説明

排熱利用省エネ空調設備、そのシステム、排熱利用省エネ空調方法、及び、排熱利用省エネ空調プログラム

【課題】エネルギーを有効利用することにより、運転経費の無駄を削減し、さらに、安全性に優れた排熱利用省エネ空調設備、排熱利用省エネ空調システム、排熱利用省エネ空調方法、及び、排熱利用省エネ空調プログラムの提供を目的とする。
【解決手段】排熱利用省エネ空調設備1は、空調機2、直接的循環用ダンパー31、暖房用ダンパー32、間接的循環用ダンパー33、昇温空気用温度センサ41、暖房エリア用温度センサ42、操作部43、及び、制御部5などを備えており、サーバー11からの排熱を事務室15に供給し、有効利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱利用省エネ空調設備、排熱利用省エネ空調システム、排熱利用省エネ空調方法、及び、排熱利用省エネ空調プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化を防止するために、エネルギーを有効利用する必要がある。一般の人が節約などを心がけることは、勿論、重要であるが、第一線で活躍する技術者には、この問題に真剣に取り組み、省エネ技術を確立することが期待されている。
たとえば、暖房により暖まりすぎた居間の空気を、外気と入れ替える代わりに、寝室の空気と入れ替えることは、周知の知恵である。これにより、寝室を暖房する必要がなくなり、エネルギーを有効利用することができる。
ただし、多種多様な装置や機器の排熱を、効果的に、かつ、安全に有効利用するためには、様々な技術的な課題を解決する必要がある。このため、様々な省エネ技術が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、運転により熱を発生するコンピュータの電子機器を、蒸発器と空冷式凝縮器と膨張弁および圧縮機からなる冷凍サイクルを有するチラーユニットにより冷却し、熱を空冷式凝縮器で空気中に排熱する電子機器の冷却装置の技術が開示されている。
この電子機器の冷却装置は、空冷式凝縮器に室外と連通する空気供給通路と空気排出通路を設け、このいずれか一方の通路に送風機を設けるとともに、両通路に室内に連通する分岐通路を設け、この分岐通路を設けた分岐点に通路切換用の通路切換手段を設けたことを特徴としている。
【0004】
また、特許文献2には、OA機器の排気熱を利用したOA機器排気熱利用装置の技術が開示されている。
このOA機器排気熱利用装置は、OA機器の排気口に接続され、OA機器からの排気熱を吸入する排気吸入装置を備え、排気吸入装置によりOA機器の周囲に漏らすことなく排気熱を吸入して、OA機器が集中する箇所の温度が局部的に上昇することを防止することを特徴としている。
【0005】
ところで、図5に示すように、データセンター12には、多数のサーバー11などが設置されており、これらのサーバー11は、ほぼ一年中、停止することなく作動している。また、サーバー11などの電子機器は、多くの熱を放出している。このため、データセンター12においては、空調機2が冷却された空気を吹き出し、この空気を循環させて、発熱体であるサーバー11を冷却している。すなわち、この空調機2は、サーバー11により昇温された空気(たとえば、30℃の空気)を吸い込み、屋外に設置されたクーリングタワーから熱を大気中に放出し、冷却された空気(たとえば、20℃の空気)を吹き出している。また、空調機2の上記の運転(冷房運転)は、一年を通して連続的に行われている。
なお、サーバー11などの電子機器は、精密機器であることから、通常、データセンター12は、温度及び湿度が所定の規格内に制御されており、空気中のほこりなども、フィルタによって除去されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−298513号公報
【特許文献2】特開2001−015967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したデータセンター12におけるデータセンター空調設備100は、夏の期間はもちろん、春、秋及び冬の期間であっても、空調機2の冷房運転が行われていた。たとえば、データセンター12と隣接する事務室15において、春、秋及び冬の期間に、暖房エリア用空調機6が暖房運転を行っているときも、上記のデータセンター空調設備100では、空調機2の冷房運転が行われていた。このため、運転経費の無駄を削減することができないといった問題があった。また、エネルギーを有効利用し、地球温暖化を防止するといった観点からは、全くその期待に応えていないといった問題があった。
【0008】
また、情報化社会においては、データセンター12に設置されたサーバー11などは、極めて高い信頼性が要求されており、サーバー11に悪影響を与えるおそれのある空調設備などは、受け入れられるものではなかった。すなわち、データセンター12における空調設備などには、サーバー11に悪影響を与えないといった、高い安全性が要求されていた。
【0009】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、エネルギーを有効利用することにより、運転経費の無駄を削減し、さらに、安全性に優れた排熱利用省エネ空調設備、排熱利用省エネ空調システム、排熱利用省エネ空調方法、及び、排熱利用省エネ空調プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の排熱利用省エネ空調設備は、冷却された空気を吹き出し、前記空気を循環させて発熱体を冷却する空調機と、前記発熱体により昇温された前記空気のうち、直接的に前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する直接的循環用ダンパーと、前記発熱体により昇温された前記空気のうち、暖房されるエリアに供給される空気量を制御する暖房用ダンパーと、前記暖房されるエリアから前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する間接的循環用ダンパーと、前記発熱体により昇温された前記空気の温度を測定する昇温空気用温度センサと、前記暖房されるエリアの温度を測定する暖房エリア用温度センサと、前記暖房されるエリアの設定温度が入力される操作部と、前記昇温空気用温度センサ、前記暖房エリア用温度センサ、及び、前記操作部からの信号にもとづいて、前記直接的循環用ダンパー、前記暖房用ダンパー、及び、前記間接的循環用ダンパーの各開度を制御する制御部とを備え、前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より低く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より高く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じる構成としてある。
