説明

接続体

【課題】1種類のコンタクト端子で電気的影響を抑制することができる接続体を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの導通部材間に配置され導通部材間を導通させるコンタクト端子3を複数有し、コンタクト端子3は、平板からなり、第1導通部材に一対の狭持部5,7で接続される第1接続部9と、他の導通部材に一対の狭持部11,13で接続される第2接続部15とを有する接続体1において、第1接続部9と第2接続部15とを、同一平面上で90度異なる位置に配置し、第1接続部9を平面から板厚方向に90度異なる位置に配置し、コンタクト端子3を2つ有するコンタクト端子組17を、第1接続部9,9を板厚方向に所定の第1間隔P1で並列に配置し、第2接続部15,15を第1接続部9,9を挟んで対向して配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導通部材間を導通させるコンタクト端子を有する接続体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のコンタクト端子を有する接続体としては、導通部材としての配線基板に配置され配線基板間を導通させるコンタクト端子を複数有し、コンタクト端子が配線基板に半田付けされる端子部と、コンタクト端子同士を接続する接触部とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この接続体では、複数のコンタクト端子の端子部を所定間隔で並列に配置させ、接触部を隣接する接触部に向けて近づけて、或いは遠ざけて並列に配置させている。このように接触部の間隔を変更することにより、インピーダンスを整合して隣接するコンタクト端子間のノイズ伝達の防止のような電気的影響を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−149770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数のコンタクト端子を有する接続体においては、隣り合うコンタクト端子の接続部同士の距離など、コンタクト端子の接続部の周辺環境が電気的に影響を及ぼす。このため、上記のような接続体では、隣り合うコンタクト端子の接続部の間隔を変更させている。
【0006】
しかしながら、上記のような接続体では、電気的影響を抑制するために、コンタクト端子の接続部の間隔を狭めたり広げたりしているので、少なくとも形状の異なる3種類のコンタクト端子が必要となり、部品点数の増加や高コスト化してしまっていた。
【0007】
そこで、この発明は、1種類のコンタクト端子で電気的影響を抑制することができる接続体の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、少なくとも2つの導通部材間に配置され前記導通部材間を導通させるコンタクト端子を複数有し、前記コンタクト端子は、平板からなり、前記導通部材のうち第1導通部材に一対の狭持部で接続される第1接続部と、他の前記導通部材に一対の狭持部で接続される第2接続部とを有する接続体であって、前記第1接続部と前記第2接続部とは、同一平面上で90度異なる位置に配置され、前記第1接続部が前記平面から板厚方向に90度異なる位置に配置され、前記コンタクト端子を2つ有するコンタクト端子組は、前記第1接続部が板厚方向に所定の第1間隔で並列に配置され、前記第2接続部が前記第1接続部を挟んで対向して配置されていることを特徴とする。
【0009】
この接続体では、平板からなるコンタクト端子が、第1接続部と第2接続部とが同一平面上で90度異なる位置に配置され、第1接続部が平面から板厚方向に90度異なる位置に配置されているので、第1接続部と第2接続部との一対の狭持部における幅を同一平面上で直交させることができる。
【0010】
このような1種類のコンタクト端子を2つ有するコンタクト端子組は、第1接続部が板厚方向に所定の第1間隔で並列に配置され、第2接続部が第1接続部を挟んで対向して配置されているので、一対の狭持部における幅が板厚と同一である第1接続部同士が近接して配置され、一対の狭持部における幅が第1接続部よりも広い第2接続部の両側には一方の第2接続部が存在していない。
【0011】
