説明

排紙トレイ

【課題】簡単な構成で異なる特性のシートに対応しシートを積載可能とし、ジャム処理等が発生した場合にスタッカー自体を装置から完全に取り外すことなく、作業が行うことができる排紙トレイを提供する。
【解決手段】スタッカー20には、排出口からスタッカー20にシートSが排出する際に一定のスペースを確保する可動積載部40が設けられており、シートのサイズ・厚さ・材質、により、可動積載部の可変シート載置部41の高さを変える構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置から排出された画像形成済みのシート、およびスキャナー等の読取装置で排出された読取り済みのシートを収容する排紙トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
シート、特に、A1サイズ等の大サイズのシートを用いた複写(またはプリント)が可能な画像形成装置(広幅機)として、特許文献1、2のような構成が知られている。
【0003】
これら特許文献1、2の排紙トレイは、コストの低減とトレイの軽量化を図るため、鉄の丸棒を、曲げ加工と溶接加工を組み合わせて、画像形成装置から排出されるシートをほぼ重力方向に自然落下した状態で受け止めるように、上方が開口し、下方に延びている。
【特許文献1】特開平8−48454号公報(第1図参照)
【特許文献2】実開平4−88459号公報(第1図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1、2の排紙トレイの構成は、多数枚のシートを積み重ねた場合、シートの自重により、シートが積載されず、下方に丸まった状態で落ちてしまうおそれがあった。特に、コシが弱いシートを積載する場合、下方に丸まった状態で落ちてしまうことが多い。このため、シートを取り出す作業が煩雑なものとなりやすかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、請求項1においては、装置の排出口から排出されるシートを載置するスタッカーを有し、スタッカーには、排出口からスタッカーにシートが排出する一定のスペースを確保する可動積載部が設けられていることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、装置に取り付けられスタッカーを支持する支持手段を有し、支持手段は、一端が装置に取り付けられ、他端がスタッカーの一端を軸支するフレームと、装置に設けられスタッカーの他端を支持する取付部とからなることを特徴とする。
【0007】
さらに、請求項3記載の発明は、可動積載部には、排出される前記シートの種類に応じて、排出口から排出されるシートの高さを一定にするシート排出位置切替部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、さらに、請求項3記載の発明は、取付部は、正規の位置にスタッカーを取り付ける第一取付部材と、スタッカーを正規の位置から解除する時に所定の位置にスタッカーの他端を支持する第二取付部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成により、本発明によれば、複数枚のシートの積載を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の形態を、図を参照として説明する。先ず、本発明の排紙トレイを適用した装置について説明する。図1に本発明の排紙トレイを適用した装置Aの概略図を示す。この装置Aは、給紙部Bと画像形成部Cと定着部Dとからなる画像形成装置である。なお、この実施の形態において、装置Aは画像形成装置を開示しているがこれに限定されることはなく、例えば、スキャナー等の画像処理装置であってもよい。
【0011】
給紙部Bは、後に述べる画像形成部Cで形成された像を出力するものであり、具体的には、図面上では図示されていないが、ロール紙を収納する収納部と、ロール紙を繰り出し画像形成部側に送り出す送出手段と、送出手段により繰り出されたロール紙をカットする切断手段からなる。
【0012】
収納部から繰り出されたロール紙は、所定の長さでカットされて、シートが形成される。このシートは、後に述べる画像形成部に搬送される。
【0013】
画像形成部Cは、図示しない外部装置からの出力信号を入力して像(トナー像)を形成するものである。具体的に画像形成部は、例えば、図示しない感光体の周囲に、除電、帯電、露光、現像、転写、清掃のプロセスを行う電子写真方式を適用したものである。
