説明

換気システム

【課題】換気と空調とを行う場合に、大きな電力を必要とする動力源の省資源化と省消費電力化を図り、効率的な換気処理を行うことを課題とする。
【解決手段】室内空気を外部へ排出する排気経路と、外気を室内へ吸込む吸込経路と、排気経路上に配置され、室内空気の空調を行うとともに排気経路を通過してきた空気を外部へ強制的に排出する換気動力部と、排気経路と吸込経路とが隣接交差する位置に配置され、排気経路を流れる排気空気と吸込経路を流れる吸込空気とに接触して熱交換を行う交差部と、吸込経路上であって、外気が導入される外気吸込口と前記交差部との間に接続された外気の温度調整をする熱交換部と、室内と、前記外気吸込口と、前記熱交換部の温度を測定する温度監視部と、前記温度監視部が測定した温度に基づいて、前記換気動力部を制御する換気制御部とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の空調を行う空調装置と、当該室内に供給される外気と当該室内から排出される空気との熱交換を行うための熱交換器を備えた換気システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅に使用する化学物質が人体に影響を及ぼすことが問題となったため、法律により住宅内の換気(法定された換気)が義務付けられた。
すなわち、およそ2時間に1回の割合にて、室内の空気を新鮮な外気と置き換えることが義務付けられ、このような法定された換気が実行できる装置が住宅に組み込まれるようになった。それにより、住宅に使用される化学物質等の気化拡散ガスを住宅外に排出が可能となってきている。
一方、地球を取り巻く環境において、地球温暖化が進行しつつあり地球上における二酸化炭素の排出が、その大きな要因の1つとして取り上げられている。
【0003】
しかし、上記のような義務付けられた換気を実現するために、換気による動力に使用されるエネルギーが増加することにより、かえって二酸化炭素の排出が増加し、換気による室内温度、湿度の変化を制御するためにエアコン、暖房機等のエネルギー使用量が増加し、シックハウス等対応も含めて、住宅の換気と省エネは、相反している面を有する。こうした状況の中で、省資源による換気と省エネとの両立を図るため、できるだけ少量の資源部材(送風装置等)を用いて、住宅内の冷熱を利用した換気操作と空調操作を、効率よくきめ細かに制御することの重要性が増している。
【0004】
従来、提案されている空調および換気システムとしては、たとえば次のようなものがある。
特許文献1では、室内空気と室外空気との熱交換を行うための室内ユニットと室外ユニットとを備え、室内ユニットの換気口から室内空気を排気する換気用ファンと、室外ユニットの外気吸入口から外気を吸い込む室外ファンとを設けて、室内からの排気空気を、排気用ダクトを用いて外気吸入口に導き吐出させることによって、この排気空気を外気に混入させて、省エネを実現する空気調和機が、提案されている。
また、特許文献2では、住宅の居室など必要個所に設置された換気扇やエアコンなどの複数の設備の運転を集中制御するシステムであって、実生活に対応したいくつかの基本パターンモードを設け、複数の設備を所定のモード通りに運転させることにより、換気と空調を行って省エネを実現する住宅設備集中制御システムが、提案されている。
【0005】
また、特許文献3では、屋根板の直下に太陽熱集熱部を設けて、冬の昼間等において暖められた外気を空気流通空間へ導き、3通りの暖房を行い、夏の昼間等においては、集熱用ファンを運転させて室内の空気を屋根下の集熱ダクトへ送り、かつ空気取入口から外へ排気させることにより、屋根冷ましと室内排気とを同時に行い、夏の夜間には、集熱用ファンを駆動して夜間の冷気を取り込みかつ屋根面からの放射冷却も作用させて、土間コンクリートに蓄冷させることにより、太陽エネルギーの利用と換気とを効率的に行うパッシブソーラーシステムハウスが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−123443号公報
【特許文献2】特開2002−130772号公報
