説明

排稈処理装置

【課題】従来の排稈処理装置においては、メンテナンスを行うなどのために排稈処理装置を開放したきに、スプレッダの回転刃が剥き出し状態となり、排稈処理装置の筐体よりも突出することがあるため、メンテナンス時に作業者が回転刃に引っ掛かったり、触れて怪我をしたりする懸念があった。
【解決手段】切断装置等の作業部10を収納した排稈処理装置1を収穫機20本体に対し水平方向に回動自在に取り付け、排稈処理装置1の筐体2の排稈入口側を開放して、該排稈入口側に該作業部10を覆う安全カバー5を開閉可能に取り付けた構成において、該安全カバー5によって作業部10を覆っている状態では、収穫機20本体後部を排稈処理装置1前部によって閉じることができないようにする牽制機構を、排稈処理装置1側に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀後の排稈を処理するために収穫機等の後部に取り付けられる排稈処理装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収穫機等の脱穀装置後方に付設される排稈処理装置等に取り付けられて、排稈等を排出するスプレッダにおいては、回転軸に切断用の刃(以下「回転刃」とする)を放射状に複数配設し、該回転刃を高速で回転することにより、スプレッダに搬送されてきた排稈を切断しつつ拡散して排出するようにして、スプレッダ作業を行っていた(特許文献1参照。)。
このスプレッダを収納した排稈処理装置は、収穫機本体に対して左右のどちらか一側に回動してサイドオープン可能とされ、または収穫機本体に着脱できるようにして、回転刃の交換や、脱穀装置や搬送装置などのメンテナンスを収穫機本体後部から行うことができるように構成されていた。
【特許文献1】特開2001−178250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の排稈処理装置においては、メンテナンスを行うなどのために排稈処理装置を開放したときに、スプレッダの回転刃が剥き出し状態となり、排稈処理装置の筐体よりも突出することがあるため、メンテナンス時に作業者が回転刃に引っ掛かったり、触れて怪我をしたりする懸念があった。また、スプレッダを覆う安全カバーを取り付けた場合においては、スプレッダを安全カバーで覆った状態で、排稈処理装置を閉じてしまい、そのまま回転刃を回転させてしまい、排稈が排出されないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、切断装置等の作業部を収納した排稈処理装置を収穫機本体に対し水平方向に回動自在に取り付け、排稈処理装置の筐体の排稈入口側を開放して、該排稈入口側に該作業部を覆う安全カバーを開閉可能に取り付けた構成において、
該安全カバーによって作業部を覆っている状態では、収穫機本体後部を排稈処理装置前部によって閉じることができないようにする牽制機構を、排稈処理装置側に設けたものである。
【0006】
請求項2においては、前記牽制機構を、
前記筐体の側板上で前記作業部より上方に牽制部材の一端を枢支して、
該牽制部材の他端に係止部材の一端を枢支して、
前記安全カバーの端部に該係止部材の他端を引っ掛けるための係止部を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0008】
請求項1においては、安全カバーを閉じたままで、収穫機本体後部を排稈処理装置によって閉じることを防止できるので、その結果、安全カバーを閉じたままで収穫機本体を作動させ回転刃を回転させることを防止できる。
【0009】
