説明

接触式温度計

【課題】被測温体との接触面積の不足による被測温体の表面温度の誤測定を防止することができる接触式温度計を提供する。
【解決方法】接触式温度計10は、被測温体90に当接する接触板30と、接触板30の温度を測定する熱電対40と、接触板30を被測温体90に向けて押圧する複数の押圧棒50a,50b,50cと、複数の押圧棒50a,50b,50cの被測温体90と反対側へのストロークを検出するストロークセンサ60a,60b,60cと、ストロークセンサ60a,60b,60cの検出結果から、被測温体90と接触板30の接触面積不足を検出するセンサ信号処理手段70を備えている。これによって、被測温体90と接触板30の接触面積が不足しているか否かを検出することができ、被測温体90と接触板30の接触面積の不足による被測温体の表面温度の誤測定を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測温体に接触して、被測温体の温度を測定する接触式温度計に関する。特に、被測温体の温度を測定する際に、被測温体と接触式温度計の接触面積不足を検出する手段を備えた接触式温度計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2に、被測温体の表面に接触して、被測温体の温度を測定する接触式温度計が開示されている。これらの接触式温度計は、被測温体に当接する接触板と、接触板の温度を測定する温度センサを備えている。これらの接触式温度計を用いて被測温体の温度を測定する際には、接触板を被測温体に接触させ、接触板を介して被測温体の表面温度を測定する。
【0003】
接触式温度計を用いて被測温体の温度を精度良く測定する場合、接触板と被測温体の接触を十分に確保しておく必要がある。接触板と被測温体の接触が不十分であると、被測温体から接触板へ熱を十分に伝達することができない。そのため、被測温体と接触板の温度に差が生じてしまい、被測温体の表面温度を正確に測定することができない。
【0004】
特許文献1の温度検出器では、接触板を被測温体に向けて押圧する複数の押圧棒を備えている。被測温体の温度を測定する際には、複数の押圧棒を用いて接触板を被測温体に押圧する。これによって、接触板と被測温体の接触圧力を向上させることができる。
また、特許文献2の表面温度計では、測定子(接触板)が弾性的に押圧可能なベローズによって支持されており、また測定子には歪みゲージが設けられている。被測温体の温度を測定する際には、ベローズが測定子を被測温体に弾性的に押圧接触するとともに、歪みゲージが測定子の歪みを測定する。測定子の歪みを一定に保つようにベローズの押圧を制御することで、測定子と被測温体の接触圧力が一定に保たれ、同一の接触圧力における被測温体の表面温度を測定することができる。特許文献1,2の技術を用いることで、接触板と被測温体の接触圧力を向上させることができる。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−243333号公報
【特許文献2】特開平3−261834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2の技術を用いた場合でも、被測温体と接触板の表面形状によっては、接触板と被測温体の一部のみしか接触させることができず、接触板と被測温体に十分な接触面積を確保することができないことがある。接触板と被測温体の接触面積が不足していると、被測温体から接触板への熱伝達が不十分となり、被測温体と接触板の温度に差が生じてしまう。この場合、被測温体の温度を正しく測定することができない。つまり、特許文献1,2の技術を用いても、接触板と被測温体の接触面積が不足していれば、被測温体の表面温度を誤測定してしまうことがある。
本発明は上記の問題を解決する。すなわち本発明は、接触式温度計において接触板と被測温体の接触面積の不足による被測温体の表面温度の誤測定を防止する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被測温体に直接接触して、被測温体の温度を測定する接触式温度計に関する。この接触式温度計は、被測温体に当接する接触板と、接触板の温度を測定する温度センサと、接触板を被測温体に向けて押圧する複数の押圧棒と、複数の押圧棒の被測温体と反対側へのストロークを検出するストローク検出手段と、ストローク検出手段の検出結果から、被測温体と接触板の接触面積不足を検出する接触状態検出手段を備えている。
【0008】
