説明

描画装置、描画方法、及びプログラム

【課題】n次元ハイパーキューブの正射影像を描画する際に処理すべきデータ量の増大化を抑制し、描画速度の向上化を図り得る、描画装置、描画方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】描画装置10は、第1の整数型データ(0〜2−1)それぞれのnビットの2進数表現を求め、各2進数表現の各桁を座標軸上の位置に置き換えて、各第1の整数型データに対応する座標を求め、各座標をハイパーキューブの各頂点とする頂点特定部11と、2(0≦i≦n−1)から算出される第2の整数型データそれぞれからnビットの2進数表現を求め、各2進数表現の各桁を座標軸上の位置に置き換えて、各第2の整数型データに対応する座標を求め、各座標が終点となる正規直交基底を設定するベクトル設定部12と、頂点毎に、正規直交基底を適用して、当該頂点から伸びるハイパーキューブの辺を特定し、特定した辺を表示画面上に描画する描画処理部13とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、n次元ハイパーキューブの正射影像を描画する、描画装置、描画方法、及びこれらを実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイパーキューブは、種々のネットワークシステムに適用されている。ハイパーキューブは、各次元で一般化された正多胞体であり、例えば、2次元においては正方形、3次元においては立方体、4次元においては正八胞体となる。
【0003】
そして、ネットワークシステムにハイパーキューブが適用されると、多数のノードを相互接続する際の配線数と、ホップ数とが低減される。ホップ数とは、出発元のノードから目的のノードに到達するまでに経由されるノードの数をいう。更に、ハイパーキューブが適用されたネットワークシステムでは、ルーティングの単純化、及びフレキシビリティの向上化も図られる。
【0004】
ハイパーキューブが適用されたネットワークシステムの具体例としては、マルチプロセッサシステムが挙げられる。マルチプロセッサシステムでは、各ノードはプロセッサであり、ハイパーキューブの各頂点にプロセッサが配置される(特許文献1及び2参照。)。また、他の具体例としては、データ転送システムが挙げられる。データ転送システムでは、各ノードはルータ等の転送装置であり、ハイパーキューブの各頂点に転送装置が配置される。
【0005】
また、ハイパーキューブが適用されたネットワークシステムでは、ネットワークの状況を管理者に伝えるため、ハイパーキューブを画面上に描画することが求められている。更に、ハイパーキューブの描画は、その他に、教育の現場、データ構造の解析等においても求められることがある。
【0006】
従来においては、ハイパーキューブの描画は、先ず、ユークリッド空間内に、ハイパーキューブのモデルを定義し、次に、定義されたモデルの各頂点の正射影と頂点間を結ぶ辺の正射影とを表示画面上に描画することによって行われる。
【0007】
具体的には、先ず、射影元であるn次元のハイパーキューブのモデルを構築するため、n×2の配列が用意され、初期化が行われる。そして、配列の各要素に、頂点の座標を表す値を設定して、n×2の配列が構築される。例えば、n=3の場合は、(0,0,0)、(0,0,1)、(0,1,0)、(0,1,1)、(1,0,0)、(1,0,1)、(1,1,0)、(1,1,1)の8個の座標を表す、3×8の配列が構築される。
【0008】
次に、構築された配列から、各頂点の正射影後の座標が算出される。この座標算出のための演算処理は、2回行われることとなる。その後、頂点間に辺が存在しているかどうかが判定され、存在する場合は、各頂点に加え、当該頂点間に存在する辺が表示画面上に描画される。そして、この結果、ハイパーキューバが表示画面に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−197006号公報
【特許文献2】特開2006−080703号公報
【特許文献3】特開2008−066843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述の処理によってハイパーキューブの描画が行われる場合、初期化処理、正射影を求める処理、及び辺の存在を判定する処理といった各処理で扱われるデータ量は、次元の増加に伴い、2の指数乗のオーダの単位で増加する。このため、描画処理を実行する計算装置においては、次元の増加に伴い、メモリ消費量及び処理負担が著しく増大するため、描画速度が大幅に低下してしまう。
【0011】
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、n次元ハイパーキューブの正射影像を描画する際に処理すべきデータ量の増大化を抑制し、描画速度の向上化を図り得る、描画装置、描画方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における描画装置は、表示画面上にn(nは1以上の自然数)次元のハイパーキューブを描画する描画装置であって、
0から2−1までの第1の整数型データそれぞれのnビットの2進数表現を求め、前記第1の整数型データそれぞれの2進数表現の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第1の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、求めた各座標を前記ハイパーキューブの各頂点とする、頂点特定部と、
iが0以上n−1以下の整数であるときに2から算出されるn個の第2の整数型データそれぞれから、nビットの2進数表現を求め、求めた各2進数表現における各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第2の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、更に、求めた各座標が終点となる正規直交基底を設定する、ベクトル設定部と、
前記頂点毎に、前記正規直交基底を適用して、当該頂点から伸びる前記ハイパーキューブの辺を特定し、特定した前記ハイパーキューブの辺を前記表示画面上に描画する、描画処理部と、
を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における描画方法は、表示画面上にn(nは1以上の自然数)次元のハイパーキューブを描画するための描画方法であって、