【特許文献3】特開2005−291594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示すものでは、空調用の室外ファンと換気用ファンとが別々に設けられており、それぞれ別の動力が使用されているので、材料的にもエネルギー的にも無駄が多い。また、エアコンの室内ファンと換気扇のファン等が室内での発生音を増加させている。法令により義務付けられた2時間に1回の割合で全室内換気が行われる場合、空調に使用するエアコンや換気に使用するファンの数が多くなり、動力が増加するため、モータやファン等に使用される資源量の増加および消費エネルギーが増加してしまう可能性が大きく、省エネに反することになる。
【0008】
また、特許文献2に示すシステムは、室内空気の換気をしながらエアコンを動作させているため、多くのエネルギーを使用して空調した後の空気を即排気してしまうようなシステムになっている。換気と空調においては、長時間室内に滞留していた空気を排気して、これとは別に外部から取り入れた空気を空調することが、効率のよい換気および空調となるが、空気と排気とが混在するため、無駄が多い。また、法改正により義務付けられた2時間に1回の換気を行おうとすると、従来の様に単純に空調機器が停止している時に換気を実施するというシステムでは、要求されるような十分な換気ができない。
【0009】
さらに、特許文献3では、太陽熱を利用した暖房と夏の放射冷却等を利用した冷房とを効率的に実現させようとしているが、特に夏の放射冷却だけでは十分な冷房をすることは難しい。
また、この他に、地熱を利用した空調システムも考えられるが、地熱を利用する各冷熱源の温度をセンシングして、春、夏、秋、冬一年を通して、地熱を有効利用できるシステムはまだ実現されていない。
【0010】
図23に、従来の換気の概略例の説明図を示す。
図23(a)は、室内空気の排気に対して、壁、扉等の隙間から排気された換気空気に見合う外気が室内に供給されるイメージを示している。
室内排気空気と流入空気の熱交換がなされていないため、室外の温調されていない外気が直接に室内へ供給されるため、再度、温調をかける必要があり効率が悪い。
図23(b)は、換気により外気の取り入れに対して地中を介して室内へ外気を吸入する例を示している。図23(a)よりも多少は効率が上がっているが、地中温度による成り行きであるので、室内に供給された後に温調が必要になる。
図23(c)は、換気扇近傍にて排気、吸気を実施している例である。
ほとんど吸い込み空気と排気空気にて熱交換が出来ていないので、室内供給空気を再度空調する必要がある。
いずれの従来の換気方式も、換気による室内取り入れ外気に対して、多くのエネルギーを使用して空調する必要があり、空調の省エネ化を検討する必要がある。
【0011】
そこで、この発明は以上のような事情を考慮してなされたものであり、換気と空調を行うためのファンやモータなどの動力源を削減して、従来より省資源および省エネルギーを実現できる換気システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、室内空気を外部へ排出する排気経路と、外気を室内へ吸込む吸込経路と、排気経路上に配置され、室内空気の空調を行うとともに排気経路を通過してきた空気を外部へ強制的に排出する換気動力部と、排気経路と吸込経路とが隣接交差する位置に配置され、排気経路を流れる排気空気と吸込経路を流れる吸込空気とに接触して熱交換を行う交差部と、吸込経路上であって、外気が導入される外気吸込口と前記交差部との間に接続された外気の温度調整をする熱交換部と、室内と、前記外気吸込口と、前記熱交換部の温度を測定する温度監視部と、前記温度監視部が測定した温度に基づいて、前記換気動力部を制御する換気制御部とを備えたことを特徴とする換気システムを提供するものである。
【0013】
これによれば、室内空気の空調を行うとともに排気経路を通過してきた空気を外部へ強制的に排出する換気動力部を備えて、換気と空調とを行うので、換気専用の動力源を設ける必要はなく、換気処理に用いる動力機器の省資源化と省消費電力化をすることができる。
【0014】
また、前記換気動力部は、空調機器の室外機熱交換器ファン(換気ファン)であり、排気経路上に設けられた前記交差部と、外部へ空気を排気する外部排気口との間に設けられたことを特徴とする。
換気動力部として、一般的に使用されている空調機器の室外機熱交換器ファンを用いることにより、空調と換気の両方の処理を1つの換気ファンで行うことができ、空調と換気についてそれぞれ別の動力源を用いる場合よりも、省資源化と、省消費電力化をすることができる。
【0015】
