説明

接着フィルムの切断方法及び切断装置

【課題】切断の際に生じるせん断力の作用により接着フィルムが変形した場合、カバーフィルム等が接着剤層上でずれたり剥離したりせずに、接着フィルムを良好に切断し得る装置を提供する。
【解決手段】本発明の切断装置1は、接着フィルム2を搬送しながら短冊状に切断する装置であり、カッタ機構10と、加熱機構(加熱手段)3等を備えている。カッタ機構10は、上刃11が軸方向に複数配列した上刃ユニット11Aと、下刃12が軸方向に複数配列した下刃ユニット12Aとからなる。加熱機構3は、カッタ機構10の上流側に配置され、送風器31と、ヒータ32と、温度センサ33と、温度制御部34等から構成されている。送風器31は、ダクト35等を介してヒータ32に接続され、加熱された熱風を接着フィルム2に直接吹き付けるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤層がベースフィルム及びカバーフィルムで被覆された接着フィルムを切断する方法及び装置に関し、特に、カバーフィルムが小さい剥離力で接着剤層に接着されている接着フィルムを、切断の際に、カバーフィルムが接着剤層から剥離するのを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多層プリント配線板等における基板同士を接着する際には、接着剤層の両面をベースフィルム及びカバーフィルムで被覆した接着フィルムが用いられる。この接着フィルムは、カバーフィルムが剥離された状態で一方の基板に接着された後、ベースフィルムが剥離された状態で他方の基板に接着されるものであり、各層の間には、シリコン膜の形成等により剥離処理が施されている。そして、カバーフィルムを剥がしやすくするため、通常、カバーフィルムの剥離力が、ベースフィルムの剥離力より小さく設定されている。
一方、接着フィルムを製造する工程においては、接着フィルムをカッタ機構に搬送して短冊状に切断し、それぞれ狭小幅で切断された接着フィルムを巻き取るようにしている。ここでのカッタ機構は、例えば、図3に示すように、上刃11が軸方向に配列された上刃ユニット11Aと、下刃12が軸方向に配列された下刃ユニット12Aとが、互いに噛み合うように構成されている。また、特許文献1には、この種のカッタ機構を改良したスリット装置が記載されている。このスリット装置においては、上刃同士の隙間や下刃同士の隙間を、刃幅との関係から数値規定すること等により、上刃及び下刃の側圧のバランスを均一にし、切断後の接着フィルムの反りを低減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−326284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3に示すように、接着フィルム2は、上刃11の側面と下刃12の側面との摺接により切断されるが、この際、接着フィルム2の切断面のエッジには、せん断力が作用し、下刃12の上側にある接着フィルム2は凸面状に撓み、上刃11の下側にある接着フィルム2は凹面状に撓む。
図4に示すように、このような接着フィルム2の変形状態の下では、特に剥離力が小さいカバーフィルム23について、横方向のずれに起因した切断面の変形のため、製品段階でカバーフィルム23を良好に剥離できないという問題や、接着フィルム2が変形する際やそのエッジ端面が擦れた際に、カバーフィルム23と接着剤層22との剛性の差等に起因して、カバーフィルム23が剥離してしまうという問題が生じる。
【0005】
このような問題は、近年、基板の狭小化に伴って、接着フィルム2の幅の狭小化(例えばスリット幅1mm)が進むにつれて、その狭小化したスリット幅に対して、切断面の変形する割合や剥離した長さの割合が増加するため、製品の歩留りを低下させており、上記特許文献1の改良技術を適用しても十分に解決されず、また、ベースフィルム21についても、程度の差があるにしても同様に生じていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、切断の際に生じるせん断力の作用により接着フィルムが変形した場合、カバーフィルム等が接着剤層上でずれたり剥離したりせずに、接着フィルムを良好に切断し得る方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、接着剤層がベースフィルム及びカバーフィルムで被覆された接着フィルムを、複数の刃に搬送して短冊状に切断する方法において、前記接着フィルムを切断する前に、前記接着フィルムを加熱することにより、少なくとも前記カバーフィルムの剥離力を増加させることを特徴とする接着フィルムの切断方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
