説明

接地圧力を皮膚触覚に伝達する機構を有する義足・下肢装具・靴

【課題】足底接地面の接地圧力の有無、分布、大きさを下肢障害者及び視覚障害者の皮膚触覚に伝達する義足、下肢装具、靴を提供する。
【解決手段】義足・下肢装具・靴の足底接地面に圧力入力装置9を配置し、皮膚刺激装置12に該出力を皮膚触覚に提示しうる身体部位に配置し、圧力入力装置9と皮膚刺激装置12を接続手段にて接続することにより、圧力入力装置9から入力された足底圧力に応じた刺激を、皮膚刺激装置12からの出力にて皮膚触覚に伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義足・下肢装具・靴に関するものであり、具体的には義足・下肢装具・靴の足底接地面の接地圧力の有無、分布、大きさを下肢障害者及び視覚障害者が知るための仕組みに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2004−141275は、足底に配置された感圧センサーからの入力を、音声として出力することにより、接地圧力の状態を障害者の聴覚にフィードバックする方法である。
【0003】
特開2005−224548は、足底に配置された感圧センサーからの入力を、灯または音として出力することにより、接地圧力の状態を視覚または聴覚にフィードバックするものである。
【特許文献1】特開2004−141275
【特許文献2】特開2005−224548
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、義足歩行時における足底接地面の接地圧力は、ソケットから切断端へ受けることによって認識される。しかし、これでは接地圧力の大まかな情報しか得られず、接地圧力の分布等の細かな情報は得られない。特開2004−141275及び特開2005−224548は、歩行訓練するには適しているが、日常的に用いるには適さない。何故なら、視覚や聴覚は日常生活のために確保されている必要があるからである。したがって、日常生活に支障が無い感覚にフィードバックされる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するため、接地圧力を皮膚触覚にフィードバックする構成とした。本発明は、義足・下肢装具・靴について、それらの足底接地面が接地によって地面あるいは床面から受ける圧力(以下、「接地圧力」と呼ぶ)について、該圧力の有無、分布、大きさを皮膚触覚に伝達することにより、下肢障害者の利便に供するものである。
【0006】
本発明は、義足・下肢装具・靴の足底接地面に配置される圧力入力装置、皮膚触覚に提示しうる位置に配置される皮膚刺激装置、前記圧力入力装置と前記皮膚刺激装置を接続することにより、圧力入力装置への入力に対応して皮膚刺激装置から出力せしめる接続装置とから構成される。
【0007】
請求項1について、義足・下肢装具・靴はどのようなものでも良いのであり、本発明は義足・下肢装具・靴の種類によって制約されるものではない。
【0008】
請求項1について、圧力入力装置の例として、圧力入力装置と接続装置と皮膚刺激装置を一連の機械的伝達機構にて実現した場合や、感圧センサー等を挙げることができる。但し、これらはあくまで一例であり、圧力入力装置はどのようなものを用いても良いのであり、本発明は圧力入力装置の種類に制約されるものではない。
【0009】
請求項1について、皮膚刺激装置の例として、圧力入力装置と接続装置と皮膚刺激装置を一連の機械的伝達機構にて実現した場合や、機械的皮膚刺激を行うアクチュエータや、皮膚電気刺激装置等を挙げることができる。但し、これらはあくまで一例であり、皮膚刺激装置はどのようなものを用いても良いのであり、本発明は皮膚刺激装置の種類に制約されるものではない。
【0010】
皮膚刺激装置が配置される位置は、皮膚触覚に呈示しうる位置であればどこでも良いのであり、本発明は皮膚刺激装置が配置される位置によって制約されるものではない。例えば、下肢や体幹や上肢において、皮膚刺激装置の出力面をそれら皮膚面に対向するよう、ベルト等で皮膚刺激装置を固定しても良い。
【0011】
請求項1について、皮膚刺激装置を皮膚触覚に提示する位置に配置する際、固定具を用いても良い。但し、固定具を用いなくても配置しうる場合は必ずしも固定具は必要ではない。皮膚刺激装置を皮膚面に対向して配置する際に用いる固定具の例として、ベルトやクリップなどを挙げることが出来る。但し、これはあくまで一例であり、どのような方法で配置しても良く、固定具を用いる場合はどのような固定具を用いても良いのであり、本発明は配置方法や固定具の種類によって制約されるものではない。
