説明

推奨情報提供方法、推奨情報送信システム、推奨情報送信装置及び記録媒体

【課題】 顧客に適した推奨対象に関する推奨情報を提供する推奨情報提供方法、推奨情報送信システム、推奨情報送信装置及び記録媒体の提供。
【解決手段】 推奨情報送信装置1は、複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報を記憶している。また顧客が推奨対象に係るリンクをクリックするまたは推奨対象を購入する等を行った場合、その行動に関する行動情報を記憶する。そして、これらの推奨対象情報及び行動情報を用いて各推奨対象夫々の推奨度を算出することにより顧客に対して推奨すべき推奨対象を決定し、その決定した推奨対象に係る推奨情報を顧客へ提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推奨対象に関する推奨情報を顧客に対して提供する推奨情報提供方法、その方法を実施するための推奨情報送信システム及び推奨情報送信装置、並びにコンピュータを推奨情報送信装置として機能させる為のコンピュータプログラムが記録されている記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインターネットの急速な普及に伴い、通信ネットワーク上に仮想店舗を設置し、その仮想店舗にて種々の商品の販売を行ういわゆる電子商取引(EC)の市場が拡大している。このような電子商取引を行っているWWWサイト(以下、ECサイトという)では、顧客満足度の向上を図るべく、アクセスしてきたすべての顧客に対して同一のコンテンツを提供するのではなく、各顧客夫々の趣味・嗜好に応じて異なるコンテンツを提供するサービス(以下、パーソナライズサービスという)を実現している。
【0003】
このようなパーソナライズサービスを実現するために、従来から、ルールベース技術又は協調フィルタリング技術が採用されてきた。
【0004】
ルールベース技術とは、種々の知識をルールとして予め定義しておき、アクセスしてきた顧客に適したコンテンツをこのルールに基づいて導出することにより各顧客によって異なるコンテンツを提供する技術である。
【0005】
また、協調フィルタリング技術とは、多数の顧客のアクセス履歴をデータとして格納しておき、アクセスしてきた顧客のアクセス履歴と類似するアクセス履歴を前記格納しているデータの中から抽出し、その抽出したアクセス履歴に基づいて、アクセスしてきた顧客に適したコンテンツを作成し提供する技術である。
【0006】
上述したルールベース技術又は協調フィルタリング技術を用いてパーソナライズサービスを実現することにより、アクセスしてきた顧客に応じて適切な商品を推奨することが可能となり、その結果ECサイトにおける売上の向上を図ることができた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ルールベース技術の場合、上述したように予めルールを定義しておく必要があり、そのためには知識エンジニアが、豊富な商品知識を有しているエキスパートから種々の知識を引き出し、その引き出した知識に基づいて膨大な数の妥当なルールを構築し管理しなければならない。このような作業が必要であるため、ルールベース技術を用いたパーソナライズサービスを実現するためには相当なコストを要するという問題があった。
【0008】
また、一度構築したルールを変更するためには新たにルールを作る場合と同様な作業が必要となるため、柔軟性に乏しいという問題があった。
【0009】
一方、協調フィルタリング技術の場合、上述したように多数の顧客のアクセス履歴がデータとして必要となるため、このようなデータが予め用意されていることが前提である。したがって、新規にECサイトを開設する場合又は新製品を販売する場合等では、データを十分に用意することができないことが多く、そのために協調フィルタリング技術を利用することができないという問題があった。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報と顧客の行動に関する行動情報とを用いることにより、従来の場合のように膨大な数のルール又はデータを必要とすることなく、適切な推奨情報を顧客に対して提供することができる推奨情報提供方法、その方法を実施するための推奨情報送信システム及び推奨情報送信装置、並びにコンピュータを推奨情報送信装置として機能させる為のコンピュータプログラムが記録されている記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
また本発明の他の目的は、意味ネットワークを用いて推奨対象情報を表現することにより、推奨対象情報を視覚的に表すことができる推奨情報提供方法及び推奨情報送信システムを提供することにある。
【0012】
また本発明の他の目的は、行動情報に含まれている属性情報に基づいて定められる重要度を前記行動情報に付与し、この付与された重要度を含めた行動情報及び推奨対象情報に基づいて推奨度を算出することにより、行動情報の属性に応じたより適切な推奨情報を顧客に対して提供することができる推奨情報提供方法及び推奨情報送信システムを提供することにある。
【0013】
また本発明の他の目的は、行動情報を行動の種別毎に分類することによって行動情報群を作成し、この行動情報群に対して前記種別に基づいて定められる重要度を付与し、この付与された重要度を含めた行動情報及び推奨対象情報に基づいて推奨度を算出することにより、行動情報群の種別に応じたより適切な推奨情報を顧客に対して提供することができる推奨情報提供方法及び推奨情報送信システムを提供することにある。
【0014】
さらに本発明の他の目的は、推奨情報を顧客に対して提供した後の顧客の行動に基づいて各推奨対象夫々の推奨度を修正することにより、従来のルールーベース技術に比して柔軟性の高い処理を行うことができる推奨情報提供方法及び推奨情報送信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1発明に係る推奨情報提供方法は、複数の推奨対象の中から選択した特定の推奨対象に関する推奨情報を顧客に対して提供する推奨情報提供方法において、前記複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報を受け付け、顧客の行動に関する行動情報を収集し、前記受け付けた推奨対象情報及び前記収集した行動情報に基づいて各推奨対象夫々の推奨度を算出し、算出した推奨度に基づいて複数の推奨対象から前記推奨情報に係る推奨対象を選択し、選択した推奨対象に関する推奨情報を提供することを特徴とする。
【0016】
第2発明に係る推奨情報提供方法は、第1発明に係る推奨情報提供方法において、前記推奨対象情報は、意味ネットワークを用いて表現されていることを特徴とする。
【0017】