(a)0から2−1までの第1の整数型データそれぞれのnビットの2進数表現を求め、前記第1の整数型データそれぞれの2進数表現の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第1の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、求めた各座標を前記ハイパーキューブの各頂点とする、ステップと、
(b)iが0以上n−1以下の整数であるときに2から算出されるn個の第2の整数型データそれぞれから、nビットの2進数表現を求め、求めた各2進数表現における各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第2の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、更に、求めた各座標が終点となる正規直交基底を設定する、ステップと、
(c)前記頂点毎に、前記正規直交基底を適用して、当該頂点から伸びる前記ハイパーキューブの辺を特定し、特定した前記ハイパーキューブの辺を前記表示画面上に描画する、ステップと、
を有することを特徴とする。
【0014】
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、コンピュータによって、表示画面上にn(nは1以上の自然数)次元のハイパーキューブを描画するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)0から2−1までの第1の整数型データそれぞれのnビットの2進数表現を求め、前記第1の整数型データそれぞれの2進数表現の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第1の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、求めた各座標を前記ハイパーキューブの各頂点とする、ステップと、
(b)iが0以上n−1以下の整数であるときに2から算出されるn個の第2の整数型データそれぞれから、nビットの2進数表現を求め、求めた各2進数表現における各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第2の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、更に、求めた各座標が終点となる正規直交基底を設定する、ステップと、
(c)前記頂点毎に、前記正規直交基底を適用して、当該頂点から伸びる前記ハイパーキューブの辺を特定し、特定した前記ハイパーキューブの辺を前記表示画面上に描画する、ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明における、描画装置、描画方法及びプログラムによれば、n次元ハイパーキューブの正射影像を描画する際に処理すべきデータ量の増大化を抑制でき、描画速度の向上化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、整数型データ及び2の一例を示す図である。
【図2】図2は、整数型データの2進数表現の座標への置き換えを説明する図である。
【図3】図3は、排他的論理和とハイパーキューブの頂点との対応を説明する図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1における描画装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1における描画装置の動作を示すフロー図である。
【図6】図6は、図5に示した各ステップを説明する図であり、図6(a)〜(e)は、それぞれ異なるステップに対応している。
【図7】図7は、本発明の実施の形態2における描画装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2における描画装置の動作を示すフロー図である。
【図9】図9は、図8に示した各ステップを説明する図であり、図9(a)〜(d)は、それぞれ異なるステップに対応している。
【図10】図10は、実施の形態2における単位ハイパーキューブと描画ハイパーキューブとの一例を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態1及び2における描画装置を実現できるコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(原理)
先ず、符号無し整数型データ(以下、本明細書では、単に「整数型データ」という。)のビット長がN(Nは自然数)の環境下において、0から2−1までの整数型データ(以下「第1の整数型データ」とする。)の2進数表現が求められる。nはN以下の自然数である。次に、各第1の整数型データの2進数表現の各桁を、n次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて(後述の図2参照)、第1の整数型データそれぞれに対応する座標が求められる。そして、求められた各座標は、n次元空間の単位ハイパーキューブの頂点と対応付けられる。つまり、第1の整数型データそれぞれは、n次元空間の単位ハイパーキューブの頂点と同一視される。
【0018】
従来から、ハミング距離が1であるビット列同士の関係が、トポロジーとしてハイパーキューブ構造を持つ事が知られている。これに対して、本発明では、上述したように、第1の整数型データが、ハイパーキューブの頂点と同一視される。このため、第1の整数型データを、単位ハイパーキューブそのものとして扱うことができるので、以下の性質(1)及び(2)が成立する。
【0019】
(1)第1の整数型データの2進数表現と、2(0≦i≦n−1)から算出されるn個の整数型データ(以下「第2の整数型データ」とする。)の2進数表現との排他的論理和を求め、排他的論理和の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えると、得られた座標は、第1の整数型データが対応する頂点とハイパーキューブ上の辺で結ばれた頂点に対応する。
【0020】
(2)単位ハイパーキューブの各辺は、n次元空間の正規直交基底を構成するいずれかのベクトルと平行となる。また、単位ハイパーキューブの各辺の長さは、各ベクトルの長さと同一となる。
【0021】