また、前記交差部は、前記排気経路と吸込経路とが並行して配置された領域にあり、その領域内の排気経路を流れる排気空気と吸込経路を流れる吸込空気との両方に接触する内外熱交換器を備えたことを特徴とする。
これによれば、吸込空気と排気空気との間の熱交換で温度調整がされるので、より効率的な換気処理を行うことができる。
【0016】
さらに、前記熱交換部は、地中熱交換器,風呂熱交換器,および屋根熱交換器のうち少なくとも1つ以上の熱交換器を含むことを特徴とする。
ここで、前記熱交換部が複数の熱交換器からなる場合、前記外気吸込口と交差部との間の吸込経路に接続される熱交換器を切り替える経路切替部をさらに備え、接続された熱交換器によって温度調整された後の吸込空気が前記交差部へ導かれることを特徴とする。
これにより、吸込空気の温度調整がされるので、より効率的な換気処理ができる。
【0017】
また、前記温度監視部が、前記熱交換部の各熱交換器の温度を測定し、前記換気制御部が、測定された各熱交換器の温度の差に基づいて、吸込経路に接続する熱交換器を決定し、前記経路切替部によって、決定された熱交換器を吸込経路に接続させることを特徴とする。
また、前記換気動力部と前記経路切替部とを制御するタイムスケジュールが設定された初期換気情報を記憶した記憶部をさらに備え、前記換気制御部は、前記初期換気情報に基づいて、前記換気動力部と前記経路切替部とを制御して、所定の法定された換気処理を実行することを特徴とする。
【0018】
さらに、空調機器の動作および停止を検出する機器監視部をさらに備え、前記換気制御部は、前記機器監視部によって空調機器が動作していることが検出されたときは、前記初期換気情報によって設定されていた換気処理を実行せずに保留し、その後の空調機器が停止しているときに、保留されていた換気処理を実行するようにすることを特徴とする。
これにより、空調動作と換気動作とが同じ時間帯で重複しないように実行できるので、より効率的な空調と換気処理が実行でき、より省消費電力化が可能となる。
【0019】
また、前記空調機器が、エアコン,電気暖房機器,石油暖房機器,ガス暖房機器のいずれかであることを特徴とする。
ここで、前記空調機器が、エアコンまたは電気暖房機器である場合、所定の法定された換気処理を実行するために、前記機器監視部によって前記空調機器が動作していることが検出された場合でも、換気処理を保留せずに続行することを特徴としてもよい。
また、前記空調機器に、石油暖房機器またはガス暖房機器が含まれている場合、前記機器監視部によって前記石油暖房機器またはガス暖房機器が動作していることが検出された SHAPE \* MERGEFORMAT ときに、前記初期換気情報によって設定されていたタイムスケジュールとは別に、換気処理を実行することを特徴としてもよい。
これによれば、長時間暖房機器が動作していても、換気が不十分にならないようにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、換気処理と空調制御を兼用して行う換気動力部を、排気経路上に配置して、室内空気の空調と、排気経路を通過してきた空気を外部へ強制的に排出する換気とを行い、さらに排気経路と吸込経路とが隣接交差する位置に配置される交差部を設け、この交差部で排気空気と吸込空気とを接触させて熱交換を行うようにしているので、換気専用の動力源を設ける必要はなく、換気処理に用いる機器の省資源化と、省消費電力化をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の換気システムを備えた住宅の一実施例の概略構成図である。
【図2】この発明の屋根熱交換器の一実施例の構成図である。
【図3】この発明の屋根熱交換器の一実施例の構成図である。
【図4】この発明の風呂熱交換器の一実施例の構成図である。
【図5】この発明の風呂熱交換器の一実施例の構成図である。
【図6】この発明の初期設定換気パターンの説明図である。
【図7】この発明の換気パターン2の説明図である。
【図8】この発明の換気パターン3の説明図である。
【図9】この発明の換気パターン4の説明図である。
【図10】この発明の換気制御の一実施例のフローチャートである。
【図11】この発明の換気処理の一実施例のフローチャートである。
【図12】この発明の春秋モードAの換気処理のフローチャートである。
【図13】この発明の夏モードBの換気処理のフローチャートである。
【図14】この発明の夏モードCの換気処理のフローチャートである。
