説明

排水管用洗浄治具

【課題】洗浄ホースを円滑に出し入れできる排水管用洗浄治具を提供すること。
【解決手段】排水管用洗浄治具11は、排水管1の掃除口5に取り付けられて、排水管1を洗浄する洗浄ホースHの挿入を案内する。洗浄治具11は、掃除口5の周縁の取付座4bにねじ17止めされて、洗浄ホースHを挿入可能な挿入用開口14を備えた治具本体12と、治具本体12に対して取替え可能に組み付けられて、少なくとも挿入用開口14まで洗浄ホースHを案内可能な可撓性を有した案内パイプ27と、を備える。治具本体12は、取付座4bにねじ17止めされる取付プレート部13と、取付プレート部13から排水管1内に延びるように配設されて洗浄ホースHを排水管1内まで案内可能な筒状スリーブ部20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層階の建築物の排水管内に洗浄ホースを挿入させて排水管を洗浄する際、排水管の所定位置に設けられた掃除口に取り付けられて、洗浄水を噴出させて排水管を洗浄する洗浄ホースの挿入を、案内する排水管用洗浄治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の排水管用洗浄治具では、蛇腹状の可撓性を有した案内パイプの外周側に、ゴム製の円環状のシール材を嵌めて構成されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この排水管用洗浄治具では、排水管の洗浄時、掃除口の蓋体を取り外した後、まず、案内パイプの外周側に嵌めたシール材を、掃除口の内周面に圧接させるように、掃除口内に挿入させて、洗浄治具を位置決めする。そして、洗浄ホースのノズル側を案内パイプから排水管内に挿入させ、洗浄ホースのホース本体側から洗浄水をノズルに供給して、ノズルから噴射される洗浄水の洗浄力により、排水管内を洗浄していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−231892公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の排水管用洗浄治具では、シール材を、単に、掃除口に嵌めて位置決めしているだけであり、洗浄ホースの出し入れ時、シール材が、掃除口の内周面からずれて、掃除口から外れる虞れがあった。そして、シール材が掃除口から外れてしまえば、案内パイプと掃除口の内周面との隙間から、汚水が、排水管の周囲に飛散して、周囲の床等を汚してしまう事態を招いてしまう。この時、汚水が飛散したエリアが、居住区のトイレの点検口における室外側(シャフト側)であれば、掃除が行い難く、問題となってしまう。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するもので、洗浄ホースを円滑に出し入れできる排水管用洗浄治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る排水管用洗浄治具は、排水管に設けられた掃除口に取り付けられて、洗浄水を噴出させて排水管を洗浄する洗浄ホースの挿入を案内する排水管用洗浄治具であって、
開口時の掃除口の周縁における取付座に、ねじ止めされて、洗浄ホースを挿入可能な挿入用開口を備えた治具本体と、
排水管から突出するように、治具本体に対して取替え可能に組み付けられるとともに、少なくとも挿入用開口まで洗浄ホースを案内可能な可撓性を有した案内パイプと、
を備えて構成され、
治具本体が、
挿入用開口を有して、取付座にねじ止めされる環状の取付プレート部と、
取付プレート部の挿入用開口の裏面側周縁から、排水管内に延びるように配設されて、案内パイプを経て挿入用開口内に挿入された洗浄ホースを排水管内まで案内可能な筒状スリーブ部と、