【0012】
理想的には、皮膚刺激装置は同側(義足・下肢装具・靴を装着している側)下肢の皮膚触覚が障害されていない部位に配置されるのが最も効果的と思われる。切断端に近い同側下肢の皮膚触覚に接地圧力を伝達することにより、下肢の失われた部分にできるだけ近い皮膚部位に接地の感触が得られ、また、下肢の運動とそれに伴う接地圧力のフィードバックが同側下肢にて完結するので、両者(すなわち「運動」と「フィードバック」)の関連性を理解しやすくする効果が期待できる。また、義足・下肢装具・靴と一体化した構造とすることができるので、義足・下肢装具・靴の着脱の際に面倒さが無い。
【0013】
皮膚刺激装置は皮膚触覚に伝達するという本発明の仕組み上、皮膚刺激装置が設置される位置は必然的に、皮膚触覚が障害されていない部位に限られることになる。しかしながら、本明細書において「皮膚触覚が障害されていない部位」というのは、本発明を適用する際の指針に過ぎないのであり、義足・下肢装具・靴を使用する人の個人差もあり、具体的な位置を示すものではない。したがって、この表現は本発明になんら制約を加えるものではなく、本明細書において「同側下肢の皮膚触覚が障害されていない部位」という場合、同側下肢であればどの位置に皮膚刺激装置を配置しても良いのである。
【0014】
圧力入力装置の入力端子及び皮膚刺激装置の出力端子はいずれについても、複数設けられていても良いのであり、本発明は該入力端子及び出力端子の数によって制約されるものではない。また、入力端子あるいは出力端子を複数設ける場合、その配列はどのようなものでも良く、本発明は該入力端子及び出力端子の配列によって制約されるものではない。例えば、掌で地面あるいは床面の細かな凸凹を触知する場合はマトリックス状に配列するなどの方法が考えられる。図2は、義足の接地面に、複数の入力端子を有する圧力入力装置を配置する際の、該入力端子の配置パターンの一例を示している。このように複数の入力端子及び出力端子を配置することにより、障害者が重心の位置を把握するのに役立ち、また、視覚に頼ることなく、階段等の段差の踏み外しを防ぐことも可能となる。
【0015】
入力端子と出力端子は必ずしも1対1に対応している必要は無いのであり、入力端子と出力端子の対応関係はどのようなものでも良く、入力端子と出力端子の対応関係によって本発明が制約されるものではない。例えば、入力端子として感圧センサーを用いる場合、多数の感圧センサーからの入力をコンピュータにて解析し、少数のアクチュエータや皮膚電気刺激装置に集約して出力する方法などが考えられる。
【0016】
圧力入力装置と皮膚刺激装置はいずれも2値(ONかOFF)を扱うものでも良いし、アナログ量を扱うものでも良い。また、それらが混在されていても良い。接地圧力をアナログ量として皮膚触覚に伝達すれば、接地圧力の大きさを障害者が感じ取ることが出来る。ただしこれは、あくまで一例であり、圧力入力装置と皮膚刺激装置はどのような種類の情報を扱うものでも良いのであり、これによって本発明が制約を受けるものではない。
【0017】
請求項1について、圧力入力装置と皮膚刺激装置を接続する接続装置の例として、機械的伝達機構、導線による電気的接続(電力による接続及び情報的接続を含む広義)、無線接続、等を挙げることが出来る。但し、これらはあくまで一例であり、圧力入力装置と皮膚刺激装置はどのような仕組みで接続しても良いのであり、圧力入力装置と皮膚刺激装置の接続の仕組みによって本発明が制約されるものではない。
【0018】
請求項1について、本発明は、接続装置によって圧力入力装置と皮膚刺激装置が接続されることにより、圧力入力装置への入力に対応して皮膚刺激装置から出力されるよう構成するのであるが、ここでいう「入力に対応して」とは、入力と出力の関係性はどのようなものでも良いのであり、例えば、比例・反比例・増幅・減衰等様々な関係性が考えられる。あるいは情報処理装置を介して任意の処理が施されたものでも良い。但し、これらはあくまで一例であり、入力と出力の関係性はどのようなものでも良いのであり、「入力に対応して」とはなんらかの対応関係が有りさえすれば良いのであり、本発明はこれによって制約されるものではない。
【0019】
