説明

掘り込み式取っ手、外装部材、筐体及び画像形成装置

【課題】装置の外装に設けた運搬用の掘り込み式取っ手の引っ張り方向(横方向)の強度を改善し、かつ、該掘り込み式取っ手を設けた外装部材の筐体への組付け性を改善する。
【解決手段】本発明の掘り込み式取っ手では、外装部材11aの取っ手部15の裏面側上部15aに対向する位置に、筐体のフレームに固定される補強材14を設けるとともに、取っ手部15の裏面側上部15aに前記補強材14に掛合されるリブ13を設ける。これにより、リブ13が補強材14に掛合して横方向の荷重を補強材で受けることができる。また、外装部材11aの取っ手部15の裏面側上部15aに前記リブ13を設けるとともに、取っ手部15の上方の裏面側に、筐体のフレーム側に設けた掛止孔に掛合される位置決め用の引っ掛け突起12を設けることにより、外装部材11aの位置決めと仮止めを容易に行うことができ、組付け性を改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の筐体の外装の一部に設けられる運搬用の掘り込み式取っ手、及び、その掘り込み式取っ手を有する外装部材、及び、前記掘り込み式取っ手または外装部材を有する筐体、及び、その筐体を備えた複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機、あるいは印刷機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機、印刷機等の画像形成装置においては、運搬用に様々な取っ手(把手)が設けられているが、その一つとして、装置筐体の外装の一部に窪み(凹部)や段部等を形成して、手掛け用の取っ手を設けたものが提案されている(例えば特許文献1,2,3等)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−235968号公報
【特許文献2】特開平11−127293号公報
【特許文献3】特開平11−160940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置において、筐体の外装の一部に設けられる窪み状(凹状)の取っ手は掘り込み式取っ手などと呼ばれ、その取っ手部は外装を構成する外装部材を製造する際に、プラスチックを用いた樹脂一体成型によって外装部材に形成される。この掘り込み式取っ手は運搬時に手を掛けて装置を持ち上げることを目的としているため、取っ手の裏面側上部には、筐体の骨格を構成する構造体のフレーム、あるいは該フレームに固定した補強材が当接して、フレーム側で荷重を受けるようにし、持ち上げ方向(上方向)の補強を行うことがなされている。
【0005】
しかしながら、外装の一部に設けられた掘り込み式取っ手は、ユーザが装置を引きずる方向(横方向)に荷重をかけることは想定しておらず、この横方向の補強がなされたものが少ない。このため、特に外装面に設けられた掘り込み式取っ手の場合には、横方向に荷重を受けた場合に、外装面がたわみ、破損するという虞があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、横方向の荷重に対しても補強がなされた掘り込み式取っ手を提供することを目的とする。また、本発明は、その掘り込み式取っ手が設けられるとともに、筐体への組み付け性を改善した外装部材を提供することを目的とする。さらに本発明は、横方向の荷重に対しても補強がなされた掘り込み式取っ手や、その取っ手を有する外装部材を備え、取っ手や外装が破損しにくい構造の筐体を提供することを目的とする。さらにまた本発明は、その筐体を備え、運搬や移動がしやすく、運搬や移動時の安全性の高い画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明では以下のような技術的手段を採っている。
