接着テープの剥離方法及び剥離装置
【課題】個片化された接着テープを板状部材から容易に且つ効率良く剥離することができる接着テープの剥離方法を提供すること。
【解決手段】チップサイズに個片化されてウエハ(板状部材)Wの表面に貼付された表面保護テープ(接着テープ)を前記ウエハWから剥離する方法として、前記ウエハWの表面に貼付された前記表面保護テープの全面に剥離テープ3を貼付する剥離テープ貼付工程と、前記剥離テープ3及び前記表面保護テープを加熱する加熱工程と、加熱によって前記剥離テープ3に付着した前記表面保護テープを剥離テープ3と共に前記板状部材から剥離するテープ剥離工程と、を経て表面保護テープをウエハWから剥離する方法を採用する。
【解決手段】チップサイズに個片化されてウエハ(板状部材)Wの表面に貼付された表面保護テープ(接着テープ)を前記ウエハWから剥離する方法として、前記ウエハWの表面に貼付された前記表面保護テープの全面に剥離テープ3を貼付する剥離テープ貼付工程と、前記剥離テープ3及び前記表面保護テープを加熱する加熱工程と、加熱によって前記剥離テープ3に付着した前記表面保護テープを剥離テープ3と共に前記板状部材から剥離するテープ剥離工程と、を経て表面保護テープをウエハWから剥離する方法を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップサイズに個片化されて半導体ウエハ等の板状部材の表面に貼付された表面保護テープ等の接着テープを板状部材から剥離する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子産業や光学産業における半導体チップの製造工程においては、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と称する)の表面に所定の回路パターンを形成した後、ウエハの厚みを薄く均一にするため、或は回路形成時に生成された酸化膜を除去するためにウエハの裏面を研磨し、その後、ウエハを回路毎にダイシング(個片化)することによって半導体チップを製造している。
【0003】
ところで、ウエハの研磨に際しては研磨屑が発生し、この研磨屑が回路パターンに接触すると、回路パターンが破壊される可能性がある。
【0004】
そこで、ウエハの表面に表面保護テープを貼着してウエハ表面を保護し、この状態で研磨を行い、研磨後に表面保護テープをウエハ表面から剥離する方法が採用され、この方法を実施するための剥離装置も提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
又、ウエハを回路毎にダイシング(個片化)することによって切削屑が発生し、この切削屑が回路パターンに接触しても、該回路パターンが破壊される可能性があるため、ウエハ表面に表面保護テープが貼着された状態でダイシングを行い、ダイシング後に個片化された表面保護テープをウエハ表面から剥離する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−16862号公報
【特許文献2】特開平8−230093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載された剥離装置は、ダイシングする前のウエハから表面保護テープを剥離する装置であるため、表面保護テープが剥離されたウエハに対してダイシングがなされることとなり、ダイシングによって発生した切削屑が回路パターンに付着して前記問題が発生する可能性があった。
【0008】
又、特許文献2に記載された剥離方法は、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて成る表面保護テープを板状部材に貼着した後、該表面保護テープを剥離する際に実質的に熱収縮性基材のみを加熱することによって、個片化された表面保護テープを収縮・湾曲せしめてそれらの板状部材への接触面積を減少せしめ、これによって表面保護テープの板状部材からの剥離を容易化するものである。
【0009】
ところが、上記剥離方法においては、収縮・湾曲した個々の表面保護テープを送風、吸引、粘着テープによる剥離等の手段によって板状部材表面から除去する必要があり、この作業は専ら手作業によっていたため、効率が悪いという問題があった。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、個片化された接着テープを板状部材から容易に且つ効率良く剥離することができる接着テープの剥離方法及び剥離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、チップサイズに個片化されて板状部材の表面に貼付された接着テープを前記板状部材から剥離する方法であって、
前記板状部材の表面に貼付された前記接着テープの全面に剥離テープを貼付する剥離テープ貼付工程と、
前記剥離テープ及び前記接着テープを加熱する加熱工程と、
加熱によって前記剥離テープに付着した前記接着テープを剥離テープと共に前記板状部材から剥離するテープ剥離工程と、
を経て接着テープを板状部材から剥離することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記剥離テープとして、連続したシート状テープを用いることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記剥離テープとして、前記板状部材の表面形状に合わせてプリカットされたテープを用いることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記接着テープとして、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて成るテープを用いることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記加熱工程において剥離テープと接着テープを加熱した後、これらを冷却することを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、チップサイズに個片化されて板状部材の表面に貼付された接着テープを前記板状部材から剥離する装置を、
吸着テーブル上にセットされた前記板状部材に対して剥離テープを繰り出す剥離テープ供給手段と、
該剥離テープ供給手段によって繰り出された剥離テープを板状部材の表面に貼付された前記接着テープの全面に貼付する剥離テープ貼付手段と、
該剥離テープ貼付手段によって接着テープの全面に貼付された剥離テープを接着テープと共に加熱する加熱手段と、
該加熱手段による加熱によって剥離テープに付着した接着テープを剥離テープと共に板状部材から剥離するテープ剥離手段と、
該テープ剥離手段によって板状部材から剥離された接着テープと剥離テープを回収する回収手段と、
を含んで構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記剥離テープとして、連続したシート状テープを用い、前記剥離テープ貼付手段と前記テープ剥離手段とを共通のローラユニットで構成したことを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記剥離テープとして、前記板状部材の表面形状に合わせてプリカットされたテープを用い、該剥離テープの端部に接着された第2の接着テープを剥しヘッドによって把持してこれを引っ張ることによって前記接着テープを剥離テープと共に板状部材から剥離することを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記接着テープを、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて構成したことを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記加熱手段によって加熱された剥離テープと接着テープを冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の剥離方法によれば、接着テープの全面に貼付された剥離テープを接着テープと共に加熱すると、個片化された接着テープが剥離テープに付着するため、この接着テープを剥離テープと共に板状部材から剥離し、剥離された接着テープと剥離テープを回収することによって、個片化された接着テープを板状部材から容易に剥離することができ、これら一連の工程を剥離テープ供給手段と、剥離テープ貼付手段と、加熱手段と、テープ剥離手段及び回収手段を含んで構成される請求項6記載の剥離装置によって実施することによって、接着テープの剥離作業を効率良く行うことができる。
【0022】
請求項2又は7記載の発明によれば、剥離テープとして、連続したシート状テープを用いるため、個片化された接着テープを連続したシート状テープに連続的に付着させて板状部材から効率良く剥離して回収することができる。又、剥離テープ貼付手段とテープ剥離手段とを共通のローラユニットで構成することによって、剥離装置の構造単純化とコストダウンを図ることができる。