第3発明に係る推奨情報提供方法は、第1発明又は第2発明に係る推奨情報提供方法において、前記行動情報には、行動の属性を示す属性情報が含まれており、該属性情報に基づいて定められる重要度が前記行動情報に付与されていることを特徴とする。
【0018】
第4発明に係る推奨情報提供方法は、第1発明乃至第3発明の何れかに係る推奨情報提供方法において、前記行動情報を行動の種別毎に分類して行動情報群を作成し、前記行動情報群には、前記種別に基づいて定められる重要度が付与されていることを特徴とする。
【0019】
第5発明に係る推奨情報提供方法は、第1発明乃至第4発明の何れかに係る推奨情報提供方法において、前記選択された推奨対象に関する推奨情報を顧客に対して提供した後の該顧客の行動に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を修正することを特徴とする。
【0020】
第6発明に係る推奨情報提供方法は、通信ネットワークを介して商品の販売を行う場合に、該販売に係る商品に関する推奨情報を顧客に対して提供する推奨情報提供方法において、複数の商品及び各商品間の関係に関する情報を含む商品情報を受け付けるステップと、商品の問い合わせに関する情報及び商品の購入に関する情報を含む顧客の行動に関する行動情報を前記通信ネットワークを介して収集するステップと、前記受け付けた商品情報及び前記収集した行動情報に基づいて各商品夫々の推奨度を算出するステップと、算出した推奨度に基づいて複数の商品から前記販売に係る商品を選択するステップと、選択した商品に関する推奨情報を前記通信ネットワークを介して顧客に対して提供するステップとを含むことを特徴とする。
【0021】
第7発明に係る推奨情報送信システムは、端末装置と、該端末装置に接続され、複数の推奨対象の中から選択した特定の推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信すべくなしてある推奨情報送信装置とを備える推奨情報送信システムにおいて、前記端末装置は、前記推奨情報送信装置へアクセスするアクセス手段を備え、前記推奨情報送信装置は、前記複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報を受け付ける受付手段と、前記端末装置によるアクセスがあった場合に、該アクセスに関するアクセス情報を記憶する記憶手段と、前記受付手段によって受け付けられた推奨対象情報及び前記記憶手段によって記憶されているアクセス情報に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を算出する算出手段と、該算出手段によって算出された推奨度に基づいて前記複数の推奨対象から前記推奨情報に係る推奨対象を選択する選択手段と、該選択手段によって選択された推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
第8発明に係る推奨情報送信システムは、第7発明に係る推奨情報送信システムにおいて、前記推奨対象情報は、意味ネットワークを用いて表現されていることを特徴とする。
【0023】
第9発明に係る推奨情報送信システムは、第7発明又は第8発明に係る推奨情報送信システムにおいて、前記アクセス情報には、行動の属性を示す属性情報が含まれており、該属性情報に基づいて定められる重要度が付与されていることを特徴とする。
【0024】
第10発明に係る推奨情報送信システムは、第7発明乃至第9発明の何れかに係る推奨情報送信システムにおいて、前記推奨情報送信装置は更に、前記アクセス情報をアクセスの種別毎に分類してアクセス情報群を作成する作成手段を備え、前記行動情報群には、前記種別に基づいて定められる重要度が付与されていることを特徴とする。
【0025】
第11発明に係る推奨情報送信システムは、第7発明乃至第10発明の何れかに係る推奨情報送信システムにおいて、前記推奨情報送信装置は更に、前記送信手段によって推奨情報を前記端末装置へ送信した後の前記端末装置によるアクセスに関するアクセス情報に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を修正する修正手段を備えることを特徴とする。
【0026】
第12発明に係る推奨情報送信システムは、第7発明乃至第11発明の何れかに係る推奨情報送信システムにおいて、前記送信手段は、前記推奨情報及び動画像を表示するための画像動作プログラムを送信するよう構成してあり、前記端末装置は、前記送信された画像動作プログラムを実行する実行手段と、前記送信された推奨情報及び前記実行手段により実行された動画像を表示する手段とを備えることを特徴とする。
【0027】
第13発明に係る推奨情報送信装置は、端末装置に接続され、複数の推奨対象の中から選択した特定の推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信すべくなしてある推奨情報送信装置において、前記複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報を受け付ける受付手段と、前記端末装置によるアクセスがあった場合に、該アクセスに関するアクセス情報を記憶する記憶手段と、前記受付手段によって受け付けられた推奨対象情報及び前記記憶手段によって記憶されているアクセス情報に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を算出する算出手段と、該算出手段によって算出された推奨度に基づいて前記複数の推奨対象から前記推奨情報に係る推奨対象を選択する選択手段と、該選択手段によって選択された推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信する送信手段とを備えるこ
とを特徴とする。
【0028】
第14発明に係る記録媒体は、端末装置に接続されたコンピュータに、複数の推奨対象の中から選択した特定の推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信させるプログラムが記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体において、コンピュータに、前記複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報を受け付けさせるプログラムコード手段と、コンピュータに、前記端末装置によるアクセスがあった場合に、該アクセスに関するアクセス情報を記憶させるプログラムコード手段と、コンピュータに、前記受付させた推奨対象情報及び前記記憶させたアクセス情報に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を算出させるプログラムコード手段と、コンピュータに、前記算出させた推奨度に基づいて前記複数の推奨対象から前記推奨情報に係る推奨対象を選択させるプログラムコード手段と、コンピュータに、前記選択させた推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信させるプログラムコード手段とを有するプログラムが記録してあることを特徴とする。