本発明の第1の手段は、装置の筐体の外装の一部に設けられ、該外装の一部の外装面を装置内側に窪ませた形状の取っ手部を有する掘り込み式取っ手において、前記外装の取っ手部の裏面側上部に対向する位置に配設され前記筐体のフレームに固定される補強材を設けるとともに、前記取っ手部の裏面側上部に前記補強材に掛合されるリブを設けたことを特徴とする(請求項1)。
本発明の第2の手段は、第1の手段の掘り込み式取っ手において、前記補強材は、前記外装の取っ手部の上部にかかる上方向の荷重を受けるとともに、前記取っ手部のリブとの掛合により前記取っ手部にかかる横方向の荷重を受けることを特徴とする(請求項2)。
本発明の第3の手段は、第1の手段の掘り込み式取っ手において、前記取っ手部の裏面側上部と前記補強材との間に若干の隙間を設けておき、前記装置を移動させるときには、前記取っ手部がたわんで該取っ手部の裏面側上部が前記補強材に当接するとともに前記リブが補強材に掛合し、該補強材で前記取っ手部にかかる上方向及び横方向の荷重を受けることを特徴とする(請求項3)。
本発明の第4の手段は、第3の手段の掘り込み式取っ手において、前記取っ手部の裏面側上部と前記補強材との間に設けた隙間は、0.5mm〜1.5mm程度であることを特徴とする(請求項4)。
【0008】
本発明の第5の手段は、装置の筐体の外装の一部を構成し、第1乃至第4のいずれか一つの手段の掘り込み式取っ手の取っ手部が設けられた外装部材において、前記取っ手部の裏面側上部に、前記筐体のフレーム側に固定した補強材と掛合されるリブを有するとともに、前記取っ手部の上方の裏面側に、前記筐体のフレーム側に設けた掛止孔に掛合される位置決め用の引っ掛け突起を有することを特徴とする(請求項5)。
本発明の第6の手段は、第5の手段の外装部材において、前記筐体に取り付ける際には、前記筐体のフレーム側に固定した補強材に前記取っ手部の裏面側上部のリブを掛合した後、外装面のたわみを利用して前記位置決め用の引っ掛け突起を前記筐体のフレーム側に設けた掛止孔に掛合することを特徴とする(請求項6)。
【0009】
本発明の第7の手段は、ベースとフレームなどの骨格部材で構成される構造体と、該構造体の外周を覆う外装とからなる筐体において、前記外装の少なくとも二箇所に第1乃至第4のいずれか一つの手段の掘り込み式取っ手を有することを特徴とする(請求項7)。
本発明の第8の手段は、ベースとフレームなどの骨格部材で構成される構造体と、該構造体の外周を覆う外装とからなる筐体において、前記外装の少なくとも二箇所に第5または第6の手段の外装部材を用いたことを特徴とする(請求項6)。
本発明の第9の手段は、筐体の内部に画像形成部を収納した画像形成装置において、前記筐体として第7または第8の手段の筐体を備えたことを特徴とする(請求項9)。
【発明の効果】
【0010】
本発明の掘り込み式取っ手においては、前記外装の取っ手部の裏面側上部に対向する位置に配設され前記筐体のフレームに固定される補強材を設けるとともに、前記取っ手部の裏面側上部に前記補強材に掛合されるリブを設けたことにより、前記リブが前記補強材に掛合して横方向の荷重を補強材で受けることができる。より具体的には、前記補強材は、前記外装の取っ手部の上部にかかる上方向の荷重を受けるとともに、前記取っ手部のリブとの掛合により前記取っ手部にかかる横方向の荷重を受けることにより、上方向と横方向にかかる荷重をフレーム側の補強材で受けることができ、外装面の破損等の問題を解消することができる。
【0011】
また、本発明の掘り込み式取っ手においては、前記取っ手部の裏面側上部と前記補強材との間に若干の隙間(0.5mm〜1.5mm程度)を設けておき、装置を移動させるときには、前記取っ手部がたわんで該取っ手部の裏面側上部が前記補強材に当接するとともに前記リブが補強材に掛合し、該補強材で前記取っ手部にかかる上方向及び横方向の荷重を受けることにより、取っ手部の裏面側上部と補強材との間に若干の隙間を設けても、上方向と横方向にかかる荷重をフレーム側の補強材で受けることができ、外装面の破損等の問題を解消することができる。なお、このように取っ手部の裏面側上部と補強材との間に若干の隙間を設けておくことにより、取っ手部を設けた外装を筐体に組み付ける際に位置決めの自由度が増し、位置決めしやすくなり、組み付け性が向上する。
