説明

排藁切断装置

【課題】切替カバーの開閉機構を簡易な構造とする、排藁切断装置の提供を目的とする。
【解決手段】排藁切断装置20の排藁投入口21bに切替カバー31を設け、切替カバー31を切替カバー開閉機構30によって開閉することにより、排藁を排藁切断装置20内へ送給するか否かを切替可能なコンバインの排藁切断装置20において、切替カバー開閉機構30は、切替カバー31後部に固設される回動可能な支点軸32と、支点軸32の一方に固設される回動アーム33と、回動アーム33に一端を掛止される付勢ばね36と、回動アーム33に一端を掛止される緩衝ばね37と、緩衝ばね37の他端に一端を連結される連係ワイヤー38と、連係ワイヤー38の他端に連結される操作具39と、を具備し、切替カバー31は回動アーム33を介して、付勢ばね36により開く方向へ付勢され、かつ緩衝ばね37により閉じる方向へも付勢されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排藁を排藁投入口から内部へ送給して切断可能とする排藁切断装置に関する。より詳細には、前記排藁投入口を開閉可能とする切替カバーの開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切断刃などを収納し、一側に開口する排藁投入口を備えた切断ケースに、切替カバーを回動可能に支持し、該切替カバーの回動位置を、切替カバー開閉機構を用いて切断位置に切り替えることにより、排藁投入口を開き、該排藁投入口から排藁を切断ケース内に送給して切断し、また、非切断位置に切り替えることにより、排藁投入口を当該切替カバーで覆って閉じ、排藁を切断ケース内に送給せず切断しないようにする、コンバインの排藁切断装置が公知となっている。
【0003】
このような排藁切断装置において、前記切替カバーは前記切断位置よりも更に回動されて、前記排藁投入口を上方に向けて完全に開放できるメンテナンス位置まで回動可能とされていた。これにより、切替カバーの回動位置をメンテナンス位置に切り替えることで、前記切断ケース内で排藁の詰まりが発生したときにその除去を行ったり、前記切断ケース内の点検を定期的に行ったりする等のメンテナンスを行うことが可能とされていた。
【0004】
前記切替カバーを前記メンテナンス位置まで回動させる際、前記切替カバー開閉機構が例えばリンク機構で構成されている場合には、切替カバーが切断位置よりも更に回動されると、切替カバー開閉機構でその構成部材の干渉が発生する。そのため、この構成では切替カバーの回動位置をメンテナンス位置に切り替えるには、リンク機構と前記切替カバーとの連結を解除する必要があり、メンテナンス時の作業数が多くなるという不具合があった。
【0005】
上記のような不具合を解消する手段の一つとして、特許文献1に記載の技術が開示されている。この技術は、切替カバーを回動させる切替カバー開閉機構の一部に長穴等の緩衝機構を設け、当該緩衝機構を動作させることで前記切替カバー開閉機構の可動範囲を拡大するものである。これにより、切替カバーと前記切替カバー開閉機構との連結を解除する作業を行うことなく、前記切替カバーを開き位置からメンテナンス位置まで回動可能とされていた。
【特許文献1】特開平11−168953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1の技術では、前記切替カバー開閉機構に、前記緩衝機構や、切替カバーが開き位置よりも回動されない場合に、緩衝機構が動作しないように制御する機構などが必要となるため、当該切替カバー開閉機構に係る構造が複雑となり、部品点数が多くなるという問題があった。
【0007】