を備えて構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る排水管用洗浄治具では、使用時、まず、排水管の掃除口を、所定の蓋体を外して、開口させ、そして、取付プレート部を、ねじ止めして、掃除口の周縁の取付座に固定する。ついで、洗浄ホースの先端のノズルを、案内パイプ内に挿入し、取付プレート部の挿入用開口と筒状スリーブ部とを経て、排水管内に案内し、洗浄ホースの先端のノズルから洗浄水を噴射させれば、排水管内の洗浄を行うことができる。そして、排水管を洗浄した後には、挿入時と逆に、洗浄ホースを排水管用洗浄治具から引き抜き、ねじを緩めて、取付プレート部を取付座から取り外して、掃除口を蓋体によって塞げば、排水管の洗浄作業を完了することができる。そして、排水管用洗浄治具が、取付プレート部を取付座にねじ止めしていれば、案内パイプや筒状スリーブ部を介して、洗浄ホースを出し入れしても、掃除口の周縁から外れないことから、不用意に掃除口を開口させず、掃除口からの汚水の飛散を防止できる。
【0008】
したがって、本発明に係る排水管用洗浄具では、周囲に汚水を飛散させること無く、洗浄ホースを円滑に出し入れすることができる。
【0009】
また、本発明に係る排水管用洗浄治具では、案内パイプを、取替え可能としていることから、洗浄ホースのホース本体と擦れて、案内パイプが損傷しても、容易に、案内パイプを交換することができる。ちなみに、洗浄ホースのホース本体が、柔軟性と強度とを確保可能に、外層をステンレスのメッシュ状としていれば、案内パイプはホース本体と擦れて損傷し易い。
【0010】
なお、掃除口の内周側では、筒状スリーブ部及び/又は案内パイプが、洗浄ホースのホース本体と摺動するため、掃除口の内周側付近における排水管の内周側の、ホース本体との擦れを抑制できて、排水管自体の損傷を防止できる。ちなみに、筒状スリーブ部がホース本体と擦れても、筒状スリーブ部は、案内パイプに比べて、可撓性を必要としないことから、ある程度の強度を有した素材から形成したり、厚肉に形成できて、洗浄ホースのホース本体と摺動しても、案内パイプに比べて、交換を要するような損傷は生じ難い。
【0011】
そして、本発明に係る排水管用洗浄治具では、筒状スリーブ部の内周側に、挿入用開口から連なって形成されるとともに、案内パイプの排水管内への進入を規制可能なストッパ壁を有し、かつ、案内パイプの先端部を嵌合可能な嵌合孔部を有した挿通孔、を設けることが望ましい。
【0012】
このような構成では、排水管の洗浄時、案内パイプや筒状スリーブ部を経て、洗浄ホースのホース本体を、排水管内に長く(深く)挿入させる際、案内パイプがホース本体との摩擦により、排水管内に引き込まれる状態となっても、案内パイプが、筒状スリーブ部のストッパ壁に規制され、排水管内への進入が防止される。ちなみに、案内パイプが、引き込まれて排水管内に落下すれば、排水の詰まり等を引き起こす虞れが生じてしまう。
【0013】
この点を考慮しなければ、案内パイプは、排水管内側に延びる先端部を、筒状スリーブ部から離脱させるように、排水管内側に突出させつつ、筒状スリーブ部に対して、嵌挿させて組み付けるように構成してもよい。
【0014】
また、筒状スリーブ部は、弾性変形可能なゴム状弾性材料から形成して、取付プレート部から離れる先端側にかけて、外周面を先細りのテーパ状として、取付プレート部の取付座へのねじ止め時、掃除口の内周面に、外周面を圧接可能に構成してもよい。このような構成では、取付プレート部の取付座へのねじ止め時、筒状スリーブ部が、掃除口の周縁の水密性を確保できて、別途、掃除口周縁のシール用のパッキンを、使用しなくとも良い。さらに、案内パイプが筒状スリーブ部に嵌合されて組み付けられている場合、筒状スリーブ部が、掃除口の内周面に圧接されれば、案内パイプを、一層、外周側から強く挟持する状態となることから、筒状スリーブ部が、案内パイプの保持を強固にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の排水管用洗浄治具の分解斜視図である。
【図2】実施形態の排水管用洗浄治具の部分拡大側面図である。
【図3】実施形態の排水管用洗浄治具における治具本体の断面図である。
【図4】実施形態の排水管用洗浄治具を掃除口に取り付けた状態を示す概略部分断面図である。
【図5】実施形態の排水管用洗浄治具を掃除口に取り付けた状態で、洗浄ホースを挿入した状態を示す概略部分断面図である。
【図6】排水管に設けられた掃除口を所定の蓋体で閉口させた状態を示す概略部分断面図である。
