説明

接続装置

【課題】太陽光パネルと鋼管杭の間に設置され、太陽光パネルと鋼管杭を接続するための接続装置であって、太陽光パネルと鋼管杭の位置ずれに対応可能な接続装置を提供する。
【解決手段】接続装置1は、太陽光パネル11に取り付けられる天井板41と、鋼管杭10に取り付けられ、鋼管杭10が通過不能な底孔50を有する底板40と、を有する筺体30と、底孔50のある底板40上に重ねて配置され、切欠き孔60が形成されているC型板31と、C型板31の切欠き孔60と底板40の底孔50に挿通し、底板40を挟んでC型板31を鋼管杭10に締め付けて、筺体30を鋼管杭10に固定する第1のボルト33と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルと当該太陽光パネルを支持する鋼管杭との間に配置され、太陽光パネルと鋼管杭を接続するための接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光パネルが地面に設置される場合、風が通りやすい広い敷地に設置されることが多い。また、太陽光パネルは、太陽光の照射方向に向けて斜めに設置されるのが一般的である。このため、風が吹いた場合に、太陽光パネルに揚力が生じ、太陽光パネルが浮き上がることが懸念される。
【0003】
そこで、太陽光パネルの浮き上がりを防止するため、太陽光パネルを重さのあるコンクリートの基礎に固定したり、地中に杭を打ってその上にコンクリートの基礎を形成し当該基礎に太陽光パネルを固定することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−270698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のいずれのケースも大量のコンクリートが必要になり、設置のコストや手間がかかり好ましくない。杭を打つ場合には、コンクリートの量を若干減らすことができるが、杭の打設とコンクリートの基礎の成形を両方行う必要があり、手間やコストがかえってかかる。また、いずれの場合も、コンクリートを使うので、例えば将来土地を別の目的に再利用する場合に、コンクリートのガラが大量に発生し、その除去にも手間とコストがかかる。
【0006】
そこで、コンクリートを用いずに、地中から地上に突出する複数の鋼管杭を打設し、それらの鋼管杭の上に太陽光パネルを直接取り付けることを考えている。
【0007】
しかし、鋼管杭の地中への打設は、位置精度がよくない。このため、鋼管杭に太陽光パネルを固定しようとしても、鋼管杭と太陽光パネルの固定位置が水平方向にずれて固定が困難になることが考えられる。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、太陽光パネルと鋼管杭を接続するための接続装置であって、太陽光パネルと鋼管杭の位置ずれに対応可能な接続装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明は、太陽光パネルと当該太陽光パネルを支持する鋼管杭との間に配置され、前記太陽光パネルと前記鋼管杭を接続するための接続装置であって、
前記太陽光パネルに取り付けられる天井板と、前記鋼管杭に取り付けられ、前記鋼管杭が通過不能な底孔を有する底板と、を有する筺体と、前記底孔のある前記底板上に重ねて配置され、切欠き孔が形成されている切欠き板と、前記切欠き板の切欠き孔と前記底板の底孔に挿通し、前記底板を挟んで前記切欠き板を前記鋼管杭に締め付けて、前記筺体を前記鋼管杭に固定する締結部材と、を有する接続装置である。
【0010】
本発明によれば、底板の底孔の開いている範囲で、鋼管杭に固定される締結部材に対し筺体の位置をずらすことができるので、鋼管杭と太陽光パネルの固定位置がずれている場合であっても、接続装置がそのずれを吸収でき、鋼管杭と太陽光パネルを適切に接続することができる。よって、コンクリートの代わりに鋼管杭を用いて施工の手間やコストを低減できるうえ、鋼管杭を用いたときに生じる太陽光パネルと鋼管杭の位置ずれにも対応でき、太陽光パネルの設置を好適に行うことができる。また、鋼管杭と接続装置の筺体が締結部材で固定されるので、太陽光パネルの設備を解体する際には、太陽光パネルを鋼管杭から容易に取り外すことができる。また、この解体の際にコンクリートのガラの処分が必要なく、コストを低減できる。
【0011】
前記接続装置における前記底孔は、前記鋼管杭よりも小さい径を有する円形孔であってもよい。かかる場合、鋼管杭と太陽光パネルのいずれの方向への位置ずれにも適切に対応できる。
【0012】
また、前記筺体は、外部から前記底板上の前記切欠き板及び前記締結部材にアクセス可能な開口側面を有するものであってもよい。かかる場合、工具を用いて、締結部材の締め付け作業を迅速かつ確実に行うことができる。
【0013】
前記天井板は、他の締結部材により前記太陽光パネルに固定されていてもよい。
【0014】
前記接続装置は、前記底板と前記鋼管杭との間に介在され、前記鋼管杭に対する前記底板の角度を調整するための調整部材をさらに有していてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンクリートを用いずに鋼管杭を用いるので、太陽光パネルの設置や除去の手間やコストを低減できる。また、太陽光パネルと鋼管杭の固定位置のずれにも対応できるので、かかる鋼管杭を用いた太陽光パネルの設置を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】太陽光パネルの設備構造を示す説明図である。