請求項2について、本発明は、圧力入力装置、及び皮膚刺激装置、及び接続装置を、一連の機械的伝達機構として構成することが出来る。この場合、該一連の機械的伝達機構を構成する圧力伝達装置、及び皮膚刺激装置、及び接続装置は必ずしも明確に区別できなくても良いのであり、この際、圧力入力装置は該一連の機械的伝達機構の入力部、皮膚刺激装置は該一連の機械的伝達機構の出力部、と言い換えても同じである。すなわち、機械的伝達機構の入力部(すなわち圧力入力装置)を義足・下肢装具・靴の足底接地面に配置し、同出力部(すなわち皮膚刺激装置)を皮膚触覚に呈示し得る位置に配置する。理想的には、出力部を同側下肢の皮膚触覚に障害が無い部位において該皮膚触覚に提示しうる位置に配置する構成とするのが最も効果的であろう。
【0020】
請求項2について、前記機械的伝達機構の例として、ワイヤーにて伝達する機構、ロッドにて伝達する機構、管内に並べられた球にて伝達する機構、流体の圧力(空気圧や油圧)によって伝達する機構などが考えられる。図1は、ワイヤーにて伝達する機構として前記一連の機械的伝達機構を構成した例を示している。本図において、アーム(図1の3)は支点(図1の4)に付加されたねじりコイルばね(図示せず)によってワイヤーにテンションが与えられている。足底接地面に配置された圧力入力装置の入力端子の入力ピン(図1の1)が接地圧力によって押し上げられ、ワイヤーを通じて皮膚刺激装置の出力端子の出力ピン(図1の2)が突き出されることによって皮膚触覚が刺激される。但し、これらはあくまで一例であり、本発明を機械的な伝達機構にて構成する場合、該伝達機構はどのような仕組みを用いても良いのであり、本発明は伝達機構の仕組みによって制約されるものではない。
【0021】
前記ワイヤーにて伝達する機構について、本明細書でいうところのワイヤーとは紐、ロープ、糸等を含む広義の概念であり、ワイヤーの材質・構造はどのようなものを用いても良いのであり、該ワイヤーの材質の例として、金属、綿あるいはその他の植物性繊維、絹あるいはその他の動物性繊維、皮革、ナイロン等の合成繊維などを挙げることが出来る。また、該ワイヤーの構造の例として、より合わせたり編み合わせたりした構造、釣り糸のように1本の線で構成される構造などを挙げることが出来る。また、自転車のブレーキ・ワイヤーのようにチューブに通された構造のものでも良い。但し、これらはあくまで一例であり、本明細書におけるワイヤーは、どのような材質・構造のものを用いても良い。
【0022】
前記管内に並べられた球にて伝達する機構とは、先行技術「管内の球によって運動を伝える装置」(『メカニズムの事典』伊藤茂 編、理工学社、1983、37ページ)に示されている如きものを指す。
【0023】
また、本発明は圧力入力装置として感圧センサーを、皮膚刺激装置としてアクチュエータを用いた構成とすることができる。すなわち、感圧センサーを義足・下肢装具・靴の足底接地面に配置し、アクチュエータを皮膚触覚に呈示しうる位置に配置し、前記感圧センサーと前記アクチュエータを接続装置にて接続する。該接続装置の例として、導線による電気的接続、無線接続などが考えられる。また、一旦、アクチュエータによって機械的な動きに変換して機械的伝達機構にて伝達し、再び、センサーによって電気的な動きに変換するなどの方法を用いれば、接続装置として機械的伝達機構を用いることも出来る。但し、これはあくまで一例であり、接続装置はどのようなものを用いても良く、接続装置の種類によって本発明が制約されるものではない。理想的には、該アクチュエータを同側下肢の皮膚触覚に障害が無い部位において該皮膚触覚に提示しうる位置に配置する構成とするのが最も効果的であろう。
【0024】
請求項3及び4について、感圧センサーの例として、感圧ゴムを用いたもの、圧電素子を用いたもの、歪ゲージを用いたもの、磁気センサーを用いたものなどが考えられる。但し、これらはあくまで一例であり、本発明で用いられる感圧センサーはどのようなものを用いても良いのであり、本発明は感圧センサーの種類によって制約されるものではない。また、マイクロスイッチも2値出力(ONかOFF)の感圧センサーの一種と見なすことができる。本明細書でいうところの感圧センサーとはこのようなものを含む広義の概念である。
【0025】
図4は、磁気センサーを用いて感圧センサーを構成した例を示している。義足または下肢装具の足底接地面に弾性体(本図では圧縮コイルばね)を設けている。接地圧力の大きさに比例して弾性体が該圧力によって縮み、磁石と磁気センサーの距離が変化する。このように、感圧センサーは他のどのような種類のセンサーを用いて構成しても良いのであり、このようにして実現された感圧センサーも本発明でいうところの感圧センサーに含まれる。
