説明

排水接続具

【課題】使い勝手に優れた水洗式便器を実現することのできる排水接続具を提供する。
【解決手段】排水接続具10は、便器本体1に形成された便鉢2の下流側に連なる便器排水路5の排水口6と、便器本体1が据え付けられる室内に取り出された排水管30の接続口31とを連通する。この排水接続具10は、排水口6に連結される流入口12と、接続口31に連結される流出口18とが設けられた筐体10と、筐体10内に配置される内部配管20とを備えている。内部配管20は、流入口12に連通する上流口21を有し、設置時に下降流路を形成する上流配管22と、上流配管22に連結され、筐体10内に開口する下流口24を有し、設置時に上昇流路を形成する下流配管23とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された洋風水洗式便器の便器本体は、便鉢の下流側に連なる便器排水路に溜水部が設けられている。また、この洋風水洗式便器は、便器排水路から空気を吸引する吸気装置を備えている。
【0003】
この洋風水洗式便器では、便器洗浄が開始され、溜水部に洗浄水が供給されると、溜水部が洗浄水により封水される。これにより、溜水部の上流側の便器排水路に閉鎖空間が形成される。この閉鎖空間の空気を吸気装置により吸引すると、便鉢に供給される洗浄水との相乗効果により早期に便器排水路内を洗浄水で満水にすることができる。このため、サイホン作用を早期、かつ確実に生じさせることができるため、水封部内の汚物をサイホン作用により確実に便鉢内から排出することができる。
【0004】
【特許文献1】特開閉7−42217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の洋風水洗式便器では、溜水部が形成される便器排水路の外周面が露出しているため、その外周面には結露が生じ易い。このため、便器排水路の外周面に生じた結露が床面に流れ落ち、床面に染み汚れが生じるおそれがある。また、洗浄水が溜水部に流入する際に発生する音が外部に漏れ易く、静音性に欠けるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、使い勝手に優れた水洗式便器を実現することのできる排水接続具を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の排水接続具は、便器本体に形成された便鉢の下流側に連なる便器排水路の排水口と、該便器本体が据え付けられる室内に取り出された排水管の接続口とを連通する排水接続具において、
前記排水口に連結される流入口と、前記接続口に連結される流出口とが設けられた筐体と、該筐体内に配置される内部配管とを備え、
該内部配管は、該流入口に連通する上流口を有し、設置時に下降流路を形成する上流配管と、該上流配管に連結され、該筐体内に開口する下流口を有し、設置時に上昇流路を形成する下流配管とから構成されていることを特徴とする。
【0008】
この排水接続具では、設置時に内部配管内に溜水部が形成される。内部配管は筐体内に配置されているため、溜水部が形成された内部配管の外周面は外気に曝されず、結露が生じ難い。仮に、内部配管の外周面に結露が生じたとしても、その結露は筐体内に落下し、筐体の流出口から排水管に排水される。このため、結露による床面の染み汚れの発生を防止することができる。また、溜水部に流入する洗浄水により発生する音は、内部配管を覆う筐体により外部に漏れ難いため、静音化を図ることができる。
【0009】
したがって、本発明の排水接続具は、使い勝手に優れた水洗式便器を実現することができる。
【0010】
下降流路の最下降部の上端と、上昇流路の最上昇部の下端とは、設置時に同一水平位置又は後者が前者より上方に位置し得る。この場合、内部配管に形成された溜水部は、洗浄水により完全に封水される。このため、溜水部の上流側の内部配管及び便器排水路に、閉鎖空間が形成される。これにより、便器洗浄が行われる際、より早期に便器排水路及び内部配管内を洗浄水で満水にすることができ、サイホン作用をより早期に生じさせることができる。
【0011】
溜水部の上流側の内部配管及び便器排水路に形成された閉鎖空間の空気を吸引する吸気装置を備えるとよい。この場合、便器洗浄が行われる際、吸気装置により閉鎖空間の空気を吸引することにより、便器排水路及び内部配管内をさらに早期に洗浄水で満水にすることができ、サイホン作用をさらに早期に生じさせることができる。