【0023】
請求項3又は8記載の発明によれば、剥離テープとして、板状部材の表面形状に合わせてプリカットされたテープを用い、該剥離テープの端部に接着された第2の接着テープを剥しヘッドによって把持してこれを引っ張ることによって接着テープを剥離テープと共に板状部材から容易に且つ効率良く剥離することができる。
【0024】
請求項4又は9記載の発明によれば、接着テープとして、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて成るテープを用いるため、該接着テープが加熱されると熱収縮性基材が収縮し、個片化された個々の接着テープが湾曲してそれらの板状部材に対する接触面積が減少するため、各接着テープが板状部材から剥れ易くなり、これらは剥離テープに容易に付着して板状部材から剥離して剥離テープと共に回収される。
【0025】
請求項5又は10記載の発明によれば、加熱された剥離テープと接着テープを冷却することによって、作業時間を短縮して更なる高効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0027】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係る剥離装置の側面図、図2は同剥離装置の平面図、図3は同剥離装置の吸着テーブル部分の側面図、図4は同吸着テーブル部分の平面図、図5は表面に表面保護テープ(接着テープ)が貼着されたウエハの断面図、図6は表面保護テープ(接着テープ)の断面図である。
【0028】
本実施の形態に係る剥離装置1は、半導体製造工程において、図5に示すようにウエハWの表面に貼付されて個片化された表面保護テープ2aをウエハWの表面から剥離する装置である。
【0029】
ここで、ウエハWの表面には所定の回路パターンが形成された後、図5に示すように、表面保護テープ2が貼着され、その状態でウエハWの裏面が研磨され、その後、該ウエハWは表面保護テープ2と共に回路毎にダイシング(個片化)される。尚、図5において2aは個片化された表面保護テープ、W1は個片化されたウエハを示す。
【0030】
ところで、表面保護テープ2は、図6に示すように、十分に延伸加工されたポリエチレンカラー成る熱収縮性基材2Aの表面に粘着剤層2Bを塗工した構成で、アクリル系粘着剤から成る粘着剤層2BがウエハWの表面に接着することによって表面保護テープ2がウエハW表面に貼着される。
【0031】
而して、本実施の形態に係る剥離装置1は、図1に示すように、
1)吸着テーブル10と、
2)上記吸着テーブル10上にセットされたウエハWに対して剥離テープ3を繰り出す剥離テープ供給手段である剥離テープユニット20と、
3)上記剥離テープユニット20によって繰り出された剥離テープ3をウエハWの表面に貼付された前記表面保護テープ2(2a)の全面に貼付する剥離テープ貼付手段と、後述の加熱/冷却ユニット40による加熱によって剥離テープ3に付着した表面保護テープ2(2a)を剥離テープ3と共にウエハW表面から剥離するテープ剥離手段とを一体化して成る貼付/剥離ロールユニット30と、
4)上記貼付/剥離ローラユニット30によって表面保護テープ2(2a)の全面に貼付された剥離テープ3を表面保護テープ2(2a)と共に加熱する加熱手段と、該加熱手段によって加熱された剥離テープ3と表面保護テープ2(2a)を冷却する冷却手段とを一体化して成る加熱/冷却ユニット40と、
5)前記貼付/剥離ローラユニット30によってウエハW表面から剥離された表面保護テープ2(2a)と剥離テープ3とを回収する回収手段であるテープ巻取りユニット50と、
を含んで構成されている。
【0032】
ここで、吸着テーブル10、剥離テープユニット20、貼付/剥離ローラユニット30、加熱/冷却ユニット40及びテープ巻取りユニット50についてそれぞれ以下に詳細に説明する。
【0033】
1)吸着テーブル:
矩形ブロック状の吸着テーブル10は、図4に示すように、表面保護テープ2が貼付された面の反対側にダイシングテープ4を介してリングフレーム11に固定され、表面保護テープ2と共に個片化されたウエハWを位置決めして載置するようになっており、リングフレーム11とウエハWは共に下面を吸着して保持される。
【0034】
尚、後述のように、ウエハW表面に貼付された表面保護テープ2の全面には前記貼付/剥離ローラユニット30によって剥離テープ3が貼着されるが、このとき、剥離テープ3がリングフレーム11に付着しないように、リングフレーム11の高さはウエハW表面よりも一段低く設定されている。
【0035】
2)剥離テープユニット:
剥離テープユニット20においては、図1に示すように、剥離テープ3を巻装して成るロール状の剥離テープ原反21が回転自在に支障されており、該剥離テープ原反21の軸にはプーリ22が結着されている。そして、剥離テープ原反21の近傍にはトルクモータM1が配置されており、該トルクモータM1の出力軸端に結着されたプーリ23と前記プーリ22の間には無端状のベルト24が巻装されている。
【0036】
ここで、剥離テープ3としては、ポリエチレンテレフタレート等の耐熱フィルムに感熱性接着剤層を設けて成る感熱性接着テープが用いられるが、感熱性接着剤層は剥離紙3aによって被覆されている。
【0037】
又、前記トルクモータM1の下方には別のモータM2が配置されており、該モータM2の出力軸には、前記剥離テープ3から分離された剥離紙3aを巻き取るための剥離紙巻取り軸25が結着されている。
【0038】
更に、剥離テープユニット20には、前記剥離テープ原反21から繰り出された剥離テープ3を挟持して該剥離テープ3から剥離紙3aを分離する上下のローラ対26a,26bと、剥離テープ3から分離された剥離紙3aをガイドするガイドローラ27a〜27dが設けられている。ここで、1つのガイドローラ27cは、上下方向に形成されたガイド溝28に沿って上下動可能なバッファローラを構成しており、このバッファローラ27cは不図示の付勢手段によって常時下方に付勢され、剥離紙3aを引っ張ってこれの弛みを防ぐ機能を果たす。
【0039】
3)貼付/剥離ローラユニット:
貼付/剥離ローラユニット30は、図1に示すように、回転自在に支持された2つのローラ31,32を上下に配して構成され、これは装置本体上に平行に設置された一対のスライドレール33にスライドトラック34を介して移動自在に支持されている。そして、この貼付/剥離ローラユニット30は、装置本体上に前記スライドレール33と平行に設置された移動用一軸ロボット35(図2参照)によってスライドレール33上を図示矢印方向に往復動せしめられる。
【0040】
又、貼付/剥離ローラユニット30は、上下方向に配された2本のガイドシャフト36に沿って上下動可能に支持されており、これに設けられた上下用シリンダ37によって前記ガイドシャフト36に沿って上下動せしめられる。
【0041】
尚、貼付/剥離ローラユニット30の前記ローラ31,32には、剥離紙3aが分離された剥離テープ3が巻き掛けられている。
【0042】
4)加熱/冷却ユニット:
加熱/冷却ユニット40は、加熱手段としてヒータ本体41と冷却ファン等の不図示の冷却手段を備えており、前記スライドレール33に直交する左右一対のスライドレール42にスライドトラック43を介して図1の紙面直交方向に移動自在に支持されている。そして、加熱/冷却ユニット40をスライドレール42に沿って往復移動せしめるスライド用シリンダ44が前記スライドレール42と平行に設置されている。
【0043】
又、加熱/冷却ユニット40においては、前記ヒータ本体41が複数のガイドシャフト45に沿って上下動自在に支持されており、該ヒータ本体41は、上下用シリンダ46によって上下動せしめられる(図1参照)。
【0044】
5)テープ巻取りユニット:
テープ巻取りユニット50は、図1に示すように、前記剥離テープユニット20の上方に配置されており、このテープ巻取りユニット50には、モータM3によって回転駆動されるフィードローラ51とこれに当接して従動回転するピンチローラ52、これの両側に配されたガイドローラ53,54及び剥離テープ3をこれに付着した表面保護テープ2(2a)と共に巻き取るための剥離テープ巻取り軸55が設けられている。そして、剥離テープ巻取り軸55の近傍にはトルクモータM4が配置されており、該トルクモータM4の出力軸端に結着されたプーリ56と前記剥離テープ巻取り軸55に結着されたプーリ57の間には無端状のベルト58が巻装されている。
【0045】
而して、前記貼付/剥離ローラユニット30のローラ31を経てテープ巻取りユニットへ50と送り込まれる剥離テープ3とこれに付着した表面保護テープ2(2a)は、ガイドローラ53を経てフィードローラ51とピンチローラ52によって挟持され、更にガイドローラ54を経て剥離テープ巻取り軸55に至り、該剥離テープ巻取り軸55に巻き取られて回収される。