被測温体の温度を測定する際に、接触板と被測温体が接触すると、被測温体に当接した部分の接触板が被測温体と反対側へと押され、この部分の接触板を押圧していた押圧棒が被測温体と反対側へとストロークする。本発明の接触式温度計はストローク検出手段を備えており、ストローク検出手段が上記ストロークを検出する。さらに、本発明の接触式温度計は接触状態検出手段を備えており、ストローク検出手段が検出した上記ストロークの結果から、被測温体と接触板の接触面積不足を検出する。具体的には、ストロークが検出された押圧棒に対しては、その押圧棒が押圧する部分の接触板が被測温体に接触したと判断する。逆に、ストロークが検出されない押圧棒に対しては、その押圧棒が押圧する部分の接触板が被測温体に接触していないと判断する。複数の押圧棒について前記の判別を行うことで、被測温体と接触板の接触面積が不足しているか否かが検出される。
【0009】
本発明の接触式温度計によると、被測温体の温度を測定する際に、接触板と被測温体の接触面積が不足しているか否かを検出することができる。それにより、接触板と被測温体の接触面積が不足した状態で、被測温体の温度を誤測定してしまうようなことが防止される。接触板と被測温体の接触面積が十分に確保された状態で被測温体の温度を測定することができ、被測温体の温度を精度良く測定することができる。
【0010】
本発明の接触状態検出手段は、ストローク検出手段によってストロークが検出された押圧棒の本数が既定の判定本数以下であるときに、接触面積不足と検出することが好ましい。
上記のように接触面積不足をストロークが検出された押圧棒の本数を用いて検出することで、接触板と被測温体の接触面積が不足しているか否かを明確に判断することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接触板と被測温体の接触面積が不足しているか否かを検出する手段を備えた接触式温度計が実現される。この接触式温度計を用いることで、接触板と被測温体の接触面積の不足による被測温体の表面温度の誤測定を防止することができ、被測温体の温度を精度よく測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に説明する実施例の主要な特徴を最初に整理する。
(特徴1) 温度センサの感温部は、被測温体と接触板の接触領域の中央部に設けられている。
(特徴2) 接触板の温度センサの感温部が設けられている部位を、1つの押圧棒が押圧している。
(特徴3) ストローク検出手段は、押圧棒のストローク量が所定値よりも大きい場合にストロークが有ったと検出し、押圧棒のストローク量が所定値以下の場合にストロークが無かったと検出する。
(特徴4) ストローク検出手段は、各々の押圧棒毎に設けられている。
(特徴5) ストローク検出手段は、複数の押圧棒に対して1つ設けられている。
【実施例】
【0013】
本発明を具現化した実施例について図面を参照しながら説明する。図1は本実施例の接触式温度計10の断面図を示す。接触式温度計10は、接触板30を被測温体90に接触させ、接触板30に感温部42が接触している熱電対40を用いて被測温体90の温度を測定する装置である。
【0014】
図1に示すように、接触式温度計10は、ホルダー20と、支持板22と、接触板30と、熱電対40と、押圧棒50と、バネ52と、ストロークセンサ60と、センサ信号処理手段70を備えている。
ホルダー20は円筒形状をした筐体であり、その内部に支持板22が設置されている。支持板22は、ホルダー20の軸方向に垂直となる向きでホルダー20に対して固定されており、その内部に複数の貫通孔24が形成されている。
ホルダー20の内部には、複数の押圧棒50a,50b,50cが設置されている。複数の押圧棒50a,50b,50cは、それらの軸方向がホルダー20の軸方向と平行になるように配置されている。各々の押圧棒50は、支持板22に形成されている貫通孔24にそれぞれ挿通されている。各々の押圧棒50には、その一部に他の部分よりも大径な大径部54が形成されている。大径部54は、支持板22に対して、ホルダー20の開口端20a(図1中の下端)側に位置している。
【0015】
ホルダー20に固定された支持板22と押圧棒50の大径部54の間には、コイル状のバネ52が配置されている。バネ52の内孔には、押圧棒50が挿通されている。押圧棒50が図1中の上方に移動すると、バネ52が圧縮され、押圧棒50はバネ52の弾性力によって図中の下方に押圧される。
接触板30は、ホルダー20の開口端20aに臨む位置に設けられており、その一部がホルダー20の開口端20aから外部に突出している。接触板30は、ステンレス板等の金属板であり、帯状に形成され弾性を有している。接触板30は、その端部32がホルダー20に対して固定されており、その裏面30bに押圧棒50の下端が当接している。接触板30が被測温体90と接触していない状態で、押圧棒50に設けられたバネ52は圧縮された状態となっており、接触板30は押圧棒50によってホルダー20の開口端20aから突出する向きに押圧されている。被測温体90の温度を測定する際には、突出した接触板30が被測温体90の表面に当接する。このとき、接触板30は弾性変形するとともに、押圧棒50がバネ52の押圧力に抗して上方に移動する。