【図7】実施形態の変形例を示す排水管用洗浄治具を掃除口に取り付けた状態で、洗浄ホースを挿入した状態を示す概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の排水管用洗浄治具11は、図1,6に示すように、排水管1の一部を構成しているソケット3の掃除口5に装着されて使用される。
【0017】
ソケット3は、排水立て管2(2A,2B)の間に配設されて、排水立て管2A,2Bと接続させるための接続部6(6A,6B)を上下端にそれぞれ配設させた略円筒状の胴部4を備え、胴部4に掃除口5を開口させている。接続部6A,6Bは、可撓継手形式によって排水立て管2A,2Bと接続可能に、接続ボルト(図符号省略)を挿通可能な挿通孔6bを設けたフランジ部6aが形成されて、構成されている。
【0018】
掃除口5は、胴部4の上下方向の軸心に対し、軸心を直交させて、開口され、通常時、図6に示すように、胴部4に固定される掃除口用の蓋体7によって、閉塞されている。胴部4の外周面側における掃除口5の周縁には、取付座4b(図1,6参照)が形成されており、取付座4bの四隅には、蓋体7の取付用の取付ボルト10と螺合するねじ孔4cが形成されている。
【0019】
蓋体7は、本体8と、四角環状のパッキン9と、を備えて構成され、本体8は、掃除口5の内周面5a側に挿入可能な有底円筒形状の筒形状部8aと、筒形状部8aの端部から外方に延びるフランジ部8cと、を備えて構成されている。筒形状部8aの底部8bは、蓋体7のソケット3への取付時、胴部4の内周面4aと面一となるように、水平方向の横断面を、円弧状に湾曲させている。フランジ部8cには、各ねじ孔4cに対応して取付ボルト10を挿通させる挿通孔(図示せず)が、形成されている。パッキン9も、各ボルト10を挿通させる図示しない挿通孔を配設させて、構成されている。
【0020】
そして、このソケット3では、取付座4bとの間にパッキン9を介在させて、本体8の筒形状部8aを掃除口5の内周面側に挿入し、フランジ部8cの各挿通孔からパッキン9を経て各ねじ孔4cに取付ボルト10を締結すれば、蓋体7により、掃除口5が閉塞されることとなる。
【0021】
実施形態の排水管用洗浄治具11は、図1〜4に示すように、治具本体12と、案内パイプ27と、を備えて構成されている。
【0022】
案内パイプ27は、ポリエチレンン等の合成樹脂から形成されて、可撓性を有するように蛇腹状とした円筒状のパイプ材から形成されている。この案内パイプ27は、ソケット(排水管1)3から突出するように、治具本体12に対して取替え可能に組み付けられるとともに、治具本体12の挿入用開口14まで洗浄ホースHを案内するものである。案内パイプ27の具体的な長さ寸法は、案内パイプ27が掃除口5の周縁の取付座4bに取り付けられた治具本体12から突出して、突出端27aを点検口Wから突出できる長さ寸法として、設定されている。
【0023】
なお、点検口Wは、図6に示すように、通常時、各住居のトイレの壁面等に、開閉可能な開閉蓋Cに覆われて、配設されている。
【0024】
治具本体12は、案内パイプ27を保持した状態で、開口時の掃除口5の周縁における取付座4bに、ねじ17止めされるもので、洗浄ホースHを挿入可能な挿入用開口14を備えて構成されている。そして、治具本体12は、取付プレート部13と、筒状スリーブ部20と、から構成されている。
【0025】
取付プレート部13は、四角環状の鉄等の金属製として、エポキシ樹脂等によってコーティングされて形成されている。取付プレート部13は、中央に、洗浄ホースHを案内する案内パイプ27を挿入可能な円形に開口した挿入用開口14を、貫通させ、また、四隅に、貫通孔15を貫通させている。各貫通孔15は、取付座4bのねじ孔4cと、それぞれ、一致する位置に配置されている。さらに、貫通孔15の内の挿入用開口14を中心とした点対称となる二箇所には、ねじ孔4cに螺合されるねじ(ボルト)17が、組み付けられている。これらのねじ17は、洗浄治具11を取付座4bに取り付けるものであり、それぞれ、ねじ孔4cに螺合可能に構成されている。さらに、実施形態の場合、各ねじ17は、回転可能として、取付プレート部13から脱落しないように、プッシュナット18を利用して、取付プレート部13に保持されている。