【0011】
また、本発明の排熱利用省エネ空調システムは、一又は二以上の発熱体と、前記発熱体が設置される発熱体設置エリア及び暖房されるエリアを少なくとも有する建築物と、冷却された空気を吹き出し、前記空気を循環させて前記発熱体を冷却する空調機と、前記発熱体により昇温された前記空気のうち、直接的に前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する直接的循環用ダンパーと、前記発熱体により昇温された前記空気のうち、暖房されるエリアに供給される空気量を制御する暖房用ダンパーと、前記暖房されるエリアから前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する間接的循環用ダンパーと、前記発熱体により昇温された前記空気の温度を測定する昇温空気用温度センサと、前記暖房されるエリアの温度を測定する暖房エリア用温度センサと、前記暖房されるエリアの設定温度が入力される操作部と、前記昇温空気用温度センサ、前記暖房エリア用温度センサ、及び、前記操作部からの信号にもとづいて、前記直接的循環用ダンパー、前記暖房用ダンパー、及び、前記間接的循環用ダンパーの各開度を制御する制御部とを備え、前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より低く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より高く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じる構成としてある。
【0012】
また、本発明の排熱利用省エネ空調方法は、冷却された空気を吹き出し、前記空気を循環させて発熱体を冷却する空調機と、前記発熱体により昇温された前記空気のうち、直接的に前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する直接的循環用ダンパーと、前記発熱体により昇温された前記空気のうち、暖房されるエリアに供給される空気量を制御する暖房用ダンパーと、前記暖房されるエリアから前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する間接的循環用ダンパーと、前記発熱体により昇温された前記空気の温度を測定する昇温空気用温度センサと、前記暖房されるエリアの温度を測定する暖房エリア用温度センサと、前記暖房されるエリアの設定温度が入力される操作部と、前記昇温空気用温度センサ、前記暖房エリア用温度センサ、及び、前記操作部からの信号にもとづいて、前記直接的循環用ダンパー、前記暖房用ダンパー、及び、前記間接的循環用ダンパーの各開度を制御する制御部とが用いられ、前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より低く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より高く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じる方法としてある。
【0013】
また、本発明の排熱利用省エネ空調プログラムは、発熱体を冷却する空調機によって循環され、前記発熱体により昇温された前記空気の温度を測定する昇温空気用温度センサ、暖房されるエリアの温度を測定する暖房エリア用温度センサ、及び、前記暖房されるエリアの設定温度が入力される操作部からの信号にもとづいて、前記発熱体により昇温された前記空気のうち、直接的に前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する直接的循環用ダンパー、前記発熱体により昇温された前記空気のうち、前記暖房されるエリアに供給される空気量を制御する暖房用ダンパー、及び、前記暖房されるエリアから前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する間接的循環用ダンパーの各開度を制御する制御部に、前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より低く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じる手順、及び、前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より高く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じる手順を実行させる構成としてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の排熱利用省エネ空調設備、排熱利用省エネ空調システム、排熱利用省エネ空調方法、及び、排熱利用省エネ空調プログラムによれば、エネルギーを有効利用することにより、運転経費の無駄を削減し、さらに、サーバーなどに悪影響を与えないといった、高い安全性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態にかかる排熱利用省エネ空調設備の概略図を示している。
【図2】図2は、本発明の第一実施形態にかかる排熱利用省エネ空調方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
【図3】図3は、本発明の第二実施形態にかかる排熱利用省エネ空調設備の概略図を示している。
【図4】図4は、本発明の第二実施形態にかかる排熱利用省エネ空調方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
【図5】図5は、本発明に関連するデータセンター空調設備の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[排熱利用省エネ空調設備の第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態にかかる排熱利用省エネ空調設備の概略図を示している。
図1において、排熱利用省エネ空調設備1は、空調機2、直接的循環用ダンパー31、暖房用ダンパー32、間接的循環用ダンパー33、昇温空気用温度センサ41、暖房エリア用温度センサ42、操作部43、及び、制御部5などを備えている。
