと、垂下部104Sの下端から径方向内側に向けて膨出する鍔部104Fとを備えた排水口104に取付けられる。排水口装置は、鍔部104Fに接触する外筒部32を有する排水口部材3を備え、排水口部材3には、外筒部32から下方側に延び、先端側に外周側へと突出する爪部34Nを具備する係止部34が設けられる。鍔部104Fの下部に環状の取付部材2が配置されており、爪部34Nを取付部材2に係止させて、外筒部32と爪部34Nとで鍔部104Fと取付部材2とを挟み込んだ状態とすることで、排水口部材3が鍔部104Fに取付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口に設けられる排水口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、槽体(例えば、浴槽やユニットバスの洗い場等)の排水口装置としては、栓蓋の上下動をガイドする装置を槽体に対して固定すること等を目的として、鍔状のフランジを有する排水口部材を排水口に設けるものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
また近年では、フランジが槽体の表面に顕出してしまうことによる外観品質の低下等を防止するために、排水口の下方に形成された鍔状部分に対して、排水口部材を取付ける手法が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。当該手法によれば、排水口部材に、上側係止部と下側係止部とを備えてなる係止部を設けるとともに、上側係止部を前記鍔状部分の上面に載置する一方で、下側係止部を前記鍔状部分の下面に対して直接係止し、上側係止部及び下側係止部により鍔状部分を挟み込むことで、排水口部材が排水口に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3633336号公報
【特許文献2】特開2010−1678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂製の浴槽等の場合、一般に排水口は、槽体が成形された後に切削加工等の後加工を施すことで形成されるため、排水口の孔径(鍔状部分の内径)が狙いの寸法よりも増減してしまう場合がある。上記特許文献2に記載の技術においては、排水口の孔径が狙いの寸法よりも小さくなってしまうと、鍔部の内周に係止部を挿通させることが困難となってしまい、排水口に対する排水口部材の取付が非常に難しくなってしまう。これに対して、取付作業性を考慮して、排水口の孔径を狙いの寸法よりも若干でも大きくしてしまうと、鍔状部分に対する下側係止部の係り代が不十分となってしまい、排水口部材が排水口から容易に取り外れてしまうおそれがある。すなわち、上記特許文献2に記載の技術においては、排水口の孔径が狙いの寸法から若干でもずれてしまうと、排水口部材の取付安定性や取付作業性が低下してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、排水口の孔径に多少の寸法ずれが生じたとしても排水口に対して排水口部材を安定した状態で取付けることができ、また、排水口部材の取付を容易に行うことができる排水口装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.下方に向けて延びる筒状の垂下部と、前記垂下部の下端から径方向内側に向けて膨出する鍔部とを備えた槽体の排水口に取付けられる排水口装置であって、
前記鍔部に接触する外筒部を有する排水口部材を備え、
前記排水口部材には、前記外筒部から下方側に延び、先端側に外周側へと突出する爪部を具備する係止部が設けられるとともに、
前記鍔部の下部に環状の取付部材が配置されており、
前記爪部を前記取付部材に係止させて、前記外筒部と前記爪部とで前記鍔部と前記取付部材とを挟み込んだ状態とすることで、前記排水口部材が前記鍔部に取付けられることを特徴とする排水口装置。
【0009】
上記手段1によれば、係止部の先端に設けられた爪部が、排水口の鍔部に対して直接的に係止されることなく、鍔部の下部に配置された環状の取付部材に係止される。すなわち、加工に伴い孔径が増減してしまうおそれのある鍔部ではなく、一定の孔径(内径)を有する取付部材に対して爪部を係止させ、爪部が取付部材を介して間接的に鍔部に係止されるように構成されている。従って、排水口の孔径が狙い寸法よりも多少大きなものとなっても、鍔部に対して爪部を直接係止させる場合と比較して、爪部の係り代を十分に確保することができる。その結果、排水口に対して排水口部材を安定した状態で取付けることができる。
【0010】
また、排水口部材の取付安定性を損なうことなく、排水口の孔径に若干の余裕を持たせることができ、さらに、取付部材の孔径が一定であるため、取付部材に対して係止部を困難なく挿通することができる。従って、排水口に対して排水口部材を容易に取付けることができる。
【0011】
尚、係止部の外周に雄ねじを形成するとともに、取付部材の内周に雌ねじを形成し、係止部を取付部材に螺合することで、排水口に対して排水口部材を取付ける手法(例えば、特許第3633336号公報)も考えられるが、当該手法では、取付部材に対する排水口部材の取付(螺合)に著しく手間がかかってしまう。これに対して、上記手段1によれば、取付部材に爪部を係止させることのみで、排水口部材が取付けられる。従って、排水口に対して排水口部材をワンタッチで取付けることができ、取付作業性を飛躍的に高めることができる。
【0012】
手段2.前記取付部材には、上方側に延びるとともに、先端側に外周側に突出する鉤部を具備する引掛部が設けられており、
前記鉤部を前記鍔部に係止させた状態で、前記鍔部の下部に前記取付部材が配置されることを特徴とする手段1に記載の排水口装置。
【0013】
上記手段2によれば、取付部材を鍔部(排水口)に対してより安定した状態で取付けることができ、ひいては取付部材に係止する排水口部材を排水口に対してより一層安定した状態で取付けることができる。また、取付部材を鍔部に対してワンタッチで取付けることができ、一層優れた取付作業性を実現することができる。
【0014】
手段3.前記外筒部は、前記槽体に対する前記引掛部の内周側への相対移動を規制する規制部を備えることを特徴とする手段2に記載の排水口装置。
【0015】
上記手段3によれば、規制部により、引掛部が鍔部から外れてしまうことを効果的に防止することができる。従って、排水口に対する取付部材の取付安定性を一層向上させることができる。
【0016】
手段4.前記外筒部は、前記引掛部を挿入可能な凹部を備え、
前記凹部の内周側に形成される内壁部によって、前記規制部が構成されることを特徴とする手段3に記載の排水口装置。
【0017】
上記手段4によれば、外筒部に凹部を形成し、当該凹部に引掛部を挿入することで、引掛部の相対移動を規制することができる。そのため、別途の規制部を設ける必要がなくなり、製造コストの低減を図ることができる。また、凹部に引掛部を挿入することで、外筒部により引掛部が覆われる形となり、引掛部が外部から視認しにくいものとなる。これにより、外観品質の向上を図ることができる。
【0018】
手段5.前記係止部は、前記外筒部と前記爪部との間に位置する連接部を有するとともに、前記爪部は、前記連接部側に向けて傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部が、前記取付部材に係止されることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水口装置。
【0019】
上記手段5によれば、爪部には傾斜部が形成されており、当該傾斜部が取付部材に対して係止されている。従って、例えば、排水口部材の破損等により排水口から排水口部材を取外す必要が生じた場合に、排水口部材を容易に取外すことができる。
【0020】
また、取付部材を設けることなく、鍔部に対して傾斜部を直接係止させる場合には、排水口の孔径が狙いの寸法より若干でも大きくなってしまうと、鍔部に対して傾斜部が十分に接触せず、排水口部材が上下に動いてしまうおそれがある。これに対して、上記手段1等のように孔径が一定の取付部材を設けることとすれば、取付部材に対して傾斜部をより確実に接触させることができ、排水口部材の上下動をより確実に防止することができる。すなわち、取付部材を設けることは、傾斜部を設けることによるメリット(取外し容易性の向上)を維持しつつ、傾斜部を設けることに伴い生じ得るデメリット(排水口部材の上下動)を解消するという点でも有意である。
【0021】
手段6.前記取付部材は、前記排水口に接続される排水管に設けられることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の排水口装置。
【0022】
上記手段6によれば、排水管の一部である取付部材が外筒部と爪部とで挟まれる形となるため、排水口に対して排水管を安定した状態で接続することができる。
【0023】
また、排水口に対する排水管の接続は一般にねじ止めによって行われるが、上記手段2を採用し、取付部材に引掛部を設けることとすれば、引掛部を鍔部に係止することで、排水管を排水口に対してワンタッチで接続することができる。その結果、排水管を設ける際の取付作業性を飛躍的に向上させることができる。
【0024】
手段7.前記取付部材には、上方側に延びるとともに、先端側に外周側に突出する鉤部を具備する引掛部が設けられており、
前記鉤部を前記鍔部に係止させた状態で、前記鍔部の下部に前記取付部材が配置され、
前記排水管は、前記取付部材が取付けられる筒状の排水管本体を備え、
前記取付部材の外周面に設けられた雄ねじ部が、前記排水管本体の内周面に設けられた雌ねじ部に螺合された状態で、前記排水管本体に前記取付部材が取付けられており、