本発明は係る課題を鑑みてなされたものであり、前記切換カバー開閉機構を簡易な構造とした排藁切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、請求項1においては、排藁切断装置の排藁投入口に切替カバーを設け、該切替カバーを切替カバー開閉機構によって開閉することにより、排藁を前記排藁切断装置内へ送給するか否かを切替可能なコンバインの排藁切断装置において、前記切替カバー開閉機構は、前記切替カバー後部に固設される支点軸と、前記支点軸の一側に固設される回動アームと、前記回動アームに一端を掛止される付勢ばねと、前記回動アームに一端を掛止される緩衝ばねと、前記緩衝ばねの他端に一端を連結される連係ワイヤーと、前記連係ワイヤーの他端に連結される操作具と、を具備し、前記支点軸は前記排藁切断処理装置の切断ケースに回動可能に支持され、前記切替カバーは前記回動アームを介して、前記付勢ばねにより開く方向へ付勢されるものである。
【0009】
請求項2においては、前記付勢ばねの一端が掛止される前記回動アームの掛止孔は三角形状に形成され、前記掛止孔の角部のうち、前記支点軸に最も近接した位置にある角部は、前記角部と、前記支点軸と、前記付勢ばねの他端を掛止する掛止部と、が一直線状となる位置関係において、前記掛止部から前記角部までの距離が、前記掛止部の掛止位置から自由長の前記付勢ばねの一端までの距離よりも大きくなる位置に配置されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1の如く構成したので、切替カバー開閉機構を簡易な構造とすることが可能となり、部品点数の低減化を図ることができる。
【0012】
請求項2の如く構成したので、付勢ばねに対する回動アームの掛止部の干渉を防ぎつつ、切替カバーを円滑に回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明に係るコンバインの実施の一形態であるコンバイン1について、図面を参照して説明する。
【0014】
まず、図1を用いてコンバイン1の概略構成について説明する。
コンバイン1は稲や麦等の収穫作業、より詳細には、圃場を走行しつつ圃場から穀稈を刈り取り、穀粒を脱穀する。本実施形態のコンバイン1は、刈り取られた穀稈のうち、穀粒の付いた穂先部のみを脱穀する自脱型のコンバインである。
【0015】
図1に示すように、コンバイン1は、主として刈取装置2、脱穀装置3、選別装置4、排藁処理装置5を具備する。
【0016】
図1に示すように、刈取装置2は、コンバイン1の前部に配置される。刈取装置2は、引起装置や下部搬送装置や穂先搬送装置や刈刃等を具備し、圃場から穀稈を刈り取り、当該穀稈を脱穀装置3へと渡す。
【0017】
図1に示すように、脱穀装置3は、刈取装置2の後方に配置される。脱穀装置3は、主としてフィードチェーン3a、扱胴3b等を具備する。脱穀装置3は、フィードチェーン3aにより、刈取装置2から受け取った穀稈を横に倒した状態で前方から後方へと搬送しながら、扱胴3bの回転により、穀稈から穀粒を脱穀する。
【0018】
図1に示すように、選別装置4は、脱穀装置3の下方に配置される。選別装置4は、脱穀装置3によって脱穀された穀粒に混じった藁屑や塵挨等を、風選別や揺動選別により選別する。
【0019】
図1に示すように、排藁処理装置5は、脱穀装置3の後方に配置される。排藁処理装置5は、フィードチェーン3aから受け取った脱穀後の稈(以下、単に「排藁」と記す)を排藁チェーン5aにより後方へ搬送し、排藁の切断する等の所定の処理を施す。
【0020】
図1に示すように、グレンタンク7の前方には、オペレータがコンバイン1を運転するための運転部9が配置される。
【0021】
以上のように構成するコンバイン1において、選別装置4により藁屑等と分離された精粒は、揚穀筒6を経て脱穀装置3の右方に設けられたグレンタンク7内に搬入され、貯溜される。グレンタンク7には排出オーガ8が連通接続される。排出オーガ8が作動することにより、グレンタンク7に貯溜された精粒が、排出オーガ8を経てグレンタンク7の外部に搬出される。
【0022】
次に、図2を用いて、本発明に係る排藁切断装置の実施の一形態である排藁切断装置20について詳細に説明する。
【0023】
排藁切断装置20は、排藁処理装置5の一つとして設けられ、排藁チェーン5aにより搬送されてきた排藁を所定の長さに切断するものである。図2に示すように、排藁切断装置20は、切断ケース21、第一回転軸22、第一回転刃22a、第二回転軸23、第二回転刃23a、切替カバー開閉機構30、切替カバー31等を具備する。