また、排熱利用省エネ空調設備1は、建築物10に設けられており、サーバー11からの排熱を有効利用する。
【0017】
(空調機)
空調機2は、冷却された空気(たとえば、20℃の空気。また、この空気の温度をT℃とする。)を吹き出しダクト13に吹き出し、この空気を循環させて発熱体としてのサーバー11を冷却する。
また、空調機2は、図示してないが、送風機、熱交換器(屋外に設置されるクーリングタワーなどをも含む。)、加湿器、エアフィルタ、ケーシング及び各種センサなどを備えている。この空調機2は、通常、空調機室17に設置されており、吹き出す空気の温度、湿度及び風量などを制御する。
【0018】
また、空調機2から吹き出された空気は、たとえば、床下に設けられた吹き出しダクト13、データセンター12、及び、天井に設けられたリターンダクト14を少なくとも流れ、空調機2に吸い込まれる。この際、空調機2から吹き出される空気は、冷却された空気(たとえば、20℃の空気)であり、また、リターンダクト14を流れる空気は、サーバー11などにより昇温された空気(たとえば、30℃の空気。また、この空気の温度をT℃とする。)である。
【0019】
ここで、本実施形態では、上述したように、発熱体をサーバー11としてある。このようにすると、後述するように、サーバー11からの排熱を有効利用することができる。
なお、発熱体は、サーバー11に限定されるものではなく、たとえば、一般的なコンピュータでもよい。
【0020】
また、上述したように、サーバー11は、データセンター12に設置されており、空調機2は、データセンター12の床下に設けられた吹き出しダクト13を介して、冷却した空気を吹き出す床下式空調機としてある。このようにすると、サーバー11を効率よく冷却することができる。
なお、空調機2は、床下式空調機に限定されるものではなく、たとえば、効率よく空気を循環することの可能な空調機であればよい。
【0021】
(直接的循環用ダンパー)
直接的循環用ダンパー31は、サーバー11により昇温された空気のうち、直接的に空調機2に吸い込まれる空気量を制御するダンパーである。
この直接的循環用ダンパー31は、モータ等の駆動手段などを備えており、制御部5によって開度が自動的に制御される。また、直接的循環用ダンパー31は、リターンダクト14と空調機室17との間に設置されている。
【0022】
(暖房用ダンパー)
暖房用ダンパー32は、サーバー11により昇温された空気のうち、暖房されるエリアである事務室15に供給される空気量を制御するダンパーである。
この暖房用ダンパー32は、モータ等の駆動手段などを備えており、制御部5によって開度が自動的に制御される。また、暖房用ダンパー32は、リターンダクト14と天井ダクト16との間に設置されている。
【0023】
また、好ましくは、直接的循環用ダンパー31が、送風機(図示せず)を有する構成としてもよい。このようにすると、サーバー11により昇温された空気を、事務室15に効果的に供給することができる。
なお、本実施形態では、暖房されるエリアを事務室15としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、会議室や研究室など様々なエリアとすることができる。
また、サーバー11により昇温された空気は、天井ダクト16を介して、事務室15に供給される構成としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、直接的に、あるいは、所定の流路を介して、事務室15に供給される構成としてもよい。
【0024】
(間接的循環用ダンパー)
間接的循環用ダンパー33は、事務室15から空調機2に吸い込まれる空気量を制御するダンパーである。
この間接的循環用ダンパー33は、モータ等の駆動手段などを備えており、制御部5によって開度が自動的に制御される。また、間接的循環用ダンパー33は、事務室15と空調機室17との間に設置されている。
なお、間接的循環用ダンパー33は、フィルタ(図示せず)などを有していてもよく、このようにすると、事務室15のほこりが空調機2に吸い込まれるといった不具合を防止することができる。
【0025】
(昇温空気用温度センサ)
昇温空気用温度センサ41は、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)を測定するセンサである。
この昇温空気用温度センサ41は、制御部5と接続されており、測定した温度に関する信号を制御部5に出力する。また、昇温空気用温度センサ41は、リターンダクト14内の暖房用ダンパー32の近傍に取り付けられている。
【0026】
(暖房エリア用温度センサ)
暖房エリア用温度センサ42は、事務室15の温度(t℃)を測定するセンサである。
この暖房エリア用温度センサ42は、制御部5と接続されており、測定した温度に関する信号を制御部5に出力する。また、暖房エリア用温度センサ42は、事務室15内の間接的循環用ダンパー33の近傍に取り付けられている。
【0027】
(操作部)
操作部43は、表示手段、設定用スイッチ、オンオフスイッチなどを有しており、事務室15の設定温度などが入力される。
この暖房エリア用温度センサ42は、制御部5と接続されており、入力された設定温度(t℃)に関する信号などを制御部5に出力する。また、操作部43は、事務室15内の壁などに取り付けられている。
【0028】
(制御部)
制御部5は、シーケンサやコンピュータなどであり、事務室15内の壁などに取り付けられている。この制御部5は、昇温空気用温度センサ41、暖房エリア用温度センサ42、及び、操作部43からの各信号にもとづいて、直接的循環用ダンパー31、暖房用ダンパー32、及び、間接的循環用ダンパー33の各開度を制御する。
【0029】
すなわち、制御部5は、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)が、操作部43に入力された事務室15の設定温度(t℃)より低く、かつ、昇温空気用温度センサ41によって測定された、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)が、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)より高いとき、間接的循環用ダンパー33が所定の開度だけ開き、暖房用ダンパー32が所定の開度だけ開き、直接的循環用ダンパー31が所定の開度だけ閉じるように、制御する。
【0030】
