説明

揚土システム

【課題】揚土作業の効率を向上させるようにした。
【解決手段】揚土システム1は、地下部で掘削した土砂を一時的に溜める土砂ホッパー32を配置した積込機構30と、積込機構30を使用して掘削した土砂を積み込んだ第一コンテナ2Aを途中階の乗継部Tまで搬送させる第一搬送路21と、第一搬送路21から切り離されて配置され、第一搬送路21を搬送した第一コンテナ2Aから土砂を受け替えた第三コンテナ2Cを地上階10まで搬送する第二搬送路22とを備えている。第二搬送路22は、第二開口部R2で昇降可能に配置されてなる昇降フレーム40に装備されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築工事などで搬送路を移動するコンテナを用いて掘削土砂などを揚土するための揚土システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地下工事における土砂の水平搬送には、不整地運搬車、バックホウによるリレーや、ブルドーザーあるいはベルトコンベアなどが用いられている。一方、地下工事における揚土作業は、バックホウやクラムシェルなどの建設機械あるいは垂直ベルトコンベアなどの連続揚土装置を用いて行われている。また、建築工事では、工期の短縮を図るため、1階の床工事を最初に行い、その後、地下工事と地上工事を並行して行う逆打ち工法が採用されることがある。この逆打ち工法において地下工事で発生する掘削土砂など搬出する場合、地下工事と地上工事を並行して行う関係上、地上階の躯体、とくに上階の梁や床スラブによって建設機械の上方作業空間が制限されることになる。このような空頭制限下での作業や、障害物が多く狭隘箇所での作業となる場合は、建設機械による作業は大きな制約を受け、土砂の搬出作業能率は大きく低下する。このような状況に対して、作業性の向上や省力化を図るための揚土装置が、例えば特許文献1に提案されている。
特許文献1は、地下部分から地上の所定の高さまで垂直搬送路及び水平搬送路を有する搬送ガイドレールを設け、地下部分において掘削した土砂等をコンテナに積み込み、そのコンテナを搬送ガイドレールに沿わせて地下部から地上部まで移動させ、地上部においてコンテナ内の土砂をダンプトラックに積み込む揚土装置であり、土砂搬出の効率を向上させたものである。そして、コンテナから土砂を直接ダンプトラックに投下できることから、この揚土装置の他に付帯する設備を不要とした構成をなしている。
【特許文献1】特開2004−331373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1は、揚土装置の搬送ガイドレールが地上の所定高さの位置に常に配置されていることになる。通常、建築工事における地上階では上述した揚土による土砂搬出作業のほかに資材搬入等の作業があり、その際に車両の通行が多くなることから、地上階に揚土装置が設置された状態では車両の通行に支障が生じ、工事の作業効率が低下するといった問題があった。
また、地下部分におけるコンテナへの土砂の積み込みは、搬送ガイドレールの搬送開始位置に空のコンテナを配置してそのコンテナにベルトコンベアをその都度設置する方法や、バックホウで直接コンテナに積み込む方法となり、積み込み作業中は揚土装置の搬送を停止させておく必要があった。そのため、コンテナへの土砂の積み込み作業と搬送作業を並行して行うことができず、搬送効率を低下させるといった問題があった。さらに、このような積み込み方法によるとコンテナの周囲あるいはベルトコンベアの周囲に土砂がこぼれ落ち、土砂の積み込み効率が低下する原因となっていた。
【0004】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、揚土作業の効率を向上させるようにした揚土システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る揚土システムは、地下部で掘削された土砂を積み込んだ箱体を地下部から開口部を通過させて地上階まで搬送する揚土システムであって、地下部で掘削した土砂を一時的に溜める土砂ホッパーを配置した積込機構と、積込機構を使用して掘削した土砂を積み込んだ第一箱体を途中階の乗継部まで搬送させる第一搬送路と、第一搬送路から切り離されて配置され、第一搬送路を搬送した第一箱体から土砂を受け替えた第二箱体を地上階まで搬送する第二搬送路とを備え、第二搬送路は、開口部で昇降可能に配置されてなる昇降フレームに装備されていることを特徴としている。