【図15】この発明の冬モードDの換気処理のフローチャートである。
【図16】この発明の冬モードEの換気処理のフローチャートである。
【図17】この発明の夏モードFの換気処理のフローチャートである。
【図18(a)】この発明の実施例4における温度変化プロフィールの一実施例のグラフである。
【図18(b)】従来換気方式の温度変化プロフィールの一実施例のグラフである。
【図19】この発明の実施例5における温度変化プロフィールの一実施例のグラフである。
【図20(a)】この発明の実施例8における温度変化プロフィールの一実施例のグラフである。
【図20(b)】従来換気方式の温度変化プロフィールの一実施例のグラフである。
【図21】この発明の実施例6における温度変化プロフィールの一実施例のグラフである。
【図22】この発明の実施例7における温度変化プロフィールの一実施例のグラフである。
【図23】従来の換気の概略例の説明図である。
【図24】この発明の換気システムの一実施例の概略構成ブロック図である。
【図25】この発明の換気に関する機器と空気が流れる経路の一実施例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<この発明の換気システムの概要説明>
図24に、この発明の換気システムの一実施例の概略構成ブロック図を示す。
図24に示すように、この発明の換気システムは、主として、換気制御部101(以下、コントロール部とも呼ぶ)と、温度監視部102(以下、温度センサーとも呼ぶ)と、空調機器105の動作を監視する機器監視部104と、換気動力部106(以下、換気ファンとも呼ぶ)、換気する空気の通路を切り替える経路切替部107(以下、分岐ダンパー、あるいはダンパーとも呼ぶ)と、記憶部110(以下、メモリとも呼ぶ)と、熱交換部HEとから構成される。
【0023】
また、図24に図示していないが、図25に示すような排気経路と吸込経路とを備え、排気経路と吸込経路とが隣接交差する位置を交差部14と呼ぶ。
この交差部14では、排気経路を流れる排気空気と吸込経路を流れる吸込空気との熱交換を行う。
隣接交差とは、排気経路を形成する配管(ダクト)と、吸込経路を形成する配管(ダクト)とが、隣り合う位置に配置され、排気空気と吸込空気とが互いに直接交じり合うことはないが、両空気の熱交換を行うことができるように、2つの配管の壁面どうしが接しているような配置をいう。
また、交差部14は、排気経路と吸込経路とが並行して配置された領域にあり、
その領域内の排気経路を流れる排気空気と吸込経路を流れる吸込空気との両方に接触する内外熱交換器HE4を備えている。
【0024】
換気制御部101は、
このシステムを構成する部材の動作を監視および制御して、換気処理を行う部分であり、たとえば、CPU,ROM,RAM,I/Oコントローラ,タイマー等を備えたマイクロコンピュータにより実現される。
ここで、CPUは、ROM等に記憶された制御プログラムに基づいて、各種ハードウェアを有機的に動作させることにより、この発明の種々の機能を実行するものである。
たとえば、換気制御部101は、温度監視部102が測定した温度に基づいて、換気動力部106を制御して、換気処理を行う機能を実行する。
【0025】
温度監視部102は、室内と、外気が導入される外気吸込口の温度と、温度監視機器103又はその機器周辺の温度を測定する部分であり、たとえば、白金測温抵抗体(熱電対)や銅コンスタンタン(熱電対)などの温度センサーが用いられる。
温度監視機器103とは、たとえば、エアコン室外機,外気取入口(外気吸込口)、地中熱交換器,風呂熱交換器,屋根熱交換器などを意味し、住宅内部もこの機器対象に含まれる。
ただし、これ以外の機器の温度を測定してもよい。
測定された温度は、コントロール部101へ送られ、温度データ114としてメモリー110に記憶される。
【0026】
ここで、住宅内部の温度を室内温度(Tin)、
外気取入口の温度を外気温度(Tout)、
地中熱交換器の温度を地熱温度(Tci)、
風呂熱交換器の温度を風呂温度(Tfu)、
屋根熱交換器の温度を屋根温度(Tya)と呼ぶ。
【0027】
機器監視部104は、空調機器105の動作を監視する部分であり、
主として、各空調機器が作動中(ON状態)か、停止中(OFF状態)かを監視する部分である。
空調機器105としては、たとえば、エアコン,電気暖房機器,石油暖房機器,ガス暖房機器などを意味する。