【0029】
第1発明、第6発明、第7発明、第12発明、第13発明及び第14発明による場合、複数の推奨対象及び各推奨対象の関係に関する推奨対象情報を受け付け、また顧客の行動に関する行動情報を収集する。次に、この受け付けた推奨対象情報及び収集した行動情報に基づいて、各推奨対象夫々における推奨度を算出し、その算出した推奨度に基づいて顧客に対して提供すべき推奨情報に係る推奨対象を複数の推奨対象から選択する。そして、この選択された推奨対象に関する推奨情報を顧客に対して提供する。
【0030】
このように、複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報と顧客の行動に関する行動情報とを用いてパーソナライズサービスを実現する。したがって、従来のルールベース技術の場合のようにルールを構築して管理する必要がないため、より安価にパーソナライズサービスを実現することができる。
【0031】
また、推奨対象情報は、推奨対象の性質に関する知識であるため、その推奨対象に関する販売実績等がない場合においても、そのような知識を有しているエキスパートから引き出すことが可能である。そのため、新規にECサイトを開設する場合又は新製品を販売する場合等であっても、推奨対象情報を事前に用意することが可能であり、このような場合においてもパーソナライズサービスを実現することができる。
また推奨情報は動画のキャラクタ画像と共に、表示することとした。従って顧客はより楽しく推奨情報の提供を受けることができる。
【0032】
なお、ここで「推奨対象」とは、ECサイトにて販売している商品に限らず、その商品に関連する概念であってもよい。すなわち、例えば商品がCDである場合、そのCDに係る音楽家及び音楽様式等の概念も「推奨対象」となり得る。
【0033】
第2発明及び第8発明による場合、推奨対象情報は意味ネットワークを用いて表現されている。ここで意味ネットワークとは、概念をノード(節点)に、2つの概念間の関係をアーク(弧)に夫々対応付けることによって知識をグラフにて構造的に表現する知識表現のモデルである。したがって意味ネットワークを用いる場合、推奨対象をノードに、2つの推奨対象間の関係をアークに夫々対応づけることによって推奨対象情報を表現することができる。このように表現することによって、推奨対象情報を視覚的に表すことができるため、推奨対象情報が意味している内容を容易に把握することが可能になるとともに、推奨対象情報の修正・変更を容易に行うことができる。
【0034】
また、意味ネットワークを用いた場合、ある推奨対象に関するすべての情報はその推奨対象に対応するノードからアクセスすることができるため、検索処理の効率化を図ることができる。
【0035】
第3発明及び第9発明による場合、顧客の行動を示す情報には、その行動の属性を示す属性情報が含まれており、その属性情報に基づいて定められる重要度が付与されている。
【0036】
例えば「顧客があるCDに関する情報を参照するためにそのCDに係るリンクをクリックした」という顧客の行動に対しては、そのCDに関する情報を顧客が参照している参照時間等の属性がある。この場合、この参照時間の長さにより、顧客のそのCDに対する関心度を推測することが可能である。したがって、行動の属性である参照時間に基づいて重要度を定め、定められた重要度を各推奨対象夫々の推奨度の算出に用いることによって、顧客に対して適切な推奨対象に係る推奨情報を提供することが可能になる。
【0037】
第4発明及び第10発明による場合、顧客の行動を示す情報を行動の種別毎に分類してまとめることによって行動情報群を作成し、この行動情報群夫々に対して、前記種別に基づいて定められる重要度が付与されている。
【0038】
CDを販売しているECサイトにおいて、顧客の行動には、例えば「CDに係るリンクをクリックした」及び「CDを購入した」等の種別がある。この場合、前者の種別に係る行動は顧客に対してそのCDを推奨することの積極的な理由となり得るが、後者の種別に係る行動はそのような積極的な理由とはなり得ない。なぜなら、顧客が同じCDを複数枚購入することは稀だからである。したがって、推奨すべき推奨対象を選択する際には顧客の行動の種別に注目する必要がある。そこで、上述したように、行動の種別に基づいて重要度を定め、その定められた重要度を各推奨対象夫々の推奨度の算出に用いることによって、顧客に対して適切な推奨対象に係る推奨情報を提供することが可能になる。
【0039】
第5発明及び第11発明による場合、推奨情報を顧客に対して提供した後の顧客の行動に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を修正する。
【0040】
例えば、「顧客はジャズが好きである」という仮説に基づいて、ジャズのCDに関する情報を推奨情報として顧客に対して提供した場合であって、そのCDを顧客が購入したときは、前記の仮説が裏付けられたことになるため、ジャズ及びジャズのCDに対する推奨度を高める等の修正を行う。これにより、推奨情報を顧客に提供した場合におけるその顧客の反応を、次に推奨情報を提供する際に活用することができる。
【0041】
なお、上述の例において、提供した推奨情報に係るジャズのCDを顧客が一定期間中に購入しなかった場合、前記の仮説の裏付けが得られなかったと判断することができるため、ジャズ及びジャズのCDに対する推奨度を低くする等の修正を行うことも可能である。このように、推奨情報に対する顧客の反応がなかったということも顧客の行動であるとして処理をすることができる。
【発明の効果】
【0042】
請求項1及び請求項6に記載の推奨情報提供方法、並びに請求項7に記載の推奨情報送信システム、請求項13に記載の推奨情報送信装置及び請求項14に記載の記録媒体によれば、複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報及び顧客の行動に関する行動情報に基づいて各推奨対象の推奨度を算出することにより顧客に応じた推奨対象を選択することができるため、従来のルールベース技術の場合のようにルールを構築して管理することなく、安価にパーソナライズサービスを実現することができる。
【0043】
また、推奨対象情報は推奨対象の性質に関する知識であるため、その推奨対象を販売するWWWサイトを新規に開設する場合又は新製品を販売する場合等であっても、推奨対象情報を事前に用意することが可能であり、このような場合においてもパーソナライズサービスを実現することができる。
【0044】