前記排水管本体の端部と前記鍔部との間には、環状のシール部材が設けられ、
前記排水管本体に対する前記取付部材の螺合量を変更することで、前記シール部材を挟んだ前記排水管本体の端部と前記鍔部との間の距離を変更可能に構成したことを特徴とする手段6に記載の排水口装置。
【0025】
上記手段7によれば、排水管本体に対する取付部材の螺合量を変更し、鍔部に対して排水管本体の端部を接近させることにより、シール部材に対して押圧力を加えた状態で、鍔部及び排水管本体の間をシールすることができる。従って、鍔部と排水管本体との間を安定した状態でシールすることができ、水密性の向上を図ることができる。
【0026】
さらに、上記手段7によれば、特別な治具等を用いることなく、シール部材に対して十分に大きな押圧力を加えることができ、優れたシール性を容易に実現することができる。
【0027】
手段8.前記排水管本体に対する前記取付部材の緩みを防止する緩み防止手段を備えることを特徴とする手段7に記載の排水口装置。
【0028】
手段8によれば、緩み防止手段により、排水管本体に対する取付部材の緩みを防止することができ、シール部材に加えられた押圧力が減少してしまうことを効果的に抑制することができる。従って、排水管本体と鍔部との間をより長期間に亘って安定した状態でシールすることができる。
【0029】
尚、「緩み防止手段」としては、例えば、取付部材の雄ねじ部や排水管本体の雌ねじ部に設けられ、取付部材を排水管本体に螺合した際に変形することで、取付部材の回転を規制する突部を挙げることができる。また、次述する手段9のように、取付部材の外周にシール部材が配置される場合には、取付部材の外周面やシール部材の内周面を断面鋸歯状に形成し、排水管本体から取付部材を螺退させる際のシール部材に対する取付部材の回転抵抗を、排水管本体に対して取付部材を螺進させる際のシール部材に対する取付部材の回転抵抗よりも大きくすることで、「緩み防止手段」を実現することもできる。
【0030】
手段9.前記シール部材は、前記取付部材の外周に配置されるとともに、
前記緩み防止手段は、前記取付部材、及び、前記シール部材のうちの少なくとも一方に設けられ、前記排水管本体から前記取付部材を螺退させる際の前記シール部材に対する前記取付部材の回転抵抗を、前記排水管本体に対して前記取付部材を螺進させる際の前記シール部材に対する前記取付部材の回転抵抗よりも大きくすることを特徴とする手段8に記載の排水口装置。
【0031】
上記手段9によれば、排水管本体に対して取付部材を比較的小さな力で容易に螺合することができるとともに、排水管本体からの取付部材の緩みをより確実に防止することができる。従って、取付作業性の向上を図りつつ、安定したシール性を長期間に亘って維持することができる。
【0032】
手段10.前記鍔部と前記取付部材との間に弾性材料からなる環状のパッキンが設けられることを特徴とする手段1乃至9のいずれかに記載の排水口装置。
【0033】
上記手段10によれば、取付部材と槽体(鍔部)との間の水密性を向上させることができる。また、鍔部の厚さに多少のばらつきがあったとしても、パッキンの弾性により、取付部材ひいては排水口部材の上下方向に沿ったがたつきをより確実に抑制することができる。
【0034】
手段11.前記取付部材は、前記鍔部側に配置される面に弾性変形可能な弾性部を備えることを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の排水口装置。
【0035】
上記手段11によれば、鍔部の厚みに多少のばらつきがあったとしても、弾性部が弾性変形することにより、取付部材を上下方向に沿ったがたつきの少ない安定した状態で鍔部に取付けることができる。その結果、取付部材に係止される排水口部材の上下動をより一層確実に抑制することができる。
【0036】
手段12.前記排水口に設けられる栓蓋と、
前記栓蓋を支持し、前記槽体に対して上下動可能な支持軸とを備えるとともに、
前記排水口部材は、前記外筒部の内周側に、前記支持軸が挿通される内筒部を有し、
前記外筒部は、前記栓蓋の下方に配置されており、
前記栓蓋の閉時において、前記栓蓋の外周縁が前記槽体に対して接触することを特徴とする手段1乃至11のいずれかに記載の排水口装置。
【0037】
上記手段12によれば、栓蓋により排水口部材が隠れる形となるため、排水口部材を外部から視認しにくい状態とすることができる。その結果、外観品質の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】浴槽等を示す斜視図である。
【図2】排水口装置等の構成を示す部分拡大断面図である。
【図3】排水口に設けられた排水口部材等を示す部分拡大平面図である。
【図4】(a)は、図3のJ−J線断面図であり、(b)は、図3のK−K線断面図である。
【図5】排水口装置の取付方法を説明するための斜視図である。
【図6】(a),(b)は、別の実施形態における排水口装置を示す部分拡大断面図である。
【図7】別の実施形態における排水口装置を示す分解斜視図である。
【図8】(a),(b)は、別の実施形態における排水口装置を示す部分拡大断面図である。
【図9】別の実施形態における排水口装置を示す一部破断斜視図である。
【図10】別の実施形態における排水口装置を示す分解斜視図である。
【図11】(a),(b)は、別の実施形態における排水口装置を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態において、排水口装置1は、図2に示すように、取付部材2や排水口部材3、支持軸4等を備えており、槽体としての浴槽100に取付けられている。まず、排水口装置1の説明に先立って、これが取付けられる浴槽100の構造について説明する。
【0040】
浴槽100は、成形品であり、図1に示すように、底壁部101と、当該底壁部101から上方に向かって延びる筒状の側壁部102と、当該側壁部102の上端から外側に向かって延びるフランジ部103とを備えている。
【0041】
また、図3及び図4(a),(b)〔図4(a)は、図3のJ−J線断面図であり、図4(b)は、図3のK−K線断面図である〕に示すように、浴槽100の底壁部101には、浴槽100内の水を排出するための排水口104が形成されている。排水口104は、その上端部全周に、下方に向かって縮径し、断面において外形線が湾曲形状をなす縮径部104Tを備えており、また、排水口104のうち前記縮径部104Tよりも下方には、下方に向けて延び、略同一の内径を有する垂下部104Sと、垂下部104Sの下端から径方向内側に向けて膨出する鍔部104Fとが形成されている。尚、本実施形態では、浴槽100の成形時において、排水口104は有底筒状をなしており、後加工により上述の形状とされている。具体的には、底壁部101において背面側へと突出形成されたカップ状部位(有底筒状部位)の底面部分を切削加工等により環状に切断することで前記排水口104が形成されるようになっている。
【0042】
次いで、排水口装置1の構成について説明する。排水口装置1は、図2に示すように、取付部材2と、排水口部材3と、支持軸4と、栓蓋5と、操作装置6とを備えている。
【0043】
取付部材2は、図4(a),(b)に示すように、環状をなす所定の樹脂(例えば、POM等)により形成されており、前記鍔部104Fの下部において、自身の上面が鍔部104Fの下面と接触するようにして配置されている。また、取付部材2には、上方側に向けて延びる引掛部21が周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、4つ)設けられており、引掛部21の先端側には、径方向外側に突出する鉤部22が設けられている。そして、当該鉤部22が前記鍔部104Fの上面に係止されることで、鍔部104Fに対して取付部材2が取付られている。取付部材2は、図示しない金型装置を用いて、型成形により得られるものであり、その孔径は常に一定である。尚、本実施形態では、取付部材2の下方に排水トラップ(図示せず)が配置されており、当該排水トラップに接続された排水管(図示せず)を通じて排水が行われるようになっている。
【0044】
排水口部材3は、図3(図3において、栓蓋5は不図示)及び図4(a),(b)に示すように、所定の樹脂(例えば、POM等)により形成されており、それぞれ円筒状をなす内筒部31及び外筒部32と、両者を連結するアーム部33と、外筒部32から下方側に延びる係止部34とを備えている。
【0045】
内筒部31は、前記外筒部32の内周側に設けられており、その内部に前記支持軸4が挿通されている。また、内筒部31は、その中心軸が外筒部32の中心軸と一致するように構成されており、ひいては支持軸4及び支持軸4に支持される栓蓋5のそれぞれの中心軸が外筒部32の中心軸と一致するように構成されている。加えて、アーム部33は、外筒部32の内周から径方向内側に向けて延び、周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、4つ)設けられている。
【0046】
外筒部32は、自身の下面が鍔部104F上に載置された状態で配置されている。また、外筒部32の下面には、周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、4つ)の凹部32Hが設けられており、前記引掛部21の先端側が凹部32Hに対して挿入されている。その結果、外筒部32のうち凹部32Hの内周側に形成される内壁部32Iによって、浴槽100に対する引掛部21の内周側への相対移動が規制されるようになっている。
【0047】
