掘削装置
【課題】アウターロッド内を通過するインナーロッドの先端に設けられた掘削用ビットを確実に開閉することができて、しかも、三重管構造を採用しないことが可能である掘削装置の提供。
【解決手段】中空管(1)先端に設けられており、該中空管(1)は第2の中空管(2)の内側に配置されて第2の中空管(2)に対して相対移動可能であり、ピストン(3)と、掘削用ビット(4)と、ピストン(3)を中空管(1)に対して相対的に移動する機構(例えば、流体圧を用いた機構)と、ピストン(3)の移動により掘削用ビット(4)を開閉する機構とを有する。
【解決手段】中空管(1)先端に設けられており、該中空管(1)は第2の中空管(2)の内側に配置されて第2の中空管(2)に対して相対移動可能であり、ピストン(3)と、掘削用ビット(4)と、ピストン(3)を中空管(1)に対して相対的に移動する機構(例えば、流体圧を用いた機構)と、ピストン(3)の移動により掘削用ビット(4)を開閉する機構とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばグラウンドアンカーの施工等の際に用いられる掘削装置であって、小径の掘削孔に連続して大径の掘削孔を掘削することが出来る掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小径の掘削孔HSに連続して大径の掘削孔HLを掘削された状態が、図26で示されている。
図26で示す様に施工地盤Gに、小径の掘削孔HSと、それに連続する大径の掘削孔HLを掘削し、グラウト材を充填し、テンドンを挿入してアンカー体を築造すれば、弱い地盤であっても、必要な耐力が得られる。
【0003】
図26で示す様に地盤Gを掘削するために、例えば、掘削ロッドの先端に左右一対の掘削ビットをそれぞれ枢軸により回転自在に取付け、掘削ロッドの内部にビット作動用ロッドを連結した連結ロッドを進退自在に挿入し、当該連結ロッドを進行側に押し込むことによって掘削用ビットを開き、開いた状態の掘削用ビットによって大径の掘削孔HLを掘削する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような従来技術では、インナーロッド内側に押込用ロッドを配置して、当該ロッドを地中側に押し込むことにより、閉じた状態の掘削用ビットを開いている。
【0004】
前記特許文献1では、大径の掘削孔HLを掘削した後、テンドンを挿入するために、掘削用ビットを閉じて掘削ロッドを引き上げなければならない。しかし、地盤中で左右に開いた掘削用ビットを閉じるには、土や礫の抵抗があるため、簡単には閉じた状態には戻らなかった。そのため、例えば、左右に開いた掘削用ビットを掘削ロッドから切り離し、掘削ロッドのみを引き上げる技術が提案されている(特許文献2参照)。しかし、このような残置式ビット(特許文献2のビット)では、掘削孔毎に掘削用ビットが必要となるため費用がかさむという問題があった。
【0005】
そして、前記特許文献1において、地盤中で左右に開いた掘削用ビットを閉じるためには、掘削ロッドの外側に外管を被せ、外管を固定した状態で掘削ロッドを上部に移動して掘削用ビットの外側部分を外管に当接させ、さらに掘削ロッドを引き上げることにより、左右に開いた掘削用ビットの外側部分で、掘削ロッドを上部へ引き上げる力が掘削用ビットを閉じる方向の力に転換されて、掘削用ビットを閉じることが出来る。
このため、上記特許文献1のような押込用ロッドを用いる場合には、掘削ビットの開閉に際して、外管、掘削用ロッド、押込用ロッドを同心に配置するために、三重管の構造を必要とする。しかし、三重管の継ぎ足しや、回転伝達等のためには複雑な構成が必要となるので、係る従来技術(特許文献1)では、施工のための各種コストが高騰してしまうという問題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3799170号公報
【特許文献2】特開2002−21071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、掘削用ロッドの先端に設けられた掘削用ビットを確実に開閉することができて、しかも、複雑な構造を採用しないことが可能である掘削装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の掘削装置は、中空管(例えば、インナーロッド1)先端に設けられており、該中空管(インナーロッド1)は第2の中空管(アウターロッド2)の内側に配置されて第2の中空管(アウターロッド2)に対して相対移動可能であり、ピストン(3)と、掘削用ビット(4)と、ピストン(3)を中空管(1)に対して相対的に移動する機構(例えば、流体圧を用いた機構、或いは、押し込みロッドを有する機構)と、ピストン(3)の移動により掘削用ビット(4)を開閉する機構とを有することを特徴としている(請求項1)。
【0009】
本発明において、ピストン(3)を中空管(1)に対して相対的に移動する機構は、中空管に流体(例えば高圧水)を供給し排出する機構(例えば、ポンプ)を有しているのが好ましい(請求項2)。
或いは、ピストン(3)を中空管(1)に対して相対的に移動する機構を、インナーロッド内側の空間に配置された押し込みロッドとすることも可能である(請求項3)。
【0010】
さらに本発明において、掘削用ビット(4)が開いた状態を、地上側で確認する機構(5〜9)を設けているのが好ましい(請求項4)。
【0011】
掘削用ビット(4)が開いた旨を地上側で確認するための具体的な構成としては、例えば、掘削用ビット(4)を開閉するためのピストン(3)が移動して掘削用ビット(4)が完全に開く位置に到達したときにピストン(3)が近接したことを検知する近接スイッチ(5)を設け、或いは、掘削用ビット(4)が完全に開いた位置に、掘削用ビット(4)の近接を検出する近接スイッチ(5)を設け、近接スイッチ(5)がピストン(3)を検知したときに、或いは、近接スイッチ(7)が掘削用ビット(4)を検知したときに、ビーコン発信器(6)がビーコンを発生する様に構成するのが好ましい。
ここで、ビーコンの発生時には、中空管(1)と第2の中空管(2)との間の空間に水が溜まる様に構成することが好ましい。
【0012】
また、ビーコンに代えて、中空管(1)を打撃する打撃用機器を設け、近接スイッチ(5)がピストン(3)を検知したときに、或いは、近接スイッチ(7)が掘削用ビット(4)を検知したときに、打撃用機器により中空管(1)を打撃して、水が無い状態でも、中空管(1)を介して地上側に打撃を伝達する様に構成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上述する構成を具備する本発明によれば、例えば中空管(インナーロッド1)を第2の中空管(アウターロッド2)と相対移動して掘削用ビット(4)を第2の中空管(2)の先端よりも地中側に進出せしめる。
そして、中空管(1)内に流体圧を作用させると、当該流体圧によりピストン(3)が中空管(インナーロッド1)に対して地中側へ相対移動する。ピストン(3)の地中側への移動により、掘削用ビット(4)がピストン(3)により押し開かれて、閉じた状態の掘削用ビット(4)が開いた状態となる。
そして、開いた状態の掘削用ビット(4)を用いて、地中に大径の掘削孔を掘削する。
【0014】
大径の掘削孔を掘削した後、中空管(インナーロッド1)を第2の中空管(アウターロッド2)に対して地上側に相対移動する(インナーロッド1を地上側に引き込む)と共に、中空管(1)内に作用している流体圧を解除或いは減圧する。
中空管(1)内に作用している流体圧を解除或いは減圧することにより、ピストン(3)は中空管(1)に対して地上側に相対移動して、掘削用ビット(4)を押し開く状態が維持されなくなる。それに加えて、中空管(1)を第2の中空管(2)に対して地上側に相対移動する(インナーロッド1を地上側に引き込む)ことにより、開いた状態の掘削用ビット(4)が第2の中空管(2)の管端部(22e)に当接して、閉じる方向に付勢される。その結果、開いた状態の掘削用ビット(4)は確実に閉じられる。
中空管(1)をさらに地上側に移動する(引き抜く)ことにより、閉じた状態の掘削用ビット(4)は第2の中空管(2)内に収容される。
これにより、掘削用ビット(4)を埋め殺すこと無く地上側に回収することが可能となり、地中で必要な掘削を行なった掘削用ビット(4)を再利用することが可能になる。
【0015】
また本発明において、ピストン(3)を中空管(1)に対して相対的に移動する機構として流体圧を用いた機構を選択にすれば(請求項2)、中空管(1)の内側に押し込み用のロッドを配置する必要が無く、三重管とする必要が無くなるので、継ぎ足しや、回転伝達の為に複雑な構成を必要としない。
【0016】
本発明において、掘削用ビット(4)が開いた状態を、地上側で確認出来る様に構成すれば、トルクの増大や、スラリーの増大により掘削用ビットが開いた状態を間接的に判断するよりも、より客観的に掘削用ビットが開いたか否かを把握することが出来る。
そして、掘削用ビット(4)が完全に開いたか(いわゆる「全開」)か、或いは、開く以前の段階であるのか(いわゆる「半開」)を判断することも出来る。
【0017】
ここで、なお、近接スイッチ(5、7)からの信号を有線で地上まで伝達するのでは、第2の中空管(2)や掘削用ビット(4)の回転により、当該有線が捻じ切れてしまう恐れが存在する。
これに対して、ビーコンや打撃音により近接スイッチ(5、7)からの信号を伝達するのであれば、有線が捻じ切れる恐れを考慮する必要が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態において、掘削用ビットが閉じた状態でアウターロッドから地中側に突出した状態を示す一部断面平面図である。
【図2】第1実施形態において、掘削用ビットが開いた状態を示す一部断面平面図である。
【図3】図2で示す掘削用ビットが開いた状態から掘削用ビットを閉じる際における各種力の方向を示す説明図である。
【図4】第1実施形態において、掘削用ビットが閉じてアウターロッド内に収容された状態を示す一部断面平面図である。
【図5】第1実施形態において、掘削用ビットとピストンとの第1の接続態様を示す斜視図である。
【図6】第1の態様におけるピストンの側面図である。
【図7】第1の態様におけるピストンの平面図である。
【図8】第1の態様におけるピストンの正面図である。
【図9】第1の態様でピストンに掘削用ビットを装着した正面図である。
【図10】第1実施形態において、掘削用ビットとピストンとの第2の接続態様を示す斜視図である。
【図11】第2の態様におけるピストンの側面図である。
【図12】第2の態様におけるピストンの平面図である。
【図13】第2の態様におけるピストンの正面図である。
【図14】第2の態様でピストンに掘削用ビットを装着した正面図である。
【図15】第1実施形態における掘削用ビットの平面図である。
【図16】掘削用ビットとピストンとの接続個所における要部及び掘削ビットの動作を示す部分拡大図である。
【図17】掘削用ビットとピストンとの接続個所における長孔を示す部分拡大図である。
【図18】掘削用ビットを開く際における掘削用ビットと、ピストン先端部と、回転中心軸と、長孔との相対的な位置関係を示す模式図である。
【図19】掘削用ビットを閉じる際における掘削用ビットと、ピストン先端部と、回転中心軸と、長孔との相対的な位置関係を示す模式図である。
【図20】本発明の第2実施形態における地中側先端部を示す一部断面平面図である。
【図21】第2実施形態における地上側端部を示す一部断面平面図である。
【図22】第2実施形態の変形例における地中側端部を示す一部断面平面図である。
【図23】第2実施形態の第2変形例において、掘削用ビットが閉じてアウターロッド内に収容された状態を示す一部断面平面図である。
【図24】第2実施形態の第2変形例において、掘削用ビットがアウターロッドから突出して開いた状態を示す一部断面平面図である。
【図25】第2実施形態の第2変形例において、掘削用ビットを開いて掘削水を流す状態を示す一部断面平面図である。
【図26】掘削孔の望ましい形状を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に、図1〜図18を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
【0020】
図1〜図4において、全体を符号100で示す第1実施形態に係る掘削装置は、インナーロッド1、アウターロッド2、ピストン3、1対の掘削用ビット4,4´を有している。