本発明では、地下部で掘削した土砂を積み込んだ箱体を第一搬送路及び第二搬送路に沿わせて地上階に搬送させ、第二搬送路の終点部において例えば第二箱体から直接ダンプトラックに土砂を積み込み搬出することができる。そして、地上階に搬送ガイドレールが配置されている場合において、昇降フレームを下降させることで揚土装置全体を地下部に格納することができる。これにより、地上階に揚土装置が配置されない状態となることから、揚土作業以外の例えば資材搬入作業などが支障なく行うことができる。
また、積込機構、第一搬送路及び第二搬送路の夫々が切り離された構成であり、夫々による作業を並行して行える。例えば、第二搬送路でダンプトラックへの積み込み作業中に、第一搬送路では掘削土砂が積み込まれた第一箱体を第二搬送路へ向けて搬送することで、待ち時間など時間のロスを少なくすることができ、揚土作業の効率化を図ることができる。
【0006】
また、本発明に係る揚土システムでは、積込機構は、土砂ホッパーの下方に設けられていて第一箱体に土砂を送り込むフィーダと、第一箱体を載置させて横移動させる第一コンベアとからなることが好ましい。
本発明では、第一コンベア上の第一箱体の配置状態に応じてフィーダを動かして土砂ホッパーの土砂を積み込むことができる。土砂ホッパーへの積み込み作業は、第一コンベアによる第一箱体の移動などに関係なく行えるため、掘削作業を中断することがなくなり、積み込み作業の効率化が図れる。
【0007】
また、本発明に係る揚土システムでは、第一搬送路と第二搬送路との間の乗継部には、第二箱体を横移動させる第二コンベアが設けられていることが好ましい
本発明では、第二コンベア上の第一搬送路側に第二箱体を配置し、その第二箱体に第一搬送路を搬送してきた第一箱体の土砂を受け替え、第二コンベアを駆動させて第二箱体を第二搬送路側に横移動させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の揚土システムによれば、第二搬送路が第一搬送路から切り離された構成であることから、格納時にレール部材の切り離し作業など手間のかかる作業が不要であり、格納作業を極めて簡単かつ短時間で行うことができ、作業位置と格納位置の盛り替え作業を容易に行うことができる。そのため、例えば昼間は地上階を使用して資材の搬入などを集中して実施でき、地上階における作業の少ない夜間の時間帯に地上階の作業位置に第二搬送路及び昇降フレームを配置して揚土作業を行うことができ、工事の作業効率を向上させることができる。
そして、本揚土システムでは、積込機構、第一搬送路および第二搬送路の夫々が切り離された構成であり、夫々による作業を並行して行えることから、待ち時間など時間のロスを少なくすることができ、揚土作業の効率化を図ることができる。
また、第一及び第二搬送路を介してコンテナを搬送するため、空頭制限下での作業や、障害物が多く狭隘箇所での作業となる場合においても、土砂の搬送作業を効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の揚土システムの実施の形態について、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態による揚土システムの全体概要を示す図、図2は揚土システムの積込機構の全体を示す側面図、図3(a)〜(d)は積込機構による第一コンベアの動作を示す工程図、図4は揚土システムを格納位置に配置させた状態を示す図である。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態による揚土システム1は、上方作業空間に制限がある低空頭下をなす建築工事において、1階(地上階10)を作業階としてその床スラブ10aおよび地下階に連続する開口部Rを使用して揚土するものである。本実施の形態では、地下部で掘削した掘削土砂を箱状のコンテナ2(箱体)に積み込んで地上階10に揚土し、ダンプトラック3に積み替える構成をなしている。