また、請求項2に記載の推奨情報提供方法及び請求項8に記載の推奨情報送信システムによれば、意味ネットワークを用いて推奨対象情報を表現することによって、推奨対象情報を視覚的に表すことができるため、推奨対象情報が意味している内容を容易に把握することが可能になるとともに、推奨対象情報の修正・変更を容易に行うことができる。
【0045】
また、請求項3に記載の推奨情報提供方法及び請求項9に記載の推奨情報送信システムによれば、顧客の行動の属性に基づいて重要度を定め、この参照時間に基づいて重要度を定め、定められた重要度を各推奨対象夫々の推奨度の算出に用いることによって、顧客の行動の属性に応じた適切な推奨対象に係る推奨情報を顧客に対して提供することが可能になる。
【0046】
また、請求項4に記載の推奨情報提供方法及び請求項10に記載の推奨情報送信システムによれば、顧客の行動を示す情報を行動の種別毎に分類してまとめることによって行動情報群を作成し、この行動情報群夫々に対して、前記種別に基づいて定められる重要度が付与することにより、「推奨対象に係るリンクをクリックした」及び「推奨対象を購入した」等の種別に応じた適切な推奨対象に係る推奨情報を顧客に対して提供することが可能になる。
【0047】
また、請求項5に記載の推奨情報提供方法及び請求項11に記載の推奨情報送信システムによれば、推奨情報を顧客に対して提供した後の顧客の行動に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を修正することにより、顧客の反応を次に推奨情報を提供する際に有効に活用することができる。
【0048】
また、請求項12に記載の推奨情報提供システムによれば、推奨情報は動画のキャラクタ画像と共に表示されるので、顧客はより楽しく推奨情報の提供を受けることができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
本実施の形態における推奨情報送信システムは、CDを販売するWWWサイトに応用された場合のシステムである。したがって、本実施の形態においては、CD並びにCDに係る音楽家及び音楽様式等が推奨対象となる。
【0050】
図1は本発明の推奨情報送信システムの構成を示すブロック図である。図1において、1は特定の推奨対象に係る推奨情報を送信する推奨情報送信装置を示している。推奨情報送信装置1はインターネット等の通信ネットワーク100と接続されており、通信ネットワーク100を介してCDの販売を行うWWWサイトを運営している。
【0051】
また、2,2…は、パーソナルコンピュータ,PDA(Personal Digital Assistants )及び携帯電話等である端末装置を示しており、各端末装置2,2…は同じく通信ネットワーク100に接続されている。これらの端末装置2,2…は、WWWブラウジング機能を有しており、これにより推奨情報送信装置1によって運営されているWWWサイトから受信する各種の情報の閲覧を行うことができる。
端末装置2のCPU(Central Processing Unit) 21にはバス24を介して、液晶ディスプレイ等の表示部22,及びRAM23が接続されている。CPU21は表示部22に、推奨情報送信装置1から送信される推奨情報を表示する。また推奨情報送信装置1には動画像を表示するための画像動作プログラムが記憶されている。画像動作プログラムは、推奨情報と共に端末装置2へ送信される。CPU21は送信された画像動作プログラムをRAM23にロードして実行する。これにより動画のキャラクタ画像が推奨情報と共に表示される。
【0052】
図1に示すとおり、推奨情報送信装置1は、CPU11を有しており、該CPU11は以下のハードウェア各部と接続されていて、それらを制御すると共に、ハードディスク14に格納されている種々のコンピュータプログラムを実行する。
【0053】
RAM12は、例えばSRAM等で構成され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータを記憶する。
【0054】
外部記憶装置13は、本発明の推奨情報送信装置1の動作に必要なコンピュータプログラムが記録されているCD−ROM又はフレキシブルディスク等の可搬型記録媒体200から前記コンピュータプログラムを読み取るCD−ROMドライブ又はフレキシブルディスクドライブ等から構成される。
【0055】
ハードディスク14は、例えばDRAM等で構成され、外部記憶装置13により読み取った前記コンピュータプログラム及び各種のデータを格納している。この格納されているデータには、複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する後述する推奨対象情報が含まれる。
【0056】
通信インタフェース15は、通信ネットワーク100と接続するためのインタフェースであり、例えば、アナログ回線を介して通信ネットワーク100と接続する場合はモデムで構成され、ベースバンド伝送方式のデジタル回線を介して通信ネットワーク100と接続する場合はDSU(Digital Service Unit)で構成される。
【0057】
本発明の推奨情報送信装置1のコンピュータプログラムは可搬型記録媒体200から読み取る以外にも、通信ネットワーク100を介して外部サーバコンピュータ3に接続し、外部サーバコンピュータ3に内蔵された前記コンピュータプログラムを記録してある記録媒体31から推奨情報送信装置1へ前記コンピュータプログラムをダウンロードすることが可能である。そしてこのダウンロードしたコンピュータプログラムをハードディスク14に格納し、格納したコンピュータプログラムをCPU11がRAM12にロードすることによって、推奨情報送信装置1は後述する処理を実行することができる。
【0058】
次に上述した推奨対象情報について、図2に示す推奨対象情報の概念図を用いて説明する。図2に示すとおり、推奨対象情報は意味ネットワークを用いて表現されている。図2において、各ノード間を結んでいるアークは(a),(b),(c),(d)又は(e)の何れかの関係を意味していることが示されている。例えば、“CD1”と“音楽家A”との間には(a)「によって作成された」という関係があることが示されている。この関係は、「CD1は音楽家Aによって作成された」という知識を表現している。また同様にして、“CD1”と“ジャズ”との間には(b)「音楽様式である」という関係があることが示されており、これにより「CD1はジャズの音楽様式である」という知識が表現されている

【0059】
図2に示すとおり、各アークは方向性を有しており、その方向は矢印にて示されている。このように方向性を持つアークのみから構成されるグラフはDAG(Directed Acyclic Graph)と呼ばれる。DAGにおいては、すべてのノードが夫々同一のノードに戻るためのパスがないことが保証されている。
【0060】