【0046】
次に、以上の構成を有する剥離装置1の作用を説明しながら、本発明に係る剥離方法を図7〜図16に基づいて説明する。尚、図7〜図14は本発明方法をその工程順に示す説明図、図15はウエハ表面の表面保護テープへの剥離テープの貼着状態を示す断面図、図16は加熱後の表面保護テープと剥離テープの状態を示す断面図である。
【0047】
本発明方法は、ウエハWの表面に貼付されてチップサイズに個片化された表面保護テープ2aを同じく個片化されたウエハW1表面から剥離する方法であって、以下の剥離テープ貼付工程、加熱/冷却工程及びテープ剥離工程を経て実施される。
【0048】
1)剥離テープ貼付工程:
吸着テーブル10上のリングフレーム11の内側には、図3に示したように、表面に表面保護テープ2が貼着されたウエハWが前記表面保護テープ2側が上になるように位置決めされてダイシングテープ4を介してリングフレーム11と共に吸着セットされており、表面保護テープ2はダイシングによってウエハWと共にチップサイズに個片化されている。
【0049】
先ず、前記貼付/剥離ローラユニット30は、図1及び図2に示す位置に待機しており、該貼付/剥離ローラユニット30の2つのローラ31,32は図7に示す位置にあって、これらに張架された剥離テープ3をウエハWの側方に待機させている。
【0050】
上記状態で前記移動用一軸ロボット35を駆動し、貼付/剥離ローラユニット30をスライドレール33に沿って図1及び図2の左方向に移動させると、該貼付/剥離ローラユニット30のローラ31,32は図8の鎖線位置から実線位置まで矢印方向に移動する。このとき、モータM3はロック状態になっており、ローラ31,32の移動により、剥離テープ原反21から剥離紙3aが分離された剥離テープ3を引き出しながら移動し、ウエハWの上方には、ローラ32とローラ対26a,26b間に張設された剥離テープ3が斜めに位置している。
【0051】
ところで、剥離テープ3の引き出し中は、トルクモータM1によって剥離テープ3に所定のテンションが掛かるようになっている。又、剥離紙3aは、その引き出し時には、バッファローラ27cが付勢手段によって図1の鎖線にて示す位置に移動するために弛みが吸収される。そして、剥離テープ3のウエハWへの貼付が終了すると、モータM2が動作を開始し、バッファローラ27cが不図示のセンサによって検知されると剥離紙3aを巻き取る。
【0052】
次に、上下用シリンダ37を駆動して貼付/剥離ローラユニット30をガイドシャフト36に沿って下動させ、図9に示すように、ローラ32を剥離テープ3と共にウエハW表面の一端に密着させる。この結果、剥離テープ3がウエハW表面に貼着された表面保護テープ2(2a)の一端に貼着され、その状態で移動用一軸ロボット35を駆動して貼付/剥離ローラユニット30をスライドレール3に沿って図1及び図2の右方向に移動させる。
【0053】
すると、貼付/剥離ローラユニット30のローラ31,32は、図10の鎖線位置から実線位置まで矢印方向に移動し、ローラ32は剥離テープ3をウエハW表面の表面保護テープ2に押圧しながら移動するため、表面保護テープ2の全面に剥離テープ3が貼着される(図15参照)。
【0054】
2)加熱/冷却工程:
前記剥離テープ貼付工程において表面保護テープ2の全面に剥離テープ3が貼着されると、もう一度、前記移動用一軸ロボット35を駆動し、貼付/剥離ローラユニット30をスライドレール33に沿って図1及び図2の左方向に移動させた後、上下用シリンダ37を駆動して貼付/剥離ローラユニット30をガイドシャフト36に沿って上動せしめ、ローラ32をウエハW表面から離間させる。すると、貼付/剥離ローラユニット30のローラ31,32は、図11の鎖線位置から実線位置まで矢印方向に移動する。
【0055】
上記状態において、スライド用シリンダ44を駆動して加熱/冷却ユニット40をスライドレール42に沿って図2の下方に移動させ、該加熱/冷却ユニット40をウエハWの上方に位置せしめる。
【0056】
その後、加熱/冷却ユニット40の上下用シリンダ46を駆動し、該加熱/冷却ユニット40のヒータ本体41をガイドシャフト45に沿って下動せしめ、図12に示すように、該ヒータ本体41をウエハW表面の表面保護テープ2に貼着された剥離テープ3に当接させる。そして、その状態でヒータ本体41のヒータに通電して剥離テープ3と表面保護テープ2を所定温度に加熱する。
【0057】
ここで、加熱温度と加熱時間は、表面保護テープ2の材質によるが、一般的には40〜200℃(好ましくは、70〜130℃)で、0.5〜120秒(好ましくは、1〜10秒)程度である。
【0058】
而して、前述のように(図6参照)、表面保護テープ2は熱収縮性基材2Aの表面に粘着剤層2Bを塗着して構成されているため、これを加熱すると熱収縮性基材2Aが収縮し、個片化された個々の表面保護テープ2aが図16に示すように湾曲する。このため、個片化された個々の表面保護テープ2aのウエハW(W1)表面に対する接触面積が減少し、各表面保護テープ2aがウエハW(W1)表面から剥れ易くなる。
【0059】
その後、上下用シリンダ46を駆動して加熱/冷却ユニット40のヒータ本体41をガイドシャフト45に沿って上動せしめ、図13に示すように、該ヒータ本体41をウエハWから離間せしめ、その状態で不図示の冷却ファン等の冷却手段によって剥離テープ3と表面保護テープ2を冷却する。
【0060】
3)テープ剥離工程:
上述のように剥離テープ3と表面保護テープ2を冷却すると、スライド用シリンダ44を駆動して加熱/冷却ユニット40をスライドレール42に沿って図2の上方に移動させ、該加熱/冷却ユニット40をウエハWの上方から退避させる。
【0061】
その後、前記移動用一軸ロボット35を駆動し、貼付/剥離ローラユニット30をスライドレール33に沿って図1及び図2の右方向に移動させると、該貼付/剥離ローラユニット30のローラ31,32は、図14の鎖線位置から実線位置まで矢印方向に移動するが、このとき、同時にモータM3を駆動すると、トルクモータM4は、所定のテンションが剥離テープ3に掛かるようにされているため、その回転をプーリ56、ベルト58及びプーリ57を経てテープ巻取り軸55に伝達し、該テープ巻取り軸55を回転駆動することになるため、剥離テープ3がこれに付着した表面保護テープ2(2a)と共にウエハW表面から剥離される。
【0062】
ここで、前述のように(図16参照)、個片化された個々の表面保護テープ2aは湾曲してウエハW表面から剥れ易くなっているため、これらの表面保護テープ2aは剥離テープ3に付着してウエハW表面から容易に剥離できる。
【0063】
そして、ウエハW表面から剥離した剥離テープ3は、これに付着した表面保護テープ2aと共にテープ巻取りユニット50のテープ巻取り軸55に巻き取られて回収される。
【0064】
以上において、本実施の形態によれば、表面保護テープ2の全面に貼付された剥離テープ3を表面保護テープ2(2a)と共に加熱すると、個片化された表面保護テープ2aが剥離テープ3に付着した状態で収縮するため、個片化された表面保護テープ2aをウエハW表面から容易に剥離することができるが、これら一連の工程を吸着テーブル10、剥離テープユニット20、貼付/剥離ローラユニット30、加熱/冷却ユニット40及びテープ巻取りユニット50を含んで構成される剥離装置1によって実施することによって、表面保護テープ2(2a)の剥離作業を効率良く行うことができる。
【0065】
又、本実施の形態では、剥離テープ3として、連続したシート状テープを用いるため、個片化された表面保護テープ2aを連続した剥離テープ3に連続的に付着させてウエハW表面から効率良く剥離して回収することができる。
【0066】
更に、本実施の形態では、剥離テープ貼付手段とテープ剥離手段とを共通の貼付/剥離ローラユニット30で構成したため、剥離装置1の構造単純化とコストダウンを図ることができる。
【0067】
その他、本実施の形態では、加熱された剥離テープ3と表面保護テープ2(2a)を冷却するようにしたため、作業時間を短縮して更なる高効率化を図ることができる。
【0068】
尚、本実施の形態に係る剥離装置1においては、作業の一部(例えば、ウエハWの吸着テーブル10へのセット)を手動で行うようにしたが、全ての作業を自動的に行うよう構成すれば、フルオートの剥離装置を実現することも可能である。
【0069】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図17〜図21に基づいて説明する。尚、図17〜図19は本発明の実施の形態2に係る剥離方法をその工程順に示す説明図、図20は加熱後の表面保護テープと剥離テープの状態を示す断面図、図21は剥離テープと表面保護テープをウエハ表面から剥離する状態を示す断面図である。
【0070】
本実施の形態に係る剥離方法は、前記実施の形態1のそれと同様に、ウエハWの表面に貼付されてチップサイズに個片化された表面保護テープ2aをウエハW表面から剥離する方法であるが、剥離テープ3として、ウエハWの表面形状に合わせてプリカットされた円形のテープを用いる点が実施の形態1とは異なる。