【0026】
請求項3について、アクチュエータの例として、モーターやソレノイド等の電磁力を用いたもの、圧電素子を用いたもの、高分子アクチュエータを用いたものなどが考えられる。但し、これらはあくまで一例であり、本発明で用いられるアクチュエータはどのようなものを用いても良いのであり、本発明はアクチュエータの種類によって制約されるものではない。
【0027】
皮膚刺激に用いられるアクチュエータは、皮膚に対して機械的刺激を与えるものであるが、該機械的刺激はいかなる種類のものでも良い。例えば、皮膚を圧迫する・擦る・引掻く・転がす・膜を介した刺激などが考えられるが、これはあくまで一例であり、いかなる機械的刺激を与えるものでもよいのであり、その機構もどのようなものでも良い。これによって本発明が制約を受けるものではない。
【0028】
本発明は皮膚刺激装置として皮膚電気刺激装置を用いた構成とすることができる。すなわち、圧力入力装置として感圧センサーを義足・下肢装具・靴の足底接地面に配置し、皮膚刺激装置として皮膚電気刺激装置を皮膚触覚に呈示しうる位置に配置し、該感圧センサーと該皮膚電気刺激装置を接続装置にて接続する。接続装置の例として、導線による電気的接続、無線接続などが考えられる。また、一旦、アクチュエータによって機械的な動きに変換して機械的伝達機構にて伝達し、再び、センサーによって電気的な動きに変換するなどの方法を用いれば、接続装置として機械的伝達機構を用いることも出来る。但し、これはあくまで一例であり、接続装置はどのようなものを用いても良く、接続装置の種類によって本発明が制約されるものではない。理想的には、皮膚電気刺激装置を同側下肢の皮膚触覚に障害が無い部位において該皮膚触覚に提示しうる位置に配置する構成とするのが最も効果的と思われる。
【0029】
請求項4について、皮膚電気刺激装置はどのようなものを用いても良いのであり、本発明は皮膚電気刺激装置の種類によって制約されることは無い。また、皮膚電気刺激装置を配置するという場合、皮膚電気刺激装置の本体は別の部位に配置して該出力電極のみを当該部位に配置する場合もこれに含まれる。
【実施例1】
【0030】
図3は、圧力入力装置、及び皮膚刺激装置、及び接続装置を、一連の機械的伝達機構として構成した義足の例を示している。本実施例においては、義足を装着した側の下肢大腿部に、複数の出力端子を有する皮膚刺激装置をベルトにて固定しうる構成を示しているが、このように同側下肢に皮膚刺激装置を配置する場合、その配置位置は、義足を装着した側の下肢であればどの位置に配置してもよいのであり、大腿部に限られるものではない。例えば、足首から下を切断した人の場合、皮膚刺激装置は同側下腿部に配置しても良い。
【0031】
本実施例のように、皮膚刺激装置を義足のソケット(切断端を挿し込む部位)の外に配置しても良いが、ソケットの内部に挿し込まれる部位にて皮膚触覚に障害が無い部位があれば、ソケット内部に出力部を配置しても良い。
【0032】
本実施例では義足に適用する例を示したが、下肢装具及び靴についても同様のことが言える。下肢装具及び靴に本発明を適用する場合、健脚側に比べて本発明の下肢装具及び靴を装着している側の下肢は、入力部の厚みの分だけ足底部が高くなっているが、これは健脚側の足底部の厚みを増す工夫をすることによって両脚の長さの差を解消することが出来る。具体的には、健脚側の靴下や靴の底の厚みを増す工夫をすることによって対応することができる。例えば、健脚側の靴下の接地面に適度な厚みのあるクッションを貼付する、健脚側の靴に適度な厚みのある中敷(インナーソール)を入れる、健脚側の靴底に厚みのある板を貼付するなどの方法が考えられる。但し、これはあくまで参考であり、本発明を何ら制約するものではない。
【0033】
一般に、大腿部は触覚の分解能が低いことが知られている。すなわち、複数の出力端子を大腿部に配置してその皮膚触覚を刺激する場合、該出力端子同士の間隔が狭いと、両者の出力位置の違いを皮膚触覚にて識別しにくい。したがって、大腿部に複数の出力端子を配置する場合、大腿部のできるだけ広い面積を利用し、出力端子同士の間隔を広く確保することが望ましいものと思われる。但し、これはあくまで参考であり、本発明を何ら制約するものではない。
【0034】