また、制御部5は、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)が、操作部43に入力された事務室15の設定温度(t℃)より高く、かつ、昇温空気用温度センサ41によって測定された、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)が、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)より高いとき、直接的循環用ダンパー31が所定の開度だけ開き、暖房用ダンパー32が所定の開度だけ閉じ、間接的循環用ダンパー33が所定の開度だけ閉じるように、制御する。
【0031】
このようにすると、サーバー11から奪った熱を、事務室15に供給することができるので、排熱を有効利用することができ、省エネルギーを実現することができる。
なお、本実施形態では、通常、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)が、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)より高い状態にある。
【0032】
(暖房エリア用空調機)
暖房エリア用空調機6は、事務室15に設置される空調機である。この暖房エリア用空調機6は、図示してないが、送風機、熱交換器(屋外に設置されるクーリングタワーなどをも含む。)、エアフィルタ、ケーシング及び各種センサなどを備えている。
また、暖房エリア用空調機6は、暖房運転時において、通常、暖房エリア用空調機6の暖房用設定温度(T℃)が、操作部43に入力された設定温度(t℃)より、低く設定されている。このようにすると、暖房エリア用空調機6を暖房運転している場合であっても、サーバー11から奪った熱を、事務室15に供給することができる。
【0033】
さらに、暖房エリア用空調機6は、排熱利用省エネ空調設備1が作動し、所定の時間が経過した後、暖房運転を開始する構成としてもよい。これにより、サーバー11の排熱を有効利用できるのに、有効利用しない状態で、暖房運転が行われるといった不具合を確実に回避することができる。
なお、暖房エリア用空調機6は、専用の操作部(図示せず)などを有しているが、この専用の操作部と、上述した操作部43や制御部5とを一体的に設ける構成としてもよい。
【0034】
次に、上述した構成の排熱利用省エネ空調設備1の動作などについて、図面を参照して説明する。
まず、一般的に、排熱利用省エネ空調設備1は、冬の期間においては、常時、操作部43のオンオフスイッチがオンされている。また、春や秋の期間においては、暖房エリア用空調機6が暖房運転を行う前に、操作部43のオンオフスイッチがオンされ、あるいは、明朝の冷え込みを考えると、事務室15を暖めておいたほうが好ましい場合には、操作部43のオンオフスイッチが一晩中オンされている。また、暖房エリア用空調機6が冷房運転を行う夏の期間においては、常時、操作部43のオンオフスイッチがオフされている。
【0035】
図2は、本発明の第一実施形態にかかる排熱利用省エネ空調方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
図2において、冬、春及び秋の期間に、排熱利用省エネ空調設備1は、まず、操作部43に設定温度(t℃(たとえば、t℃=23℃))が入力され、オンオフスイッチがオンされ、操作部43が、これらの信号を制御部5に出力する(ステップS1)。
なお、図示してないが、排熱利用省エネ空調設備1の作動中に、操作部43に変更された設定温度(t℃(たとえば、t℃=22℃))が入力され、あるいは、オンオフスイッチがオフされると、操作部43は、これらの信号を制御部5に出力する。
【0036】
次に、制御部5は、設定温度(t℃(たとえば、t℃=23℃))の情報を記憶し、オンオフスイッチがオンされているか否かを判断する(ステップS2)。
この判断により、Yesのとき(オンオフスイッチがオンされているとき)、ステップS3に進む。また、Noのとき(オンオフスイッチがオフされているとき)、ステップS8に進み、制御部5が、直接的循環用ダンパー31を全開し、暖房用ダンパー32を全閉し、間接的循環用ダンパー33を全閉する。
【0037】
ステップS3において、昇温空気用温度センサ41が、昇温された空気の温度(T℃)を測定し、測定したこの温度に関する信号を制御部5に出力し、また、暖房エリア用温度センサ42が、事務室15の温度(t℃)を測定し、測定したこの温度に関する信号を制御部5に出力する。
【0038】
次に、制御部5は、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)が、操作部43に入力された事務室15の設定温度(t℃)より低く、かつ、昇温空気用温度センサ41によって測定された、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)が、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)より高いか否かを判断する(ステップS4)。
この判断により、Yesのとき、制御部5は、間接的循環用ダンパー33が所定の開度だけ開き、暖房用ダンパー32が所定の開度だけ開き、直接的循環用ダンパー31が所定の開度だけ閉じるように、制御する(ステップS5)。続いて、上述したステップS2に進む。
また、Noのとき、ステップS6に進む。
【0039】
ステップS6において、制御部5は、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)が、操作部43に入力された事務室15の設定温度(t℃)より高く、かつ、昇温空気用温度センサ41によって測定された、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)が、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)より高いか否かを判断する。
この判断により、Yesのとき、制御部5は、直接的循環用ダンパー31が所定の開度だけ開き、暖房用ダンパー32が所定の開度だけ閉じ、間接的循環用ダンパー33が所定の開度だけ閉じるように、制御する(ステップS7)。続いて、上述したステップS2に進む。
また、Noのとき、上述したステップS2に進む。すなわち、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)が、操作部43に入力された事務室15の設定温度(t℃)と同じとき、直接的循環用ダンパー31、暖房用ダンパー32及び間接的循環用ダンパー33の各開度状態を維持したまま、上述したステップS2に進む。
【0040】
また、上述したステップS5、S7において、直接的循環用ダンパー31、暖房用ダンパー32及び間接的循環用ダンパー33は、上述した順番で作動し、空気圧の変動を抑制する。ただし、これに限定されるものではなく、たとえば、ほぼ同時に作動する構成としてもよい。