【0071】
即ち、本実施の形態においては、図17に示すように、剥離テープ原反61に巻装されたシート状の剥離紙3aには、ウエハWの表面形状に合わせてプリカットされた円形の複数の剥離テープ3が適当な間隔で仮着されており、剥離テープ原反61から繰り出される剥離紙3aは、ローラ62〜65にガイドされて巻取り軸66に巻き取られる。
【0072】
ここで、表面保護テープ2は、前記実施の形態1と同様に、熱収縮性基材の表面に粘着剤層を塗工した構成で、剥離テープ3としては、ポリエチレンテレフタレート等の耐熱フィルムに感熱性接着剤層を設けて成る感熱性接着テープが用いられる。
【0073】
而して、図17に示すように、ウエハWの上方には2つのローラ63,64によって剥離紙3aが略水平に張設されており、該剥離紙3aの下面に仮着された円形の剥離テープ3がウエハWの上方に位置決めされる。
【0074】
次に、加熱/冷却ユニット40のヒータ本体41が下動せしめられ、図18に示すように、該ヒータ本体41が剥離テープ3をウエハW表面の表面保護テープ2に押圧するとともに、該剥離テープ3を表面保護テープ2と共に所定温度に加熱する。すると、円形にプリカットされた剥離テープ3がウエハW表面の表面保護テープ2の全面に転着される。
【0075】
而して、表面保護テープ2は熱収縮性基材の表面に粘着剤層を塗着して構成されているため、これを加熱すると熱収縮性基材が収縮し、図20に示すように、個片化された個々の表面保護テープ2aが湾曲する。このため、個片化された個々の表面保護テープ2aのウエハW表面に対する接触面積が減少し、各表面保護テープ2aがウエハW表面から剥れ易くなる。
【0076】
その後、加熱/冷却ユニット40のヒータ本体41を上動せしめると、図19に示すように、剥離テープ3が剥離紙3aから分離してウエハW表面に残り、剥離紙3aのみがローラ64,65にガイドされて巻取り軸66に巻き取られる。
【0077】
次に、図20に示すように、ウエハW表面の表面保護テープの全面に転着された剥離テープ3の一端に接着テープ67の一端を接着し、この接着テープ67を図21に示すように横U字状に折り返し、その他端を剥しヘッド68で挟持してこれを図示矢印方向に移動させれば、剥離テープ3とこれに付着した表面保護テープ2aが剥しヘッド68によって引っ張られてこれらがウエハW表面から順次剥離して回収される。
【0078】
ここで、前述のように、個片化された個々の表面保護テープ2aは湾曲してウエハW表面から剥れ易くなっているため、これらの表面保護テープ2aは剥離テープ3に付着してウエハW表面から容易に剥離する。
【0079】
而して、本実施の形態においても、個片化された表面保護テープ2aをウエハW表面から容易に且つ効率良く剥離することができ、前記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、チップサイズに個片化されて板状部材の表面に貼付された表面保護テープ等の接着テープを板状部材から剥離する方法及び装置に対して適用可能であり、半導体製造分野以外のレンズ、ダイオード、波長変換素子等の光学機器や電子部品の製造分野においても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1に係る剥離装置の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る剥離装置の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る剥離装置の吸着テーブル部分の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る剥離装置の吸着テーブル部分の平面図である。
【図5】表面に表面保護テープが貼着されたウエハの断面図である。
【図6】表面保護テープの断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図14】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図15】本発明の実施の形態1に係る剥離方法において表面に表面保護テープが貼着されたウエハの断面図である。
【図16】本発明の実施の形態1に係る剥離方法における加熱後のウエハ表面の表面保護テープへの剥離テープの貼着状態を示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態2に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図18】本発明の実施の形態2に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図19】本発明の実施の形態2に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図20】本発明の実施の形態2に係る剥離方法における加熱後の表面保護テープと剥離テープの状態を示す断面図である。
【図21】本発明の実施の形態2に係る剥離方法において剥離テープと表面保護テープをウエハ表面から剥離する状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 剥離装置
2 表面保護テープ(接着テープ)
2A 熱収縮性基材
2B 粘着剤層
2a 個片化された表面保護テープ(接着テープ)
3 剥離テープ
3a 剥離紙
10 吸着テーブル
11 リングフレーム
20 剥離テープユニット(剥離テープ供給手段)
21 剥離テープ原反
25 剥離紙巻取り軸
30 貼付/剥離ローラユニット(剥離テープ貼付手段/テープ剥離手段)
31,32 ローラ
35 移動用一軸ロボット
37 上下用シリンダ
40 加熱/冷却ユニット(加熱手段/冷却手段)
41 ヒータ本体
44 スライド用シリンダ
50 テープ巻取りユニット(回収手段)
55 剥離テープ巻取り軸
61 剥離テープ原反
62〜65 ローラ
66 巻取り軸
67 接着テープ
68 剥しヘッド
W 半導体ウエハ(板状部材)
W1 個片化された半導体ウエハ
M1〜M4 モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップサイズに個片化されて半導体ウエハ等の板状部材の表面に貼付された表面保護テープ等の接着テープを板状部材から剥離する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子産業や光学産業における半導体チップの製造工程においては、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と称する)の表面に所定の回路パターンを形成した後、ウエハの厚みを薄く均一にするため、或は回路形成時に生成された酸化膜を除去するためにウエハの裏面を研磨し、その後、ウエハを回路毎にダイシング(個片化)することによって半導体チップを製造している。
【0003】
ところで、ウエハの研磨に際しては研磨屑が発生し、この研磨屑が回路パターンに接触すると、回路パターンが破壊される可能性がある。
【0004】
そこで、ウエハの表面に表面保護テープを貼着してウエハ表面を保護し、この状態で研磨を行い、研磨後に表面保護テープをウエハ表面から剥離する方法が採用され、この方法を実施するための剥離装置も提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
又、ウエハを回路毎にダイシング(個片化)することによって切削屑が発生し、この切削屑が回路パターンに接触しても、該回路パターンが破壊される可能性があるため、ウエハ表面に表面保護テープが貼着された状態でダイシングを行い、ダイシング後に個片化された表面保護テープをウエハ表面から剥離する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−16862号公報
【特許文献2】特開平8−230093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載された剥離装置は、ダイシングする前のウエハから表面保護テープを剥離する装置であるため、表面保護テープが剥離されたウエハに対してダイシングがなされることとなり、ダイシングによって発生した切削屑が回路パターンに付着して前記問題が発生する可能性があった。
【0008】
又、特許文献2に記載された剥離方法は、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて成る表面保護テープを板状部材に貼着した後、該表面保護テープを剥離する際に実質的に熱収縮性基材のみを加熱することによって、個片化された表面保護テープを収縮・湾曲せしめてそれらの板状部材への接触面積を減少せしめ、これによって表面保護テープの板状部材からの剥離を容易化するものである。