上述した推奨対象情報は、知識エンジニアが、豊富な商品知識を有しているエキスパート(例えばCD販売店の販売員等)からその商品知識を引き出した後に手作業にて作成され、推奨情報送信装置1に対して入力される。
【0061】
なお、本実施の形態では推奨情報送信装置1がCDを販売するWWWサイトを運営しているが、CD以外の商品、例えば本、食品又は洋服等のその他の商品であってもよいことは勿論である。また物販に限らず種々のサービスを提供する場合にも用いることが可能である。例えば、電話センター又はヘルプデスクにおいてオペレータに対して適切なアドバイスを提供したり、各学習者夫々に対して適切な学習指導を行うこと等が可能である。
【0062】
次に本発明の推奨情報送信システムの動作について説明する。
顧客は、端末装置2,2…を用いて推奨情報送信装置1が運営しているWWWサイトへアクセスし、そのWWWサイトにて販売されているCDに関する情報を参照するためにCDに係るリンクをクリックすることによりそのCDに関する情報を表示させたり、そのCDを購入したりする。
【0063】
上述したようなクリック及びCDの購入等のイベントは顧客の行動を示している。推奨情報送信装置1は、このようなイベントを顧客から受け付けることによって顧客の行動を示す行動情報を収集し、ハードディスク14に格納する。
【0064】
図3は、行動情報の例を示す概念図である。図3に示すとおり、行動情報にはIDフィールド、顧客フィールド、ノードフィールド、種別フィールド、日時フィールド及び重要度フィールドの各フィールドが用意されている。
【0065】
ここでIDフィールドには顧客の行動を示すイベントを識別するための識別子(以下、イベントIDという)が、顧客フィールドにはそのイベントの主体である顧客を識別するための識別子が、ノードフィールドにはそのイベントに係る推奨対象を示すノードが夫々格納される。
【0066】
また、種別フィールドにはそのイベントの種別が、日時フィールドにはそのイベントが発生した日時が、重要度フィールドにはそのイベントに対して定められた重要度が夫々格納される。
【0067】
図3に示す例では、例えば「1998年10月17日の8時52分に顧客1がCD1を購入した」というイベントを受け付けた場合の行動情報が示されており、このイベントのイベントIDは“1”であり、またこのイベントに対しては重要度として“2,000”が付与されていることが示されている。同様にして「1998年10月17日9時1分に顧客2がCD2に係るリンクをクリックした」というイベントを受け付けた場合の行動情報が示されており、このイベントのイベントIDが“2”であり、さらにこのイベントに対しては重要度として“1.0”が付与されていることが示されている。
【0068】
なお、ここで重要度フィールドに格納されている重要度の値は、種別フィールドに“購入”が格納されている場合は、その購入したCDの金額を示す値であり、種別フィールドに“クリック”が格納されている場合は、そのCDに係るリンクがクリックされて、そのリンクに係るページが顧客によって参照されている時間を示す値である。
【0069】
推奨情報送信装置1は、種別フィールドに格納されている値によって、行動情報の分類処理を行う。すなわち、例えば種別フィールドの値が“購入”である行動情報と、“クリック”である行動情報との分類を行う。ここで分類された行動情報の集合のことを、以下ではイベントストリーム(請求項4における行動情報群)と呼ぶ。
【0070】
図3に示すような行動情報を格納している推奨情報送信装置1は、以下に示す処理を行うことにより各推奨対象の推奨度の算出を行う。この推奨度を算出する場合、推奨情報送信装置1は、推奨対象情報を構成する各ノードにおけるエビデンス値の算出処理を行う。ここでエビデンスとは、ある仮説(例えば「顧客はジャズが好きである」等)に対して証拠となりうるイベント(例えば「顧客がジャズのCDに係るリンクをクリックした」又は「顧客がジャズのCDを購入した」等)のことであり、エビデンス値とはこのようなエビデンスを数値化した場合の値のことである。以下の説明において、エビデンス値をEn,s と表す。ここで、nはノードを識別する識別子を、sはイベントストリームを識別する識別子を夫々示している。
【0071】
図4は、エビデンス値を更新する場合の本発明の推奨情報送信装置1の処理手順を示すフローチャートである。なお、推奨対象情報を構成する各ノードにおけるエビデンス値には、デフォルト値として0が設定されている。
顧客からイベントを受け付けた場合、推奨情報送信装置1は、受け付けたイベントに係るノードnを決定する(S101)。ここでイベントに係るノードとは、そのイベントの直接の対象となるノードのことであり、行動情報におけるノードフィールドに格納されている値である。例えば、イベントが「1998年10月17日の8時52分に顧客1がCD1を購入した」である場合、“CD1”に対応するノードがイベントに係るノードとなる。
【0072】
次にノードnにおけるEn,s を後述する式を用いて算出することによりEn,s の更新を行う(S102)。そしてノードnにおいてイベントストリームs中のi番目のイベントについてEn,s の算出が既に行われたことを示す変数Un,s の値にiを設定する(S103)。
【0073】
次に現在の処理の対象であるノードの親ノードをノードnに設定し(S104)、そのノードnにおけるUn,s の値がiであるか否かを判定する(S105)。ここでUn,s の値がiではないと判定した場合(S105でNO)、ステップS102に戻り処理を繰り返す。一方、ノードnのUn,s の値がiであると判定した場合(S105でYES)、そのノードnにおいてイベントストリームs中のi番目のイベントについてEn,s の更新処理が既に行われたものと判断し、処理を終了する。
【0074】
上述した処理により、ステップS101にてイベントに係るノードと決定されたノードから到達できるすべてのノードにおけるエビデンス値が順次的に更新される。
【0075】
次にエビデンス値を算出するために用いるいくつかの式について説明する。第1の式は、En,s =E’n,s +es,i (式(1))である。ここでE’n,s は、エビデンス値を更新する前のノードnにおけるエビデンス値を表しており、es,i は、イベントストリームsにおけるi番目のイベントの重要度(重要度フィールドに格納されている値)を表している。
【0076】
第2の式は、En,s =f(E’n,s ,es,i ,tn )(式(2))である。ここでtn は、ノードnにおいてエビデンス値が前回更新された時点から経過した経過時間、又は同じく更新されてから実行された処理サイクル数等を示している。なお、この処理サイクル数はi−Un,s により算出することができる。
【0077】