また、本発明は、接着剤層がベースフィルム及びカバーフィルムで被覆された接着フィルムを、複数の刃が回転するように構成されたカッタ機構に搬送することにより、短冊状に切断する接着フィルムの切断装置において、前記カッタ機構の上流側には、前記接着フィルムを加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする接着フィルムの切断装置を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
本出願において、「剥離力」とは、カバーフィルム又はベースフィルムが接着剤層から分離するのに要する力をいい、その大きさ(N/cm)は、例えばJIS Z02307−1980に準拠して測定される。また、本出願において、「接着フィルムの加熱温度」とは、熱源によって加熱された接着フィルムの温度である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接着フィルムを切断する前に加熱して少なくともカバーフィルムの剥離力を増加させてから、その接着フィルムを切断することにより、切断の際にせん断力を受けて接着フィルムが変形した場合でも、剥離力の増加により、接着剤層がカバーフィルム等と一体となって変形し、カバーフィルム等が接着剤層上でずれたり剥離したりせずに、接着フィルムを良好に切断できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の切断装置の概略構成を示す正面図である。
【図2】第2実施形態の切断装置の概略構成を示す正面図である。
【図3】上刃及び下刃が互いに噛み合った状態で、接着フィルムが変形した状態を示す側方断面図である。
【図4】従来の接着フィルムにおけるカバーフィルムが剥離した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の接着フィルムの切断装置及び切断方法(以下、単に「切断装置」、「切断方法」ともいう)の最も好ましい一実施形態(第1実施形態)を詳細に説明する。
本実施形態の切断装置及び切断方法の対象とする接着フィルム2は、ベースフィルム21に接着剤層22が形成されその表面がカバーシー23トで被覆されたシートであれば限定されず、その接着剤層22の形成に用いられる接着剤は、熱可塑性樹脂系接着剤又は熱硬化性接着剤の何れでもよい。また、接着フィルム2は、このような接着剤に導電粒子を分散させた異方性導電フィルムでもよい(図3参照)。
【0013】
まず、本実施形態の切断装置について説明する。
図1に示すように、本実施形態の切断装置1は、接着フィルム2を搬送しながら短冊状に切断する装置であり、カッタ機構10と、加熱機構(加熱手段)3と、搬送機構4等を備えている。
【0014】
図1又は図3に示すように、カッタ機構10は、上刃11が軸方向に複数配列した上刃ユニット11Aと、下刃12が軸方向に複数配列した下刃ユニット12Aとからなる。上刃ユニット11A及び下刃ユニット12Aは、互いに逆向きに回転するように構成され、上刃11と下刃12とが一部で重なって交互に噛み合うように配置されている。一方、搬送機構4は、複数の搬送ローラ4から構成され、カッタ機構10の上流側では、上刃11及び下刃12で定められる水平切断面に対し、接着シート2の搬送面αを合わせるように、搬送ローラ4が配置されており、カッタ機構10の下流側では、下刃12の上側にある接着シート2を上方に搬送し、上刃11の下側にある接着シート2を下方に搬送するように、搬送ローラ(図示しない)が配置されている。ここでは、接着フィルム2は、搬送面α上で、カバーフィルム23が上面になるように搬送される。
【0015】
加熱機構3は、カッタ機構10の上流側で搬送面αの上側(カバーフィルム23側)に配置され、切断される前の接着フィルム2を加熱する機構である。加熱機構3は、送風器31と、ヒータ32と、温度センサ33と、温度制御部34等から構成されている。送風器31は、エアーチューブのようなダクト35等を介してヒータ32に接続され、ヒータ32を通過して加熱された熱風を送風するようになっている。この送風器31は、搬送面αを横切るような棒状に形成され、その下部に設けられた吐出口31aが搬送面αと対向して配置されている。