【0024】
切断ケース21は排藁チェーン5aの下方に配置される。切断ケース21は箱状に構成されており、その内部に第一回転刃22aや第二回転刃23aを収納し 、上側側板21aに上方に開口する排藁投入口21bを備える。切断ケース21内では、第一回転軸22と第二回転軸23とが左右両側側板21c・21cの間に左右水平方向に横架され、第二回転軸23が第一回転軸22の前上方に位置するように配置される。
【0025】
第一回転軸22には、円盤形状の複数の第一回転刃22a・22a・・・が所定の間隔をあけて固設される。第二回転軸23には、円盤形状の複数の第二回転刃23a・23a・・・が所定の間隔をあけて固設される。第二回転軸23上の第二回転刃23a・23a・・・は、第一回転軸22上の第一回転刃22a・22a・・・と側面視で一部重複するように配置される。
【0026】
第一回転軸22および第二回転軸23には、コンバイン1のエンジンから動力が伝動機構を介して伝達可能とされる。こうして第一回転軸22および第二回転軸23に動力が伝達されることによって、各々の回転軸22・23上の第一回転刃22a・22a・・・と第二回転刃23a・23a・・・とが回転可能とされる。なお、第二回転軸23の回転速度は第一回転軸22の回転速度よりも低速となるように設定される。
【0027】
このように構成することによって、排藁切断装置20においては、切断ケース21の排藁投入口21bが切替カバー31により覆われて閉じられている場合、排藁チェーン5aで搬送されてきた排藁が、排藁投入口21bから切断ケース21内に送給されずに、排藁の切断処理が行われない。
【0028】
一方、切断ケース21の排藁投入口21bが切替カバー31で覆われずに開かれている場合、排藁が排藁投入口21bから切断ケース21内に送給され、第一回転軸22上の第一回転刃22aと、第二回転軸23上の第二回転刃23aとによって所定の切断長に切断される。そして、切断後の排藁が切断ケース21の下部から圃場へ向かって排出される。
【0029】
図2から図5を用いて、本発明に係る切替カバー開閉機構の実施の一形態である切替カバー開閉機構30について説明する。
【0030】
図2に示すように、切替カバー開閉機構30は、切替カバー31の回動位置を非切断位置P1と、切断位置P2と、メンテナンス位置P3とのいずれかに変更して、排藁投入口21bの開閉状態を切替可能とするものであり、主として切断ケース21の左右一側側方、本実施の一形態においては右側側方に配設される。この切替カバー開閉機構30は切替カバー31、支点軸32、回動アーム33、付勢ばね36、緩衝ばね37、連係ワイヤー38、操作具39等を具備する。
【0031】
ここで、切替カバー31の回動位置のうち、非切断位置P1とは、図2に示すように、切替カバー31で排藁投入口21bを覆って、排藁を排藁投入口21bから切断ケース21内に送給不能とする回動位置である。切断位置P2とは、図4に示すように、切替カバー31で排藁投入口21bを覆わず、排藁を排藁投入口21bから切断ケース21内に送給可能とする回動位置である。
【0032】
また、メンテナンス位置P3とは、図5に示すように、切替カバー31の回動位置を切断位置P2とした場合に比べて、排藁投入口21bを更に大きく開いて上方に向けて完全に開放し、前記切断ケース21内で排藁の詰まりが発生した際にその除去を行ったり、前記切断ケース21内の点検を定期的に行ったりするなどのメンテナンスを行うことを可能とする回動位置である。
【0033】
支点軸32は排藁投入口21bの後端縁部付近であって、左右両側側板21c・21cの間に左右水平方向に横架され、左右両側部で側板21c・21cに回動可能に支持される。そしてこの支点軸32は右側側板21cから外側に突出され、その突出端部に回動アーム33が固設される。
【0034】
支点軸32の中央部には切替カバー31の後端部が固定されて、該切替カバー31が切断ケース21に支点軸32により回動可能に支持される。切替カバー31は支点軸32を中心として回動されて、排藁投入口21bの開閉状態を切り替えるべく、非切断位置P1、切断位置P2、メンテナンス位置P3のいずれかの回動位置で保持される。