上述した式(1)及び(2)では、イベントの重要度を反映したエビデンス値を算出することが可能であるが、時間的に新しいイベントと古いイベントとの差異を反映させることはできない。顧客の趣味・嗜好は時間とともに変化する場合が多く、その場合では最近受け付けたイベントと以前に受け付けたイベントとを区別して扱う必要がある。このような区別を行うために、後述する式(3)及び(4)を採用する。
【0078】
第3の式は、En,s =(1−αs )es,i +αs E’n,s (式(3))である。ここで、αs はイベントストリームsにおける最新のイベントとそのイベントよりも以前のイベントとの重要度の差異の取り扱いを制御するためのパラメータである。また第4の式は、En,s =(1−αs )es,i +power (αs ,i-Un,s )E’n,s (式(4))である。ここでpower は累乗を計算するための関数を表している。
【0079】
推奨情報送信装置1が顧客からイベントを受け付けた場合に、推奨対象情報を構成する全てのノードにおけるエビデンス値が更新されるときは式(3)を用い、一方いくつかのノードにおけるエビデンス値が更新されないときは式(4)を用いる。
【0080】
図3中のイベントIDが“3”及び“4”である2つのイベントを推奨情報送信装置1が受け付けた場合のエビデンス値の算出結果を表1に示す。なお、ここでは、上述した式(4)を用いてエビデンス値を算出しており、パラメータαs の値は0.5に設定されている。
【0081】
【表1】

【0082】
以上のようにして各ノードにおいて更新されたエビデンス値に基づいて、後述する方法により推奨対象の推奨度を決定することができる。推奨度を決定する方法としては、(1)エビデンス値自体を推奨度とする方法、(2)仮説を推奨度とする方法、及び(3)複数のイベントストリームを用いる方法等がある。以下、これらの方法について夫々説明する。
【0083】
(1)エビデンス値自体を推奨度とする方法
上述したエビデンス値の算出処理を繰り返し実行することにより、各ノードにおけるエビデンス値を更新し、その更新されたエビデンス値に基づいて各ノードを降順に並べ替えた後、フィルタリング基準(例えば、ベスト100CD又はある顧客向けに設定されたトップ10の音楽家等)が設定されている場合はその基準を満足するノードを、一方フィルタリング基準が設定されていない場合は最も高い推奨度に係るノードを選択する。そしてこの選択したノードに対応する推奨対象を顧客に提供すべき推奨情報に係る推奨対象とする。すなわち、この場合はエビデンス値そのものが推奨度となる。
【0084】
なお、この処理において、分岐限定法(branch and bound)等の探索法を用いることにより、各ノードに対する探索処理をより効率的に行うことが可能である。
【0085】
(2)仮説を推奨度とする方法
推奨情報送信装置1は、推奨対象情報を構成する複数のノードの中から推奨すべき推奨対象に対応するノードを見つけるために、上述したようにして算出されたエビデンス値のソースが子ノードであるのか又は親ノードであるのかを判別する。ここでエビデンス値のソースとは、そのエビデンス値の算出の際に最も影響を与えたノードのことである。
【0086】
上述した判別を行うために、ノードn0がエビデンス値En0,sのソースであり、その親ノードNがそのソースではないことを示す仮説Hn0,s,Nを後述する手順にしたがって算出する。この仮説Hn0,s,Nは0乃至1の値をとる。
【0087】
このHn0,s,Nを算出するために、2つの異なるノードにおけるEn,s /On,s (以下、エビデンス率という)の比較処理を実行する。ここでOn,s とは、ノードnにおいてストリームsに係る種別のイベントが起こり得る機会の総数を表しており、例えば種別が“購入”の場合、ノードnに対応する推奨対象を購入するために用いられる画面情報を顧客に対して提供した回数の総数等が上述した機会の総数となる。
【0088】
2つの異なるノードにおけるエビデンス率の比較処理を行う場合、推奨情報送信装置1は、標準正規分布にしたがう確率変数zを公知の式を用いて算出し、その算出した確率変数zの値に基づいて累積正規分布の表を参照することにより0乃至1の値を得る。
【0089】
上述した手順にしたがって、推奨情報送信装置1は、ノードn0におけるエビデンス率が、ノードn0と同じ親ノードNを親ノードとして有しているノード(以下、兄弟ノードという)におけるエビデンス率よりも大きいか否かを判定し、大きい場合は、Hn0,s,Nが成立する、すなわちノードn0がエビデンス値En0,sのソースであると判断することができる。また両者の値が略同じである場合は、ノードn0の親ノードN(又はそれよりも上位のノード)がエビデンス値En0,sのソースであると判断する。
【0090】
例えば、図5に示すように、ノードn0におけるエビデンス率が70/80 であり、その親ノードNにおけるエビデンス率が80/100である場合、ノードn0の兄弟ノードであるノードn1〜nzのエビデンス率は10/20 となる。この場合、上述した確率変数zの値は公知の式により3.75と算出され、この値に基づいて累積正規分布の表を参照することによりHn0,s,N= 99.9912%が得られる。この結果はノードn0がエビデンス値のソースであることを裏付けている。
【0091】
ところで、上述したような統計的手法を用いる場合はデータ数が十分に存在している必要があり、十分ではないときはそのような手法を用いることは適当ではない。そこで、そのようにデータ数が十分ではないときは、ポアソン分布にしたがって顧客からイベントを受け付けたとして、後述する式(5)を用いて確率変数zの値を算出する。
【0092】
【数1】

【0093】
ここでsqrtは平方根を計算するための関数である。上述したように、兄弟ノードn1〜nzのエビデンス値は親ノードNのエビデンス値からノードn0のエビデンス値を減ずることによって算出することができるため、式(5)はzn0,s,N=(En0,s−(EN,s −En0,s))/sqrt(En0,s+(EN,s −En0,s))(式(6))と変形することができる。
【0094】
推奨情報送信装置1は、推奨対象情報における子ノードn0と親ノードNとのすべての組に対して、zn0,s,N及びHn0,s,Nを算出する。表1に示したエビデンス値の算出例を用いて、zn0,s,NとHn0,s,Nを算出した結果を表2に示す。
【0095】
【表2】

【0096】
ところで、各ノードは複数の親ノードを有している場合があるため、表2において、同一のノードがノードn0となっている行が複数存在している。そこで推奨情報送信装置1は、後述する手順にしたがって親ノードNを特定しない仮説Hn,S を算出する。
【0097】
まず、ルートノードがノードn0である場合のHn0,sを1.0 とする。そしてルートノードの子ノードがノードn0である場合のHn0,s,Nに上述した1.0 を乗じることによりそれらの子ノードにおけるHn0,sを算出する。以下この処理を繰り返すことによって各ノードにおけるHn0,sを算出する。
【0098】