1対の掘削用ビット4、4´は左右対称の翼型ビットであり、図1において上下に重なった状態で示されている。ここで、掘削用ビット4´が掘削用ビット4の下方に位置しており、掘削用ビット4´の内、図1では直接目視出来ない部分の輪郭が点線で示されている。掘削用ビット4、4´は、掘削ビット揺動用ピン3Pに係合しており、掘削ビット揺動用ピン3Pの動き、すなわちピストン3の移動(図1では左右方向の移動)により、一対の掘削用ビット4、4´が同時に開閉動作を行なうように構成されている。
インナーロッド1は、図示を省略したロッド本体と、ロッド本体の先端に取付けたシリンダ部11と先端部12とを有している。
【0021】
シリンダ部11は、第1の内径部111、第2の内径部112、第3の内径部113を有している。第1の内径部111、第2の内径部112、第3の内径部113は連続しており、第1の内径部111が地上側で、第3の内径部113が地中側である。
また、第1の内径部111よりも第2の内径部112の方が内径寸法が大きく、第2の内径部112よりも第3の内径部113の方が内径寸法が大きい。
【0022】
アウターロッド2は、ロッド本体21と、その先端のビット22とを有している。ビット22はアウターロッド2で単管掘削する際に掘削用ビットとして作用する。そして、ビット22の基部側(地上側)の一部がロッド本体21に嵌入されており、ビット22が交換可能に構成されている。
【0023】
インナーロッド1の内側にはピストン3が設けられている。ピストン3は、インナーロッド1の第2の内径部112を摺動するように構成されている。換言すれば、第2の内径部112は、ピストン3に対するシリンダとしての機能を有している。
【0024】
インナーロッド1の先端部12は円筒状であり、外径部121、122を有している。先端部12の先端側(地中側:図1の右方)の外径部122における外径は、シリンダ部11の外径と概略同様である。一方、地上側の外径部121の外径寸法は、外径部122の外径寸法よりも小さい。
先端部12の地上側の外径部121は、シリンダ部11の第3の内径部113に嵌合し、以って、先端部12はインナーロッド1と一体化されている。
インナーロッド1の先端部12には、ヒンジピン13が設けられている。そして、ヒンジピン13を中心として掘削用ビット4が回動するように構成されている。
掘削用ビット4の開閉動作については後述する。
【0025】
第1実施形態では、掘削用ビット4とピストン3との接続について、図5〜図9で示す態様(第1の態様)と、図10〜図14で示す態様(第2の態様)とが存在する。
図5〜図9で示す第1の態様において、ピストン3は、図5で示すように、掘削ビット揺動用ピン3Pを先端部に嵌入した板状の先端部33と、小径部32とが、ピストン本体31に嵌合する様に構成されている。ここで、板状の先端部33と小径部32を、ピストン本体31と一体的に構成することも可能である。
【0026】
ピストン本体31の外周面は、インナーロッド1の第2の内径部112を摺動する様に構成されている。
小径部32には、中心軸に対する対称位置に(図5では上下に)、円弧状の切欠き322が形成されている。
第1の態様において、円弧状の切欠き322は合計4箇所形成された状態で示されているが、当該切欠き322は、掘削用ビット4の開放時に当接する位置に設ければ良い。具体的には、図8、図9において、掘削用ビット4が開放された際に掘削用ビット4のピン3P側の基部が当接する切欠き、すなわち、図8、図9における右上の切欠き322と、左下の切欠き322との2箇所に設ければ足りる。従って、図8、図9において、符号322Fで示す切欠きは、形成しなくても良い。
板状の先端部33の外縁部の面331は、小径部32に連続している。そして板状の先端部33の端部332は、単一の曲率半径を有する円弧により構成されている。
【0027】
板状の先端部33の端部332を構成する円弧の曲率中心に相当する位置には、貫通孔であるピン嵌入孔333が形成されている。ピン嵌入孔333には、掘削ビット揺動用ピン3Pが嵌入されている。
この掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削用ビット4に形成された掘削ビット揺動用ピン係合孔45と係合している。ピストン3が第2の内径部112内を移動する動きは、掘削ビット揺動用ピン3P及び掘削ビット揺動用ピン係合孔45を介して掘削用ビット4に伝達され、以って、掘削用ビット4の開閉が行われる。ピストン3の動きと掘削用ビット4の動作については、後述する。
図9では、ピストン3の掘削ビット揺動用ピン3Pに、1対の掘削用ビット4が係合している状態が、ピストン3の先端側(地中側)から示されている。
【0028】
一方、図10〜図14で示す第2の態様では、小径部32Aの先端部が二股に分岐しており、平行に配置された2本の部分320A、320Aを有している。図10において、図示の簡略化のため2本の部分320A、320Aは平板状に見えるが、実際には、2本の部分320A、320Aは、ピストン本体31Aの半径方向外側に凸となる様に湾曲した断面形状を有している。
図10〜図13に示すように、ピストン3Aは、ピストン本体31Aに小径部32Aが嵌合されて構成されているが、第1の態様と同様に、ピストン本体31Aと小径部32Aとが一体的に構成されていても良い。
【0029】
小径部32Aには溝320が形成されており、以って、二股に分岐した形状となっている。二股に分岐した部分320A、320Aの先端近傍には、溝320と直交する方向に2箇所の貫通孔324(図12)が形成されており、2箇所の貫通孔324に掘削ビット揺動用ピン3Pが嵌入している。換言すれば、第2の態様では、掘削ビット揺動用ピン3Pが、二股に分岐した部分320A、320Aを接続する様に設けられている。
図14では、ピストン3Aの部分320A、320Aを接続する掘削ビット揺動用ピン3Pに、2枚1対の掘削用ビット4が係合している状態が、ピストン3Aの先端側(地中側)から示されている。
第2の態様において、円弧状の切欠き322が2箇所設けられている。そして、掘削用ビット4の開放時には、当該掘削用ビット4が切欠き322に当接する。
【0030】
図15で示すように、掘削用ビット4は全体が1枚の板状に形成されており、地盤掘削時には地中側(掘削側)となる一方の辺41は、掘削が容易となるように加工されている。図15では、辺41には、先端(図15の右端)近傍に掘削用の歯43が形成されているが、辺41に硬質なチップを埋め込む加工を施すことも可能である。
掘削用ビット4の図15における左下部分には、円弧状の突出部44が形成されており、突出部44には掘削ビット揺動用ピン係合孔45が形成されている。掘削ビット揺動用ピン係合孔45は長孔であり、掘削ビット揺動用ピン3Pが係合する。
掘削用ビット4の背部42において、図15の左端側には円弧部46が形成され、この円弧部46は突出部44に連続して構成されている。円弧部46の近傍にはヒンジピン係合孔47が形成され、ヒンジピン係合孔47にはインナーロッド1の先端部12のヒンジピン13が係合している。掘削用ビット4は、ヒンジピン係合孔47を回転中心として回動し、開閉する。掘削用ビット4の開閉の詳細については、後述する。
【0031】
例えば図2において、掘削用ビット4が最大に開いた場合、すなわち、掘削用ビット4がピストン3の中心軸に対して90°となり、2枚の掘削用ビット4が為す角度が180°となった場合に、掘削用ビット4の円弧部46(図15)の形状と、ピストン3の小径部32の円弧状の切欠き322(図5〜図14)の円弧形状とは、いわゆる「相補的」な形状となっており、円弧部46と切欠き322とが係合している。相補的な形状である円弧部46と切欠き322とが係合することにより、掘削用ビット4が最大に開いた場合に、2枚の掘削用ビット4、4´が180°開いた状態よりもさらに広がって、地中側に押し込まれることを防止している。
なお、2枚の掘削用ビットが為す角度は、第2の内径部112、ピストン本体31、及び掘削ビット揺動用ピン3Pの相対的な位置関係や、円弧部46及び切欠き322の形状によって決まるので、それらを適宜設定することによって、掘削用ビット4が最大に開いた場合に、2枚の掘削用ビットが為す角度が180゜以上あるいは未満となるように設定することも可能である。
【0032】
図16では、掘削用ビット4における掘削ビット揺動用ピン係合孔45と、掘削ビット揺動用ピン3Pと、ヒンジピン係合孔47との位置関係を、掘削用ビット4の開閉動作と関連付けて示している。また図17では、掘削用ビット4における掘削ビット揺動用ピン係合孔45の形状の詳細が示されている。
図16において、閉じた状態の掘削用ビット4が実線で示されている。そして、開いた状態の掘削用ビット4Lが点線で示されている。
図1で説明したように、掘削用ビット4、4´は左右対称に一対設けられており、掘削ビット揺動用ピン係合孔45、掘削ビット揺動用ピン3P、ヒンジピン係合孔47の位置関係は、左右の掘削用ビット4、4´(図1)について同様である。図示の簡略化のため、図16では、片方の掘削用ビット4の開閉動作についてのみ示している。
なお、図16は、図1〜図4、図18、図19と、左右が逆の状態で表示されている。
【0033】
図17において、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の周縁部は、領域F1、F2、F3、F4、F5から構成されている。
掘削ビット揺動用ピン係合孔45における円弧状の領域F1、F2は、ヒンジピン係合孔47(図16参照)に近い方が領域F1であり、離隔している方が領域F2である。そして、円弧状の領域F1、F2は、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の両端部を構成している。
円弧状の領域F2では、後述するように掘削ビット揺動用ピン3Pが外接しながら移動する。そのため、円弧状の領域F2における曲率半径R1は、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径より少し長めの寸法に設定されている。図示の実施形態では、例えば、曲率半径R1が7mm、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径が6mmに設定されている。
【0034】
図17において、領域F1の曲率中心FC1と領域F2の曲率中心FC2との直線距離が符号L1で示されており、図示の実施形態では18mmに設定されている。
掘削ビット揺動用ピン係合孔45における周縁部の領域F3は、直線Jcと平行な直線で構成されている。そして、直線Jcは、円弧状の領域F1の曲率中心FC1と、円弧状の領域F2の曲率中心FC2とを通過している。
領域F4、F5は領域F3に対して傾斜しており、領域F4、F5は相互に向かい合うように延在している。そして、領域F4と領域F5とが突き当たる個所と、直線Jcとの距離は、符号L2で示されている。
【0035】
図16において、ピストン本体31(図示は省略)に嵌入した掘削ビット揺動用ピン3Pは、ピストン本体31の動作により、矢印ATcで示すように直線Tc上を移動する。ここで直線Tcは、掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点の軌跡を描いた直線である。
掘削ビット揺動用ピン3Pは掘削ビット揺動用ピン係合孔45に係合されており、掘削ビット揺動用ピン3Pが直線Tc上を動くことにより、掘削ビット揺動用ピン係合孔45が形成されている掘削用ビット4が開閉する。
【0036】
掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削用ビット4が閉じた状態では、図16において最も右方に位置している。
図16において、ピストン本体31が左に動作して、掘削ビット揺動用ピン3Pが直線Tc上を左に動くと、掘削ビット揺動用ピン3Pも図16において左方へ移動する。
そして、掘削ビット揺動用ピン3Pが、図16において最も左方の位置のときに、掘削用ビット4の開度は最大となる。ここで、掘削ビット揺動用ピン3Pの「図16において最も左方の位置」は、シリンダ部11(図1)の第2の内径部112(図1)と、ピストン本体31との相対的な位置関係によって決定される。
【0037】
ところで、掘削用ビット4を開閉するために掘削ビット揺動用ピン係合孔45が通過する軌跡Trは、ヒンジピン係合孔47の中心を曲率中心とする円弧となるので、掘削ビット揺動用ピン係合孔45とヒンジピン係合孔47との距離は常に一定である。