請求項2においては、安全カバーを閉じたままで収穫機本体後部を排稈処理装置によって閉じることを防止できるので、その結果、安全カバーを閉じたままで収穫機本体を作動させ回転刃を回転させることを防止できる。また、簡単な構成で牽制機構を構成でき、排稈処理装置を閉じるときに安全カバーが閉じてることが容易に分かる。係止部材を係止するだけで牽制できるため操作を間違えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明について、排稈処理装置1の作業部10としてスプレッダを備えた収穫機20を実施の形態として説明する。なお、スプレッダの代わりにディスクカッターや結束装置、ビータ等を排稈処理装置1の作業部10とし、メンテナンス等のために開放した場合に作業部10が筐体2よりむき出しになるような場合にも適用できる。
【0011】
図1は安全カバー5を筐体2下部に下げた状態を示す排稈処理装置1の斜視図、図2は回転刃9・9・・・を安全カバー5で覆った状態を示す排稈処理装置1の斜視図、図3は排稈処理装置1の背面断面図、図4は排稈処理装置1の一部断面平面図、図5は排稈処理装置1によって収穫機20本体後部を閉じた状態の排稈処理装置1と収穫機20本体後部の一部断面側面図、図6は回転刃9・9・・・を安全カバー5で覆っていない状態を示す係止部材15周辺を示す一部断面正面図、図7は回転刃9・9・・・を安全カバー5で覆った状態を示す係止部材15周辺を示す一部断面正面図、図8は回転刃9・9・・・を安全カバー5で覆った状態を示す係止部材15周辺を示す斜視図である。
【0012】
本発明に係る排稈処理装置1の全体構成について、図1及び図2を用いて説明する。
収穫機20等の脱穀装置の後方に排稈処理装置1が配置され、該排稈処理装置1に切断装置としてスプレッダ10が装備されている。排稈処理装置1は、筐体2と、該筐体2内部に収納されるスプレッダ10と、筐体2後部に取り付けられた排出ダクト16などから構成されている。該筐体2は左右の側板3・3と、上板17と、図示しない後板と底板6等から構成される。スプレッダ10は左右の側板3・3間に回転自在に横架される回転軸7と、該回転軸7の外周面に放射状に突出される回転刃9・9・・・等から構成される。
【0013】
前記回転軸7の外周面には軸方向に所定の間隔を置いて、かつ、円周方向に所定角度をおいて、取付部材が周方向に複数設けられ、各取付部材にブレード状の回転刃9がボルト・ナットなどの締結部材により着脱可能に取り付けられている。こうして、回転刃9・9・・・が回転軸7から放射状に突出され固設されるが、筐体2は入口側となる前部、つまり脱穀装置側が開放され、該筐体2にスプレッダ10を装着した状態では、回転刃9・9・・・が前方に剥き出した状態に配置される。また、筐体2後部下には図示しない連通孔が開口されて排出ダクト16と連通され、該排出ダクト16は筐体2後下部より後方へ延出して配設される。
【0014】
このように構成されたスプレッダ10を装備した排稈処理装置1は収穫機20等の脱穀装置の下流側に取り付けられ、筐体2内に搬送されてきた排稈を回転刃9・9・・・を高速で回転することにより切断しつつ後方へ拡散し、排出ダクト16から排出する。
図4に破線で示すように、排出ダクト16には、複数の排出ガイド22・22・・・が配設されており、スプレッダ10によって切断された排稈が、該排出ガイド22・22・・・によって設定された方向に排出されていく。
【0015】
排稈処理装置1の筐体2は、回転刃9・9・・・を具備したスプレッダ10を覆うようにして、スプレッダ10の側方に側板3・3が、スプレッダ10の下方に底板6が、スプレッダ10の上方に上板17が、スプレッダ10の後方上部に後板が配設されてなるものである。つまり、筐体2内のスプレッダ10は、側板3・3、上板17、底板6、後板によって、側方と上方と下方と後方上部が囲まれて、前方と後方下部の排出ダクト16の固設箇所のみが開放された略四角柱形状に構成されており、筐体2内のスプレッダ10で排稈を前方から後方へ案内しながら、排稈をスプレッダ10で切断しつつ排出ダクト16に送っていく構成となっている。
【0016】
そして、図1、図3及び図4に示すように、底板6と側板3が接して固設されている下側部の隅部(角部)は、正面視において直角ではなく斜めになるように構成されている。詳しくは、隅部は、正面視において側板3側が高く、隅部の筐体2の内壁が側板3から筐体2中心部に向かうにつれて低くなっていくように構成されている。つまり、筐体2内部の下部の底板6と側板3が接する部分が斜面11となるように、筐体2を形成するのである。