また、ある子ノードn0が複数の親ノードN,N…を有している場合は、各親ノードN,N…に対するHn0,s,N夫々を用いて算出されたHn0,sを加算することによってその子ノードn0におけるHn0,sを算出する。このようにして得られたHn0,sに基づいて各ノードを降順に並べ替えた後、上述したようにフィルタリング基準が設定されている場合はその基準を満足するノードを、一方フィルタリング基準が設定されていない場合は最も高い推奨度に係るノード選択し、選択したノードに対応する推奨対象を顧客に提供すべき推奨情報に係る推奨対象とする。
【0099】
表2に示した算出例を用いて、各ノードにおけるHn0,s,Nを算出した結果を表3に示す。
【0100】
【表3】

【0101】
(3)複数のイベントストリームを用いる方法
上述した(1)及び(2)の方法においては、各イベントストリーム毎に推奨度を算出している。3番目の方法は、複数のイベントストリームを用いて推奨度を算出する方法である。
【0102】
この方法においては、Hn =Θs1Hn,s1+Θs2Hn,s2+…+ΘsiHn,si(式(7))を用いてノードnにおける推奨度である仮説Hn を算出する。ここでΘsiは複数のイベントストリームsi(iは自然数)を組み合わせる際に用いられる重み付け係数である。このΘsiの値は、推奨対象の性質により種々の値が使用される。例えば推奨対象がCDである場合、顧客があるCDを購入した後に同一のCDを購入することは稀である。一方、例えば推奨対象が魚釣り用のルアーである場合、顧客があるルアーを購入した後に同一のルアーを購入する可能性は高いものと考えることができる。したがって、例えばイベントストリームs1に係る種別が“購入”である場合、CDに対応するノードnにおけるHn,s1に対するΘs1の値は、ルアーに対応するノードnにおけるHn,s1に対するΘs1の値に比し、より低い値となる。なお、Θsiの値は、各ノードに応じて、又は各顧客に応じて異なる値であってもよく、すべて同一の値であってもよい。また、Hn,siは上述したHn0,sを算出する場合と同様にして算出する。
【0103】
このようにして得られた仮説Hn に基づいて各ノードを降順に並べ替えた後、上述したようにフィルタリング基準が設定されている場合はその基準を満足するノードを、一方フィルタリング基準が設定されていない場合は最も高い推奨度に係るノード選択し、選択したノードに対応する推奨対象を顧客に提供すべき推奨情報に係る推奨対象とする。
【0104】
推奨情報送信装置1は、顧客からイベントを受け付ける都度、上述した3つの方法の何れかの方法に基づいて算出された推奨度を用いて推奨対象を特定し、その特定した推奨対象に関する推奨情報を顧客が操作する端末装置2,2…に対して送信する。
【0105】
このような処理を繰り返すことによって、推奨情報送信装置1は顧客にとってより適切な推奨対象に関する推奨情報を送信するようになる。これは推奨情報送信装置1が学習していることに相当する。
【0106】
また、推奨情報送信装置1は、上述した内容とは異なる学習を行うことができる。そのために推奨情報送信装置1は、推奨情報を顧客へ提供した後にその推奨情報に対する反応があった場合、すなわち例えばその推奨情報に係る推奨対象が顧客によって購入された場合、その購入を示すイベントの種別を“反応”として推奨度の算出に利用する。この場合このイベントの重要度を、種別が“購入”であるイベントの重要度に比して高い値に設定することにより、顧客の反応を重視した推奨度を算出することができる。
【0107】
また、一定時間顧客からの反応がない場合も同様にして、種別が“反応”であるイベントを受け付けたと判断し、このイベントの重要度を、上述したような実際に反応があった場合のその反応を示すイベントの重要度に比して低い値に設定する。または、種別が“無反応”であるイベントを受け付けたと判断し、種別が“無反応”であるイベントストリームに係るΘ係数の値を、他のイベントストリームに係るΘ係数の値に比して低くする。これにより、顧客から反応がない場合に応じた推奨度を算出することができる。
【0108】
なお、このような学習は、例えば公知の技術であるアニーリング、山登り法(hill-climbing )、遺伝アルゴリズム又はニューラル・ネットワーク等を用いて実行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の推奨情報送信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】推奨対象情報の例を示す概念図である。
【図3】行動情報の例を示す概念図である。
【図4】エビデンス値を更新する場合の本発明の推奨情報送信装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】推奨度を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0110】
1 推奨情報送信装置
2 端末装置
3 外部サーバコンピュータ
100 通信ネットワーク
200 可搬型記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の推奨対象の中から選択した特定の推奨対象に関する推奨情報を顧客に対して提供する推奨情報提供方法において、
前記複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報を受け付け、顧客の行動に関する行動情報を収集し、前記受け付けた推奨対象情報及び前記収集した行動情報に基づいて各推奨対象夫々の推奨度を算出し、算出した推奨度に基づいて複数の推奨対象から前記推奨情報に係る推奨対象を選択し、選択した推奨対象に関する推奨情報を提供することを特徴とする推奨情報提供方法。
【請求項2】
前記推奨対象情報は、意味ネットワークを用いて表現されていることを特徴とする請求項1に記載の推奨情報提供方法。
【請求項3】
前記行動情報には、行動の属性を示す属性情報が含まれており、該属性情報に基づいて定められる重要度が前記行動情報に付与されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の推奨情報提供方法。
【請求項4】
前記行動情報を行動の種別毎に分類して行動情報群を作成し、前記行動情報群には、前記種別に基づいて定められる重要度が付与されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の推奨情報提供方法。
【請求項5】
前記選択された推奨対象に関する推奨情報を顧客に対して提供した後の該顧客の行動に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を修正することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の推奨情報提供方法。