図16を参照して具体的に示すと、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F1の曲率中心FC1との距離が符号LF1で示されており、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2との距離が符号LF2で示されている。そして、掘削用ビット4の開閉により、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2が移動する軌跡が、符号Trで示されている。
円弧状の軌跡Trは、ヒンジピン係合孔47の中心点が曲率中心であり、曲率半径が距離LF2であるため、掘削用ビット4を開閉するに際して、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2との距離は、常に距離LF2となる。
【0038】
ここで、前述したように、掘削ビット揺動用ピン3Pの動きは直線運動であるため、直線Tc上を移動する掘削ビット揺動用ピン3Pの中心位置と、ヒンジピン係合孔47との距離は、掘削用ビット4の開閉に際して変動する。
掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点が、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点を結んだ直線がTcと直交する位置(長さL4の線分の位置)を通過するときに、「掘削ビット揺動用ピン3Pの中心位置と、ヒンジピン係合孔47の中心点との距離」は最小であり、図16において当該位置の左右では「掘削ビット揺動用ピン3Pの中心位置と、ヒンジピン係合孔47の中心点との距離」は大きくなる。
また前述のように、掘削ビット揺動用ピン3Pが左方向に動くことにより掘削用ビット4は開き、掘削ビット揺動用ピン3Pが図16において最も左方の位置のときに掘削用ビット4の開度は最大となる。掘削用ビット4の開度が最大となったときに、「ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点の距離」も最大となり、係る最大の距離が符号L3で示されている。
【0039】
ところで、掘削用ビット4を開いた状態で地盤を掘削するときに、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の端部F2の周縁部と、掘削ビット揺動用ピン3Pの外接面との隙間が大きいと、掘削用ビット4に「がた」を生じるため地盤の掘削に支障を来す。
そのため、地盤を掘削する際におけるヒンジピン係合孔47の中心点と、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F2の曲率中心FC2との距離L3は、掘削用ビット4が閉じた状態における掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F2の曲率中心FC2との距離LF2と同程度であることが好ましい。地盤を掘削する際における掘削ビット揺動用ピン係合孔45の端部F2の周縁部と、掘削ビット揺動用ピン3Pの外接面との隙間を、掘削用ビット4が閉じた状態における当該隙間と同程度にして、係る「がた」を抑制するためである。
【0040】
また、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点との距離が最小距離L4である場合においても、掘削ビット揺動用ピン係合孔45は掘削ビット揺動用ピン3Pを係合或いは挿入していなければならない。
そのため、ヒンジピン係合孔47の中心点と、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F1の曲率中心FC1との距離LF1は、当該最小距離L4以下でなければならない。
【0041】
図16を参照して、掘削用ビット4の開閉動作による掘削ビット揺動用ピン3Pと掘削ビット揺動用ピン係合孔45の動作を説明する。
図16において、掘削用ビット4が閉じた状態から掘削ビット揺動用ピン3Pが左方向に動き出すと、掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の周縁部を左方向に押しながら、領域F5、F4(図17参照)を通過し、領域F1に近接する。
そして、掘削ビット揺動用ピン3Pは、距離L4で示される位置(図16参照)を通過した後は、さらに掘削ビット揺動用ピン係合孔45の周縁部を左方向に押しながら、領域F4、F5(図17参照)を通過する。
図16において、掘削用ビット4が開いた状態では、掘削ビット揺動用ピン3Pは領域F2(図17参照)の周縁部に到達する。
【0042】
図1を参照して説明したように、掘削用ビット4、4´は、左右対称の翼型ビットが上下に重なった状態で同じ掘削ビット揺動用ピン3Pに係合しているので(図1、図9、図14参照)、掘削ビット揺動用ピン3Pの動きにより掘削用ビット4、4´が同時に開閉動作をする構成になっている。
つまり、図16に図示はしていないが、掘削用ビット4の対称となる掘削用ビット4´が掘削用ビット4に一部重なる位置に存在し(例えば図1参照)、掘削ビット揺動用ピン係合孔45と対称な掘削ビット揺動用ピン係合孔45´が、同一の掘削ビット揺動用ピン3Pに係合している。
そして、掘削用ビット4´は、ヒンジピン係合孔47´を中心軸として回動して開閉するため、掘削用ビット4´の開閉による掘削ビット揺動用ピン係合孔45´の動作は、直線Tcを対称軸として、掘削用ビット4の開閉による掘削ビット揺動用ピン係合孔45の動作と線対称になる。
【0043】
掘削用ビット4を開くために、掘削ビット揺動用ピン3Pが図16において最も右方の位置(掘削用ビット4が閉じた状態)から左方向に移動すると、掘削ビット揺動用ピン係合孔45は軌跡Trに沿って動くため、掘削ビット揺動用ピン3Pが、図16において最も右方の位置から距離L4で示される位置まで移動する間は、掘削ビット揺動用ピン係合孔45は直線Tcに対して図16では下方に移動する。
そのときに、掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削ビット揺動用ピン係合孔45´(図1参照:図16では図示せず)にも同様に作用をするので、図16で図示されない揺動用ピン係合孔45´も図16の左方向に押されて、直線Tcを対称軸として、軌跡Trと線対称な曲線に沿って移動する。すなわち、図16では図示しない揺動用ピン係合孔45´は、揺動用ピン係合孔45とは反対に、図16では直線Tcに対して上方に移動する。
【0044】
ここで、図16、図17で詳細を示す揺動用ピン係合孔45、45´では、その周縁部に「窪み」を形成している。
図17を参照して、揺動用ピン係合孔45(揺動用ピン係合孔45´も同様)において、揺動用ピン係合孔45の周縁部における領域F4、F5は領域F3に対して傾斜しており、相互に向かい合うように延在しているので、領域F4と領域F5とが突き当たる箇所は、直線Jcに対して窪んだ領域(窪み)となっている。
ここで、発明者の実験によれば、係る「窪み」、すなわち、図16において領域F4と領域F5とが突き当たる箇所と直線Jcとの距離L2から曲率半径R1の値を減算した数値(L2−R1)は、2mm以上が好ましく、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径以下であることが好ましい。
図示の実施形態では、窪みの頂点(F4、F5が突き当たる個所)と直線Jcとの距離であるL2が11mmであり、「窪み」すなわち距離L2から曲率半径R1を減算した数値(L2−R1)は4mmである。
【0045】
次に、掘削用ビット4の開閉動作について、図1〜図4に基づいて説明する。
図1で示す様に、ピストン3が後退した状態では、2つの掘削用ビット4が閉じている。
大径の掘削孔HL(図26参照)を掘削するに際しては、先ず、図1で示すように、アウターロッド2からインナーロッド1先端の掘削用ビット4を突出させる。
【0046】
次に、図2で示すように、インナーロッドの内部1iに加圧流体(液体、気体を含む)を供給して、インナーロッド1の内部空間1iを加圧して、図2における矢印Y方向の力を作用させる。インナーロッド1の内部空間1iに矢印Y方向の力を作用させると、掘削用ビット4に接続しているピストン3が地中側(図2の右側)に移動して、掘削用ビット4は矢印YO方向に回動して、開く。
そして、図2で示すように掘削用ビット4を開いた状態で、大径の掘削孔HL(図26参照)を掘削する。
掘削用ビット4を開く動作については、図18、図19で後述する。
なお、インナーロッド内部1iに加圧流体(水)を供給し、或いは排出する機構としては、例えば、地上側に設置されたポンプ(図示せず)が用いられる。
【0047】
開いた状態の掘削用ビット4を用いて大径の掘削孔HL(図26参照)を掘削したならば、図3において、インナーロッド1を地上側(図3では左側)に引っ張る(図3における矢印Y1の動作)。それと共に、インナーロッド内1iを減圧(矢印Yfの方向に負圧による吸引力が作用)して、掘削用ビット4に接続しているピストン3を地上側(図3の左側)に移動させる(矢印Y3)。
その際に、アウターロッド2のビット22は、掘削用ビット4の背部42、より詳細にはヒンジピン係合孔47よりも掘削歯43側或いは掘削用ビット4の先端側に当接し、掘削用ビット4を押圧する。アウターロッド2のビット22により、掘削用ビット4を押圧する力は、矢印Y2で示されている。
矢印3で示す力及び矢印Y2で示す力が、ヒンジピン13回りの偶力として作用し、係る偶力により、掘削用ビット4は矢印YS方向に回動して、閉じる。そして、図4で示すように、アウターロッド2の内部に収容される。
【0048】
図18では、掘削用ビット4を開く際における掘削用ビット4、ピストン3の先端部、ヒンジピン13、掘削ビット揺動用ピン係合孔45との相対的な位置関係が、(a)、(b)、(c)の順で示されている。
【0049】
図18(a)では、掘削用ビット4は閉じた状態となっている。掘削用ビット4が閉じた状態では、インナーロッド1に設けられたヒンジピン13の中心と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心との距離を符号Laで示す。
図18(a)で示す状態から、ピストン3が図18(a)の右方向に移動する(矢印Yr)。
ピストン3が矢印Yr方向へ移動すると、掘削用ビット4は、ヒンジピン13回りに反時計方向へ回動する(矢印R)。
【0050】
図18(b)は、ピストン3が矢印Yr方向に移動しているが、掘削用ビット4が開く以前の状態を示している。
図18(b)では、ヒンジピン13の中心と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心とを結ぶ直線が、ピストン3の移動方向に対して、概略直角となっている。そして、ヒンジピン13の中心と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心との距離Lbが、最短距離となっている。
図18(c)は、ピストン3が矢印Yr方向へさらに移動し、掘削用ビット4が全開となった状態を示しており、掘削用ビット4は、図18(a)の閉じた状態に対して90度開いている。
図18(c)の状態では、ヒンジピン13の中心と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心との距離Lcは、最も長くなる。
さらに図18(c)の状態では、相補的な形状をしている切欠き322と円弧部46とが係合することにより、掘削ビット4がそれ以上矢印Rの方向に回動することを防止している。
【0051】
図19では、掘削用ビット4を閉じる際における掘削用ビット4、ピストン3の先端部、ヒンジピン13、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の相対的な位置関係が、(a)、(b)の順で示されている。
【0052】
図19(a)の状態では、掘削用ビット4は開いている。
この状態から掘削用ビット4を閉じる際には、インナーロッド内1iの流体圧力が減圧されて、矢印Fで示す引張力を生じる。
インナーロッド内1iの流体圧力が減圧されるのと同時に、インナーロッド1(図19では図示せず)を地上側に引っ張ることにより、図19(a)においては相対的にアウターロッド2が掘削用ビット4に対して矢印Yrの押圧力を付加する。すなわち、アウターロッドの先端部22eが掘削用ビット4の背部42に当接し、矢印Yrで示す様に掘削用ビット4を押圧する。
【0053】
そのため、図19(a)において、掘削用ビット4は、ヒンジピン13の上部では右方向の力が加わり、ヒンジピン13の下部では左方向の力が加わる。換言すれば、掘削用ビット4は、ヒンジピン13回りに一対の偶力が矢印Rrで示す方向に作用する。その結果、掘削用ビット4はヒンジピン13を中心に時計回りに回動し(矢印Rr)、閉じる。