従って、このような接続体では、コンタクト端子組において、第2接続部間の電気的影響を無視することができ、第1接続部間の第1間隔を調整して電気的影響を抑制すればよく、1種類のコンタクト端子で電気的影響を抑制することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の接続体であって、前記コンタクト端子組は、前記第2接続部が板厚方向と直交する方向に所定の第2間隔で並列に複数配置されていることを特徴とする。
【0013】
この接続体では、第1接続部における電気的影響の抑制がなされているコンタクト端子組が第2接続部が板厚方向と直交する方向に所定の第2間隔で並列に複数配置されているので、複数のコンタクト端子間における電気的影響を抑制するために、第2接続部間の第2間隔を調整するだけでよく、複数のコンタクト端子を有する構成に対しても1種類のコンタクト端子で電気的影響を抑制することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の接続体であって、前記第1間隔は、前記第2間隔より狭く設定されていることを特徴とする。
【0015】
この接続体では、第1間隔が第2間隔より狭く設定されているので、コンタクト端子組においてはコンタクト端子間の距離を狭めることができ、コンタクト端子組をコンパクト化することができる。
【0016】
また、複数のコンタクト端子を有する接続体においては、第2間隔を電気的影響を抑制することができる範囲内でできるだけ狭く設定することにより、コンタクト端子組間の距離を狭めることができ、接続体をコンパクト化することができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接続体であって、前記第1導通部材は、基板であり、前記他の導通部材は、被覆電線であり、前記第2接続部は、前記被覆電線が圧接される圧接刃であることを特徴とする。
【0018】
この接続体では、一対の狭持部における幅が第1接続部よりも広い第2接続部が被覆電線が圧接される圧接刃であるので、コンタクト端子組において、圧接刃の両側に一方の圧接刃が配置させることがなく、電気的影響を抑制することができる。
【0019】
また、このような電気的影響が抑制されたコンタクト端子組を基板と被覆電線との間に配置されるコネクタに複数収容させる場合には、コンタクト端子組のコンタクト端子間を絶縁すると共に、コンタクト端子組間も絶縁することにより、各コンタクト端子間の距離を狭めることができ、コネクタをコンパクト化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、1種類のコンタクト端子で電気的影響を抑制することができる接続体を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る接続体のコンタクト端子の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る接続体のコンタクト端子組の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る接続体のコンタクト端子組を複数配置したときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜図3を用いて本発明の実施の形態に係る接続体について説明する。
【0023】
本実施の形態に係る接続体1は、導通部材としてのFPCなどの基板(不図示)と複数の被覆電線(不図示)との間に配置され基板と被覆電線間を導通させるコンタクト端子3を複数有し、コンタクト端子3は、平板からなり、第1導通部材としての基板に一対の狭持部5,7で接続される第1接続部9と、他の導通部材としての被覆電線に一対の狭持部11,13で接続される第2接続部15とを有する。
【0024】
また、第1接続部9と第2接続部15とは、同一平面上で90度異なる位置に配置され、第1接続部9が平面から板厚方向に90度異なる位置に配置されている。
【0025】
そして、コンタクト端子3を2つ有するコンタクト端子組17は、第1接続部9,9が板厚方向に所定の第1間隔P1で並列に配置され、第2接続部15,15が第1接続部9,9を挟んで対向して配置されている。
【0026】
また、コンタクト端子組17は、第2接続部15,15が板厚方向と直交する方向に所定の第2間隔P2で並列に複数配置されている。
【0027】
さらに、第1間隔P1は、第2間隔P2より狭く設定されている。
【0028】
図1に示すように、コンタクト端子3は、平板状の導電性材料からなり、回路がプリントされたFPCなどの基板と、電子部品などに接続された被覆電線との間に配置され、基板と被覆電線とを導通させる第1接続部9と第2接続部15とを備えている。