ここで、上記の性質(1)及び(2)について、図1〜図3を用いて具体的に説明する。図1は、整数型データ及び2の一例を示す図である。図2は、整数型データの2進数表現の座標への置き換えを説明する図である。図3は、排他的論理和とハイパーキューブの頂点との対応を説明する図である。
【0022】
図1に示すように、n=4の場合は、ハイパーキューブの頂点の数は16個(2個)であり、第1の整数型データは、0〜15までの整数、即ち、{0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15}となる。また、第2の整数型データ(2)は、{1、2、4、8}となる(0≦i≦3)。
【0023】
そして、例えば、第1の整数型データが「13」であるとすると、2進数表現は、1101となるので、各桁を4次元座標系の座標軸上の位置に置き換えると、座標は(1,1,0,1)となる(図2参照)。この座標(1,1,0,1)は、単位ハイパーキューブの頂点の1つに対応する(図3参照)。
【0024】
一方、第2の整数型データ{1,2,4,8}それぞれの2進数表現は、{0001,0010,0100,1000}となり、これらから得られる座標は、正規直交基底の各終点に相当する。また、{0001,0010,0100,1000}と、13の2進数表現(=1101)との排他的論理和は、{1100,1111,1001,0101}となる。更に、これらの排他的論理和から得られる座標は、(1,1,0,0)、(1,1,1,1)、(1,0,0,1)、(0,1,0,1)となる。そして、図3に示すように、これらの座標で表される点は、単位ハイパーキューブにおいて、頂点(1,1,0,1)と辺で結ばれた頂点と一致し、性質(1)及び(2)が成立する。
【0025】
このように、性質(1)及び(2)が成立することから、0から2−1までの第1の整数型データと、2から求められる第2の整数型データとを用いれば、ハイパーキューブの各辺を特定することができ、表示画面上に各辺を描画することができる。
【0026】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における描画装置、描画方法、及びプログラムについて、図4〜図6を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態1における描画装置の構成について図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態1における描画装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
図4に示す本実施の形態1における描画装置10は、表示装置30の表示画面30a上にn次元のハイパーキューブを描画する装置である。nは1以上の自然数である。図4に示すように、描画装置10は、頂点特定部11と、ベクトル設定部12と、描画処理部13と、入力部14と、記憶部15とを備えている。
【0028】
入力部14は、外部からのnの値の入力を受け付ける。そして、入力部14は、受け付けたnの値に基づいて、第1の整数型データと、第2の整数型データとを求める。第1の整数型データは、0から2−1までの符号無し整数型データ(整数)であり、例えば、n=4であれば、1〜15となる。また、第2の整数型データは、iが0以上(n−1)以下の整数であるときに2から算出される符号無し整数型データ(整数)であり、例えば、n=4であれば、1,2,4,8となる。また、記憶部15は、入力部14が受け付けたnの値、第1の整数型データ、及び第2の整数型データを記憶する。
【0029】
頂点特定部11は、先ず、記憶部15にアクセスして、第1の整数型データを取得し、各第1の整数型データのnビットの2進数表現を求める。次に、頂点特定部11は、第1の整数型データそれぞれの2進数表現の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、各第1の整数型データに対応する座標を求める(図2参照)。また、頂点特定部11は、求めた各座標をハイパーキューブ(図3参照)の各頂点とする。
【0030】
ベクトル設定部12は、先ず、記憶部15にアクセスして、n個の第2の整数型データを取得する。次に、ベクトル設定部12は、第2の整数型データそれぞれから、nビットの2進数表現を求め、求めた各2進数表現における各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、各第2の整数型データに対応する座標を求める。そして、ベクトル設定部12は、第2の整数型データから求めた各座標が終点となる正規直交基底を設定する。なお、以降においては、正規直交基底を構成する各ベクトルを「基底ベクトル」と称する。
【0031】
描画処理部13は、ハイパーキューブの頂点毎に、正規直交基底を適用して、当該頂点から伸びるハイパーキューブの辺を特定する(図3参照)。具体的には、描画処理部13は、ハイパーキューブの頂点毎に、以下の処理を実行する。
【0032】
先ず、描画処理部13は、頂点の座標の元となった第1の整数型データの2進数表現と、正規直交基底の終点の座標の元となった第2の整数型データの2進数表現との排他的論理和を各終点について算出する。
【0033】
次に、描画処理部13は、算出した排他的論理和のうち、頂点の座標の元となった第1の整数型データよりも値が大きくなる排他的論理和を特定し、特定した排他的論理和の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて座標を求める。そして、描画処理部13は、求めた座標を描画座標とし、描画座標の点と頂点とを結ぶ線を、ハイパーキューブの辺として特定する。その後、描画処理部13は、特定したハイパーキューブの辺を、表示画面30a上に描画する。
【0034】
なお、図4の例では、外部からnが入力され、入力部14が、第1の整数型データ及び第2の整数型データを算出しているが、本実施の形態1はこの例に限定されるものではない。例えば、本実施の形態1は、第1の整数型データ及び第2の整数型データが直接入力される態様であっても良いし、第1の整数型データ及び第2の整数型データが予め記憶部15に格納されている態様であっても良い。
【0035】
