説明

排水用配管構造

【課題】大量の雨水などが大量の空気を伴って立主管を流下しても、管内水が管外に跳ね出し難くいとともに、管内空気の吹き出し音が小さい排水用配管構造を提供する。
【解決手段】立主管1の上下方向複数箇所に枝管を連通接続して、枝管の夫々から立主管に流入した水を、横主管を通して排水可能に設けてある排水用配管構造であって、立主管の下端側に、その立主管の外径よりも内径が大きい大径部8を備えた筒状体9を連通接続して、その筒状体の下部に横主管を連通接続してあるとともに、筒状体の内外を連通する連通路11を立主管の下端開口12よりも高い位置の筒状体部分に開口させてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立主管の上下方向複数箇所に枝管を連通接続してあり、前記枝管の夫々から前記立主管に流入した水を、横主管を通して排水可能に設けてある排水用配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記排水用配管構造では、従来、立主管の下端部と横主管とをエルボ継手などを介して直に連通接続してあり、大量の雨水などが大量の空気を伴って立主管を流下すると、立主管内の下流部分において管内空気が圧縮されて空気圧が上昇し易く、その空気圧で管内水が枝管を逆流する現象が生じ易い。
この現象を防止するためには、立主管内の下流部分における管内空気を管外に逃がして空気圧の上昇を抑制すれば良いが、管径に対して大量の排水が流れ込む場合においては、その効果は限定的であった(周知慣用技術であり、適切な先行技術文献情報を開示できない)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、管内水が管内空気と共に枝管に流入してその上流側開口から管外に跳ね出し易い欠点があり、特に、横主管が満流状態に近づくほど空気圧が増大して、管内空気が枝管の上流側開口から管外に吹き出す際の吹き出し音が大きくなり易い欠点がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、大量の雨水などが大量の空気を伴って立主管を流下しても、管内水が管外に跳ね出し難くいとともに、管内空気の吹き出し音が小さい排水用配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1特徴構成は、立主管の上下方向複数箇所に枝管を連通接続してあり、前記枝管の夫々から前記立主管に流入した水を、横主管を通して排水可能に設けてある排水用配管構造であって、前記立主管の下端側に、その立主管の外径よりも内径が大きい大径部を備えた筒状体を連通接続して、その筒状体の下部に前記横主管を連通接続してあるとともに、前記筒状体の内外を連通する連通路を前記立主管の下端開口よりも高い位置の筒状体部分に開口させてある点にある。
【0005】
〔作用及び効果〕
立主管の下端側に、その立主管の外径よりも内径が大きい大径部を備えた筒状体を連通接続して、その筒状体の下部に横主管を連通接続してあるので、筒状体の内側に大きな空間を確保して、大量の雨水が一時に流れ落ちてきても空気圧の上昇を抑制できるとともに、筒状体の内外を連通する連通路を設けてあるので、筒状体の内側で空気圧の上昇が抑制された管内空気を、その連通路を通して管外に効率良く逃がすことができて、管内空気が枝管に流入し難く、また、筒状体の内側における空気圧が増大し難いので、横主管が満流状態に近づいても、管内空気が連通路を通して管外に吹き出す際の吹き出し音も小さくなる。
そして、立主管の下端開口よりも高い位置の筒状体部分に連通路を開口させて、空気圧の上昇が抑制された管内空気を、その連通路を通して管外に逃がすことができるので、管内水が管内空気と共に連通路に流入し難い。
従って、大量の雨水などが大量の空気を伴って立主管を流下しても、管内水が管内空気と共に枝管にも、連通路にも流入し難く、その結果、管内水が枝管からも、連通路からも管外に跳ね出し難いとともに、横主管が満流状態に近づいても、管内空気の連通路からの吹き出し音が小さい。
【0006】
本発明の第2特徴構成は、前記立主管の下端側を前記筒状体の内側に突出するように入り込ませてある点にある。
【0007】
〔作用及び効果〕
立主管の下端側を筒状体の内側に突出するように入り込ませてあるので、立主管と筒状体との間の空間に連通路を開口させることができ、立主管の下端側から筒状体内に流出する管内水の運動方向と、筒状体内から連通路に流入する管内空気の運動方向とが互いに略逆向きになり、管内水の連通路への流入を効果的に防止できる。
【0008】
本発明の第3特徴構成は、前記筒状体部分に形成した貫通孔で前記連通路を構成してある点にある。
【0009】
〔作用及び効果〕
筒状体部分に形成した貫通孔で、筒状体の内外を連通する連通路を構成してあるので、通気管などを特に接続すること無く、管内空気を管外に逃がすことができ、配管構造の簡略化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、マンションなどの中高層住宅Aに設けてある本発明による排水用配管構造を示し、円筒状の樹脂製排水用立主管1を略鉛直方向に沿わせて配管して、その立主管1の下端側に円筒状の樹脂製排水用横主管2を水勾配を持たせて連通接続してあるとともに、立主管1の上下方向複数箇所、つまり、各階層毎に設けてあるベランダBの下側箇所に、分岐継ぎ手4を介して、円筒状の樹脂製排水用枝管3を水勾配を持たせて連通接続してある。
尚、立主管1や横主管2,枝管3の全部又は一部を金属管で構成してあっても良い。
【0011】
そして、屋上排水口5に立主管1の上端側を連通接続するとともに、各ベランダ排水口6に各枝管3の上端側を連通接続して、ベランダBや屋上階Cから立主管1に流入した雨水を、横主管2を通して集水枡7に流入させて排水可能に設けてある。
【0012】
前記立主管1の下端側には、図2にその一部を示すように、立主管1の外径よりも内径が大きい大径部8を備えた円形筒状体9を同芯状に連通接続して、その筒状体9の下部に、エルボ継手10を介して横主管2を連通接続してある。
