説明

採光パネル

【課題】様々な厚みのパネル体に対応でき、見栄えのよい採光パネルを提供する。
【解決手段】採光パネル1は、パネル体2の表面材20及び芯材21を貫通する採光溝3と、前記採光溝の開口端近傍に幅広となる段堀部4とが形成されるとともに、前記段堀部に係止される係止部50を有する透光部材5が嵌め込まれたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉、内装パネル、間仕切りなどに用いられる採光パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、透光部材が組み込まれた採光パネルが扉、内装パネル、間仕切りなどに採用されている。
例えば下記特許文献1には、パネル体の厚み方向に貫通する開口部を設け、この開口部に透光部材を嵌め入れ、パネル体の表裏面から突出した透光部材の周縁角部を面取り形成したものが開示されている。
これによれば、透光部材を取り付けるための額縁状の取付部材なしに容易に透光部材をパネル体に組み込むことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−257773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の採光パネルは、一部材の透光部材がパネル体を貫通しており、様々な厚みのパネル体に対応させる困難である。
また上記特許文献1に記載の採光パネルは、透光部材をパネル体の表裏面側から突出させているので、パネル体の表面と透光部材の表面が面一となるスタイリッシュで見栄えのよい採光パネルを作製するには適していない。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、様々な厚みのパネル体に対応でき、見栄えのよい採光パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る採光パネルは、パネル体の表面材及び芯材を貫通する採光溝と、前記採光溝の開口端近傍に幅広となる段堀部とが形成されるとともに、前記段堀部に係止される係止部を有する透光部材が嵌め込まれていることを特徴とする。
この構成によれば、様々な厚みのパネル体に対応でき、見栄えのよい採光パネルを得ることができる。
【0007】
本発明において前記段堀部の深さは、前記透光部材の表面から前記係止部の前記段堀部との係止面までの長さと略等しくなるように形成されているものとしてもよい。
この構成によれば、パネル体の表面と透光部材の表面とが面一な採光パネルを得ることができる。
【0008】
また本発明において前記透光部材の側面には、前記透光部材の表面側から前記係止部に向けて傾斜した傾斜面が形成されているものとしてもよい。
この構成によれば、透光部材の表面から入る光を効果的に傾斜面に反射させることができ、段堀部の掘削断面が目立たない。
【0009】
さらに本発明において前記傾斜面の表面には、粗面化処理がなされているものとしてもよい。
この構成によれば、透光部材の表面から入る光を乱反射させることができ、より一層段堀部の掘削断面が目立たなくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る採光パネルによれば、様々な厚みのパネル体に対応でき、見栄えのよい採光パネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る採光パネルを扉に用いた例を示しており、その正面図である。(b)は図1(a)のX−X線矢視拡大断面図である。
【図2】図1(b)のY部拡大図である。
【図3】同採光パネルに嵌め入れられる透光部材の斜視図である。
【図4】(a)〜(c)は同採光パネルの作製工程の一例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明における採光パネル1の実施形態の一例について、図1〜図4に基づいて説明する。
本実施形態に示す採光パネル1は、パネル体2の表面材20及び芯材21を貫通する採光溝3と、採光溝3の開口端近傍に幅広となる段堀部4とが形成されるとともに、段堀部4に係止される係止部50を有する透光部材5が嵌め込まれて構成されている。段堀部4は、パネル体2の表裏面のそれぞれに形成されており、これら段堀部4のそれぞれに透光部材5が嵌め込まれている。
採光パネル1は、図1(a)に示すように長方形状の板体よりなり、ドアハンドル10を有した内装扉として適用することができ、この場合、採光パネル1は居室内の出入口に設置され、透光部材5を介して居室内外の光を取り込むことができる。
【0013】
パネル体2は、略角柱形状に加工された複数の芯材21で枠組みされるとともに、これら芯材21に表面材20が貼着された、いわゆるフラッシュ構造の木質パネルである。
表面材20としては合板、LVL、パーティクルボード(PB)などの木質系材、芯材21としては集成材、無垢材などを用いることができる。表面材20の表面には、樹脂化粧シート(不図示)を貼り付けたものとしてもよい。
透光部材5としてはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透光性樹脂材や、透明または半透明のガラス材などを用いることができる。
【0014】
採光溝3は、透光部材5の幅及び長さに対応するように、パネル体2の縦枠を構成する芯材21を掘削加工することにより形成される。
なお、採光溝3は、複数の縦枠を採光溝3の幅に合わせて配置するとともに、これらの縦枠を跨ぐように複数の横枠を採光溝3の高さに合わせて配置することにより形成されていてもよい。
段堀部4の深さは、パネル体2の厚さの略半分より浅く、透光部材5の表面5bから係止部50の段堀部4との係止面50aまでの長さとが略等しくなるように形成されている。
なお、図1(b)、図4等には、パネル体2の縦枠を構成する芯材21に段堀部4が形成された例を示すが、段堀部4は横枠を構成する芯材21に形成されたものとしてもよく、この場合、段堀部4の位置に対応するよう透光部材5の係止部50が設けられる。
