説明

排泄物処理装置の排泄物処理方法

【課題】本発明は、オムツカップを使用し、排泄物の洗浄処理をした後、オムツカップ内、ホース内を除菌洗浄し、オムツタンク内等での殺菌の繁殖を抑制する排泄物の処理方法を提供する。
【解決手段】
カップユニット2の中に設置されたセンサーによって、身体から排泄される排泄物を検知し、検知後、カップユニット2に洗浄液と空気の混合流体を流して、カップユニット2内を洗浄する。排泄物及び洗浄液等を排出口2cから吸引させて汚物タンク6に貯蔵する。この洗浄後、陰部及び/又は肛門に人体洗浄液を流して洗浄する。そして、殺菌効果を有する除菌洗浄液をカップユニット2に流して、カップユニット2内及び下水経路の除菌、防臭を行う。最後に、消毒液を陰部及び/又は肛門に噴霧させて、人体局部の消毒を行い、それを保湿する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理装置の排泄物処理方法に関する。詳しくは、通常の体位では排泄できない人、歩行に障害等がありトイレにいけない人、あるいは、いわゆる寝たきりの老人等に利用される排泄物処理装置の排泄物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から排泄物の処理装置は、数多く提案されている。代表的なものは腰臀部を覆って使用されるオムツそのものであるが、オムツカップで包囲しているものも多く知られている。又、差込式便器や便器付きの介護用ベッド等も知られている。オムツカップの場合は、排泄物を自動的に吸引回収するものが知られており、この吸引された排泄物を含む汚物は汚物タンクに溜められる。被介護者、患者等のおむつを予め定められた時間間隔毎に交換しようとした際に、オムツに排尿又は排便されておらず、オムツを交換する必要がない場合もある。
【0003】
また、おむつ交換直後に排泄してしまう場合もある。排泄物を排泄後、適切におむつが交換されないと、被介護者、患者等にとっても不快、不衛生である。また、他の病気を発症させる原因となるおそれもある。さらに、被介護者、患者も必要以上に交換チェックを受けるため、精神的にも負担になるとともに、介護者、看護師の負担もたいへんなものである。そのため、おむつ内の排泄物の有無を検知するセンサーをオムツ内に設置し、排泄の有無を判定して、介護者に通知する方法が提案されている。このセンサーの技術としては、多数の技術が知られている。
【0004】
例えば、大便等の排泄物の検出には、静電容量近接センサーを用いるものが提案されている。この静電容量近接センサーを含む検出回路については、多数の技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。また、オムツカップ内に設置した1対の電極間の直流電圧の変化を検出して、尿等に含まれる塩分を検出するための塩分検知センサーが提案されている。更に、オムツカップ内に赤外線発光ダイオードを常に発光させ、その赤外線を受光トランジスタで受光する物体検知センサーも提案されている。
【0005】
この物体検出センサーは、大便等のものが赤外線を遮蔽し、受光レベルの変化を検出比較するものである。更に、オムツカップ内の臭いを脱臭する技術については、多数の技術が提案されている。例えば、特許文献3には、オムツ交換時の異臭を脱臭、或いは消臭するオムツを開示している。具体的には、オムツは、内装材と水分吸収層と外装材とを積層した構成になり、この層間に脱臭剤層を挿入し、又は内装材、水分吸収層或いは外装材内側に、活性炭等の脱臭剤を担持している。これにより、オムツ交換時の異臭を吸着脱臭する。
【0006】
特許文献4には、大便検知用の透過型光センサー、及び、小便検知用の3個のセンサー端子部からなる小便センサーを有する排泄物処理装置を開示している。センサー制御部は、3個のセンサー端子部を1つずつ動作させるように切り替えして、塩分が含有された水の有無のみを検知する。センサー端子部の近傍に設けられた所定量の小便が凹部に溜まると、小便有りと判断するものである。
【0007】
特許文献5には、オムツカップ本体の底面、側壁面の内部側を確実に洗浄できるようにした排泄物処理装置を開示している。この排泄物処理装置は、排泄部を包囲して身体に取り付けられ、洗浄流体により排泄部から排泄される排泄物を排出処理するように構成されるオムツカップ本体に、洗浄用ノズル体と検知手段を設けたものである。オムツカップ本体の他方の側に設けられた洗浄用ノズル体は、オムツカップ本体の底面、外壁面の内部側に、仕切り部を介して洗浄液を分散させるとともに、噴出させ洗浄するものである。
【特許文献1】実開昭57−171234号公報
【特許文献2】実開昭58−34266号公報
【特許文献3】特開2004−237056号公報
【特許文献4】国際公開WO2008038485号公報「排泄物処理装置」
【特許文献5】国際公開WO2008038486号公報「排泄物処理装置」。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、これらの従来の方式では、下記のような問題点があり、改善する必要がある。従来方式は、オムツカップ内の排泄物を検知して、それを洗浄水等で流して、オムツカップ外に出して処理している。その後に、空気をオムツカップ内に送風して、オムツカップ内の脱臭を処理しても、オムツカップ内の殺菌等を十分に処理できない。殺菌のために殺菌剤を入れた洗浄水を流す方法があるが、水タンク容量の制限、運転時の騒音等もあり、非排便時に常時、又は定期的に殺菌洗浄水を流しておくこともできない。
【0009】
特許文献4、5に開示した排泄物処理装置においては、感染症の感染源とならないようにオムツカップ、及び、オムツカップに接続されたホース等が除菌処理できるような、改善が求められている。
本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、カップユニットを備えた排泄物処理装置において、排泄物の洗浄処理時における殺菌の繁殖を抑制するための排泄物処理装置の排泄物処理方法を提供する。
【0010】