【0012】
本発明の外装部材においては、前記取っ手部の裏面側上部に、前記筐体のフレーム側に固定した補強材と掛合されるリブを有するとともに、前記取っ手部の上方の裏面側に、前記筐体のフレーム側に設けた掛止孔に掛合される位置決め用の引っ掛け突起を有することにより、前記引っ掛け突起を前記筐体のフレーム側に設けた掛止孔に掛合することにより、外装部材の位置決めと仮止めを行うことができ、組み付け性が向上する。
より具体的には、外装部材を筐体に取り付ける際には、前記筐体のフレーム側に固定した補強材に前記取っ手部の裏面側上部のリブを掛合した後、外装面のたわみを利用して前記位置決め用の引っ掛け突起を前記筐体のフレーム側に設けた掛止孔に掛合することにより、外装部材の位置決めと仮止めを行うことができ、組み付け性が向上する。
すなわち、掘り込み式取っ手の取っ手部の裏面側上部に補強材と掛合するリブを設けた場合には、該リブをフレーム側の補強材に掛合する際に、位置決め用の引っ掛け突起をフレーム側の掛止孔に引っ掛ける前に外装部材の取っ手部を補強材の下側に入れるように組み付ける必要があるが、このときに外装のたわみを利用することにより、外装の取っ手部をフレームの補強材の下側に容易に組み付けることができるようになり、取っ手部の組み付けの後、外装部材のたわみを戻すようにして引っ掛け突起を筐体のフレーム側に設けた掛止孔に掛合することにより、外装部材の位置決めと仮止めを容易に行うことができる。
【0013】
なお、本発明の外装部材では、位置決め用の引っ掛け突起をフレーム側の掛止孔に入れる際に、外装部材をたわませた状態で入れるため、掘り込み式取っ手の持ち上げ方向(上方向)に補強材を当接するように設計すると、持ち上げ方向(上方向)の位置決め位置が取っ手部と引っ掛け突起の二箇所となり、位置決めの自由度が無くなり、外装部材の位置決めがしづらいという問題があるが、前述したように、外装部材の取っ手部の裏面側上部と補強材との間に若干の隙間(0.5mm〜1.5mm程度)を設けておくことにより、取っ手部を設けた外装部材を筐体に組み付ける際に位置決めの自由度が増し、持ち上げ方向(上方向)の位置決め位置が前記引っ掛け突起側のみになるので、外装部材の位置決めがしやすくなる。
また、このように外装部材の取っ手部の裏面側上部と補強材との間に若干の隙間を設けても、取っ手部に荷重がかかった際に取っ手部がたわんで該取っ手部の裏面側上部が前記補強材に当接するとともに前記リブが補強材に掛合し、該補強材で前記取っ手部にかかる上方向及び横方向の荷重を受けるので、取っ手部の安全性を損なうことがなく、外装面の破損等の問題も解消することができる。
【0014】
本発明の筐体においては、外装の少なくとも二箇所に第1乃至第4のいずれか一つの手段の掘り込み式取っ手を有することにより、外装の少なくとも二箇所の取っ手部は持ち上げ方向(上方向)と引張り方向(横方向)の両方の荷重に対して補強がなされているので、取っ手部や外装の破損を防止した構造の筐体を実現することができる。
また、本発明の筐体においては、外装の少なくとも二箇所に第5または第6の手段の外装部材を用いたことにより、掘り込み式の取っ手部を設けた外装部材の位置決めや組み付け性を向上することができる。また、少なくとも二箇所の外装部材の取っ手部は持ち上げ方向(上方向)と引張り方向(横方向)の両方の荷重に対して補強がなされているので、取っ手部や外装部材の破損を防止した構造の筐体を実現することができる。
