説明

接続装置

【課題】簡素な構成で容器内の急激な内圧上昇を抑制することが可能な、変圧器とガス絶縁開閉装置との接続装置を提供すること。
【解決手段】接続装置3は、絶縁油入りの変圧器1とガス絶縁開閉装置2とを接続するものであって、角型の形状で内部に絶縁油10が封入されるとともに絶縁油10と接触した不活性ガス11のガス空間が設けられた中間室としての金属性の容器3a〜3cと、容器3a〜3c内で絶縁油10中に配置され一端部が変圧器1側の導体5に接続されるとともに他端部がガス絶縁開閉装置2側の導体6に接続された接続導体7と、接続導体7を支持するとともに変圧器1と容器3a〜3cとを密に仕切る絶縁スペーサ8と、接続導体7を支持するとともにガス絶縁開閉装置2と容器3a〜3cとを密に仕切る絶縁スペーサ9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、変圧器とガス絶縁開閉装置とを接続する接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、変圧器とガス絶縁開閉装置との接続は、両者の間に中間室としての接続装置を介在させて行うことが一般的である。
【0003】
例えば特許文献1には、内部に絶縁油が充填された変圧器とガス絶縁開閉装置とを、別途円筒状の容器の内部に絶縁油が充填され接続装置を介して接続する構成が開示されている。ここで、接続装置とガス絶縁開閉装置との間は絶縁スペーサ等の仕切板により密に仕切られ、接続装置と変圧器との間は別の仕切板で密に仕切られており、これらの仕切板と円筒状の容器により囲まれた空間として中間室が構成される。また、接続装置内には、ガス絶縁開閉装置と変圧器とを電気的に接続する接続導体が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−141429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、接続装置は一般に容積が小さいので、万が一接続装置内で地絡事故が発生した場合は、容器内の内圧上昇が急激であり、これにより、容器の爆発若しくは破裂又は絶縁スペーサの破壊等の恐れがある。容器が爆発若しくは破裂すると可燃性ガスが外部へ放出され、絶縁スペーサが破壊されるとその影響が変圧器又はガス絶縁開閉装置へ波及する可能性もある。
【0006】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、簡素な構成で容器内の急激な内圧上昇を抑制することが可能な、変圧器とガス絶縁開閉装置との接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る接続装置は、絶縁油入りの変圧器とガス絶縁開閉装置とを接続する接続装置であって、前記変圧器と前記ガス絶縁開閉装置との間に配置され、角型の形状で、内部に絶縁油が封入されかつ前記絶縁油と直接的又は間接的に接触したガス空間が設けられた中間室としての金属性の容器と、前記容器内で前記絶縁油中に配置され、一端部が前記変圧器側の導体に接続されるとともに他端部が前記ガス絶縁開閉装置側の導体に接続されて、前記変圧器と前記ガス絶縁開閉装置とを電気的に接続する接続導体と、前記接続導体を支持するとともに前記変圧器と前記容器とを密に仕切る第1の絶縁スペーサと、前記接続導体を支持するとともに前記ガス絶縁開閉装置と前記容器とを密に仕切る第2の絶縁スペーサと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、容器を角型の形状とすることで、地絡事故等が発生し容器内の内圧が上昇した場合でも、容器が変形をすることにより急激な内圧の上昇を低減することができ、簡素な構成で容器内の急激な内圧上昇を抑制することができる、という効果を奏する。
【0009】
また、この発明によれば、容器内に避圧空間としてのガス空間を設けるようにしたので、内圧上昇時にはこのガス空間が縮小して内圧の上昇を低減することができ、簡素な構成で容器内の急激な内圧上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態1に係る接続装置の外形を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施の形態1の接続装置の構成を示す縦断面図である。
【図3】図3は、図2のA−A矢視断面図である。
【図4】図4は、実施の形態2の接続装置の構成を示す縦断面図である。
【図5】図5は、図4のA−A矢視断面図である。
【図6】図6は、実施の形態3の接続装置の構成を示す縦断面図である。
【図7】図7は、図6のA−A矢視断面図である。
【図8】図8は、実施の形態4の接続装置の構成を示す縦断面図である。
【図9】図9は、図8のA−A矢視断面図である。
【図10】図10は、実施の形態5の接続装置の構成を示す縦断面図である。
【図11】図11は、図10のA−A矢視断面図である。
【図12】図12は、実施の形態5の変形例のA−A矢視断面図である。
【図13】図13は、実施の形態6の接続装置の構成を示す縦断面図である。
【図14】図14は、図13のA−A矢視断面図である。
【図15】図15は、実施の形態6の変形例のA−A矢視断面図である。
【図16】図16は、実施の形態7の接続装置の構成を示す縦断面図である。
【図17】図17は、図16のA−A矢視断面図である。
【図18】図18は、実施の形態7の変形例のA−A矢視断面図である。
【図19】図19は、実施の形態8の接続装置の構成を示す縦断面図である。
【図20】図20は、図19のA−A矢視断面図である。
【図21】図21は、実施の形態8の変形例のA−A矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る接続装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る接続装置の外形を示す斜視図である。図1に示すように、変圧器1とガス絶縁開閉装置2との間に双方を接続する接続装置3が設けられている。
【0013】
変圧器1およびガス絶縁開閉装置2はいずれも一部のみを示している。変圧器1は容器内に絶縁油が充填された油入変圧器である。ガス絶縁開閉装置2は例えば相分離形であり、三相のタンク2a〜2cが示されている。また、相分離形のガス絶縁開閉装置2の構成に対応して、変圧器1の側面には3つの引出し口4が設けられている。なお、図1では、3つの引出し口4のうちの一つのみが図示されている。
【0014】
接続装置3は、ガス絶縁開閉装置2の各相に対応して、相毎に互いに分離独立した3つの容器3a〜3cを備えている。容器3a〜3cは、それぞれ角型の金属容器であり、具体的には例えば6面体形状(直方体又は立方体形状)である。容器3a〜3cは例えば同一の形状である。なお、容器3a〜3cは角型であればよく、その具体的な形状は図示例に限定されない。例えば、容器3a〜3cは6面体形状以外の多面体形状であってもよい。容器3a〜3cは例えばこの順序で直線的に配列されている。