【0026】
筒状スリーブ部20は、取付プレート部13の挿入用開口14の裏面13a側周縁から、ソケット(排水管1)3内に延びるように配設されて、挿入用開口14から挿入された洗浄ホースHを排水管1内まで案内可能な略円筒状としている。実施形態の場合、筒状スリーブ部20は、EPDM等の弾性変形可能なゴム状弾性材料から形成されて、内周側に、取付プレート部13の挿入用開口14から連なって貫通するように形成される挿通孔21、を配設させている。
【0027】
そして、筒状スリーブ部20の取付プレート部13側となる元部20a側では、挿通孔21の内周面側が、案内パイプ27の先端部(組付端)27bを嵌合可能な嵌合孔部23として、先端部20b側に向かって、内径寸法を縮径させるテーパ状に形成されている。また、挿通孔21における軸方向の略中間地点より先端部20b側の部位には、案内パイプ27の排水管1内への進入を規制可能なストッパ壁22が、形成されている。ストッパ壁22は、嵌合孔部23の内周面から急激に縮径されるような段差を設けて、形成されている。
【0028】
ちなみに、ストッパ壁22に当接させるまで、案内パイプ27の組付端27bを嵌合孔部23に嵌合させれば、案内パイプ27は、引き抜き時の洗浄ホースHのホース本体Bが擦れても、嵌合孔部23から外れない程度に、嵌合孔部23に嵌合されることとなる。勿論、この嵌合強度は、取替え時において、案内パイプ27を強い力で上下や左右に交互にずり移動等させつつ引き抜く際には、案内パイプ27を嵌合孔部23から取り外せる程度としている。
【0029】
また、ストッパ壁22付近の内径寸法D0は、案内パイプ27内を通過する洗浄ホースHのノズルN等がストッパ壁22に当たって移動が停止されないように、蛇腹状の案内パイプ27の内径寸法D1より大きく設定されている。
【0030】
さらに、挿通孔21におけるストッパ壁22を越えた筒状スリーブ部20の先端部20b側は、テーパ状に拡径する拡径面24として、構成されている。また、この拡径面24の部位は、案内パイプ27を挿通してきた洗浄ホースHのノズルNやホース本体Bが、掃除口5の内周面5a付近におけるソケット3の胴部4の内周面4aに、接触しないように、十分に、胴部4内に進入する長さ寸法として、形成されている。
【0031】
そしてまた、筒状スリーブ部20は、外周面25を、先端部20b側にかけて先細りのテーパ状として、取付プレート部13の掃除口5の周縁における取付座4bへのねじ止め時、掃除口5の内周面5a(特に、取付座4b側)に、圧接されつつ、掃除口5内に嵌入されるように、構成されている。
【0032】
実施形態の排水管用洗浄治具11では、使用時、まず、開閉蓋Cを開けた点検口Wから、図6の各取付ボルト10を緩めて、蓋体7を取付座4bから外し、ソケット(排水管1)3の掃除口5を開口させる。そして、図4に示すように、取付座4bの所定のねじ孔4cに、ねじ17を螺合させて、案内パイプ27を組付済みの洗浄治具11における取付プレート部13を、掃除口5の周縁の取付座4bに固定する。
【0033】
ついで、図5に示すように、洗浄ホースHの先端のノズルNを、案内パイプ27内に挿入し、取付プレート部13の挿入用開口14と筒状スリーブ部20とを経て、立て管(排水管1)2内に案内し、洗浄ホースHの先端のノズルNから洗浄水を噴射させれば、排水管1内の洗浄を行うことができる。なお、この時、ノズルN付近に、排水管1内に投入された牽引ワイヤを締結して、洗浄ホースHを、引き上げたり、引きおろしたりして、操作しつつ洗浄水を噴射させれば、排水管1を広範囲で洗浄することができる。ちなみに、この牽引ワイヤは、ウインチ等の牽引装置から延びる先端側を、予め、排水管1内に挿通させて、開口させる掃除口5付近に配置させておき、洗浄治具11の取付座4bへの取付前に、洗浄治具11を通して、洗浄ホースHのノズルNに締結しておく。そして、牽引ワイヤの先端を、洗浄治具11の取付座4bへの取付後、洗浄治具11内を挿通させて、洗浄ホースHとともに、排水管1内に戻せば、牽引装置の作動によって、ホース本体Bとともに、洗浄ホースHのノズルN付近を、牽引可能となる。
【0034】