図4(b)には段堀部4の深さを4aで示しており、図4(c)には透光部材5の表面5bから係止部50の係止面50aまでの長さを5aで示している。よって4a=5aとなることが望ましく、この構成によれば、透光部材5の表面5bとパネル体2の表面20aとが面一となる採光パネル1とすることができる。
【0015】
次に透光部材5について図2、図3を参照しながら、説明する。なお、図2では説明のため透光部材5のハッチングを付していないが断面図を示している。
透光部材5の両側面に形成される係止部50は、段堀部4に係止されるものであればよく、ここでは段堀部4の内側面方向に突起状に形成された係止部50を示している。
また透光部材5の係止部50を備えた側面には、透光部材5の表面5b側から入射した光を反射させる傾斜面51が形成されているものが望ましい。この傾斜面51は、透光部材5の表面5b側から係止部50に向けて次第に幅狭になるように傾斜して形成されている。
【0016】
透光部材5は、上述した表面5bが、採光パネル1の内外への光を入射又は出射すべく、パネル体2の表面と面一になるように配置され、このとき、表面5bに正対する位置、すなわち採光パネル1の内方側に係止部50が配置される。
また、透光部材5は、透光部材5の表面端部からの段堀部4の内側面に当接した状態で嵌め入れられる側面部52を備えており、さらに好ましくは図に示すように、採光溝3の内側面に沿って当接した状態で嵌め入れられるよう形成された一対の突出部53を備えたものとしてもよい。
この一対の突出部53は採光溝3の溝幅に合わせて形成され、これを備えたものの場合は、透光部材5の段堀部4への嵌合力をより強固にすることができる。
透光部材5の平面部52と、係止部50と、突出部53とが採光溝3と段堀部4の内側面に当接した状態で嵌め入れられることによって段堀部4に嵌合される。このとき、採光溝3と段堀部4の内側面と当接する面に接着剤を塗布して嵌め入れるようにしてもよい。
この場合は嵌合力が強まり、容易に透光部材5が段堀部4から外れてしまうことを防ぐことができる。
【0017】
図2には透光部材5を透過する光の光路を1点鎖線6で示している。
透光部材5の係止部50を備えた両側面を傾斜面51とすることにより、表面5b側から入射した光を全反射させる面を増やすことができる。これにより、段堀部4の掘削断面(内側面)を目立たなくすることができるが、粗面化処理(シボ加工など)がなされていることが望ましい。
この場合は、透光部材5の表面5bから入射した光が、粗面化処理された傾斜面51に当たって乱反射し、表面材20の断面や段堀部21の内側面に化粧シートなどを貼り付けなくても、より一層、掘削断面を目立たなくすることができる。
【0018】
続いて図4を参照しながら、採光パネル1の作製方法の一例について説明する。
まず、芯材21の表裏に表面材20が貼着されたパネル体2を形成する(図4(a)参照)。芯材21が配された位置に表面材20及び芯材21を貫通する採光溝3を形成する。
採光溝3の開口端近傍それぞれに採光溝3より幅広の段堀部4を形成する(図4(b)参照)。
このとき、段堀部4の深さは、上述のように段堀部4に嵌め入れられる透光部材5の表面から係止部50の係止面50aまで長さとが略等しくなるように形成する。
そして採光溝3の両開口端近傍のそれぞれに形成された段堀部4に透光部材5を嵌め入れる。このとき、上述のように接着剤を透光部材5に塗布した状態で透光部材5を段堀部4に嵌め入れるようにしてもよい。
透光部材5を段堀部4に嵌め入れる際には、透光部材5の突出部53側から嵌め入れていく。そして段堀部4と採光溝3との境界の段差部に係止部50の係止面50aが当接するまで挿入し、透光部材5を備えた採光パネル1を得る。
【0019】
この構成によれば、透光部材5は段堀部4に嵌め入れられる大きさとすればよいので、パネル体2の厚みに応じて透光部材5の厚みを厚くする必要がなく、様々な厚みのパネル体2に対応することができる。
またこの構成によれば、パネル体2の表面20aと透光部材5の表面5bが面一となるスタイリッシュで見栄えのよい採光パネル1を得ることができる。
さらにこの構成によれば、採光溝3に形成された段堀部4に透光部材5に形成された係止部50が係止され嵌合関係となるので、接着剤を用いる場合でも、多量の接着剤を要することがない。
【0020】
以上、ここでは内装扉に適用された採光パネル1の例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば内装パネル、間仕切りなどにも適用可能である。
また採光パネル1、採光溝3、段堀部4及び透光部材5の形状などは図例に限定されるものではなく、例えば採光溝3が正方形の小さなものであってもよいし、横方向に長いもの、縦方向の全幅に形成されているものなどであってもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 採光パネル
2 パネル体
20 表面材
21 芯材
3 採光溝
4 段堀部
5 透光部材
50 係止部
51 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル体の表面材及び芯材を貫通する採光溝と、
前記採光溝の開口端近傍に幅広となる段堀部とが形成されるとともに、
前記段堀部に係止される係止部を有する透光部材が嵌め込まれていることを特徴とする採光パネル。
【請求項2】
請求項1において、
前記段堀部の深さは、前記透光部材の表面から前記係止部の前記段堀部との係止面までの長さと略等しくなるように形成されていることを特徴とする採光パネル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において
前記透光部材の側面には、前記透光部材の表面側から前記係止部に向けて傾斜した傾斜面が形成されていることを特徴とする採光パネル。
【請求項4】
請求項3において、
前記傾斜面の表面には、粗面化処理がなされていることを特徴とする採光パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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