【0015】
また、接続装置3と変圧器1との間は絶縁スペーサ8により密に仕切られ、接続装置3とガス絶縁開閉装置2との間は絶縁スペーサ9により密に仕切られている。詳細には、容器3aには、引出し口4と接続される接続口とタンク2aと接続される接続口とが設けられており、引出し口4と一方の接続口との間には絶縁スペーサ8が設けられ、タンク2aと他方の接続口との間には絶縁スペーサ9が設けられている。なお、容器3b,3cについても同様である。
【0016】
図2は、接続装置3の構成を示す縦断面図、図3は、図2のA−A矢視断面図である。なお、図2は、具体的には容器3aの縦断面構成を示している。容器3b,3cについても図2と同様である。以下、接続装置3の内部構成について主に容器3aを例に説明する。
【0017】
容器3a内には、変圧器1とガス絶縁開閉装置2とを電気的に接続する接続導体7が配置されている。具体的には、接続導体7は、変圧器1の内部から引出し口4を介して引き出された変圧器1側の導体5と、ガス絶縁開閉装置2のタンク2aの内部に延設されたガス絶縁開閉装置2側の導体6とを互いに接続する。容器3aの横断面は、引出し口4及びタンク2aの各横断面よりも大きい。
【0018】
絶縁スペーサ8は、容器3aの内部空間と変圧器1の内部空間とを仕切る。絶縁スペーサ8は、容器3aの一方の接続口に設けられて、接続導体7と導体5との接続部を支持することにより接続導体7及び導体5を支持している。当該接続部は絶縁スペーサ8を貫通している。また、接続導体7と導体5との接続部周辺を覆うように電界緩和用のシールド50が設けられている。
【0019】
絶縁スペーサ9は、容器3aの内部空間とガス絶縁開閉装置2の内部空間とを仕切る。絶縁スペーサ9は、容器3aの他方の接続口に設けられて、接続導体7と導体6との接続部を支持することにより接続導体7及び導体6を支持している。当該接続部は絶縁スペーサ9を貫通している。また、接続導体7と導体6との接続部周辺を覆うように電界緩和用のシールド50が設けられている。
【0020】
絶縁スペーサ8,9はそれぞれ例えば円錐形状である。また、絶縁スペーサ8,9はいずれもガス絶縁開閉装置2側に凸となるように軸線を概略水平にして円錐の先端側をガス絶縁開閉装置2側に向けて配置されている。なお、絶縁スペーサ8,9を円錐形状以外の形状(例えば円板状等)とすることもできる。絶縁スペーサ8,9は例えばエポキシ樹脂を注型して形成される。絶縁スペーサ8,9を用いることで、簡素かつ低コストで中間室を密封することができる。
【0021】
このように、接続装置3には、容器3a及び絶縁スペーサ8,9により囲まれた空間としての中間室が形成される。同様に、接続装置3には、容器3b及び絶縁スペーサ8,9により囲まれた中間室、並びに、容器3c及び絶縁スペーサ8,9により囲まれた中間室も形成される。
【0022】
容器3aの内部には、所定の高さまで絶縁油10が満たされている。この絶縁油10の油面12は少なくとも接続導体7の全体が完全に油中に配置される高さに設定されるが、本実施の形態では、油面12は容器3aの内側上面までは達しておらず、油面12上には不活性ガス11を含むガス空間(避圧空間)が設けられている。すなわち、容器3a内は絶縁油10で完全に満たされておらず、容器3a内の上部にガス空間(避圧空間)が形成され、油空間(絶縁油10)とガス空間(避圧空間)とが共存している。この場合、不活性ガス11は油面12と直接接触している。不活性ガス11は例えば窒素ガスである。容器3b,3c内にもそれぞれ同様のガス空間(避圧空間)が形成されるが、容器3a〜3cは互いに分離独立しているので、各避圧空間も分離独立している。つまり、本実施の形態では、避圧空間は相毎に独立している。
【0023】
なお、絶縁スペーサ8は、変圧器1内の絶縁油と容器3a内の絶縁油10とに対して、引出し口4内の内部空間と容器3a内の内部空間とを油密に仕切る。絶縁スペーサ9は、タンク2a内の絶縁ガスと容器3a内の絶縁油10とに対して、タンク2a内の内部空間と容器3a内の内部空間とを気密にかつ油密に仕切る。ガス絶縁開閉装置2のタンク2a〜2c内には例えば六フッ化硫黄ガス等が封入されている。
【0024】
次に、本実施の形態の動作について説明する。接続装置3にて(例えば容器3a内)、例えば地絡事故等が発生した場合、容器3a内の圧力が上昇することになるが、容器3aの形状を角型としているので、圧力が非常に高くなる前に容器3aが変形し、圧力の上昇を低減する。すなわち、本実施の形態では、容器3aの形状を角型とすることにより、中間室内で地絡事故等が発生した場合でも、容器3aの角部がなめらかとなるように変形して、急激な内圧上昇が低減される。さらに、本実施の形態では、容器3a内には、絶縁油10の油面12上に不活性ガス11のガス空間を設けるようにしたので、容器3a内の圧力上昇に対して、この不活性ガス11が圧縮されガス空間の体積が縮小されて、内圧上昇がさらに低減される。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態によれば、接続装置3にて例えば地絡事故等が発生した場合でも、事故等が発生した角型の容器3a〜3cが変形することにより、容器3a〜3c内の内圧上昇が低減される。つまり、簡素な構成で容器3a〜3c内の急激な内圧上昇を抑制することができ、容器3a〜3bの爆発若しくは破裂を防ぎ、絶縁油10に起因する可燃性ガスの放出を防ぐことができる。
【0026】
さらに、本実施の形態によれば、容器3a〜3c内に不活性ガス11のガス空間(避圧空間)を設けるようにしたので、内圧上昇時にはこのガス空間が縮小して内圧の上昇を低減することができ、簡素な構成で容器3a〜3c内の急激な内圧上昇を一層抑制することができる。
【0027】
これに対し、特許文献1に開示された接続装置では、容器の形状を円筒形状としているので、容器内の急激な内圧上昇に対しても容器が変形することができず、また、容器内に不活性ガスの避圧空間が設けられていないので、容器内の急激な内圧上昇を低減することは困難である。
【0028】
また、本実施の形態では、絶縁スペーサ8,9をいずれも円錐形状とし、これらをガス絶縁開閉装置2側に凸となるように配置したので、万が一容器3a〜3c内の内圧上昇により絶縁スペーサ8,9が破壊されたとしても、それらの影響が変圧器1側に波及することがなく、変圧器1に事故の影響が及ばないようにすることができる。なお、絶縁スペーサ8,9を例えば円板形状とした場合は、絶縁スペーサ8の厚みを絶縁スペーサ9の厚みよりも大きくすることで、同様の効果を得ることができる。
【0029】
実施の形態2.
図4は、本実施の形態に係る接続装置3の構成を示す縦断面図、図5は、図4のA−A矢視断面図である。なお、図4は、具体的には容器3aの縦断面構成を示している。容器3b,3cについても図4と同様である。また、図4及び図5では、図1及び図2と同一の構成要素には同一の符号を付し、以下では図1及び図2との相違点を中心に説明を行う。
【0030】
図4及び図5に示すように、本実施の形態では、実施の形態1と同様にそれぞれ角型の容器3a〜3cが設けられている。角型の形状については、実施の形態1で説明した通りである。ただし、本実施の形態では、容器3a〜3cは互いに放圧管13で連結されている。具体的には、容器3a〜3cの上部にそれぞれ上方に引き出された引出し口13a〜13cが形成され、これらの引出し口13a〜13cは概略水平に容器3a〜3cの配列方向に容器3a〜3cの上方を延伸する放圧管13により互いに接続されている。ここで、放圧管13は例えば円筒状の金属配管からなる。
【0031】
容器3a〜3c内にはそれぞれ絶縁油10が封入されている。絶縁油10の油面12は少なくとも接続導体7の全体が完全に油中に配置される高さに設定されるが、油面12は容器3a〜3cの各容器の内側上面までは達しておらず、容器3a〜3c内の油面12上にはそれぞれ不活性ガス11を含むガス空間(避圧空間)が設けられている。また、容器3a〜3c内のガス空間(避圧空間)は引出し口13a〜13c及び放圧管13内により互いに連通している。つまり、放圧管13は容器3a〜3c内のガス空間(避圧空間)のみを互いに連通するような高さ位置に配置されており、容器3a〜3c内の絶縁油10は各容器内に封入された状態で互いに混じらないようになっている。
【0032】
このように、本実施の形態では、それぞれ角型の容器3a〜3cは互いに分離独立しておらず、放圧管13で互いに連通されてガス空間(避圧空間)が三相で共通化されている。
【0033】
本実施の形態によれば、それぞれ角型の容器3a〜3cを放圧管13で互いに連結するようにしたので、容器3a〜3cのいずれか、すなわち、ある相で地絡事故等が発生した場合に、当該事故相に係る容器内での内圧上昇を三相分の中間室である容器3a〜3cに分散させることができるので、さらに圧力上昇を抑制することができる。
【0034】
また、本実施の形態では、容器3a〜3cごとに(すなわち、相毎に)油区分が独立しており、ある容器内で地絡事故等が発生した場合に、当該容器内の絶縁油10が他の容器内の絶縁油10と混じることがないので、当該事故相以外の他相の絶縁油10が汚損されることがない。なお、本実施の形態のその他の構成、動作、及び効果は、実施の形態1と同様である。
【0035】
実施の形態3.
図6は、本実施の形態に係る接続装置3の構成を示す縦断面図、図7は、図6のA−A矢視断面図である。なお、図6は、具体的には容器3aの縦断面構成を示している。容器3b,3cについても図6と同様である。また、図6及び図7では、図1及び図2と同一の構成要素には同一の符号を付し、以下では図1及び図2との相違点を中心に説明を行う。
【0036】
図6及び図7に示すように、本実施の形態では、実施の形態1と同様にそれぞれ角型の容器3a〜3cが設けられている。角型の形状については、実施の形態1で説明した通りである。ただし、本実施の形態では、容器3a〜3cは互いに水平な連結管14で連通している。具体的には、容器3aの側面上部とこれに対向する容器3bの側面上部とが例えば断面矩形の連結管14により連結され、容器3bの別の側面上部とこれに対向する容器3cの側面上部とが例えば断面矩形の連結管14により連結されている。連結管14はいずれも水平に容器間に配設され、接続導体7の軸線方向のその幅は例えば同方向における容器3a〜3cの幅と同じであり、その内側上面は容器3a〜3cの内側上面と同じ高さに設定されて、容器3a〜3c及び連結管14の各内側上面が共通化されて全体で例えば長方形状となっている。連結管14の内側底面は少なくとも接続導体7の頂部よりも上に設定されている。連結管14は金属配管からなる。連結管14は、容器3a〜3c内の各油空間を互いに連通させるとともに各ガス空間も互いに連通させる。
【0037】
容器3a〜3c内にはそれぞれ絶縁油10が封入されている。絶縁油10の油面12は少なくとも接続導体7の全体が完全に油中に配置される高さに設定されるが、油面12は容器3a〜3cの各容器の内側上面までは達しておらず、容器3a〜3c内の油面12上にはそれぞれ不活性ガス11を含むガス空間(避圧空間)が設けられている。
【0038】
また、連結管14は、容器3a〜3c内の絶縁油10及び不活性ガス11を互いに連通させる高さ位置に配設されている。つまり、油面12は容器3a〜3c内及び連結管14内にわたって共通に形成されており、容器3a〜3c内の各油空間が互いに連通するとともに各ガス空間も互いに連通している。
【0039】
このように、本実施の形態では、それぞれ角型の容器3a〜3cは互いに分離独立しておらず、連結管14で互いに連通されて、ガス空間(避圧空間)が三相で共通化されるとともに絶縁油10も容器3a〜3c間で移動可能となっている。
【0040】
本実施の形態によれば、それぞれ角型の容器3a〜3cを連結管14で互いに連結するようにしたので、実施の形態2と同様に、容器3a〜3cのいずれか、すなわち、ある相で地絡事故等が発生した場合に、当該事故相に係る容器内での内圧上昇を三相分の中間室である容器3a〜3cに分散させることができるので、さらに圧力上昇を抑制することができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、容器3a〜3cを連結管14で互いに連結し絶縁油10が容器3a〜3c間で移動可能となっているので、地震等で揺れが発生した場合に、一時的に容器間の油量が不均一となっても、揺れが収まればすぐに油量はもとの均等な状態に戻るという効果がある。実施の形態2では、地震等の揺れにより、例えば容器3a内の絶縁油10の一部が容器3b内へ移動した場合は、その後揺れが収まったとしてもその移動した絶縁油10が自然に容器3a内へ戻るということはない。なお、本実施の形態のその他の構成、動作、及び効果は、実施の形態1と同様である。
【0042】
実施の形態4.