【0009】
ところが、上記剥離方法においては、収縮・湾曲した個々の表面保護テープを送風、吸引、粘着テープによる剥離等の手段によって板状部材表面から除去する必要があり、この作業は専ら手作業によっていたため、効率が悪いという問題があった。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、個片化された接着テープを板状部材から容易に且つ効率良く剥離することができる接着テープの剥離方法及び剥離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、チップサイズに個片化されて板状部材の表面に貼付された接着テープを前記板状部材から剥離する方法であって、
前記板状部材の表面に貼付された前記接着テープの全面に剥離テープを貼付する剥離テープ貼付工程と、
前記剥離テープ及び前記接着テープを加熱する加熱工程と、
加熱によって前記剥離テープに付着した前記接着テープを剥離テープと共に前記板状部材から剥離するテープ剥離工程と、
を経て接着テープを板状部材から剥離することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記剥離テープとして、連続したシート状テープを用いることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記剥離テープとして、前記板状部材の表面形状に合わせてプリカットされたテープを用いることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記接着テープとして、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて成るテープを用いることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記加熱工程において剥離テープと接着テープを加熱した後、これらを冷却することを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、チップサイズに個片化されて板状部材の表面に貼付された接着テープを前記板状部材から剥離する装置を、
吸着テーブル上にセットされた前記板状部材に対して剥離テープを繰り出す剥離テープ供給手段と、
該剥離テープ供給手段によって繰り出された剥離テープを板状部材の表面に貼付された前記接着テープの全面に貼付する剥離テープ貼付手段と、
該剥離テープ貼付手段によって接着テープの全面に貼付された剥離テープを接着テープと共に加熱する加熱手段と、
該加熱手段による加熱によって剥離テープに付着した接着テープを剥離テープと共に板状部材から剥離するテープ剥離手段と、
該テープ剥離手段によって板状部材から剥離された接着テープと剥離テープを回収する回収手段と、
を含んで構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記剥離テープとして、連続したシート状テープを用い、前記剥離テープ貼付手段と前記テープ剥離手段とを共通のローラユニットで構成したことを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記剥離テープとして、前記板状部材の表面形状に合わせてプリカットされたテープを用い、該剥離テープの端部に接着された第2の接着テープを剥しヘッドによって把持してこれを引っ張ることによって前記接着テープを剥離テープと共に板状部材から剥離することを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記接着テープを、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて構成したことを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記加熱手段によって加熱された剥離テープと接着テープを冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の剥離方法によれば、接着テープの全面に貼付された剥離テープを接着テープと共に加熱すると、個片化された接着テープが剥離テープに付着するため、この接着テープを剥離テープと共に板状部材から剥離し、剥離された接着テープと剥離テープを回収することによって、個片化された接着テープを板状部材から容易に剥離することができ、これら一連の工程を剥離テープ供給手段と、剥離テープ貼付手段と、加熱手段と、テープ剥離手段及び回収手段を含んで構成される請求項6記載の剥離装置によって実施することによって、接着テープの剥離作業を効率良く行うことができる。
【0022】
請求項2又は7記載の発明によれば、剥離テープとして、連続したシート状テープを用いるため、個片化された接着テープを連続したシート状テープに連続的に付着させて板状部材から効率良く剥離して回収することができる。又、剥離テープ貼付手段とテープ剥離手段とを共通のローラユニットで構成することによって、剥離装置の構造単純化とコストダウンを図ることができる。
【0023】
請求項3又は8記載の発明によれば、剥離テープとして、板状部材の表面形状に合わせてプリカットされたテープを用い、該剥離テープの端部に接着された第2の接着テープを剥しヘッドによって把持してこれを引っ張ることによって接着テープを剥離テープと共に板状部材から容易に且つ効率良く剥離することができる。
【0024】
請求項4又は9記載の発明によれば、接着テープとして、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて成るテープを用いるため、該接着テープが加熱されると熱収縮性基材が収縮し、個片化された個々の接着テープが湾曲してそれらの板状部材に対する接触面積が減少するため、各接着テープが板状部材から剥れ易くなり、これらは剥離テープに容易に付着して板状部材から剥離して剥離テープと共に回収される。
【0025】
請求項5又は10記載の発明によれば、加熱された剥離テープと接着テープを冷却することによって、作業時間を短縮して更なる高効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0027】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係る剥離装置の側面図、図2は同剥離装置の平面図、図3は同剥離装置の吸着テーブル部分の側面図、図4は同吸着テーブル部分の平面図、図5は表面に表面保護テープ(接着テープ)が貼着されたウエハの断面図、図6は表面保護テープ(接着テープ)の断面図である。
【0028】
本実施の形態に係る剥離装置1は、半導体製造工程において、図5に示すようにウエハWの表面に貼付されて個片化された表面保護テープ2aをウエハWの表面から剥離する装置である。
【0029】
ここで、ウエハWの表面には所定の回路パターンが形成された後、図5に示すように、表面保護テープ2が貼着され、その状態でウエハWの裏面が研磨され、その後、該ウエハWは表面保護テープ2と共に回路毎にダイシング(個片化)される。尚、図5において2aは個片化された表面保護テープ、W1は個片化されたウエハを示す。
【0030】
ところで、表面保護テープ2は、図6に示すように、十分に延伸加工されたポリエチレンカラー成る熱収縮性基材2Aの表面に粘着剤層2Bを塗工した構成で、アクリル系粘着剤から成る粘着剤層2BがウエハWの表面に接着することによって表面保護テープ2がウエハW表面に貼着される。
【0031】
而して、本実施の形態に係る剥離装置1は、図1に示すように、
1)吸着テーブル10と、
2)上記吸着テーブル10上にセットされたウエハWに対して剥離テープ3を繰り出す剥離テープ供給手段である剥離テープユニット20と、
3)上記剥離テープユニット20によって繰り出された剥離テープ3をウエハWの表面に貼付された前記表面保護テープ2(2a)の全面に貼付する剥離テープ貼付手段と、後述の加熱/冷却ユニット40による加熱によって剥離テープ3に付着した表面保護テープ2(2a)を剥離テープ3と共にウエハW表面から剥離するテープ剥離手段とを一体化して成る貼付/剥離ロールユニット30と、
4)上記貼付/剥離ローラユニット30によって表面保護テープ2(2a)の全面に貼付された剥離テープ3を表面保護テープ2(2a)と共に加熱する加熱手段と、該加熱手段によって加熱された剥離テープ3と表面保護テープ2(2a)を冷却する冷却手段とを一体化して成る加熱/冷却ユニット40と、
5)前記貼付/剥離ローラユニット30によってウエハW表面から剥離された表面保護テープ2(2a)と剥離テープ3とを回収する回収手段であるテープ巻取りユニット50と、
を含んで構成されている。
【0032】
ここで、吸着テーブル10、剥離テープユニット20、貼付/剥離ローラユニット30、加熱/冷却ユニット40及びテープ巻取りユニット50についてそれぞれ以下に詳細に説明する。