各機器の動作状態は、コントロール部101へ送られ、機器監視情報113として、メモリー110に記憶される。
【0028】
換気動力部106は、排気経路上に配置され、排気経路を通過してきた空気を外部へ強制的に排出する部分であり、たとえば、エアコン室外機などの空調機器の中に備えられている換気ファン(室外機ファンとも呼ぶ)を意味する。
この場合、換気ファンは、図25に示す排気経路上に設けられた交差部14と、外部へ空気を排気する外部排気口15との間に設けられる。
【0029】
この発明では、この換気ファン106が、空調と換気の両方の処理に用いられる部材としては、唯一の動力源であり、省資源と省エネとを図るために、1つとすることが好ましい。
エアコンを複数台設置している住宅では、室外機も換気ファンも複数台設置されているが、空調と換気の両方を行う換気ファンは、1つだけでよい。
したがって、この発明では、換気専用の動力源と、空調専用の動力源とを別々のハードウェアとして設けるのではなく、換気と空調の両方の機能を実行する動力源を1つだけ設けることを特徴とする。
換気動力部106は、コントロール部101からの指示信号を受けて、その動作と停止が行われる。
【0030】
経路切替部107は、空気の通り道を切替える部分であり、住宅設備として予め設けられた空気の通り道(ダクト)の分岐部分に設けられる切替装置(分岐ダンパー)である。
この発明では、熱交換部HEを設けるが、熱交換部HEが複数の熱交換器からなる場合、外気吸込口(9,11)と交差部14との間の吸込経路に接続される熱交換器を切り替える部分が、経路切替部(分岐ダンパー)107である。
【0031】
熱交換部HEは、図25に示すように吸込経路上であって、外気が導入される外気吸込口(9,11)と交差部14との間に接続された1又は複数の熱交換器から構成され、ここで、外気の温度調整が行われる。
熱交換部HEは、たとえば、地中熱交換器,風呂熱交換器および屋根熱交換器のうち少なくとも1つ以上の熱交換器を含み、経路切替部107によって、吸込経路に接続される熱交換器が選択される。ここでは、地中熱交換器,風呂熱交換器および屋根熱交換器を記載しているが、住宅に他の利用可能な冷熱源を有する場合は、該熱源との熱交換器を加えてさらに多くの経路を作り制御してもかまわない。
また、経路切替部107の切替動作により吸込経路に接続した熱交換器によって、温度調整された後の外気が交差部14の方へ導かれる。熱交換器が複数個ある場合は、経路切替部107は、複数個の分岐ダンパーからなる。
【0032】
分岐ダンパーを設ける位置は、住宅の構造により異なり、一義的に定めることはできないが、主として、外気を室内に吸い込む吸込経路(以下、外気吸込ルートとも呼ぶ)と、室内空気を外部へ排出する排気経路(以下、排気ルートとも呼ぶ)の途中に設けられる。
経路切替部107の各分岐ダンパーも、コントロール部101からの指示信号により動作させられる。たとえば、コントロール部101からの開信号を受けて、分岐ダンパーを開き、閉信号を受けて分岐ダンパーを閉じる。
【0033】
たとえば、温度監視部102が熱交換部HEの各熱交換器の温度を測定し、換気制御部101が、測定された各熱交換器の温度の差に基づいて、吸込経路に接続する熱交換器を決定した後、経路切替部107に接続切替信号を送り、その信号に従って経路切替部107の分岐ダンパーを切り替えて、決定された熱交換器を吸込経路に接続させる。
分岐ダンパーを現在どのように制御しているかを示す情報として、ダンパー制御情報115が、メモリ110に記憶される。
【0034】
記憶部110は、ROM,RAM,ハードディスク,CDやDVDなどの記憶媒体を意味し、種々の情報を記憶する部分である。
この発明では、主として、初期換気情報111,実換気情報112,機器監視情報113,温度データ114,ダンパー制御情報115,制御プログラムなどが記憶される。
【0035】
ここで、初期換気情報111とは、この換気システムを構成する機器をどのように監視制御するかを示したタイムスケジュール情報であり、たとえば、1日の中でいつ温度監視部102や機器監視部104からの監視情報を取得し、どのようなタイミングで換気動力部106と経路切替部107の動作や切替を行うかを示した換気パターンの情報である。