図8は、本実施の形態に係る接続装置3の構成を示す縦断面図、図9は、図8のA−A矢視断面図である。なお、図8及び図9では、図1及び図2と同一の構成要素には同一の符号を付し、以下では図1及び図2との相違点を中心に説明を行う。
【0043】
図8及び図9に示すように、本実施の形態では、実施の形態1〜3と異なり、接続装置3は単一の角型の容器3dを備えている。角型の形状については、実施の形態1で説明した通りである。
【0044】
ガス絶縁開閉装置2は例えば相分離形であり、実施の形態1〜3と同様に三相のタンク2a〜2cを有しているが、これらのタンク2a〜2cは各断面の中心が概略正三角型をなすように配置されている。なお、図8では、タンク2cはタンク2bの背後に配置されて図示されていない。
【0045】
変圧器1には、タンク2a〜2cにそれぞれ対向するように、引出し口4a〜4cが設けられている。引出し口4a〜4cは、各断面の中心が概略正三角型をなすように配置されている。
【0046】
容器3d内には、変圧器1とガス絶縁開閉装置2とを電気的に接続する接続導体7a〜7cが配置されている。ここで接続導体7a〜7cはそれぞれ三相に対応している。また、接続導体7aは、変圧器1の内部から引出し口4aを介して引き出された変圧器1側の導体5aと、ガス絶縁開閉装置2のタンク2aの内部に延設されたガス絶縁開閉装置2側の導体6aとを互いに接続する。同様に、接続導体7bは、変圧器1の内部から引出し口4bを介して引き出された変圧器1側の導体5bと、ガス絶縁開閉装置2のタンク2bの内部に延設されたガス絶縁開閉装置2側の導体6bとを互いに接続する。同様に、接続導体7cは、変圧器1の内部から引出し口4cを介して引き出された変圧器1側の導体5cと、ガス絶縁開閉装置2のタンク2cの内部に延設されたガス絶縁開閉装置2側の導体6cとを互いに接続する。なお、図8では、導体5cは導体5bの背後に配置されて図示されておらず、導体6cは導体6bの背後に配置されて図示されていない。
【0047】
絶縁スペーサ8aは、容器3dの内部空間と引出し口4aの内部空間とを仕切る。絶縁スペーサ8aは、容器3dの接続口の一つに設けられて、接続導体7aと導体5aとの接続部を支持することにより接続導体7a及び導体5aを支持している。当該接続部は絶縁スペーサ8aを貫通している。また、接続導体7aと導体5aとの接続部周辺を覆うように電界緩和用のシールド50が設けられている。同様に、絶縁スペーサ8bは、容器3dの内部空間と引出し口4bの内部空間とを仕切る。絶縁スペーサ8bは、容器3dの接続口の別の一つに設けられて、接続導体7bと導体5bとの接続部を支持することにより接続導体7b及び導体5bを支持している。当該接続部は絶縁スペーサ8bを貫通している。また、接続導体7bと導体5bとの接続部周辺を覆うように電界緩和用のシールド50が設けられている。同様に、絶縁スペーサ8cは、絶縁スペーサ8bの背後に配置されて図示はされていないが、容器3dの内部空間と引出し口4cの内部空間とを仕切る。絶縁スペーサ8cは、容器3dの接続口のさらに別の一つに設けられて、接続導体7cと導体5cとの接続部を支持することにより接続導体7c及び導体5cを支持している。当該接続部は絶縁スペーサ8cを貫通している。また、接続導体7cと導体5cとの接続部周辺を覆うように電界緩和用のシールド50が設けられている。
【0048】
絶縁スペーサ9aは、容器3dの内部空間とタンク2aの内部空間とを仕切る。絶縁スペーサ9aは、容器3dの接続口のさらに別の一つに設けられて、接続導体7aと導体6aとの接続部を支持することにより接続導体7a及び導体6aを支持している。当該接続部は絶縁スペーサ9aを貫通している。また、接続導体7aと導体6aとの接続部周辺を覆うように電界緩和用のシールド50が設けられている。同様に、絶縁スペーサ9bは、容器3dの接続口のさらに別の一つに設けられて、接続導体7bと導体6bとの接続部を支持することにより接続導体7b及び導体6bを支持している。当該接続部は絶縁スペーサ9bを貫通している。また、接続導体7bと導体6bとの接続部周辺を覆うように電界緩和用のシールド50が設けられている。同様に、絶縁スペーサ9cは、絶縁スペーサ9bの背後に配置されて図示はされていないが、容器3dの接続口のさらに別の一つに設けられて、接続導体7cと導体6cとの接続部を支持することにより接続導体7c及び導体6cを支持している。当該接続部は絶縁スペーサ9cを貫通している。また、接続導体7cと導体6cとの接続部周辺を覆うように電界緩和用のシールド50が設けられている。
【0049】
絶縁スペーサ8a〜8c,9a〜9cはそれぞれ例えば円錐形状である。また、絶縁スペーサ8a〜8c,9a〜9cはいずれもガス絶縁開閉装置2側に凸となるように円錐の先端側をガス絶縁開閉装置2側に向けて配置されている。なお、絶縁スペーサ8a〜8c,9a〜9cを円錐形状以外の形状(例えば円板状等)とすることもできる。絶縁スペーサ8a〜8c,9a〜9cは例えばエポキシ樹脂を注型して形成される。
【0050】
このように、接続装置3には、容器3d及び絶縁スペーサ8a〜8c,9a〜9cにより囲まれた空間としての単一の中間室が形成される。なお、絶縁スペーサ8a〜8cは、実施の形態1の絶縁スペーサ8と同様に、油密に仕切るものであり、絶縁スペーサ9a〜9cは、実施の形態1の絶縁スペーサ9と同様に、油密かつ気密に仕切るものである。
【0051】
容器3dの内部には、所定の高さまで絶縁油10が満たされている。この絶縁油10の油面12は少なくとも接続導体7a〜7cの全体が完全に油中に配置される高さに設定されるが、本実施の形態では、油面12は容器3dの内側上面までは達しておらず、油面12上には不活性ガス11を含むガス空間(避圧空間)が設けられている。すなわち、容器3d内は絶縁油10で完全に満たされておらず、容器3d内の上部にガス空間(避圧空間)が形成され、容器3d内に油面12に接して不活性ガス11が封入される。この場合、不活性ガス11は油面12と直接接触している。不活性ガス11は例えば窒素ガスである。
【0052】
このように、本実施の形態では、三相分の接続導体7a〜7cを一括して単一の中間室である角型の容器3d内に収納している。そして、容器3d内には、不活性ガス11からなる三相共通の避圧空間が設けられている。
【0053】
本実施の形態によれば、三相分の接続導体7a〜7cを一括して単一の中間室である容器3d内に収納することにより、実施の形態1に比べて、中間室の幅がコンパクトになる。すなわち、実施の形態1では、容器3a〜3cの配列方向の長さが中間室の全体としての幅に相当するので、本実施の形態に比べて長寸となる。
【0054】
なお、本実施の形態では、容器3d内の下側に配置された例えば接続導体7bと容器3dの内壁との間で地絡が発生した場合、当該地絡発生箇所は容器3d上部の避圧空間から離れているので、絶縁油10の分解ガスが避圧空間に達するまでに時間がかかることが想定されるが、その場合でも、容器3dを角型としているので、内圧の上昇に対しては容器3dが変形することにより、その急激な上昇を低減することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、ガス絶縁開閉装置2は相分離形としたが、三相一括形とすることもできる。この場合は、導体6a〜6cは単一のタンク内に配置され、当該タンクと容器3dの接続口とが接続されて三相一括の絶縁スペーサで仕切られることとなる。また、導体5a〜5cは変圧器1の単一の引出し口から引き出され、当該引出し口と容器3dの別の接続口とが接続されて三相一括の絶縁スペーサで仕切られることとなる。
【0056】
本実施の形態のその他の構成、動作、及び効果は、実施の形態1と同様である。
【0057】
実施の形態5.
図10は、本実施の形態に係る接続装置3の構成を示す縦断面図、図11は、図10のA−A矢視断面図である。なお、図10は、具体的には容器3aの縦断面構成を示している。容器3b,3cについても図10と同様である。また、図10及び図11では、実施の形態1の図1及び図2と同一の構成要素には同一の符号を付し、以下では図1及び図2との相違点を中心に説明を行う。
【0058】
図10及び図11に示すように、本実施の形態では、実施の形態1と同様にそれぞれ角型の容器3a〜3cが設けられている。角型の形状については、実施の形態1で説明した通りである。また、容器3a〜3cは、実施の形態1と同様に、相毎に互いに分離独立している。すなわち、接続装置3は、容器3a〜3cからなる3つの独立した中間室を有している。
【0059】
容器3a内には絶縁油10が充填されている。すなわち、容器3aは、内側上面まで絶縁油10で満たされている。また、接続導体7の上方でかつ容器3aの内側上面の下方には、サポート15aが配置されている。ここでサポート15aは、金属製で目の粗い網目状部材、つまり、金網からなり、概略水平に配置されるとともに、その配置箇所においては容器3aの水平断面形状と概略同形状であり、その周縁部が容器3aの内面に固定されている。図示例では、サポート15aは矩形であり、その4辺が容器3aの内面に概略水平に固定されている。さらに、サポート15aは接地されている。
【0060】
サポート15aと容器3aの内側上面との間には、内部にガスが封入されたゴム袋16aが配置されている。このガスは、例えば窒素ガス等の不活性ガス、又は、吸湿材を通過させた乾燥した空気等である。ここでゴム袋16a内に空気を充填する場合に、乾燥した空気を使用するのは、空気中に含まれる水分がゴム袋16aの劣化につながるからである。
【0061】
本実施の形態では、ゴム袋16a内のガス空間が避圧空間として機能する。この場合、ガス空間はゴム袋16aを介して間接的に絶縁油10と接触している。
【0062】
同様に、容器3b内には、サポート15bと内部にガスが封入されたゴム袋16bが配置され、容器3c内には、サポート15cと内部にガスが封入されたゴム袋16cが配置されている。
【0063】
本実施の形態によれば、容器3a〜3cをそれぞれ角型としたので、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0064】
また、本実施の形態によれば、容器3a〜3c内にそれぞれ避圧空間としてゴム袋16a〜16cに覆われたガス空間を設けるようにしたので、地絡事故等による内圧上昇時には、事故が発生した容器内のゴム袋16a〜16cが収縮して内圧の上昇を低減することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、地震等により揺れが発生した場合でも、ゴム袋16a〜16cが変形して油面12の変動を抑制する。また、絶縁油10は、温度変化により収縮又は膨張するため、油面12の位置は変動するが、この場合でも、ゴム袋16a〜16cが膨張又は収縮して油面12の変動を抑制する。そのため、本実施の形態によれば、油面12の変動により高電圧部である接続導体17a〜17cがガス空間に接近し絶縁性能が低下するという事態を防止することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、ゴム袋16a〜16cはそれぞれサポート15a〜15c上に配置されているので、地絡事故等が発生しても放電経路がゴム袋16a〜16cを貫通することを防止することができ、ゴム袋16a〜16cの損傷を回避することができる。
【0067】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。図12は、本実施の形態の変形例に係る接続装置3のA−A矢視断面図であり、図11に対応する図である。なお、図12では、図11と同一の構成要素には同一の符号を付している。図12に示すように、容器3a内では、サポート15a上にゴム膜30aが張設されている。このゴム膜30aは、その周縁部が当該容器3aの内周に沿って固着され、当該ゴム膜30aよりも上側の空間とそれよりも下側の空間とを気密かつ油密に仕切る。すなわち、ゴム膜30aより上の容器3a内には不活性ガス11が封入され、ゴム膜30aの下側の面が油面12に接触している。なお、不活性ガス11の代わりに、吸湿材を通過させた乾燥した空気を封入させてもよい。
【0068】
同様に、容器3b内では、サポート15b上にゴム膜30bが張設され、ゴム膜30bより上の容器3b内には不活性ガス11が封入されている。また、容器3c内では、サポート15c上にゴム膜30cが張設され、ゴム膜30cより上の容器3c内には不活性ガス11が封入されている。
【0069】
本変形例のその他の構成は、図10及び図11に示す構成と同じである。本変形例は、図10及び図11に示す本実施の形態と同様の効果を奏する。
【0070】
実施の形態6.