【0035】
回動アーム33は第一頂点部33aと、第二頂点部33bと、第三頂点部33cとを有する側面視略三角形状の板状部材から構成される。この回動アーム33は第一頂点部33aで前記支点軸32の突出端部に固定されて、切断ケース21に支点軸32により回動可能に支持される。こうして、切替カバー31と回動アーム33とが連動して、支点軸32を中心として一体的に回動可能とされる。
【0036】
回動アーム33は、切断ケース21の右側板21cと平行に前後方向に延伸され、図2に示すように、切替カバー31が非切断位置P1とされた状態では、前述のように支点軸32に固定される第一頂点部33aが後部に位置し、第二頂点部33bが前下部に位置し、第三頂点部33cが前上部に位置するように配置される。第二頂点部33bには、第一掛止部が備えられ、第三頂点部33cには、第二掛止部が備えられる。
【0037】
第一掛止部は、第二頂点部33bにピン状部材からなる掛止部材35を回動アーム33の右側方へ突設して構成される。一方、第二掛止部は、第三頂点部33cに掛止孔34を左右方向へ貫通するように設けて構成される。なお、第一掛止部は、第二頂点部33bに孔を左右方向へ貫通するように設けるなどして構成することもできる。
【0038】
付勢ばね36は、回動アーム33と、該回動アーム33よりも上方に配置された掛止部5bとの間に介装される。付勢ばね36の一端部は回動アーム33の掛止孔34に掛止され、付勢ばね36の他端部は支点軸32の真上付近でコンバイン1に固設されたピン状部材などからなる掛止部5bに掛止される。この付勢ばね36により、回動アーム33が支点軸32を中心として矢印A方向へ回動するように付勢され、ひいては切替カバー31が排藁投入口21bを開く方向へ回動するように付勢される。
【0039】
緩衝ばね37は、回動アーム33と、該回動アーム33よりも下方、つまり付勢ばね36と回動アーム33に対して上下反対方向に配置された連係部材となる連係ワイヤー38の一部との間に介装される。緩衝ばね37の一端部は回動アーム33のピン状の掛止部材35に掛止され、緩衝ばね37の他端部は支点軸32の真下付近で切断ケース21の右側側板21cなどに支持された連係ワイヤー38の上方へ延伸した一端部に掛止される。この緩衝ばね37により、回動アーム33が支点軸32を中心として矢印B方向へ回動するように付勢され、ひいては切替カバー31が排藁投入口21bを閉じる方向へ回動するように付勢される。
【0040】
操作具39は、コンバイン1の運転部9などの任意位置に配設されて、回動アーム33と緩衝ばね37や連係ワイヤー38を介して連動連結される。操作具39は例えば回動操作可能なレバーとして構成され、その一端部に連係ワイヤー38の他端部が連結される。この操作具39の回動操作により、連係ワイヤー38の押し引きが可能とされ、これに応じて当該連係ワイヤー38に緩衝ばね37を介して連結された回動アーム33が回動される。
【0041】
図3にも示すように、回動アーム33において、掛止孔34は第一角部34aと、第二角部34bと、第三角部34cとを有する多角形状の孔、ここでは略三角形状の孔とされる。この掛止孔34は、図2に示すように、切替カバー31が非切断位置P1とされた状態では、第一角部34aが後部に位置し、第二角部34bが前下部に位置し、第三角部34cが前上部に位置するように配置される。つまり、第一角部34aが支点軸32に最も近接するように位置し、第二角部34bがピン状の掛止部材35側とに位置し、第三角部34cが第三頂点部33cの先端側に位置するように配置される。
【0042】
切替カバー31が非切断位置P1または切断位置P2に回動された場合には、回動アーム33が掛止孔34を支点軸32よりも前方に位置させた回動状態となり、該掛止孔34の第三角部34cに付勢ばね36の一端部が掛止される。切替カバー31がメンテナンス位置P3に回動された場合には、回動アーム33が掛止孔34を支点軸32よりも後方に位置させた回動状態となり、該掛止孔34の第二角部34bに付勢ばね36の一端部が掛止される。