【0014】
定着部Dは、画像形成部で形成されたトナー像を転写したシートに、シートに転写されたトナー像を固定するものである。トナー像が固定されたシートは、排出口10から本発明の排紙トレイに排出される。
【0015】
次に、本発明の排紙トレイについて説明する。図2に示すように、排紙トレイは、スタッカー20と支持手段30とからなる。
【0016】
スタッカー20は装置Aの排出口10から排出されるシートSを載置するものであり、図2に示すように、複数の丸棒を並列に配置したものであり、装置A側に配置されたシート載置部21と、副シート載置部22とからなる。
【0017】
シート載置部21は、下方にパイプを折り曲げたガイド部23が設けられている。ガイド部23は、後に述べる支持手段30に装着する爪24が設けられている。さらに、図1、図3、図4および図5に示すように、シート載置部21の中央には小サイズのシートSを載置する小サイズ載置部25が設けられている。
【0018】
小サイズ載置部25は、複数の小サイズのシートSを排出した場合、排出された小サイズのシートSの付勢力が、シート載置部21に載置された小サイズのシートSに対して排出口10側と反対方向に作用し、小サイズのシートSが排出口10側と反対方向に広がって載置されるのを防止するためのものである。
【0019】
小サイズ載置部25は、シートSを載置する側面から見て後に述べる可変シート載置部41よりも僅かに低い位置に配置されている。これは、小サイズ載置部25が可変シート載置部41よりも高い位置に配置すると、図6(a)に示すように、コシの弱い大サイズのシートSを積載した場合は、シートSの自重により、シートSの全面が後に述べる可変シート載置部41に接した状態で載置されるため問題ないが、図6(b)に示すように、コシの強い大サイズのシートSを積載すると排出された大サイズのシートSの後端が排出口10側によってしまい、排出されたシートSが排出口10を塞いでしまうおそれがあるからである。
【0020】
シート載置部21は、副シート載置部22を軸支する支持軸26が設けられている。副シート載置部22材は、排出されるシートSの長さ(または幅)によって、シートSの載置領域を変えられるように少なくとも二つからなる。
【0021】
シートSの載置領域の変更は、副シート載置部22を装置A側にスライドさせて、シート載置部21に重ねることによって行う。これにより、幅の狭いシートSや、幅広・幅狭が混合したシートSのスタック性を向上することができる。
【0022】
さらに、シート載置部21の中央且つ装置Aの排出口10側には、可動積載部40が設けられている。可動積載部40は、何枚ものシートSが排出口10からスタッカー20に排出される時に、積み重なったシートSの厚みにより排出口10が塞がらないように、スタッカー20からシートSが排出される一定のスペースと、スタッカー20に積み重なるシートSの一定のスペースを確保するものである。
【0023】
この可動積載部40は、ばね等からなる付勢手段(図示せず)、付勢手段に取り付けられた可変シート載置部41とシート排出位置切替部50とからなる。付勢手段は、常に上方側(シートSの載置側)に付勢され、排出口10からシートSが排出されると、シートSの自重により、シートSの中央が膨らんだ状態で、徐々に下方に沈み、先に述べたシートSが排出されるスペースとシートSを載置するスペースとの確保を両立できるようになっている。
【0024】
さらに、シート排出位置切替部50は、図3に示すように、可変レバー51を操作することにより、数枚のシートSを載置するシートSの種類によって、可変シート載置部41の高さの位置を変えるものである。なお、ここでいうシート種類とは、サイズ、長さ、厚さ、材質等をいう。
【0025】
このシート排出位置切替部50を設けることにより、排出されるシートの種類が異なるものであっても、シートSが排出されるスペースとシートSを載置するスペースとの確保を両立できる。
【0026】
例えば、載置するシートSの種類がトレーシングペーパの場合はコシが弱いため可動積載部40を上方にシフトさせる。また、このシートSがフィルムの場合は、シートSをシート載置部21に積層して載置すると、シート積載部21に載置されたシートSと排出口10から排出されたシートSが擦れ合いこれらにシート間で帯電摩擦が生じてしまう。このため、可動積載部40を上方にシフトさせ、積載されたシートと排出されるシートとの間を狭くする。
【0027】
さらに、載置するシートSの種類が、厚みのあるプレインペーパの場合には可動積載部40を下方にシフトさる。
【0028】