図13は、本実施の形態に係る接続装置3の構成を示す縦断面図、図14は、図13のA−A矢視断面図である。なお、図13は、具体的には容器3aの縦断面構成を示している。容器3b,3cについても図13と同様である。また、図13及び図14では、実施の形態2の図4及び図5と同一の構成要素には同一の符号を付し、以下では図4及び図5との相違点を中心に説明を行う。
【0071】
図13及び図14に示すように、本実施の形態では、実施の形態2と同様にそれぞれ角型の容器3a〜3cが設けられている。角型の形状については、実施の形態1で説明した通りである。また、容器3a〜3cは、実施の形態2と同様に、互いに放圧管13で連結されている。放圧管13については実施の形態2で説明した通りである。
【0072】
接続導体7の上方でかつ容器3aの内側上面の下方には、サポート15aが配置されている。サポート15aは、実施の形態5で説明した通り、接地された金属製の網目状部材からなる。同様に、容器3b内にはサポート15bが配置され、容器3c内にはサポート15cが配置されている。
【0073】
サポート15a〜15c上の容器3a〜3c内と放圧管13内には、内部にガスが封入された単一のゴム袋17が配置されている。詳細には、容器3a内でかつサポート15a上には内部にガスが封入されたゴム袋17の一部が配置され、容器3b内でかつサポート15b上には内部にガスが封入されたゴム袋17の一部が配置され、容器3c内でかつサポート15c上には内部にガスが封入されたゴム袋17の一部が配置され、さらに容器3a〜3c内のゴム袋17の各部分は放圧管13を介して互いにつながっている。ゴム袋17内に封入されたガスは、例えば窒素ガス等の不活性ガス、又は、吸湿材を通過させた乾燥した空気等である。
【0074】
また、絶縁油10は、容器3a〜3c内及び放圧管13内に充填されている。すなわち、油面12は放圧管13の内側頂部まで達している。
【0075】
本実施の形態では、ゴム袋17内のガス空間が避圧空間として機能する。また、ガス空間は三相で共通化されている。この場合、ガス空間はゴム袋17を介して間接的に絶縁油10と接触している。
【0076】
本実施の形態によれば、容器3a〜3cをそれぞれ角型としたので、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0077】
また、本実施の形態によれば、容器3a〜3cを放圧管13で互いに連結し、容器3a〜3c内の上部及び放圧管13内に単一のゴム袋17を配置するようにしたので、容器3a〜3cのいずれかで地絡事故等が発生した場合に、当該事故に係る容器内の内圧上昇をゴム袋17の収縮により低減することができるとともに、内圧上昇を三相にわたるゴム袋17により分散させることができるので、圧力上昇をより一層抑制することができる。
【0078】
また、本実施の形態では、ゴム袋17はそれぞれサポート15a〜15c上に配置されているので、地絡事故等が発生しても放電経路がゴム袋17を貫通することを防止することができ、ゴム袋17の損傷を回避することができる。
【0079】
本実施の形態のその他の構成は、実施の形態2と同様である。本実施の形態のその他の効果は、実施の形態2,5と同様である。
【0080】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。図15は、本実施の形態の変形例に係る接続装置3のA−A矢視断面図であり、図14に対応する図である。なお、図15では、図14と同一の構成要素には同一の符号を付している。図15に示すように、容器3a内では、サポート15a上にゴム膜30aが張設されている。このゴム膜30aは、その周縁部が当該容器3aの内周に沿って固着され、当該ゴム膜30aよりも上側の空間とそれよりも下側の空間とを気密かつ油密に仕切る。すなわち、ゴム膜30aより上の容器3a内には不活性ガス11のガス空間が形成され、ゴム膜30aの下側の面が油面12に接触している。なお、不活性ガス11の代わりに、吸湿材を通過させた乾燥した空気を封入させてもよい。
【0081】
同様に、容器3b内では、サポート15b上にゴム膜30bが張設され、ゴム膜30bより上の容器3b内には不活性ガス11のガス空間が形成されている。また、容器3c内では、サポート15c上にゴム膜30cが張設され、ゴム膜30cより上の容器3c内には不活性ガス11のガス空間が形成されている。
【0082】
そして、容器3a内のガス空間と容器3b内のガス空間と容器3c内のガス空間とが放圧管13を介して互いに連通している。すなわち、放圧管13内にも不活性ガス11が充填されている。
【0083】
本変形例のその他の構成は、図13及び図14に示す構成と同じである。本変形例は、図13及び図14に示す本実施の形態と同様の効果を奏する。
【0084】
実施の形態7.