【0043】
また、切替カバー31が切断位置P2からメンテナンス位置P3に、もしくはメンテナンス位置P3から切断位置P2に回動される過程で、回動アーム33が掛止孔34を支点軸32の真上に位置させ、掛止部5bと最も近接させた回動状態となると、支点軸32と、掛止孔34の第一角部34aと、掛止部5bとが一直線状に配置される。
【0044】
ここで、掛止孔34の第一角部34aは、図3に示すように、回動アーム33の回動支点軸32と、掛止孔34の第一角部34aと、掛止部5bとが一直線状となる位置関係において、掛止部5bとの間の長さL1が、付勢ばね36の自由長よりも大きくなるように、掛止孔34の一つの角部として回動アーム33に配置される。
【0045】
そのため、回動アーム33の回動時に、掛止孔34の第一角部34aと、掛止部5bとが最も近接した場合であっても、付勢ばね36の他端部が掛止部5bに掛止された状態で、その一端部が掛止孔34内で当該掛止孔34の縁部と圧接することなく、第一角部34a側に位置して、付勢ばね36が収縮して自由長に維持される。
【0046】
こうして、付勢ばね36が、自由長のまま、掛止孔34内で第一角部34aを移動経路として用いて、一端部を第三角部34cから第二角部34bまで、または第二角部34bから第三角部34cまで移動させ、これらの一方に掛止させることができる構成とされる。よって、回動アーム33の回動に際して、付勢ばね36が自由長まで収縮した状態で、回動アーム33との接触によって、たわんだり折り曲げられたりして、掛止部5bから外れることが防止される。
【0047】
このような構成において、切替カバー31が非切断位置P1で保持され、排藁投入口21bが閉じられている状態で、操作具39が一側に回動操作されると、回動アーム33が付勢ばね36の付勢力により上方へ回動され、この回動にともなって切替カバー31が排藁投入口21bを開く方向に回動される。そして、操作具39が所定の操作位置まで回動操作されることで、切替カバー31が切断位置P2で保持され、排藁投入口21bが開かれる。
【0048】
一方、切替カバー31が切断位置P2で保持され、排藁投入口21bが開かれている状態で、操作具39が他側から一側に回動操作されると、回動アーム33が付勢ばね36の付勢力に抗して下方へ回動され、この回動にともなって切替カバー31が排藁投入口21bを閉じる方向に回動される。そして、操作具39が所定の操作位置まで回動されることで、切替カバー31が非切断位置P1で保持され、排藁投入口21bが閉じられる。
【0049】
なお、緩衝ばね37のバネ力が付勢ばね36のバネ力よりも大きく設定されて、切替カバー31が非切断位置P1や切断位置P2やメンテナンス位置P3に保持される状態で、緩衝ばね37により回動アーム33を下方へ回動するように付勢することで、切替カバー31のガタつきが防止される。また、排藁投入口21bにおいて詰まりが生じた場合でも、緩衝ばね37により連係ワイヤー38等に過負荷がかからないようになっている。
【0050】
図5に示すように、切替カバー31が切断位置P2で保持され、排藁投入口21bが開かれている状態で、切替カバー31が操作具39によらず、人手により直接把持されて更に排藁投入口21bを開く方向へ回動されると、この回動にともなって回動アーム33がA2方向へ回動される。そして、付勢ばね36の付勢力と、切替カバー31の自重と、緩衝ばね37の付勢力とが釣合うことで、切替カバー31がメンテナンス位置P3で保持され、排藁投入口21bが上方に向けて完全に開放される。
【0051】
逆に、切替カバー31がメンテナンス位置P3で、排藁投入口21bが上方に向けて完全に開放されている状態で、人手により直接把持されて排藁投入口21bを閉じる方向へ回動されると、この回動にともなって回動アーム33が矢印B2方向へ回動される。そして、付勢ばね36の付勢力と、切替カバー31の自重と、緩衝ばね37の付勢力とが釣合うことで、切替カバー31が切断位置P2で保持され、排藁投入口21bが先に比べて小さく開かれる。
【0052】