さらに、通常、ステップS5、S7において、直接的循環用ダンパー31、暖房用ダンパー32及び間接的循環用ダンパー33の各所定の開度は、変動する空気流量に対応する開度である。すなわち、たとえば、暖房用ダンパー32が所定の開度だけ開き、開口面積がΔmだけ増加すると、間接的循環用ダンパー33は、Δmだけ開口面積が増加する所定の開度だけ開き、また、直接的循環用ダンパー31は、Δmだけ開口面積が減少する所定の開度だけ閉じる。これにより、空気流量を精度よく制御でき、また、空気圧の変動を抑制することができる。
【0041】
なお、上述した制御部5による制御は、様々な応用例を有している。すなわち、温度制御技術においては、たとえば、オーバーシュートを抑制する制御方法や、温度差にもとづいて所定の開度を変更する制御方法など様々な技術が開発されている。本実施形態の応用例として、上記の温度制御技術を適用することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の排熱利用省エネ空調設備1によれば、データセンター12のサーバー11から奪った熱を、事務室15に供給することができるので、排熱を有効利用することができ、省エネルギーを実現することができる。すなわち、データセンター12のサーバー排熱を事務室15に供給することにより、事務室15の暖房経費を削減することがでる。また、事務室15を流れることにより冷えた空気を、空調機2に還流させており、これにより、空調機2の負荷を低減でき、省エネ運転を実現することができる。
【0043】
[排熱利用省エネ空調システムの第一実施形態]
また、本発明は、排熱利用省エネ空調システムの発明としても有効である。
本実施形態の排熱利用省エネ空調システムは、上述したように、複数のサーバー11、サーバー11が設置されたデータセンター12と暖房されるエリアとしての事務室15を少なくとも有する建築物10、及び、排熱利用省エネ空調設備1などを備えた構成としてある。
【0044】
このように、本実施形態の排熱利用省エネ空調システムは、サーバー11、排熱利用省エネ空調設備1、暖房エリア用空調機6などを含めた建築物10全体としてあり、データセンター12のサーバー11から奪った熱を、事務室15に供給することができるので、排熱を有効利用することができ、省エネルギーを実現することができる。
【0045】
[排熱利用省エネ空調方法の第一実施形態]
また、本発明は、排熱利用省エネ空調方法の発明としても有効である。
本実施形態は、上述した排熱利用省エネ空調設備1における排熱利用省エネ空調方法としてある。すなわち、上述したように、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)が、操作部43に入力された事務室15の設定温度(t℃)より低く、かつ、昇温空気用温度センサ41によって測定された、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)が、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)より高いとき、間接的循環用ダンパー33が所定の開度だけ開き、暖房用ダンパー32が所定の開度だけ開き、直接的循環用ダンパー31が所定の開度だけ閉じる方法としてある(図2のステップS4、S5参照)。
【0046】
また、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)が、操作部43に入力された事務室15の設定温度(t℃)より高く、かつ、昇温空気用温度センサ41によって測定された、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)が、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)より高いとき、直接的循環用ダンパー31が所定の開度だけ開き、暖房用ダンパー32が所定の開度だけ閉じ、間接的循環用ダンパー33が所定の開度だけ閉じる方法としてある(図2のステップS6、S7参照)。
【0047】
このように、本実施形態の排熱利用省エネ空調方法は、上述したように、データセンター12のサーバー11から奪った熱を、事務室15に供給することができるので、排熱を有効利用することができ、省エネルギーを実現することができる。
【0048】
[排熱利用省エネ空調プログラムの第一実施形態]
また、本発明は、排熱利用省エネ空調プログラムの発明としても有効である。
上述した実施形態における排熱利用省エネ空調設備1や排熱利用省エネ空調システムの排熱利用省エネ機能は、制御部5の記憶手段(例えば、ROMなど)に記憶された排熱利用省エネ空調プログラムにより実現される。
排熱利用省エネ空調プログラムは、たとえば、制御部5の制御手段(CPUなど)に読み込まれることにより、排熱利用省エネ空調設備1の構成各部に指令を送り、所定の処理などを行わせる。
これによって、排熱利用省エネ機能は、ソフトウエアである排熱利用省エネ空調プログラムとハードウエア資源である排熱利用省エネ空調設備1の各構成手段とが協働することにより実現される。
【0049】
本実施形態は、上述した排熱利用省エネ空調設備1の制御部5に、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)が、操作部43に入力された事務室15の設定温度(t℃)より低く、かつ、昇温空気用温度センサ41によって測定された、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)が、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)より高いとき、間接的循環用ダンパー33が所定の開度だけ開き、暖房用ダンパー32が所定の開度だけ開き、直接的循環用ダンパー31が所定の開度だけ閉じる手順を実行させる(図2のステップS4、S5参照)。
【0050】
また、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)が、操作部43に入力された事務室15の設定温度(t℃)より高く、かつ、昇温空気用温度センサ41によって測定された、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)が、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)より高いとき、直接的循環用ダンパー31が所定の開度だけ開き、暖房用ダンパー32が所定の開度だけ閉じ、間接的循環用ダンパー33が所定の開度だけ閉じる手順を実行させる(図2のステップS6、S7参照)。