図19(b)は、掘削用ビット4が時計回りに回転し、完全に閉じた状態が示されている。
【0054】
図1〜図19の第1実施形態では、掘削用ビット4を開閉するに際しては、加圧流体を供給し或いは排出することによりインナーロッド内1iの空間を加圧し或いは減圧した。
これに対して、図示は省略するが、当該流体圧に代えて、インナーロッド内1iにピストン押圧用のロッドを配置し、当該ロッドとピストンとを接続し、地上側から地中に向けてこのロッドを押し込むことによって、ピストンを移動することも可能である。
【0055】
上述した構成の第1実施形態によれば、インナーロッド内1iに流体圧を作用することにより、ピストン3をインナーロッド1に対して地中側(先端側)に相対移動して、掘削用ビット4を押し開く。これにより、閉じた状態の掘削用ビット4が開いた状態になる。
一方、開いた状態の掘削用ロッド4を閉じる際には、インナーロッド内1iに作用している流体圧を解除或いは減圧して、ピストン3をインナーロッド1に対して地上側に相対移動する様に引っ張ることに加えて、インナーロッド1をアウターロッド2に対して地上側に相対移動することにより、開いた状態の掘削用ビット4がアウターロッド2のビット22に当接して、閉じる方向に付勢されて、確実に閉じられる。
そのため、掘削用ビット4を埋め殺すこと無く地上側に回収することが可能となり、回収された掘削用ビット4を再利用することが出来る。
【0056】
また第1実施形態では、ピストン3をインナーロッド1に対して相対的に移動する機構として、流体圧を用いた機構を用いている。そのため、インナーロッド1の内側に押し込み用のロッドを配置する必要が無く、三重管を構成する必要が無くなるので、継ぎ足しや、回転伝達の為に複雑な構成を用いる必要がない。
【0057】
次に、図20〜図22を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態では、掘削用ビット4が全開した状態を、地上側で確認することが出来る様に構成されている。
従来、トルクが増大し、及び/又は、スラリーが増大することにより、掘削用ビットが開いた旨を地上側のオペレータが把握していた。これに対して、掘削用ビットが開いたことを、より直接的、より客観的に把握するため、第2実施形態では、図20、図22で示すように、近接スイッチと、近接スイッチが作動したことを地上側に伝達する機構を備えている。
【0058】
図20、図21において、全体を符号101で示す第2実施形態の掘削装置は、近接スイッチ5及び信号発信機(例えばビーコン発信器)6を有している点で、図1〜図19の第1実施形態と相違している。
なお、図20、図21において、インナーロッド1のロッド本体が、符号10として示されている
【0059】
掘削装置101の地中側端部を示す図20において、近接スイッチ、例えば静電容量の変動を検知するタイプのスイッチ5が、ピストン3のピストン本体31に設けられている。
そして、インナーロッド1のシリンダ部11において、掘削用ビット4が全開した際におけるピストン3のスイッチ5の位置と対応する位置に、静電容量を変化させるためのチップ5Mが埋設されている。
明確には図示されていないが、スイッチ5にチップ5Mが近接した場合には、スイッチ5の感応部における静電容量が変化し、スイッチ5から検出信号が出力されるように構成されている。
【0060】
インナーロッド1のロッド本体10におけるシリンダ部11近傍には、ピストン3が掘削用ビット4の全開する位置に到達した旨を地上側に伝達するために、ビーコン発信器6が取付けられている。
そして、近接スイッチ5とビーコン発信器6とはラインLs1で接続されている。シリンダ部11とロッド本体10とは一体に移動するので、近接スイッチ5とビーコン発信器6とを接続するラインLs1が捻じ切れることはない。
上述した様に、ピストン3が下降して掘削用ビット4の全開する位置に到達すると、近接スイッチ5がONになり、ビーコン発信器6がビーコンを発生し、後述するビーコン受信器8が、そのビーコンを受信する。
ここで、ビーコンを用いたのは、地中側と地上側とを有線で伝達する場合には、掘削深度の増加に連れて有線長さを延長しなければならないことと、掘削用ビット4が回転する際に、有線が捻じ切れてしまう恐れがあることによる。
【0061】
掘削装置101の地上側端部を示す図21において、アウターロッド2の地上側の端部近傍の内壁面に、ビーコン受信器8が取付けられている。また、ビーコン受信器8が取付けられている近傍のアウターロッド2の外周部には視認装置、例えば、LEDランプ9が取付けられている。
ビーコン受信器8とLEDランプ9とは、ラインLs3によって接続されている。ビーコン受信器8とLEDランプ9とは、共にアウターロッド2に取り付けられているので、ラインLs3が捻じ切れてしまうことはない。
【0062】
そして、ピストン3が下降して掘削用ビット4の全開する位置に到達し、地上側のビーコン受信器8がビーコン発信器6からのビーコンを受信すると、LEDランプ9が点灯、或いは点滅する。これにより、地上側で掘削用ビット4が開いたことを把握する。
なお、LEDランプ9に代えて、或いはそれに加えて、ブザーを使用することも可能である。
図21において、符号20はスイベル装置を示し、符号201はスイベル装置における流体供給口を示し、符号202は流体排出口を示している。
【0063】
図22は、第2実施形態における地中側端部の変形例を示している。
図22の変形例では、近接スイッチとしてマグネットスイッチ7を採用し、その設置位置として、インナーロッド1の先端部12を選択している。
【0064】
図22において、左側の掘削用ビット4には、掘削用ビット4が全開した際に、マグネットスイッチ7に対向する位置に磁性体部材7Mが埋設されている。マグネットスイッチ7は、磁性体部材7Mからの磁力線を検知して、検知信号を出力する。この場合、1対の掘削用ビット4として、材料非磁性体の材料が使用されている。
マグネットスイッチ7とビーコン発信器6とはラインLs2によって接続されている。掘削用ビット4とインナーロッド1とは一体に回転するので、マグネットスイッチ7とビーコン発信器6とを接続するラインLs2が捻じ切れてしまう恐れはない。
図22の変形例のその他の構成及び作用効果は、図20、図21の第2実施形態と同様である。
【0065】
図示はされていないが、図20〜図22において、インナーロッド1を打撃する打撃用機器をビーコンに代えて設置し、近接スイッチ5がピストン3の近接を検知した場合、或いは、マグネットスイッチ7が掘削用ビット4の近接を検知した場合に、打撃用機器がインナーロッド1を打撃し、当該打撃(打撃音、打撃の振動)がインナーロッド1を介して地上側に伝達されて、掘削用ビット4が開いたことが地上側のオペレータに把握される。
ビーコンは、インナーロッド1とアウターロッド2との間の空間2iに水が充填されていないと伝達出来ない恐れがある。それに対して、インナーロッド1を打撃すれば、インナーロッド1が媒体となって、当該打撃が為された旨が地上側へ確実に伝達される。
【0066】
図20〜図22の第2実施形態及びその変形例では、LEDランプ9の点灯(或いは点滅)により、掘削用ビット4が開いたことを、より直接的、より客観的に、地上側のオペレータが把握出来る。
また、いわゆる「全開」の状態でなければマグネットスイッチ5(或いは7)は作動しないので、「全開」状態か、或いは、その他の状態(「閉じた」状態やいわゆる「半開」状態)であるかが、地上側で明確に判断できる。
【0067】
図20〜図22の第2実施形態及びその変形例において、ビーコンの使用時のみ、インナーロッド1とアウターロッド2との間の空間2iに水が溜まる様に構成し、以って、ビーコンが確実に伝わるように構成することが好ましい。水のように密度の高い流体がインナーロッド1とアウターロッド2との間の空間2iに充填されていれば、ビーコンの伝播性能が向上するからである。
図23〜図25で示す第2実施形態の第2変形例では、掘削用ビット4が開いた際に、その旨をビーコンで地上に伝達する際にのみ、インナーロッド1とアウターロッド2との間の空間2iに水が溜まる様に構成されている。
図23〜図25の第2変形例において、図1〜図22と同様な部材には同様な符号を付して説明する。
【0068】
図23〜図25では、図20(第2実施形態)と同様に、ピストン3のピストン本体31には近接スイッチ、例えば静電容量の変動を検知するタイプのスイッチ5が設けられている。そして、インナーロッド1のシリンダ部11には、ピストン3が下降した際のスイッチ5(図24では符号5C)の位置と対応する位置に、静電容量を変化させるためのチップ5Mが埋設されている。
インナーロッド1のシリンダ部11近傍にはビーコン発信器6が取付けられ、
近接スイッチ5とビーコン発信器6とはラインLs1で接続されている。
ピストン3が下降して掘削用ビット4の全開する位置に到達すると、近接スイッチ5がONになり、ビーコン発信器6がビーコンを発信し、図23〜図25では図示しないビーコン受信器8が、そのビーコンを受信する。
【0069】
それに加えて、図23〜図25の第2変形例では、シリンダ部11の外周面に円環状のラバー11Rが設けられており、アウターロッド2の先端部22e近傍の領域の内壁面或いは内周面にも円環状のラバー2Rが設けられている。
図23で示すように、掘削用ロッド4が閉じてアウターロッド2内に収容された状態では、シリンダ部11のラバー11Rとアウターロッド2内周面のラバー2Rは離隔した位置にあるので、当該ラバー11R、2Rによりインナーロッド1とアウターロッド2との間における掘削水Wの流れが妨げられてしまうことはない。
【0070】
ピストン3が下降して掘削用ビット4の全開する位置に到達すると、図24で示すように、シリンダ部11のラバー11Rとアウターロッド2内周面のラバー2Rが当接して、掘削水Wが図24の下方に流れるのを遮断する。
その結果、インナーロッド1とアウターロッド2との間の空間2iに掘削水Wが貯留されて、空間2iに充填される。そして、近接スイッチ5(5C)の検出信号を受けたビーコン発信器6から発信されるビーコンは、空間2iに充填している掘削水Wを伝播して、地上側のビーコン受信器8(図21参照)に伝達される。
ここで、ビーコンは空気よりも密度が大きい水(掘削水)Wを伝播するので、ビーコンの伝播性能が向上する。
【0071】
掘削用ビット4を全開した旨がビーコンにより地上に伝達されたならば、図25の矢印UMで示すように、アウターロッド2を地上側(図25では上方)に若干量だけ引き上げる。
アウターロッド2を地上側に引き上げることにより、図25で示すように、シリンダ部11のラバー11Rとアウターロッド2内周面のラバー2Rが当接した状態が解除され、図25の矢印Wで示すように、掘削水はシリンダ部11とアウターロッド2の間の空間を流過する。
図23〜図25の第2変形例のその他の構成及び作用効果は、図20、図21の第2実施形態と同様である。
また、第2実施形態及びその変形例におけるその他の構成及び作用効果については、第1実施形態と同様である。
【0072】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本件はアンカーのみならず、地盤改良における地中固結体の造成にも適用することが出来る。
【符号の説明】
【0074】
1・・・中空管/インナーロッド
2・・・第2の中空管/アウターロッド
3・・・ピストン
3P・・・掘削ビット揺動用ピン
4・・・掘削用ビット
5、7・・・近接スイッチ/マグネットスイッチ
6・・・ビーコン発信装置
8・・・ビーコン受信機
9・・・LEDランプ
10・・・ロッド本体
11・・・シリンダ部
13・・・ヒンジピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばグラウンドアンカーの施工等の際に用いられる掘削装置であって、小径の掘削孔に連続して大径の掘削孔を掘削することが出来る掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小径の掘削孔HSに連続して大径の掘削孔HLを掘削された状態が、図26で示されている。
図26で示す様に施工地盤Gに、小径の掘削孔HSと、それに連続する大径の掘削孔HLを掘削し、グラウト材を充填し、テンドンを挿入してアンカー体を築造すれば、弱い地盤であっても、必要な耐力が得られる。
【0003】