【0011】
ここで、本実施の形態における地下部は、地下1階を第一地下階11とし、地下2階を第二地下階12とし、地下3階の下方で掘削作業階を最下階13とする。また、開口部Rは、第一地下階から最下階13まで連続した第一開口部R1と、第一開口部R1から所定距離をもって離れた近傍に地上階10から最下階13まで連続した第二開口部R2とが設けられている。なお、地上階10の第二開口部R2を形成する床スラブ10aには、その上面側に断面視階段状に形成された切欠部10bが形成されている。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態の揚土システム1は、最下階13から地上階10まで中段部(第一地下階11)の乗継部Tを中継してコンテナ2に積み込んだ土砂を搬送させる搬送機構20と、最下階13において第一及び第二コンテナ2A,2B(第一箱体)に掘削した土砂を積み込むための積込機構30とからなる。
ここで、コンテナ2は、自動或いは手動により底部の開閉扉2aが開閉するようになっている。そのため、コンテナ2を逆さにひっくり返すことなく、コンテナ2の底部の開口からダンプトラック3に掘削土砂を積み替えることができる。
【0013】
搬送機構20は、第一開口部R1において最下階13から第二地下階12を通過して第一地下階11まで連続して延設されている第一搬送路21と、第二開口部R2において第一地下階11から地上階10まで連続して延設されている第二搬送路22と、乗継部Tにおいて第一搬送路21側と第二搬送路22側とに配置されていてコンテナ2をその両者間で横方向に往き来させる第二コンベア23とから概略構成されている。これら第一及び第二搬送路21、22は、H型鋼材などのレール部材を長手方向に複数接続させて形成されている。
【0014】
第一搬送路21は周囲躯体に固定状態に設けられ、第二搬送路22は昇降可能に設けられている(詳しくは後述する)。そして、第一搬送路21には第一コンテナ2Aと第二コンテナ2Bとが専用で搬送され、第二搬送路22には第三コンテナ2C(第二箱体)が専用で搬送される。
ここで、以下の説明では、搬送機構20において、コンテナ2の搬送開始位置を「始点」とし、コンテナ2からダンプトラック3或いは他のコンテナ2に土砂を排出する搬送停止位置を「終点」とする。
第一及び第二搬送路21、22は、それぞれ垂直部21a、22aとその垂直部21a、22aの上端部から略水平方向に連続する水平部21b、22bとを有している。
【0015】
図1に示す第一搬送路21において、その始点を第一把持位置P1とし、水平部21bの終点を積替位置P2とする。一方、第二搬送路22において、その始点を第二把持位置P3とし、その終点をダンプトラック3へのダンプ積込位置P4とする。
そして、第二搬送路22の水平部22bは、その下側から床スラブ10aまでの間にコンテナ2及びダンプトラック3の高さ寸法を確保して配置されている。そのため、コンテナ2は、第二搬送路22の終点において、ダンプトラック3の荷台の上方位置に移動させることができる。なお、その高さ寸法は、コンテナ2からダンプトラック3上に掘削土砂を投入できる程度の階高に設定すれば良い。
【0016】
また、第二搬送路22は、枠組みされてなる昇降フレーム40の内側に固定されて装備され、この昇降フレーム40と共に昇降可能に設けられている。つまり、詳しくは後述するが、揚土作業時には第二搬送路22の水平部22bを地上階10の所定高さとなる位置に配置し(この位置を作業位置W1とする)、非揚土作業時には図4に示すように昇降フレーム40を降下させて地上階10より下方の地下部分に格納(この位置を格納位置W2とする)することができる構成となっている。
【0017】
図1に示すように、各第一及び第二搬送路21、22の内側には、各搬送路21、22の始点から終点までの範囲で環状に配置されたローラーチェーン(図示省略)が駆動モータ24の回転動力によって回転移動するように組み込まれている。そして、そのローラーチェーンの回転によって各第一及び第二搬送路21、22上を移動する把持ユニット25が設けられている。この把持ユニット25によってコンテナ2の側面が保持され、コンテナ2が搬送される。