支持手段30は、装置Aに取り付けられスタッカー20を支持するものであり、フレーム60と取付部70とからなる。
【0029】
フレーム60は、金属製の薄い板状部材を折り曲げたものであり、一端が装置Aに取り付けられ、他端がスタッカー20の一端を軸支している。取付部70は、スタッカー20の他端を支持し装置Aに設けられている。
【0030】
取付部70は、第一取付部材80と第二取付部材90とからなる。第一取付部材80は、正規の位置(排出口10からシートSが排出する位置)に設けられている。さらに、第二取付部材90は、例えば、シートSのジャム処理等を行う場合、スタッカー20を正規の位置から解除する時に所定の位置にスタッカー20の他端を支持するものであり、第一取付部材80より下方に配置されている。
【0031】
さらに、第二取付部材90からフレーム60の適宜位置には、補強部材61が取り付けられている。なお、この実施の形態おいて、補強部材61の取付位置はフレーム60の略中心に取り付けられている。これにより、排紙トレイの強度を高めることができる。-
【0032】
また、フレーム60の他端は、図7に示すように、第一取付部材80から第二取付部材90にスタッカー20をセットするときあるいは第二取付部材90から第一取付部材80にスタッカー20をセットするときに、シート載置部21のロックおよび解除を行うロック部材62が設けられている。
【0033】
以上の構成により、爪24を第一取付部材80に取り付け、ロック部材62をロックして、スタッカー20を装置Aに取り付ける。この後、装置Aの排出口10から順次、シートSが排出される。スタッカー20にシートSが積載されると、図4に示すように、シートSの自重により可動積載部40が所定の位置から下方に沈み、シートSが排出されるスペースとシートSを載置するスペースとを確保することができる。
【0034】
また、装置Aの排出口10でシートSが詰まった場合には、ロック部材62のロックを解除して、ロック部材62を矢印方向にシフトさせ、第一取付部材80から爪24が外れる。第一取付部から外れた爪24は、第二取付部材90に取り付けられる。これにより、スタッカー20のシートSの載置位置と装置Aの排出口10との位置が離れ、シートSのジャム処理を行うスペースが形成される。
【0035】
以上のように簡単な構成で異なる特性のシートに対応してシートを積載することができる。また、ジャム処理等が発生した場合、スタッカー自体を装置から完全に取り外すことなく、行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の排紙トレイを適用した装置の概略図。
【図2】本発明の排紙トレイの概略を示す斜視図。
【図3】シート排出位置切替部の動作を示す図。
【図4】本発明の排紙トレイの動作を示す図。
【図5】本発明の排紙トレイの上面図。
【図6】小サイズ載置部の配置を説明する図、(a)はコシの弱い大サイズのシートを載置した図(b)はコシの強い大サイズのシートを載置した図。
【図7】ロック部材の動作を示す図。
【符号の説明】
【0037】
10 排出口
20 スタッカー
30 支持手段
40 可動積載部
50 シート排出位置切替部
60 フレーム
70 取付部
80 第一取付部材
90 第二取付部材
A 装置
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の排出口から排出されるシートを載置するスタッカーを有し、
前記スタッカーには、排出口からスタッカーにシートが排出する一定のスペースを確保する可動積載部が設けられていることを特徴とする排紙トレイ。
【請求項2】
前記装置に取り付けられスタッカーを支持する支持手段を有し、
前記支持手段は、一端が装置に取り付けられ、他端がスタッカーの一端を軸支するフレームと、装置に設けられスタッカーの他端を支持する取付部とからなることを特徴とする請求項1記載の排紙トレイ。
【請求項3】
前記可動積載部には、排出される前記シートの種類に応じて、前記排出口から排出される前記シートの高さを一定にするシート排出位置切替部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の排紙トレイ。
【請求項4】
前記取付部は、正規の位置にスタッカーを取り付ける第一取付部材と、スタッカーを正規の位置から解除する時に所定の位置にスタッカーの他端を支持する第二取付部材とを有することを特徴とする請求項2記載の排紙トレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate