説明

接合体製造装置及び接合体製造方法

【課題】接合体の反りの発生を防止することができ、生産性の高い接合体製造装置及び接合体製造方法を提供する。
【解決手段】触媒層と電解質膜との接合体または拡散層と触媒層担持電解質膜との接合体を製造する接合体製造装置であって、触媒層及び拡散層のいずれかである複数の転写層を一面に担持させてなる担持基材と、電解質膜及び触媒層担持電解質膜のいずれかである被転写層からなる基材とを、転写層と被転写層とが接触する状態で加熱及び加圧して、連続的に転写層を基材に転写し接合体を形成する加熱加圧手段と、接合体を連続的に冷却及び加圧する冷却加圧手段と、を有し、加熱加圧手段及び冷却加圧手段は、各転写層に対して面接触または複数線接触する接合体製造装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合体製造装置及び接合体製造方法に関し、詳しくは、触媒層と電解質膜との接合体、あるいは触媒層を有する電解質膜と拡散層との接合体等を製造する接合体製造装置及び接合体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題や資源問題への対策の一つとして、酸素や空気等の酸化性ガスと、水素やメタン等の還元性ガス(燃料ガス)あるいはメタノール等の液体燃料等とを原料として電気化学反応により化学エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する燃料電池が注目されている。燃料電池は、電解質膜の一方の面に燃料極(アノード触媒層)と、もう一方の面に空気極(カソード触媒層)とを電解質膜を挟んで対向するように設け、各触媒層の上に拡散層をさらに設け、これらを原料供給用の通路を設けたセパレータで挟んで電池が構成され、各触媒層に水素、酸素等の原料を供給して発電する装置である。
【0003】
燃料電池は、発電に使用される原料のガスや液体燃料が豊富に存在すること、また、その発電原理より排出される物質が水であること等により、クリーンなエネルギー源として様々な検討がされている。
【0004】
このような燃料電池等に用いられる触媒層と電解質膜との接合体、あるいは触媒層を有する電解質膜と拡散層との接合体等を製造する接合体製造装置及び製造方法としては、例えば、特許文献1に、触媒担持フィルムの触媒層を電解質膜上に熱間プレスあるいは熱間ローラにより転写し、一体化して触媒層−電解質接合体を形成する方法が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、触媒担持フィルムと予備加熱された電解質膜とを加熱加圧ローラによりホットプレスして触媒層を転写した後、冷却ローラにより冷却すると共に剥離ローラによりフィルムを剥離する接合体製造装置が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−64574号公報
【特許文献2】特開2001−196070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された方法のような熱間プレスによる転写では、触媒層担持フィルムと電解質膜とを1枚ずつプレスして触媒層を転写して、その後そのままの状態で1枚ずつ放冷する必要があるため、作業時間がかかり生産性が悪い。
【0008】
また、特許文献1及び特許文献2に記載された熱間ローラ(加熱加圧ローラ)による転写では、触媒層担持フィルム及び電解質膜と熱間ローラとの接触が線接触であり、触媒層担持フィルム及び電解質膜全体に均一に熱を与えることができない。また、熱間ローラによる加熱加圧後の冷却過程で接合体の反りが生じる場合がある。特許文献2のように、加熱加圧後に冷却ローラによる冷却工程を設けた場合でも、触媒層担持フィルム及び電解質膜と冷却ローラとの接触が線接触であり、触媒層担持フィルム及び電解質膜全体が均一に冷却されないため、接合体の反りが生じる場合がある。また、同様の問題は、触媒層担持電解質膜と拡散層との接合体等の製造においても発生する。
【0009】
本発明は、触媒層担持フィルムを用いた触媒層の電解質膜への加熱加圧による転写、あるいは拡散層担持フィルムを用いた拡散層の触媒層担持電解質膜への加熱加圧による転写等において、得られる接合体の反りの発生を防止することができる接合体製造装置及び接合体製造方法である。
【0010】
また、本発明は、生産性の高い接合体製造装置及び接合体製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、触媒層と電解質膜との接合体または拡散層と触媒層担持電解質膜との接合体を製造する接合体製造装置であって、前記触媒層及び前記拡散層のいずれかである複数の転写層を一面に担持させてなる担持基材と、前記電解質膜及び前記触媒層担持電解質膜のいずれかである被転写層からなる基材とを、前記転写層と前記被転写層とが接触する状態で加熱及び加圧して、連続的に前記転写層を前記基材に転写し接合体を形成する加熱加圧手段と、前記接合体を連続的に冷却及び加圧する冷却加圧手段と、を有し、前記加熱加圧手段及び冷却加圧手段は、各前記転写層に対して面接触または複数線接触する。
【0012】
また、前記接合体製造装置において、前記加熱加圧手段及び冷却加圧手段の少なくともいずれかは熱伝導性弾性体を含んでなり、前記熱伝導性弾性体が面接触または複数線接触することが好ましい。
【0013】
また、前記接合体製造装置において、前記加熱加圧手段及び冷却加圧手段の少なくともいずれかは金属材料を含んでなり、前記金属材料が面接触または複数線接触することが好ましい。
【0014】
また、前記接合体製造装置において、前記加熱加圧手段及び冷却加圧手段の少なくともいずれかは、無限軌道方式であることが好ましい。
【0015】
また、前記接合体製造装置において、前記加熱加圧手段及び冷却加圧手段の少なくともいずれかは複数のローラを含んでなり、前記複数のローラが複数線接触することが好ましい。
【0016】
また、前記接合体製造装置において、前記熱伝導性弾性体からなるプレートが面接触することが好ましい。
【0017】
また、前記接合体製造装置において、前記熱伝導性弾性体からなるベルトが面接触することが好ましい。
【0018】
また、前記接合体製造装置において、前記熱伝導性弾性体を加圧変形させて面接触することが好ましい。
【0019】
さらに、本発明は、触媒層と電解質膜との接合体または拡散層と触媒層担持電解質膜との接合体を製造する接合体製造方法であって、前記触媒層及び前記拡散層のいずれかである複数の転写層を一面に担持させてなる担持基材と、前記電解質膜及び前記触媒層担持電解質膜のいずれかである被転写層からなる基材とを、前記転写層と前記被転写層とが接触する状態で加熱及び加圧して、連続的に前記転写層を前記基材に転写し接合体を形成する加熱加圧工程と、前記接合体を連続的に冷却及び加圧する冷却加圧工程と、を含み、前記加熱加圧工程及び冷却加圧工程において、前記加熱及び加圧ならびに前記冷却及び加圧は、各前記転写層に対して面接触または複数線接触により行われる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、触媒層担持フィルムを用いた触媒層の電解質膜への加熱加圧による転写、あるいは拡散層担持フィルムを用いた拡散層の触媒層担持電解質膜への加熱加圧による転写等において、各触媒層または各拡散層の一面に対して面接触または複数線接触して加熱加圧及び冷却加圧することにより、得られる接合体の反りの発生を防止することができる接合体製造装置及び接合体製造方法を提供することができる。
【0021】
また、本発明では、連続的に加熱加圧及び冷却加圧することにより、生産性の高い接合体製造装置及び接合体製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る接合体製造装置及び接合体製造方法について説明する。
【0023】
本発明の実施形態に係る接合体製造装置は、触媒層と電解質膜との接合体または拡散層と触媒層担持電解質膜との接合体を製造する接合体製造装置であって、触媒層及び拡散層のいずれかである複数の転写層を一面に担持させてなる担持基材と、電解質膜及び触媒層担持電解質膜のいずれかである被転写層からなる基材とを、転写層と被転写層とが接触する状態で加熱及び加圧して、連続的に転写層を基材に転写し接合体を形成する加熱加圧手段と、接合体を連続的に冷却及び加圧する冷却加圧手段と、を有し、加熱加圧手段及び冷却加圧手段は、各転写層に対して面接触または複数線接触する。
【0024】
なお、本明細書において、従来のローラ方式のようにローラと被加熱加圧部材または被冷却加圧部材が線または極狭い幅で接触する場合を「線接触」といい、本実施形態のように加熱加圧部または冷却加圧部の接触部と被加熱加圧部材または被冷却加圧部材とが一定の幅以上で接触する場合を「面接触」と呼ぶ。また、ローラ等による「線接触」を1つの被加熱加圧部材または被冷却加圧部材に対して複数行い、加熱加圧部または冷却加圧部と被加熱加圧部材または被冷却加圧部材とが複数の「線接触」で接触する場合を「複数線接触」と呼ぶ。
【0025】
図1に本発明の実施形態に係る接合体製造装置1の構成の一例を示す。接合体製造装置1は、基材供給ローラ10、担持基材供給ローラ12A,12B、ガイドローラ14A,14B、加熱加圧部16A,16B、冷却加圧部18A,18B、接合体巻取ローラ20、フィルム巻取ローラ22A,22B等を備える。
【0026】
接合体製造装置1において、被転写層からなる基材を供給する基材供給ローラ10の上方に、転写層を一面に担持させてなる担持基材を供給する担持基材供給ローラ12Aが、基材供給ローラ10の下方に担持基材供給ローラ12Bが配置されている。基材供給ローラ10の右側には、ガイドローラ14Aが配置され、さらに右側に加熱加圧部16A,16Bが、基材供給ローラ10から供給される基材及び担持基材供給ローラ12A、12Bから供給される担持基材の面に対しそれぞれ上下に基材及び担持基材を挟むように配置されている。さらにその右側には、冷却加圧部18A,18Bが同じく、基材供給ローラ10から供給される基材及び担持基材供給ローラ12A、12Bから供給される担持基材の面に対してそれぞれ上下に基材及び担持基材を挟むように配置されている。冷却加圧部18A,18Bの右側にガイドローラ14B、さらにその右側に得られる接合体を巻き取る接合体巻取ローラ20が配置されている。また、接合体巻取ローラ20の上方に転写層が剥離された担持基材を巻き取るフィルム巻取ローラ22Aが、接合体巻取ローラ20の下方にフィルム巻取ローラ22Bが配置されている。
【0027】
次に、本実施形態に係る接合体製造装置1により接合体が製造される動作について図1に基づいて説明する。基材供給ローラ10は、被転写層からなる基材である電解質膜24を巻き出して供給する。担持基材供給ローラ12Aは、図2に示すような、転写層である燃料極(アノード触媒層)28が担持基材であるフィルム32に一面に担持された触媒層担持フィルム26Aを、担持基材供給ローラ12Bは、転写層である空気極(カソード触媒層)30が担持基材であるフィルム32に一面に担持された触媒層担持フィルム26Bを、それぞれ巻き出して供給する。ガイドローラ14Aを経て位置が合わされた電解質膜24、触媒層担持フィルム26A及び26Bは、加熱加圧部16A及び16Bにより触媒層(転写層)28及び30と電解質膜24(被転写層)とが接触する状態で加熱加圧されて接合される。接合された接合体はその後、冷却加圧部18A及び18Bにより冷却加圧され、ガイドローラ14Bを経て、フィルム巻取ローラ22A,22Bによりそれぞれフィルム32が剥離されて巻き取られ、接合体巻取ローラ20により接合体、すなわち触媒層28及び30がそれぞれ面上に形成された電解質膜24が巻き取られる。
【0028】
このようにして、連続的に、電解質膜24の一方の面に燃料極28、もう一方の面に空気極30が電解質膜24を挟んで対向するように転写され、接合体が形成される。
【0029】
加熱加圧部16A,16Bは、図3に示すように金属プレート34、熱伝導性弾性体36、ローラ38、加熱部40等を備える。プレート状の熱伝導性弾性体36を表面に備える金属プレート34の複数個を、1つ以上、好ましくは複数の円筒状、円柱状等のローラ38の外周に沿うように設け、キャタピラ(登録商標、無限軌道)を構成する。ローラ38の内部に備えた加熱部40によりローラ38の表面が加熱され、金属プレート34を通して熱伝導性弾性体36が加熱される。図1及び図3に示すように、キャタピラを構成する熱伝導性弾性体36を表面に備える金属プレート34と、電解質膜24と、触媒層担持フィルム26A及び26Bと、が押圧可能に搬送され、加熱された熱伝導性弾性体36が、触媒層担持フィルム26A及び26Bの各触媒層28及び30に対してフィルム32を介して面接触して各触媒層28及び30の一面を加熱加圧することにより、電解質膜24、触媒層28及び30が接合される。これにより、加熱加圧を各触媒層28及び30の全面に対して均一に行うことができ、接合体の反りを防止することができる。また、キャタピラ方式とすることにより連続的に加熱加圧を行うことができる。
【0030】
ガイドローラ14Aは、加熱加圧部16A及び16Bにおけるキャタピラの回転による電解質膜24の搬送速度と同期するよう回転し、加熱加圧部16A及び16Bで加熱加圧される際に電解質膜24に張力が作用しないようにする。こうすることにより、電解質膜24の加熱加圧の際の変形を抑制することができる。
【0031】
加熱加圧部16A及び16Bにおいて、押圧可能に転写層に接触する時の1つの接触部(ここでは1つの熱伝導性弾性体36)の面積は、転写対象である1つの触媒層28及び30の面積以上であればよい。これにより、転写対象である各触媒層28及び30の全面に対して均一に加熱加圧を行うことができる。また、この接触面積は、複数の触媒層28及び30の全面に対して加熱加圧することができる面積以上であれば、さらに生産性を向上することができる。
【0032】
金属プレート34及びローラ38としては、鋼、ステンレス等の熱容量及び熱伝導性の高い金属材料であれば特に制限はない。
【0033】
熱伝導性弾性体36としては、熱容量、熱伝導性及び耐熱性の高い弾性体であれば特に制限はない。また、弾性体の弾性は高すぎても低すぎても均一に熱をかけることができず、接合が十分に行われないので、適度な弾性の弾性体を選択することが好ましい。好ましい弾性体としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂、各種天然ゴム、各種合成ゴム、またはそれらを加硫したゴム等を挙げることができる。また、機械的強度、弾性等を調整するために必要に応じてフィラー等を添加してもよい。
【0034】
加熱部40としては、ローラ38を加熱することができる手段であれば特に制限はないが、各種ヒータ、各種熱媒等を使用することができる。金属プレート34、熱伝導性弾性体36、ローラ38を均一に加熱するために、加熱部40は蒸気、各種オイル等の熱媒を使用することが好ましい。この場合、蒸気、各種オイル等の熱媒は外部より供給することができる。
【0035】
冷却加圧部18A,18Bは、図4に示すように金属プレート42、熱伝導性弾性体44、ローラ46、冷却部48等を備える。プレート状の熱伝導性弾性体44を表面に備える金属プレート42の複数個を、1つ以上、好ましくは複数の円筒状、円柱状等のローラ46の外周に沿うように設け、キャタピラ(無限軌道)を構成する。ローラ46の内部に備えた冷却部48によりローラ46の表面が冷却され、金属プレート42を通して熱伝導性弾性体44が冷却される。図1及び図4に示すように、キャタピラを構成する熱伝導性弾性体44を表面に備える金属プレート42と、接合体とが押圧可能に搬送され、冷却された熱伝導性弾性体44が各触媒層28及び30に対してフィルム32を介して面接触して各触媒層28及び30の一面を冷却加圧することにより、接合体が冷却される。これにより、冷却加圧を各触媒層28及び30の全面に対して物理的に拘束したまま(圧力をかけたまま)均一に行うことができ、接合体の反りを防止することができる。また、キャタピラ方式とすることにより連続的に冷却加圧を行うことができる。
【0036】
また、冷却加圧部18A及び18Bにおいて、押圧可能に接合体に接触する時の1つの接触部(ここでは1つの熱伝導性弾性体44)の面積は、冷却対象である1つの触媒層28及び30の面積以上であればよい。これにより、冷却対象である各触媒層28及び30の全面に対して均一に冷却加圧を行うことができる。また、この接触面積は、複数の触媒層28及び30の全面に対して冷却加圧することができる面積以上であれば、さらに生産性を向上することができる。
【0037】
金属プレート42、熱伝導性弾性体44、ローラ46としては、加熱加圧部16A及び16Bの金属プレート34、熱伝導性弾性体36、ローラ38とそれぞれ同様のものを用いることができる。
【0038】
冷却部48としては、ローラ46を冷却することができる手段であれば特に制限はないが、各種冷却装置、各種冷媒等を使用することができる。金属プレート42、熱伝導性弾性体44、ローラ46を均一に加熱するために、冷却部48としては水;水/アルコール,水/エチレングリコール等の混合水;空気等の冷媒を使用することが好ましい。この場合、水、混合水、空気等の冷媒は外部より供給することができる。
【0039】
電解質膜24としては、プロトン(H)や酸素イオン(O2−)等のイオン伝導性の高い材料であれば特に制限はなく、例えば、固体高分子電解質膜、安定化ジルコニア膜等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロスルホン酸系等の固体高分子電解質膜が用いられる。具体的には、ジャパンゴアテックス(株)のゴアセレクト(Goreselect、登録商標)、デュポン社(Du Pont社)のナフィオン(Nafion、登録商標)、旭化成(株)のアシプレックス(Aciplex、登録商標)、旭硝子(株)のフレミオン(Flemion、登録商標)等のパーフルオロスルホン酸系固体高分子電解質膜を使用することができる。電解質膜28の膜厚は例えば、10μm〜200μm、好ましくは30μm〜50μmの範囲である。
【0040】
触媒層担持フィルム26Aを構成する燃料極28としては、例えば、白金(Pt)等をルテニウム(Ru)等の他の金属と共に担持したカーボン等の触媒が用いられる。燃料極28の膜厚は例えば、1μm〜100μm、好ましくは1μm〜20μmの範囲である。
【0041】
触媒層担持フィルム26Bを構成する空気極30としては、例えば、白金(Pt)等を担持したカーボン等の触媒が用いられる。空気極30の膜厚は例えば、1μm〜100μm、好ましくは1μm〜20μmの範囲である。
【0042】
触媒層(燃料極28及び空気極30)は、例えば、スプレー法、印刷法、転写法等により、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系等の樹脂製のフィルム32の片面又は両面に形成され、それぞれ触媒層担持フィルム26A及び26Bとすることができる。フィルム32の膜厚は例えば、10μm〜1000μm、好ましくは50μm〜200μmの範囲である。
【0043】
上記説明において、電解質膜24の両面に触媒層(燃料極28及び空気極30)を設けて接合体とする例について説明したが、電解質膜24の片面に燃料極28及び空気極30の少なくともいずれかを設けるように本実施形態に係る接合体製造装置1を構成してもよい。
【0044】
また、上記説明において、電解質膜24の両面に触媒層(燃料極28及び空気極30)を形成するための製造装置及び製造方法について説明したが、燃料極28及び空気極30の少なくともいずれかが電解質膜24の片面又は両面に形成された触媒層担持電解質膜50の触媒層28及び30上に、拡散層52を形成する場合にも、本実施形態に係る接合体製造装置及び接合体製造方法を使用することができる。
【0045】
この場合、図5に示すように、基材供給ローラ10は、被転写層からなる基材である触媒層担持電解質膜50を巻き出して供給する。担持基材供給ローラ12Aは、図2に示すような、転写層である拡散層52Aが担持基材であるフィルム68に一面に担持された拡散層担持フィルム54Aを、担持基材供給ローラ12Bは、転写層である拡散層52Bが担持基材であるフィルム68に一面に担持された拡散層担持フィルム54Bを、それぞれ巻き出して供給する。ガイドローラ14Aを経て位置が合わされた触媒層担持電解質膜50、拡散層担持フィルム54A及び54Bは、加熱加圧部16A及び16Bにより拡散層(転写層)52A及び52Bと触媒層担持電解質膜50(被転写層)とが接触する状態で加熱加圧されて接合される。接合された接合体はその後、冷却加圧部18A及び18Bにより冷却加圧され、ガイドローラ14Bを経て、フィルム巻取ローラ22A,22Bによりそれぞれフィルム68が剥離されて巻き取られ、接合体巻取ローラ20により接合体、すなわち燃料極28及び空気極30の上に拡散層52がそれぞれ形成された電解質膜が巻き取られる。
【0046】
このようにして、連続的に、電解質膜24の一方の面の燃料極28の上、及びもう一方の面の空気極30の上に、拡散層52が電解質膜24を挟んで対向するように転写され、接合体が形成される。
【0047】
この場合に使用される触媒層担持電解質膜50は、本実施形態に係る接合体製造装置及び接合体製造方法により製造されたものであってもよいし、本実施形態に係る接合体製造方法以外のスプレー法、印刷法、転写法等により電解質膜24上に触媒層28及び30が形成されたものであってもよい。
【0048】
また、拡散層52としては、導電性が高く、燃料及び空気等の原料の拡散性が高い材料であれば特に制限はないが、多孔質導電体材料であることが好ましい。導電性の高い材料としては、例えば、金属板、金属フィルム、導電性高分子、カーボン材料等が挙げられ、カーボンクロス、ガラス状カーボン等のカーボン材料が好ましく、カーボンクロス等の多孔質カーボン材料であることがより好ましい。拡散層52の膜厚は例えば、100μm〜1000μm、好ましくは200μm〜600μmの範囲である。
【0049】
加熱加圧部16A及び16Bにおける加熱温度は、熱伝導性弾性体36の表面温度で表され、使用する燃料極28及び空気極30の触媒材料の種類や、使用する電解質膜24の種類及びガラス転移温度、拡散層52の材料の種類等に応じて決めればよく特に制限はないが、例えば100℃〜300℃の範囲で設定され、電解質膜24がパーフルオロスルホン酸系等の固体高分子電解質膜の場合、通常は80℃〜120℃の範囲に設定される。
【0050】
なお、加熱加圧部16A及び16Bにおける加熱温度は同じであっても異なっていてもよく、使用する燃料極28及び空気極30の触媒材料の種類等に応じて決めればよい。
【0051】
加熱加圧部16A及び16Bならびに冷却加圧部18A及び18Bにおいて熱伝導性弾性体36間に作用させる圧力は、使用する燃料極28及び空気極30の触媒材料の種類や、電解質膜24の種類、拡散層52の材料の種類等に応じて設定すればよく、通常、0.1MPa〜10MPaの範囲内に調整されるが、これに限定されるものではない。加圧は、加圧装置(図示せず)により作用させる。また、加熱加圧部16A及び16Bと、冷却加圧部18A及び18Bとで、異なる圧力としてもよい。
【0052】
冷却加圧部18A及び18Bにおける冷却温度は、熱伝導性弾性体36の表面温度で表され、使用する燃料極28及び空気極30の触媒材料の種類や、使用する電解質膜24の種類及びガラス転移温度、拡散層52の材料の種類等に応じて決めればよく特に制限はないが、例えば10℃〜30℃の範囲で設定され、電解質膜24がパーフルオロスルホン酸系等の固体高分子電解質膜の場合、通常は20℃〜25℃の範囲に設定される。
【0053】
なお、冷却加圧部18A及び18Bの冷却温度は同じであっても異なっていてもよく、使用する燃料極28及び空気極30の触媒材料の種類等に応じて決めればよい。
【0054】
また、電解質膜24または触媒層担持電解質膜50の上に触媒層28,30または拡散層52を形成する前に、予備加熱手段(図示せず)によって電解質膜24または触媒層担持電解質膜50を予備加熱してもよい。予備加熱することによって、触媒層28,30と電解質膜24との結着強度または触媒層担持電解質膜50と拡散層52との結着強度が高くなり、触媒層28,30または拡散層52が電解質膜24または触媒層担持電解質膜50から剥離することを抑制することができる。
【0055】
また、電解質膜24及び触媒層担持フィルム26、または触媒層担持電解質膜50及び拡散層担持フィルム54の搬送速度;加熱加圧部16A及び16Bならびに冷却加圧部18A及び18Bにおける接触部(ここでは熱伝導性弾性体36,44)の接触面積;加熱加圧部16及び冷却加圧部18における加熱温度または冷却温度;はそれぞれ相互に最適な条件とすることにより、接合体の反りの抑制、または生産性の向上を達成することができる。
【0056】
例えば、接合体の反りを抑制するためには、加熱加圧部16A及び16Bにおける加熱温度を低くして、搬送速度を遅くすることが好ましい。また、生産性を向上させるためには、加熱加圧部16A及び16Bにおける加熱温度を高くして、搬送速度を早くすること、さらに接触面積を大きくすることが好ましい。
【0057】
本実施形態に係る接合体製造装置1において、加熱加圧部16A及び16Bならびに冷却加圧部18A及び18Bは、上記構成の他にも次のような構成とすることができる。
【0058】
図6は、本発明の実施形態に係る接合体製造装置1の構成の別の例を示す図である。加熱加圧部16A及び16Bは、図6に示すように弾性体ベルト56、ローラ38、加熱部40等を備える。1つ以上、好ましくは複数のローラ38により無端の弾性体ベルト56が保持されている。ローラ38の内部に備えた加熱部40によりローラ38の表面が加熱され、弾性体ベルト56が加熱される。キャタピラを構成する無端の弾性体ベルト56と、電解質膜24と、触媒層担持フィルム26A及び26Bと、が押圧可能に搬送され、加熱された弾性体ベルト56が触媒層担持フィルム26A及び26Bの各触媒層28及び30に対してフィルム32を介して面接触して各触媒層28及び30の一面を加熱加圧することにより、電解質膜24と触媒層28及び30とが接合される。これにより、加熱加圧を各触媒層28及び30の全面に対して均一に行うことができ、接合体の反りを防止することができる。また、ベルト方式とすることにより連続的に加熱加圧を行うことができる。
【0059】
同様に、冷却加圧部18A及び18Bは、図6に示すように弾性体ベルト58、ローラ46、冷却部48等を備える。1つ以上、好ましくは複数のローラ46により弾性体ベルト58が保持されている。ローラ46の内部に備えた冷却部48によりローラ46の表面が冷却され、弾性体ベルト58が冷却される。キャタピラを構成する無端の弾性体ベルト58と、接合体とが押圧可能に搬送され、冷却された弾性体ベルト58が触媒層28及び30に対してフィルム32を介して面接触して各触媒層28及び30の一面を冷却加圧することにより、接合体が冷却される。これにより、冷却加圧を各触媒層28及び30の全面に対して均一に行うことができ、接合体の反りを防止することができる。また、ベルト方式とすることにより連続的に冷却加圧を行うことができる。
【0060】
弾性体ベルト58としては、熱伝導性弾性体36と同様の材質のものを用いることができる。弾性体ベルト58を使用することにより、図3,図4のような金属プレート34,42、熱伝導性弾性体36,44、ローラ38,46の組み合わせを使用する場合に比べて、回転時の振動が少ない等の回転安定性に優れる場合がある。
【0061】
また、弾性体ベルト56を保持する複数のローラ38間の距離、及び弾性体ベルト58を保持する複数のローラ46間の距離としては、弾性体ベルト56,58がたわまないようにそれぞれ適切な距離をとることが好ましい。
【0062】
図7は、本発明の実施形態に係る接合体製造装置1の構成の別の例を示す図である。加熱加圧部16A及び16Bは、図7に示すように大型変形弾性体ローラ60、加熱部40等を備える。大型変形弾性体ローラ60の表面が、加熱部40により加熱される。電解質膜24と、触媒層担持フィルム26A及び26Bと、が押圧可能に搬送され、加熱された大型変形弾性体ローラ60が加圧手段(図示せず)により加圧変形され、触媒層担持フィルム26A及び26Bの各触媒層28及び30に対してフィルム32を介して面接触して各触媒層28及び30の一面を加熱加圧することにより、電解質膜24と触媒層28及び30とが接合される。これにより、加熱加圧を各触媒層28及び30の全面に対して均一に行うことができ、接合体の反りを防止することができる。また、大型変形弾性体ローラ方式とすることにより連続的に加熱加圧を行うことができる。
【0063】
同様に、冷却加圧部18A及び18Bは、図7に示すように大型変形弾性体ローラ62、冷却部48等を備える。大型変形弾性体ローラ62の表面が、冷却部48により冷却される。接合体が押圧可能に搬送され、冷却された大型変形弾性体ローラ62が加圧手段(図示せず)により加圧変形され、触媒層28及び30に対してフィルム32を介して面接触して各触媒層28及び30の一面を冷却加圧することにより、接合体が冷却される。これにより、冷却加圧を各触媒層28及び30の全面に対して均一に行うことができ、接合体の反りを防止することができる。また、大型変形弾性体ローラ方式とすることにより連続的に冷却加圧を行うことができる。
【0064】
大型変形弾性体ローラ62としては、熱伝導性弾性体36と同様の材質のものを用いることができる。大型変形弾性体ローラ62を使用することにより、図3,図4のような金属プレート34,42、熱伝導性弾性体36,44、ローラ38,46の組み合わせを使用する場合に比べて、回転時の振動が少ない等の回転安定性に優れる場合がある。
【0065】
図8は、本発明の実施形態に係る接合体製造装置1の構成の別の例を示す図である。加熱加圧部16A及び16Bは、図8に示すように複数の小型金属ローラ64、加熱部40等を備える。複数の小型金属ローラ64の表面が、加熱部40により加熱される。電解質膜24と、触媒層担持フィルム26A及び26Bと、が押圧可能に搬送され、加熱された複数の小型金属ローラ64が触媒層担持フィルム26A及び26Bの各触媒層28及び30に対してフィルム32を介して複数線接触して各触媒層28及び30の一面を加熱加圧することにより、電解質膜24と触媒層28及び30とが接合される。これにより、加熱加圧を触媒層28及び30の全面に対して均一に行うことができ、接合体の反りを防止することができる。また、複数の小型ローラ方式とすることにより連続的に加熱加圧を行うことができる。
【0066】
同様に、冷却加圧部18A及び18Bは、図8に示すように複数の小型金属ローラ66、冷却部48等を備える。複数の小型金属ローラ66の表面が、冷却部48により冷却される。接合体が押圧可能に搬送され、冷却された複数の小型金属ローラ66が触媒層28及び30に対してフィルム32を介して複数線接触して各触媒層28及び30の一面を冷却加圧することにより、接合体が冷却される。これにより、冷却加圧を各触媒層28及び30の全面に対して均一に行うことができ、接合体の反りを防止することができる。また、複数の小型ローラ方式とすることにより連続的に冷却加圧を行うことができる。
【0067】
小型金属ローラ66としては、金属プレート34及びローラ38と同様の材質の金属材料を用いることができるが複数線接触であるため、面接触に近づけるために、小型金属ローラ66の径を小さくして、設置数を増やすことが好ましい。また、小型金属ローラ66の接触面の表面を熱伝導性弾性体36と同様の材質の弾性体で被覆してもかまわない。
【0068】
なお、上記説明において、図1及び図6〜図8のように、加熱加圧部16A及び16Bの加熱加圧方式と、冷却加圧部18A及び18Bの冷却方式とが同じ方式である例について説明したが、加熱加圧部16A及び16Bの加熱加圧方式と、冷却加圧部18A及び18Bの冷却方式とが異なる方式であってもよい。
【0069】
また、図6〜図8に示す実施形態においても、電解質膜24の両面に触媒層(燃料極28及び空気極30)を設けて接合体とする例について説明したが、電解質膜24の片面に燃料極28及び空気極30の少なくともいずれかを設けるように接合体製造装置1を構成してもよい。
【0070】
また、図6〜図8に示す実施形態においても、電解質膜24の両面に触媒層(燃料極28及び空気極30)を形成するための製造装置及び製造方法について説明したが、燃料極28及び空気極30の少なくともいずれかが電解質膜24の片面又は両面に形成された触媒層担持電解質膜50の触媒層28及び30上に拡散層52を形成する場合にも本実施形態に係る接合体製造装置及び接合体製造方法を使用することができる。
【0071】
また、これらの実施形態において、加熱加圧部16A及び16Bならびに冷却加圧部18及び18における押圧可能に転写層あるいは接合体に接触する時の接触部の接触面積(ここでは弾性体ベルト56,58の接触面積、及び大型変形弾性体ローラ60,62が加圧変形され接触したときの接触面積)は、転写対象あるいは冷却対象である1つの触媒層28及び30あるいは拡散層52の面積以上であればよい。また、複数の小型ローラ方式の場合は、複数の小型ローラが転写対象である1つの触媒層28及び30あるいは1つの拡散層52の一面以上に対して複数線接触すればよい。これにより、転写対象あるいは冷却対象である触媒層28及び30あるいは拡散層52に対して均一に加熱加圧及び冷却加圧を行うことができる。また、前記接触面積は、生産性を向上させるために、複数の触媒層28及び30あるいは拡散層52が接触することができる面積であることが好ましい。
【0072】
このようにして製造された接合体を、例えば、原料供給用の通路を設けたセパレータで挟み、燃料極28及び空気極30より外部負荷に接続する外部端子を設けて電池を構成して、水素ガス及び空気等を供給して運転すれば、外部端子より電気を取り出すことができる。
【0073】
燃料極28側に供給する原料としては、水素やメタン等の還元性ガス(燃料ガス)あるいはメタノール等の液体燃料等が挙げられる。空気極30側に供給する原料としては、酸素や空気等の酸化性ガス等が挙げられる。
【0074】
例えば、燃料極28の供給する原料を水素ガス、空気極30に供給する原料を空気とした場合、燃料極28において、
2H → 4H+4e
で示される反応式を経て、水素ガス(H)から水素イオン(H)と電子(e)とが発生する。電子(e)は外部端子から外部回路を通じて空気極30に到達する。空気極30において、供給される空気中の酸素(O)と、電解質膜24を通過した水素イオン(H)と、外部回路を通じて空気極30に到達した電子(e)により、
4H+O+4e → 2H
で示される反応式を経て、水が生成する。このように燃料極28及び空気極30において化学反応が起こり、電荷が発生して電池として機能することになる。そして、一連の反応において排出される成分は水であるので、クリーンな電池が構成されることになる。
【0075】
従来の熱間プレスによる方法では、加熱加圧停止後に物理的に拘束せずに自然放冷する過程で接合体の反りが生じる場合があった。また、熱間ローラによる転写では、触媒層担持フィルム等及び電解質膜等と熱間ローラとの接触が線接触であり、触媒層担持フィルム等及び電解質膜等全体に均一に熱が与えられないため、電解質膜、その上下の触媒層の3層、あるいは触媒層担持電解質膜及びその上下の拡散層の3層の弾性係数がぞれぞれ異なるため伸びに差異が生じる。さらに、加熱加圧後の冷却ローラによる冷却では、触媒層担持フィルム等及び電解質膜等と冷却ローラとの接触が線接触であり、触媒層担持フィルム等及び電解質膜等全体が均一に冷却されず、また触媒層全体を物理的に拘束せずに冷却されるため、各層の弾性係数の違いにより加熱時に伸びた各層が冷却により縮むときの縮む量が異なり、接合体の反りが生じる場合があった。
【0076】
しかし、本実施形態に係る接合体製造装置1及び接合体製造方法により、触媒層担持フィルム26を用いた触媒層28及び30の電解質膜24への加熱加圧による転写、あるいは拡散層担持フィルム54を用いた拡散層52の触媒層担持電解質膜50への加熱加圧による転写等において、各触媒層または各拡散層の一面に対して面接触または複数線接触して加熱加圧及び冷却加圧することにより、加熱加圧及び冷却加圧を触媒層28及び30あるいは拡散層52の全面に対して均一に行うことができ、また触媒層28及び30あるいは拡散層52の面全体を物理的に拘束して冷却することができるため、得られる接合体の反りの発生を防止することができる。本実施形態に係る接合体製造装置1及び接合体製造方法によれば、図9に示すような接合体の反りの大きさXは、例えば、従来の熱間ローラ法で製造した場合の5mm〜30mmに比べて、1mm以下に抑制することができる。これにより、例えば、燃料電池における発電性能等の特性をより向上させることができ、また信頼性を向上させることができる。
【0077】