図16は、本実施の形態に係る接続装置3の構成を示す縦断面図、図17は、図16のA−A矢視断面図である。なお、図16は、具体的には容器3aの縦断面構成を示している。容器3b,3cについても図16と同様である。また、図16及び図17では、実施の形態3の図6及び図7と同一の構成要素には同一の符号を付し、以下では図6及び図7との相違点を中心に説明を行う。
【0085】
図16及び図17に示すように、本実施の形態では、実施の形態3と同様にそれぞれ角型の容器3a〜3cが設けられている。角型の形状については、実施の形態1で説明した通りである。また、容器3a〜3cは、実施の形態3と同様に、互いに水平な連結管14で連通している。連結管14については実施の形態3で説明した通りである。すなわち、容器3aの側面上部とこれに対向する容器3bの側面上部とが例えば断面矩形の連結管14により連結され、容器3bの別の側面上部とこれに対向する容器3cの側面上部とが例えば断面矩形の連結管14により連結されている。連結管14はいずれも水平に容器間に配設され、接続導体7の軸線方向のその幅は例えば同方向における容器3a〜3cの幅と同じであり、その内側上面は容器3a〜3cの内側上面と同じ高さに設定されて、容器3a〜3c及び連結管14の各内側上面が共通化されて全体で例えば長方形状となっている。連結管14の内側底面は少なくとも接続導体7の頂部よりも上に設定されている。
【0086】
本実施の形態では、さらに、容器3a〜3c及び連結管14内の空間とブリーザ20とを接続するする接続管21が設けられている。図示例では、接続管21は例えば容器3bの上面にその一端が接続されている。なお、接続管21の一端を容器3b又は3cの上面に設けることもできる。また、接続管21は、容器3bの上面から一度上方に引き出されたのちに概略水平に延伸する等してその他端がブリーザ20に接続されている。ここでブリーザ20は、内部に例えばシリカゲル等の吸湿材を備え、この吸湿材を通過させた乾燥した空気を供給するものである。
【0087】
容器3a〜3c内の各接続導体7の上方でかつ容器3a〜3cの各内側上面の下方には、容器3a〜3c及び連結管14にわたって概略水平に設けられた共通の一枚のサポート15が配置されている。サポート15は、金属製で目の粗い網目状部材、つまり、金網からなり、概略水平に配置されている。サポート15は、容器3a〜3c及び連結管14の各内側上面を合わせた形状であり、その周縁部が容器3a〜3c及び連結管14の内面に固定されている。さらに、サポート15は接地されている。
【0088】
サポート15上では、容器3a〜3c内、連結管14内、及び接続管21内にわたって、内部にガスが充填された共通の単一のゴム袋18が配置されている。ここで、ゴム袋18内には、ブリーザ20を介して乾燥した空気が導入されている。ゴム袋18は、ブリーザ20に接続された側が開口した状態で、連結管14内を経てサポート15上で容器3a〜3c内及び連結管14内にわたって概略座布団状に拡がっている。このように、本実施の形態では、ゴム袋18は完全に封じられておらず、ゴム袋18の開口部19が開口した状態でブリーザ20に接続されている。ゴム袋18内には、この開口部19を介してブリーザ20から乾燥した空気を導入することができる。
【0089】
また、本実施の形態では、絶縁油10は、容器3a〜3c及び連結管14の内側上面まで達している。
【0090】
本実施の形態では、ゴム袋18内のガス空間が避圧空間として機能する。また、ガス空間は三相で共通化されている。この場合、ガス空間はゴム袋18を介して間接的に絶縁油10と接触している。
【0091】
本実施の形態によれば、容器3a〜3cをそれぞれ角型としたので、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0092】
また、本実施の形態によれば、容器3a〜3cを連結管14で互いに連結し、容器3a〜3c内の上部及び連結管14内に単一のゴム袋18を配置するようにしたので、容器3a〜3cのいずれかで地絡事故等が発生した場合に、当該事故に係る容器内の内圧上昇をゴム袋18の収縮により低減することができるとともに、内圧上昇を三相にわたるゴム袋18により分散させることができるので、圧力上昇をより一層抑制することができる。
【0093】
なお、容器3a〜3c内の圧力が上昇すると、ゴム袋18が収縮し、ゴム袋18内の空気が開口部19及びブリーザ20を介して排出される。一方、容器3a〜3c内の圧力が下降すると、ブリーザ20及び開口部19を介してゴム袋18内へ乾燥した空気が供給される。
【0094】
また、本実施の形態では、ゴム袋18はそれぞれサポート15上に配置されているので、地絡事故等が発生しても放電経路がゴム袋18を貫通することを防止することができ、ゴム袋18の損傷を回避することができる。
【0095】
本実施の形態のその他の構成は、実施の形態3と同様である。本実施の形態のその他の効果は、実施の形態3,6と同様である。
【0096】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。図18は、本実施の形態の変形例に係る接続装置3のA−A矢視断面図であり、図17に対応する図である。なお、図18では、図17と同一の構成要素には同一の符号を付している。図18に示すように、サポート15上では、容器3a〜3c及び連結管14にわたってゴム膜30が張設されている。このゴム膜30は、その周縁部が容器3a〜3c及び連結管14の内周に沿って固着され、当該ゴム膜30よりも上側の空間とそれよりも下側の空間とを気密かつ油密に仕切る。すなわち、ゴム膜30より上の容器3a〜3c内、連結管14内、及び接続管21内には、ブリーザ20を介して供給された乾燥した空気51が供給されてガス空間が形成され、ゴム膜30の下側の面が油面12に接触している。
【0097】
本変形例のその他の構成は、図16及び図17に示す構成と同じである。本変形例は、図16及び図17に示す本実施の形態と同様の効果を奏する。
【0098】
実施の形態8.
図19は、本実施の形態に係る接続装置3の構成を示す縦断面図、図20は、図19のA−A矢視断面図である。また、図19及び図20では、実施の形態4の図8及び図9と同一の構成要素には同一の符号を付し、以下では図8及び図9との相違点を中心に説明を行う。
【0099】
図19及び図20に示すように、本実施の形態では、実施の形態4と同様に、接続装置3は単一の角型の容器3dを備えている。角型の形状については、実施の形態1で説明した通りである。また、ガス絶縁開閉装置2は例えば相分離形であるが、実施の形態4で説明したように三相一括形への適用は容易である。
【0100】
容器3d内には、三相の接続導体7a〜7cが一括して配置されている。また、容器3d内には絶縁油10が充填されている。すなわち、容器3dは、内側上面まで絶縁油10で満たされている。また、接続導体7a〜7cの上方でかつ容器3dの内側上面の下方には、サポート25が配置されている。ここでサポート25は、金属製で目の粗い網目状部材、つまり、金網からなり、概略水平に配置されるとともに、その配置箇所においては容器3dの水平断面形状と概略同形状であり、その周縁部が容器3dの内面に固定されている。図示例では、サポート25は矩形であり、その4辺が容器3dの内面に概略水平に固定されている。さらに、サポート25は接地されている。
【0101】
サポート25と容器3dの内側上面との間には、内部にガスが封入されたゴム袋26が配置されている。このガスは、例えば窒素ガス等の不活性ガス、又は、吸湿材を通過させた乾燥した空気等である。ここでゴム袋26内に空気を充填する場合に、乾燥した空気を使用するのは、空気中に含まれる水分がゴム袋26の劣化につながるからである。
【0102】
本実施の形態では、ゴム袋26内のガス空間が避圧空間として機能する。この場合、ガス空間はゴム袋26を介して間接的に絶縁油10と接触している。
【0103】
本実施の形態によれば、容器3dをそれぞれ角型としたので、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0104】
また、本実施の形態によれば、容器3d内に避圧空間としてゴム袋26に覆われたガス空間を設けるようにしたので、地絡事故等による内圧上昇時には、事故が発生した容器内のゴム袋26が収縮して内圧の上昇を低減することができる。