本発明の他の目的は、カップユニットを備えた排泄物処理装置において、排泄物の洗浄処理をした後、オムツカップ内、ホース内を除菌水で洗浄し、カップユニット内での殺菌の繁殖を抑制する排泄物処理装置の排泄物処理方法を提供する。
本発明の更に他の目的は、カップユニットを備えた排泄物処理装置において、排泄物の洗浄処理をした後、人体の局部を消毒液で洗浄し、人体の局部の消毒、及び、その保湿をする排泄物処理装置の排泄物処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明1の排泄物処理装置の排泄物処理方法は、
洗浄水を貯蔵した洗浄水タンク、除菌水を貯蔵した除菌水タンク、及び、陰部又は肛門を含む排泄部近傍を包囲して身体に取り付けられ、前記陰部及び/又は前記肛門から排泄される排泄物を前記洗浄水及び/又は前記除菌水により洗浄し排出口を介して外部に排出処理するように構成されるカップユニットを備えた排泄物処理装置において、
前記カップユニットに設置され、前記排泄物を検知するセンサーによって、前記排泄物を検知し、
前記検知後、
前記カップユニット、並びに、前記陰部及び/又は前記肛門に前記洗浄水を流し、前記排泄物を前記排出口から排出させて洗浄した後、殺菌効果を有する前記除菌水を、前記カップユニット内に流して、除菌洗浄を行う
ことを特徴とする。
【0012】
本発明2の排泄物処理装置の排泄物処理方法は、
洗浄水を貯蔵した洗浄水タンク、除菌水を貯蔵した除菌水タンク、及び、陰部又は肛門を含む排泄部近傍を包囲して身体に取り付けられ、前記陰部及び/又は前記肛門から排泄される排泄物を前記洗浄水及び/又は前記除菌水により洗浄し排出口を介して外部に排出処理するように構成されるカップユニットを備えた排泄物処理装置において、
前記カップユニットに設置され、前記排泄物を検知するセンサーによって、前記排泄物を検知し、
前記検知後、
前記カップユニットに前記洗浄水を流し、前記排泄物を前記排出口から排出させて、前記カップユニットを洗浄し、
前記陰部及び/又は前記肛門に前記洗浄水を流して洗浄し、
空気を前記カップユニット内に流して乾燥させ、
最後に、殺菌効果を有する前記除菌水を、前記カップユニット内に流して、除菌洗浄を行う
ことを特徴とする。
【0013】
本発明3の排泄物処理装置の排泄物処理方法は、本発明1又は2において、
前記除菌洗浄の後に、消毒液を、前記カップユニット内に流し、前記陰部及び/又は前記肛門を消毒し、保湿することを特徴とする。
本発明4の排泄物処理装置の排泄物処理方法は、本発明1又は2において、
前記センサーで前記排泄物を検知しないとき、一定の時間間隔で、前記空気を前記カップユニット内に流して送風することを特徴とする。
【0014】
本発明5の排泄物処理装置の排泄物処理方法は、本発明2において、
前記カップユニットの洗浄、前記陰部及び/又は前記肛門の洗浄、前記乾燥を複数回繰り返してから、前記除菌洗浄を行うことを特徴とする。
なお、カップユニットの洗浄、陰部及び/又は肛門の洗浄、乾燥の時間は、排泄物の種類(大便、小便)によって異なり、排泄物の種類によって最適化されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の排泄物処理装置の排泄物処理方法によると、次の効果が奏される。本発明は、カップユニットを備えた排泄物処理装置において、排泄物の洗浄処理をした後、カップユニット、ホース、汚物タンク等を少量の殺菌水で効率的に除菌洗浄し、これらの殺菌の繁殖を抑制することが可能になった。また、除菌水により、カップユニット等の表面をコーティング剤でコーティングするために、これらの表面への汚物等の付着を防止すると共に、次回の汚物の排出を円滑に行うこともできる。更に、オムツカップを使用し、排泄物の洗浄処理をした後、人体局部を消毒液で洗浄し、人体局部の消毒、及び、保湿することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態の排泄物処理装置1の概要を図示している概念図である。排泄物処理装置1は、カップユニット2と排泄物処理部3からなる。カップユニット2は、身体の陰部又は肛門を含む排泄部近傍を包囲して、身体に取り付けられるものである。排泄物処理部3は、カップユニット2に接続され、カップユニット2内の排泄物を処理するための必要な洗浄水、除菌水等を供給する。
【0017】
排泄物処理部3は、具体的には、カップユニット2内の排泄物を洗浄水等で洗い流す。また、排泄物処理部3は、カップユニット2から排出される排泄物を処理する。更に、排泄物処理部3は、排泄部を洗浄水、除菌水等で洗浄し、カップユニット2内の空気を脱臭する。図1に図示したように、排泄物処理部3は、洗浄水タンク4、除菌水タンク5、汚物タンク6、制御部7、駆動部8等からなる。洗浄水タンク4は、身体の陰部、肛門等を含む排泄部、そして、カップユニット2内を洗浄するための洗浄水を貯蔵したタンクである。
【0018】
除菌水タンク5は、カップユニット2内を除菌水で除菌するための除菌水を貯蔵したタンクである。汚物タンク6は、カップユニット2から排出される汚物、洗浄水、除菌水等を貯蔵するためのタンクである。制御部7は、排泄物処理装置1の全体の制御を行うためのものである。駆動部8は、排泄物処理装置1に含まれるモータ(図示せず。)、空気圧縮器(図示せず。)等である。制御部7は、駆動部8を制御し、洗浄水、除菌水、空気等の流れを制御する。
【0019】
更に、制御部7は、洗浄水タンク4、除菌水タンク5、汚物タンク6等の状態を監視し、必要であれば、警報信号を発する。更にまた、制御部7は、排泄物処理装置1の動作中にホース等が詰まったら駆動部8を緊急停止させる機能を有する。制御部7の詳細な動作については、後述する。カップユニット2は、洗浄水、除菌水等をカップユニット2内に供給するための供給口2a、2bを有する。カップユニット2は、陰部及び/又は肛門から排泄される排泄物を洗浄水により洗浄して、排出するための排出口2cを有する。
【0020】