さらに、前記係止部34は、周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、4つ)設けられており、自身の先端側に設けられ外周側に突出する爪部34Nと、外筒部32と爪部34Nとの間に位置する連接部34Cとを備えている。そして、前記爪部34Nを取付部材2の下面に係止させて、外筒部32と爪部34Nとにより鍔部104Fと取付部材2とを挟み込むことにより、排水口部材3が鍔部104Fに取付けられている。
【0048】
尚、本実施形態では、爪部34Nに、連接部34C側に向けて傾斜する傾斜部34Tが設けられており、当該傾斜部34Tが、取付部材2の下面に対して係止されている。加えて、連接部34Cは、比較的薄肉に形成されており、その結果、係止部34が径方向内側に向かって比較的容易に撓み変形可能となっている。
【0049】
前記支持軸4は、棒状をなすとともに、その先端部が栓蓋5の背面中央に形成された筒状部位に嵌着されている一方で、その基端部が操作装置6の後述するレリースワイヤ62の他端部に接続されている。また、支持軸4は、排水口部材3の内筒部31に挿通され、内筒部31により浴槽100に対して相対的に上下動可能な状態で支持されている。尚、本実施形態では、支持軸4と内筒部31(排水口部材3)とバネやギア等の部品(図示せず)とを組み合わせることによってスラストロック機構が構成されている。
【0050】
前記栓蓋5は、外筒部32の上方に位置しており、POM等の樹脂からなる蓋部51と、弾性変形可能な素材(例えば、樹脂やEPDMゴム等のゴム)からなる環状のシール部52とを備えている。
【0051】
前記蓋部51は、表面がなだらかに湾曲する傘状部51Aと、当該傘状部51Aの背面内側から下方に向けて延びる筒状の突状部51Bとを備えており、また、突状部51Bの外周面には、前記シール部52が嵌合される環状の溝部51Cが設けられている。
【0052】
加えて、前記シール部52は、外周側に向けて徐々に薄くなるように構成されており、栓蓋5の閉時には、その外周縁の全周が排水口104の縮径部104Tに対して接触するようになっている。尚、本実施形態において、シール部52の外径は、蓋部51(傘状部51A)の外径よりも小さくされるとともに、前記シール部52が取付けられる溝部51Cは、傘状部51Aの直下方に設けられている。そのため、シール部52は蓋部51に隠れる形となり、外部から視認しにくいものとなっている。
【0053】
図2に戻り、前記操作装置6は、浴槽100のフランジ部103に取付けられた操作部61と、当該操作部61に一端部が接続されたレリースワイヤ62とを備えている。
【0054】
操作部61は、押しボタン式であり、遠隔操作により前記栓蓋5を動作させることで、排水口104を開閉させるものである。また、レリースワイヤ62は、操作部61の動きを支持軸4へと伝達するものである。本実施形態においては、操作部61の操作により、レリースワイヤ62を介して上昇端における支持軸4のロックと、ロック解除に伴う支持軸4の下降とが交互に行われ、ひいては操作部61を操作する度に栓蓋5の上昇・下降(排水口104の開閉)が交互に行われるようになっている。
【0055】
次いで、上述した排水口装置1の浴槽100に対する配設手順について説明する。
【0056】
まず、浴槽100に予め形成されたカップ状部分の底壁部を切除することで排水口104を形成する。次いで、浴槽100の背面側から排水口104に対して取付部材2の引掛部21を挿入し、鉤部22を排水口104の鍔部104Fに係止させることで、鍔部104Fの下部に取付部材2を取付ける。
【0057】
次いで、図5に示すように、排水口部材3に組付けられた支持軸4の端部に対してレリースワイヤ62の他端部を連結する。そして、外筒部32に形成された凹部32Hと取付部材2の引掛部21との位置を合わせつつ、排水口部材3の係止部34を鍔部104Fの内周に挿入することで、引掛部21の先端側が凹部32Hに対して挿入されるとともに、爪部34Nが取付部材2の下面に係止される。これにより、外筒部32と爪部34Nとにより鍔部104Fと取付部材2とが挟持された状態となり、排水口部材3が鍔部104Fに取付けられる。そして最後に、支持軸4の先端部に栓蓋5を取付けることで、浴槽100に対する排水口装置1の配設が完了する。
【0058】
以上詳述したように、本実施形態によれば、後加工に伴い孔径が増減してしまうおそれのある鍔部104Fではなく、一定の孔径(内径)を有する取付部材2に対して爪部34Nが係止されている。従って、排水口104の孔径(鍔部104Fの内径)が狙い寸法よりも多少大きなものとなっても、爪部34Nの係り代を十分に確保することができる。その結果、排水口104に対して排水口部材3を安定した状態で取付けることができる。
【0059】
また、排水口部材3の取付安定性を損なうことなく、排水口104の孔径に若干の余裕を持たせることができ、さらに、取付部材2の孔径が一定であるため、取付部材2に対して係止部34を困難なく挿通することができる。従って、排水口104に対して排水口部材3を容易に取付けることができる。
【0060】
さらに、排水口部材3の取付に際しては、取付部材2に爪部34Nを係止させるだけでよく、排水口104に対して排水口部材3をワンタッチで取付けることができる。その結果、取付作業性を飛躍的に高めることができる。
【0061】
加えて、取付部材2には引掛部21が設けられており、当該引掛部21の先端に設けられた鉤部22が鍔部104Fに係止されている。従って、取付部材2を鍔部104F(排水口104)に対してより安定した状態で取付けることができ、ひいては排水口部材3を排水口104に対してより一層安定した状態で取付けることができる。また、取付部材2を鍔部104Fに対してワンタッチで取付けることができ、一層優れた取付作業性を実現することができる。
【0062】
併せて、外筒部32には凹部32Hが形成されており、当該凹部32Hに引掛部21が挿入されることで、浴槽100に対する引掛部21の相対移動が規制されている。従って、引掛部21が鍔部104Fから外れてしまうことを効果的に防止でき、排水口104に対する取付部材2の取付安定性を一層向上させることができる。また、凹部32Hに引掛部21を挿入することで、外筒部32により引掛部21が覆われる形となり、引掛部21が外部から視認しにくいものとなる。これにより、外観品質の向上を図ることができる。
【0063】
また、爪部34Nには傾斜部34Tが形成されており、当該傾斜部34Tが取付部材2に係止されている。従って、排水口104から排水口部材3を取外す必要が生じた場合に、排水口部材3を容易に取外すことができる。
【0064】
尚、鍔部104Fに対して傾斜部34Tを直接係止させてしまうと、鍔部104Fの内径が狙い寸法から大きくなってしまったときに、鍔部104Fに対して傾斜部34Tが十分に接触せず、排水口部材3が上下に動いてしまうおそれがあるが、本実施形態では、孔径が一定の取付部材2に傾斜部34Tが係止されている。従って、傾斜部34Tは取付部材2に対してより確実に接触することとなり、ひいては排水口部材3の上下動をより確実に防止することができる。
【0065】
加えて、本実施形態では、外筒部32が、栓蓋5の下方に配置されており、栓蓋5の閉時において、栓蓋5の外周縁が浴槽100に対して接触するに構成されている。従って、栓蓋5により排水口部材3が隠れる形となり、排水口部材3を外部から視認しにくい状態とすることができる。その結果、外観品質の更なる向上を図ることができる。
【0066】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0067】
(a)上記実施形態において、取付部材2は鍔部104Fに対して直接接触しているが、図6(a),(b)に示すように、鍔部104Fと取付部材2との間に、EPDMゴム等の弾性材料からなる環状のパッキン7を設けることとしてもよい。この場合には、取付部材2と浴槽100との間の水密性を向上させることができる。また、鍔部104Fの厚さに多少のばらつきがあったとしても、パッキン7の弾性により、取付部材2ひいては排水口部材3の上下方向に沿ったがたつきをより確実に抑制することができる。
【0068】
また、上記実施形態では、排水口部材3に組付けられた支持軸4にレリースワイヤ62が連結されているが、レリースワイヤ62が接続された支持軸81を内周にて保持する筒状部材82を排水口部材3の内筒部31に挿通することとしてもよい。
【0069】
さらに、図7に示すように、取付部材112が、鍔部104F側に配置される面に、鍔部104F側へと突出する弾性変形可能な弾性部112Pを一体的に備えることとしてもよい。この場合には、鍔部104Fの厚みに多少のばらつきがあったとしても、弾性部112Pが弾性変形することで、取付部材112を上下方向に沿ったがたつきの少ない安定した状態で鍔部104Fに取付けることができる。その結果、取付部材112に係止される排水口部材3の上下動をより一層確実に抑制することができる。
【0070】
(b)上記実施形態では、取付部材2と排水管(図示せず)との間に排水トラップ(図示せず)が設けられており、排水口104に対して排水管が直接的には接続されてはいないが、排水口104に対して排水管を直接的に接続することとしてもよい。また、この場合には、図8(a),(b)に示すように、排水管105の一端に環状の取付部材106を一体的に設け、排水口部材3の外筒部32と爪部34Nとで取付部材106及び鍔部104Fとを挟み込むことにより、排水口104に対して排水管105を接続することとしてもよい。このように構成することで、排水管105の一部である取付部材106が外筒部32と爪部34Nとで挟まれる形となるため、排水口104に対して排水管105を安定した状態で接続することができる。また、取付部材106の引掛部107に設けられた鉤部108を鍔部104Fに係止することで、排水管105を排水口104に対してワンタッチで接続することができる。その結果、取付作業性の飛躍的な向上を図ることができる。