【0018】
図1に示すように、昇降フレーム40は、H形鋼等の鋼材などで枠組みされた外殻をなし、複数の柱部材41と、それら柱部材41の上部及び下部どうしを連結している梁部材42とにより立体的に組み立てられたものである。この昇降フレーム40は、詳しくは後述するが、昇降駆動機構43によって周囲躯体(例えば、本実施の形態では、後述するフレームガイドレール48から張り出してなる反力壁14)から反力をとって昇降可能とされ、且つ、作業位置W1において周囲躯体に対して張出係止部材44によって係止される構成をなしている。
【0019】
また、揚土システム1の第二搬送路22側には、昇降フレーム40を上下方向に案内させるフレームガイドレール48が、第一及び第二地下階11、12の躯体に固定されている。これにより、昇降フレーム40をフイルムガイドレール48に沿ってスムーズに移動させることができることから、短時間で精度よく所定の位置に移動することができる。
そして、本実施の形態による昇降駆動機構43としては、電動ホイストやチェーンブロックが採用されている。そして、昇降駆動機構43のチェーン40aの先端に繋がれたフック40bを昇降フレーム40の下端部に連結しておき、昇降駆動機構43を駆動させることで、昇降フレーム40全体を第二開口部R2において昇降させることができる。
【0020】
張出係止部材44は、昇降フレーム40の柱部材41と地上階10の床スラブ10aとを連結する構成をなしている。すなわち、第二搬送路22が作業位置W1にある場合において、張出係止部材44を張り出して床スラブ10aの切欠部10bに差し込むように係止することによって、昇降フレーム40を安定にかつ確実強固に係止できるようになっている。
【0021】
また、図1に示すように、昇降フレーム40の上下方向の略中段には、水平方向にスライドする作業ステージ45が設けられている。この昇降フレーム40が作業位置W1にあるときには、作業ステージ45が地上階10の床スラブ10aに連なって作業足場が確保されるようになっている。つまり、この作業ステージ45は、周囲躯体の床スラブ10a側に移動させることで、作業ステージ45のスラブ側の端部45aが床スラブ10aの切欠部10bに載置された状態で係止される。これにより、作業ステージ45上にダンプトラック3が乗り込むことができ、第二搬送路22を移動してきたコンテナ2Cから掘削土砂を積み込むことができる。
さらに、昇降フレーム40の下端には、下部ステージ46が設けられている。そして、この下部ステージ46上に第二コンベア23が設けられることになる。
【0022】
図1に示すように、昇降フレーム40の頂部には、その頂部を覆うようにその梁部材42上に覆工板47が取り付けられている。覆工板47の外形寸法は、床スラブ10aの切欠部10bの外周と略同寸法をなしている。そのため、第二搬送路22が格納位置W2にあるときには、覆工板47が地上階10の床面レベルの位置となって切欠部10bに嵌合して蓋をするように配置され、その上部を車両が通過できるようになっている。
【0023】
図1に示すように、第二コンベア23は、第一搬送路21と第二搬送路22との間で切り離されて設けられ、一方の第二コンベア23aが昇降フレーム40の下側ステージ46に、他方の第二コンベア23bが第一地下階11の床上に設けられている。つまり、第二コンベア23a、23bは、各々が移動方向に直列に配置され、第二搬送路22に専用に搬送される第三コンテナ2Cを積替位置P2と第二把持位置P3の間で乗り移しできるように設けられている。
【0024】
次に、最下階13に設けられる積込機構30の構成について図2などを用いて説明する。
図2に示すように、積込機構30は、第一及び第二コンテナ2A,2Bを積込位置P0と第一搬送路21の始点をなす第一把持位置P1との間を適宜横移動させる第一コンベア31と、コンテナ2に積み込む前に掘削土砂を一時的に溜めておくための略箱形状をなす土砂ホッパー32と、この土砂ホッパー32の下方に配置されていて土砂ホッパー32の底部開口から土砂を引き出して第一コンベア31上の空のコンテナ2に送るフィーダ33とから構成されている。