【0012】
この排水接続具では、室内に取り出された排水管の下流側で負圧が生じた場合でも、筐体が流出口より広がった内部空間を形成しているため、溜水部への負圧力の影響を弱めることができる。このため、排水管内の負圧により、溜水部の洗浄水が下流側に吸引され難く、溜水部の封水が破壊され難い。よって、溜水部の上流側に形成された閉鎖空間が維持され、サイホン作用を早期、かつ確実に生じさせることができる。
【0013】
下流口は、筐体の内側面に沿って開口し得る。この場合、下流口から流出する洗浄水を筐体の内側面に沿わせて流出口から排水させることができる。このため、洗浄水の流水音を小さくすることができる。
【0014】
筐体の内側面は、水平断面が略円形状であり得る。この場合、下流口から流出した洗浄水は、筐体の内側面に沿わせることにより、渦巻きながら流出口から排水される。このため、洗浄水をよりスムーズに筐体から排水することができる。
【0015】
筐体の内側面は、流出口に向けた下り傾斜面を有し得る。この場合、洗浄水を流出口から確実に排水することができる。
【0016】
下流口は、流出口に向けて開口し得る。この場合、下流口から流出する洗浄水を流出口に直接的に排水することができる。このため、筐体内で洗浄水の流水音が生じず、より静音化を図ることができる。
【0017】
筐体の上面に設けられた流入口と、筐体の下面に設けられた流出口とは、設置時に上方から見て同心であり得る。この場合、便器排水路の排水口が便器本体の左右中心に設けられ、排水管が便器本体の据え付けられる室内の左右中心に取り出されることにより、便器本体を室内の左右中心に容易に据え付けることができる。
【0018】
筐体の外側面には、面状ヒーターが貼付され得る。この場合、面状ヒーターによって筐体内を暖めることができるため、内部配管に設けられた溜水部の洗浄水の凍結を防止することができる。
【0019】
筐体は、下部側面に連結され、横方向に延びる横配管を有し、流出口は、横配管の下流端に設けられ得る。便器本体を取り換える場合、取り換える前の便器本体の仕様によっては、排水管の室内への取り出し位置が相違する。この場合、横配管を適宜長さに切断することにより、排水管の接続口に流出口を連結することができるため、便器本体の取り換えを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の排水接続具を洋風水洗式便器に具体化した実施例1〜4を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0021】
実施例1の洋風水洗式便器は、図1に示すように、便器本体1と、便器洗浄装置100と、吸気装置200とを備えている。便器洗浄装置100は、水道管に接続され、ストレーナ、定流量弁及び開閉弁を有している。吸気装置200は、吸引タンク201と吸引タンク201を駆動する駆動装置202とを備えている。なお、便座及び便蓋の図示は省略する。
【0022】
便器本体1は、便鉢2の上部内周にリム3を有している。また、便器本体1は、洗浄水が貯留される水封部4を有している。便鉢2の下流側に連なる便器排水路5は、便器本体1と一体に形成された上流排水管5Aにより形成された上昇流路と、上昇流路の最上昇部である上流排水管5Aの下流端にパッキン5Pを介して接続され、便器本体1とは別体に形成された下流排水管5Bにより形成された下降流路とから構成されている。便鉢2及び上流排水管5Aの下面には、便鉢2及び上流排水管5A内に滞留する洗浄水の凍結を防止するための面状ヒーター50が貼付されている。
【0023】
下流排水管5Bの下流端は、便器排水路5の排水口6を形成している。下流排水管5Bは、便器排水路5の最上部より下流側の上面部に垂直上方に延びる連通管7が形成されている。連通管7の上部開口には、パッキン7Pを介して吸引タンク201の吸引管201Aが挿入され、気密状態に接続される。なお、吸引管201Aの外側面にOリングを嵌合させ、吸引管201Aを連通管7に挿入し、気密状態に接続してもよい。
【0024】
排水口6は、排水接続具10を介して、便器本体1が据え付けられる室内の床面Fに取り出された排水管30の接続口31に連通される。図1〜図4に示すように、排水接続具10は、上部筐体11A及び下部筐体11Bからなる筐体11と、筐体11内に配置される内部配管20とを備えている。