さらに本発明の画像形成装置においては、筐体として第7または第8の手段の筐体を備えたことにより、運搬や移動がしやすく、運搬や移動時の安全性の高い画像形成装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の構成、動作及び作用を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は本発明の一実施例を示す画像形成装置の斜視図である。この画像形成装置1は複写機とプリンタの機能を有しているが、電話回線等と接続することによりファクシミリ機能を持たせることもできる複合機である。この画像形成装置1では、本体の略中央部に画像形成部(プリンタ部)4が配置され、その画像形成部4の直下に2段の給紙部5が配置されている。また、画像形成部4の上部には胴内排紙型と呼ばれる排紙部7が設けられており、その上方に原稿読取部(スキャナ部)2が配置されている。また、この原稿読取部2の正面側には、画像形成装置の複数の機能を操作するための入力手段(スタートキー、テンキー、機能設定キー、リセットキー、クリア/ストップキー等の各種キー)と、各種入力情報や装置の状態を表示する表示手段(液晶表示パネル、あるいは入力手段を兼ねた液晶タッチパネル等)を有する操作部3が設けられている。
【0017】
図示を省略しているが、原稿読取部2の上には、原稿台(コンタクトガラス)に載置された原稿を押さえる圧板、あるいは原稿台(コンタクトガラス)に原稿を自動給紙する自動原稿給紙装置(ADF)などが設けられる。また、図示を省略するが、原稿読取部2内には、原稿台(コンタクトガラス)に載置された原稿を照明する光源、原稿からの反射光を受光して原稿画像を読み取るための撮像素子(例えばCCD(電荷結合素子)等からなるイメージセンサ)、この撮像素子に原稿からの反射光を導き結像するミラーや結像レンズ等の光学系、この光学系の一部(光源、ミラー等)を原稿面に沿って移動する移動機構などが設けられている。そして、原稿読取部2では、原稿台(コンタクトガラス)上の原稿の原稿面を走査して原稿画像を撮像素子で読み取り、読み取った画像信号を図示しない画像処理部で画像データに変換して画像メモリに一時的に蓄積した後、画像形成部4に送信する。なお、ファクシミリ機能を有する場合には、原稿読取部2で読み取った画像データを電話回線等を利用して送信することができる。また、原稿読取部2はスキャナとして単独で利用することも可能であり、読み取った画像を外部のパーソナルコンピュータ等に送信することが可能である。
【0018】
図示を省略するが、画像形成部4内には、例えば電子写真プロセスにより画像を形成するための構成部材が収納されており、像担持体としての感光体、感光体を帯電する帯電装置、帯電された感光体に原稿読取部2(あるいは外部のパーソナルコンピュータ等)から送信されてきた画像データに応じてレーザ光またはLED光等を照射して静電潜像を形成する光書込装置、感光体に形成された静電潜像を着色粉体(トナー)で現像して可視像化する現像装置、感光体上の可視像を給紙部5から給紙・搬送されてきた記録材(各種サイズの記録用紙、葉書、トレッシングペーパ、OHP用シート等)に直接または中間転写体を介して転写する転写装置、転写後の記録材上の可視像(トナー像)を加熱・加圧して溶融定着する定着装置、転写後の感光体に残留したトナー等を除去するクリーニング装置等を備えている。
【0019】
また、図示を省略するが、この画像形成装置1には、給紙部5に収納された記録材(記録用紙等)を画像形成部4に給紙・搬送する給紙・搬送機構や、画像形成部4で画像形成された記録材を排紙部7に搬送し、排紙する搬送機構等が設けられている。
【0020】
なお、図1に示す画像形成装置では、画像形成部4は、一つの感光体と、中間転写体と、現像色(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の異なる複数の現像装置とを備える構成とし、感光体に順次形成される各色の画像を中間転写体に重ね合わせて転写し、中間転写体に形成した画像を記録材に一括して転写する構成とすれば、所謂1ドラム中間転写方式のカラー画像形成装置とすることができる。また、画像形成部4は、感光体、帯電装置、光書込装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置等を有する作像ユニットを中間転写体に沿って複数備える構成とし、各作像ユニットでイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成して中間転写体に重ねて転写し、中間転写体上の画像を記録材に一括して転写する構成とすれば、所謂タンデム型のカラー画像形成装置とすることができる。