更に、カップユニット2の中には、排泄物を検知するための各種センサー(図示せず。)が設置されている。例えば、カップユニット2は、大便を検知するための大便センサー(図示せず。)、小便を検知するための小便センサー(図示せず。)を有するものが特に好ましい。図2は、排泄物処理装置1の動作を示すブロック図である。図2には、洗浄水タンク4と除菌水タンク5が図示されている。更に、洗浄水、除菌水の流れを制御するための電磁弁である第1バルブ11、第2バルブ12が設けられている。
【0021】
空気をカップユニット2に供給するためには、遠心送風機であるブロワー13、温風ユニット14が設けられている。陰部及び肛門を洗浄する場合、洗浄水タンク4に貯蔵されている洗浄水は、第1バルブ11、水ポンプ15、温水ユニット16、第2バルブ12を通って、供給口2aからカップユニット2に供給される。即ち、本例の供給口2aと接続されている管は、分岐していて、その先端は陰部に噴射する陰部噴射ノズル、肛門に噴射する肛門噴射ノズルに接続されている。
【0022】
カップユニット2を洗浄する場合、洗浄水タンク4に貯蔵されている洗浄水は、第1バルブ11、水ポンプ15、温水ユニット16、第2バルブ12を通り、温風ユニット14から供給される空気と一緒に、供給口2bからカップユニット2に供給される。除菌水は、カップユニット2のみを洗浄するものである。除菌水タンク5に貯蔵されている除菌水は、第1バルブ11、水ポンプ15、温水ユニット16、第2バルブ12を通り、温風ユニット14から供給される空気と一緒に、供給口2bからカップユニット2に供給される。
【0023】
これにより、カップユニット2の内部、カップユニット2に接続されたホースの内部、ノズル等が除菌洗浄される。温水ユニット16は、それを通過する液体(洗浄液又は除菌水)を所定温度に加熱するためのものである。この所定温度は、排泄物処理装置1に初期値として設定された温度、又は排泄物処理装置1の管理者が予め設定する温度である。本例の温水ユニット16は、温水洗浄便座等に使用されている瞬間に水を温めて噴出する方式である。この温水ユニット16の動作原理、構造は、公知でありその説明は省略する。
【0024】
ただし、液体(洗浄液、除菌液)を加熱できるものであれば、温水タンク式等の他の動作原理のものを用いることができる。温水ユニット16を収納し、水ポンプ15と、第2バルブ12とをパイプで連結する。更に、温水ユニット16は、温度センサーを有し、水ポンプ15から送水される洗浄水、除菌水等の水温を検出し、温水ヒーターへの通電を制御し、洗浄水、除菌水等を設定温度に加熱する。カップユニット2から吸引される汚物及び液体は、汚物タンク6に貯蔵される。
【0025】
汚物タンク6から空気を、ブロワー13によって吸引し、カップユニット2に再び供給する。ブロワー13からカップユニット2に供給される空気は、温風ユニット14によって、所定温度に加熱される。この所定温度は、排泄物処理装置1に初期値として設定された温度、又は排泄物処理装置1の管理者が予め設定する温度である。温風ユニット14の動作原理、構造は、既知の技術を利用するものであり、空気を加熱できるものであれば、任意の動作原理のものを用いることができる。
【0026】
ただし、この温風ユニット14は、必ずしも必要ではない。その理由は、ブロワー13による圧縮熱、及びこれを駆動するモータ17からの廃熱により、ブロワー13により供給される空気が加熱されるので、温風ユニット14を設置しなくても温風を発生させることができる。温風ユニット14は、ブロワー13と、カップユニット2に接続されるホースと着脱自在に連結されている。更に、温風ユニット14は、温度センサーを有し、ブロワー13から送風される空気の温度を検出し、ヒーターへの通電を制御し、空気を設定温度に加熱する。
【0027】
温風ユニット14の構造と、その動作は、本発明の趣旨ではないので、詳細な説明は省略する。排泄物処理装置1は、基本的に自動運転される。管理者が排泄物処理装置1の電源を入れて、そのスタートボタン(図示せず。)を押下して、排泄物処理装置1の自動運転を開始する。排泄物処理装置1は、基本的には、2つの動作モードを有する。カップユニット2に設置された大便センサー、又は小便センサーが汚物を検知したとき、排泄物処理装置1は、汚物の種類によって、それに合致した動作モードで運転する。
【0028】
動作モードは、基本的に、大便洗浄モード、小便洗浄モードである。これらの大便洗浄モード、小便洗浄モードの詳細な動作について、図5、及び図6のフローチャートの説明に詳しく説明する。
〔モータ駆動部17、ブロワー13の動作〕
モータ駆動部17の出力軸は、羽根車で空気を供給する遠心送風機であるブロワー13に接続されている。
【0029】
ブロワー13は、汚物タンク6内の空気を吸引及びカップ2内の洗浄水と共に空気を供給する。モータ駆動部17は、回転機であるブロワー13を回転駆動させるものであれば、その制御動作の原理、種類は任意のものを用いることができる。例えば、モータ駆動部17には、整流子モータを利用できる。モータ駆動部17は、モータの電動部が過過熱することから防ぐために、外気による冷却機構を有するものが好ましい。更に、モータの電動部、空気の圧縮による騒音を防音用フィルター18等で抑制するものが好ましい。
【0030】
モータ駆動部17に流入される外気は、モータ駆動部17の内部、防音用フィルター18を通り、大気に排気として排出する。モータ駆動部17の廃熱により空気が加温されているので、温風ユニット14による加温が少なくて良い。汚物タンク6から吸引される空気は、ブロワー13で圧縮し、カップユニット2に送風する。カップユニット2に流入する空気は、所定の温度に設定されたものが望ましい。ブロワー13で空気を圧縮するとき、空気は、その圧力によって加熱される。
【0031】
よって、所定の温度にまで加熱されるので、温風ユニット14の機能は、ブロワー13が兼ねることができる。この場合は、前述したように、別途に温風ユニット14を設ける必要はない。
〔制御部〕
図3は、制御部7の構成例を図示している機能ブロック図である。制御部7は、中央処理装置20、ROM21,RAM22、クロック発生器23、入出力インターフェース24、電源インターフェース25等から構成される。