また、該斜面11と側板3の接する部分を、角張っているよりも滑らかな曲面形状に形成するとより好適であり、同様に該斜面11と底板6の接する部分も、角張っているより滑らかな曲面形状に形成するとより好適である。
【0017】
このように、排稈処理装置1の作業部を囲む底板6と側板3が接する隅部の内側が、斜面11になるように形成したので、
排稈処理装置1の作業部10周囲のうち、回転刃9・9・・・が届かず、回転刃9・9・・・より生じる風圧が弱い底板6と側板3とが接する隅部に、排稈が溜まることを防止できる。回転する回転刃9・9・・・の風圧が届かなくても、排稈が自重で側板3側から筐体2中心部へ滑り落ちてくるためである。その結果、作業部10周囲に汚れが溜まり難くなり、メンテナンスがし易く、またメンテナンス間隔も長く設定出来る。
【0018】
斜面11は、具体的には、筐体2内部の側板3・3と底板6が接する隅部に斜めに隅板11を溶接等により固定しても良いし、筐体2の側板3と底板6を一体的に構成し、隅部を斜めに折り曲げ形成して斜面11を形成しても良い。つまり、一枚の板状部材の端を、上方向に折り曲げて、角張った隅部が形成されないようにするのである。
本実施例では、斜面若しくは隅板11の配設は正面視において右側に1箇所だけとなっているが、一箇所に限定するものではなく、正面視において左右両側の側板3・3と底板6とが接する2箇所の隅部に斜面若しくは隅板11・11を形成しても良い。
【0019】
また、筐体2内部の下部の左右両側だけでなく、底板6上に設ける回転刃9・9・・・の通過孔に向かって下がる土手部を前後方向に延設して、該土手部上に位置する排稈や塵埃等が通過孔から回転刃が通過する位置まで自重や振動によって滑り落ちる構成としても良い。
【0020】
排稈処理装置1の作業部10を囲む底板6と側板3が接する隅部の内側に、隅板11を斜めに固設したので、
極めて簡単な構成で、排稈処理装置1の作業部10周囲のうち、回転刃9・9・・・が届かず、回転刃9・9・・・より生じる風圧が弱い底板6と側板3とが接する隅部に、排稈が溜まることを防止できる。回転する回転刃9・9・・・の風圧が届かなくても、排稈が自重で側板3側から筐体2中心部へ滑り落ちてくるためである。その結果、作業部10周囲に汚れが溜まり難くなり、メンテナンスがし易く、またメンテナンス間隔も長く設定出来る。
【0021】
そして、前記排稈処理装置1と収穫機20本体との連結部には、左右のどちらか一側に鉛直方向に回動支軸を設けて、該回動支軸を中心に排稈処理装置1を水平方向側方に回動して、収穫機20の本体後部をサイドオープンできるように排稈処理装置1が取り付けられている。排稈処理装置1をサイドオープンすることで、回転刃9・9・・・を交換したり、収穫機20本体後方より脱穀装置や選別装置等のメンテナンスを行ったりすることを可能としている。
【0022】
排稈処理装置1のサイドオープン時において、従来の排稈処理装置の構成では、回転刃9・9・・・が剥き出し状態となり、筐体2よりも突出するため、収穫機20内部などのスプレッダ10以外のメンテナンスを行っているときに、作業者が回転刃9・9・・・に引っ掛かったり、触れて怪我をしたりする恐れがあった。そこで本発明は、作業者の安全を確保するために、排稈処理装置1の開放側に回動可能に安全カバー5を設けて、オープン時には回転刃9・9・・・を覆うことができるようにするのである。
【0023】
次に、排稈処理装置1の安全カバー5の取付け方について説明する。