温度制御部34は、ヒータ32、温度センサ33それぞれに電気的に接続され、温度センサ33が検出した信号に基づいて、ヒータ32の温度を一定に調整するように構成されている。温度センサ33は、送風器31より下流側に配置され、送風器31により加熱された接着フィルム2の加熱温度を検出するようになっている。
【0016】
送風器31及び温度センサ33は、水平レール36に取り付けられ、カッタ機構10のに対して前後方向に、それぞれ独立して平行移動するように構成されており、接着フィルム2の種類に応じて、熱風の吹き付け位置又は吹き付け角度や、接着フィルム2の加熱温度の検出位置について、設定変更を可能にしている。なお、ヒータ32から放射される赤外線等は、接着フィルム2の特性を変化させるおそれがあるため、ヒータ32は、接着フィルム2から十分に隔離された位置に配置されている。
【0017】
次に、本実施形態の切断方法について、上記切断装置1を用いた方法を一例にして説明し、併せて上記切断装置1の作用等を説明する。
まず、図1に示すように、切断する前の接着フィルム2を、搬送しつつ加熱機構3により加熱する。この場合、加熱機構3においては、温度制御部34により、ヒータ32の温度を一定に保持しつつ、ヒータ32を通した熱風を接着フィルム2に直接吹き付け、その一方で、接着フィルム2の加熱温度を検出し、その検出結果に基づいて、ヒータ32を接着フィルム2の加熱に適正な温度になるように制御している。このような加熱機構3を通過した接着フィルム2は、一定の加熱温度で均一に加熱される。
【0018】
ここで、接着フィルム2の加熱温度は、切断の際に生じるせん断力に抗して、剥離力を定量的に増加させるためのパラメータの一つであり、熱風により接着フィルム2が加熱された温度である。この加熱温度は、接着剤の種類、シリコン膜厚等、種々の要因によって異なり、一義的に定まらないが、接着剤が熱可塑性タイプである場合、常温より高ければ特に制限がなく、接着剤が熱硬化性タイプである場合、常温より高く接着剤が硬化しない温度であれば特に制限がない。
本発明者等による接着フィルム2の耐熱試験の結果、50℃の温度下で3分間加熱しても、接着フィルム2の特性に変化が見られなかったため、これより緩和された条件の下、ライン速度が1〜10m/minで走行する接着フィルムに対し、接着フィルムの加熱温度が25〜50℃になるようにすれば、加熱後の接着フィルム2の特性は保証される。
なお、剥離力を増加させるためのパラメータには、加熱温度の他に、加熱時間、熱風の吹き付け面積、切断するまでの放熱量等があり、このようなパラメータは、単位時間・単位面積当たりの給熱量(kJ/(m2・s))で総括される。
【0019】
このように加熱された接着フィルム2においては、接着剤層22が軟化して溶融すると共に、カバーフィルム23及びベースフィルム21が柔軟になり、各層での剛性の差が小さくなる等の結果、カバーフィルム23及びベースフィルム21の剥離力が、加熱前のそれぞれの剥離力より増加する。この剥離力は、接着剤が上記加熱温度で接着力を増加させる特性のものであれば、さらに増加する。
カバーフィルム23又はベースフィルム21(以下、適宜「カバーフィルム23等」ともいう)の剥離力は、切断の際に生じるせん断力に抗するためのパラメータであり、カバーフィルム23等が接着剤層から分離するのに要する力である。この剥離力は、加熱温度の場合と同様、シリコン膜厚等、種々の要因によって異なり、一義的に定まらないが、切断の際にせん断力を受けた場合、接着剤層上のカバーフィルム23等がずれたり分離したりしないような抵抗力であればよい。
【0020】
次いで、加熱した接着フィルム2を、カッタ機構10に搬送してこのカッタ機構10により短冊状に切断する。この場合、カッタ機構10においては、上刃11の側面と下刃12の側面との摺接により、接着フィルム2を、刃幅に応じたスリット幅で切断している。この際、図3に示すように、接着フィルム2の切断面のエッジには、せん断力が作用し、下刃12の上側にある接着フィルム2は凸面状に撓み、上刃11の下側にある接着フィルム2は凹面状に撓む。このような接着フィルム2の変形状態の下では、カバーフィルム23の剥離力が増加しているため、接着フィルム2は、接着剤層22がカバーフィルム23と一体となって変形し、カバーフィルム23が接着剤層22上でずれたり剥離したりしない。以上の点はベースフィルム21についても同様である。
【0021】
その後、切断されて短冊状になった接着フィルム2について、下刃12の上側にある接着フィルム2をそれぞれ上側で巻き取り、上刃11の下側にある接着フィルム2をそれぞれ下側で巻き取る。
【0022】