【0016】
接触板30の裏面30bに、熱電対40の感温部42が当接している。感温部42はホルダー20の中心軸上に配置されている。感温部42は、同じくホルダー20の中心軸上に配置されている押圧棒50bによって、裏面30bから表面30aへと押圧されている。被測温体90の温度を測定する際に、接触板30が被測温体90の表面に当接すると、熱電対40が接触板30を介して感温部42に伝達された被測温体90の表面温度を測定する。
【0017】
ストロークセンサ60a,60b,60cがホルダー20の内壁に支持されている。ストロークセンサ60は、磁気的または光学的な近接センサである。接触板30が被測温体90に接触することによって、押圧棒50の大径部54が自然長位置よりも支持板22に近づく向きに移動する。つまり、押圧棒50が被測温体90と反対側に移動する。ストロークセンサ60は、この移動によって押圧棒50が、図2に示すように、ストロークセンサ60に近接するように移動(以後、移動をストロークと呼ぶこともある)した場合に、ストロークが有ったと検出する。逆に、押圧棒50がストロークセンサ60に近接するように移動しなかった場合に、ストロークが無かったと検出する。ストロークセンサ60は、押圧棒50毎に設けられており、ストロークセンサ60aは押圧棒50aのストロークを検出し、ストロークセンサ60bは押圧棒50bのストロークを検出し、ストロークセンサ60cは押圧棒50cのストロークを検出する。
【0018】
センサ信号処理手段70がホルダー20の外部に配置されており、配線によってストロークセンサ60に接続されている。センサ信号処理手段70はストロークセンサ60の検出結果が入力されており、センサ信号処理手段70は、この検出結果に基づいて被測温体90と接触板30の接触面積が不足しているか否かを判断する。押圧棒50のストロークが有った場合には、その押圧棒50が当接している部分の接触板30が被測温体90に当接していると判断することができる。一方、押圧棒50のストロークが無かった場合には、その押圧棒50が当接している部分の接触板30が被測温体90に当接していないと判断することができる。つまり、ストロークが有ったと検出したストロークセンサ60の数(これは、ストロークした押圧棒50の本数に等しい)は、被測温体90と接触板30の接触面積に対応する。センサ信号処理手段70は、この対応関係に基づいて、ストロークした押圧棒50の本数から、被測温体90と接触板30の接触面積不足を検出する。
【0019】
接触式温度計10の動作を、図1〜図4を用いて説明する。なお、図2以降では、熱電対40については感温部42以外の部位の記載を省略する。
図1は、接触式温度計10が被測温体90に接触する前の状態を示す。図1の状態からホルダー20の開口端20aを被測温体90に近づけると、ホルダー20の開口端20aから突出している接触板30の中央部が被測温体90に接触する。さらにホルダー20の開口端20aを被測温体90に押し付けることで、図2に示すように、接触板30がホルダー20の内部へと押し込まれる。これによって、接触板30の裏面30bを押圧している押圧棒50が、バネ52の押圧力に抗して被測温体90と反対側(図1中の上方)へストロークする。
【0020】
押圧棒50のストロークよって、押圧棒50がストロークセンサ60に近接すると、ストロークセンサ60は各々対応する押圧棒50にストロークが有ったことを検出する。各々のストロークセンサ60はセンサ信号処理手段70に別々に接続されており、各々ストロークセンサ60の検出結果がセンサ信号処理手段70に入力される。これにより、センサ信号処理手段70には、ストロークが有った押圧棒50の本数が入力される。図2に示すように、被測温体90の表面が接触式温度計10に対して傾いていない場合、全ての押圧棒50がストロークし、ストロークセンサ60を通してその結果がセンサ信号処理手段70に入力される。
【0021】