【0021】
さて、図1に示す画像形成装置1では、画像形成部4と給紙部5が設置される筐体は、例えば図4に示すような骨格構造からなる構造体6と、その構造体の外周を覆う図1に示すような外観の外装11から構成されている。この筐体の構造体6は、金属製のベースやフレーム、パネル、ブラケット、締結部材(ネジ、ボルト、ナット、等)等で構成されている。また、外装11は、複数の外装部材(外装カバー、開閉扉等)で構成され、外装カバー等の外装部材は、プラスチックを用いた樹脂一体成型によって形成されている。
なお、図1、図4において、図中の矢印A方向が装置前方(正面側)、矢印B方向が装置後方(背面側)、矢印C方向が装置左側方(左側面側)、矢印D方向が装置右側方(右側面側)である。
【0022】
図1に示す画像形成装置1では、装置の筐体の外装11の一部に、外装面を装置内側に窪ませた形状の取っ手部15を有する運搬用の掘り込み式取っ手が設けられている。図1では、掘り込み式取っ手(取っ手部)15は、外装11の右側面の後方下部に設けられているが、この他、図示しない左側面の前方下部や後方下部、あるいは装置背面等、少なくとも外装11の二箇所以上に設けられている。
また、この掘り込み式取っ手の取っ手部15は、外装11の一部を構成する外装部材11a(図1の例では、右側面後方の外装カバー)を製造する際に、プラスチックを用いた樹脂一体成型によって外装部材11aに形成される。
【0023】
この掘り込み式取っ手は、通常、運搬時に手を掛けて装置を持ち上げることを目的として設けられているので、取っ手部15の裏面側上部には、筐体の骨格を構成する構造体6のフレームに固定した補強材14が当接して、フレーム側で荷重を受けるようにし、持ち上げ方向(上方向)の補強を行うことがなされている。
ここで、図5は図1に示す画像形成装置1の筐体の掘り込み式取っ手が設けられた部分の断面を装置背面側から見た要部断面図であり、本発明に係る掘り込み式取っ手では、図4及び図5に示すように、外装部材11aの取っ手部15の裏面側上部に対向する位置に断面コの字形の補強材14を配設し、この補強材14を筐体の構造体6のフレームに締結部材等で固定している。なお、図6は構造体6の補強材14が固定された部分を斜め後方から見た要部斜視図、図7は構造体6の補強材14が固定された部分を右側方から見た要部斜視図である。図5〜7に示す例では、補強材14の両端側が、構造体6のフレームに締結部材(例えばボルトとナット)で固定されているので、補強材14が取っ手部15から受ける上方向の荷重を構造体6のフレームで受けることができる。
【0024】
ところで、画像形成装置1の外装11の一部に設けられた掘り込み式取っ手は、前述したように運搬時に手を掛けて装置を持ち上げることを目的として設けられているが、装置を移動する際に、ユーザが装置を引きずるようにして移動する場合がある。このような場合に、取っ手部15に引きずり方向(横方向)の補強がなされていないと、横方向に荷重を受けた場合に、外装面がたわみ、破損するという虞があった。
【0025】
そこで本発明では、図5に示すように、外装部材11aの取っ手部15の裏面側上部15aに対向する位置に配設され筐体の構造体6のフレームに固定される補強材14を設けるとともに、取っ手部15の裏面側上部15aに補強材14に掛合されるリブ13を設けている。このように取っ手部15の裏面側上部15aに補強材14に掛合されるリブ13を設けることにより、リブ13が補強材14に掛合して横方向の荷重を補強材14で受けることができる。より具体的には、補強材14は、外装11の取っ手部15の上部にかかる上方向の荷重を受けるとともに、取っ手部15のリブ13との掛合により取っ手部15にかかる横方向の荷重を受けることにより、上方向と横方向にかかる荷重を構造体6のフレーム側の補強材14で受けることができ、外装面の破損等の問題を解消することができる。