そしてこのように切替カバー31が切断位置P2とメンテナンス位置P3との間で回動される場合、これにともなって回動される回動アーム33では、第一掛止部となる掛止部材35と、第二掛止部となる掛止孔34とが、掛止部5bに一旦近接し、その後再び掛止部5bから離間される。この際、掛止部材35は連係ワイヤー38を引くように移動されるが、その間に介装される緩衝ばね37が延伸することから、緩衝ばね37の他端部と連係ワイヤー38の一端部との連結位置は略変わらない。つまり、回動アーム33の回動が連係ワイヤー38に拘束されることがない。
【0053】
また、掛止孔34が掛止部5bに最も近接しても、前述のように、付勢ばね36の掛止位置となる掛止部5bと第一角部34aとの間の長さL1が、この付勢ばね36の掛止位置(他端部)と自由長である付勢ばね36の掛止孔34内に位置する一端部と間の長さL2よりも大きいため、付勢ばね36が一端部で回動アーム33と干渉して、たわんだり折り曲げられたりすることで、その他端部が掛止部5bから外れることもない。
【0054】
そのため、切替カバー開閉機構30において、回動アーム33と連係ワイヤー38との連結を解除したり、回動アーム33または掛止部5bから付勢ばね36を取り外したりすることなく、切替カバー31をメンテナンス位置P3まで円滑に回動することが可能となる。したがって、切替カバー開閉機構30を簡易な構造で構成しながら、切替カバー31の開閉にともなう当該切替カバー開閉機構30での作業を省いて、メンテナンス時における作業数を低減することができる。また、切替カバー開閉機構30を、部品点数を抑えて構成することが可能となり、低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る排藁切断装置を備えるコンバインの側面図。
【図2】切替カバー開閉機構の構成を示す側面図。
【図3】付勢ばねが自由長となる状態を示す側面図。
【図4】切替カバーが開き位置となる場合での開閉機構の構成を示す図。
【図5】切替カバーがメンテナンス位置となる場合での開閉機構の構成を示す図。
【符号の説明】
【0056】
1 コンバイン
5 排藁処理装置
5b 掛止部
20 排藁切断装置
21a 切断ケースの側板
21b 排藁投入口
30 切替カバー開閉機構
31 切替カバー
32 支点軸
33 回動アーム
30 切替カバー開閉機構
34 掛止孔
34a、34b、34c 角部
35 掛止部材
36 付勢ばね
37 緩衝ばね
38 連係ワイヤー
39 操作具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排藁投入口に切替カバーを設け、該切替カバーを切替カバー開閉機構によって開閉することにより、排藁を送給するか否かを切替可能な排藁切断装置において、
前記切替カバー開閉機構は、
前記切替カバーに固設される支点軸と、
前記支点軸の一側に固設される回動アームと、
前記回動アームに一端を掛止される付勢ばねと、
前記回動アームに一端を掛止される緩衝ばねと、
前記緩衝ばねの他端に一端を連結される連係ワイヤーと、
前記連係ワイヤーの他端に連結される操作具と、
を具備し、
前記支点軸は前記排藁切断装置の切断ケースに回動可能に支持され、
前記切替カバーは前記回動アームを介して、前記付勢ばねにより開く方向へ付勢されていることを特徴とする排藁切断装置。
【請求項2】
前記付勢ばねの一端が掛止される前記回動アームの掛止孔は三角形状に形成され、
前記掛止孔の角部のうち、前記支点軸に最も近接した位置にある角部は、
前記角部と、前記支点軸と、前記付勢ばねの他端を掛止する掛止部と、が一直線状となる位置関係において、
前記掛止部から前記角部までの距離が前記掛止部の掛止位置から自由長の前記付勢ばねの一端までの距離よりも大きくなる位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の排藁切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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