センサ信号処理手段70は、ストロークが有った押圧棒50の本数を取得し、予め設定されている判定本数と比較する。取得した押圧棒50の本数が判定本数よりも大きい場合には、被測温体90と接触板30の接触面積が判定本数に対応した基準面積よりも広いと判断する。接触板30と被測温体90の接触面積が基準面積よりも広い場合、被測温体90から接触板30へと熱を十分に伝達することができ、熱電対を用いて被測温体90の温度を精度良く測定することができる。そのため、被測温体90の表面温度の測定が続行され、被測温体90の表面温度の測定結果が出力される。図2に示すように、全ての押圧棒50がストロークすると、センサ信号処理手段70はストロークセンサ60が検出した押圧棒50の本数「3」を取得する。センサ信号処理手段70は予め設定されている判定本数「2」と比較し、センサ信号処理手段70は取得した押圧棒50の本数「3」が判定本数「2」よりも大きいと判断する。これによって、接触板30と被測温体90の接触面積が基準面積よりも広いことが検出され、被測温体90の測定が実行される。
【0022】
被測温体90の表面形状によっては、被測温体90の表面が接触式温度計10に対して傾いている場合がある。被測温体90の表面が接触式温度計10に対して傾いている場合でも、図3に示すように、接触板30と被測温体90が広い接触面積を有する場合には、被測温体90から接触板30へと熱を十分に伝達することができ、被測温体90の表面温度を精度良く測定することができる。接触板30と被測温体90が広い接触面積を有する場合、接触板30と被測温体90の接触によって多くの押圧棒50がストロークする。そのため、ストロークが有った押圧棒50の本数から接触板30と被測温体90の接触面積が基準面積よりも広いことが検出される。図3に示すように、被測温体90の表面が接触式温度計10に対して傾いている場合でも、ストロークセンサ60が検出した押圧棒50の本数「3」がセンサ信号処理手段70に入力された場合には、取得した押圧棒50の本数「3」が判定本数「2」よりも大きいと判断され、被測温体90の測定が実行される。
【0023】
図4に示すように、接触式温度計10に対する被測温体90の表面の傾きが大きい場合、接触板30と被測温体90を十分に接触させることができず、接触板30と被測温体90の接触面積が狭くなる。この場合、被測温体90から接触板30へと熱を十分に伝達することができず、被測温体90の温度を精度良く測定することができない。本実施例の接触式温度計10では、図4に示すように、接触板30と被測温体90の接触面積が狭い場合には、ストロークが有ったと検出される押圧棒50の本数が減少する。取得した押圧棒50の本数が判定本数以下となった場合には、被測温体90と接触板30の接触面積が判定本数に対応した基準面積よりも狭いことが検出される。この場合、被測温体90と接触板30の接触面積が不足していることが図示しないランプ等によって報知され、被測温体90の表面温度の測定が中断される。
【0024】
図4に示すように、被測温体90の表面の傾きが大きい場合、押圧棒50aがストロークせず、これによってストロークセンサ60aは押圧棒50aにストロークが無かったことを検出する。そのため、センサ信号処理手段70はストロークセンサ60b,60cが検出した押圧棒50の本数「2」を取得する。センサ信号処理手段70は予め設定されている判定本数「2」と比較し、センサ信号処理手段70は取得した入力された押圧棒50の本数「2」が判定本数「2」以下であると判断する。これによって、接触板30と被測温体90の接触面積が基準面積よりも狭いことが検出され、接触板30と被測温体90の接触面積不足が報知されるとともに、被測温体90の測定が中断される。被測温体90の測定が中断された場合、接触板30と被測温体90のいずれか一方の姿勢を調整し、再び被測温体90の表面温度の測定が行われてもよい。
【0025】
本実施例の接触式温度計10では、接触板30と被測温体90の接触面積が広く、被測温体90から接触板30へと熱を十分に伝達することができる場合には、被測温体90の表面温度の測定を実行し、接触板30と被測温体90の接触面積が狭く、被測温体90から接触板30へと熱を十分に伝達することができない場合には、測定を中断する。本実施例によれば、接触板30と被測温体90の接触面積が狭く、被測温体90から接触板30へと熱を十分に伝達することができない場合に被測温体90の測定が実行されることが防止される。これによって、接触面積が確保された状態で被測温体90の表面温度を測定することができ、被測温体90の温度を精度よく測定することができる。
【0026】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、接触式温度計10に内在している押圧棒50の本数、あるいはセンサ信号処理手段70に予め設定されている判定本数は具体例に限定されない。必要に応じて様々に変更することができる。
また、被測温体90の温度を測定する感温素子も熱電対40に限定されない。サーモグラフィなどの非接触式の感温素子を用いて接触板30の表面温度を測定してもよい。
【0027】