【0026】
ここで、本発明の掘り込み式取っ手においては、図2に示す概略断面図のように、取っ手部15の裏面側上部15aと補強材14との間に若干の隙間d、例えば0.5mm〜1.5mm程度の隙間dを設けておき、装置を移動させるときには、取っ手部15がたわんで該取っ手部の裏面側上部15aが補強材14の下面に当接するとともにリブ13が補強材14に掛合し、該補強材14で取っ手部15にかかる上方向及び横方向の荷重を受けるようにしている。これにより、取っ手部15の裏面側上部15aと補強材14との間に若干の隙間dを設けても、上方向と横方向にかかる荷重をフレーム側の補強材14で受けることができ、外装面の破損等の問題を解消することができる。なお、このように取っ手部15の裏面側上部15aと補強材14との間に若干の隙間dを設けておくことにより、取っ手部15を設けた外装部材11aを筐体に組み付ける際に位置決めの自由度が増し、位置決めしやすくなり、組み付け性が向上する。
【0027】
次に図3は、上記掘り込み式取っ手の取っ手部15が設けられる外装部材11aの裏面側の要部斜視図である。図2、図3に示すように、本発明に係る取っ手部15を有する外装部材11aでは、取っ手部15の裏面側上部15aに、筐体のフレーム側に固定した補強材14と掛合されるリブ13を設けるとともに、取っ手部15の上方の裏面側に、図4に示すような筐体のフレーム側に設けた掛止孔18,19に掛合される位置決め用の引っ掛け突起12を設けている。これにより、引っ掛け突起12を筐体のフレーム側に設けた掛止孔18,19に掛合することにより、外装部材11aの位置決めと仮止めを行うことができ、組み付け性が向上する。より具体的には、外装部材11aを筐体に取り付ける際には、筐体の構造体6のフレーム側に固定した補強材14に、取っ手部15の裏面側上部15aのリブ13を掛合した後、外装面のたわみを利用して位置決め用の引っ掛け突起12を構造体6のフレーム側に設けた掛止孔18,19に掛合することにより、外装部材11aの位置決めと仮止めを行うことができ、組み付け性が向上する。
【0028】
さらに詳しく述べると、掘り込み式取っ手の取っ手部15の裏面側上部15aに補強材14と掛合するリブ13を設けた場合には、該リブ13をフレーム側の補強材14に掛合する際に、位置決め用の引っ掛け突起12をフレーム側の掛止孔18,19に引っ掛ける前に外装部材11aの取っ手部15を補強材の下側に入れるように組み付ける必要があるが、このときに外装部材11aのたわみを利用することにより、外装部材11aの取っ手部15をフレームの補強材14の下側に容易に組み付けることができるようになる。具体的には、外装部材11aを筐体の構造体6に組み付ける際には、まず外装部材11aの取っ手部15を補強材14の下側に入れ、取っ手部15の裏面側上部15aに設けたリブ13をフレーム側の補強材14に引っ掛けるようにして組み付けるが、このとき外装部材11aの位置決め用の引っ掛け突起12は構造体6のフレームに当たっているので、外装部材11aのたわみを利用して、引っ掛け突起12の付近がたわみ方向(図2に示す符号16の矢印の方向)にたわむようにしておけば、リブ13をフレーム側の補強材14に容易に掛合することができ、取っ手部15を容易に組み付けることができる。そして、取っ手部15の組み付けの後、外装部材11aを上方向に持ち上げながら外装部材11aのたわみを戻すようにして引っ掛け突起12と構造体6のフレーム側に設けた掛止孔18,19との位置決めを行い、引っ掛け突起12を掛止孔18,19に掛合することにより、外装部材11aの位置決めと仮止めを容易に行うことができる。このようにして外装部材11aの位置決めと仮止めを行えば、外装部材11aは引っ掛け突起12で構造体6側に仮止めされているので、外装部材11aから手を離すことができ、ネジ止め等で外装部材11aを構造体6に固定する作業を容易に行うことができる。なお、図8は図4に示す構造体6の補強材14が固定された部分に、取っ手部15を有する外装部材11aを組み付けた状態を示している。