【0032】
中央処理装置20は、制御部7の全体の制御を行うためのものである。中央処理装置20は、汎用のマイクロプロセッサー等からなる。ROM21は、制御プログラム、初期値等が格納されるメモリである。RAM22は、制御プログラムが動作中に使用されるメモリである。中央処理装置20は、ROM21に格納された制御プログラムに従った、制御部7の動作を制御する。入出力インターフェース24は、カップユニット2内に設置されている各種センサー26からデータを入力するためのセンサーインターフェース27、駆動部8へデータを送信するための駆動部インターフェース28等からなる。
【0033】
センサーインターフェース27は、大便センサー及び小便センサーに接続されている。大便センサー及び/又は小便センサー(この原理は、例えば、特許文献4に記載のものを使用する。)で、排泄物を検知すると、その検知信号がセンサーインターフェース27に送信される。この検知信号は、センサーインターフェース27から検知データとして入力され、RAM22に格納される。制御プログラムは、常にセンサーインターフェース27を監視しており、検知信号(検知データ)があると、それを受信して、検知データに合致した処理を行う。
【0034】
駆動部インターフェース28から駆動部8に送信される制御データは、第2バルブ12、第1バルブ11、ブロワー13、モータ駆動部17、温風ユニット14、温水ユニット16、水ポンプ15等に送信され、それぞれの機器を制御する。このように、排泄物処理装置1は、小便洗浄モード(図6を参照。)と大便洗浄モード(図7を参照。)を使い分けて、自動運転で動作する。排泄物処理装置1は、自動運転を開始する前は、図4のフローチャートに示すように、排泄物処理装置1の管理者は、洗浄タンク4に洗浄水を充填(ステップ90)、除菌タンク5に除菌水を充填(ステップ91)、その後、カップユニット2を人体に装着する等の作業をする(ステップ92)。
【0035】
これらの作業を終了すると、管理者は、排泄物処理装置1を電源に接続して、電源ボタン等を押して、排泄物処理装置1の自動運転を開始させる(ステップ93)。排泄物処理装置1が自動運転すると、大便センサーと小便センサーで排泄物を検知しはじめる(ステップ94)。大便センサー又は小便センサーで排泄物を検知すると、排泄物処理装置1が小便洗浄モード(図6を参照。)又は大便洗浄モード(図7を参照。)で動作する(ステップ95)。小便洗浄モード又は大便洗浄モードの動作が終了すると、排泄物処理装置1は待機状態に入る(ステップ96)。
【0036】
図5には、排泄物処理装置1の動作例を示すフローチャートである。排泄物処理装置1は、自動運転を開始する(ステップ10)。排泄物処理装置1の管理者が、排泄物処理装置1のスタートボタン(図示せず。)等を押下して、電源を入れて(ON)とし、排泄物処理装置1の自動運転を開始する。排泄物処理装置1が自動運転を開始すると、タイマーをリセットして(ステップ12)、各種センサー26の検知信号を監視する。まず、大便センサーから検知信号があるか否かを確認する(ステップ14)。
【0037】
大便センサーから検知信号がある場合は、患者が大便したことになり、排泄物処理装置1は、大便洗浄モードで運転する(ステップ16、18)。この大便洗浄モードの詳細な動作については、図7のフローチャートに示している。排泄物処理装置1は、大便洗浄モードの運転を終わると、タイマーをリセットする(ステップ18)。ステップ14で、大便センサーから検知信号がない場合は、小便センサーから検知信号があるか否かを確認する(ステップ20)。
【0038】
小便センサーから検知信号がある場合は、患者が小便したことになり、排泄物処理装置1は、小便洗浄モードで運転する(ステップ22)。この小便洗浄モードの詳細な動作について、図6のフローチャートに示している。排泄物処理装置1は、小便洗浄モードの運転を終わると、タイマーをリセットする(ステップ24)。ステップ20で、小便センサーから検知信号がない場合は、タイマーの時間を確認する(ステップ26)。排泄物処理装置1は、タイマーの時間が、所定に時間、この例では20分、になったか否かを確認する(ステップ26)。
【0039】
タイマーの時間が20分になった場合は、排泄物処理装置1は、カップユニット2内を1分間送風する(ステップ28)。このとき、排泄物処理装置1は、上述の送風状態になる。この送風は、人体のムレを防止するためである。この送風状態のときは、ブロアー13の出力を弱くして弱風運転をする。この送風が終わると、タイマーをリセットする(ステップ30)。ここで設定された20分、送風時間1分は、カップユニット2の使用環境、汚物の種類等によって、任意に設定できるものであり、これに限定されるものではない。
【0040】
これらの時間は、排泄物処理装置1の管理者が予め設定できるもの、又は、初期値として設定できるものである。このように、排泄物処理装置1は、排泄物の検知をしながら、所定時間毎にカップユニット2内を送風するように、自動運転をする。
〔小便洗浄モード〕
図6は、排泄物処理装置1の小便洗浄モードの動作例を示すフローチャートである。排泄物処理装置1が小便洗浄モードで運転開始すると(ステップ50)、まず、回数カウンタを初期化する(ステップ52)。
【0041】
この例では、回数カウンタの初期値Nは、「0」である。そして、回数カウンタに1を加算する(ステップ54)。ユニットカップ2を洗浄水で15秒間洗浄する(ステップ56)。このとき、排泄物処理装置1は、上述のカップ洗浄状態で動作する。その後、陰部及び肛門(本例では両方を同時)を洗浄水で5秒間洗浄する(ステップ58)。このとき、排泄物処理装置1は、上述の人体洗浄状態で動作する。その後、回数カウンタNの値を確認する(ステップ60)。そして、カップユニット2内に空気を送風して、乾燥運転を17秒間行う(ステップ62)。
【0042】