次に、本発明の実施の形態1における描画装置10の動作について図4及び図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態1における描画装置の動作を示すフロー図である。図6は、図5に示した各ステップを説明する図であり、図6(a)〜(e)は、それぞれ異なるステップに対応している。以下の説明においては、適宜図4を参酌する。また、本実施の形態1では、描画装置10を動作させることによって、描画方法が実施される。よって、本実施の形態1における描画方法の説明は、以下の描画装置10の動作説明に代える。
【0036】
図5に示すように、先ず、入力部14が外部からnの値の入力を受け付ける(ステップA1)。また、入力部14は、受け付けたnの値に基づいて、第1の整数型データと、第2の整数型データとを求め、これらを記憶部15に記憶させる。
【0037】
次に、頂点特定部11は、第1の整数型データを用いて、ハイパーキューブの頂点を設定する(ステップA2)。具体的には、頂点特定部11は、記憶部15から、第1の整数型データを取得し、各第1の整数型データのnビットの2進数表現を求める。更に、頂点特定部11は、第1の整数型データそれぞれの2進数表現の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて座標を求める。求められた座標の点は、ハイパーキューブの頂点に対応する。
【0038】
例えば、n=4の場合は、16個の頂点{(0,0,0,0)、(0,0,0,1)、(0,0,1,0)、(0,0,1,1)、(0,1,0,0)・・・(1,1,1,1)が特定される。また、頂点特定部11は、各頂点に、当該頂点の座標の元となった第1の整数型データの値、例えば0=(0,0,0,0)、1=(0,0,0,1)、・・・等を、頂点番号として、付与する。
【0039】
次に、ベクトル設定部12は、第2の整数型データを用いて、描画対象となるハイパーキューブの次元における正規直交基底の正射影を求め、正規直交基底を設定する(ステップA3)。
【0040】
具体的には、ベクトル設定部12は、第2の整数型データそれぞれから、nビットの2進数表現を求め、求めた各2進数表現における各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、各第2の整数型データに対応する座標を求める。例えば、図6(a)に示すように、n=4の場合は、第2の整数型データ{1,2,4,8}から、座標{(0,0,0,1)、(0,0,1,0)、(0,1,0,0)、(1,0,0,0)}が求められる。そして、ベクトル設定部12は、第2の整数型データから求めた各座標が終点となる正規直交基底を設定する。
【0041】
また、図6(a)に示すように、ベクトル設定部12は、各基底ベクトルに、当該基底ベクトルの終点座標の元となった第2の整数型データの値、つまり、正射影前の座標の成分の並びを二進数とみなして得られる値を番号として付与する。具体的には、n=4の場合であれば、各基底ベクトルには、番号として(1)、(2)、(4)、(8)が付与される。
【0042】
次に、描画処理部13は、パラメータmを0(ゼロ)に設定し(ステップA4)、頂点番号mの頂点を、正規直交基底の開始点に設定(ステップA5)する。具体的には、図6(b)に示すように、m=0の場合は、描画処理部12は、頂点0=(0,0,0,0)を開始点に設定する。
【0043】
次に、描画処理部13は、頂点の座標の元となった第1の整数型データの2進数表現と、正規直交基底の終点の座標の元となった第2の整数型データの2進数表現との排他的論理和を各終点について算出する(ステップA6)。具体的には、描画処理部13は、図6(c)に示すように、開始点の座標の成分の並びを2進数とみなして得られる値と、各基底ベクトルの終点の座標の成分の並びを2進数とみなして得られる値との排他的論理和を算出する。
【0044】
次に、描画処理部13は、算出した排他的論理和のうち、頂点の座標の元となった第1の整数型データよりも値が大きくなる排他的論理和を特定し、特定した排他的論理和の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて描画座標を特定する(ステップA7)。
【0045】
具体的には、図6(c)の例では、開始点の座標の元となった第1の整数型データの2進数表現が0000、算出された排他的論理和が{0001,0010,0100,1000}である。よって、すべての排他的論理和が特定され、これらから描画座標{(0,0,0,1)、(0,0,1,0)、(0,1,0,0)、(1,0,0,0)}が特定される。
【0046】
次に、描画処理部13は、開始点と描画座標の点とを結ぶ線を、ハイパーキューブの辺として特定し、特定したハイパーキューブの辺を、表示画面30a上に描画する(ステップA8)。図6(c)に示されるように、開始点(0,0,0,0)と、各描画座標(0,0,0,1)、(0,0,1,0)、(0,1,0,0)、及び(1,0,0,0)との間を結ぶ辺が描画される。
【0047】
次に、ステップA8の実行後、描画処理部13は、パラメータmの値が、2−1より小さいかどうかを判定する(ステップA9)。例えば、n=4の場合であれば、描画処理部13は、mが15より小さいかどうかを判定する。ステップA9の判定の結果、mの値が、2−1より小さくない場合は、全ての頂点の開始点への設定が終了しているため、描画装置10における処理が終了する。
【0048】
一方、ステップA9の判定の結果、mの値が、2−1より小さい場合は、全ての頂点の開始点への設定が終了していないため、描画処理部13は、mの値を1増加させる(ステップA10)。そして、描画処理部13は、再度ステップA5を実行する。
【0049】
例えば、再度のステップA5の実行において、m=1となったとすると、描画処理部12は、頂点1=(0,0,0,1)を開始点に設定し、これと、基底ベクトルの終点との排他的論理和を算出する。算出された排他的論理和は{0000,0011,0110,1001}となる。開始点の座標から求められる2進数表現は0001であるから、ステップA7では、算出された排他的論理和のうち、{0011,0110,1001}のみが特定される。
【0050】
従って、図6(d)に示すように、描画座標{(0,0,1,1)、(0,1,1,0)、(1,0,0,1)}が特定され、これらと頂点1とを結ぶ辺が描画される。このように、ステップA5〜A8が、mが(2−1)になるまで繰り返し行われる。この結果、図6(e)に示すように、ハイパーキューブの正射影像が、表示装置30の表示画面30a上に表示される。
【0051】