この情報111は、予め想定される典型的な換気パターンとして、ROMに固定的に記憶しておいてもよい。ただし、季節ごとの換気パターンや、利用者好みの換気パターンなど、複数の換気パターンを記憶し、利用者自らがいつでも自由に設定変更できるようにしてもよい。また、インターネットに接続され外部から設定変更をしてもかまわない。ここでは、構成を限定するものではなく、窓、玄関扉、勝手口扉の開閉等の情報を取得して換気動作を制御してホーム・エネルギー・マネージメント・システム(HEMS)としてもかまわない。
複数の換気パターンを記憶している場合は、それぞれの換気パターンを自動選択するための条件をメモリに記憶してもよく、あるいは採用したい換気パターンを利用者が選択できるようにしてもよい。
【0036】
実換気情報112は、実際に各機器を監視動作した後の実行結果を記憶した情報であり、たとえばある1日の中で、何時何分に、換気ファンやダンパーをどのように動作させたかを示す情報から構成される。これらの情報の具体例は、後述する。
【0037】
図25に、この発明の換気システムにおいて、換気に関係する機器と空気が流れる経路の一実施例の説明図を示す。
住宅室内1には、エアコン室内機や各種暖房機器などの空調機器が配置されるが、図25では省略している。また、室内1に接続される排気経路および吸込経路の接続部分は、各々1ヶ所として図示しているが、これに限るものではなく、たとえば部屋ごとに設けてもよい。
図25では、熱交換部HEとして、地中熱交換器HE1,風呂熱交換器HE2および屋根熱交換器HE3の3つを備えるものとする。
内外熱交換器HE4は、空気の経路内の住宅の室外と室内の境界部分に配置されるものであり、たとえば、排気経路と吸込経路とが並行して配置された領域に配置され、吸込経路を通って導入された外気(吸込空気)と、排気経路へ排出された室内空気(排気空気)との両方に接触して、両者の熱交換を行う機器である。
これらの熱交換器は、熱伝導率の大きな材料、伝熱面積が大きな材料で形成され、温度差を有する排気空気と吸込空気によって熱が移動するだけで、動力源は必要としない。
【0038】
図25の空気の主な流れを説明すると、以下のようになる。
まず、室内空気A1は、室内排気口3を経由して、内外熱交換器HE4へ導かれ、さらに分岐ダンパーV1を通過して、エアコン室外機4へ入り、この中の空調熱交換器5を経て、換気ファン6により、外部排気口15から外気(A2−3)として、排出される。この室内空気の排気ルートは、換気ファン6が動作中の場合、図のような一方通行の空気の流れとなる。
一方、図25では、2つの外気の吸込ルートを示している。外気(A2−1)を第1外気吸込口9から取り入れるルートと、外気(A2−2)を第2外気吸込口11から取り入れるルートである。
分岐ダンパーV6は、外気を取り入れるルートをどちらにするかを決めるための経路切替部の一つであり、どちらか一方のルートから取り入れられた外気を、内外熱交換器HE4へ導くためのものである。
【0039】
ここで、第1の外気吸込ルートは、外気(A2−1)を第1外気吸込口9から取り入れ、熱交換部HEへ送り、ここで所定の熱交換が行われた外気(A2−1)は、分岐ダンパーV6の方へ導かれ、分岐ダンパーV6が第1の外気吸込ルートの方に開かれている場合は、内外熱交換器HE4へ送られ、外気取込口2から室内へ導入され、室内空気A1となる。
また、第2の外気吸込ルートは、外気(A2−2)を第2外気吸込口11から取り入れ、分岐ダンパーV6の方へ導き、分岐ダンパーV6が第2の外気吸込ルートの方に開かれている場合は、この外気(A2−2)が内外熱交換器HE4へ送られ、外気取込口2から室内へ導入され、室内空気A1となる。
【0040】
このように2つの外気吸込ルートを設けたのは、主として、季節によって外気温度が異なるので、室内温度と外気温度との温度差が異なり熱交換が不要な場合でも、効率的な換気を行えるようにするためである。
ここで、効率的な換気とは、室内温度と外気温度との温度差が小さく熱交換による外気の温調が不要な場合に外気吸込経路長さを短くする(ショートカット)することで圧損によるロスを低減し換気動力部(換気ファン)の効率を向上させることを意味する。
ただし、外気吸込ルートは、図25のような2つに限るものではなく、1つでもよく、さらに、3つ以上のルートを設けてもよい。
たとえば、3つ以上のルートを設ける場合、3つの熱交換器(HE1,HE2,HE3)それぞれに接続される別々の外気吸込ルートを並列に設け、分岐ダンパーによって内外熱交換器HE4へ接続するルートを選択するようにしてもよい。
【0041】