【図2】太陽光パネルの設備構造を下から見た説明図である。
【図3】太陽光パネルの設備構造を側方から見た説明図である。
【図4】接続装置の斜視図である。
【図5】底板の構成を示す筺体の横断面図である。
【図6】底板上にC型板を載せた状態を示す筺体の横断面図である。
【図7】第1のボルトによりC型板と底板を締め付けた状態を示す筺体の横断面図である。
【図8】太陽光パネルと鋼管杭を接続する接続装置の断面図である。
【図9】鋼管杭に対し筺体の位置をずらした状態を示す筺体の横断面図である。
【図10】調製板を有する接続装置の断面図である。
【図11】底孔の他の形状の例を示す説明図である。
【図12】底孔の他の形状の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0018】
図1〜図3は、本実施の形態に係る接続装置1が用いられる太陽光パネルの設備構造を示す説明図である。地面に複数の鋼管杭10が打設され、それらの鋼管杭10上に接続装置1を介して太陽光パネル11が取り付けられる。図3に示すように太陽光パネル11の裏面には、一方向に延びるフレーム20が取り付けられており、接続装置1はこのフレーム20に対して固定される。
【0019】
以下、接続装置1の構成について説明する。図4は、接続装置1の構成の概略を示す斜視図である。
【0020】
接続装置1は、例えば筺体30と、切欠き板としてのC型板31と、座金32と、締結部材としての第1のボルト33と、他の締結部材としての第2のボルト34などを有している。
【0021】
筺体30は、例えば外形が角柱状の筒状体を開口面が水平方向を向くように横にした形状を有し、方形の底板40と、その底板40に対向する方形の天井板41と、底板40と天井板41を接続し互いに対向する側面板42とを有している。側面板42のない互いに対向する2つの側面は、開口側面43になっている。
【0022】
図5に示すように底板40の中央には、円形の底孔50が形成されている。底孔50は、鋼管杭10の径より小さい径を有し、鋼管杭10が通過不能になっている。
【0023】
C型板31は、図6に示すように筺体30の底孔50のある底板40上に重ねて配置されている。C型板31は、底孔50よりも大きい円形板に、周縁部から中心まで達する直線状の切欠き孔60を形成した略C型形状を有している。
【0024】
接続装置1では、図7及び図8に示すようにC型板31上から座金32を挟んで、第1のボルト33を、座金32、C型板31の切欠き孔60、底板40の底孔50に挿通し、鋼管杭10の上端板10aのネジ穴10bに嵌め込むことにより、C型板31が底板40を挟んで鋼管杭10に締め付けられ、筺体30が鋼管杭10に固定されている。底孔50が開いている範囲において第1のボルト33に対する筺体30の位置を動かすことができるので、鋼管杭10の中心と筺体30の中心をずらした状態で、接続装置1と鋼管杭10を固定できる。
【0025】
図8に示すように天井板41には、フレーム20を取り付けるための2つのボルト孔70が形成されている。ボルト孔70には、第2のボルト34が天井板41の下から挿入され、上からナット71が取り付けられ、第2のボルト34のヘッドとナット71との間に太陽光パネル11のフレーム20と、高さ調整スペーサ72と天井板41を挟み込んで、天井板41を太陽光パネル11に固定できる。
【0026】
次に、上述の接続装置1を用いた鋼管杭10と太陽光パネル11の接続方法について説明する。
【0027】
予め、地面には、多数の鋼管杭10が打設されている。鋼管杭10には、上述のように上端板10aが形成され、上端板10aの中央には、ネジ穴10bが形成されている。この上端板10aやネジ穴10bは、工場において鋼管杭10の製造時に形成され、鋼管杭10の表面全体には、錆止め用の例えば溶融亜鉛メッキ処理が施されている。
【0028】
鋼管杭10に太陽光パネル11を接続する際には、先ず、鋼管杭10の上端板10a上に接続装置1の筺体30が載せられる。このとき、鋼管杭10の上端板10aと底板40の底孔50の位置が合わせられる。次に、底板40上の底孔50のある位置に底孔50を塞ぐようにC型板31が載せられる。次に、C型板31上に座金32が置かれ、第1のボルト33が座金32の上側から座金32、C型板31の切欠き孔60、底板40の底孔50に挿入され、上端板10aのネジ穴10bに嵌め込まれ、締め付けられる。こうして、C型板31が底板40を挟んで鋼管杭10に締め付けられ、筺体30が鋼管杭10に固定される。
【0029】
次に、天井板41に太陽光パネル11のフレーム20が取り付けられる。フレーム20は、例えば断面がC型のものが用いられ、底面の所定の位置に孔が形成されている。天井板41の下側からボルト孔70に第2のボルト34が挿入され、高さ調整スペーサ72及び各フレーム20の孔に第2のボルト34が通され、天井板41の上側にナット71が取り付けられる。
【0030】
太陽光パネル11の取り付け位置に対し鋼管杭10の打設位置がずれている場合には、図9に示すように接続装置1の筺体30をずらして調整される。つまり、底孔50の開いている範囲で第1のボルト33に対し筺体30がずらされ、それに伴って、C型板31の切欠き孔60に第1のボルト33が通るように、C型板31の位置や向きが調整される。その後、第1のボルト33が締められ、鋼管杭10に対し接続装置1が固定される。
【0031】