【0033】
1)吸着テーブル:
矩形ブロック状の吸着テーブル10は、図4に示すように、表面保護テープ2が貼付された面の反対側にダイシングテープ4を介してリングフレーム11に固定され、表面保護テープ2と共に個片化されたウエハWを位置決めして載置するようになっており、リングフレーム11とウエハWは共に下面を吸着して保持される。
【0034】
尚、後述のように、ウエハW表面に貼付された表面保護テープ2の全面には前記貼付/剥離ローラユニット30によって剥離テープ3が貼着されるが、このとき、剥離テープ3がリングフレーム11に付着しないように、リングフレーム11の高さはウエハW表面よりも一段低く設定されている。
【0035】
2)剥離テープユニット:
剥離テープユニット20においては、図1に示すように、剥離テープ3を巻装して成るロール状の剥離テープ原反21が回転自在に支障されており、該剥離テープ原反21の軸にはプーリ22が結着されている。そして、剥離テープ原反21の近傍にはトルクモータM1が配置されており、該トルクモータM1の出力軸端に結着されたプーリ23と前記プーリ22の間には無端状のベルト24が巻装されている。
【0036】
ここで、剥離テープ3としては、ポリエチレンテレフタレート等の耐熱フィルムに感熱性接着剤層を設けて成る感熱性接着テープが用いられるが、感熱性接着剤層は剥離紙3aによって被覆されている。
【0037】
又、前記トルクモータM1の下方には別のモータM2が配置されており、該モータM2の出力軸には、前記剥離テープ3から分離された剥離紙3aを巻き取るための剥離紙巻取り軸25が結着されている。
【0038】
更に、剥離テープユニット20には、前記剥離テープ原反21から繰り出された剥離テープ3を挟持して該剥離テープ3から剥離紙3aを分離する上下のローラ対26a,26bと、剥離テープ3から分離された剥離紙3aをガイドするガイドローラ27a〜27dが設けられている。ここで、1つのガイドローラ27cは、上下方向に形成されたガイド溝28に沿って上下動可能なバッファローラを構成しており、このバッファローラ27cは不図示の付勢手段によって常時下方に付勢され、剥離紙3aを引っ張ってこれの弛みを防ぐ機能を果たす。
【0039】
3)貼付/剥離ローラユニット:
貼付/剥離ローラユニット30は、図1に示すように、回転自在に支持された2つのローラ31,32を上下に配して構成され、これは装置本体上に平行に設置された一対のスライドレール33にスライドトラック34を介して移動自在に支持されている。そして、この貼付/剥離ローラユニット30は、装置本体上に前記スライドレール33と平行に設置された移動用一軸ロボット35(図2参照)によってスライドレール33上を図示矢印方向に往復動せしめられる。
【0040】
又、貼付/剥離ローラユニット30は、上下方向に配された2本のガイドシャフト36に沿って上下動可能に支持されており、これに設けられた上下用シリンダ37によって前記ガイドシャフト36に沿って上下動せしめられる。
【0041】
尚、貼付/剥離ローラユニット30の前記ローラ31,32には、剥離紙3aが分離された剥離テープ3が巻き掛けられている。
【0042】
4)加熱/冷却ユニット:
加熱/冷却ユニット40は、加熱手段としてヒータ本体41と冷却ファン等の不図示の冷却手段を備えており、前記スライドレール33に直交する左右一対のスライドレール42にスライドトラック43を介して図1の紙面直交方向に移動自在に支持されている。そして、加熱/冷却ユニット40をスライドレール42に沿って往復移動せしめるスライド用シリンダ44が前記スライドレール42と平行に設置されている。
【0043】
又、加熱/冷却ユニット40においては、前記ヒータ本体41が複数のガイドシャフト45に沿って上下動自在に支持されており、該ヒータ本体41は、上下用シリンダ46によって上下動せしめられる(図1参照)。
【0044】
5)テープ巻取りユニット:
テープ巻取りユニット50は、図1に示すように、前記剥離テープユニット20の上方に配置されており、このテープ巻取りユニット50には、モータM3によって回転駆動されるフィードローラ51とこれに当接して従動回転するピンチローラ52、これの両側に配されたガイドローラ53,54及び剥離テープ3をこれに付着した表面保護テープ2(2a)と共に巻き取るための剥離テープ巻取り軸55が設けられている。そして、剥離テープ巻取り軸55の近傍にはトルクモータM4が配置されており、該トルクモータM4の出力軸端に結着されたプーリ56と前記剥離テープ巻取り軸55に結着されたプーリ57の間には無端状のベルト58が巻装されている。
【0045】
而して、前記貼付/剥離ローラユニット30のローラ31を経てテープ巻取りユニットへ50と送り込まれる剥離テープ3とこれに付着した表面保護テープ2(2a)は、ガイドローラ53を経てフィードローラ51とピンチローラ52によって挟持され、更にガイドローラ54を経て剥離テープ巻取り軸55に至り、該剥離テープ巻取り軸55に巻き取られて回収される。
【0046】
次に、以上の構成を有する剥離装置1の作用を説明しながら、本発明に係る剥離方法を図7〜図16に基づいて説明する。尚、図7〜図14は本発明方法をその工程順に示す説明図、図15はウエハ表面の表面保護テープへの剥離テープの貼着状態を示す断面図、図16は加熱後の表面保護テープと剥離テープの状態を示す断面図である。
【0047】
本発明方法は、ウエハWの表面に貼付されてチップサイズに個片化された表面保護テープ2aを同じく個片化されたウエハW1表面から剥離する方法であって、以下の剥離テープ貼付工程、加熱/冷却工程及びテープ剥離工程を経て実施される。
【0048】
1)剥離テープ貼付工程:
吸着テーブル10上のリングフレーム11の内側には、図3に示したように、表面に表面保護テープ2が貼着されたウエハWが前記表面保護テープ2側が上になるように位置決めされてダイシングテープ4を介してリングフレーム11と共に吸着セットされており、表面保護テープ2はダイシングによってウエハWと共にチップサイズに個片化されている。
【0049】
先ず、前記貼付/剥離ローラユニット30は、図1及び図2に示す位置に待機しており、該貼付/剥離ローラユニット30の2つのローラ31,32は図7に示す位置にあって、これらに張架された剥離テープ3をウエハWの側方に待機させている。
【0050】
上記状態で前記移動用一軸ロボット35を駆動し、貼付/剥離ローラユニット30をスライドレール33に沿って図1及び図2の左方向に移動させると、該貼付/剥離ローラユニット30のローラ31,32は図8の鎖線位置から実線位置まで矢印方向に移動する。このとき、モータM3はロック状態になっており、ローラ31,32の移動により、剥離テープ原反21から剥離紙3aが分離された剥離テープ3を引き出しながら移動し、ウエハWの上方には、ローラ32とローラ対26a,26b間に張設された剥離テープ3が斜めに位置している。
【0051】
ところで、剥離テープ3の引き出し中は、トルクモータM1によって剥離テープ3に所定のテンションが掛かるようになっている。又、剥離紙3aは、その引き出し時には、バッファローラ27cが付勢手段によって図1の鎖線にて示す位置に移動するために弛みが吸収される。そして、剥離テープ3のウエハWへの貼付が終了すると、モータM2が動作を開始し、バッファローラ27cが不図示のセンサによって検知されると剥離紙3aを巻き取る。
【0052】
次に、上下用シリンダ37を駆動して貼付/剥離ローラユニット30をガイドシャフト36に沿って下動させ、図9に示すように、ローラ32を剥離テープ3と共にウエハW表面の一端に密着させる。この結果、剥離テープ3がウエハW表面に貼着された表面保護テープ2(2a)の一端に貼着され、その状態で移動用一軸ロボット35を駆動して貼付/剥離ローラユニット30をスライドレール3に沿って図1及び図2の右方向に移動させる。
【0053】
すると、貼付/剥離ローラユニット30のローラ31,32は、図10の鎖線位置から実線位置まで矢印方向に移動し、ローラ32は剥離テープ3をウエハW表面の表面保護テープ2に押圧しながら移動するため、表面保護テープ2の全面に剥離テープ3が貼着される(図15参照)。
【0054】
2)加熱/冷却工程:
前記剥離テープ貼付工程において表面保護テープ2の全面に剥離テープ3が貼着されると、もう一度、前記移動用一軸ロボット35を駆動し、貼付/剥離ローラユニット30をスライドレール33に沿って図1及び図2の左方向に移動させた後、上下用シリンダ37を駆動して貼付/剥離ローラユニット30をガイドシャフト36に沿って上動せしめ、ローラ32をウエハW表面から離間させる。すると、貼付/剥離ローラユニット30のローラ31,32は、図11の鎖線位置から実線位置まで矢印方向に移動する。
【0055】
上記状態において、スライド用シリンダ44を駆動して加熱/冷却ユニット40をスライドレール42に沿って図2の下方に移動させ、該加熱/冷却ユニット40をウエハWの上方に位置せしめる。