図1及び図2に示すように、筐体2と排出ダクト16とスプレッダ10から構成された排稈処理装置1において、筐体2の左右の側板3・3下部にはそれぞれ支持部4・4が前方に突設され、該支持部4・4に安全カバー5の上下方向一側(図1においては上側、図2においては下側)が回動自在に枢支されている。また、筐体2の左右どちらか一側または両側の側板3上部に後述する係止部材15が枢支され、安全カバー5の上方に回動した状態で、該係止部材15によって安全カバー5の前記枢支部と反対側に設けられた係止部材孔5fを係止可能としている。なお、本実施例では係止部材15としてスプリングを用いているが、スプリングに限定するものではなく、弾性力を有する部材であれば良いものとする。
【0024】
該安全カバー5はその左右幅が筐体2の幅と略同一とした板材からなるものであり、側面視で略柄杓形に曲げられて平面部5bと凹状部5cとにより形成され、その平面部5bの一側辺が支持部4・4に枢支され、他側に凹状部5cを形成し、該安全カバー5を上方へ回動した状態で平面部5bが筐体2の前部下を覆い、凹状部5cが筐体2前部中程を覆うように構成されている。該凹状部5cの大きさは回転軸7に放射状に設けられた回転刃9・9・・・の前方に突出部分を覆うことができる大きさとしている。
【0025】
つまり、凹状部5cは回転刃9・9・・・先端の回動軌跡における筐体2前部外側を覆う形状とし、その形状は限定するものではなく、側面視多角形であっても側面視半円状であってもよい。そして、前記凹状部5cの内側には複数の規制部5d・5dを左右方向に所定の間隔で突設し、安全カバー5を上方に回動した状態において、該規制部5d・5dが回転軸7と当接するように、その高さ位置を設定している。
【0026】
また、筐体2の前記支持部4・4下部に棒状部材8が左右両側板3・3に横設される一方、前記規制部5d・5dと反対側面の平面部5bに複数の規制部5e・5eが左右所定の間隔で、該規制部5e・5eの高さを図1に示すように前記棒状部材8の高さ位置と合わせて突設されている。こうして、安全カバー5を下方に回動した際に、平面部5bから突出した規制部5e・5eが前記棒状部材8に当接するように構成している。なお、安全カバー5は前記同様に図示しないバネ等の係止部材により下方に回動した状態で係止して振動等で騒音が生じないようにすることもできる。該係止部材は安全カバー5側に取り付けることもできる。
【0027】
このような構成において、排稈処理装置1をメンテナンス等のために側方へ回動したサイドオープン時に、安全カバー5を上方に回動すると、規制部5d・5dが回転軸7に当接して安全カバー5が位置決めされる。そして、図2に示すように、安全カバー5の係止部材孔5f(図7参照)に前記係止部材15を回動させて係止することで、凹状部5cにより前方に突出した回転刃9・9・・・を覆うことができる。
【0028】
以上のように構成することにより、排稈処理装置1をサイドオープンして排稈処理装置1内部若しくは収穫機20本体内部のメンテナンスなどを行う際に、筐体2の前方に開口した前部を安全カバー5で覆って固定することができるので、作業者が誤って回転刃9・9・・・に触れるのを防ぐことができ、安全性の向上を図ることができる。
【0029】
そして、メンテナンス等が終了し、収穫機20により収穫作業をする場合には、図2に示す筐体2前部を安全カバー5により覆っている状態から、安全カバー5の係止部材15による係止状態を解除し、安全カバー5を下方に回動することで、図1に示すように、規制部5e・5eが棒状部材8に当接して安全カバー5が筐体2下部で位置決めされた状態となる。こうして、安全カバー5を排稈処理装置1下部に収納することができ、スプレッダ10での作業時において安全カバー5が邪魔になることがない。
【0030】
次に、サイドオープンされている排稈処理装置1を回転させて、収穫機20本体後部を排稈処理装置1によって閉じて、排稈処理装置1と収穫機20本体を閉じた状態でロックする構成について説明する。
排稈処理装置1は、前述のように、左右一方の回動支軸を軸にしてサイドオープンすることが可能であり、同様に回動支軸を軸にして回動し、スプレッダ10前方を収穫機20本体の後部に連結することができる。そして、スプレッダ10が作業中には、脱穀後に生じる排稈が収穫機20本体後部から排稈処理装置1内部に吹き入れられる構成となっている。但し、排稈処理装置1によって収穫機20本体の後部を閉じるときは、前記安全カバー5を下側に回動して、スプレッダ10前方を開放しておく。