【0071】
また、図9に示すように、排水管115が、取付部材116と筒状の排水管本体117とを備え、取付部材116の外周面に設けられた雄ねじ部116Mが、排水管本体117の内周面に設けられた雌ねじ部117Fに螺合された状態で、排水管本体117に取付部材116が取付けられるように構成することとしてもよい。さらに、排水管本体117の端部と鍔部104Fとの間に、環状のシール部材118(例えば、ゴム等の弾性材料や粘着材)を設け、排水管本体117に対する取付部材116の螺合量を変更することで、シール部材118を挟んだ排水管本体117の端部と鍔部104Fとの間の距離を変更可能としてもよい。この場合には、特別な治具等を用いることなく、シール部材118に対して十分に大きな押圧力を加えることができ、鍔部104Fと排水管本体117との間において優れたシール性を容易に実現することができる。
【0072】
さらに、図10に示すように、取付部材116の外周面、及び、シール部材118の内周面をそれぞれ断面鋸歯状に形成することで、取付部材116及びシール部材118にいわばラチェット構造の緩み防止手段116A,118Aを設け、当該緩み防止手段116A,118Aにより、排水管本体117から取付部材116を螺退させる際のシール部材118に対する取付部材116の回転抵抗を、排水管本体117に対して取付部材116を螺進させる際のシール部材118に対する取付部材116の回転抵抗よりも大きくなるように構成してもよい。この場合には、排水管本体117に対して取付部材116を比較的小さな力で容易に螺合することができるとともに、排水管本体117からの取付部材116の緩みをより確実に防止することができる。従って、取付作業性の向上を図りつつ、安定したシール性を長期間に亘って維持することができる。
【0073】
尚、上述した緩み防止手段は、取付部材116やシール部材118の径方向に沿った断面において、その山部分のうち取付部材116を螺合する際の回転方向側に位置する斜面の傾斜が緩やかなもの(例えば、取付部材116等の中心軸から山部分の頂部に引いた直線と、前記斜面とのなす角のうち鋭角の角度が50°以上)とされ、山部分のうち取付部材116を螺脱する際の回転方向側に位置する斜面の傾斜が急なもの(例えば、取付部材116等の中心軸から山部分の頂部に引いた直線と、前記斜面とのなす角のうち鋭角の角度が30°以下)とされる。
【0074】
また、緩み防止手段として、取付部材116の雄ねじ部116Mから径方向外側に突出する突部と、排水管本体117の雌ねじ部117Fに設けられた凹部とを設け、取付部材116の螺合に伴い突部が凹部に挿入されるようにすることで、取付部材116の緩みを防止することとしてもよい。また、雄ねじ部116M及び雌ねじ部117F間に接着剤を塗布することで、取付部材116の緩みを防止してもよい。
【0075】
(c)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽に限定されるものではない。従って、例えば、ユニットバスの洗い場の排水口や洗面化粧台の排水口、流し台の排水口などに本発明の技術思想を適用することとしてもよい。
【0076】
(d)上記実施形態における排水口装置1は、栓蓋5や操作装置6など、排水口104を開閉するための装置を備えているが、当該装置を設けないこととしてもよい。すなわち、排水口装置1は、少なくとも取付部材2と排水口部材3とを備えていればよい。
【0077】
(e)上記実施形態では、栓蓋5の閉時において、栓蓋5(シール部52)の外周縁が排水口104の縮径部104Tに接触するように構成されているが、図11(a),(b)に示すように、栓蓋5の閉時において、栓蓋5(シール部52)の外周縁が取付部材9の外筒部92と接触するように構成してもよい。尚、この場合には、栓蓋5の外周縁と取付部材9との間のシール性を向上させるべく、外筒部92の内周面上方側を下方側に向けて内径が縮径するテーパ状に形成し、当該テーパ状の部位に対して栓蓋5の外周縁が接触するように構成することが好ましい。
【0078】
(f)上記実施形態において、取付部材2や排水口部材3が樹脂材料により形成されているが、取付部材2や排水口部材3を耐腐食性に優れる金属材料(例えば、ステンレス等)により形成することとしてもよい。
【0079】
(g)上記実施形態において、排水口104の縮径部104Tは、断面において、自身の外形線が湾曲形状をなしているが、前記縮径部104Tの外形線が直線状をなしていてもよい(すなわち、縮径部104Tがテーパ状であってもよい)。
【符号の説明】
【0080】
1…排水口装置、2,106,112,116…取付部材、3…排水口部材、4…支持軸、5…栓蓋、7…パッキン、21,107…引掛部、22,108…鉤部、31…内筒部、32…外筒部、32H…凹部、32I…内壁部、34…係止部、34C…連接部、34N…爪部、34T…傾斜部、100…浴槽(槽体)、104…排水口、104F…鍔部、104S…垂下部、105,115…排水管、112P…弾性部、116A,117A…緩み防止手段、116M…雄ねじ部、117…排水管本体、117F…雌ねじ部、118…シール部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口に設けられる排水口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、槽体(例えば、浴槽やユニットバスの洗い場等)の排水口装置としては、栓蓋の上下動をガイドする装置を槽体に対して固定すること等を目的として、鍔状のフランジを有する排水口部材を排水口に設けるものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
また近年では、フランジが槽体の表面に顕出してしまうことによる外観品質の低下等を防止するために、排水口の下方に形成された鍔状部分に対して、排水口部材を取付ける手法が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。当該手法によれば、排水口部材に、上側係止部と下側係止部とを備えてなる係止部を設けるとともに、上側係止部を前記鍔状部分の上面に載置する一方で、下側係止部を前記鍔状部分の下面に対して直接係止し、上側係止部及び下側係止部により鍔状部分を挟み込むことで、排水口部材が排水口に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3633336号公報
【特許文献2】特開2010−1678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂製の浴槽等の場合、一般に排水口は、槽体が成形された後に切削加工等の後加工を施すことで形成されるため、排水口の孔径(鍔状部分の内径)が狙いの寸法よりも増減してしまう場合がある。上記特許文献2に記載の技術においては、排水口の孔径が狙いの寸法よりも小さくなってしまうと、鍔部の内周に係止部を挿通させることが困難となってしまい、排水口に対する排水口部材の取付が非常に難しくなってしまう。これに対して、取付作業性を考慮して、排水口の孔径を狙いの寸法よりも若干でも大きくしてしまうと、鍔状部分に対する下側係止部の係り代が不十分となってしまい、排水口部材が排水口から容易に取り外れてしまうおそれがある。すなわち、上記特許文献2に記載の技術においては、排水口の孔径が狙いの寸法から若干でもずれてしまうと、排水口部材の取付安定性や取付作業性が低下してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、排水口の孔径に多少の寸法ずれが生じたとしても排水口に対して排水口部材を安定した状態で取付けることができ、また、排水口部材の取付を容易に行うことができる排水口装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.下方に向けて延びる筒状の垂下部と、前記垂下部の下端から径方向内側に向けて膨出する鍔部とを備えた槽体の排水口に取付けられる排水口装置であって、
前記鍔部に接触する外筒部を有する排水口部材を備え、
前記排水口部材には、前記外筒部から下方側に延び、先端側に外周側へと突出する爪部を具備する係止部が設けられるとともに、
前記鍔部の下部に環状の取付部材が配置されており、
前記爪部を前記取付部材に係止させて、前記外筒部と前記爪部とで前記鍔部と前記取付部材とを挟み込んだ状態とすることで、前記排水口部材が前記鍔部に取付けられることを特徴とする排水口装置。
【0009】
上記手段1によれば、係止部の先端に設けられた爪部が、排水口の鍔部に対して直接的に係止されることなく、鍔部の下部に配置された環状の取付部材に係止される。すなわち、加工に伴い孔径が増減してしまうおそれのある鍔部ではなく、一定の孔径(内径)を有する取付部材に対して爪部を係止させ、爪部が取付部材を介して間接的に鍔部に係止されるように構成されている。従って、排水口の孔径が狙い寸法よりも多少大きなものとなっても、鍔部に対して爪部を直接係止させる場合と比較して、爪部の係り代を十分に確保することができる。その結果、排水口に対して排水口部材を安定した状態で取付けることができる。
【0010】
また、排水口部材の取付安定性を損なうことなく、排水口の孔径に若干の余裕を持たせることができ、さらに、取付部材の孔径が一定であるため、取付部材に対して係止部を困難なく挿通することができる。従って、排水口に対して排水口部材を容易に取付けることができる。
【0011】