また、本実施の形態1におけるプログラムは、コンピュータに、図5に示すステップA1〜A10を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態1における描画装置10と描画方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、頂点特定部11、ベクトル設定部、描画処理部、及び入力部14として機能し、処理を行なう。また、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置は、記憶部15として機能する。
【0052】
以上のように、本実施の形態1では、0から2−1までの符号無し整数型データ(第1の整数型データ)と、iが0以上(n−1)以下の整数であるときに2から算出される符号無し整数型データ(第2の整数型データ)とが用いられる。そして、第1の整数型データそれぞれは、ハイパーキューブの頂点と同一視される。このため、本実施の形態1によれば、上述した性質(1)及び(2)を利用して、簡単に、ハイパーキューブの辺の特定及び描画を行うことが可能となる。
【0053】
また、本実施の形態1では、2個の第1の整数型データそれぞれが、単位ハイパーキューブの頂点と同一視されるので、従来、ハイパーキューブのモデルを定義する場合に必要とされたn×2の配列(背景技術の欄参照)を用いる必要がない。本実施の形態1では、代わりに、2の配列(即ち、第1の整数型データ)で処理が可能になるので、効果、描画装置10で確保するべきメモリ領域そのものの削減と、メモリ領域の初期化に必要な処理の削減とが図られる。
【0054】
更に、本実施の形態1では、ハイパーキューブの全頂点(2個)について正射影を求める必要はなく、代わりに、n個の基底ベクトルの正射影のみが求められ、射影先の頂点は、表示領域内でのベクトルの加算によって決定される。この結果、正射影を求める処理の削減も図られる。
【0055】
また、本実施の形態1では、同じ辺が重複して描画されないようにするための判定は、図5においてステップA7に示したように、数値データ本来の大小関係に基づいて行われる。このため、判定処理を簡易な処理によって行うことができ、描画装置10における処理負担の軽減が図られる。
【0056】
このように、本実施の形態1によれば、n次元ハイパーキューブの正射影像を描画する際に処理すべきデータ量の増大化が抑制され、結果、描画速度の向上化が図られる。
【0057】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における描画装置、描画方法、及びプログラムについて、図7〜図9を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態2における描画装置の構成について図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施の形態2における描画装置の構成を示すブロック図である。
【0058】
図7に示す描画装置20は、実施の形態1において図4に示した描画装置10と異なり、任意ベクトルを用いてハイパーキューブの描画を行うことができる。つまり、実施の形態1における描画装置10は、基底ベクトルを用いて単位ハイパーキューブを描画していたが、本実施の形態2における描画装置20は、任意ベクトルを用いてハイパーキューブを描画する。以下、相違点に基づいて、描画装置20の構成を説明する。また、本実施の形態2では、実施の形態1の処理によって作成されるハイパーキューブを「単位ハイパーキューブ」とし、本実施の形態2において任意ベクトルから得られるハイパーキューブを「描画ハイパーキューブ」とする。
【0059】
図7に示すように、本実施の形態2では、入力部14は、nの値に加え、n次元の任意ベクトル、及び描画ハイパーキューブの開始点αの入力も受け付ける。具体的には、n次元の任意ベクトルとしては、n個のベクトル成分を有するベクトルが挙げられる。入力部14は、任意ベクトルの各終点の座標の入力と、開始点αの座標の入力とを受け付ける。また、記憶部15は、入力部14が受け付けた、任意ベクトルの各終点及び開始点αの座標を記憶する。
【0060】
また、描画装置20は、描画装置10と異なり、ベクトル関係特定部16を備えている。ベクトル関係特定部16は、正規直交基底を射影元、任意ベクトルを射影先としたときの、正規直交基底と任意ベクトルとの関係(以下「ベクトル関係」とする。)を求める。更に、本実施の形態2では、描画処理部13は、ベクトル関係特定部16が求めたベクトル関係に基づいて、描画ハイパーキューブの辺の射影像を求める。そして、描画処理部13は、単位ハイパーキューブの辺の代わりに、描画ハイパーキューブの辺の射影像を表示画面30a上に描画する。
【0061】
続いて、本発明の実施の形態2における描画装置20の動作について図8及び図9を用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態2における描画装置の動作を示すフロー図である。図9は、図8に示した各ステップを説明する図であり、図9(a)〜(d)は、それぞれ異なるステップに対応している。以下の説明においては、適宜図7を参酌する。また、本実施の形態2では、描画装置20を動作させることによって、描画方法が実施される。よって、本実施の形態2における描画方法の説明は、以下の描画装置20の動作説明に代える。
【0062】
図8に示すように、先ず、入力部14が、外部から、nの値、任意ベクトル、及び開始点αの入力を受け付ける(ステップB1)。また、ステップB1でも、図5に示したステップA1と同様に、入力部は、受け付けたnの値に基づいて、第1の整数型データと、第2の整数型データとを求める。nの値、任意ベクトル、開始点α、更には、第1の整数型データ及び第2の整数型データは、受け付けられた後、記憶部15に記憶される。
【0063】
次に、頂点特定部11は、第1の整数型データを用いて、ハイパーキューブの頂点を特定する(ステップB2)。ステップB2は、実施の形態1において図5に示したステップA2と同様のステップである。
【0064】
例えば、n=3の場合は、ステップB2では、8個の頂点{(0,0,0)、(0,0,1)、(0,1,0)、(0,1,1)、(1,0,0)・・・(1,1,1)が特定される。また、本実施の形態2においても、頂点特定部11は、特定した頂点それぞれに、当該頂点の座標の元となった第1の整数型データの値、例えば0=(0,0,0)、1=(0,0,1)、・・・等を、頂点番号として、付与する。