【請求項6】
通信ネットワークを介して商品の販売を行う場合に、該販売に係る商品に関する推奨情報を顧客に対して提供する推奨情報提供方法において、
複数の商品及び各商品間の関係に関する情報を含む商品情報を受け付けるステップと、商品の問い合わせに関する情報及び商品の購入に関する情報を含む顧客の行動に関する行動情報を前記通信ネットワークを介して収集するステップと、前記受け付けた商品情報及び前記収集した行動情報に基づいて各商品夫々の推奨度を算出するステップと、算出した推奨度に基づいて複数の商品から前記販売に係る商品を選択するステップと、選択した商品に関する推奨情報を前記通信ネットワークを介して顧客に対して提供するステップとを含むことを特徴とする推奨情報提供方法。
【請求項7】
端末装置と、該端末装置に接続され、複数の推奨対象の中から選択した特定の推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信すべくなしてある推奨情報送信装置とを備える推奨情報送信システムにおいて、
前記端末装置は、前記推奨情報送信装置へアクセスするアクセス手段を備え、前記推奨情報送信装置は、前記複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報を受け付ける受付手段と、前記端末装置によるアクセスがあった場合に、該アクセスに関するアクセス情報を記憶する記憶手段と、前記受付手段によって受け付けられた推奨対象情報及び前記記憶手段によって記憶されているアクセス情報に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を算出する算出手段と、該算出手段によって算出された推奨度に基づいて前記複数の推奨対象から前記推奨情報に係る推奨対象を選択する選択手段と、該選択手段によって選択された推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信する送信手段とを備えることを特徴とする推奨情報送信システム。
【請求項8】
前記推奨対象情報は、意味ネットワークを用いて表現されていることを特徴とする請求項7に記載の推奨情報送信システム。
【請求項9】
前記アクセス情報には、行動の属性を示す属性情報が含まれており、該属性情報に基づいて定められる重要度が付与されていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の推奨情報送信システム。
【請求項10】
前記推奨情報送信装置は更に、前記アクセス情報をアクセスの種別毎に分類してアクセス情報群を作成する作成手段を備え、前記行動情報群には、前記種別に基づいて定められる重要度が付与されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れかに記載の推奨情報送信システム。
【請求項11】
前記推奨情報送信装置は更に、前記送信手段によって推奨情報を前記端末装置へ送信した後の前記端末装置によるアクセスに関するアクセス情報に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を修正する修正手段を備えることを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れかに記載の推奨情報送信システム。
【請求項12】
前記送信手段は、
前記推奨情報及び動画像を表示するための画像動作プログラムを送信するよう構成してあり、
前記端末装置は、
前記送信された画像動作プログラムを実行する実行手段と、
前記送信された推奨情報及び前記実行手段により実行された動画像を表示する手段と
を備えることを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載の推奨情報送信システム。
【請求項13】
端末装置に接続され、複数の推奨対象の中から選択した特定の推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信すべくなしてある推奨情報送信装置において、
前記複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報を受け付ける受付手段と、前記端末装置によるアクセスがあった場合に、該アクセスに関するアクセス情報を記憶する記憶手段と、前記受付手段によって受け付けられた推奨対象情報及び前記記憶手段によって記憶されているアクセス情報に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を算出する算出手段と、該算出手段によって算出された推奨度に基づいて前記複数の推奨対象から前記推奨情報に係る推奨対象を選択する選択手段と、該選択手段によって選択された推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信する送信手段とを備えることを特徴とする推奨情報送信装置。
【請求項14】
端末装置に接続されたコンピュータに、複数の推奨対象の中から選択した特定の推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信させるプログラムが記録してあるコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体において、
コンピュータに、前記複数の推奨対象及び各推奨対象間の関係に関する推奨対象情報を受け付けさせるプログラムコード手段と、コンピュータに、前記端末装置によるアクセスがあった場合に、該アクセスに関するアクセス情報を記憶させるプログラムコード手段と、コンピュータに、前記受付させた推奨対象情報及び前記記憶させたアクセス情報に基づいて、各推奨対象夫々の推奨度を算出させるプログラムコード手段と、コンピュータに、前記算出させた推奨度に基づいて前記複数の推奨対象から前記推奨情報に係る推奨対象を選択させるプログラムコード手段と、コンピュータに、前記選択させた推奨対象に関する推奨情報を前記端末装置へ送信させるプログラムコード手段とを有するプログラムが記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−12115(P2006−12115A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377475(P2004−377475)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【分割の表示】特願2001−204120(P2001−204120)の分割
【原出願日】平成13年7月4日(2001.7.4)
【出願人】(500312089)シルバーエッグ・テクノロジー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】