【0025】
上部筐体11Aは、上面から垂直上方に延びる円筒状の第1接続部13を有している。第1接続部13の上端は、流入口12を形成している。第1接続部13の下部は、上部筐体11Aの上面より下方まで延び、中央部に流入口よりも小径の円形状の開口15が形成されている。この開口15の周縁下部には、下方に延びる円柱状の垂下壁16が形成されている。
【0026】
流入口12には、パッキン12Pが装着される。パッキン12Pは、下流排水管5Bより小径の開口12Kが設けられた円形状の上面12Uと、上面12Uの周縁から下方に延びる胴部12Dとから形成されている。このパッキン12Pの胴部12Dは、内周面に形成され、第1接続部13の外周面に形成された鍔部14に係止する凹部を有している。下流排水管5Bを排水接続具10に接続する際には、流入口12に装着されたパッキン12Pの開口12Kを押し広げるようにして、上方から下流排水管5Bを流入口12に挿入することにより、下流排水管5Bを排水接続具10に容易に接続することができる。
【0027】
また、上部筐体11Aは、上面の周縁から下方に延びる側壁11Cを有している。側壁11Cの内側面は、水平断面が略円形状である。便器本体1の後方側の側壁11Cは、傾斜面11Dとされている。これにより、筐体11の小型化が図られ、便器本体1の周壁Wに囲まれて形成された後部収納空間S内に吸気装置200の駆動装置202等を容易に収納することができる。
【0028】
下部筐体11Bは、上部筐体11Aの側壁11Cに連続する外壁11Eと、側壁11Cの内側面と面一に形成された内側面を有する内壁11Fとを有している。内壁11Fの下端には、垂直方向に延びる円柱状の第2接続部17が設けられている。第2接続部17の下端は、流出口18を形成している。第2接続部17は、床面Fに取り出された排水管30の接続口31に挿入され、排水管30に接続される。内壁11Fは、流出口18に向けた下り傾斜面に形成されている。内壁11Fの外側面には、面状ヒーター51が貼付されている。
【0029】
図2〜図4に示すように、下部筐体11Bは、左右下端に設けられた切欠き部11Gを有している。床面Fに排水接続具10を固定する際に、この切欠き部11Gを通して、排水接続具10の流出口18と排水管30の接続口31との連結部分から水漏れ又は臭気の漏れがないかを確認することができる。
【0030】
また、下部筐体11Bは、下端前方に設けられ、左右方向に延びる取付片19を有している。取付片19の左右両端部には、筐体11を床面Fに固定するための木螺子Nを挿通することのできる貫通孔19Hが設けられている。また、取付片19の下面には、下部筐体11Bの外壁11E内に連通するスリット19Sが設けられている。これにより、床面Fに取り付けられた排水接続具10を取り外す際、このスリット19Sからのこぎりの刃を挿入し、第2接続部17を切断することにより、排水管30から排水接続具10を切り離すことができる。
【0031】
図1〜図3に示すように、筐体11内に配置される内部配管20は、上端に流入口21を有し、下降流路を形成する上流配管22と、上流配管22に連続して形成され、筐体11内に開口する下流口24を有し、上昇流路を形成する下流配管23とから構成されている。上流配管22は、上端部が上部筐体11Aに設けられた垂下壁16に連結されている。上流配管22は、垂下壁16との連結部より下方で、便器本体1の後方側へ曲り、斜め下方に延びつつ、横方向に徐々に湾曲し、最下降部が形成されている。下流配管23は、最下降部から便器本体1の前方側へ徐々に湾曲しつつ、斜め上方に延びている。下流配管23は、先端部に接続され、下流口24が筐体11の内側面に沿うとともに、僅かに斜め下方に向けて開口する先端部23Aを有している。下流口24より上流側に上昇流路の最上昇部が形成されている。
【0032】
図1に示すように、上昇流路の最上昇部の下端23Uは、下降流路の最下降部の上端22Dより上方に位置している。このため、内部配管20に形成された溜水部Rは、洗浄水により封水される。このため、水封部4の下流側の便器排水路5内及び溜水部Rの上流側の内部配管内に閉鎖空間が形成される。
【0033】