図26で示す様に地盤Gを掘削するために、例えば、掘削ロッドの先端に左右一対の掘削ビットをそれぞれ枢軸により回転自在に取付け、掘削ロッドの内部にビット作動用ロッドを連結した連結ロッドを進退自在に挿入し、当該連結ロッドを進行側に押し込むことによって掘削用ビットを開き、開いた状態の掘削用ビットによって大径の掘削孔HLを掘削する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような従来技術では、インナーロッド内側に押込用ロッドを配置して、当該ロッドを地中側に押し込むことにより、閉じた状態の掘削用ビットを開いている。
【0004】
前記特許文献1では、大径の掘削孔HLを掘削した後、テンドンを挿入するために、掘削用ビットを閉じて掘削ロッドを引き上げなければならない。しかし、地盤中で左右に開いた掘削用ビットを閉じるには、土や礫の抵抗があるため、簡単には閉じた状態には戻らなかった。そのため、例えば、左右に開いた掘削用ビットを掘削ロッドから切り離し、掘削ロッドのみを引き上げる技術が提案されている(特許文献2参照)。しかし、このような残置式ビット(特許文献2のビット)では、掘削孔毎に掘削用ビットが必要となるため費用がかさむという問題があった。
【0005】
そして、前記特許文献1において、地盤中で左右に開いた掘削用ビットを閉じるためには、掘削ロッドの外側に外管を被せ、外管を固定した状態で掘削ロッドを上部に移動して掘削用ビットの外側部分を外管に当接させ、さらに掘削ロッドを引き上げることにより、左右に開いた掘削用ビットの外側部分で、掘削ロッドを上部へ引き上げる力が掘削用ビットを閉じる方向の力に転換されて、掘削用ビットを閉じることが出来る。
このため、上記特許文献1のような押込用ロッドを用いる場合には、掘削ビットの開閉に際して、外管、掘削用ロッド、押込用ロッドを同心に配置するために、三重管の構造を必要とする。しかし、三重管の継ぎ足しや、回転伝達等のためには複雑な構成が必要となるので、係る従来技術(特許文献1)では、施工のための各種コストが高騰してしまうという問題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3799170号公報
【特許文献2】特開2002−21071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、掘削用ロッドの先端に設けられた掘削用ビットを確実に開閉することができて、しかも、複雑な構造を採用しないことが可能である掘削装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の掘削装置は、中空管(例えば、インナーロッド1)先端に設けられており、該中空管(インナーロッド1)は第2の中空管(アウターロッド2)の内側に配置されて第2の中空管(アウターロッド2)に対して相対移動可能であり、ピストン(3)と、掘削用ビット(4)と、ピストン(3)を中空管(1)に対して相対的に移動する機構(例えば、流体圧を用いた機構、或いは、押し込みロッドを有する機構)と、ピストン(3)の移動により掘削用ビット(4)を開閉する機構とを有することを特徴としている(請求項1)。
【0009】
本発明において、ピストン(3)を中空管(1)に対して相対的に移動する機構は、中空管に流体(例えば高圧水)を供給し排出する機構(例えば、ポンプ)を有しているのが好ましい(請求項2)。
或いは、ピストン(3)を中空管(1)に対して相対的に移動する機構を、インナーロッド内側の空間に配置された押し込みロッドとすることも可能である(請求項3)。
【0010】
さらに本発明において、掘削用ビット(4)が開いた状態を、地上側で確認する機構(5〜9)を設けているのが好ましい(請求項4)。
【0011】
掘削用ビット(4)が開いた旨を地上側で確認するための具体的な構成としては、例えば、掘削用ビット(4)を開閉するためのピストン(3)が移動して掘削用ビット(4)が完全に開く位置に到達したときにピストン(3)が近接したことを検知する近接スイッチ(5)を設け、或いは、掘削用ビット(4)が完全に開いた位置に、掘削用ビット(4)の近接を検出する近接スイッチ(5)を設け、近接スイッチ(5)がピストン(3)を検知したときに、或いは、近接スイッチ(7)が掘削用ビット(4)を検知したときに、ビーコン発信器(6)がビーコンを発生する様に構成するのが好ましい。
ここで、ビーコンの発生時には、中空管(1)と第2の中空管(2)との間の空間に水が溜まる様に構成することが好ましい。
【0012】
また、ビーコンに代えて、中空管(1)を打撃する打撃用機器を設け、近接スイッチ(5)がピストン(3)を検知したときに、或いは、近接スイッチ(7)が掘削用ビット(4)を検知したときに、打撃用機器により中空管(1)を打撃して、水が無い状態でも、中空管(1)を介して地上側に打撃を伝達する様に構成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上述する構成を具備する本発明によれば、例えば中空管(インナーロッド1)を第2の中空管(アウターロッド2)と相対移動して掘削用ビット(4)を第2の中空管(2)の先端よりも地中側に進出せしめる。
そして、中空管(1)内に流体圧を作用させると、当該流体圧によりピストン(3)が中空管(インナーロッド1)に対して地中側へ相対移動する。ピストン(3)の地中側への移動により、掘削用ビット(4)がピストン(3)により押し開かれて、閉じた状態の掘削用ビット(4)が開いた状態となる。
そして、開いた状態の掘削用ビット(4)を用いて、地中に大径の掘削孔を掘削する。
【0014】
大径の掘削孔を掘削した後、中空管(インナーロッド1)を第2の中空管(アウターロッド2)に対して地上側に相対移動する(インナーロッド1を地上側に引き込む)と共に、中空管(1)内に作用している流体圧を解除或いは減圧する。
中空管(1)内に作用している流体圧を解除或いは減圧することにより、ピストン(3)は中空管(1)に対して地上側に相対移動して、掘削用ビット(4)を押し開く状態が維持されなくなる。それに加えて、中空管(1)を第2の中空管(2)に対して地上側に相対移動する(インナーロッド1を地上側に引き込む)ことにより、開いた状態の掘削用ビット(4)が第2の中空管(2)の管端部(22e)に当接して、閉じる方向に付勢される。その結果、開いた状態の掘削用ビット(4)は確実に閉じられる。
中空管(1)をさらに地上側に移動する(引き抜く)ことにより、閉じた状態の掘削用ビット(4)は第2の中空管(2)内に収容される。
これにより、掘削用ビット(4)を埋め殺すこと無く地上側に回収することが可能となり、地中で必要な掘削を行なった掘削用ビット(4)を再利用することが可能になる。
【0015】
また本発明において、ピストン(3)を中空管(1)に対して相対的に移動する機構として流体圧を用いた機構を選択にすれば(請求項2)、中空管(1)の内側に押し込み用のロッドを配置する必要が無く、三重管とする必要が無くなるので、継ぎ足しや、回転伝達の為に複雑な構成を必要としない。
【0016】
本発明において、掘削用ビット(4)が開いた状態を、地上側で確認出来る様に構成すれば、トルクの増大や、スラリーの増大により掘削用ビットが開いた状態を間接的に判断するよりも、より客観的に掘削用ビットが開いたか否かを把握することが出来る。
そして、掘削用ビット(4)が完全に開いたか(いわゆる「全開」)か、或いは、開く以前の段階であるのか(いわゆる「半開」)を判断することも出来る。
【0017】
ここで、なお、近接スイッチ(5、7)からの信号を有線で地上まで伝達するのでは、第2の中空管(2)や掘削用ビット(4)の回転により、当該有線が捻じ切れてしまう恐れが存在する。
これに対して、ビーコンや打撃音により近接スイッチ(5、7)からの信号を伝達するのであれば、有線が捻じ切れる恐れを考慮する必要が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態において、掘削用ビットが閉じた状態でアウターロッドから地中側に突出した状態を示す一部断面平面図である。
【図2】第1実施形態において、掘削用ビットが開いた状態を示す一部断面平面図である。
【図3】図2で示す掘削用ビットが開いた状態から掘削用ビットを閉じる際における各種力の方向を示す説明図である。
【図4】第1実施形態において、掘削用ビットが閉じてアウターロッド内に収容された状態を示す一部断面平面図である。
【図5】第1実施形態において、掘削用ビットとピストンとの第1の接続態様を示す斜視図である。
【図6】第1の態様におけるピストンの側面図である。
【図7】第1の態様におけるピストンの平面図である。
【図8】第1の態様におけるピストンの正面図である。
【図9】第1の態様でピストンに掘削用ビットを装着した正面図である。
【図10】第1実施形態において、掘削用ビットとピストンとの第2の接続態様を示す斜視図である。
【図11】第2の態様におけるピストンの側面図である。
【図12】第2の態様におけるピストンの平面図である。
【図13】第2の態様におけるピストンの正面図である。
【図14】第2の態様でピストンに掘削用ビットを装着した正面図である。
【図15】第1実施形態における掘削用ビットの平面図である。
【図16】掘削用ビットとピストンとの接続個所における要部及び掘削ビットの動作を示す部分拡大図である。
【図17】掘削用ビットとピストンとの接続個所における長孔を示す部分拡大図である。
【図18】掘削用ビットを開く際における掘削用ビットと、ピストン先端部と、回転中心軸と、長孔との相対的な位置関係を示す模式図である。
【図19】掘削用ビットを閉じる際における掘削用ビットと、ピストン先端部と、回転中心軸と、長孔との相対的な位置関係を示す模式図である。
【図20】本発明の第2実施形態における地中側先端部を示す一部断面平面図である。
【図21】第2実施形態における地上側端部を示す一部断面平面図である。
【図22】第2実施形態の変形例における地中側端部を示す一部断面平面図である。
【図23】第2実施形態の第2変形例において、掘削用ビットが閉じてアウターロッド内に収容された状態を示す一部断面平面図である。
【図24】第2実施形態の第2変形例において、掘削用ビットがアウターロッドから突出して開いた状態を示す一部断面平面図である。
【図25】第2実施形態の第2変形例において、掘削用ビットを開いて掘削水を流す状態を示す一部断面平面図である。
【図26】掘削孔の望ましい形状を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に、図1〜図18を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
【0020】
図1〜図4において、全体を符号100で示す第1実施形態に係る掘削装置は、インナーロッド1、アウターロッド2、ピストン3、1対の掘削用ビット4,4´を有している。
1対の掘削用ビット4、4´は左右対称の翼型ビットであり、図1において上下に重なった状態で示されている。ここで、掘削用ビット4´が掘削用ビット4の下方に位置しており、掘削用ビット4´の内、図1では直接目視出来ない部分の輪郭が点線で示されている。掘削用ビット4、4´は、掘削ビット揺動用ピン3Pに係合しており、掘削ビット揺動用ピン3Pの動き、すなわちピストン3の移動(図1では左右方向の移動)により、一対の掘削用ビット4、4´が同時に開閉動作を行なうように構成されている。
インナーロッド1は、図示を省略したロッド本体と、ロッド本体の先端に取付けたシリンダ部11と先端部12とを有している。
【0021】
シリンダ部11は、第1の内径部111、第2の内径部112、第3の内径部113を有している。第1の内径部111、第2の内径部112、第3の内径部113は連続しており、第1の内径部111が地上側で、第3の内径部113が地中側である。
また、第1の内径部111よりも第2の内径部112の方が内径寸法が大きく、第2の内径部112よりも第3の内径部113の方が内径寸法が大きい。
【0022】
アウターロッド2は、ロッド本体21と、その先端のビット22とを有している。ビット22はアウターロッド2で単管掘削する際に掘削用ビットとして作用する。そして、ビット22の基部側(地上側)の一部がロッド本体21に嵌入されており、ビット22が交換可能に構成されている。
【0023】
インナーロッド1の内側にはピストン3が設けられている。ピストン3は、インナーロッド1の第2の内径部112を摺動するように構成されている。換言すれば、第2の内径部112は、ピストン3に対するシリンダとしての機能を有している。
【0024】
インナーロッド1の先端部12は円筒状であり、外径部121、122を有している。先端部12の先端側(地中側:図1の右方)の外径部122における外径は、シリンダ部11の外径と概略同様である。一方、地上側の外径部121の外径寸法は、外径部122の外径寸法よりも小さい。