【0029】
ところで、図1,2,3,8に示すような形状の外装部材11aでは、位置決め用の引っ掛け突起12をフレーム側の掛止孔18,19に入れる際に、外装部材11aがたわんだ状態で入れるため、掘り込み式取っ手の持ち上げ方向(上方向)に補強材14が常に当接しているように設計すると、持ち上げ方向(上方向)の位置決め位置が取っ手部15の上部と引っ掛け突起12の二箇所となり、位置決めの自由度が無くなり、外装部材11aの位置決めがしづらいという問題がある。そこで前述したように、外装部材11aの取っ手部15の裏面側上部15aと補強材14との間に若干の隙間d(0.5mm〜1.5mm程度)を設けるようにしておけば、取っ手部15を設けた外装部材11aを筐体に組み付ける際に、上方向に0.5mm〜1.5mm程度の遊びができ、位置決めの自由度が増し、持ち上げ方向(上方向)の位置決め位置が引っ掛け突起12側のみになるので、外装部材11aの位置決めがしやすくなる。
また、このように外装部材11aの取っ手部15の裏面側上部15aと補強材14との間に若干の隙間dを設けても、その隙間dは0.5mm〜1.5mm程度であるので、取っ手部15に荷重がかかった際に、取っ手部15が図2の矢印17で示す向きにたわんで、隙間dの0.5mm〜1.5mm程度の距離を吸収し、取っ手部15の裏面側上部15aが補強材14に当接するとともに、リブ13が補強材14に掛合し、補強材14で取っ手部15にかかる上方向及び横方向の荷重を受けることができる。これにより、装置の運搬や移動時に取っ手部15の安全性を損なうことがなく、外装面の破損等の問題も解消することができる。
【0030】
なお、以上に説明した本発明に係る筐体においては、外装の少なくとも二箇所に上記の掘り込み式取っ手を有する外装部材11aを用いることにより、掘り込み式の取っ手部15を設けた外装部材11aの位置決めや組み付け性を向上することができる。また、少なくとも二箇所の外装部材の取っ手部15は持ち上げ方向(上方向)と引張り方向(横方向)の両方の荷重に対して補強がなされているので、取っ手部15や外装部材11aの破損を防止した構造の筐体を実現することができる。
さらに本発明の画像形成装置1においては、外装の少なくとも二箇所に上記の掘り込み式取っ手を有する筐体を備えたことにより、運搬や移動がしやすく、運搬や移動時の安全性の高い画像形成装置を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明に係る掘り込み式取っ手や筐体(外装、構造体)の形状、構造等は図示のものに限らず、適宜設計されるものである。また、取っ手部15やリブ13の形状、形成位置、外装部材11aの引っ掛け突起12の形成位置、補強材14の形状、取り付け位置、固定方法等も図示のものに限らず、適宜設計されるものである。
また、実施例では複写機、プリンタ、ファクシミリ等として機能する電子写真方式の画像形成装置を例示したが、本発明に係る画像形成装置はこれに限らず、オフセット印刷や孔版印刷等の印刷機も含むものであり、本発明の掘り込み式取っ手や外装部材、筐体をこれらの印刷機に利用することにより、運搬や移動がしやすく、運搬や移動時の安全性の高い印刷機(画像形成装置)を実現することができる。
さらにまた、本発明の掘り込み式取っ手や外装部材、筐体の構成は、画像形成装置以外の装置にも利用することができ、比較的大型で重量のある装置でも、運搬や移動がしやすくなり、運搬や移動時の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例を示す画像形成装置の斜視図である。
【図2】掘り込み式の取っ手部が設けられた外装部材の概略要部断面図である。
【図3】掘り込み式の取っ手部が設けられた外装部材の裏面側の構成例を示す要部斜視図である。
【図4】図1に示す画像形成装置の筐体を構成する構造体の斜視図である。
【図5】図1に示す画像形成装置の筐体の掘り込み式取っ手が設けられた部分の断面を装置背面側から見た要部断面図である。