本発明でいうところの「(皮膚刺激装置を)皮膚触覚に提示しうる部位に配置する」というのは、必ずしも、皮膚刺激装置の出力面を皮膚面に対向させた状態で該皮膚面に配置することだけを指すのではない。すなわち、該出力を掌にて触知しうる部位に配置しても良い。具体的な例として、皮膚刺激装置を腰に配置して掌にて触知する方法が考えられる。掌は触覚の分解能が細かいため、地面・床面の細かな凸凹状態を読み取る必要がある場合に有利である。但し、これはあくまで一例であり、掌で触知する場合、皮膚刺激装置は、必ずしも腰の位置に配置する必要は無く、立位状態(すなわち歩行時)において出力を掌で触知しうる部位であれば身体のどの部位に配置してもよい。
【0035】
請求項1について、「該装着者が立位状態において掌にて触知しうる身体部位」とあるが、少し上体を屈ませた立位状態もこれに含まれる。何故なら、必ずしも歩行中、常に触知されなければならないわけではなく、必要な任意の時にだけ上体を少し屈ませて掌にて触知しても良いからである。具体的に、ここでいう「該装着者が立位状態において掌にて触知しうる身体部位」とは、膝関節以上の身体部位を指す。
【0036】
請求項1について、皮膚刺激装置を身体のある部位に配置する場合、必ずしも該出力が直接、皮膚を刺激するように配置する必要は無く、衣類の生地を介して皮膚を刺激するように配置しても良い。何故なら、薄手の生地であればその生地の上から刺激しても皮膚触覚にて触知しうるからである。また、掌で触知する場合は必ずしも衣類の上に配置する必要は無く、衣類の下に配置しても良い。何故なら、薄手の生地であればその上から掌にて触知しうるからである。請求項1における「(皮膚刺激装置の出力面の)配置」は、このように生地を介する配置も含まれる。
【0037】
本発明は下肢障害者のみならず、視覚障害者にも有用である。例えば、点字プレートのみならず、様々な情報を凸凹パターンとして表現したプレートを地面や床面に埋め込んでおけば、本発明を実施した靴にて該プレートを踏み、出力される凸凹パターンを皮膚触覚にて読み取る。この際、前述したように掌の触覚にて触知するようにすれば、細かな情報を読み取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
下肢障害者について、階段の踏み外しを防ぐことができるし、接地・加重状態に気をつけることにより、義足の膝折れの危険性を減らすことができる。また、本発明は視覚障害者が地面・床面に配置された凸凹プレートから情報を読み取る目的にも使用することができる。また、本発明は機械的伝達機構として実施すれば、電力が不要である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】一連の機械的伝達機構として実現した例
【図2】複数の入力端子を有する圧力入力装置を足底接地面に配置した例
【図3】本発明を実施した義足の例
【図4】磁気センサーを用いて感圧センサーを構成した例
【符号の説明】
【0040】
1 入力ピン
2 出力ピン
3 アーム
4 支点(ワイヤーに張力を与えるねじりコイルばね付き)
5 ワイヤー
6 剛性板
7 ラバードーム
8 ゴム膜
9 圧力入力装置
10 入力端子
11 足底接地面
12 皮膚刺激装置
13 出力端子
14 ワイヤーチューブ
15 固定ベルト
16 義足のソケット
17 磁気センサー
18 磁石
19 圧縮コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
義足または下肢装具または靴であり、
該足底接地面に圧力入力装置を有し、
出力面を該装着者の皮膚に対向させて配置した、または該装着者が立位状態において掌にて触知しうる身体部位に配置した、皮膚刺激装置を有し、
前記圧力入力装置と前記皮膚刺激装置を機械的伝達機構、または導線による電気的接続、または無線接続によって、接続する接続装置を有することにより、前記圧力入力装置への入力に対応して前記皮膚刺激装置から出力されるよう構成した
ことを特徴とするもの
【請求項2】
請求項1において、
前記圧力入力装置、及び前記皮膚刺激装置、及び前記接続装置が、
一連の機械的伝達機構として実現されているもの
【請求項3】
請求項1において、
前記圧力入力装置が前記足底接地面に配置された感圧センサーであり、
前記皮膚刺激装置がアクチュエータである
ことを特徴とするもの
【請求項4】
請求項1において、
前記圧力入力装置が前記足底接地面に配置された感圧センサーであり、
前記皮膚刺激装置が皮膚電気刺激装置である
ことを特徴とするもの



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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