先端部12の地上側の外径部121は、シリンダ部11の第3の内径部113に嵌合し、以って、先端部12はインナーロッド1と一体化されている。
インナーロッド1の先端部12には、ヒンジピン13が設けられている。そして、ヒンジピン13を中心として掘削用ビット4が回動するように構成されている。
掘削用ビット4の開閉動作については後述する。
【0025】
第1実施形態では、掘削用ビット4とピストン3との接続について、図5〜図9で示す態様(第1の態様)と、図10〜図14で示す態様(第2の態様)とが存在する。
図5〜図9で示す第1の態様において、ピストン3は、図5で示すように、掘削ビット揺動用ピン3Pを先端部に嵌入した板状の先端部33と、小径部32とが、ピストン本体31に嵌合する様に構成されている。ここで、板状の先端部33と小径部32を、ピストン本体31と一体的に構成することも可能である。
【0026】
ピストン本体31の外周面は、インナーロッド1の第2の内径部112を摺動する様に構成されている。
小径部32には、中心軸に対する対称位置に(図5では上下に)、円弧状の切欠き322が形成されている。
第1の態様において、円弧状の切欠き322は合計4箇所形成された状態で示されているが、当該切欠き322は、掘削用ビット4の開放時に当接する位置に設ければ良い。具体的には、図8、図9において、掘削用ビット4が開放された際に掘削用ビット4のピン3P側の基部が当接する切欠き、すなわち、図8、図9における右上の切欠き322と、左下の切欠き322との2箇所に設ければ足りる。従って、図8、図9において、符号322Fで示す切欠きは、形成しなくても良い。
板状の先端部33の外縁部の面331は、小径部32に連続している。そして板状の先端部33の端部332は、単一の曲率半径を有する円弧により構成されている。
【0027】
板状の先端部33の端部332を構成する円弧の曲率中心に相当する位置には、貫通孔であるピン嵌入孔333が形成されている。ピン嵌入孔333には、掘削ビット揺動用ピン3Pが嵌入されている。
この掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削用ビット4に形成された掘削ビット揺動用ピン係合孔45と係合している。ピストン3が第2の内径部112内を移動する動きは、掘削ビット揺動用ピン3P及び掘削ビット揺動用ピン係合孔45を介して掘削用ビット4に伝達され、以って、掘削用ビット4の開閉が行われる。ピストン3の動きと掘削用ビット4の動作については、後述する。
図9では、ピストン3の掘削ビット揺動用ピン3Pに、1対の掘削用ビット4が係合している状態が、ピストン3の先端側(地中側)から示されている。
【0028】
一方、図10〜図14で示す第2の態様では、小径部32Aの先端部が二股に分岐しており、平行に配置された2本の部分320A、320Aを有している。図10において、図示の簡略化のため2本の部分320A、320Aは平板状に見えるが、実際には、2本の部分320A、320Aは、ピストン本体31Aの半径方向外側に凸となる様に湾曲した断面形状を有している。
図10〜図13に示すように、ピストン3Aは、ピストン本体31Aに小径部32Aが嵌合されて構成されているが、第1の態様と同様に、ピストン本体31Aと小径部32Aとが一体的に構成されていても良い。
【0029】
小径部32Aには溝320が形成されており、以って、二股に分岐した形状となっている。二股に分岐した部分320A、320Aの先端近傍には、溝320と直交する方向に2箇所の貫通孔324(図12)が形成されており、2箇所の貫通孔324に掘削ビット揺動用ピン3Pが嵌入している。換言すれば、第2の態様では、掘削ビット揺動用ピン3Pが、二股に分岐した部分320A、320Aを接続する様に設けられている。
図14では、ピストン3Aの部分320A、320Aを接続する掘削ビット揺動用ピン3Pに、2枚1対の掘削用ビット4が係合している状態が、ピストン3Aの先端側(地中側)から示されている。
第2の態様において、円弧状の切欠き322が2箇所設けられている。そして、掘削用ビット4の開放時には、当該掘削用ビット4が切欠き322に当接する。
【0030】
図15で示すように、掘削用ビット4は全体が1枚の板状に形成されており、地盤掘削時には地中側(掘削側)となる一方の辺41は、掘削が容易となるように加工されている。図15では、辺41には、先端(図15の右端)近傍に掘削用の歯43が形成されているが、辺41に硬質なチップを埋め込む加工を施すことも可能である。
掘削用ビット4の図15における左下部分には、円弧状の突出部44が形成されており、突出部44には掘削ビット揺動用ピン係合孔45が形成されている。掘削ビット揺動用ピン係合孔45は長孔であり、掘削ビット揺動用ピン3Pが係合する。
掘削用ビット4の背部42において、図15の左端側には円弧部46が形成され、この円弧部46は突出部44に連続して構成されている。円弧部46の近傍にはヒンジピン係合孔47が形成され、ヒンジピン係合孔47にはインナーロッド1の先端部12のヒンジピン13が係合している。掘削用ビット4は、ヒンジピン係合孔47を回転中心として回動し、開閉する。掘削用ビット4の開閉の詳細については、後述する。
【0031】
例えば図2において、掘削用ビット4が最大に開いた場合、すなわち、掘削用ビット4がピストン3の中心軸に対して90°となり、2枚の掘削用ビット4が為す角度が180°となった場合に、掘削用ビット4の円弧部46(図15)の形状と、ピストン3の小径部32の円弧状の切欠き322(図5〜図14)の円弧形状とは、いわゆる「相補的」な形状となっており、円弧部46と切欠き322とが係合している。相補的な形状である円弧部46と切欠き322とが係合することにより、掘削用ビット4が最大に開いた場合に、2枚の掘削用ビット4、4´が180°開いた状態よりもさらに広がって、地中側に押し込まれることを防止している。
なお、2枚の掘削用ビットが為す角度は、第2の内径部112、ピストン本体31、及び掘削ビット揺動用ピン3Pの相対的な位置関係や、円弧部46及び切欠き322の形状によって決まるので、それらを適宜設定することによって、掘削用ビット4が最大に開いた場合に、2枚の掘削用ビットが為す角度が180゜以上あるいは未満となるように設定することも可能である。
【0032】
図16では、掘削用ビット4における掘削ビット揺動用ピン係合孔45と、掘削ビット揺動用ピン3Pと、ヒンジピン係合孔47との位置関係を、掘削用ビット4の開閉動作と関連付けて示している。また図17では、掘削用ビット4における掘削ビット揺動用ピン係合孔45の形状の詳細が示されている。
図16において、閉じた状態の掘削用ビット4が実線で示されている。そして、開いた状態の掘削用ビット4Lが点線で示されている。
図1で説明したように、掘削用ビット4、4´は左右対称に一対設けられており、掘削ビット揺動用ピン係合孔45、掘削ビット揺動用ピン3P、ヒンジピン係合孔47の位置関係は、左右の掘削用ビット4、4´(図1)について同様である。図示の簡略化のため、図16では、片方の掘削用ビット4の開閉動作についてのみ示している。
なお、図16は、図1〜図4、図18、図19と、左右が逆の状態で表示されている。
【0033】
図17において、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の周縁部は、領域F1、F2、F3、F4、F5から構成されている。
掘削ビット揺動用ピン係合孔45における円弧状の領域F1、F2は、ヒンジピン係合孔47(図16参照)に近い方が領域F1であり、離隔している方が領域F2である。そして、円弧状の領域F1、F2は、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の両端部を構成している。
円弧状の領域F2では、後述するように掘削ビット揺動用ピン3Pが外接しながら移動する。そのため、円弧状の領域F2における曲率半径R1は、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径より少し長めの寸法に設定されている。図示の実施形態では、例えば、曲率半径R1が7mm、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径が6mmに設定されている。
【0034】
図17において、領域F1の曲率中心FC1と領域F2の曲率中心FC2との直線距離が符号L1で示されており、図示の実施形態では18mmに設定されている。
掘削ビット揺動用ピン係合孔45における周縁部の領域F3は、直線Jcと平行な直線で構成されている。そして、直線Jcは、円弧状の領域F1の曲率中心FC1と、円弧状の領域F2の曲率中心FC2とを通過している。
領域F4、F5は領域F3に対して傾斜しており、領域F4、F5は相互に向かい合うように延在している。そして、領域F4と領域F5とが突き当たる個所と、直線Jcとの距離は、符号L2で示されている。
【0035】
図16において、ピストン本体31(図示は省略)に嵌入した掘削ビット揺動用ピン3Pは、ピストン本体31の動作により、矢印ATcで示すように直線Tc上を移動する。ここで直線Tcは、掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点の軌跡を描いた直線である。
掘削ビット揺動用ピン3Pは掘削ビット揺動用ピン係合孔45に係合されており、掘削ビット揺動用ピン3Pが直線Tc上を動くことにより、掘削ビット揺動用ピン係合孔45が形成されている掘削用ビット4が開閉する。
【0036】
掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削用ビット4が閉じた状態では、図16において最も右方に位置している。
図16において、ピストン本体31が左に動作して、掘削ビット揺動用ピン3Pが直線Tc上を左に動くと、掘削ビット揺動用ピン3Pも図16において左方へ移動する。
そして、掘削ビット揺動用ピン3Pが、図16において最も左方の位置のときに、掘削用ビット4の開度は最大となる。ここで、掘削ビット揺動用ピン3Pの「図16において最も左方の位置」は、シリンダ部11(図1)の第2の内径部112(図1)と、ピストン本体31との相対的な位置関係によって決定される。
【0037】
ところで、掘削用ビット4を開閉するために掘削ビット揺動用ピン係合孔45が通過する軌跡Trは、ヒンジピン係合孔47の中心を曲率中心とする円弧となるので、掘削ビット揺動用ピン係合孔45とヒンジピン係合孔47との距離は常に一定である。
図16を参照して具体的に示すと、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F1の曲率中心FC1との距離が符号LF1で示されており、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2との距離が符号LF2で示されている。そして、掘削用ビット4の開閉により、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2が移動する軌跡が、符号Trで示されている。
円弧状の軌跡Trは、ヒンジピン係合孔47の中心点が曲率中心であり、曲率半径が距離LF2であるため、掘削用ビット4を開閉するに際して、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2との距離は、常に距離LF2となる。
【0038】
ここで、前述したように、掘削ビット揺動用ピン3Pの動きは直線運動であるため、直線Tc上を移動する掘削ビット揺動用ピン3Pの中心位置と、ヒンジピン係合孔47との距離は、掘削用ビット4の開閉に際して変動する。
掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点が、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点を結んだ直線がTcと直交する位置(長さL4の線分の位置)を通過するときに、「掘削ビット揺動用ピン3Pの中心位置と、ヒンジピン係合孔47の中心点との距離」は最小であり、図16において当該位置の左右では「掘削ビット揺動用ピン3Pの中心位置と、ヒンジピン係合孔47の中心点との距離」は大きくなる。