このとき、排泄物処理装置1は、上述の乾燥状態で動作する。送風後、ステップ54に戻り、回数カウンタを1加算する(ステップ54)。この動作を回数カウンタNが所定値になるまで行う。この例では、回数カウンタが3になるまでに行っている。回数カウンタNが所定値(N=3)になると、乾燥運転を50秒間行う(ステップ64)。その後、カップユニット2内を除菌水で10秒間洗浄する(ステップ66)。その後、排泄物処理装置1は、待機状態になる(ステップ68)。つまり、除菌水で洗浄した後、排泄物処理装置1は小便洗浄モードを終了し、図5のステップ24のタイマーリセットに戻る。
【0043】
〔大便洗浄モード〕
図7は、排泄物処理装置1の大便洗浄モードの動作例を示すフローチャートである。排泄物処理装置1が大便洗浄モードで運転開始すると(ステップ70)、まず、回数カウンタを初期化する(ステップ72)。この例では、回数カウンタの初期値Nは、「0」である。そして、回数カウンタに1加算する(ステップ74)。ユニットカップ2を洗浄水で15秒間洗浄する(ステップ76)。このとき、排泄物処理装置1は、上述のカップ洗浄状態で動作する。
【0044】
その後、陰部及び肛門(本例では両方を同時)を洗浄水で5秒間洗浄する(ステップ78)。このとき、排泄物処理装置1は、上述の人体洗浄状態で動作する。回数カウンタNの値を確認する(ステップ80)。そして、カップユニット2内に空気を送風して、乾燥運転を17秒間行う(ステップ82)。このとき、排泄物処理装置1は、上述の乾燥状態で動作する。送風後、ステップ74に戻り、回数カウンタを1加算する(ステップ74)。この動作を回数カウンタNが所定値になるまで行う。
【0045】
この場合は、回数カウンタが6になるまでに行っている。回数カウンタNが所定値(N=6)になると、乾燥運転を50秒間行う(ステップ84)。その後、カップユニット2内を除菌水で10秒間洗浄する(ステップ86)。このとき、排泄物処理装置1は、上述の除菌水洗浄状態で動作する。その後、排泄物処理装置1は、待機状態になる(ステップ88)。つまり、排泄物処理装置1は、大便洗浄モードを終了し、図5のステップ18のタイマーリセットに戻る。
【0046】
〔排泄物処理装置1の動作状態〕
第1の実施の形態の排泄物処理装置1は、動作時に、次の動作状態で動作する。排泄物処理装置1は、カップ洗浄状態、人体洗浄状態、乾燥状態、除菌水洗浄状態で動作する。各動作状態については、表1にまとめている。
【表1】

【0047】
表1の第1欄は、各動作状態の名称を示す欄である。第2欄は、第1バルブ11の動作状態を示す欄である。第1バルブ11は、2つの入口、1つの出口を有するものである。第1バルブ11の2つの入口には、洗浄水タンク4からの洗浄水、除菌水タンク5からの洗浄水がそれぞれ流入する。洗浄水タンク4から洗浄水が第1バルブ11の入口に流入し、出口から流出する動作を「正」の動作状態という。第1バルブ11は、除菌水タンク5から除菌水が第1バルブ11の入口に流入し、出口から流出するときの動作を「副」の動作状態という。
【0048】
第3欄は、第2バルブ12の動作状態を示す欄である。第2バルブ12は、1つの入口、2つの出口を有する。第2バルブ12の1つの入口には、第1バルブ11の出口からの液体が流入する。第2バルブ12の2つの出口は、カップユニット2の供給口2a(人体洗浄用ホース)、供給口2b(カップ洗浄用ホース)にそれぞれ接続されている。第2バルブ12の流入した液体が供給口2aに流出する場合は、これを「正」の動作状態という。第2バルブ12の流入した液体が供給口2bに流出する場合は、これを「副」の動作状態という。
【0049】
表1の第4欄は、水ポンプ15の動作状態を示す欄である。水ポンプ15が動作中の状態を「ON」、動作しない状態を「OFF」という。表1の第5欄は、洗浄水で人体を洗浄するために、洗浄水をカップユニット2に供給する人体洗浄経路を示す第1経路の動作状態を示している。この第1経路の流体の流れを、図2中に、点線で図示している。表1の第6欄は、カップユニット2を洗浄するとき、つまり、カップ洗浄経路を示す第2経路の動作状態を示している。この第2経路の流体の流れを、図2中に、点線で図示している。
【0050】
表1の第7欄は、カップユニット2から排出される下水経路を示す下水経路の動作状態を示している。各動作状態の動作の概略について、表1を参照しながら、説明する。
〔カップ洗浄状態〕
カップ洗浄状態で動作すると、カップユニット2内を洗浄する(図5のステップ56、図6のステップ76を参照。)。カップ洗浄状態では、洗浄水と空気の混合流体でカップユニット2内を洗浄し、排泄物をカップユニット2内から排出させる。
【0051】
具体的には、洗浄水と空気の混合流体を供給口2bからユニットカップ2内に流入させて洗浄し、洗浄水だけを止めて空気を供給口2bからユニットカップ2内に送風させて、排泄物や洗浄水を下水経路に押し出す。カップ洗浄状態では、第1バルブ11は正の状態、第2バルブ12は副の状態、水ポンプはONの状態になる。第2経路で、洗浄水がカップユニット2に流入され、供給口2bから空気がカップユニット2に流入される。第1経路は、停止する。下水経路では、汚物、洗浄水、空気が出口2cから吸引され、汚物タンク6に流入される。
【0052】
この汚物と洗浄水は、汚物タンクに貯蔵される。カップ洗浄状態では、洗浄水は、洗浄タンクから流出し、第1バルブ11、水ポンプ15、温水ユニット16、第2バルブ12と、カップ洗浄用ホースを介して、供給口2aから、カップユニット2に流入する。空気は、ブロワー13、温風ユニット14、カップ洗浄用ホースを介して、供給口2bから、カップユニット2に流入する。
【0053】
〔人体洗浄状態〕
人体洗浄状態で動作すると、人体の陰部を洗浄水で洗浄する(図5のステップ58、図6のステップ78を参照。)。人体洗浄状態では、洗浄水で、人体の陰部を洗浄し、空気で洗浄水、排泄物等を下水経路に押し出す。陰部の洗浄と、陰部の乾燥は、交互の行なわれる。人体洗浄状態では、第1バルブ11は正の状態、第2バルブ12は正の状態、水ポンプ15はONの状態になる。供給口2bから、空気がカップユニット2に流入される。
【0054】