【0065】
次に、ベクトル設定部12は、第2の整数型データを用いて、描画ハイパーキューブの次元における正規直交基底の正射影を求め、正規直交基底を設定する(ステップB3)。ステップB3は、実施の形態1において図5に示したステップA3と同様のステップである。ステップB3においても、ベクトル設定部12は、各基底ベクトルに、当該基底ベクトルの終点座標の元となった第2の整数型データの値を番号として付与する。
【0066】
例えば、図9(a)に示すように、n=3の場合は、第2の整数型データ{1,2,4}から、座標{(0,0,1)、(0,1,0)、(1,0,0)}が求められる。そして、ベクトル設定部12は、第2の整数型データから求めた各座標が終点となる正規直交基底を設定し、各基底ベクトルに番号として(1)、(2)又は(4)を付与する。
【0067】
次に、ベクトル関係特定部16は、ステップB3で得られた正規直交基底を射影元、ステップB1で入力された任意ベクトルを射影先としたときの、正規直交基底と任意ベクトルとの関係(ベクトル関係)を特定する(ステップB4)。
【0068】
具体的には、ステップB4では、図9(a)に示すように、ベクトル関係特定部16は、任意ベクトルの各ベクトル成分と、各基底ベクトルとを対応させ、そして、各ベクトル成分に、当該ベクトル成分に対応している基底ベクトルの番号を付与する。
【0069】
次に、描画処理部12は、パラメータmを0(ゼロ)に設定し(ステップB5)、頂点番号mの頂点を、正規直交基底の開始点に設定(ステップB6)する。具体的には、図9(b)に示すように、m=0の場合は、描画処理部12は、頂点0=(0,0,0)を開始点に設定する。ステップB6は、実施の形態1において図5に示したステップA5と同様のステップである。
【0070】
次に、描画処理部13は、頂点の座標の元となった第1の整数型データの2進数表現と、正規直交基底の終点の座標の元となった第2の整数型データの2進数表現との排他的論理和を各終点について算出する(ステップB7)。ステップB7は、実施の形態1において図5に示したステップA6と同様のステップである。描画処理部13は、図9(c)に示すように、開始点の座標の成分の並びを2進数とみなして得られる値と、各基底ベクトルの終点の座標の成分の並びを2進数とみなして得られる値との排他的論理和を算出する。
【0071】
次に、描画処理部13は、算出した排他的論理和のうち、頂点の座標の元となった第1の整数型データよりも値が大きくなる排他的論理和を特定し、特定した排他的論理和の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて座標を特定する(ステップB8)。ステップB8は、実施の形態1において図5に示したステップA7と同様のステップである。ステップB8で特定される座標は、ステップA7特定された単位ハイパーキューブの描画座標と同様のものである。
【0072】
具体的には、図9(c)の例では、開始点の座標の元となった第1の整数型データの2進数表現が000、算出された排他的論理和が{001,010,100}である。よって、すべての排他的論理和が特定され、これらから座標{(0,0,1)、(0,1,0)、(1,0,0)}が特定される。また、各座標に、排他的論理和の値を番号として付与すると、それぞれ、1(=001)、2(=010)、4(=100)となる。また、各座標は、ステップB2で設定された単位ハイパーキューブの同一番号の頂点と一致する。
【0073】
次に、描画処理部13は、ステップB6で設定された開始点と、ステップB8で特定された座標の点とを結ぶ線を、単位ハイパーキューブの辺として特定する(ステップB9)。図9(c)の例では、0番の点と1番の点とを結ぶ辺、0番の点と2番の点とを結ぶ辺、0番号の点と4番の点とを結ぶ辺が特定される。
【0074】
次に、描画処理部13は、ステップB4で特定されたベクトル関係に基づき、ステップB9で特定された辺から、描画ハイパーキューブの辺を特定し、特定した描画ハイパーキューブの辺を、表示画面30a上に描画する(ステップB10)。
【0075】
図9(c)に示すように、0番の点と1番の点とを結ぶ辺が基底ベクトル(1)に平行であり、0番の点と2番の点とを結ぶ辺が基底ベクトル(2)に平行であり、0番の点と4番の点とを結ぶ辺が基底ベクトル(4)に平行である。従って、描画処理部13は、任意ベクトルの開始点をαに設定したときの、ベクトル成分(1)、ベクトル成分(2)、及びベクトル成分(4)、それぞれの終点の座標を求める。そして、描画処理部13は、各終点と開始点αとを結ぶ辺それぞれを描画対象として特定し、描画対象として特定した辺を表示画面30a上に描画する。
【0076】
次に、ステップB10の実行後、描画処理部13は、パラメータmの値が、2−1より小さいかどうかを判定する(ステップB11)。ステップB11は、実施の形態1において図5に示したステップA9と同様のステップである。ステップB11の判定の結果、mの値が、2−1より小さくない場合は、単位ハイパーキューブの全ての頂点について開始点への設定が終了しているため、描画装置20における処理が終了する。
【0077】
一方、ステップB11の判定の結果、mの値が、2−1より小さい場合は、単位ハイパーキューブの全ての頂点の開始点への設定が終了していないため、描画処理部13は、mの値を1増加させる(ステップB12)。そして、描画処理部13は、再度ステップB6を実行する。
【0078】
例えば、再度のステップB6の実行において、m=2となったとすると、描画処理部12は、頂点2=(0,1,0)を開始点に設定し、これと基底ベクトルの終点との排他的論理和を算出する。算出された排他的論理和は{000,011,110}となる。開始点の座標から求められる2進数表現は010であるから、ステップB8では、算出された排他的論理和のうち、{011,110}のみが特定される。
【0079】
更に、ステップB9では、単位ハイパーキューブの辺として、2番の点と3(=011)番の点とを結ぶ辺、及び2番の点と6(=110)番の点とを結ぶ辺が特定される。そして、2番の点と3番の点とを結ぶ辺は、基底ベクトル(4)に平行であり、2番の点と6番の点とを結ぶ辺は、基底ベクトル(1)に平行である。
【0080】