【0051】
このように、本実施形態の排熱利用省エネ空調プログラムによれば、上述したように、データセンター12のサーバー11から奪った熱を、事務室15に供給することができるので、排熱を有効利用することができ、省エネルギーを実現することができる。
【0052】
[排熱利用省エネ空調設備の第二実施形態]
図3は、本発明の第二実施形態にかかる排熱利用省エネ空調設備の概略図を示している。
図3において、本実施形態の排熱利用省エネ空調設備1aは、第一実施形態の排熱利用省エネ空調設備1と比べると、空調機2が吸い込む空気の温度(t℃)を測定する吸込み空気用温度センサ44を備え、制御部5aが、空調機2が吸い込む空気の温度(t℃)を、空調機2が吹き出す冷却された空気の温度(T℃)以上とするように、優先的に制御する点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、排熱利用省エネ空調設備1とほぼ同様としてある。
したがって、図3において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0053】
(吸込み空気用温度センサ)
吸込み空気用温度センサ44は、空調機2が吸い込む空気の温度(t℃)を測定するセンサである。
この吸込み空気用温度センサ44は、制御部5と接続されており、測定した温度に関する信号を制御部5に出力する。また、吸込み空気用温度センサ44は、空調機2の吸込み口(図示せず)の近傍に取り付けられている。
【0054】
(制御部)
制御部5aは、第一実施形態の制御部5とほぼ同様な構成としてあり、さらに、制御部5aが、空調機2が吸い込む空気の温度(t℃)を、空調機2が吹き出す冷却された空気の温度(T℃)以上とするように、優先的に制御する。
すなわち、制御部5aは、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)が、操作部43に入力された事務室15の設定温度(t℃)より低く、かつ、昇温空気用温度センサ41によって測定された、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)が、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)より高いとき、さらに、空調機2が吸い込む空気の温度(t℃)が、空調機2が吹き出す冷却された空気の温度(T℃)以上であるか否かを判断する。この判断が、Yesのとき、制御部5aは、間接的循環用ダンパー33が所定の開度だけ開き、暖房用ダンパー32が所定の開度だけ開き、直接的循環用ダンパー31が所定の開度だけ閉じるように、制御する。また、上記判断が、Noのとき、直接的循環用ダンパー31、暖房用ダンパー32及び間接的循環用ダンパー33の各開度状態を維持する。
【0055】
次に、上述した構成の排熱利用省エネ空調設備1aの動作などについて、図面を参照して説明する。
図4は、本発明の第二実施形態にかかる排熱利用省エネ空調方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
図4において、図2に示す第一実施形態の各ステップS1〜S8と比べると、制御部5aが、空調機2が吸い込む空気の温度(t℃)が、空調機2が吹き出す冷却された空気の温度(T℃)以上であるか否かを判断し、この判断が、Noのとき、直接的循環用ダンパー31、暖房用ダンパー32及び間接的循環用ダンパー33の各開度状態を維持するステップS4aが追加されている点などが相違する。なお、本実施形態の他のステップは、排熱利用省エネ空調設備1のステップとほぼ同様としてある。
したがって、図4において、図2と同様のステップについては同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0056】
ステップS4において、制御部5aは、第一実施形態とほぼ同様に、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)が、操作部43に入力された事務室15の設定温度(t℃)より低く、かつ、昇温空気用温度センサ41によって測定された、サーバー11により昇温された空気の温度(T℃)が、暖房エリア用温度センサ42によって測定された事務室15の温度(t℃)より高いか否かを判断する。
この判断により、Yesのとき、制御部5aは、ステップS4aに進む。また、Noのとき、第一実施形態とほぼ同様に、ステップS6に進む。
【0057】
ステップS4aにおいて、制御部5aは、空調機2が吸い込む空気の温度(t℃)が、空調機2が吹き出す冷却された空気の温度(T℃)以上であるか否かを判断する。
この判断により、Yesのとき、制御部5aは、第一実施形態とほぼ同様に、間接的循環用ダンパー33が所定の開度だけ開き、暖房用ダンパー32が所定の開度だけ開き、直接的循環用ダンパー31が所定の開度だけ閉じるように、制御する(ステップS5)。続いて、上述したステップS2に進む。
【0058】
また、Noのとき、上述したステップS2に進む。すなわち、空調機2が吸い込む空気の温度(t℃)が、空調機2が吹き出す冷却された空気の温度(T℃)より低いとき、直接的循環用ダンパー31、暖房用ダンパー32及び間接的循環用ダンパー33の各開度状態を維持したまま、上述したステップS2に進む。
なお、本実施形態では、事務室15の温度(t℃)が上昇中であることを考慮し、直接的循環用ダンパー31、暖房用ダンパー32及び間接的循環用ダンパー33の各開度状態を維持したまま、上述したステップS2に進む構成としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、ステップS2に進む代わりに、ステップS7に進む構成としてもよい。このようにしても、制御部5aが、空調機2が吸い込む空気の温度(t℃)を、空調機2が吹き出す冷却された空気の温度(T℃)以上とするように、優先的に制御することができる。
【0059】
これにより、空調機2が、吸い込んだ空気(たとえば、19℃以下の温度の空気)を暖めてから(たとえば、20℃に暖めてから)、吹き出すといった不具合を回避することができる。また、冷たすぎる空気(たとえば、10℃以下の温度の空気)をサーバー11に吹き付けるといった不具合を、より確実に回避することができる。
なお、その他のステップは、ほぼ第一実施形態と同様としてある。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の排熱利用省エネ空調設備1aによれば、第一実施形態の排熱利用省エネ空調設備1とほぼ同様の効果を奏することができる。