【0105】
また、本実施の形態では、ゴム袋26はサポート25上に配置されているので、地絡事故等が発生しても放電経路がゴム袋26を貫通することを防止することができ、ゴム袋26の損傷を回避することができる。
【0106】
本実施の形態のその他の構成は実施の形態4と同様である。また、本実施の形態のその他の効果は、実施の形態4,5と同様である。
【0107】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。図21は、本実施の形態の変形例に係る接続装置3のA−A矢視断面図であり、図20に対応する図である。なお、図21では、図20と同一の構成要素には同一の符号を付している。図21に示すように、容器3d内では、サポート25上にゴム膜27が張設されている。このゴム膜27は、その周縁部が当該容器3dの内周に沿って固着され、当該ゴム膜30dよりも上側の空間とそれよりも下側の空間とを気密かつ油密に仕切る。すなわち、ゴム膜27より上の容器3d内には不活性ガス11が封入され、ゴム膜30dは下側の面が油面12に接触している。なお、不活性ガス11の代わりに、吸湿材を通過させた乾燥した空気を封入させてもよい。
【0108】
本変形例のその他の構成は、図19及び図20に示す構成と同じである。本変形例は、図19及び図20に示す本実施の形態と同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、変圧器とガス絶縁開閉装置とを接続する接続装置に適している。
【符号の説明】
【0110】
1 変圧器
2 ガス絶縁開閉装置
2a〜2c タンク
3b〜3d 容器
4,4a〜4c 引出し口
5,5a〜5c 導体
6,6a〜6c 導体
7,7a〜7c 接続導体
8,9,8a〜8c,9a〜9c 絶縁スペーサ
10 絶縁油
11 不活性ガス
12 油面
13 放圧管
14 連結管
15a〜15c,15,25 サポート
16a〜16c,17,18,26 ゴム袋
19 開口部
20 ブリーザ
21 接続管
27,30a〜30c,30 ゴム膜
50 シールド
51 空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁油入りの変圧器とガス絶縁開閉装置とを接続する接続装置であって、
前記変圧器と前記ガス絶縁開閉装置との間に配置され、角型の形状で、内部に絶縁油が封入されかつ前記絶縁油と直接的又は間接的に接触したガス空間が設けられた中間室としての金属性の容器と、
前記容器内で前記絶縁油中に配置され、一端部が前記変圧器側の導体に接続されるとともに他端部が前記ガス絶縁開閉装置側の導体に接続されて、前記変圧器と前記ガス絶縁開閉装置とを電気的に接続する接続導体と、
前記接続導体を支持するとともに前記変圧器と前記容器とを密に仕切る第1の絶縁スペーサと、
前記接続導体を支持するとともに前記ガス絶縁開閉装置と前記容器とを密に仕切る第2の絶縁スペーサと、
を備えることを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記ガス絶縁開閉装置は相分離形であり、
前記容器は各相の容器からなり、
前記各相の容器内には、各相の接続導体が配置されるとともに、前記絶縁油上には不活性ガスのガス空間が前記絶縁油と直接接触して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記各相の容器は、互いに分離独立して設けられていることを特徴とする請求項2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記各相の容器は、前記各相の容器の上方に延設され前記各相の容器内のガス空間を互いに連通させる放圧管で互いに連結されていることを特徴とする請求項2に記載の接続装置。
【請求項5】
前記各相の容器は、前記各相の容器内のガス空間及び前記絶縁油を互いに連通させる水平な連結管で互いに連結されていることを特徴とする請求項2に記載の接続装置。
【請求項6】
前記ガス絶縁開閉装置は相分離形又は三相一括形であり、
前記容器は三相一括形の単一の容器からなり、
前記容器内には、三相の接続導体が一括して配置され、前記絶縁油上には不活性ガスのガス空間が前記絶縁油と直接接触して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項7】
前記ガス絶縁開閉装置は相分離形であり、
前記容器は各相の容器からなり、
前記各相の容器内には、各相の接続導体が配置され、当該接続導体の上方には接地された金属製の網状部材が概略水平に当該容器の内面に固定して配置され、前記網状部材上には内部にガスが充填されたゴム袋が配置され、このゴム袋内のガス空間が当該ゴム袋を介して前記絶縁油と接触していることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項8】
前記各相の容器は、互いに分離独立して設けられており、
前記各相の容器内には、それぞれ、前記網状部材と、内部に前記ガスが封入された前記ゴム袋とが配置されていることを特徴とする請求項7に記載の接続装置。
【請求項9】
前記各相の容器は、前記各相の容器の上方に延設された放圧管で互いに連結されており、
前記各相の容器内には、それぞれ、前記網状部材が配置され、
前記各相の容器内の前記網状部材上及び前記放圧管内には、内部に前記ガスが封入された単一の前記ゴム袋が配置されていることを特徴とする請求項7に記載の接続装置。
【請求項10】
前記ガス絶縁開閉装置は相分離形又は三相一括形であり、
前記容器は三相一括形の単一の容器からなり、
前記容器内には、三相の接続導体が一括して配置され、当該三相の接続導体の上方には接地された金属製の網状部材が概略水平に当該容器の内面に固定して配置され、前記網状部材上には内部にガスが封入されたゴム袋が配置され、このゴム袋内のガス空間が当該ゴム袋を介して前記絶縁油と接触していることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項11】
前記容器内では、前記接続導体の上方に接地された金属製の網状部材が概略水平に当該容器の内面に固定して配置され、前記網状部材上にはその周縁部が当該容器の内面に固着して張設されその上面と当該容器とで囲まれた空間内に封入されたガスのガス空間とその下面と当該容器とで囲まれた空間内に封入された前記絶縁油とを気密かつ油密に仕切るゴム膜が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項12】
前記ガスは、不活性ガス、又は、吸湿材を通過した空気であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項13】
前記各相の容器は、水平な連結管で互いに連結されており、
単一の前記網状部材が、前記各相の容器内及び前記連結管内にわたって水平に配置されており、
いずれかの相の容器の上面と接続管を介して接続され、当該容器内に当該接続管を介して吸湿材を通過した空気を導入可能なブリーザが設けられており、
前記網状部材上における前記各相の容器内及び前記連結管内、並びに前記接続管内にわたって配置され、前記ブリーザにその開口部が接続されて、内部に前記ブリーザから前記開口部を介して導入された空気が充填された単一の前記ゴム袋が配置されていることを特徴とする請求項7に記載の接続装置。
【請求項14】
前記第1及び第2の絶縁スペーサはそれぞれ円錐形状であり、いずれも前記ガス絶縁開閉装置側に凸となるようにして配置されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の接続装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2013−115891(P2013−115891A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258816(P2011−258816)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】