【0029】
第1接続部9は、一対の狭持部5,7が設けられている。この一対の狭持部5,7は、基板に形成された導体部を狭持し、コンタクト端子3と基板とが電気的に接続される。なお、第1接続部9が接続される基板は、インピーダンスの整合がなされている。この第1接続部9は、第2接続部15と連続する一部材で形成されている。
【0030】
第2接続部15は、一対の狭持部11,13が設けられており、この一対の狭持部11,13は、圧接刃となっている。この圧接刃は、一対の狭持部11,13間に被覆電線を挿入することによって被覆電線の心線が圧接され、コンタクト端子3と被覆電線とが電気的に接続される。
【0031】
このような第1接続部9と第2接続部15とは、まず、平板を平面上に配置した状態で、90度異なる位置に配置される。この状態から第1接続部9を板厚方向(起立方向)に第2接続部15と90度異なる位置に配置させる。このようなコンタクト端子3を2つ有することにより、コンタクト端子組17が構成される。
【0032】
コンタクト端子組17は、第1接続部9,9が板厚方向に所定の第1間隔P1で、背合わせとなるように並列に配置され、第2接続部15,15が第1接続部9,9を挟んで対向して配置されている。
【0033】
ここで、コンタクト端子3を2つ並列に配置させたとき、2つのコンタクト端子3,3における第1接続部9,9と第2接続部15,15との間の電気的影響は、その接続部の大きさと接続部間の距離に依存している。
【0034】
このため、第1接続部9,9は、接続部における大きさ(一対の狭持部5,7の幅)が並列方向に対して板厚分しかないので、第1間隔P1をできる限り狭めることができる。この第1接続部9,9に対して、第2接続部15,15は、接続部における大きさ(一対の狭持部11,13の幅)が並列方向に対して第1接続部9,9よりも非常に大きくなっている。しかしながら、第2接続部15,15は、第1接続部9,9を挟んで対向配置、すなわち並列方向に隣接されていなので、コンタクト端子組17においては、第2接続部15,15間の電気的影響を無視することができる。
【0035】
このようなコンタクト端子組17は、複数の第2接続部15が板厚方向と直交する方向に所定の第2間隔P2で並列に複数(ここでは4組)配置されている。この第2間隔P2は、第2接続部15の一対の狭持部11,13の幅が第1接続部9の一対の狭持部の幅(板厚)よりも広いので、1つのコンタクト端子組17における第1接続部9,9の第1間隔P1よりも大きく設定されている。この第2間隔P2を複数の第2接続部15間で電気的影響がないようにできる限り狭めることにより、複数のコンタクト端子3を有する接続体1をコンパクト化することができる。
【0036】
このような接続体1は、絶縁性材料からなるコネクタ(不図示)に収容される。このコネクタに接続体1が収容された状態では、1つのコンタクト端子3がコネクタに形成された端子収容室にそれぞれ収容され、複数のコンタクト端子3間は絶縁されている。このようなコネクタに収容された接続体1は、第1接続部9が基板の導体部に接続され、第2接続部15に被覆電線が圧接される。
【0037】
このような1種類のコンタクト端子3を複数有する接続体1を介して基板と被覆電線とを接続することにより、電気長を短くすることができ、インピーダンス不整合部分を少なくすることができる。また、インピーダンス不整合部分が少なくなることで、伝送ロスや反射が小さくなり、高速伝送が可能となる。加えて、接続体1を小型化することができるので、接続体1を収容するコネクタも小型化することができる。
【0038】
このような接続体1では、平板からなるコンタクト端子3が、第1接続部9と第2接続部15とが同一平面上で90度異なる位置に配置され、第1接続部9が平面から板厚方向に90度異なる位置に配置されているので、第1接続部9の一対の狭持部5,7と第2接続部15の一対の狭持部11,13とにおける幅を同一平面上で直交させることができる。
【0039】
このような1種類のコンタクト端子3を2つ有するコンタクト端子組17は、第1接続部9,9が板厚方向に所定の第1間隔P1で並列に配置され、第2接続部15,15が第1接続部9,9を挟んで対向して配置されているので、一対の狭持部5,7における幅が板厚と同一である第1接続部9,9同士が近接して配置され、一対の狭持部11,13における幅が第1接続部9よりも広い第2接続部15,15の両側には一方の第2接続部15が存在していない。