【0056】
その後、加熱/冷却ユニット40の上下用シリンダ46を駆動し、該加熱/冷却ユニット40のヒータ本体41をガイドシャフト45に沿って下動せしめ、図12に示すように、該ヒータ本体41をウエハW表面の表面保護テープ2に貼着された剥離テープ3に当接させる。そして、その状態でヒータ本体41のヒータに通電して剥離テープ3と表面保護テープ2を所定温度に加熱する。
【0057】
ここで、加熱温度と加熱時間は、表面保護テープ2の材質によるが、一般的には40〜200℃(好ましくは、70〜130℃)で、0.5〜120秒(好ましくは、1〜10秒)程度である。
【0058】
而して、前述のように(図6参照)、表面保護テープ2は熱収縮性基材2Aの表面に粘着剤層2Bを塗着して構成されているため、これを加熱すると熱収縮性基材2Aが収縮し、個片化された個々の表面保護テープ2aが図16に示すように湾曲する。このため、個片化された個々の表面保護テープ2aのウエハW(W1)表面に対する接触面積が減少し、各表面保護テープ2aがウエハW(W1)表面から剥れ易くなる。
【0059】
その後、上下用シリンダ46を駆動して加熱/冷却ユニット40のヒータ本体41をガイドシャフト45に沿って上動せしめ、図13に示すように、該ヒータ本体41をウエハWから離間せしめ、その状態で不図示の冷却ファン等の冷却手段によって剥離テープ3と表面保護テープ2を冷却する。
【0060】
3)テープ剥離工程:
上述のように剥離テープ3と表面保護テープ2を冷却すると、スライド用シリンダ44を駆動して加熱/冷却ユニット40をスライドレール42に沿って図2の上方に移動させ、該加熱/冷却ユニット40をウエハWの上方から退避させる。
【0061】
その後、前記移動用一軸ロボット35を駆動し、貼付/剥離ローラユニット30をスライドレール33に沿って図1及び図2の右方向に移動させると、該貼付/剥離ローラユニット30のローラ31,32は、図14の鎖線位置から実線位置まで矢印方向に移動するが、このとき、同時にモータM3を駆動すると、トルクモータM4は、所定のテンションが剥離テープ3に掛かるようにされているため、その回転をプーリ56、ベルト58及びプーリ57を経てテープ巻取り軸55に伝達し、該テープ巻取り軸55を回転駆動することになるため、剥離テープ3がこれに付着した表面保護テープ2(2a)と共にウエハW表面から剥離される。
【0062】
ここで、前述のように(図16参照)、個片化された個々の表面保護テープ2aは湾曲してウエハW表面から剥れ易くなっているため、これらの表面保護テープ2aは剥離テープ3に付着してウエハW表面から容易に剥離できる。
【0063】
そして、ウエハW表面から剥離した剥離テープ3は、これに付着した表面保護テープ2aと共にテープ巻取りユニット50のテープ巻取り軸55に巻き取られて回収される。
【0064】
以上において、本実施の形態によれば、表面保護テープ2の全面に貼付された剥離テープ3を表面保護テープ2(2a)と共に加熱すると、個片化された表面保護テープ2aが剥離テープ3に付着した状態で収縮するため、個片化された表面保護テープ2aをウエハW表面から容易に剥離することができるが、これら一連の工程を吸着テーブル10、剥離テープユニット20、貼付/剥離ローラユニット30、加熱/冷却ユニット40及びテープ巻取りユニット50を含んで構成される剥離装置1によって実施することによって、表面保護テープ2(2a)の剥離作業を効率良く行うことができる。
【0065】
又、本実施の形態では、剥離テープ3として、連続したシート状テープを用いるため、個片化された表面保護テープ2aを連続した剥離テープ3に連続的に付着させてウエハW表面から効率良く剥離して回収することができる。
【0066】
更に、本実施の形態では、剥離テープ貼付手段とテープ剥離手段とを共通の貼付/剥離ローラユニット30で構成したため、剥離装置1の構造単純化とコストダウンを図ることができる。
【0067】
その他、本実施の形態では、加熱された剥離テープ3と表面保護テープ2(2a)を冷却するようにしたため、作業時間を短縮して更なる高効率化を図ることができる。
【0068】
尚、本実施の形態に係る剥離装置1においては、作業の一部(例えば、ウエハWの吸着テーブル10へのセット)を手動で行うようにしたが、全ての作業を自動的に行うよう構成すれば、フルオートの剥離装置を実現することも可能である。
【0069】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図17〜図21に基づいて説明する。尚、図17〜図19は本発明の実施の形態2に係る剥離方法をその工程順に示す説明図、図20は加熱後の表面保護テープと剥離テープの状態を示す断面図、図21は剥離テープと表面保護テープをウエハ表面から剥離する状態を示す断面図である。
【0070】
本実施の形態に係る剥離方法は、前記実施の形態1のそれと同様に、ウエハWの表面に貼付されてチップサイズに個片化された表面保護テープ2aをウエハW表面から剥離する方法であるが、剥離テープ3として、ウエハWの表面形状に合わせてプリカットされた円形のテープを用いる点が実施の形態1とは異なる。
【0071】
即ち、本実施の形態においては、図17に示すように、剥離テープ原反61に巻装されたシート状の剥離紙3aには、ウエハWの表面形状に合わせてプリカットされた円形の複数の剥離テープ3が適当な間隔で仮着されており、剥離テープ原反61から繰り出される剥離紙3aは、ローラ62〜65にガイドされて巻取り軸66に巻き取られる。
【0072】
ここで、表面保護テープ2は、前記実施の形態1と同様に、熱収縮性基材の表面に粘着剤層を塗工した構成で、剥離テープ3としては、ポリエチレンテレフタレート等の耐熱フィルムに感熱性接着剤層を設けて成る感熱性接着テープが用いられる。
【0073】
而して、図17に示すように、ウエハWの上方には2つのローラ63,64によって剥離紙3aが略水平に張設されており、該剥離紙3aの下面に仮着された円形の剥離テープ3がウエハWの上方に位置決めされる。
【0074】
次に、加熱/冷却ユニット40のヒータ本体41が下動せしめられ、図18に示すように、該ヒータ本体41が剥離テープ3をウエハW表面の表面保護テープ2に押圧するとともに、該剥離テープ3を表面保護テープ2と共に所定温度に加熱する。すると、円形にプリカットされた剥離テープ3がウエハW表面の表面保護テープ2の全面に転着される。
【0075】
而して、表面保護テープ2は熱収縮性基材の表面に粘着剤層を塗着して構成されているため、これを加熱すると熱収縮性基材が収縮し、図20に示すように、個片化された個々の表面保護テープ2aが湾曲する。このため、個片化された個々の表面保護テープ2aのウエハW表面に対する接触面積が減少し、各表面保護テープ2aがウエハW表面から剥れ易くなる。
【0076】
その後、加熱/冷却ユニット40のヒータ本体41を上動せしめると、図19に示すように、剥離テープ3が剥離紙3aから分離してウエハW表面に残り、剥離紙3aのみがローラ64,65にガイドされて巻取り軸66に巻き取られる。
【0077】
次に、図20に示すように、ウエハW表面の表面保護テープの全面に転着された剥離テープ3の一端に接着テープ67の一端を接着し、この接着テープ67を図21に示すように横U字状に折り返し、その他端を剥しヘッド68で挟持してこれを図示矢印方向に移動させれば、剥離テープ3とこれに付着した表面保護テープ2aが剥しヘッド68によって引っ張られてこれらがウエハW表面から順次剥離して回収される。
【0078】
ここで、前述のように、個片化された個々の表面保護テープ2aは湾曲してウエハW表面から剥れ易くなっているため、これらの表面保護テープ2aは剥離テープ3に付着してウエハW表面から容易に剥離する。
【0079】
而して、本実施の形態においても、個片化された表面保護テープ2aをウエハW表面から容易に且つ効率良く剥離することができ、前記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、チップサイズに個片化されて板状部材の表面に貼付された表面保護テープ等の接着テープを板状部材から剥離する方法及び装置に対して適用可能であり、半導体製造分野以外のレンズ、ダイオード、波長変換素子等の光学機器や電子部品の製造分野においても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1に係る剥離装置の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る剥離装置の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る剥離装置の吸着テーブル部分の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る剥離装置の吸着テーブル部分の平面図である。
【図5】表面に表面保護テープが貼着されたウエハの断面図である。