尚、係止部の外周に雄ねじを形成するとともに、取付部材の内周に雌ねじを形成し、係止部を取付部材に螺合することで、排水口に対して排水口部材を取付ける手法(例えば、特許第3633336号公報)も考えられるが、当該手法では、取付部材に対する排水口部材の取付(螺合)に著しく手間がかかってしまう。これに対して、上記手段1によれば、取付部材に爪部を係止させることのみで、排水口部材が取付けられる。従って、排水口に対して排水口部材をワンタッチで取付けることができ、取付作業性を飛躍的に高めることができる。
【0012】
手段2.前記取付部材には、上方側に延びるとともに、先端側に外周側に突出する鉤部を具備する引掛部が設けられており、
前記鉤部を前記鍔部に係止させた状態で、前記鍔部の下部に前記取付部材が配置されることを特徴とする手段1に記載の排水口装置。
【0013】
上記手段2によれば、取付部材を鍔部(排水口)に対してより安定した状態で取付けることができ、ひいては取付部材に係止する排水口部材を排水口に対してより一層安定した状態で取付けることができる。また、取付部材を鍔部に対してワンタッチで取付けることができ、一層優れた取付作業性を実現することができる。
【0014】
手段3.前記外筒部は、前記槽体に対する前記引掛部の内周側への相対移動を規制する規制部を備えることを特徴とする手段2に記載の排水口装置。
【0015】
上記手段3によれば、規制部により、引掛部が鍔部から外れてしまうことを効果的に防止することができる。従って、排水口に対する取付部材の取付安定性を一層向上させることができる。
【0016】
手段4.前記外筒部は、前記引掛部を挿入可能な凹部を備え、
前記凹部の内周側に形成される内壁部によって、前記規制部が構成されることを特徴とする手段3に記載の排水口装置。
【0017】
上記手段4によれば、外筒部に凹部を形成し、当該凹部に引掛部を挿入することで、引掛部の相対移動を規制することができる。そのため、別途の規制部を設ける必要がなくなり、製造コストの低減を図ることができる。また、凹部に引掛部を挿入することで、外筒部により引掛部が覆われる形となり、引掛部が外部から視認しにくいものとなる。これにより、外観品質の向上を図ることができる。
【0018】
手段5.前記係止部は、前記外筒部と前記爪部との間に位置する連接部を有するとともに、前記爪部は、前記連接部側に向けて傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部が、前記取付部材に係止されることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水口装置。
【0019】
上記手段5によれば、爪部には傾斜部が形成されており、当該傾斜部が取付部材に対して係止されている。従って、例えば、排水口部材の破損等により排水口から排水口部材を取外す必要が生じた場合に、排水口部材を容易に取外すことができる。
【0020】
また、取付部材を設けることなく、鍔部に対して傾斜部を直接係止させる場合には、排水口の孔径が狙いの寸法より若干でも大きくなってしまうと、鍔部に対して傾斜部が十分に接触せず、排水口部材が上下に動いてしまうおそれがある。これに対して、上記手段1等のように孔径が一定の取付部材を設けることとすれば、取付部材に対して傾斜部をより確実に接触させることができ、排水口部材の上下動をより確実に防止することができる。すなわち、取付部材を設けることは、傾斜部を設けることによるメリット(取外し容易性の向上)を維持しつつ、傾斜部を設けることに伴い生じ得るデメリット(排水口部材の上下動)を解消するという点でも有意である。
【0021】
手段6.前記取付部材は、前記排水口に接続される排水管に設けられることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の排水口装置。
【0022】
上記手段6によれば、排水管の一部である取付部材が外筒部と爪部とで挟まれる形となるため、排水口に対して排水管を安定した状態で接続することができる。
【0023】
また、排水口に対する排水管の接続は一般にねじ止めによって行われるが、上記手段2を採用し、取付部材に引掛部を設けることとすれば、引掛部を鍔部に係止することで、排水管を排水口に対してワンタッチで接続することができる。その結果、排水管を設ける際の取付作業性を飛躍的に向上させることができる。
【0024】
手段7.前記取付部材には、上方側に延びるとともに、先端側に外周側に突出する鉤部を具備する引掛部が設けられており、
前記鉤部を前記鍔部に係止させた状態で、前記鍔部の下部に前記取付部材が配置され、
前記排水管は、前記取付部材が取付けられる筒状の排水管本体を備え、
前記取付部材の外周面に設けられた雄ねじ部が、前記排水管本体の内周面に設けられた雌ねじ部に螺合された状態で、前記排水管本体に前記取付部材が取付けられており、
前記排水管本体の端部と前記鍔部との間には、環状のシール部材が設けられ、
前記排水管本体に対する前記取付部材の螺合量を変更することで、前記シール部材を挟んだ前記排水管本体の端部と前記鍔部との間の距離を変更可能に構成したことを特徴とする手段6に記載の排水口装置。
【0025】
上記手段7によれば、排水管本体に対する取付部材の螺合量を変更し、鍔部に対して排水管本体の端部を接近させることにより、シール部材に対して押圧力を加えた状態で、鍔部及び排水管本体の間をシールすることができる。従って、鍔部と排水管本体との間を安定した状態でシールすることができ、水密性の向上を図ることができる。
【0026】
さらに、上記手段7によれば、特別な治具等を用いることなく、シール部材に対して十分に大きな押圧力を加えることができ、優れたシール性を容易に実現することができる。
【0027】
手段8.前記排水管本体に対する前記取付部材の緩みを防止する緩み防止手段を備えることを特徴とする手段7に記載の排水口装置。
【0028】
手段8によれば、緩み防止手段により、排水管本体に対する取付部材の緩みを防止することができ、シール部材に加えられた押圧力が減少してしまうことを効果的に抑制することができる。従って、排水管本体と鍔部との間をより長期間に亘って安定した状態でシールすることができる。
【0029】
尚、「緩み防止手段」としては、例えば、取付部材の雄ねじ部や排水管本体の雌ねじ部に設けられ、取付部材を排水管本体に螺合した際に変形することで、取付部材の回転を規制する突部を挙げることができる。また、次述する手段9のように、取付部材の外周にシール部材が配置される場合には、取付部材の外周面やシール部材の内周面を断面鋸歯状に形成し、排水管本体から取付部材を螺退させる際のシール部材に対する取付部材の回転抵抗を、排水管本体に対して取付部材を螺進させる際のシール部材に対する取付部材の回転抵抗よりも大きくすることで、「緩み防止手段」を実現することもできる。
【0030】
手段9.前記シール部材は、前記取付部材の外周に配置されるとともに、
前記緩み防止手段は、前記取付部材、及び、前記シール部材のうちの少なくとも一方に設けられ、前記排水管本体から前記取付部材を螺退させる際の前記シール部材に対する前記取付部材の回転抵抗を、前記排水管本体に対して前記取付部材を螺進させる際の前記シール部材に対する前記取付部材の回転抵抗よりも大きくすることを特徴とする手段8に記載の排水口装置。
【0031】
上記手段9によれば、排水管本体に対して取付部材を比較的小さな力で容易に螺合することができるとともに、排水管本体からの取付部材の緩みをより確実に防止することができる。従って、取付作業性の向上を図りつつ、安定したシール性を長期間に亘って維持することができる。
【0032】
手段10.前記鍔部と前記取付部材との間に弾性材料からなる環状のパッキンが設けられることを特徴とする手段1乃至9のいずれかに記載の排水口装置。
【0033】
上記手段10によれば、取付部材と槽体(鍔部)との間の水密性を向上させることができる。また、鍔部の厚さに多少のばらつきがあったとしても、パッキンの弾性により、取付部材ひいては排水口部材の上下方向に沿ったがたつきをより確実に抑制することができる。
【0034】
手段11.前記取付部材は、前記鍔部側に配置される面に弾性変形可能な弾性部を備えることを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の排水口装置。
【0035】
上記手段11によれば、鍔部の厚みに多少のばらつきがあったとしても、弾性部が弾性変形することにより、取付部材を上下方向に沿ったがたつきの少ない安定した状態で鍔部に取付けることができる。その結果、取付部材に係止される排水口部材の上下動をより一層確実に抑制することができる。
【0036】
手段12.前記排水口に設けられる栓蓋と、
前記栓蓋を支持し、前記槽体に対して上下動可能な支持軸とを備えるとともに、
前記排水口部材は、前記外筒部の内周側に、前記支持軸が挿通される内筒部を有し、
前記外筒部は、前記栓蓋の下方に配置されており、
前記栓蓋の閉時において、前記栓蓋の外周縁が前記槽体に対して接触することを特徴とする手段1乃至11のいずれかに記載の排水口装置。
【0037】
上記手段12によれば、栓蓋により排水口部材が隠れる形となるため、排水口部材を外部から視認しにくい状態とすることができる。その結果、外観品質の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】浴槽等を示す斜視図である。
【図2】排水口装置等の構成を示す部分拡大断面図である。
【図3】排水口に設けられた排水口部材等を示す部分拡大平面図である。
【図4】(a)は、図3のJ−J線断面図であり、(b)は、図3のK−K線断面図である。
【図5】排水口装置の取付方法を説明するための斜視図である。
【図6】(a),(b)は、別の実施形態における排水口装置を示す部分拡大断面図である。
【図7】別の実施形態における排水口装置を示す分解斜視図である。
【図8】(a),(b)は、別の実施形態における排水口装置を示す部分拡大断面図である。