従って、描画処理部13は、任意ベクトルの開始点を、開始点がαであるときのベクトル成分(2)の終点に設定し、この場合のベクトル成分(1)及びベクトル成分(4)それぞれの終点の座標を求める。そして、図9(d)に示すように、描画処理部13は、このときの開始点と求めた各終点とを結ぶ辺それぞれを描画対象として特定し、描画対象として特定した辺を表示画面30a上に描画する。
【0081】
ステップB6〜B10は、mが(2−1)になるまで繰り返し行われる。この結果、図10に示す描画ハイパーキューブの正射影像が、表示装置30の表示画面30a上に表示される。図10は、実施の形態2における単位ハイパーキューブと描画ハイパーキューブとの一例を示す図である。
【0082】
また、本実施の形態2におけるプログラムは、コンピュータに、図8に示すステップB1〜B12を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態2における描画装置20と描画方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPUは、頂点特定部11、ベクトル設定部、描画処理部、入力部14、及びベクトル関係特定部16として機能し、処理を行なう。また、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置は、記憶部15として機能する。
【0083】
以上のように、本実施の形態2では、任意ベクトルを用いた場合のハイパーキューブの辺の特定が、射影元の基底ベクトルを用いた単位ハイパーキューブの構築によって行われる。よって、本実施の形態2によれば、射影先の空間の任意のベクトルを用いて、ハイパーキューブのトポロジー構造(接続形態)を示す図を、簡単に描画することができる。また、本実施の形態2において、射影先の空間の次元は、一般的な表示装置の次元である2次元に限定されず、3次元以上であっても良い。本実施の形態2は、3次元以上の空間における立体像の構築にもそのまま利用できる。
【0084】
ここで、実施の形態1及び2におけるプログラムを実行することによって、描画装置を実現するコンピュータについて図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態1及び2における描画装置を実現できるコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0085】
図11に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0086】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態1又は2におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態1又は2におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0087】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、表示装置30と接続され、表示装置30での表示を制御する。データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及び処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0088】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash)及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、又はCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明によれば、n次元ハイパーキューブの正射影像を描画する際に処理すべきデータ量の増大化を抑制し、描画速度の向上化を図ることができる。本発明は、n次元ハイパーキューブの正射影像の描画に有効であり、マルチプロセッサシステム、ネットワークシステム、教育関連システム等に適用できる。
【符号の説明】
【0090】
10 描画装置(実施の形態1)
11 頂点特定部
12 ベクトル設定部
13 描画処理部
14 入力部
15 記憶部
16 ベクトル関係特定部
20 描画装置(実施の形態2)
30 表示装置
30a 表示画面
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
120 記録媒体
121 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上にn(nは1以上の自然数)次元のハイパーキューブを描画する描画装置であって、
0から2−1までの第1の整数型データそれぞれのnビットの2進数表現を求め、前記第1の整数型データそれぞれの2進数表現の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第1の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、求めた各座標を前記ハイパーキューブの各頂点とする、頂点特定部と、
iが0以上n−1以下の整数であるときに2から算出されるn個の第2の整数型データそれぞれから、nビットの2進数表現を求め、求めた各2進数表現における各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第2の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、更に、求めた各座標が終点となる正規直交基底を設定する、ベクトル設定部と、
前記頂点毎に、前記正規直交基底を適用して、当該頂点から伸びる前記ハイパーキューブの辺を特定し、特定した前記ハイパーキューブの辺を前記表示画面上に描画する、描画処理部と、
を備えていることを特徴とする描画装置。
【請求項2】
前記描画処理部が、前記頂点毎に、
当該頂点の座標の元となった前記第1の整数型データの2進数表現と、前記正規直交基底の終点の座標の元となった前記第2の整数型データの2進数表現との排他的論理和を各終点について算出し、
算出した前記排他的論理和のうち、当該頂点の座標の元となった前記第1の整数型データよりも値が大きくなる前記排他的論理和を特定し、特定した前記排他的論理和の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて座標を求め、求めた前記座標を描画座標とし、