【0031】
図5乃至図8に示すように、排稈処理装置1の筐体2の、サイドオープン用の回動支軸と左右逆側の側板3の外面には、側方に向かってロックピン13が固設されている。そして、収穫機20本体側には、ロックレバー43とロックピン受44が設けられている。即ち、ロックピン受44はプレート状に構成して、収穫機20本体側の側面にロックピン受44前端を固設して後方に突設し、該ロックピン受44の後端に前記ロックピン13を嵌合するための略V字状の凹部が後方を開放して形成され、その前部にロックレバー基部ピン42が左右方向側方に突設されてロックレバー基部41が前後回動自在に枢支されてロックピン受44と平行に配置している。該ロックレバー基部41の後端にはロックレバー43が固設されて上方に突設されている。
作業者はロックレバー43を握って、ロックレバー基部41をロックレバー基部ピン42を軸にして回動させることができる。
【0032】
図5及び図8に示すように、前記ロックレバー基部41の長手方向中途部には、下部に前記ロックピン13がはまり込むための略U字状の切欠41cが下方を開放して形成されており、ロックレバー基部41を下方に回動してロックピン13を嵌合した状態でロックピン13を拘束するように構成している。
作業者は以下のようにして、排稈処理装置1を前方に回動して収穫機20本体の後部を閉じるものである。
まず、ロックレバー基部41を左側面視において時計方向に、つまり、ロックレバー43を上方へ回動させて、ロックピン受44の凹部とロックレバーの切欠41cが後方に開放された状態として、排稈処理装置1を前方に回動させて収穫機20本体後部を閉じる。この収穫機20本体後部を閉じた状態で、前記ロックレバー43を左側面視において反時計周りに回動させて、前記切欠41cに前記ロックピン13を嵌め込むことで排稈処理装置1を収穫機20本体に固定することができる。
【0033】
前記ロックレバー基部41は、収穫機20本体とねじりバネ等によって連結しておき、該ロックレバー基部41は右側面視において反時計周りに回動する方向に付勢されている構成にしても良い。そして、図5に示すように、ロックレバー基部41は、後方に尖った形状に形成されており、ロックレバー基部41を側面視において反時計方向に回動した状態で、且つ牽制部材12を正面視において反時計方向に回動した状態で、ロックレバー基部41の後端の高さが前記牽制部材12の高さの略中央に位置するように構成されている。
【0034】
このようにして、ロックレバー基部41とロックピン13を構成することによって、作業者がロックレバー43を持ち上げて回動しなくても、排稈処理装置1を回動して収穫機20本体後部を閉じるときには、ロックピン13にロックレバー基部41が接触してロックレバー基部41の下辺がロックピン13を案内にして、ロックレバー基部41がロックレバー43ごと右側面視時計方向に回動していく。そして、前記切欠41cがロックピン13の上方にまで達すると、ロックレバー基部41は自重と前記ねじりバネの付勢力によって右側面視反時計方向に回動し、ロックピン13が前記切欠41cに嵌りこむようになっている。このようにして、排稈処理装置1は、収穫機20本体に固設される。
【0035】
次に、安全カバー5を持ち上げて保持した状態では、前記ロック装置でロックできないようにする係止部材15と牽制部材12等からなる牽制機構の配設方法について説明する。
図5乃至図8に示すように、排稈処理装置1のロックピン13が位置する側の側面に、牽制機構の牽制部材12が配置されている。即ち、牽制機構は安全カバー5を持ち上げて回転刃9・9・・・を覆う状態のとき、斜め上方の排稈処理装置1側面に配置される。
【0036】