洗浄水は、第1経路で、カップユニット2に流入される。第1経路で洗浄水がカップユニット2内に流入するとき、供給口2bから空気がカップユニット2に流入し続ける。下水経路では、汚物、洗浄水、空気が出口2cから吸引され、汚物タンク6に流入される。この汚物と洗浄水は、汚物タンク6に貯蔵される。人体洗浄状態では、洗浄水は、洗浄タンク4から流出し、第1バルブ11、水ポンプ15、温水ユニット16、第2バルブ12、及び、供給口2aを介して、カップユニット2に流入する。このとき、洗浄水は、供給口2aから人体の局部に向けて噴出される。
【0055】
空気は、ブロワー13、温風ユニット14、供給口2bを介して、カップユニット2に流入する。
〔乾燥状態〕
乾燥状態で動作すると、人体の陰部、カップユニット2内を空気で、乾燥する(図5のステップ62、64、図6のステップ82、84を参照。)。乾燥状態では、第1バルブ11、第2バルブ12は、正の状態、水ポンプ15はOFF状態になる。
【0056】
水ポンプ15はOFF状態になることで、洗浄水タンク4、除菌水タンク6から液体は吸引されない。よって、第1経路、第2経路で、液体がカップユニット2に流入されない。ブロアー13から排気された空気のみが供給口2bからカップユニット2内に流入され、人体の乾燥を行う。下水経路では、出口2cから空気が吸引される。このとき、ユニットカップ2内にあった汚物、洗浄水が空気と一緒に吸引される。空気は、ブロワー13、温風ユニット14、供給口2bを介して、カップユニット2に流入する。空気は、連続して、カップユニット2に流入される。
【0057】
〔除菌水洗浄状態〕
除菌水洗浄状態で動作すると、カップユニット2内を除菌水で、殺菌消毒しながら洗浄する(図5のステップ66、図6のステップ86を参照。)。除菌水洗浄状態では、除菌水と空気の混合流体が、カップユニット2内に流れる。この混合流体により、カップユニット2内及び下水経路路の除菌及び防臭を行う。除菌水洗浄状態では、第1バルブ11と第2バルブ12は副の状態、水ポンプ15はONの状態になる。第2経路で、除菌水がカップユニット2に流入される。
【0058】
供給口2bから、空気がカップユニット2に流入される。下水経路では、汚物、除菌水、空気が流出される。この汚物と除菌水は、汚物タンク6に貯蔵される。除菌水洗浄状態では、除菌水は、除菌水タンク5から流出し、第1バルブ11、水ポンプ15、温水ユニット16、第2バルブ12、及び、供給口2bを介して、カップユニット2に流入する。空気は、ブロワー13、温風ユニット14を通り、供給口2bから、カップユニット2に流入する。
【0059】
以上の説明で理解されるように、除菌水によるカップユニット2の洗浄は、小便、又は大便が排出された後は、陰部の乾燥を行わないとしても、必ずカップユニット2内に流すことが肝要である。即ち、このことにより、カップユニット2、下水経路であるホース、汚物タンク6内の除菌を効果的に行うことができる。更に、除菌水にカップユニット2の表面をコーティングするためのコーティング剤を配合しておくと、カップユニット2の表面への汚物等の付着を防止することもできると共に、次回の汚物の排出を円滑に行うこともできる。
【0060】
〔その他〕
洗浄水タンク4、除菌水タンク5、汚物タンク6は、その中に貯蔵されている液体のレベルを検知できるセンサーを内蔵しているものが好ましい。特に、洗浄水タンク4と除菌水タンク5は、その内蔵液体が所定量より少なくなったとき、信号を出して知らせるセンサーを有することが好ましい。特に、汚物タンク6は、その内蔵液体が所定量より多くなったとき、信号を出して知らせるセンサーを有するものが好ましい。
【0061】
これらのセンサー、静電容量式のものであることができる。しかし、これらのセンサーは、洗浄水タンク4、除菌水タンク5、汚物タンク6の液体のレベルを検知できるものであれば、任意の動作原理のものを用いることができる。よって、これらのセンサーは、既知の技術を利用するものであり、その詳細の説明は省略する。制御部7は、排泄物処理装置1の動作状態を表示するパネル(図示せず。)を有するものが好ましい。例えば、このパネルは、液晶ディスプレイ構成され、各センサーの状態、自動運転の状況(大便洗浄モード又は小便洗浄モードを表示。)を表示するものであることができる。
【0062】
また、このパネルは、LEDで構成され、各センサーの状態、自動運転の状況(大便洗浄モード又は小便洗浄モードを表示。)を表示する。カップユニット2は、本例では特許文献4、5に開示されたオムツカップである。大便センサーは、特許文献4、5に開示された、大便検知用の透過型光センサーである。小便センサーは、特許文献4、5に開示された、小便検知用の3個のセンサー端子部からなる小便センサーである。
【0063】
〔第2の実施の形態〕
図8は、本発明の第2の実施の形態の排泄物処理装置1aの概要を図示している概念図である。本第2の実施の形態は、上述の第1の実施の形態と基本的に同じであり、その異なる部分だけを説明する。排泄物処理装置1aは、上述の第2の実施の形態の排泄物処理装置1と基本的に、同じ構成、同じ機能を有する装置である。こでで、排泄物処理装置1aについての説明は、は、排泄物処理装置1と異なる部分だけを説明する。
【0064】
本発明の第2の実施の形態は、本発明の第1の実施の形態から異なる点は、消毒液タンク9(図8,9を参照。)を有し、消毒液で、人体局部を洗浄する点である。消毒液による洗浄の目的は、人体局部の消毒及び保湿である。以下、これについて詳細に説明する。図8に図示したように、排泄物処理部3は、消毒液タンク9を有する。消毒液タンク9は、身体の陰部又は肛門の肌の消毒、保湿、除菌等のために洗浄するための消毒液を貯蔵するためのものである。制御部7は、消毒液タンク9等の状態を監視し、必要であれば、警報信号を発する。
【0065】
排泄物処理装置1aは、図5及び図4のフローチャートに示す通りの動作をする。図4のフローチャートに示すように、自動運転を開始する前は、排泄物処理装置1aの管理者は、消毒液タンク9に消毒液を充填する。この消毒液の充填は、ステップ90に示した洗浄水の充填、又は、ステップ91に示した除菌水の充填の前後に行なわれることができる。