【図6】表面保護テープの断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図14】本発明の実施の形態1に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図15】本発明の実施の形態1に係る剥離方法において表面に表面保護テープが貼着されたウエハの断面図である。
【図16】本発明の実施の形態1に係る剥離方法における加熱後のウエハ表面の表面保護テープへの剥離テープの貼着状態を示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態2に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図18】本発明の実施の形態2に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図19】本発明の実施の形態2に係る剥離方法をその工程順に示す説明図である。
【図20】本発明の実施の形態2に係る剥離方法における加熱後の表面保護テープと剥離テープの状態を示す断面図である。
【図21】本発明の実施の形態2に係る剥離方法において剥離テープと表面保護テープをウエハ表面から剥離する状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 剥離装置
2 表面保護テープ(接着テープ)
2A 熱収縮性基材
2B 粘着剤層
2a 個片化された表面保護テープ(接着テープ)
3 剥離テープ
3a 剥離紙
10 吸着テーブル
11 リングフレーム
20 剥離テープユニット(剥離テープ供給手段)
21 剥離テープ原反
25 剥離紙巻取り軸
30 貼付/剥離ローラユニット(剥離テープ貼付手段/テープ剥離手段)
31,32 ローラ
35 移動用一軸ロボット
37 上下用シリンダ
40 加熱/冷却ユニット(加熱手段/冷却手段)
41 ヒータ本体
44 スライド用シリンダ
50 テープ巻取りユニット(回収手段)
55 剥離テープ巻取り軸
61 剥離テープ原反
62〜65 ローラ
66 巻取り軸
67 接着テープ
68 剥しヘッド
W 半導体ウエハ(板状部材)
W1 個片化された半導体ウエハ
M1〜M4 モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップサイズに個片化されて板状部材の表面に貼付された接着テープを前記板状部材から剥離する方法であって、
前記板状部材の表面に貼付された前記接着テープの全面に剥離テープを貼付する剥離テープ貼付工程と、
前記剥離テープ及び前記接着テープを加熱する加熱工程と、
加熱によって前記剥離テープに付着した前記接着テープを剥離テープと共に前記板状部材から剥離するテープ剥離工程と、
を経て接着テープを板状部材から剥離することを特徴とする接着テープの剥離方法。
【請求項2】
前記剥離テープとして、連続したシート状テープを用いることを特徴とする請求項1記載の接着テープの剥離方法。
【請求項3】
前記剥離テープとして、前記板状部材の表面形状に合わせてプリカットされたテープを用いることを特徴とする請求項1記載の接着テープの剥離方法。
【請求項4】
前記接着テープとして、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて成るテープを用いることを特徴とする請求項1記載の接着テープの剥離方法。
【請求項5】
前記加熱工程において剥離テープと接着テープを加熱した後、これらを冷却することを特徴とする請求項1記載の接着テープの剥離方法。
【請求項6】
チップサイズに個片化されて板状部材の表面に貼付された接着テープを前記板状部材から剥離する装置であって、
吸着テーブル上にセットされた前記板状部材に対して剥離テープを繰り出す剥離テープ供給手段と、
該剥離テープ供給手段によって繰り出された剥離テープを板状部材の表面に貼付された前記接着テープの全面に貼付する剥離テープ貼付手段と、
該剥離テープ貼付手段によって接着テープの全面に貼付された剥離テープを接着テープと共に加熱する加熱手段と、
該加熱手段による加熱によって剥離テープに付着した接着テープを剥離テープと共に板状部材から剥離するテープ剥離手段と、
該テープ剥離手段によって板状部材から剥離された接着テープと剥離テープを回収する回収手段と、
を含んで構成されることを特徴とする接着テープの剥離装置。
【請求項7】
前記剥離テープとして、連続したシート状テープを用い、前記剥離テープ貼付手段と前記テープ剥離手段とを共通のローラユニットで構成したことを特徴とする請求項6記載の接着テープの剥離装置。
【請求項8】
前記剥離テープとして、前記板状部材の表面形状に合わせてプリカットされたテープを用い、該剥離テープの端部に接着された第2の接着テープを剥しヘッドによって把持してこれを引っ張ることによって前記接着テープを剥離テープと共に板状部材から剥離することを特徴とする請求項6記載の接着テープの剥離装置。
【請求項9】
前記接着テープを、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて構成したことを特徴とする請求項6記載の接着テープの剥離装置。
【請求項10】
前記加熱手段によって加熱された剥離テープと接着テープを冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする請求項6記載の接着テープの剥離装置。
【請求項1】
チップサイズに個片化されて板状部材の表面に貼付された接着テープを前記板状部材から剥離する方法であって、
前記板状部材の表面に貼付された前記接着テープの全面に剥離テープを貼付する剥離テープ貼付工程と、
前記剥離テープ及び前記接着テープを加熱する加熱工程と、
加熱によって前記剥離テープに付着した前記接着テープを剥離テープと共に前記板状部材から剥離するテープ剥離工程と、
を経て接着テープを板状部材から剥離することを特徴とする接着テープの剥離方法。
【請求項2】
前記剥離テープとして、連続したシート状テープを用いることを特徴とする請求項1記載の接着テープの剥離方法。
【請求項3】
前記剥離テープとして、前記板状部材の表面形状に合わせてプリカットされたテープを用いることを特徴とする請求項1記載の接着テープの剥離方法。
【請求項4】
前記接着テープとして、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて成るテープを用いることを特徴とする請求項1記載の接着テープの剥離方法。
【請求項5】
前記加熱工程において剥離テープと接着テープを加熱した後、これらを冷却することを特徴とする請求項1記載の接着テープの剥離方法。
【請求項6】
チップサイズに個片化されて板状部材の表面に貼付された接着テープを前記板状部材から剥離する装置であって、
吸着テーブル上にセットされた前記板状部材に対して剥離テープを繰り出す剥離テープ供給手段と、
該剥離テープ供給手段によって繰り出された剥離テープを板状部材の表面に貼付された前記接着テープの全面に貼付する剥離テープ貼付手段と、
該剥離テープ貼付手段によって接着テープの全面に貼付された剥離テープを接着テープと共に加熱する加熱手段と、
該加熱手段による加熱によって剥離テープに付着した接着テープを剥離テープと共に板状部材から剥離するテープ剥離手段と、
該テープ剥離手段によって板状部材から剥離された接着テープと剥離テープを回収する回収手段と、
を含んで構成されることを特徴とする接着テープの剥離装置。
【請求項7】
前記剥離テープとして、連続したシート状テープを用い、前記剥離テープ貼付手段と前記テープ剥離手段とを共通のローラユニットで構成したことを特徴とする請求項6記載の接着テープの剥離装置。
【請求項8】
前記剥離テープとして、前記板状部材の表面形状に合わせてプリカットされたテープを用い、該剥離テープの端部に接着された第2の接着テープを剥しヘッドによって把持してこれを引っ張ることによって前記接着テープを剥離テープと共に板状部材から剥離することを特徴とする請求項6記載の接着テープの剥離装置。
【請求項9】
前記接着テープを、熱収縮性基材上に粘着剤層を設けて構成したことを特徴とする請求項6記載の接着テープの剥離装置。
【請求項10】
前記加熱手段によって加熱された剥離テープと接着テープを冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする請求項6記載の接着テープの剥離装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−316078(P2006−316078A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−357168(P2003−357168)
【出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]