以上述べたように、本実施形態によれば、接着フィルム2を切断する前に加熱して、少なくともカバーフィルム23の剥離力を増加させてから、その接着フィルム2を切断するようにしたため、切断の際にせん断力を受けて接着フィルム2が変形した場合でも、剥離力の増加により、接着剤層22がカバーフィルム23等と一体となって変形し、カバーフィルム23等が接着剤層22上でずれたり剥離したりせずに、接着フィルム2を良好に切断できる。
【0023】
また、本実施形態によれば、接着フィルム2に熱風を直接吹き付けて接着フィルム2を加熱するようにしたため、接着フィルム2の特性を変化させずに直接的にカバーフィルム23等の剥離力を増加させることができる。
【0024】
さらに、本実施形態によれば、接着剤が熱硬化性タイプの場合、接着フィルム2の加熱温度を、接着剤層22が硬化しない温度にしたため、硬化剤等を含む異方性導電フィルムであっても、その特性を劣化させずにカバーフィルム23等の剥離力を増加させることができる。
【0025】
さらにまた、本実施形態によれば、熱風の温度を、一定に制御すると共に、接着フィルム2の加熱温度を検出した結果に基づいて適正な温度に制御するようにしたため、接着フィルム2を均一に加熱してカバーフィルム23等の剥離力を均一にできる。
【0026】
次に、本発明の切断装置及び切断方法の最も好ましい他の一実施形態(第2実施形態)を説明する。
図2に示すように、本実施形態の切断装置1Aは、上記第1実施形態の切断装置1と加熱機構(加熱手段)3Aのみが異なる。本実施形態の加熱機構3Aは、カッタ機構10の上流側に配置された機構であって、送風器31と、ヒータ32と、温度センサ33と、温度制御部34等から構成されている点では、上記第1実施形態の加熱機構3と同様であるが、この各構成部材の配置が異なっている。すなわち、送風器31は、搬送面αの上方側で、吐出口31aを上刃11に向けて上刃ユニット11Aを横切るように配置され、温度センサ33は、送風器31の下方にあって、上刃11と接着フィルム2とで形成される空隙部分(吹き溜り部分)βの近傍に配置され、送風器31により加熱された吹き溜り部分βの雰囲気温度を検出するようになっている。送風器31及び温度センサ33は、鉛直レール37に取り付けられ、カッタ機構10の切断面に対して上下方向に、それぞれ独立して平行移動するように構成されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0027】
次に、本実施形態の切断方法について、上記切断装置1Aを用いた方法を一例にして主に異なる点を説明し、併せて上記切断装置1Aの作用等を説明する。
図3に示すように、本実施形態の切断方法においては、接着フィルム2を、上刃11に熱風を直接吹き付けることにより加熱する点が主に異なっている。この場合、加熱機構3Aにおいては、温度制御部34により、ヒータ32の温度を一定に保持しつつ、ヒータ32を通した熱風を上刃11に直接吹き付けて上刃11を直接加熱し、この加熱された上刃11と共に吹き溜り部分βに溜めた熱風により接着フィルム2を間接的に加熱し、その一方で、吹き溜り部分βの雰囲気温度を検出し、その検出結果に基づいて、ヒータ32を接着フィルム2の加熱に適正な温度になるように制御している。このような加熱機構3Aを通過した接着フィルム2は、切断する直前で吹き溜り部分βの熱風により一定の加熱温度で均一に加熱される。その直後、加熱された接着フィルム2を、カッタ機構10に搬送し、加熱された上刃11で切断する。
【0028】
以上の通り、本実施形態の切断方法では、熱風を吹き溜り部分βに溜め込んで熱風空間を形成し、熱風の供給熱を極力逃がさない状態の下で、接着フィルム2を切断直前に効率的に加熱しつつ切断するまで冷却させず、一方、切断の際、上刃11と接着フィルム2との間で熱移動を抑えて接着フィルム2の加熱温度を下げないようにしている。その他の切断方法については、上記第1実施形態と同様である。
【0029】
以上述べたように、上刃11に熱風を直接吹き付けて、接着フィルム2だけでなく上刃11も加熱するようにしたため、切断の際に接着フィルム2の加熱温度を下げずに済み、カバーフィルム23等の剥離力を、上記第1実施形態の場合より増加させることができる。その結果、製品段階で、もともとカバーフィルム23等の剥離力が小さく設定されている接着フィルム2について、切断の際に切断面の変形やカバーフィル23ム等の剥離を防止できる。
【0030】
本発明は、上記実施形態に限られることなく、種々の変更等を行うことができる。