さらに、空調機2が、吸い込んだ空気を暖めてから吹き出すといった不具合を回避でき、また、冷たすぎる空気をサーバー11に吹き付けるといった不具合を、より確実に回避することができる。したがって、サーバー11に悪影響を与えないといった、高い安全性を実現することができる。
【0061】
[排熱利用省エネ空調システムの第二実施形態]
本実施形態の排熱利用省エネ空調システムは、上述したように、複数のサーバー11、サーバー11が設置されたデータセンター12と暖房されるエリアとしての事務室15を少なくとも有する建築物10、及び、排熱利用省エネ空調設備1aなどを備えた構成としてある。
このようにすると、第一実施形態とほぼ同様の効果を奏することができ、さらに、サーバー11に悪影響を与えないといった、高い安全性を実現することができる。
【0062】
[排熱利用省エネ空調方法の第二実施形態]
本実施形態は、上述した第一実施形態の排熱利用省エネ空調方法と比べると、上述したように、制御部5aが、空調機2が吸い込む空気の温度(t℃)を、空調機2が吹き出す冷却された空気の温度(T℃)以上とするように、優先的に制御する方法としてある。
このようにすると、第一実施形態とほぼ同様の効果を奏することができ、さらに、サーバー11に悪影響を与えないといった、高い安全性を実現することができる。
【0063】
[排熱利用省エネ空調プログラムの第二実施形態]
本実施形態は、上述した第一実施形態の排熱利用省エネ空調プログラムと比べると、上述したように、制御部5aに、空調機2が吸い込む空気の温度(t℃)を、空調機2が吹き出す冷却された空気の温度(T℃)以上とするように、優先的に制御する手順を実行させる。
このようにすると、第一実施形態とほぼ同様の効果を奏することができ、さらに、サーバー11に悪影響を与えないといった、高い安全性を実現することができる。
【0064】
以上、本発明の排熱利用省エネ空調設備、排熱利用省エネ空調システム、排熱利用省エネ空調方法、及び、排熱利用省エネ空調プログラムについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る排熱利用省エネ空調設備、排熱利用省エネ空調システム、排熱利用省エネ空調方法、及び、排熱利用省エネ空調プログラムは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、排熱利用省エネ機能を実現するための排熱利用省エネ空調プログラムは、制御部5、5aのROMやハードディスクなどに記憶される他、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、たとえば、外部記憶装置及び可搬記録媒体等に格納することができる。
外部記憶装置とは、CD−ROM等の記憶媒体を内蔵し、制御部5、5aに外部接続されるメモリ増設装置をいう。一方、可搬記録媒体とは、記録媒体駆動装置(ドライブ装置)に装着でき、かつ、持ち運び可能な記録媒体であって、たとえば、フレキシブルディスク,メモリカード,光磁気ディスク等をいう。
【0065】
そして、記録媒体に記録されたプログラムは、制御部5、5aのRAM等にロードされて、CPU(制御手段)により実行される。この実行により、上述した実施形態の排熱利用省エネ空調設備1、1aや排熱利用省エネ空調システムの排熱利用省エネ機能が実現される。
さらに、排熱利用省エネ空調プログラムをロードする場合、他のコンピュータに保有された排熱利用省エネ空調プログラムを、通信回線を利用してRAMや外部記憶装置にダウンロードすることもできる。このダウンロードされた排熱利用省エネ空調プログラムも、CPUにより実行され、上記実施形態の排熱利用省エネ空調設備1、1aや排熱利用省エネ空調システムの排熱利用省エネ機能を実現する。
【符号の説明】
【0066】
1、1a 排熱利用省エネ空調設備
2 空調機
5、5a 制御部
6 暖房エリア用空調機
10 建築物
11 サーバー
12 データセンター
13 吹き出しダクト
14 リターンダクト
15 事務室
16 天井ダクト
17 空調機室
31 直接的循環用ダンパー
32 暖房用ダンパー
33 間接的循環用ダンパー
41 昇温空気用温度センサ
42 暖房エリア用温度センサ
43 操作部
44 吸込み空気用温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却された空気を吹き出し、前記空気を循環させて発熱体を冷却する空調機と、
前記発熱体により昇温された前記空気のうち、直接的に前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する直接的循環用ダンパーと、
前記発熱体により昇温された前記空気のうち、暖房されるエリアに供給される空気量を制御する暖房用ダンパーと、
前記暖房されるエリアから前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する間接的循環用ダンパーと、
前記発熱体により昇温された前記空気の温度を測定する昇温空気用温度センサと、
前記暖房されるエリアの温度を測定する暖房エリア用温度センサと、
前記暖房されるエリアの設定温度が入力される操作部と、
前記昇温空気用温度センサ、前記暖房エリア用温度センサ、及び、前記操作部からの信号にもとづいて、前記直接的循環用ダンパー、前記暖房用ダンパー、及び、前記間接的循環用ダンパーの各開度を制御する制御部と
を備え、
前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より低く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、
前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より高く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じることを特徴とする排熱利用省エネ空調設備。
【請求項2】
前記空調機が吸い込む前記空気の温度を測定する吸込み空気用温度センサを備え、前記制御部が、前記空調機が吸い込む前記空気の温度を、前記空調機が吹き出す前記冷却された空気の温度以上とするように、優先的に制御することを特徴とする請求項1に記載の排熱利用省エネ空調設備。
【請求項3】
前記暖房されるエリアに設置される暖房エリア用空調機を備え、前記操作部に入力された前記設定温度が、前記暖房エリア用空調機の暖房用設定温度より高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の排熱利用省エネ空調設備。