前記描画座標にある点と当該頂点とを結ぶ線を、前記ハイパーキューブの辺として特定する、請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
n次元の任意ベクトルの入力を受け付ける、入力部と、
前記正規直交基底を射影元、前記任意ベクトルを射影先としたときの、前記正規直交基底と前記任意ベクトルとの関係を求める、ベクトル関係特定部と、
を更に備え、
前記描画処理部が、前記ベクトル関係特定部が求めた前記関係に基づいて、前記任意ベクトルから得られるハイパーキューブの辺の射影像を求め、前記任意ベクトルから得られるハイパーキューブの辺の射影像を前記表示画面上に描画する、請求項2に記載の描画装置。
【請求項4】
表示画面上にn(nは1以上の自然数)次元のハイパーキューブを描画するための描画方法であって、
(a)0から2−1までの第1の整数型データそれぞれのnビットの2進数表現を求め、前記第1の整数型データそれぞれの2進数表現の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第1の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、求めた各座標を前記ハイパーキューブの各頂点とする、ステップと、
(b)iが0以上n−1以下の整数であるときに2から算出されるn個の第2の整数型データそれぞれから、nビットの2進数表現を求め、求めた各2進数表現における各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第2の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、更に、求めた各座標が終点となる正規直交基底を設定する、ステップと、
(c)前記頂点毎に、前記正規直交基底を適用して、当該頂点から伸びる前記ハイパーキューブの辺を特定し、特定した前記ハイパーキューブの辺を前記表示画面上に描画する、ステップと、
を有することを特徴とする描画方法。
【請求項5】
前記(c)のステップにおいて、前記頂点毎に、
当該頂点の座標の元となった前記第1の整数型データの2進数表現と、前記正規直交基底の終点の座標の元となった前記第2の整数型データの2進数表現との排他的論理和を各終点について算出し、
算出した前記排他的論理和のうち、当該頂点の座標の元となった前記第1の整数型データよりも値が大きくなる前記排他的論理和を特定し、特定した前記排他的論理和の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて座標を求め、求めた前記座標を描画座標とし、
前記描画座標にある点と当該頂点とを結ぶ線を、前記ハイパーキューブの辺として特定する、請求項4に記載の描画方法。
【請求項6】
(d)n次元の任意ベクトルの入力を受け付ける、ステップと、
(e)前記正規直交基底を射影元、前記任意ベクトルを射影先としたときの、前記正規直交基底と前記任意ベクトルとの関係を求める、ステップと、
を更に有し、
前記(c)のステップにおいて、前記(e)のステップで求めた前記関係に基づいて、前記任意ベクトルから得られるハイパーキューブの辺の射影像を求め、前記任意ベクトルから得られるハイパーキューブの辺の射影像を前記表示画面上に描画する、請求項5に記載の描画方法。
【請求項7】
コンピュータによって、表示画面上にn(nは1以上の自然数)次元のハイパーキューブを描画するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)0から2−1までの第1の整数型データそれぞれのnビットの2進数表現を求め、前記第1の整数型データそれぞれの2進数表現の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第1の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、求めた各座標を前記ハイパーキューブの各頂点とする、ステップと、
(b)iが0以上n−1以下の整数であるときに2から算出されるn個の第2の整数型データそれぞれから、nビットの2進数表現を求め、求めた各2進数表現における各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて、前記第2の整数型データそれぞれに対応する座標を求め、更に、求めた各座標が終点となる正規直交基底を設定する、ステップと、
(c)前記頂点毎に、前記正規直交基底を適用して、当該頂点から伸びる前記ハイパーキューブの辺を特定し、特定した前記ハイパーキューブの辺を前記表示画面上に描画する、ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記(c)のステップにおいて、前記頂点毎に、
当該頂点の座標の元となった前記第1の整数型データの2進数表現と、前記正規直交基底の終点の座標の元となった前記第2の整数型データの2進数表現との排他的論理和を各終点について算出し、
算出した前記排他的論理和のうち、当該頂点の座標の元となった前記第1の整数型データよりも値が大きくなる前記排他的論理和を特定し、特定した前記排他的論理和の各桁をn次元座標系の座標軸上の位置に置き換えて座標を求め、求めた前記座標を描画座標とし、
前記描画座標にある点と当該頂点とを結ぶ線を、前記ハイパーキューブの辺として特定する、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
(d)n次元の任意ベクトルの入力を受け付ける、ステップと、
(e)前記正規直交基底を射影元、前記任意ベクトルを射影先としたときの、前記正規直交基底と前記任意ベクトルとの関係を求める、ステップと、
を更に前記コンピュータに実行させ、
前記(c)のステップにおいて、前記(e)のステップで求めた前記関係に基づいて、前記任意ベクトルから得られるハイパーキューブの辺の射影像を求め、前記任意ベクトルから得られるハイパーキューブの辺の射影像を前記表示画面上に描画する、請求項8に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−238128(P2011−238128A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110457(P2010−110457)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】