排水管1を洗浄した後には、挿入時と逆に、洗浄ホースHを排水管用洗浄治具11から引き抜き、適宜、牽引ワイヤとノズルNとの締結を外し、さらに、ねじ17を緩めて、取付プレート部13を取付座4bから取り外し、ついで、ボルト10止めして、掃除口5を蓋体7によって塞ぎ、さらに、点検口Wを開閉蓋Cによって塞げば、排水管1の洗浄作業を完了することができる。
【0035】
そして、実施形態の排水管用洗浄治具11では、図4,5に示すように、案内パイプ27を組み付けた治具本体12の取付プレート部13が取付座4bにねじ17止めされるため、案内パイプ27や筒状スリーブ部20を介して、洗浄ホースHを出し入れしても、洗浄治具11が掃除口5の周縁の取付座4bから外れないことから、不用意に掃除口5を開口させず、掃除口5からの汚水の飛散を防止でき、点検口W付近の室外側や室内側を汚さずに済む。
【0036】
したがって、実施形態の排水管用洗浄治具11では、周囲に汚水を飛散させること無く、洗浄ホースを円滑に出し入れすることができる。
【0037】
また、実施形態の排水管用洗浄治具11では、案内パイプ27を、取替え可能としていることから、洗浄ホースHのホース本体Bと擦れて、案内パイプ27が損傷しても、容易に、案内パイプ27を交換することができる。なお、洗浄ホースHのホース本体Bが、柔軟性と強度とを確保可能に、外層をステンレスのメッシュ状としていれば、案内パイプ27はホース本体Bと擦れて損傷し易い。
【0038】
さらに、実施形態の場合、掃除口5の内周面5a側では、筒状スリーブ部20が、洗浄ホースHのホース本体Bと摺動するため、掃除口5の内周面5a側における排水管1の内周面4a側の、ホース本体Bとの擦れを抑制できて、排水管1自体の損傷を防止できる。ちなみに、筒状スリーブ部20は、案内パイプ27に比べて、可撓性を必要としないことから、ある程度の強度を有した素材から形成したり、厚肉に形成できて、洗浄ホースHのホース本体Bと摺動しても、案内パイプ27に比べて、交換を要するような損傷は生じ難い。
【0039】
そして、実施形態の洗浄治具11では、筒状スリーブ部20の内周側に、挿入用開口14から連なって形成されるとともに、案内パイプ27の排水管1内への進入を規制可能なストッパ壁22を有し、かつ、案内パイプ27の先端部27bを嵌合可能な嵌合孔部23を有した挿通孔21が、形成されている。そのため、実施形態では、排水管1の洗浄時、案内パイプ27や筒状スリーブ部20を経て、洗浄ホースHのホース本体Bを、排水管1内に長く(深く)挿入させる際、案内パイプ27がホース本体Bとの摩擦により、排水管1内に引き込まれる状態となっても、案内パイプ27が、筒状スリーブ部20のストッパ壁22に規制され、排水管1内への進入が防止される。ちなみに、案内パイプ27が、引き込まれて排水管1内に落下すれば、排水の詰まり等を引き起こす虞れが生じてしまう。
【0040】
なお、この点を考慮しなければ、図7に示す排水管用洗浄治具11Aのように、筒状スリーブ部20Aの挿通孔21の内周面に、実施形態のようなストッパ壁22を形成せずに、予め、筒状スリーブ部20Aの挿通孔21に、案内パイプ27Aを貫通させておいても良い。すなわち、この変形例では、実施形態の案内パイプ27より長い案内パイプ27Aを使用して、案内パイプ27Aにおける排水管1(ソケット3)の内側に延びる先端部27bを、筒状スリーブ部21Aから離脱させるように、排水管1の内側に突出させつつ、案内パイプ27Aを筒状スリーブ部21Aの挿通孔21に嵌挿させて、治具本体12に組み付けている。この場合には、洗浄ホースHの出し入れ時に、案内パイプ27Aのずれ移動が生じ難いように、案内パイプ27Aは、筒状スリーブ部20Aに嵌挿(嵌合)させるように、挿通孔21に貫通させればよく、逆に、筒状スリーブ部20Aの挿通孔21は、案内パイプ27Aの取り替えを可能として、案内パイプ27Aを嵌合させるように、内径寸法を設定すればよい。
【0041】