【0066】
図9は、排泄物処理装置1aの動作を示すブロック図である。排泄物処理装置1aは、消毒液タンク9から流出した消毒液は、電磁弁である第3バルブ19を通り、水ポンプ15に、流入する。第3バルブ19は、先に説明した、第1バルブ11と同じ構造で同じ機能を有する電磁弁である。
【0067】
〔小便洗浄モード〕
排泄物処理装置1aは、小便洗浄モードで動作するときの動作例を図10のフローチャートに示している。図10のフローチャートは、基本的に、図6のフローチャートと同じである。具体的には、図10のフローチャートの各ステップ150〜166は、図6のフローチャートの各ステップ50〜66に対応する。但し、ステップ166に示すように、カップユニット2内を除菌水で洗浄した後、排泄物処理装置1aは、消毒液で陰部及び肛門を、5秒間洗浄する(ステップ167)。
【0068】
このとき、排泄物処理装置1aは、上述の消毒液洗浄状態で動作する。消毒液で洗浄したと、カップユニット2内に空気を送風して、乾燥運転を行う(ステップ167)。その後、排泄物処理装置1aは、待機状態になる(ステップ168)。つまり、消毒液で洗浄した後、排泄物処理装置1aは小便洗浄モードを終了し、図5のステップ24のタイマーリセットに戻る。
【0069】
〔大便洗浄モード〕
排泄物処理装置1aは、大便洗浄モードで動作するときの動作例を図11のフローチャートに示している。図11のフローチャートは、基本的に、図7のフローチャートと同じである。具体的には、図11のフローチャートの各ステップ170〜186は、図7のフローチャートの各ステップ170〜186に対応する。
【0070】
但し、ステップ186に示すように、カップユニット2内を除菌水で洗浄した後、排泄物処理装置1aは、消毒液で陰部及び肛門を、5秒間、洗浄する(ステップ187)。このとき、排泄物処理装置1aは、上述の消毒液による洗浄動作を行う。消毒液で洗浄した後、カップユニット2内に空気を送風して、乾燥運転を行う(ステップ187)。その後、排泄物処理装置1aは、待機状態になる(ステップ188)。つまり、消毒液で洗浄した後、排泄物処理装置1aは、大便洗浄モードを終了し、図5のステップ18のタイマーリセットに戻る。
【0071】
〔排泄物処理装置1aの動作状態〕
排泄物処理装置1aは、動作時に、次の動作状態で動作する。排泄物処理装置1aは、カップ洗浄状態、人体洗浄状態、乾燥状態、除菌水洗浄状態、消毒液洗浄状態で動作する。各動作状態については、表2にまとめている。
【表2】

【0072】
表2の第1欄は、各動作状態の名称を示す欄である。第2欄は、第1バルブ11の動作状態を示す欄である。第3欄は、第2バルブ12の動作状態を示す欄である。第4欄は、第3バルブ19の動作状態を示す欄である。第3バルブ19は、2つの入口、1つの出口を有するものである。第3バルブ11の2つの入口には、除菌水タンク5からの除菌水、消毒液タンク9からの消毒液がそれぞれ流入する。除菌水タンク5から除菌水が第3バルブ19の入口に流入し、出口から流出する動作を「正」の動作状態という。
【0073】
第3バルブ19は、消毒液タンク9から消毒液が第3バルブ19の入口に流入し、出口から流出するときの動作を「副」の動作状態という。表2の第5欄は、水ポンプ15の動作状態を示す欄である。表2の第6欄は、人体洗浄経路を示す第1経路の動作状態を示している。表2の第7欄は、カップ洗浄経路を示す第2経路の動作状態を示している。表2の第8欄は、下水経路の動作状態を示している。 カップ洗浄状態、人体洗浄状態、乾燥状態、及び、除菌水洗浄状態のとき、第3バルブ19は、正の動作状態である。
【0074】
カップ洗浄状態、人体洗浄状態、乾燥状態、及び、除菌水洗浄状態については、表1の説明に詳しく説明している。カップ洗浄状態、人体洗浄状態、乾燥状態、及び、除菌水洗浄状態は、図10及び図11のフローチャートの各ステップに次のように対応する。カップ洗浄状態は、図10のステップ156、図11のステップ176に対応する。人体洗浄状態は、図10のステップ158、図11のステップ178に対応する。乾燥状態は、図10のステップ161、164、図11のステップ182、184に対応する。除菌水洗浄状態は、図10のステップ166、図11のステップ186に対応する。
【0075】
〔消毒液洗浄状態〕
排泄物処理装置1aは、消毒液洗浄状態で動作すると、人体局部を消毒液で洗浄する(図10のステップ167、図11のステップ187を参照。)。消毒液は、消毒液タンク9に貯蔵されている。消毒液洗浄状態では、人体局部へ消毒液を噴霧して洗浄し、空気で乾燥する。消毒液洗浄状態では、第1バルブ11は副の状態、第2バルブ12は正の状態、水ポンプはONの状態になる。
【0076】
第3バルブ19は、副の状態になる。第1経路で、消毒液がカップユニット2に流入される。消毒液は、消毒液タンク9から流出し、第3バルブ19、第1バルブ11、水ポンプ15、温水ユニット16、第2バルブ12、及び、供給口2aを介して、カップユニット2に流入する。第3バルブ19は、カップ洗浄状態、人体洗浄状態、乾燥状態、除菌水洗浄状態では、正の状態にあり、消毒液洗浄状態のとき、副の状態になる。つまり、第3バルブ19は、除菌水タンク5に接続されており、除菌水洗浄状態で、除菌水タンク洗浄状態のとき、除菌水タンク5から除菌水を第1バルブ11へ供給する。
【0077】
〔その他〕
消毒液タンク9は、その中に貯蔵されている液体のレベルを検知できるセンサーを内蔵しているものが好ましい。特に、消毒液タンク9は、その内蔵液体が所定量より少なくなったとき、信号を出して知らせるセンサーを有したものが好ましい。消毒液タンク9の中の消毒液のレベルを検知できるものであれば、任意の動作原理のものを用いることができる。制御部7は、排泄物処理装置1aの動作状態を表示するパネル(図示せず。)を有するものが好ましい。
【0078】