【請求項4】
前記発熱体がサーバーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の排熱利用省エネ空調設備。
【請求項5】
前記サーバーがデータセンターに設置されており、前記空調機が床下式空調機であることを特徴とする請求項4に記載の排熱利用省エネ空調設備。
【請求項6】
前記暖房用ダンパーが、送風機を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の排熱利用省エネ空調設備。
【請求項7】
一又は二以上の発熱体と、
前記発熱体が設置される発熱体設置エリア及び暖房されるエリアを少なくとも有する建築物と、
冷却された空気を吹き出し、前記空気を循環させて前記発熱体を冷却する空調機と、
前記発熱体により昇温された前記空気のうち、直接的に前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する直接的循環用ダンパーと、
前記発熱体により昇温された前記空気のうち、暖房されるエリアに供給される空気量を制御する暖房用ダンパーと、
前記暖房されるエリアから前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する間接的循環用ダンパーと、
前記発熱体により昇温された前記空気の温度を測定する昇温空気用温度センサと、
前記暖房されるエリアの温度を測定する暖房エリア用温度センサと、
前記暖房されるエリアの設定温度が入力される操作部と、
前記昇温空気用温度センサ、前記暖房エリア用温度センサ、及び、前記操作部からの信号にもとづいて、前記直接的循環用ダンパー、前記暖房用ダンパー、及び、前記間接的循環用ダンパーの各開度を制御する制御部と
を備え、
前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より低く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、
前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より高く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じることを特徴とする排熱利用省エネ空調システム。
【請求項8】
前記空調機が吸い込む前記空気の温度を測定する吸込み空気用温度センサを備え、前記制御部が、前記空調機が吸い込む前記空気の温度を、前記空調機が吹き出す前記冷却された空気の温度以上とするように、優先的に制御することを特徴とする請求項7に記載の排熱利用省エネ空調システム。
【請求項9】
冷却された空気を吹き出し、前記空気を循環させて発熱体を冷却する空調機と、
前記発熱体により昇温された前記空気のうち、直接的に前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する直接的循環用ダンパーと、
前記発熱体により昇温された前記空気のうち、暖房されるエリアに供給される空気量を制御する暖房用ダンパーと、
前記暖房されるエリアから前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する間接的循環用ダンパーと、
前記発熱体により昇温された前記空気の温度を測定する昇温空気用温度センサと、
前記暖房されるエリアの温度を測定する暖房エリア用温度センサと、
前記暖房されるエリアの設定温度が入力される操作部と、
前記昇温空気用温度センサ、前記暖房エリア用温度センサ、及び、前記操作部からの信号にもとづいて、前記直接的循環用ダンパー、前記暖房用ダンパー、及び、前記間接的循環用ダンパーの各開度を制御する制御部と
が用いられ、
前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より低く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、
前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より高く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じることを特徴とする排熱利用省エネ空調方法。
【請求項10】
前記空調機が吸い込む前記空気の温度を測定する吸込み空気用温度センサが用いられ、前記制御部が、前記空調機が吸い込む前記空気の温度を、前記空調機が吹き出す前記冷却された空気の温度以上とするように、優先的に制御することを特徴とする請求項9に記載の排熱利用省エネ空調方法。
【請求項11】
発熱体を冷却する空調機によって循環され、前記発熱体により昇温された前記空気の温度を測定する昇温空気用温度センサ、暖房されるエリアの温度を測定する暖房エリア用温度センサ、及び、前記暖房されるエリアの設定温度が入力される操作部からの信号にもとづいて、前記発熱体により昇温された前記空気のうち、直接的に前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する直接的循環用ダンパー、前記発熱体により昇温された前記空気のうち、前記暖房されるエリアに供給される空気量を制御する暖房用ダンパー、及び、前記暖房されるエリアから前記空調機に吸い込まれる空気量を制御する間接的循環用ダンパーの各開度を制御する制御部に、
前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より低く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じる手順、及び、
前記暖房されるエリアの温度が、前記暖房されるエリアの設定温度より高く、かつ、前記発熱体により昇温された前記空気の温度が、前記暖房されるエリアの温度より高いとき、前記直接的循環用ダンパーが所定の開度だけ開き、前記暖房用ダンパーが所定の開度だけ閉じ、前記間接的循環用ダンパーが所定の開度だけ閉じる手順
を実行させることを特徴とする排熱利用省エネ空調プログラム。
【請求項12】
前記制御部に、前記空調機が吸い込む前記空気の温度を測定する吸込み空気用温度センサからの信号にもとづいて、前記空調機が吸い込む前記空気の温度を、前記空調機が吹き出す前記冷却された空気の温度以上とするように、優先的に制御する手順を実行させることを特徴とする請求項11に記載の排熱利用省エネ空調プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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