さらに、実施形態や変形例では、筒状スリーブ部20,20Aが、弾性変形可能なゴム状弾性材料から形成されて、取付プレート部13側の元部20aから離れる先端部20b側にかけて、外周面25を先細りのテーパ状として、取付プレート部13の取付座4bへのねじ17止め時、掃除口5の内周面5aに、外周面25を圧接可能に構成されている。このような構成では、取付プレート部13の取付座4bへのねじ止め時、筒状スリーブ部20,20Aが、掃除口5の周縁の水密性を確保できて、別途、掃除口5周縁のシール用のパッキンを、使用しなくとも良い。さらに、筒状スリーブ部20,20Aが、掃除口5の内周面5aに圧接されれば、内周側の嵌合孔部23や挿通孔21に嵌合されて組み付けられている案内パイプ27,27Aを、一層、外周側から強く挟持する状態となることから、筒状スリーブ部20,20Aが、案内パイプ27,27Aの保持をより強固にすることができる。
【0042】
なお、実施形態や変形例では、案内パイプ27,27Aを、筒状スリーブ部20,20Aに嵌合させて、治具本体12に対して取替え可能に組み付けるように構成した。しかし、これらの案内パイプ27,27Aは、治具本体12に対して取替え可能に組み付けられれば、挿入用開口14に嵌合させたり、あるいは、ねじ止め等を利用して、取付プレート部13に保持させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…排水管、
3…(排水管)ソケット、
4b…取付座、
4c…ねじ孔、
5…掃除口、
11,11A…排水管用洗浄治具、
12…治具本体、
13…取付プレート部、
14…挿入用開口、
17…ねじ、
20,20A…筒状スリーブ部、
21…挿通孔、
22…ストッパ壁、
23…嵌合孔部、
24…拡径面、
25…(筒状スリーブ部の)外周面、
27,27A…案内パイプ、
H…洗浄ホース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管に設けられた掃除口に取り付けられて、洗浄水を噴出させて前記排水管を洗浄する洗浄ホースの挿入を案内する排水管用洗浄治具であって、
開口時の前記掃除口の周縁における取付座に、ねじ止めされて、前記洗浄ホースを挿入可能な挿入用開口を備えた治具本体と、
前記排水管から突出するように、前記治具本体に対して取替え可能に組み付けられるとともに、少なくとも前記挿入用開口まで前記洗浄ホースを案内可能な可撓性を有した案内パイプと、
を備えて構成され、
前記治具本体が、
前記挿入用開口を有して、前記取付座にねじ止めされる環状の取付プレート部と、
該取付プレート部の前記挿入用開口の裏面側周縁から、前記排水管内に延びるように配設されて、前記案内パイプを経て前記挿入用開口内に挿入された前記洗浄ホースを前記排水管内まで案内可能な筒状スリーブ部と、
を備えて構成されていることを特徴とする排水管用洗浄治具。
【請求項2】
前記筒状スリーブ部が、内周側に、前記挿入用開口から連なって形成されるとともに、前記案内パイプの前記排水管内への進入を規制可能なストッパ壁を有し、かつ、前記案内パイプの先端部を嵌合可能な嵌合孔部を有した挿通孔、を備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水管用洗浄治具。
【請求項3】
前記筒状スリーブ部が、弾性変形可能なゴム状弾性材料から形成されて、前記取付プレート部から離れる先端側にかけて、外周面を先細りのテーパ状として、前記取付プレート部の前記取付座へのねじ止め時、前記掃除口の内周面に、外周面を圧接可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の排水管用洗浄治具。
【請求項4】
前記案内パイプが、前記排水管内側に延びる先端部を、前記筒状スリーブ部から離脱させるように、前記排水管内側に突出させつつ、前記筒状スリーブ部に嵌挿されて組み付けられていることを特徴とする請求項1に記載の排水管用洗浄治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−21261(P2012−21261A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153137(P2010−153137)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(390013516)株式会社小島製作所 (19)
【Fターム(参考)】