【図9】別の実施形態における排水口装置を示す一部破断斜視図である。
【図10】別の実施形態における排水口装置を示す分解斜視図である。
【図11】(a),(b)は、別の実施形態における排水口装置を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態において、排水口装置1は、図2に示すように、取付部材2や排水口部材3、支持軸4等を備えており、槽体としての浴槽100に取付けられている。まず、排水口装置1の説明に先立って、これが取付けられる浴槽100の構造について説明する。
【0040】
浴槽100は、成形品であり、図1に示すように、底壁部101と、当該底壁部101から上方に向かって延びる筒状の側壁部102と、当該側壁部102の上端から外側に向かって延びるフランジ部103とを備えている。
【0041】
また、図3及び図4(a),(b)〔図4(a)は、図3のJ−J線断面図であり、図4(b)は、図3のK−K線断面図である〕に示すように、浴槽100の底壁部101には、浴槽100内の水を排出するための排水口104が形成されている。排水口104は、その上端部全周に、下方に向かって縮径し、断面において外形線が湾曲形状をなす縮径部104Tを備えており、また、排水口104のうち前記縮径部104Tよりも下方には、下方に向けて延び、略同一の内径を有する垂下部104Sと、垂下部104Sの下端から径方向内側に向けて膨出する鍔部104Fとが形成されている。尚、本実施形態では、浴槽100の成形時において、排水口104は有底筒状をなしており、後加工により上述の形状とされている。具体的には、底壁部101において背面側へと突出形成されたカップ状部位(有底筒状部位)の底面部分を切削加工等により環状に切断することで前記排水口104が形成されるようになっている。
【0042】
次いで、排水口装置1の構成について説明する。排水口装置1は、図2に示すように、取付部材2と、排水口部材3と、支持軸4と、栓蓋5と、操作装置6とを備えている。
【0043】
取付部材2は、図4(a),(b)に示すように、環状をなす所定の樹脂(例えば、POM等)により形成されており、前記鍔部104Fの下部において、自身の上面が鍔部104Fの下面と接触するようにして配置されている。また、取付部材2には、上方側に向けて延びる引掛部21が周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、4つ)設けられており、引掛部21の先端側には、径方向外側に突出する鉤部22が設けられている。そして、当該鉤部22が前記鍔部104Fの上面に係止されることで、鍔部104Fに対して取付部材2が取付られている。取付部材2は、図示しない金型装置を用いて、型成形により得られるものであり、その孔径は常に一定である。尚、本実施形態では、取付部材2の下方に排水トラップ(図示せず)が配置されており、当該排水トラップに接続された排水管(図示せず)を通じて排水が行われるようになっている。
【0044】
排水口部材3は、図3(図3において、栓蓋5は不図示)及び図4(a),(b)に示すように、所定の樹脂(例えば、POM等)により形成されており、それぞれ円筒状をなす内筒部31及び外筒部32と、両者を連結するアーム部33と、外筒部32から下方側に延びる係止部34とを備えている。
【0045】
内筒部31は、前記外筒部32の内周側に設けられており、その内部に前記支持軸4が挿通されている。また、内筒部31は、その中心軸が外筒部32の中心軸と一致するように構成されており、ひいては支持軸4及び支持軸4に支持される栓蓋5のそれぞれの中心軸が外筒部32の中心軸と一致するように構成されている。加えて、アーム部33は、外筒部32の内周から径方向内側に向けて延び、周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、4つ)設けられている。
【0046】
外筒部32は、自身の下面が鍔部104F上に載置された状態で配置されている。また、外筒部32の下面には、周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、4つ)の凹部32Hが設けられており、前記引掛部21の先端側が凹部32Hに対して挿入されている。その結果、外筒部32のうち凹部32Hの内周側に形成される内壁部32Iによって、浴槽100に対する引掛部21の内周側への相対移動が規制されるようになっている。
【0047】
さらに、前記係止部34は、周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、4つ)設けられており、自身の先端側に設けられ外周側に突出する爪部34Nと、外筒部32と爪部34Nとの間に位置する連接部34Cとを備えている。そして、前記爪部34Nを取付部材2の下面に係止させて、外筒部32と爪部34Nとにより鍔部104Fと取付部材2とを挟み込むことにより、排水口部材3が鍔部104Fに取付けられている。
【0048】
尚、本実施形態では、爪部34Nに、連接部34C側に向けて傾斜する傾斜部34Tが設けられており、当該傾斜部34Tが、取付部材2の下面に対して係止されている。加えて、連接部34Cは、比較的薄肉に形成されており、その結果、係止部34が径方向内側に向かって比較的容易に撓み変形可能となっている。
【0049】
前記支持軸4は、棒状をなすとともに、その先端部が栓蓋5の背面中央に形成された筒状部位に嵌着されている一方で、その基端部が操作装置6の後述するレリースワイヤ62の他端部に接続されている。また、支持軸4は、排水口部材3の内筒部31に挿通され、内筒部31により浴槽100に対して相対的に上下動可能な状態で支持されている。尚、本実施形態では、支持軸4と内筒部31(排水口部材3)とバネやギア等の部品(図示せず)とを組み合わせることによってスラストロック機構が構成されている。
【0050】
前記栓蓋5は、外筒部32の上方に位置しており、POM等の樹脂からなる蓋部51と、弾性変形可能な素材(例えば、樹脂やEPDMゴム等のゴム)からなる環状のシール部52とを備えている。
【0051】
前記蓋部51は、表面がなだらかに湾曲する傘状部51Aと、当該傘状部51Aの背面内側から下方に向けて延びる筒状の突状部51Bとを備えており、また、突状部51Bの外周面には、前記シール部52が嵌合される環状の溝部51Cが設けられている。
【0052】
加えて、前記シール部52は、外周側に向けて徐々に薄くなるように構成されており、栓蓋5の閉時には、その外周縁の全周が排水口104の縮径部104Tに対して接触するようになっている。尚、本実施形態において、シール部52の外径は、蓋部51(傘状部51A)の外径よりも小さくされるとともに、前記シール部52が取付けられる溝部51Cは、傘状部51Aの直下方に設けられている。そのため、シール部52は蓋部51に隠れる形となり、外部から視認しにくいものとなっている。
【0053】
図2に戻り、前記操作装置6は、浴槽100のフランジ部103に取付けられた操作部61と、当該操作部61に一端部が接続されたレリースワイヤ62とを備えている。
【0054】
操作部61は、押しボタン式であり、遠隔操作により前記栓蓋5を動作させることで、排水口104を開閉させるものである。また、レリースワイヤ62は、操作部61の動きを支持軸4へと伝達するものである。本実施形態においては、操作部61の操作により、レリースワイヤ62を介して上昇端における支持軸4のロックと、ロック解除に伴う支持軸4の下降とが交互に行われ、ひいては操作部61を操作する度に栓蓋5の上昇・下降(排水口104の開閉)が交互に行われるようになっている。
【0055】
次いで、上述した排水口装置1の浴槽100に対する配設手順について説明する。
【0056】
まず、浴槽100に予め形成されたカップ状部分の底壁部を切除することで排水口104を形成する。次いで、浴槽100の背面側から排水口104に対して取付部材2の引掛部21を挿入し、鉤部22を排水口104の鍔部104Fに係止させることで、鍔部104Fの下部に取付部材2を取付ける。
【0057】
次いで、図5に示すように、排水口部材3に組付けられた支持軸4の端部に対してレリースワイヤ62の他端部を連結する。そして、外筒部32に形成された凹部32Hと取付部材2の引掛部21との位置を合わせつつ、排水口部材3の係止部34を鍔部104Fの内周に挿入することで、引掛部21の先端側が凹部32Hに対して挿入されるとともに、爪部34Nが取付部材2の下面に係止される。これにより、外筒部32と爪部34Nとにより鍔部104Fと取付部材2とが挟持された状態となり、排水口部材3が鍔部104Fに取付けられる。そして最後に、支持軸4の先端部に栓蓋5を取付けることで、浴槽100に対する排水口装置1の配設が完了する。
【0058】
以上詳述したように、本実施形態によれば、後加工に伴い孔径が増減してしまうおそれのある鍔部104Fではなく、一定の孔径(内径)を有する取付部材2に対して爪部34Nが係止されている。従って、排水口104の孔径(鍔部104Fの内径)が狙い寸法よりも多少大きなものとなっても、爪部34Nの係り代を十分に確保することができる。その結果、排水口104に対して排水口部材3を安定した状態で取付けることができる。
【0059】
また、排水口部材3の取付安定性を損なうことなく、排水口104の孔径に若干の余裕を持たせることができ、さらに、取付部材2の孔径が一定であるため、取付部材2に対して係止部34を困難なく挿通することができる。従って、排水口104に対して排水口部材3を容易に取付けることができる。
【0060】
さらに、排水口部材3の取付に際しては、取付部材2に爪部34Nを係止させるだけでよく、排水口104に対して排水口部材3をワンタッチで取付けることができる。その結果、取付作業性を飛躍的に高めることができる。