図1及び図2に示すように、溜水部Rを形成する内部配管20は、筐体11内に配置されているため、溜水部Rが形成された内部配管20の外周面は外気に曝されず、結露が生じ難い。仮に、内部配管20の外周面に結露が生じたとしても、その結露は筐体11内に落下し、筐体11の流出口18から排水管30内に排水される。このため、結露による床面Fの染み汚れを防止することができる。また、溜水部Rに流入する洗浄水により発生する音は、内部配管20を覆う筐体11により外部に漏れにくいため、静音化を図ることができる。
【0034】
したがって、実施例1の排水接続具10は、使い勝手に優れた水洗式便器を実現することができる。
【0035】
また、上部筐体11Aに設けられた流入口12と、下部筐体11Bに設けられた流出口18とは、床面Fに設置された状態で、上方から見て同心になっている。このため、便器排水路5の排水口6が便器本体1の左右中心に設けられ、排水管30が便器本体1の据え付けられる室内の左右中心に取り出されることにより、便器本体1を室内の左右中心に容易に据え付けることができる。
【0036】
また、下部筐体11Bの内壁11Fの外側面に貼付された面状ヒーター51によって筐体11内を暖めることができるため、溜水部Rの洗浄水の凍結を防止することができる。
【0037】
さらに、排水管30の下流側で負圧が生じた場合でも、筐体11が流出口より広がった内部空間を形成しているため、溜水部Rへの負圧力の影響を弱めることができる。このため、排水管30内の負圧により、溜水部Rの洗浄水が下流側に吸引され難く、溜水部Rの封水が破壊され難い。よって、溜水部Rの上流側に形成された閉鎖空間が維持され、サイホン作用を早期、かつ確実に生じさせることができる。
【0038】
以上のように構成された洋風水洗式便器の便器洗浄では、便器洗浄装置100によってリム3に洗浄水が供給される。すると、便鉢2内の洗浄水の水位が上昇する。所定量の洗浄水が供給され、便鉢2内の洗浄水の水位が所定位置になると、吸気装置200の駆動装置202が吸引タンク201を駆動する。吸引タンク201により、水封部4の下流側及び溜水部Rの上流側の閉鎖空間が形成されている便器排水路5から空気が吸引されると、閉鎖空間は洗浄水で満水となり、サイホン作用が早期、かつ確実に発生する。
【0039】
サイホン作用が発生した後、所定時間、便器洗浄装置100によってリム3に洗浄水が供給される。所定流量の洗浄水が供給されている間は、サイホン作用が継続し、便鉢2内の汚物が排出される。その後、吸気装置200の駆動装置202が吸引タンク201を駆動し、吸引タンク201から便器排水路5へ空気を排出する。これによりサイホン作用が終了する。サイホン作用が終了した後、便器本体1の水封部4に洗浄水が供給されて封水が完了される。
【0040】
この便器洗浄時、内部配管20の下流口24から筐体11内に流出する洗浄水は、筐体11の内側面に沿って、渦巻きながら流出口18から排水管30内に排水される。このため、スムーズに洗浄水を筐体11から排水することができるため、サイホン作用を継続させることができるとともに、洗浄水の流水音を小さくすることができる。また、下部筐体11Bの内壁11Fは、流出口18に向けた下り傾斜面に形成されているため、洗浄水を流出口18から確実に排水することができる。
【実施例2】
【0041】
実施例2の洋風水洗式便器は、排水接続具の筐体の形状を変更したものである。図5及び図6に示すように、排水接続具60の筐体61は、上部筐体61Aと下部筐体61Bとからなる。実施例1と同一の構成については、同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0042】
上部筐体61Aは、上面が円形状であり、上面の周縁から下方に延びる円筒状の側壁63を有している。側壁63の内側面は、水平断面が円形状である。下部筐体61Bは、上部筐体61Aの側壁63に連続する側壁64を有している。また、下部筐体61Bは、側壁64の下端前方に設けられ、左右方向に延びる一対の取付片62を有している。各取付片62には、筐体61を床面Fに固定するための木螺子Nを挿通することのできる貫通孔62Hが設けられている。
【0043】
図6に示すように、下部筐体61Bの側壁64の内側面には、上下方向の中間部から流出口18に向けた下り傾斜面65が形成されている。この傾斜面65の下端に連続して第2接続部17が形成されている。
【0044】