例えば、本発明においては、接着フィルムを適正に加熱して切断の際に切断面の変形やカバーフィルム等の剥離を防止する観点から、剥離力を定量的に増加させるためのパラメータとして、「接着フィルムの加熱温度」を用いることが好ましいが、接着フィルムの加熱温度に間接的に寄与する「熱風の温度」や「加熱された上刃の温度」でもよく、剥離力を直接パラメータとしてもよい。剥離力をパラメータとする場合、加熱前の剥離力と加熱後の剥離力との比率を「剥離力の増加率」として表すこともできる。加熱後の剥離力の測定については、実際に測定することが困難であるため、シュミレーション解析等により擬似的に求めてもよい。
【0031】
また、本発明においては、剥離力の小さいカバーフィルム側から熱風を吹き付けることが好ましいが、カバーフィルムの剥離力とベースフィルムの剥離力との差が小さいような場合等は、ベースフィルム側から熱風を吹き付けてもよく、加熱後のカバーフィルムの剥離力が加熱前のベースフィルムの剥離力を超えてしまうような場合等は、カバーフィルム及びベースフィルムの両側から熱風を吹き付けてもよい。このように熱風を接着フィルムのどちら側から吹き付けるかという点と、カバーフィルムを上面にして接着フィルムを搬送するという点は、直接関係がなく、接着フィルムの種類と上刃及び下刃との関係によっては、カバーフィルムを下面にして搬送した方が、切断面形状がシャープになる場合もあるため、このような場合には、カバーフィルムを下面にして接着フィルムを搬送することが好ましい。
【0032】
さらに、本発明においては、熱風を接着フィルム又は刃に直接吹き付けることが好ましいが、ヒータを、刃や搬送ローラに内蔵して接着フィルムを加熱することもできる。この場合、ヒータは、接着剤の特性を変化させないようなものであることが好ましい。
【0033】
さらにまた、本発明においては、接着フィルムに熱風を直接吹き付けると共に、刃に熱風を直接吹き付けてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 カッタ機構
11 上刃(刃)
12 下刃(刃)
2 接着フィルム
21 ベースフィルム
22 接着剤層
23 カバーフィルム
3、3A 加熱機構(加熱手段)
31 送風器
32 ヒータ
33 温度センサ
34 温度制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤層がベースフィルム及びカバーフィルムで被覆された接着フィルムを、複数の刃に搬送して短冊状に切断する方法において、
前記接着フィルムを切断する前に、前記接着フィルムを加熱することにより、少なくとも前記カバーフィルムの剥離力を増加させることを特徴とする接着フィルムの切断方法。
【請求項2】
前記接着フィルムに熱風を直接吹き付けることにより、前記接着フィルムを加熱することを特徴とする請求項1記載の接着フィルムの切断方法。
【請求項3】
前記刃に熱風を直接吹き付けることにより、前記接着フィルムを加熱することを特徴とする請求項1記載の接着フィルムの切断方法。
【請求項4】
前記接着剤層が熱硬化性樹脂を含む場合、前記接着フィルムの加熱温度を、前記接着剤層が硬化しない温度にすること特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の接着フィルムの切断方法。
【請求項5】
接着剤層がベースフィルム及びカバーフィルムで被覆された接着フィルムを、複数の刃が回転するように構成されたカッタ機構に搬送することにより、短冊状に切断する接着フィルムの切断装置において、
前記カッタ機構の上流側には、前記接着フィルムを加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする接着フィルムの切断装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、ヒータで加熱された熱風を前記接着フィルム又は前記刃に吹き付ける送風器と、該送風器により加熱された前記接着フィルムの加熱温度を検出する温度センサと、該温度センサからの信号に基づいて前記ヒータの温度を調整する温度制御部とから構成されていることを特徴とする請求項5記載の接着フィルムの切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−154290(P2009−154290A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96306(P2009−96306)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【分割の表示】特願2004−108793(P2004−108793)の分割
【原出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】