【0061】
加えて、取付部材2には引掛部21が設けられており、当該引掛部21の先端に設けられた鉤部22が鍔部104Fに係止されている。従って、取付部材2を鍔部104F(排水口104)に対してより安定した状態で取付けることができ、ひいては排水口部材3を排水口104に対してより一層安定した状態で取付けることができる。また、取付部材2を鍔部104Fに対してワンタッチで取付けることができ、一層優れた取付作業性を実現することができる。
【0062】
併せて、外筒部32には凹部32Hが形成されており、当該凹部32Hに引掛部21が挿入されることで、浴槽100に対する引掛部21の相対移動が規制されている。従って、引掛部21が鍔部104Fから外れてしまうことを効果的に防止でき、排水口104に対する取付部材2の取付安定性を一層向上させることができる。また、凹部32Hに引掛部21を挿入することで、外筒部32により引掛部21が覆われる形となり、引掛部21が外部から視認しにくいものとなる。これにより、外観品質の向上を図ることができる。
【0063】
また、爪部34Nには傾斜部34Tが形成されており、当該傾斜部34Tが取付部材2に係止されている。従って、排水口104から排水口部材3を取外す必要が生じた場合に、排水口部材3を容易に取外すことができる。
【0064】
尚、鍔部104Fに対して傾斜部34Tを直接係止させてしまうと、鍔部104Fの内径が狙い寸法から大きくなってしまったときに、鍔部104Fに対して傾斜部34Tが十分に接触せず、排水口部材3が上下に動いてしまうおそれがあるが、本実施形態では、孔径が一定の取付部材2に傾斜部34Tが係止されている。従って、傾斜部34Tは取付部材2に対してより確実に接触することとなり、ひいては排水口部材3の上下動をより確実に防止することができる。
【0065】
加えて、本実施形態では、外筒部32が、栓蓋5の下方に配置されており、栓蓋5の閉時において、栓蓋5の外周縁が浴槽100に対して接触するに構成されている。従って、栓蓋5により排水口部材3が隠れる形となり、排水口部材3を外部から視認しにくい状態とすることができる。その結果、外観品質の更なる向上を図ることができる。
【0066】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0067】
(a)上記実施形態において、取付部材2は鍔部104Fに対して直接接触しているが、図6(a),(b)に示すように、鍔部104Fと取付部材2との間に、EPDMゴム等の弾性材料からなる環状のパッキン7を設けることとしてもよい。この場合には、取付部材2と浴槽100との間の水密性を向上させることができる。また、鍔部104Fの厚さに多少のばらつきがあったとしても、パッキン7の弾性により、取付部材2ひいては排水口部材3の上下方向に沿ったがたつきをより確実に抑制することができる。
【0068】
また、上記実施形態では、排水口部材3に組付けられた支持軸4にレリースワイヤ62が連結されているが、レリースワイヤ62が接続された支持軸81を内周にて保持する筒状部材82を排水口部材3の内筒部31に挿通することとしてもよい。
【0069】
さらに、図7に示すように、取付部材112が、鍔部104F側に配置される面に、鍔部104F側へと突出する弾性変形可能な弾性部112Pを一体的に備えることとしてもよい。この場合には、鍔部104Fの厚みに多少のばらつきがあったとしても、弾性部112Pが弾性変形することで、取付部材112を上下方向に沿ったがたつきの少ない安定した状態で鍔部104Fに取付けることができる。その結果、取付部材112に係止される排水口部材3の上下動をより一層確実に抑制することができる。
【0070】
(b)上記実施形態では、取付部材2と排水管(図示せず)との間に排水トラップ(図示せず)が設けられており、排水口104に対して排水管が直接的には接続されてはいないが、排水口104に対して排水管を直接的に接続することとしてもよい。また、この場合には、図8(a),(b)に示すように、排水管105の一端に環状の取付部材106を一体的に設け、排水口部材3の外筒部32と爪部34Nとで取付部材106及び鍔部104Fとを挟み込むことにより、排水口104に対して排水管105を接続することとしてもよい。このように構成することで、排水管105の一部である取付部材106が外筒部32と爪部34Nとで挟まれる形となるため、排水口104に対して排水管105を安定した状態で接続することができる。また、取付部材106の引掛部107に設けられた鉤部108を鍔部104Fに係止することで、排水管105を排水口104に対してワンタッチで接続することができる。その結果、取付作業性の飛躍的な向上を図ることができる。
【0071】
また、図9に示すように、排水管115が、取付部材116と筒状の排水管本体117とを備え、取付部材116の外周面に設けられた雄ねじ部116Mが、排水管本体117の内周面に設けられた雌ねじ部117Fに螺合された状態で、排水管本体117に取付部材116が取付けられるように構成することとしてもよい。さらに、排水管本体117の端部と鍔部104Fとの間に、環状のシール部材118(例えば、ゴム等の弾性材料や粘着材)を設け、排水管本体117に対する取付部材116の螺合量を変更することで、シール部材118を挟んだ排水管本体117の端部と鍔部104Fとの間の距離を変更可能としてもよい。この場合には、特別な治具等を用いることなく、シール部材118に対して十分に大きな押圧力を加えることができ、鍔部104Fと排水管本体117との間において優れたシール性を容易に実現することができる。
【0072】
さらに、図10に示すように、取付部材116の外周面、及び、シール部材118の内周面をそれぞれ断面鋸歯状に形成することで、取付部材116及びシール部材118にいわばラチェット構造の緩み防止手段116A,118Aを設け、当該緩み防止手段116A,118Aにより、排水管本体117から取付部材116を螺退させる際のシール部材118に対する取付部材116の回転抵抗を、排水管本体117に対して取付部材116を螺進させる際のシール部材118に対する取付部材116の回転抵抗よりも大きくなるように構成してもよい。この場合には、排水管本体117に対して取付部材116を比較的小さな力で容易に螺合することができるとともに、排水管本体117からの取付部材116の緩みをより確実に防止することができる。従って、取付作業性の向上を図りつつ、安定したシール性を長期間に亘って維持することができる。
【0073】
尚、上述した緩み防止手段は、取付部材116やシール部材118の径方向に沿った断面において、その山部分のうち取付部材116を螺合する際の回転方向側に位置する斜面の傾斜が緩やかなもの(例えば、取付部材116等の中心軸から山部分の頂部に引いた直線と、前記斜面とのなす角のうち鋭角の角度が50°以上)とされ、山部分のうち取付部材116を螺脱する際の回転方向側に位置する斜面の傾斜が急なもの(例えば、取付部材116等の中心軸から山部分の頂部に引いた直線と、前記斜面とのなす角のうち鋭角の角度が30°以下)とされる。
【0074】
また、緩み防止手段として、取付部材116の雄ねじ部116Mから径方向外側に突出する突部と、排水管本体117の雌ねじ部117Fに設けられた凹部とを設け、取付部材116の螺合に伴い突部が凹部に挿入されるようにすることで、取付部材116の緩みを防止することとしてもよい。また、雄ねじ部116M及び雌ねじ部117F間に接着剤を塗布することで、取付部材116の緩みを防止してもよい。
【0075】
(c)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽に限定されるものではない。従って、例えば、ユニットバスの洗い場の排水口や洗面化粧台の排水口、流し台の排水口などに本発明の技術思想を適用することとしてもよい。
【0076】
(d)上記実施形態における排水口装置1は、栓蓋5や操作装置6など、排水口104を開閉するための装置を備えているが、当該装置を設けないこととしてもよい。すなわち、排水口装置1は、少なくとも取付部材2と排水口部材3とを備えていればよい。
【0077】
(e)上記実施形態では、栓蓋5の閉時において、栓蓋5(シール部52)の外周縁が排水口104の縮径部104Tに接触するように構成されているが、図11(a),(b)に示すように、栓蓋5の閉時において、栓蓋5(シール部52)の外周縁が取付部材9の外筒部92と接触するように構成してもよい。尚、この場合には、栓蓋5の外周縁と取付部材9との間のシール性を向上させるべく、外筒部92の内周面上方側を下方側に向けて内径が縮径するテーパ状に形成し、当該テーパ状の部位に対して栓蓋5の外周縁が接触するように構成することが好ましい。
【0078】
(f)上記実施形態において、取付部材2や排水口部材3が樹脂材料により形成されているが、取付部材2や排水口部材3を耐腐食性に優れる金属材料(例えば、ステンレス等)により形成することとしてもよい。
【0079】
(g)上記実施形態において、排水口104の縮径部104Tは、断面において、自身の外形線が湾曲形状をなしているが、前記縮径部104Tの外形線が直線状をなしていてもよい(すなわち、縮径部104Tがテーパ状であってもよい)。
【符号の説明】
【0080】
1…排水口装置、2,106,112,116…取付部材、3…排水口部材、4…支持軸、5…栓蓋、7…パッキン、21,107…引掛部、22,108…鉤部、31…内筒部、32…外筒部、32H…凹部、32I…内壁部、34…係止部、34C…連接部、34N…爪部、34T…傾斜部、100…浴槽(槽体)、104…排水口、104F…鍔部、104S…垂下部、105,115…排水管、112P…弾性部、116A,117A…緩み防止手段、116M…雄ねじ部、117…排水管本体、117F…雌ねじ部、118…シール部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に向けて延びる筒状の垂下部と、前記垂下部の下端から径方向内側に向けて膨出する鍔部とを備えた槽体の排水口に取付けられる排水口装置であって、