以上の実施の形態によれば、底板40の底孔50の開いている範囲で第1のボルト33の位置に対し筺体30を動かすことができるので、鋼管杭10と太陽光パネル11の固定位置がずれている場合であっても、接続装置1がそのずれを吸収でき、鋼管杭10と太陽光パネル11を適切に接続することができる。よって、コンクリートの代わりに鋼管杭10を用いて施工の手間やコストを低減できるうえ、鋼管杭10を用いたときに生じる太陽光パネル11と鋼管杭10の位置ずれにも対応でき、太陽光パネル11の設置を好適に行うことができる。また、鋼管杭10と接続装置1の筺体30が第1のボルト33で固定されるので、太陽光パネル11の設備を解体する際には、太陽光パネル11を鋼管杭10から容易に取り外すことができる。また、この解体の際にコンクリートのガラの処分が必要なく、コストを低減できる。さらに、本実施の形態では、底孔50の開いている範囲で鋼管杭10に対し筺体30の向きや位置を自由に移動させることができ、それに合わせてC型板31の向きや位置を自由に調整できるので、鋼管杭10の360°いずれの方向へのずれにも対応できる。
【0032】
また、コンクリートの基礎を用いずに鋼管杭10を用いる場合、錆防止のために鋼管杭10にメッキ処理を施すのがよいが、その場合、太陽光パネル11を設置する現場において鋼管杭10に対して溶接を行うことができない。これは、溶接を行うとメッキが剥がれるためである。したがって、本実施の形態のように溶接を用いずに鋼管杭10に太陽光パネル11を固定できることのメリットは大きい。
【0033】
上記実施の形態では、底孔50が鋼管杭10よりも小さい径を有する円形孔であるので、鋼管杭10と太陽光パネル11のいずれの方向への位置ずれにも適切に対応できる。
【0034】
筺体30は、底板40上のC型板31や第1のボルト33にアクセス可能な開口側面43を有しているので、レンチなどの締め付け工具を用いて、第1のボルト33の締め付け作業を迅速かつ確実に行うことができる。
【0035】
天井板41は、第2のボルト34により太陽光パネル11に固定されているので、天井板41の太陽光パネル11に対する固定も簡単かつ迅速に行うことができる。
【0036】
以上の実施の形態における接続装置1において、図10に示すように底板40と鋼管杭10の上端板10aとの間に介在され、鋼管杭10に対する底板40の角度を調整するための調整部材としての調整板80をさらに備えていてもよい。かかる場合、鋼管杭10が地面に対し斜めに打設されている場合であっても、太陽光パネル11を鋼管杭10に適切に固定することができる。
【0037】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0038】
例えば以上の実施の形態で記載した筺体30の形状は他の形状であってもよい。また、底板40の底孔50の形状は、円形であったが、それに限られず、楕円、方形等の他の形状であってもよい。また、例えば図11に示すように底板40の一端から他端に通じるスリット状のものであってもよいし、図12に示すように底板40の中央の円形部から底板40の縁に通じるスリットを有するようなものであってもよい。さらに、C型板31の形状も他の形状であってもよい。また、第1のボルト33に対応する締結部材、第2のボルト34に対応する他の締結部材の種類や形状は、底板40を固定する鋼管杭10や天井板41を固定する太陽光パネル11の構造に応じて適宜変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、太陽光パネルと鋼管杭を接続して太陽光パネルを設置する際に有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 接続装置
10 鋼管杭
10a 上端板
10b ネジ穴
11 太陽光パネル
20 フレーム
30 筺体
31 C型板
32 座金
33 第1のボルト
34 第2のボルト
40 底板
41 天井板
50 底孔
60 切欠き孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネルと当該太陽光パネルを支持する鋼管杭との間に配置され、前記太陽光パネルと前記鋼管杭を接続するための接続装置であって、
前記太陽光パネルに取り付けられる天井板と、前記鋼管杭に取り付けられ、前記鋼管杭が通過不能な底孔を有する底板と、を有する筺体と、
前記底孔のある前記底板上に重ねて配置され、切欠き孔が形成されている切欠き板と、
前記切欠き板の切欠き孔と前記底板の底孔に挿通し、前記底板を挟んで前記切欠き板を前記鋼管杭に締め付けて、前記筺体を前記鋼管杭に固定する締結部材と、を有する、接続装置。
【請求項2】
前記底孔は、前記鋼管杭よりも小さい径を有する円形孔である、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記筺体は、外部から前記底板上の前記切欠き板及び前記締結部材にアクセス可能な開口側面を有する、請求項1又は2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記天井板は、他の締結部材により前記太陽光パネルに固定されている、請求項1〜3のいずれかに記載の接続装置。
【請求項5】
前記底板と前記鋼管杭との間に介在され、前記鋼管杭に対する前記底板の角度を調整するための調整部材をさらに有する、請求項1〜4のいずれかに記載の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−83074(P2013−83074A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222931(P2011−222931)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】