土砂ホッパー32の投入口は、コンテナ2などと比べて大きくすることができるため、バックホウなどで掘削した土砂をその周囲にこぼさずに積み込むことができる。
【0025】
ここで、第一コンベア31において、その移動方向の両端部を夫々積込位置P0、P0とし、両積込位置P0、P0の間に第一搬送路21の始点とほぼ一致する第一把持位置P1が位置する。そして、土砂ホッパー32及びフィーダ33の組み合わせたものが、両積込位置P0、P0に対応できるように2組設けられている。
なお、フィーダ33の運転は、空のコンテナ2がどちらか一方の積込位置P0に移動されたことを確認し、その位置P0にあるフィーダ33を駆動させるように自動運転させるようにしてもよい。
【0026】
次に、このように構成される揚土システム1を用いた揚土方法について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、昇降フレーム40が作業位置W1にある場合、先ず、最下階13においてバックホウなどの積込み手段により掘削土砂を土砂ホッパー32に積み込む。そして、土砂ホッパー32内の土砂は、フィーダ33によって引き出され、一方(図3(a)の左側)の積込位置P0にある空の第一コンテナ2A(或いは第二コンテナ2Bでもよい)に積み込まれる(図3(a)参照)。このとき、空の第二コンテナ2Bが第一把持位置P1に配置されている。そして、その第一コンテナ2Aは、第一コンベア31の駆動により積込位置P0から第一把持位置P1に移動される(図3(b)参照)。
なお、積込機構30では、土砂ホッパー32への積み込み作業が第一コンベア31によるコンテナ2の移動などに関係なく行えるため、掘削作業を中断することがなくなり、積み込み作業の効率化が図れる。
【0027】
続いて、図1に示すように、第一コンテナ2Aは、第一搬送路21の把持ユニット25によって把持され、第一搬送路21の終点側に向けて搬送されて積替位置P2で停止する。その位置P2で、第一コンテナ2Aの底部を開き、その第一コンテナ2A内の土砂を予め待機されている第二搬送路22専用の第三コンテナ2Cに積み替える。
そして、土砂が積み込まれた第三コンテナ2Cは、第二コンベア23によって積替位置P2から第二把持位置P3に移動され、第二搬送路22の把持ユニット25で把持されてダンプ積込位置P4へと搬送される。この位置P4で、第三コンテナ2Cの底部を開き、予め待機されているダンプトラック3の荷台に掘削土砂を投下して積み込む。
なお、空になった第三コンテナ2Cは、始点の第二把持位置P3に戻され、把持ユニット25の把持を解除してさらに積替位置P2に戻り、次に第一搬送路21によって搬送されてくる第二コンテナ2Bから土砂が積み込まれることになる。
【0028】
一方、図3(c)に示すように、空になった第一コンテナ2Aは、最下階13(図1参照)の第一コンベア31の第一把持位置P1に戻される。このとき、他方(図中右側)の積込位置P0では、第二コンテナ2Bに土砂ホッパー32より土砂を積み込んでおくことができる。そして、図3(d)に示すように、第一コンベア31を駆動させて第二コンテナ2Bを第一把持位置P1に移動させ、図1に示す上述した手順と同様に第一搬送路21から乗継部Tを中継して第二搬送路22を移動して揚土が行われる。
【0029】
次に、本揚土システム1における昇降フレーム40を作業位置W1から格納位置W2に移動させる方法について図1、図4などを用いて説明する。
図1に示すように、先ず、昇降駆動機構43により昇降フレーム40を吊った状態で張出係止部材44を床スラブ10aの切欠部10bから引き抜いて係止状態を解除し、それと共に作業ステージ45を床スラブ10aの切欠部10bから離れるように横移動させてその固定状態を解除する。そして、昇降駆動機構43を駆動させてチェーン43aを緩め、フレームガイドレール48、48に案内させて昇降フレーム40を徐々に降下させる。これにより、図4に示すように、昇降フレーム40全体を地上階10より下方の地下部分に格納することができる。このとき、昇降フレーム40上の覆工板47によって地上階10における第二開口部R2が塞がれ、覆工板47の上部を車両などが通過することができる。