【図6】図4に示す構造体の補強材が固定された部分を斜め後方から見た要部斜視図である。
【図7】図4に示す構造体の補強材が固定された部分を右側方から見た要部斜視図である。
【図8】図4に示す構造体の補強材が固定された部分に、取っ手部を有する外装部材を組み付けた状態を示す構造体の斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1:画像形成装置
2:原稿読取部
3:操作部
4:画像形成部
5:給紙部
6:構造体
7:排紙部
11:外装
11a:取っ手部が形成された外装部材
12:位置決め用の引っ掛け突起
13:リブ
14:補強材
15:掘り込み式の取っ手部
15a:取っ手部の裏面側上部
16,17:たわみ方向
18,19:掛止孔
d:若干の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の筐体の外装の一部に設けられ、該外装の一部の外装面を装置内側に窪ませた形状の取っ手部を有する掘り込み式取っ手において、
前記外装の取っ手部の裏面側上部に対向する位置に配設され前記筐体のフレームに固定される補強材を設けるとともに、前記取っ手部の裏面側上部に前記補強材に掛合されるリブを設けたことを特徴とする掘り込み式取っ手。
【請求項2】
請求項1記載の掘り込み式取っ手において、
前記補強材は、前記外装の取っ手部の上部にかかる上方向の荷重を受けるとともに、前記取っ手部のリブとの掛合により前記取っ手部にかかる横方向の荷重を受けることを特徴とする掘り込み式取っ手。
【請求項3】
請求項1記載の掘り込み式取っ手において、
前記取っ手部の裏面側上部と前記補強材との間に若干の隙間を設けておき、前記装置を移動させるときには、前記取っ手部がたわんで該取っ手部の裏面側上部が前記補強材に当接するとともに前記リブが補強材に掛合し、該補強材で前記取っ手部にかかる上方向及び横方向の荷重を受けることを特徴とする掘り込み式取っ手。
【請求項4】
請求項3記載の掘り込み式取っ手において、
前記取っ手部の裏面側上部と前記補強材との間に設けた隙間は、0.5mm〜1.5mm程度であることを特徴とする掘り込み式取っ手。
【請求項5】
装置の筐体の外装の一部を構成し、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の掘り込み式取っ手の取っ手部が設けられた外装部材において、
前記取っ手部の裏面側上部に、前記筐体のフレーム側に固定した補強材と掛合されるリブを有するとともに、前記取っ手部の上方の裏面側に、前記筐体のフレーム側に設けた掛止孔に掛合される位置決め用の引っ掛け突起を有することを特徴とする外装部材。
【請求項6】
請求項5記載の外装部材において、
前記筐体に取り付ける際には、前記筐体のフレーム側に固定した補強材に前記取っ手部の裏面側上部のリブを掛合した後、外装面のたわみを利用して前記位置決め用の引っ掛け突起を前記筐体のフレーム側に設けた掛止孔に掛合することを特徴とする外装部材。
【請求項7】
ベースとフレームなどの骨格部材で構成される構造体と、該構造体の外周を覆う外装とからなる筐体において、
前記外装の少なくとも二箇所に請求項1乃至4のいずれか一つに記載の掘り込み式取っ手を有することを特徴とする筐体。
【請求項8】
ベースとフレームなどの骨格部材で構成される構造体と、該構造体の外周を覆う外装とからなる筐体において、
前記外装の少なくとも二箇所に請求項5または6記載の外装部材を用いたことを特徴とする筐体。
【請求項9】
筐体の内部に画像形成部を収納した画像形成装置において、
前記筐体として請求項7または8記載の筐体を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−195000(P2006−195000A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4337(P2005−4337)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】