前記牽制部材12は略L字状に構成されたプレートの一端が基部ピン21に固定されてなるものである。該基部ピン21は側板3に固設した枢支パイプに回転自在に枢支されている。該牽制部材12は約90度の間で回動自在に枢支されており、詳しくは牽制部材12は、図6に示すように上方へ持ち上げた状態から、図7に示すように側方へ飛び出した状態の間で回動可能である。牽制部材12には、一方に基部ピン21を嵌入するためのピン孔12bが形成され、他方は図8に示すように前記ロックピン受44またはロックレバー基部41のいずれかの後端が当接するようにある程度の面積を有する当接部が形成され、該他方側の端部には係止部材15を連結するための係止部材連結孔12cが形成されている。係止部材15はスプリング等の弾性部材で形成されており、係止部材15の長軸方向に弾性力を有すものであり、係止部材15が縮む方向に付勢されて連結されている。
【0037】
つまり、排稈処理装置1の側面に前方若しくは後方に向けて基部ピン21を固設し、該基部ピン21に牽制部材12のピン孔12bを嵌入させて、牽制部材12を排稈処理装置1の側面に枢支し、該牽制部材12の係止部材連結孔12cに係止部材15の一端を連結するのである。
そして、排稈処理装置1の側面上であって、基部ピン21の上方には、係止部材止め14が固設されている。該係止部材止め14は、ボルトやピン等を、排稈処理装置1の側面に打ち込んだものであり、図6に示すように前記牽制部材12を正面視において時計回りに回転した場合、即ち前記牽制部材12を縦向きにした場合に、係止部材15の他端を引っ掛けることが出来、係止部材15の紛失を防ぎ、係止部材15や牽制部材12等が他の部品等と当接して振動等が発生しないようにするものである。
【0038】
一方、安全カバー5を立ててスプレッダ10を覆った状態で保持するために、安全カバー5の隅部(前記牽制部材12にもっとも近い隅、つまり、本実施例では、正面視左上隅)に係止部(係止孔または係止ピン等)5fを形成し、前記係止部材15の他端を係止できるようにしている。
【0039】
このような構成にしたことにより、安全カバー5でスプレッダ10を覆う場合には、前記係止部材15の前記他端を係止部材止め14から外して、図7に示すように牽制部材12を横向きにし、該係止部材15の該他端を前記係止部5fに引っ掛けることで、安全カバー5を立てた状態に保持できる。なお、実際には、係止部材15を係止部5f側に引っ張ると牽制部材12は自動的に側方に倒れ、操作の間違いが生じない。
本実施例では、係止部材孔5fを孔形状としたが、安全カバー5の上端部5a(安全カバー5を立てた状態においての上端部)を正面方向に折り曲げて、側面視において逆U字上に形成し、該折り曲げ部に前記係止部材15の前記他端を引っ掛ける構成としても良い。
【0040】
そして、このように、安全カバー5を係止している状態では、図7に示すように牽制部材12が横向きに突出した状態となっているため、正面視において左側に牽制部材12が飛び出すことになる。そのため、前述のように排稈処理装置1を収穫機20本体後部側に回動して閉じようとすると、図7及び図8に示すようにロックレバー基部41の後端またはロックレバー受44の後端が牽制部材12に当接してしまい排稈処理装置1をそれ以上前方に回動することが出来ず、ロックピン13はロックレバー基部41の切欠41cにまで到達できない。
つまり、図7及び図8に示すように、牽制部材12が横向きになっていると、排稈処理装置1によって収穫機20本体後部を閉じることが出来なくなるのである。
【0041】
以下、図8を参照しながら、前述した牽制機構の役割を換言する。
まず、安全カバー5でスプレッダ10を覆っていない状態で、排稈処理装置1をサイドオープン状態から閉じるときには、排稈処理装置1の側板3上に固設されているロックピン13が、排稈処理装置1とともに収穫機20本体側に回動して、ロックレバー基部41が上方に持ち上がって、切欠41cに該ロックレバー13がはまり込むため、排稈処理装置1を収穫機20本体にロックすることが可能である。
しかし、図8に示すように、牽制部材12が正面視において半時計周りに回動されている状態では、つまり安全カバー5によってスプレッダ10が覆われている状態では、排稈処理装置1を収穫機20本体方向へ閉じようとしても、前記ロックレバー基部41の後端が該牽制部材12に当接してしまうため、それ以上排稈処理装置1を回動できなくなるのである。