筐体61内には、溜水部Rを形成する内部配管20が配置されているため、溜水部Rが形成された内部配管20の外周面は外気に曝されず、結露が生じ難い。仮に、内部配管20の外周面に結露が生じたとしても、その結露は筐体61内に落下し、筐体61の流出口18から排水管30内に排水される。このため、結露による床面Fの染み汚れを防止することができる。また、溜水部Rに流入する洗浄水により発生する音は、内部配管20を覆う筐体61により外部に漏れにくいため、静音化を図ることができる。
【0045】
したがって、実施例2の排水接続具60も、使い勝手に優れた水洗式便器を実現することができる。
【0046】
また、この筐体61の内側面は、水平断面が円形状であるため、便器洗浄時、内部配管20の下流口24から筐体61内に流出する洗浄水は、筐体61の内側面に沿って、渦巻きながら流出口18から排水管30内に排水される。このため、スムーズに洗浄水を筐体61から排水することができ、洗浄水の流水音を小さくすることができる。また、下部筐体61Bには、流出口18に向けた下り傾斜面65が形成されているため、洗浄水を流出口18から確実に排水することができる。
【実施例3】
【0047】
実施例3の洋風水洗式便器は、排水接続具の筐体の形状を変更したものである。図7及び図8に示すように、排水接続具70の筐体71は、上部筐体71Aと下部筐体71Bとからなる。実施例1又は実施例2と同一の構成については、同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0048】
上部筐体71Aは、実施例2の上部筐体61Aと同様の構成を有している。下部筐体71Bは、側壁72に連結され、横方向に延びる横配管73を有している。横配管73は、先端に接続され、下方に向いて開口する流出口75が形成された接続部材74を有している。流出口75は、排水管30の接続口31に挿入される継手部材76を介して排水管30に接続される。
【0049】
筐体71内には、溜水部Rを形成する内部配管20が配置されているため、溜水部Rが形成された内部配管20の外周面は外気に曝されず、結露が生じ難い。仮に、内部配管20の外周面に結露が生じたとしても、その結露は筐体71内に落下し、筐体71の流出口75から排水管30内に排水される。このため、結露による床面Fの染み汚れを防止することができる。また、溜水部Rに流入する洗浄水により発生する音は、内部配管20を覆う筐体71により外部に漏れにくいため、静音化を図ることができる。
【0050】
したがって、実施例3の排水接続具70も、使い勝手に優れた水洗式便器を実現することができる。
【0051】
また、便器本体を取り換える場合、取り換える前の便器本体の仕様によっては、排水管30の室内への取り出し位置が相違する。この場合、横配管73を適宜長さに切断することにより、排水管30の接続口31に流出口75を連結することができるため、便器本体の取り換えを容易に行うことができる。
【実施例4】
【0052】
実施例4の洋風水洗式便器は、排水接続具の内部配管の形状を変更したものである。図9に示すように、この排水接続具80の内部配管90は、下部筐体61Bに設けられた流出口18に向けて開口する下流口94を有している。実施例1又は実施例2と同一の構成については、同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0053】
内部配管90は、上端に流入口91を有し、下降流路を形成する上流配管92と、上流配管92に連続して形成される下流配管93とから構成されている。下流配管93は、上昇流路と、上昇流路の下流側に連続する下降流路とを形成している。下流配管93の下端部が、筐体61の第2接続部17内に挿入されて配置されているため、内部配管90の下流口94は、流出口18に向けて開口している。
【0054】
筐体61内には、溜水部Rを形成する内部配管90が配置されているため、溜水部Rが形成された内部配管90の外周面は外気に曝されず、結露が生じ難い。仮に、内部配管90の外周面に結露が生じたとしても、その結露は筐体61内に落下し、筐体61の流出口18から排水管30内に排水される。このため、結露による床面Fの染み汚れを防止することができる。また、溜水部Rに流入する洗浄水により発生する音は、内部配管20を覆う筐体71により外部に漏れにくいため、静音化を図ることができる。