また、従来の熱間プレス法では、プレスした状態で冷却すれば反りを防止することは可能であったが、1枚ずつプレスした状態で放冷するために、連続生産には不向きであった。本実施形態に係る接合体製造装置及び接合体製造方法によれば、従来の熱間プレス法に比べて連続生産が可能であるために製造時間を短縮することができ、得られる接合体の反りの発生を防止することができる上に生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態に係る接合体製造装置の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る触媒担持フィルムの構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る加熱加圧部の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る冷却加圧部の構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る接合体製造装置の使用方法の別の例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る接合体製造装置の構成の別の例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る接合体製造装置の構成の別の例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る接合体製造装置の構成の別の例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態において、接合体の反りの様子を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1 接合体製造装置、10 基材供給ローラ、12A,12B 担持基材供給ローラ、14A,14B ガイドローラ、16A,16B 加熱加圧部、18A,18B 冷却加圧部、20 接合体巻取ローラ、22A,22B フィルム巻取ローラ、24 電解質膜、26A,26B 触媒層担持フィルム、28 燃料極(アノード触媒層)、30 空気極(カソード触媒層)、32,68 フィルム、34,42 金属プレート、36,44 熱伝導性弾性体、38,46 ローラ、40 加熱部、48 冷却部、50 触媒層担持電解質膜、52A,52B 拡散層、54A,54B 拡散層担持フィルム、56,58 弾性体ベルト、60,62 大型変形弾性体ローラ、64,66 小型金属ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒層と電解質膜との接合体または拡散層と触媒層担持電解質膜との接合体を製造する接合体製造装置であって、
前記触媒層及び前記拡散層のいずれかである複数の転写層を一面に担持させてなる担持基材と、前記電解質膜及び前記触媒層担持電解質膜のいずれかである被転写層からなる基材とを、前記転写層と前記被転写層とが接触する状態で加熱及び加圧して、連続的に前記転写層を前記基材に転写し接合体を形成する加熱加圧手段と、
前記接合体を連続的に冷却及び加圧する冷却加圧手段と、
を有し、
前記加熱加圧手段及び冷却加圧手段は、各前記転写層に対して面接触または複数線接触することを特徴とする接合体製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の接合体製造装置であって、
前記加熱加圧手段及び冷却加圧手段の少なくともいずれかは熱伝導性弾性体を含んでなり、前記熱伝導性弾性体が面接触または複数線接触することを特徴とする接合体製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の接合体製造装置であって、
前記加熱加圧手段及び冷却加圧手段の少なくともいずれかは金属材料を含んでなり、前記金属材料が面接触または複数線接触することを特徴とする接合体製造装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合体製造装置であって、
前記加熱加圧手段及び冷却加圧手段の少なくともいずれかは、無限軌道方式であることを特徴とする接合体製造装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合体製造装置であって、
前記加熱加圧手段及び冷却加圧手段の少なくともいずれかは複数のローラを含んでなり、前記複数のローラが複数線接触することを特徴とする接合体製造装置。
【請求項6】
請求項2に記載の接合体製造装置であって、
前記熱伝導性弾性体からなるプレートが面接触することを特徴とする接合体製造装置。
【請求項7】
請求項2に記載の接合体製造装置であって、
前記熱伝導性弾性体からなるベルトが面接触することを特徴とする接合体製造装置。
【請求項8】
請求項2に記載の接合体製造装置であって、
前記熱伝導性弾性体を加圧変形させて面接触することを特徴とする接合体製造装置。
【請求項9】
触媒層と電解質膜との接合体または拡散層と触媒層担持電解質膜との接合体を製造する接合体製造方法であって、
前記触媒層及び前記拡散層のいずれかである複数の転写層を一面に担持させてなる担持基材と、前記電解質膜及び前記触媒層担持電解質膜のいずれかである被転写層からなる基材とを、前記転写層と前記被転写層とが接触する状態で加熱及び加圧して、連続的に前記転写層を前記基材に転写し接合体を形成する加熱加圧工程と、
前記接合体を連続的に冷却及び加圧する冷却加圧工程と、
を含み、
前記加熱加圧工程及び冷却加圧工程において、前記加熱及び加圧ならびに前記冷却及び加圧は、各前記転写層に対して面接触または複数線接触により行われることを特徴とする接合体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−134611(P2006−134611A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319724(P2004−319724)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】