押圧棒のストロークを検出するストロークセンサは、押圧棒毎に設けられてもよければ、全ての押圧棒に対して1つ設けられていてもよい。1つのストロークセンサ160によって、全ての押圧棒150のストロークを検出する構成を含んだ接触式温度計110の部分拡大図を図5に示す。ストロークセンサ160は発光素子160aと受光素子160bを備えており、発光素子160aと受光素子160bは複数の押圧棒150を挟んで対向する位置に配置されている。ストロークセンサ160は、押圧棒150が自然長位置に停止しているときに、押圧棒150に近接する位置に配置されている。そのため、接触式温度計110では、押圧棒50がストロークしていない状態で、発光素子160aと受光素子160bの間に押圧棒150が存在しており、発光素子160aからの光が受光素子160bに受光されない。押圧棒150には、径方向に貫通する貫通孔158が形成されている。
【0028】
図6に示すように、接触板が被測温体に接触することによって押圧棒150がストロークすると、発光素子160aと受光素子160bを結ぶ直線上に貫通孔158が配置される。そのため、接触板が被測温体に接触することによって押圧棒150がストロークすると、貫通孔158を通して発光素子160aからの光が受光素子160bに受光され、全ての押圧棒150がストロークしたことが検出される。ストロークしない押圧棒50が存在する場合、ストロークしない押圧棒50によって、発光素子160aからの光が遮られ、受光素子160bに受光されない。これによって、一部の押圧棒50がストロークしていないことが検出される。
接触式温度計110では、1つのストロークセンサ160によって、全ての押圧棒150のストロークを検出する構成とすることで、接触式温度計110に必要とされるストロークセンサ160の個数を減らすことができる。
【0029】
押圧棒50がエンコーダを備えている場合、ストロークセンサ60は押圧棒50の位置をエンコーダによって検出し、その移動量をエンコーダのカウンター値から算出してもよい。この場合には、ストロークセンサ60は必ずしもホルダー20の内壁に支持しておく必要がない。ストロークセンサ60は、エンコーダのカウンター値から押圧棒50の移動量を計測し、ストロークの有無を検出する。
【0030】
また、バネ52の変形量を検出できる場合には、バネの変形量から押圧棒50のストロークを検出してもよい。また、バネの変形量はバネの弾性力に比例する。そのため、バネ52の変形量を検出する代わりに、バネの弾性力を測定し、その測定結果から押圧棒のストロークを検出してもよい。
【0031】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】接触式温度計10の構成を模式的に示す図である。
【図2】接触式温度計10を用いて被測温体90の温度を測定する様子を示す図である。
【図3】接触式温度計10を用いて被測温体90の温度を測定する様子を示す図である。
【図4】接触式温度計10を用いて被測温体90の温度を測定する様子を示す図である。
【図5】接触式温度計110の拡大図を示す図である。
【図6】接触式温度計110を用いて被測温体の温度を測定する様子を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 接触式温度計
20 ホルダー
22 支持板
24 貫通孔
30 接触板
32 端部
40 熱電対
42 感温部
50 押圧棒
52 バネ
54 大径部
60 ストロークセンサ
62 感温部
70 センサ信号処理手段
90 被測温体
158 貫通孔
160 ストロークセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測温体に当接する接触板と、
前記接触板の温度を測定する温度センサと、
前記接触板を前記被測温体に向けて押圧する複数の押圧棒と、
前記複数の押圧棒の前記被測温体と反対側へのストロークを検出するストローク検出手段と、
前記ストローク検出手段の検出結果から、前記被測温体と前記接触板の接触面積不足を検出する接触状態検出手段を備える接触式温度計。
【請求項2】
前記接触状態検出手段は、前記ストローク検出手段によってストロークが検出された押圧棒の本数が既定の判定本数以下であるときに、接触面積不足と検出することを特徴とする請求項1に記載の接触式温度計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−91310(P2010−91310A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259223(P2008−259223)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】