【0013】
前記筒状体9は、連通路11が開口する上部筒状体9aと、横主管2が連通接続される下部筒状体9bとを同芯状にねじ込み接続して構成してあり、上部筒状体9aの上端部をその内径が立主管1の外径よりも1.2〜1.5倍程度大径になるように形成して、その内側に立主管1を挿通し、立主管1と上部筒状体9aとの隙間を塞ぐキャップ13を、ゴム製Oリング14を挟んで上部筒状体9aにねじ込んで装着してある。
【0014】
そして、筒状体9の内外を連通する連通路11を、立主管1の下端開口12よりも高い位置の筒状体部分である上部筒状体9aに開口させてある。
つまり、立主管1の下端側を下部筒状体9bの内側に突出するように同芯状に入り込ませて、立主管1と筒状体9との間に環状の空間15を形成してある二重管構造を設け、その空間15の上部に連通路11を開口させてある。
【0015】
前記連通路11は、上部筒状体9aに設けてある分岐接続部16に、短管17とエルボ継手18とを介して、外部空気に連通する通気管19を下向きに連通接続して設けてある。
【0016】
尚、空間15の筒径方向の断面積は、立主管1の管径方向の管内断面積よりも広いことが好ましく、呼び径75φ(内径77mm,外径89mm)の立主管1を設けてある場合は、大径部8の内径が125mmの筒状体9を設けてあるのが好ましいが、呼び径100φ(内径100mm,外径114mm)の立主管1を設けてある場合は、大径部8の内径が146mmの筒状体9を設けてあっても良い。
また、いずれの場合でも、立主管1の筒状体9の内側への入り込み深さは、600mm程度が好ましい。
尚、上記配管構造を形成するにあたり、本実施形態ではねじ込み接続方式を用いているが、樹脂材同士を専用の接着剤で接合する接着方式を用いても良い。
【0017】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の別実施形態を示し、第1実施形態で示した通気管19を設けて形成してある連通路11に代えて、筒状体9の上部筒状体9aに貫通孔としての筒周方向で複数の矩形窓孔20を形成して、筒状体9の内外を連通する連通路11を構成し、各矩形窓孔20を筒径方向に間隔を隔てて傘状に囲むカバー21をキャップ13に一体に設けてある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0018】
〔第3実施形態〕
図4は、本発明の別実施形態を示し、立主管1の下端側に円形筒状体9を一体に連通接続してあるとともに、立主管1と筒状体9との間の空間15のうちの、立主管1の下端開口12と略同じ高さ位置近くにおいて、その下端開口12よりも高い位置の筒状体部分に開口する連通路11を設けてある。
【0019】
つまり、立主管1を、上部立主管部1aと、短管部1bと、上部立主管部1aの下端側と短管部1bとを接続する接続管部1cとで構成し、接続管部1cの下端部に筒状体9を一体に延設して、短管部1bを筒状体9の内側に同芯状に突出するように入り込ませてある。
【0020】
前記上部立主管部1aと接続管部1cと短管部1bは溶接で互いに同芯状に接続してあり、短管部1bは、接続管部1cの内面側に溶接接続してある第1短管22aと、その第1短管22aに溶接接続してある第2短管22bとで構成してある。
【0021】
前記連通路11は、筒状体9に、側面視で上向きL字状の通気管19を連通接続して形成してあり、通気管19の上端部には、その上向き開口23を間隔を隔てて囲むカバー24を固定してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0022】
〔第4実施形態〕
図5は、本発明の別実施形態を示し、円形筒状体9を筒部25aとその上端開口を塞ぐ蓋部25bとで構成し、蓋部25bに立主管1の下端部を挿通して溶接固定してあるとともに、連通路11を形成する下向きコの字状の通気管19の一端側を蓋部25bに挿通して溶接固定して、連通路11を立主管1の下端開口12よりも高い位置の筒状体部分に開口させてある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0023】
〔その他の実施形態〕
本発明による排水用配管構造は、立主管の下端側に角筒形の筒状体を同芯状に連通接続してあっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】排水用配管構造の側面図
【図2】第1実施形態を示す要部の縦断面図
【図3】第2実施形態を示す要部の縦断面図
【図4】第3実施形態を示す要部の縦断面図
【図5】第4実施形態を示す要部の縦断面図
【符号の説明】
【0025】
1 立主管
2 横主管
3 枝管
8 大径部
9 筒状体
11 連通路
12 下端開口
15 空間
20 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立主管の上下方向複数箇所に枝管を連通接続してあり、
前記枝管の夫々から前記立主管に流入した水を、横主管を通して排水可能に設けてある排水用配管構造であって、
前記立主管の下端側に、その立主管の外径よりも内径が大きい大径部を備えた筒状体を連通接続して、その筒状体の下部に前記横主管を連通接続してあるとともに、
前記筒状体の内外を連通する連通路を前記立主管の下端開口よりも高い位置の筒状体部分に開口させてある排水用配管構造。
【請求項2】
前記立主管の下端側を前記筒状体の内側に突出するように入り込ませてある請求項1記載の排水用配管構造。
【請求項3】
前記筒状体部分に形成した貫通孔で前記連通路を構成してある請求項1又は2記載の排水用配管構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−267040(P2008−267040A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113171(P2007−113171)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【Fターム(参考)】