前記鍔部に接触する外筒部を有する排水口部材を備え、
前記排水口部材には、前記外筒部から下方側に延び、先端側に外周側へと突出する爪部を具備する係止部が設けられるとともに、
前記鍔部の下部に環状の取付部材が配置されており、
前記爪部を前記取付部材に係止させて、前記外筒部と前記爪部とで前記鍔部と前記取付部材とを挟み込んだ状態とすることで、前記排水口部材が前記鍔部に取付けられることを特徴とする排水口装置。
【請求項2】
前記取付部材には、上方側に延びるとともに、先端側に外周側に突出する鉤部を具備する引掛部が設けられており、
前記鉤部を前記鍔部に係止させた状態で、前記鍔部の下部に前記取付部材が配置されることを特徴とする請求項1に記載の排水口装置。
【請求項3】
前記外筒部は、前記槽体に対する前記引掛部の内周側への相対移動を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項2に記載の排水口装置。
【請求項4】
前記外筒部は、前記引掛部を挿入可能な凹部を備え、
前記凹部の内周側に形成される内壁部によって、前記規制部が構成されることを特徴とする請求項3に記載の排水口装置。
【請求項5】
前記係止部は、前記外筒部と前記爪部との間に位置する連接部を有するとともに、前記爪部は、前記連接部側に向けて傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部が、前記取付部材に係止されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水口装置。
【請求項6】
前記取付部材は、前記排水口に接続される排水管に設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排水口装置。
【請求項7】
前記取付部材には、上方側に延びるとともに、先端側に外周側に突出する鉤部を具備する引掛部が設けられており、
前記鉤部を前記鍔部に係止させた状態で、前記鍔部の下部に前記取付部材が配置され、
前記排水管は、前記取付部材が取付けられる筒状の排水管本体を備え、
前記取付部材の外周面に設けられた雄ねじ部が、前記排水管本体の内周面に設けられた雌ねじ部に螺合された状態で、前記排水管本体に前記取付部材が取付けられており、
前記排水管本体の端部と前記鍔部との間には、環状のシール部材が設けられ、
前記排水管本体に対する前記取付部材の螺合量を変更することで、前記シール部材を挟んだ前記排水管本体の端部と前記鍔部との間の距離を変更可能に構成したことを特徴とする請求項6に記載の排水口装置。
【請求項8】
前記排水管本体に対する前記取付部材の緩みを防止する緩み防止手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の排水口装置。
【請求項9】
前記シール部材は、前記取付部材の外周に配置されるとともに、
前記緩み防止手段は、前記取付部材、及び、前記シール部材のうちの少なくとも一方に設けられ、前記排水管本体から前記取付部材を螺退させる際の前記シール部材に対する前記取付部材の回転抵抗を、前記排水管本体に対して前記取付部材を螺進させる際の前記シール部材に対する前記取付部材の回転抵抗よりも大きくすることを特徴とする請求項8に記載の排水口装置。
【請求項10】
前記鍔部と前記取付部材との間に弾性材料からなる環状のパッキンが設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の排水口装置。
【請求項11】
前記取付部材は、前記鍔部側に配置される面に弾性変形可能な弾性部を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の排水口装置。
【請求項12】
前記排水口に設けられる栓蓋と、
前記栓蓋を支持し、前記槽体に対して上下動可能な支持軸とを備えるとともに、
前記排水口部材は、前記外筒部の内周側に、前記支持軸が挿通される内筒部を有し、
前記外筒部は、前記栓蓋の下方に配置されており、
前記栓蓋の閉時において、前記栓蓋の外周縁が前記槽体に対して接触することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の排水口装置。
【請求項1】
下方に向けて延びる筒状の垂下部と、前記垂下部の下端から径方向内側に向けて膨出する鍔部とを備えた槽体の排水口に取付けられる排水口装置であって、
前記鍔部に接触する外筒部を有する排水口部材を備え、
前記排水口部材には、前記外筒部から下方側に延び、先端側に外周側へと突出する爪部を具備する係止部が設けられるとともに、
前記鍔部の下部に環状の取付部材が配置されており、
前記爪部を前記取付部材に係止させて、前記外筒部と前記爪部とで前記鍔部と前記取付部材とを挟み込んだ状態とすることで、前記排水口部材が前記鍔部に取付けられることを特徴とする排水口装置。
【請求項2】
前記取付部材には、上方側に延びるとともに、先端側に外周側に突出する鉤部を具備する引掛部が設けられており、
前記鉤部を前記鍔部に係止させた状態で、前記鍔部の下部に前記取付部材が配置されることを特徴とする請求項1に記載の排水口装置。
【請求項3】
前記外筒部は、前記槽体に対する前記引掛部の内周側への相対移動を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項2に記載の排水口装置。
【請求項4】
前記外筒部は、前記引掛部を挿入可能な凹部を備え、
前記凹部の内周側に形成される内壁部によって、前記規制部が構成されることを特徴とする請求項3に記載の排水口装置。
【請求項5】
前記係止部は、前記外筒部と前記爪部との間に位置する連接部を有するとともに、前記爪部は、前記連接部側に向けて傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部が、前記取付部材に係止されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水口装置。
【請求項6】
前記取付部材は、前記排水口に接続される排水管に設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排水口装置。
【請求項7】
前記取付部材には、上方側に延びるとともに、先端側に外周側に突出する鉤部を具備する引掛部が設けられており、
前記鉤部を前記鍔部に係止させた状態で、前記鍔部の下部に前記取付部材が配置され、
前記排水管は、前記取付部材が取付けられる筒状の排水管本体を備え、
前記取付部材の外周面に設けられた雄ねじ部が、前記排水管本体の内周面に設けられた雌ねじ部に螺合された状態で、前記排水管本体に前記取付部材が取付けられており、
前記排水管本体の端部と前記鍔部との間には、環状のシール部材が設けられ、
前記排水管本体に対する前記取付部材の螺合量を変更することで、前記シール部材を挟んだ前記排水管本体の端部と前記鍔部との間の距離を変更可能に構成したことを特徴とする請求項6に記載の排水口装置。
【請求項8】
前記排水管本体に対する前記取付部材の緩みを防止する緩み防止手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の排水口装置。
【請求項9】
前記シール部材は、前記取付部材の外周に配置されるとともに、
前記緩み防止手段は、前記取付部材、及び、前記シール部材のうちの少なくとも一方に設けられ、前記排水管本体から前記取付部材を螺退させる際の前記シール部材に対する前記取付部材の回転抵抗を、前記排水管本体に対して前記取付部材を螺進させる際の前記シール部材に対する前記取付部材の回転抵抗よりも大きくすることを特徴とする請求項8に記載の排水口装置。
【請求項10】
前記鍔部と前記取付部材との間に弾性材料からなる環状のパッキンが設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の排水口装置。
【請求項11】
前記取付部材は、前記鍔部側に配置される面に弾性変形可能な弾性部を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の排水口装置。
【請求項12】
前記排水口に設けられる栓蓋と、
前記栓蓋を支持し、前記槽体に対して上下動可能な支持軸とを備えるとともに、
前記排水口部材は、前記外筒部の内周側に、前記支持軸が挿通される内筒部を有し、
前記外筒部は、前記栓蓋の下方に配置されており、
前記栓蓋の閉時において、前記栓蓋の外周縁が前記槽体に対して接触することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の排水口装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−154133(P2012−154133A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16054(P2011−16054)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(392028767)株式会社日本アルファ (73)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(392028767)株式会社日本アルファ (73)
【Fターム(参考)】
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