【0030】
上述した本実施の形態による揚土システムでは、第二搬送路22が第一搬送路21から切り離された構成であることから、格納時にレール部材の切り離し作業など手間のかかる作業が不要であり、格納作業を極めて簡単かつ短時間で行うことができ、作業位置W1と格納位置W2の盛り替え作業を容易に行うことができる。そのため、例えば昼間は地上階10を使用して資材の搬入などを集中して実施でき、地上階10における作業の少ない夜間の時間帯に地上階10の作業位置W1に第二搬送路22及び昇降フレーム40を配置して揚土作業を行うことができ、工事の作業効率を向上させることができる。
そして、本揚土システム1では、最下階13に配置された積込機構30、第一搬送路21及び第二搬送路22の夫々が切り離された構成であり、夫々による作業を並行して行えることから、待ち時間など時間のロスを少なくすることができ、揚土作業の効率化を図ることができる。
また、第一及び第二搬送路21、22を介してコンテナ2を搬送するため、空頭制限下での作業や、障害物が多く狭隘箇所での作業となる場合においても、土砂の搬送作業を効率良く行うことができる。
【0031】
以上、本発明による揚土システムの実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では昇降フレーム40の昇降駆動機構43として電動ホイストやチェーンブロックに限らず油圧シリンダやジャッキ等の機構も採用可能であるし、昇降フレーム40を周囲躯体に対して係止するための係止機構としても張出係止部材44によるものに限らず様々な構成が考えられる。
勿論、昇降フレーム40の形態や寸法、昇降フレーム40と第二搬送路22との接続の具体的な構成その他は、実施するべき作業内容や作業条件を考慮して最適設計すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態による揚土システムの全体概要を示す図である。
【図2】揚土システムの積込機構の全体を示す側面図である。
【図3】(a)〜(d)は積込機構による第一コンベアの動作を示す工程図である。
【図4】揚土システムを格納位置に配置させた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 揚土システム
2 コンテナ(箱体)
10 地上階
20 搬送機構
21 第一搬送路
22 第二搬送路
23 第二コンベア
30 積込機構
31 第一コンベア
32 土砂ホッパー
33 フィーダ
40 昇降フレーム
43 昇降駆動機構
44 張出係止部材
45 作業ステージ
47 覆工板
W1 作業位置
W2 格納位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下部で掘削された土砂を積み込んだ箱体を地下部から開口部を通過させて地上階まで搬送する揚土システムであって、
地下部で掘削した土砂を一時的に溜める土砂ホッパーを配置した積込機構と、
前記積込機構を使用して前記掘削した土砂を積み込んだ第一箱体を途中階の乗継部まで搬送させる第一搬送路と、
該第一搬送路から切り離されて配置され、前記第一搬送路を搬送した前記第一箱体から土砂を受け替えた第二箱体を地上階まで搬送する第二搬送路と、
を備え、
前記第二搬送路は、前記開口部で昇降可能に配置されてなる昇降フレームに装備されていることを特徴とする揚土システム。
【請求項2】
前記積込機構は、前記土砂ホッパーの下方に設けられていて前記第一箱体に土砂を送り込むフィーダと、前記第一箱体を載置させて横移動させる第一コンベアとからなることを特徴とする請求項1に記載の揚土システム。
【請求項3】
前記第一搬送路と前記第二搬送路との間の前記乗継部には、前記第二箱体を横移動させる第二コンベアが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の揚土システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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