以上のように構成することによって、安全カバー5でスプレッダ10を覆った状態のままで排稈処理装置1を閉じてしまうことを防止できるようになる。
【0042】
このように、切断装置等の作業部10を収納した排稈処理装置1を収穫機20本体に対し水平方向に回動自在に取り付け、排稈処理装置1の筐体2の排稈入口側を開放して、該排稈入口側に該作業部10を覆う安全カバー5を開閉可能に取り付けた構成において、
該安全カバー5によって作業部10を覆っている状態では、収穫機20本体後部を排稈処理装置1前部によって閉じることができないようにする牽制機構を、排稈処理装置1側に設けたので、
安全カバー5を閉じたままで収穫機20本体後部を排稈処理装置1によって閉じることを防止できるので、その結果、安全カバー5を閉じたまま収穫機20本体を作動させ回転刃9・9・・・を回転させることを防止できる。
【0043】
また、前記牽制機構を、
前記筐体2の側板上で前記作業部10より上方に牽制部材12の一端を枢支して、
該牽制部材12の他端に係止部材15の一端を枢支して、
前記安全カバー5の端部に該係止部材15の他端を引っ掛けるための係止部5fを設けたので、
安全カバー5を閉じたままで収穫機20本体後部を排稈処理装置1によって閉じることを防止できるので、その結果、安全カバー5を閉じたままで収穫機20本体を作動させ回転刃9・9・・・を回転させることを防止できる。また、簡単な構成で牽制機構を構成でき、排稈処理装置1を閉じるときに安全カバー5が閉じてることが容易に分かる。係止部材15を係止するだけで牽制できるため操作を間違えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】安全カバー5を筐体2下部に下げた状態を示す排稈処理装置1の斜視図。
【図2】回転刃9・9・・・を安全カバー5で覆った状態を示す排稈処理装置1の斜視図。
【図3】排稈処理装置1の背面断面図。
【図4】排稈処理装置1の一部断面平面図。
【図5】排稈処理装置1によって収穫機20本体後部閉じた状態の排稈処理装置1と収穫機20本体後部の一部断面側面図。
【図6】回転刃9・9・・・を安全カバー5で覆っていない状態を示す係止部材15周辺を示す一部断面正面図。
【図7】回転刃9・9・・・を安全カバー5で覆った状態を示す係止部材15周辺を示す一部断面正面図。
【図8】回転刃9・9・・・を安全カバー5で覆った状態を示す係止部材15周辺を示す斜視図
【符号の説明】
【0045】
1 排稈処理装置
2 筐体
3 側板
5 安全カバー
5f 係止部材孔
6 底板
10 作業部(スプレッダ)
12 牽制部材
15 係止部材
41 ロックレバー基部
43 ロックレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断装置等の作業部を収納した排稈処理装置を収穫機本体に対し水平方向に回動自在に取り付け、排稈処理装置の筐体の排稈入口側を開放して、該排稈入口側に該作業部を覆う安全カバーを開閉可能に取り付けた構成において、
該安全カバーによって作業部を覆っている状態では、収穫機本体後部を排稈処理装置前部によって閉じることができないようにする牽制機構を、排稈処理装置側に設けたことを特徴とする排稈処理装置。
【請求項2】
前記牽制機構を、
前記筐体の側板上で前記作業部より上方に牽制部材の一端を枢支して、
該牽制部材の他端に係止部材の一端を枢支して、
前記安全カバーの端部に該係止部材の他端を引っ掛けるための係止部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の排稈処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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