このパネルには、消毒液タンク9の中の消毒液のレベルを示す表示機能を有するものが、消毒液の残量を予測できるので良い。泄物物処理装置1aは、定期的に、消毒液でカップユニット2内を洗浄する。この消毒液洗浄は、人体局部の消毒を行い、人体局部の肌を保湿する。更に、この消毒液洗浄排泄物のいやな臭いを消すことができる。更に、これにより、放屁等による、異臭を消すことができる。以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されないことはなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、医療施設、介護施設、高齢者用居住施設等に入所されている、通常の体位では排泄できない人が利用すると良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態の排泄物処理装置1の概要を図示した概念図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態の排泄物処理装置1の動作を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態の制御部7の構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態の排泄物処理装置1の自動運転時の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態の排泄物処理装置1の自動運転を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態の排泄物処理装置1の小便洗浄モード時の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態の排泄物処理装置1の大便洗浄モード時の動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態の排泄物処理装置1aの概要を図示した概念図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態の排泄物処理装置1aの動作を示すブロック図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施の形態の排泄物処理装置1aの小便洗浄モード時の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の第2の実施の形態の排泄物処理装置1aの大便洗浄モード時の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1…排泄物処理装置
2…カップユニット
3…排泄物処理部
4…洗浄水タンク
5…除菌水タンク
6…汚物タンク
7…制御部
8…駆動部
9…消毒液タンク
14…温風ユニット
16…温水ユニット
24…入出力インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を貯蔵した洗浄水タンク、除菌水を貯蔵した除菌水タンク、及び、陰部又は肛門を含む排泄部近傍を包囲して身体に取り付けられ、前記陰部及び/又は前記肛門から排泄される排泄物を前記洗浄水及び/又は前記除菌水により洗浄し排出口を介して外部に排出処理するように構成されるカップユニットを備えた排泄物処理装置において、
前記カップユニットに設置され、前記排泄物を検知するセンサーによって、前記排泄物を検知し、
前記検知後、
前記カップユニット、並びに、前記陰部及び/又は前記肛門に前記洗浄水を流し、前記排泄物を前記排出口から排出させて洗浄した後、殺菌効果を有する前記除菌水を、前記カップユニット内に流して、除菌洗浄を行う
ことを特徴とする排泄物処理装置の排泄物処理方法。
【請求項2】
洗浄水を貯蔵した洗浄水タンク、除菌水を貯蔵した除菌水タンク、及び、陰部又は肛門を含む排泄部近傍を包囲して身体に取り付けられ、前記陰部及び/又は前記肛門から排泄される排泄物を前記洗浄水及び/又は前記除菌水により洗浄し排出口を介して外部に排出処理するように構成されるカップユニットを備えた排泄物処理装置において、
前記カップユニットに設置され、前記排泄物を検知するセンサーによって、前記排泄物を検知し、
前記検知後、
前記カップユニットに前記洗浄水を流し、前記排泄物を前記排出口から排出させて、前記カップユニットを洗浄し、
前記陰部及び/又は前記肛門に前記洗浄水を流して洗浄し、
空気を前記カップユニット内に流して乾燥させ、
最後に、殺菌効果を有する前記除菌水を、前記カップユニット内に流して、除菌洗浄を行う
ことを特徴とする排泄物処理装置の排泄物処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の排泄物処理装置の排泄物処理方法において、
前記除菌洗浄の後に、消毒液を、前記カップユニット内に流し、前記陰部及び/又は前記肛門を消毒し、保湿する
ことを特徴とする排泄物処理装置の排泄物処理方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の排泄物処理装置の排泄物処理方法において、
前記センサーで前記排泄物を検知しないとき、
一定の時間間隔で、前記空気を前記カップユニット内に流して送風する
ことを特徴とする排泄物処理装置の排泄物処理方法。
【請求項5】
請求項2に記載の排泄物処理装置の排泄物処理方法において、
前記カップユニットの洗浄、前記陰部及び/又は前記肛門の洗浄、前記乾燥を複数回繰り返してから、前記除菌洗浄を行う
ことを特徴とする排泄物処理装置の排泄物処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−69210(P2010−69210A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242458(P2008−242458)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(503440989)株式会社アイ・ウェーブ (4)
【Fターム(参考)】