【0055】
したがって、実施例4の排水接続具80も、使い勝手に優れた水洗式便器を実現することができる。
【0056】
また、下流口94から流出する洗浄水を流出口18に直接的に排水することができるため、筐体61内で洗浄水の流水音が生じず、より静音化を図ることができる。
【0057】
以上において、本発明を実施例1〜4に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0058】
例えば、内部配管に形成された溜水部Rを封水しなくてもよい。この場合、溜水部Rの洗浄水の上方に空気が流通する隙間が形成され、便器洗浄の際、溜水部Rに洗浄水が供給されることにより、この隙間が封鎖されることにより、溜水部Rの上流側に閉鎖空間が形成されるようにするとよい。
【0059】
また、便器排水路5から空気を吸引する吸気装置を備えなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は水洗式便器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1の洋風水洗式便器の断面図である。
【図2】実施例1の排水接続具の断面図である。
【図3】実施例1の排水接続具の分解図である。
【図4】実施例1の排水接続具の斜視図である。
【図5】実施例2の排水接続具の斜視図である。
【図6】実施例2の排水接続具の断面図である。
【図7】実施例3の洋風水洗式便器の断面図である。
【図8】実施例3の排水接続具の斜視図である。
【図9】実施例4の排水接続具の断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1…便器本体
2…便鉢
5…便器排水路
6…排水口
10、60、70、80…排水接続具
11、61、71…筐体
12…流入口
18、75、94…流出口
20、90…内部配管
21、91…上流口
22、92…上流配管
23、93…下流配管
24、94…下流口
30…排水管
31…接続口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体に形成された便鉢の下流側に連なる便器排水路の排水口と、該便器本体が据え付けられる室内に取り出された排水管の接続口とを連通する排水接続具において、
前記排水口に連結される流入口と、前記接続口に連結される流出口とが設けられた筐体と、該筐体内に配置される内部配管とを備え、
該内部配管は、該流入口に連通する上流口を有し、設置時に下降流路を形成する上流配管と、該上流配管に連結され、該筐体内に開口する下流口を有し、設置時に上昇流路を形成する下流配管とから構成されていることを特徴とする排水接続具。
【請求項2】
前記下降流路の最下降部の上端と、前記上昇流路の最上昇部の下端とは、設置時に同一水平位置又は後者が前者より上方に位置している請求項1記載の排水接続具。
【請求項3】
前記下流口は、前記筐体の内側面に沿って開口する請求項1又は2記載の排水接続具。
【請求項4】
前記筐体の内側面は、水平断面が略円形状である請求項3記載の排水接続具。
【請求項5】
前記筐体の内側面は、前記流出口に向けた下り傾斜面を有している請求項1乃至4のいずれか1項記載の排水接続具。
【請求項6】
前記下流口は、前記流出口に向けて開口する請求項1又は2記載の排水接続具。
【請求項7】
前記筐体の上面に設けられた前記流入口と、前記筐体の下面に設けられた前記流出口とは、設置時に上方から見て同心である請求項1乃至6のいずれか1項記載の排水接続具。
【請求項8】
前記筐体の外側面には、面状ヒーターが貼付されている請求項1乃至7のいずれか1項記載の排水接続具。
【請求項9】
前記筐体は、下部側面に連結され、横方向に延びる横配管を有し、
前記流出口は、該横配管の下流端に設けられている請求項1乃至8のいずれか1項記載の排水接続具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−180059(P2009−180059A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22542(P2008−22542)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】