【0040】
従って、このような接続体1では、コンタクト端子組17において、第2接続部15,15間の電気的影響を無視することができ、第1接続部9,9間の第1間隔P1を調整して電気的影響を抑制すればよく、1種類のコンタクト端子3で電気的影響を抑制することができる。
【0041】
また、第1接続部9,9における電気的影響の抑制がなされているコンタクト端子組17は、第2接続部15,15が板厚方向と直交する方向に所定の第2間隔P2で並列に複数配置されているので、複数のコンタクト端子3間における電気的影響を抑制するために、第2接続部15,15間の第2間隔P2を調整するだけでよく、複数のコンタクト端子3を有する構成に対しても1種類のコンタクト端子3で電気的影響を抑制することができる。
【0042】
さらに、第1間隔P1は、第2間隔P2より狭く設定されているので、コンタクト端子組17においてはコンタクト端子3間の距離を狭めることができ、コンタクト端子組17をコンパクト化することができる。
【0043】
また、複数のコンタクト端子3を有する接続体1においては、第2間隔P2を電気的影響を抑制することができる範囲内でできるだけ狭く設定することにより、コンタクト端子組17間の距離を狭めることができ、接続体1をコンパクト化することができる。
【0044】
さらに、一対の狭持部11,13における幅が第1接続部9よりも広い第2接続部15は、被覆電線が圧接される圧接刃であるので、コンタクト端子組17において、圧接刃の両側に一方の圧接刃が配置させることがなく、電気的影響を抑制することができる。
【0045】
また、このような電気的影響が抑制されたコンタクト端子組17を基板と被覆電線との間に配置されるコネクタに複数収容させる場合には、コンタクト端子組17のコンタクト端子3間を絶縁すると共に、コンタクト端子組17間も絶縁することにより、各コンタクト端子3間の距離を狭めることができ、コネクタをコンパクト化することができる。
【0046】
なお、本発明の実施の形態に係る接続体では、第1接続部を板厚方向に並列に配置させているが、これに限らず、第2接続部を板厚方向に並列に配置させてもよい。この場合には、コンタクト端子組において、第1接続部が第2接続部を挟んで対向して配置されることになる。加えて、この場合には、第1接続部を圧接刃とすればよい。
【符号の説明】
【0047】
1…接続体
3…コンタクト端子
5,7…一対の狭持部(第1接続部)
9…第1接続部
11,13…狭持部(第2接続部)
15…第2接続部
17…コンタクト端子組
P1…第1間隔
P2…第2間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの導通部材間に配置され前記導通部材間を導通させるコンタクト端子を複数有し、前記コンタクト端子は、平板からなり、前記導通部材のうち第1導通部材に一対の狭持部で接続される第1接続部と、他の前記導通部材に一対の狭持部で接続される第2接続部とを有する接続体であって、
前記第1接続部と前記第2接続部とは、同一平面上で90度異なる位置に配置され、前記第1接続部が前記平面から板厚方向に90度異なる位置に配置され、
前記コンタクト端子を2つ有するコンタクト端子組は、前記第1接続部が板厚方向に所定の第1間隔で並列に配置され、前記第2接続部が前記第1接続部を挟んで対向して配置されていることを特徴とする接続体。
【請求項2】
請求項1記載の接続体であって、
前記コンタクト端子組は、前記第2接続部が板厚方向と直交する方向に所定の第2間隔で並列に複数配置されていることを特徴とする接続体。
【請求項3】
請求項2記載の接続体であって、
前記第1間隔は、前記第2間隔より狭く設定されていることを特徴とする接続体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接続体であって、
前記第1導通部材は、基板であり、前記他の導通部材は、被覆電線であり、前記第2接続部は、前記被覆電線が圧接される圧接刃であることを特徴とする接続体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−109994(P2013−109994A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254668(P2011−254668)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)