また前述のように、掘削ビット揺動用ピン3Pが左方向に動くことにより掘削用ビット4は開き、掘削ビット揺動用ピン3Pが図16において最も左方の位置のときに掘削用ビット4の開度は最大となる。掘削用ビット4の開度が最大となったときに、「ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点の距離」も最大となり、係る最大の距離が符号L3で示されている。
【0039】
ところで、掘削用ビット4を開いた状態で地盤を掘削するときに、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の端部F2の周縁部と、掘削ビット揺動用ピン3Pの外接面との隙間が大きいと、掘削用ビット4に「がた」を生じるため地盤の掘削に支障を来す。
そのため、地盤を掘削する際におけるヒンジピン係合孔47の中心点と、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F2の曲率中心FC2との距離L3は、掘削用ビット4が閉じた状態における掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F2の曲率中心FC2との距離LF2と同程度であることが好ましい。地盤を掘削する際における掘削ビット揺動用ピン係合孔45の端部F2の周縁部と、掘削ビット揺動用ピン3Pの外接面との隙間を、掘削用ビット4が閉じた状態における当該隙間と同程度にして、係る「がた」を抑制するためである。
【0040】
また、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点との距離が最小距離L4である場合においても、掘削ビット揺動用ピン係合孔45は掘削ビット揺動用ピン3Pを係合或いは挿入していなければならない。
そのため、ヒンジピン係合孔47の中心点と、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F1の曲率中心FC1との距離LF1は、当該最小距離L4以下でなければならない。
【0041】
図16を参照して、掘削用ビット4の開閉動作による掘削ビット揺動用ピン3Pと掘削ビット揺動用ピン係合孔45の動作を説明する。
図16において、掘削用ビット4が閉じた状態から掘削ビット揺動用ピン3Pが左方向に動き出すと、掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の周縁部を左方向に押しながら、領域F5、F4(図17参照)を通過し、領域F1に近接する。
そして、掘削ビット揺動用ピン3Pは、距離L4で示される位置(図16参照)を通過した後は、さらに掘削ビット揺動用ピン係合孔45の周縁部を左方向に押しながら、領域F4、F5(図17参照)を通過する。
図16において、掘削用ビット4が開いた状態では、掘削ビット揺動用ピン3Pは領域F2(図17参照)の周縁部に到達する。
【0042】
図1を参照して説明したように、掘削用ビット4、4´は、左右対称の翼型ビットが上下に重なった状態で同じ掘削ビット揺動用ピン3Pに係合しているので(図1、図9、図14参照)、掘削ビット揺動用ピン3Pの動きにより掘削用ビット4、4´が同時に開閉動作をする構成になっている。
つまり、図16に図示はしていないが、掘削用ビット4の対称となる掘削用ビット4´が掘削用ビット4に一部重なる位置に存在し(例えば図1参照)、掘削ビット揺動用ピン係合孔45と対称な掘削ビット揺動用ピン係合孔45´が、同一の掘削ビット揺動用ピン3Pに係合している。
そして、掘削用ビット4´は、ヒンジピン係合孔47´を中心軸として回動して開閉するため、掘削用ビット4´の開閉による掘削ビット揺動用ピン係合孔45´の動作は、直線Tcを対称軸として、掘削用ビット4の開閉による掘削ビット揺動用ピン係合孔45の動作と線対称になる。
【0043】
掘削用ビット4を開くために、掘削ビット揺動用ピン3Pが図16において最も右方の位置(掘削用ビット4が閉じた状態)から左方向に移動すると、掘削ビット揺動用ピン係合孔45は軌跡Trに沿って動くため、掘削ビット揺動用ピン3Pが、図16において最も右方の位置から距離L4で示される位置まで移動する間は、掘削ビット揺動用ピン係合孔45は直線Tcに対して図16では下方に移動する。
そのときに、掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削ビット揺動用ピン係合孔45´(図1参照:図16では図示せず)にも同様に作用をするので、図16で図示されない揺動用ピン係合孔45´も図16の左方向に押されて、直線Tcを対称軸として、軌跡Trと線対称な曲線に沿って移動する。すなわち、図16では図示しない揺動用ピン係合孔45´は、揺動用ピン係合孔45とは反対に、図16では直線Tcに対して上方に移動する。
【0044】
ここで、図16、図17で詳細を示す揺動用ピン係合孔45、45´では、その周縁部に「窪み」を形成している。
図17を参照して、揺動用ピン係合孔45(揺動用ピン係合孔45´も同様)において、揺動用ピン係合孔45の周縁部における領域F4、F5は領域F3に対して傾斜しており、相互に向かい合うように延在しているので、領域F4と領域F5とが突き当たる箇所は、直線Jcに対して窪んだ領域(窪み)となっている。
ここで、発明者の実験によれば、係る「窪み」、すなわち、図16において領域F4と領域F5とが突き当たる箇所と直線Jcとの距離L2から曲率半径R1の値を減算した数値(L2−R1)は、2mm以上が好ましく、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径以下であることが好ましい。
図示の実施形態では、窪みの頂点(F4、F5が突き当たる個所)と直線Jcとの距離であるL2が11mmであり、「窪み」すなわち距離L2から曲率半径R1を減算した数値(L2−R1)は4mmである。
【0045】
次に、掘削用ビット4の開閉動作について、図1〜図4に基づいて説明する。
図1で示す様に、ピストン3が後退した状態では、2つの掘削用ビット4が閉じている。
大径の掘削孔HL(図26参照)を掘削するに際しては、先ず、図1で示すように、アウターロッド2からインナーロッド1先端の掘削用ビット4を突出させる。
【0046】
次に、図2で示すように、インナーロッドの内部1iに加圧流体(液体、気体を含む)を供給して、インナーロッド1の内部空間1iを加圧して、図2における矢印Y方向の力を作用させる。インナーロッド1の内部空間1iに矢印Y方向の力を作用させると、掘削用ビット4に接続しているピストン3が地中側(図2の右側)に移動して、掘削用ビット4は矢印YO方向に回動して、開く。
そして、図2で示すように掘削用ビット4を開いた状態で、大径の掘削孔HL(図26参照)を掘削する。
掘削用ビット4を開く動作については、図18、図19で後述する。
なお、インナーロッド内部1iに加圧流体(水)を供給し、或いは排出する機構としては、例えば、地上側に設置されたポンプ(図示せず)が用いられる。
【0047】
開いた状態の掘削用ビット4を用いて大径の掘削孔HL(図26参照)を掘削したならば、図3において、インナーロッド1を地上側(図3では左側)に引っ張る(図3における矢印Y1の動作)。それと共に、インナーロッド内1iを減圧(矢印Yfの方向に負圧による吸引力が作用)して、掘削用ビット4に接続しているピストン3を地上側(図3の左側)に移動させる(矢印Y3)。
その際に、アウターロッド2のビット22は、掘削用ビット4の背部42、より詳細にはヒンジピン係合孔47よりも掘削歯43側或いは掘削用ビット4の先端側に当接し、掘削用ビット4を押圧する。アウターロッド2のビット22により、掘削用ビット4を押圧する力は、矢印Y2で示されている。
矢印3で示す力及び矢印Y2で示す力が、ヒンジピン13回りの偶力として作用し、係る偶力により、掘削用ビット4は矢印YS方向に回動して、閉じる。そして、図4で示すように、アウターロッド2の内部に収容される。
【0048】
図18では、掘削用ビット4を開く際における掘削用ビット4、ピストン3の先端部、ヒンジピン13、掘削ビット揺動用ピン係合孔45との相対的な位置関係が、(a)、(b)、(c)の順で示されている。
【0049】
図18(a)では、掘削用ビット4は閉じた状態となっている。掘削用ビット4が閉じた状態では、インナーロッド1に設けられたヒンジピン13の中心と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心との距離を符号Laで示す。
図18(a)で示す状態から、ピストン3が図18(a)の右方向に移動する(矢印Yr)。
ピストン3が矢印Yr方向へ移動すると、掘削用ビット4は、ヒンジピン13回りに反時計方向へ回動する(矢印R)。
【0050】
図18(b)は、ピストン3が矢印Yr方向に移動しているが、掘削用ビット4が開く以前の状態を示している。
図18(b)では、ヒンジピン13の中心と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心とを結ぶ直線が、ピストン3の移動方向に対して、概略直角となっている。そして、ヒンジピン13の中心と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心との距離Lbが、最短距離となっている。
図18(c)は、ピストン3が矢印Yr方向へさらに移動し、掘削用ビット4が全開となった状態を示しており、掘削用ビット4は、図18(a)の閉じた状態に対して90度開いている。
図18(c)の状態では、ヒンジピン13の中心と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心との距離Lcは、最も長くなる。
さらに図18(c)の状態では、相補的な形状をしている切欠き322と円弧部46とが係合することにより、掘削ビット4がそれ以上矢印Rの方向に回動することを防止している。
【0051】
図19では、掘削用ビット4を閉じる際における掘削用ビット4、ピストン3の先端部、ヒンジピン13、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の相対的な位置関係が、(a)、(b)の順で示されている。
【0052】
図19(a)の状態では、掘削用ビット4は開いている。
この状態から掘削用ビット4を閉じる際には、インナーロッド内1iの流体圧力が減圧されて、矢印Fで示す引張力を生じる。
インナーロッド内1iの流体圧力が減圧されるのと同時に、インナーロッド1(図19では図示せず)を地上側に引っ張ることにより、図19(a)においては相対的にアウターロッド2が掘削用ビット4に対して矢印Yrの押圧力を付加する。すなわち、アウターロッドの先端部22eが掘削用ビット4の背部42に当接し、矢印Yrで示す様に掘削用ビット4を押圧する。
【0053】
そのため、図19(a)において、掘削用ビット4は、ヒンジピン13の上部では右方向の力が加わり、ヒンジピン13の下部では左方向の力が加わる。換言すれば、掘削用ビット4は、ヒンジピン13回りに一対の偶力が矢印Rrで示す方向に作用する。その結果、掘削用ビット4はヒンジピン13を中心に時計回りに回動し(矢印Rr)、閉じる。
図19(b)は、掘削用ビット4が時計回りに回転し、完全に閉じた状態が示されている。
【0054】
図1〜図19の第1実施形態では、掘削用ビット4を開閉するに際しては、加圧流体を供給し或いは排出することによりインナーロッド内1iの空間を加圧し或いは減圧した。
これに対して、図示は省略するが、当該流体圧に代えて、インナーロッド内1iにピストン押圧用のロッドを配置し、当該ロッドとピストンとを接続し、地上側から地中に向けてこのロッドを押し込むことによって、ピストンを移動することも可能である。
【0055】
上述した構成の第1実施形態によれば、インナーロッド内1iに流体圧を作用することにより、ピストン3をインナーロッド1に対して地中側(先端側)に相対移動して、掘削用ビット4を押し開く。これにより、閉じた状態の掘削用ビット4が開いた状態になる。
一方、開いた状態の掘削用ロッド4を閉じる際には、インナーロッド内1iに作用している流体圧を解除或いは減圧して、ピストン3をインナーロッド1に対して地上側に相対移動する様に引っ張ることに加えて、インナーロッド1をアウターロッド2に対して地上側に相対移動することにより、開いた状態の掘削用ビット4がアウターロッド2のビット22に当接して、閉じる方向に付勢されて、確実に閉じられる。
そのため、掘削用ビット4を埋め殺すこと無く地上側に回収することが可能となり、回収された掘削用ビット4を再利用することが出来る。
【0056】
また第1実施形態では、ピストン3をインナーロッド1に対して相対的に移動する機構として、流体圧を用いた機構を用いている。そのため、インナーロッド1の内側に押し込み用のロッドを配置する必要が無く、三重管を構成する必要が無くなるので、継ぎ足しや、回転伝達の為に複雑な構成を用いる必要がない。
【0057】
次に、図20〜図22を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態では、掘削用ビット4が全開した状態を、地上側で確認することが出来る様に構成されている。
従来、トルクが増大し、及び/又は、スラリーが増大することにより、掘削用ビットが開いた旨を地上側のオペレータが把握していた。これに対して、掘削用ビットが開いたことを、より直接的、より客観的に把握するため、第2実施形態では、図20、図22で示すように、近接スイッチと、近接スイッチが作動したことを地上側に伝達する機構を備えている。
【0058】
図20、図21において、全体を符号101で示す第2実施形態の掘削装置は、近接スイッチ5及び信号発信機(例えばビーコン発信器)6を有している点で、図1〜図19の第1実施形態と相違している。
なお、図20、図21において、インナーロッド1のロッド本体が、符号10として示されている
【0059】
掘削装置101の地中側端部を示す図20において、近接スイッチ、例えば静電容量の変動を検知するタイプのスイッチ5が、ピストン3のピストン本体31に設けられている。
そして、インナーロッド1のシリンダ部11において、掘削用ビット4が全開した際におけるピストン3のスイッチ5の位置と対応する位置に、静電容量を変化させるためのチップ5Mが埋設されている。
明確には図示されていないが、スイッチ5にチップ5Mが近接した場合には、スイッチ5の感応部における静電容量が変化し、スイッチ5から検出信号が出力されるように構成されている。
【0060】
インナーロッド1のロッド本体10におけるシリンダ部11近傍には、ピストン3が掘削用ビット4の全開する位置に到達した旨を地上側に伝達するために、ビーコン発信器6が取付けられている。
そして、近接スイッチ5とビーコン発信器6とはラインLs1で接続されている。シリンダ部11とロッド本体10とは一体に移動するので、近接スイッチ5とビーコン発信器6とを接続するラインLs1が捻じ切れることはない。
上述した様に、ピストン3が下降して掘削用ビット4の全開する位置に到達すると、近接スイッチ5がONになり、ビーコン発信器6がビーコンを発生し、後述するビーコン受信器8が、そのビーコンを受信する。
ここで、ビーコンを用いたのは、地中側と地上側とを有線で伝達する場合には、掘削深度の増加に連れて有線長さを延長しなければならないことと、掘削用ビット4が回転する際に、有線が捻じ切れてしまう恐れがあることによる。
【0061】
掘削装置101の地上側端部を示す図21において、アウターロッド2の地上側の端部近傍の内壁面に、ビーコン受信器8が取付けられている。また、ビーコン受信器8が取付けられている近傍のアウターロッド2の外周部には視認装置、例えば、LEDランプ9が取付けられている。
ビーコン受信器8とLEDランプ9とは、ラインLs3によって接続されている。ビーコン受信器8とLEDランプ9とは、共にアウターロッド2に取り付けられているので、ラインLs3が捻じ切れてしまうことはない。
【0062】
そして、ピストン3が下降して掘削用ビット4の全開する位置に到達し、地上側のビーコン受信器8がビーコン発信器6からのビーコンを受信すると、LEDランプ9が点灯、或いは点滅する。これにより、地上側で掘削用ビット4が開いたことを把握する。
なお、LEDランプ9に代えて、或いはそれに加えて、ブザーを使用することも可能である。
図21において、符号20はスイベル装置を示し、符号201はスイベル装置における流体供給口を示し、符号202は流体排出口を示している。
【0063】
図22は、第2実施形態における地中側端部の変形例を示している。
図22の変形例では、近接スイッチとしてマグネットスイッチ7を採用し、その設置位置として、インナーロッド1の先端部12を選択している。
【0064】
図22において、左側の掘削用ビット4には、掘削用ビット4が全開した際に、マグネットスイッチ7に対向する位置に磁性体部材7Mが埋設されている。マグネットスイッチ7は、磁性体部材7Mからの磁力線を検知して、検知信号を出力する。この場合、1対の掘削用ビット4として、材料非磁性体の材料が使用されている。
マグネットスイッチ7とビーコン発信器6とはラインLs2によって接続されている。掘削用ビット4とインナーロッド1とは一体に回転するので、マグネットスイッチ7とビーコン発信器6とを接続するラインLs2が捻じ切れてしまう恐れはない。
図22の変形例のその他の構成及び作用効果は、図20、図21の第2実施形態と同様である。
【0065】
図示はされていないが、図20〜図22において、インナーロッド1を打撃する打撃用機器をビーコンに代えて設置し、近接スイッチ5がピストン3の近接を検知した場合、或いは、マグネットスイッチ7が掘削用ビット4の近接を検知した場合に、打撃用機器がインナーロッド1を打撃し、当該打撃(打撃音、打撃の振動)がインナーロッド1を介して地上側に伝達されて、掘削用ビット4が開いたことが地上側のオペレータに把握される。
ビーコンは、インナーロッド1とアウターロッド2との間の空間2iに水が充填されていないと伝達出来ない恐れがある。それに対して、インナーロッド1を打撃すれば、インナーロッド1が媒体となって、当該打撃が為された旨が地上側へ確実に伝達される。
【0066】
図20〜図22の第2実施形態及びその変形例では、LEDランプ9の点灯(或いは点滅)により、掘削用ビット4が開いたことを、より直接的、より客観的に、地上側のオペレータが把握出来る。
また、いわゆる「全開」の状態でなければマグネットスイッチ5(或いは7)は作動しないので、「全開」状態か、或いは、その他の状態(「閉じた」状態やいわゆる「半開」状態)であるかが、地上側で明確に判断できる。
【0067】
図20〜図22の第2実施形態及びその変形例において、ビーコンの使用時のみ、インナーロッド1とアウターロッド2との間の空間2iに水が溜まる様に構成し、以って、ビーコンが確実に伝わるように構成することが好ましい。水のように密度の高い流体がインナーロッド1とアウターロッド2との間の空間2iに充填されていれば、ビーコンの伝播性能が向上するからである。
図23〜図25で示す第2実施形態の第2変形例では、掘削用ビット4が開いた際に、その旨をビーコンで地上に伝達する際にのみ、インナーロッド1とアウターロッド2との間の空間2iに水が溜まる様に構成されている。
図23〜図25の第2変形例において、図1〜図22と同様な部材には同様な符号を付して説明する。
【0068】
図23〜図25では、図20(第2実施形態)と同様に、ピストン3のピストン本体31には近接スイッチ、例えば静電容量の変動を検知するタイプのスイッチ5が設けられている。そして、インナーロッド1のシリンダ部11には、ピストン3が下降した際のスイッチ5(図24では符号5C)の位置と対応する位置に、静電容量を変化させるためのチップ5Mが埋設されている。
インナーロッド1のシリンダ部11近傍にはビーコン発信器6が取付けられ、
近接スイッチ5とビーコン発信器6とはラインLs1で接続されている。
ピストン3が下降して掘削用ビット4の全開する位置に到達すると、近接スイッチ5がONになり、ビーコン発信器6がビーコンを発信し、図23〜図25では図示しないビーコン受信器8が、そのビーコンを受信する。
【0069】
それに加えて、図23〜図25の第2変形例では、シリンダ部11の外周面に円環状のラバー11Rが設けられており、アウターロッド2の先端部22e近傍の領域の内壁面或いは内周面にも円環状のラバー2Rが設けられている。
図23で示すように、掘削用ロッド4が閉じてアウターロッド2内に収容された状態では、シリンダ部11のラバー11Rとアウターロッド2内周面のラバー2Rは離隔した位置にあるので、当該ラバー11R、2Rによりインナーロッド1とアウターロッド2との間における掘削水Wの流れが妨げられてしまうことはない。
【0070】
ピストン3が下降して掘削用ビット4の全開する位置に到達すると、図24で示すように、シリンダ部11のラバー11Rとアウターロッド2内周面のラバー2Rが当接して、掘削水Wが図24の下方に流れるのを遮断する。
その結果、インナーロッド1とアウターロッド2との間の空間2iに掘削水Wが貯留されて、空間2iに充填される。そして、近接スイッチ5(5C)の検出信号を受けたビーコン発信器6から発信されるビーコンは、空間2iに充填している掘削水Wを伝播して、地上側のビーコン受信器8(図21参照)に伝達される。
ここで、ビーコンは空気よりも密度が大きい水(掘削水)Wを伝播するので、ビーコンの伝播性能が向上する。
【0071】
掘削用ビット4を全開した旨がビーコンにより地上に伝達されたならば、図25の矢印UMで示すように、アウターロッド2を地上側(図25では上方)に若干量だけ引き上げる。
アウターロッド2を地上側に引き上げることにより、図25で示すように、シリンダ部11のラバー11Rとアウターロッド2内周面のラバー2Rが当接した状態が解除され、図25の矢印Wで示すように、掘削水はシリンダ部11とアウターロッド2の間の空間を流過する。
図23〜図25の第2変形例のその他の構成及び作用効果は、図20、図21の第2実施形態と同様である。
また、第2実施形態及びその変形例におけるその他の構成及び作用効果については、第1実施形態と同様である。
【0072】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本件はアンカーのみならず、地盤改良における地中固結体の造成にも適用することが出来る。
【符号の説明】
【0074】
1・・・中空管/インナーロッド
2・・・第2の中空管/アウターロッド
3・・・ピストン
3P・・・掘削ビット揺動用ピン
4・・・掘削用ビット
5、7・・・近接スイッチ/マグネットスイッチ
6・・・ビーコン発信装置
8・・・ビーコン受信機
9・・・LEDランプ
10・・・ロッド本体
11・・・シリンダ部
13・・・ヒンジピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空管先端に設けられており、該中空管は第2の中空管の内側に配置されて第2の中空管に対して相対移動可能であり、ピストンと、掘削用ビットと、ピストンを中空管に対して相対的に移動する機構と、ピストンの移動により掘削用ビットを開閉する機構とを有することを特徴とする掘削装置。
【請求項2】
ピストンを中空管に対して相対的に移動する機構は、中空管に流体を供給し排出する機構を有している請求項1の掘削装置。
【請求項3】
ピストンを中空管に対して相対的に移動する機構は、インナーロッド内側の空間に配置された押し込みロッドである請求項1の掘削装置。
【請求項4】
掘削用ビットが開いた状態を地上側で確認する機構を設けている請求項1〜3の何れか1項の掘削装置。
【請求項1】
中空管先端に設けられており、該中空管は第2の中空管の内側に配置されて第2の中空管に対して相対移動可能であり、ピストンと、掘削用ビットと、ピストンを中空管に対して相対的に移動する機構と、ピストンの移動により掘削用ビットを開閉する機構とを有することを特徴とする掘削装置。
【請求項2】
ピストンを中空管に対して相対的に移動する機構は、中空管に流体を供給し排出する機構を有している請求項1の掘削装置。
【請求項3】
ピストンを中空管に対して相対的に移動する機構は、インナーロッド内側の空間に配置された押し込みロッドである請求項1の掘削装置。
【請求項4】
掘削用ビットが開いた状態を地上側で確認する機構を設けている請求項1〜3の何れか1項の掘削装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−7399(P2012−7399A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144873(P2010−144873)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(390036504)日特建設株式会社 (99)
【出願人】(591002234)株式会社樋口技工 (7)
【出願人】(591167810)株式会社和工 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(390036504)日特建設株式会社 (99)
【出願人】(591002234)株式会社樋口技工 (7)
【出願人】(591167810)株式会社和工 (5)
【Fターム(参考)】
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