熱交換器HEとして3つの熱交換器(HE1,HE2,HE3)を示しているが、これらの熱交換器を、第1外気吸込口9と分岐ダンパーV6との間の経路にどのように接続するかは、一義的に定めるものではない。
たとえば、図1に示した熱交換器の接続とダンパー(V2〜V5)の配置は、1つの例であり、これに限るものではない。
【0042】
熱交換器の中では、吸い込まれた外気の温度を上昇させるかあるいは下降させることのどちらかが、動力源なしに、自然な空気の流れによって行われる。
外気温度が上昇させられるか、あるいは下降させられるかは、この外気吸込ルートに、どの熱交換器が接続されるかによって決まる。
その接続の具体例については、以下の実施例で後述する。
【0043】
以上のように、この発明では、室内空気の排気経路と外気の吸込経路とを配置し、交差部の内外熱交換器HE4において、この排気経路と吸込経路を流れる空気を接触させ、排気経路上に配置された換気ファンを用いて、空気の換気と空調とを効率的に行わせる。
【0044】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
【0045】
<この発明の換気システムの構成>
図1に、この発明の換気システムを備えた住宅の一実施例の概要図を示す。
1は住宅を示している。
3は室内排気口であり、室内空気を室外へ排気させるための開口部である。
2は、外気を室内へ取り入れるための外気取入口である。
4はエアコンの室外機を示している。
室外機4は、圧縮機8と冷媒の循環方向を切り替える4方バルブV7を介して、エアコンの室内機7に接続されている。
室外機4の内部には、室外機の熱交換用の熱交換器5(空調熱交換器)と、熱交換器5への送風および室内換気のための換気ファン6と、コントロール部12に温度信号を送るための温度センサーSE7とが設けられている。
【0046】
10は、電気ストーブや電気カーペットなどの室内を加温する電気暖房機器を示している。
SE9は、電気暖房機器10に設けられた温度センサーであり、温度および機器の動作状況を示す信号を、コントロール部12に送る。
また、13は、ガスファンヒーターや石油ファンヒーターなどのガス石油暖房機器を示している。
電気暖房機器10およびガス石油暖房機器13には、その動作の状態をコントロール部12に知らせる信号と、コントロール部12から送られてくる運転制御のための信号とを伝送する信号線が接続されている。
【0047】
室内への外気の吸い込み経路は、外気温度センサーSE2を有する第1外気吸込口9(第1取入口)から地中に埋設された地中熱交換器HE1を介して、分岐ダンパーV2にて2つに分岐される。ここで、一方は、屋根熱交換器HE3と、風呂熱交換器HE2に接続される。
他方は、屋根熱交換器HE3と風呂熱交換器HE2の共通の出口に、分岐ダンパーV5にて、接続されている。
分岐ダンパーV5は、第2外気吸込口11(第2取入口)に接続されるとともに、住宅の室内への外気取入口2に接続されている。
【0048】
<屋根熱交換器HE3>
図2と図3に、屋根熱交換器の一実施例の概略説明図を示す。
図1に示した熱交換器HE3が屋根熱交換器であり、図2に示すように、屋根の上であって、外気取り入れのダクトの途中の流路に設けられる。
図2は、屋根の上に設けられた熱交換器(HE3)24を示している。ガラス等からなる集光部28が、熱交換器24の表面に配置されている。太陽光と、ダクト内の空気との間で熱交換が行われる。
また、22が空気供給口であり、21が熱交換により暖められた空気排出口である。
図2の右側には、熱交換器24の断面図を示している。ここで、26は断熱材であり、27がステンレス等の材料から形成される蓄熱材である。
集光部28は、ガラス25、アクリル等の耐光性材料から形成される。
【0049】
図3は、屋根全体が熱交換材料23にて構成されている熱交換器(HE3)の場合を示している。
この図2,図3では、熱交換器の中を空気が直接流れるように構成されている。ただし、一旦、蓄熱材(水、金属、熱容量の大きい化学物質)に蓄熱した後に、空気と熱交換してもかまわない。
また、熱交換器24は、図2,図3では屋根の外側に位置しているが、天井裏に位置していてもかまわない。
図1のSE4は、温度センサーであり、熱交換器24の中における温度を測定するものである。また他の吸い込み空気流路に設けられた他の熱交換器の温度と比較するため、測定された温度信号をコントロール部12へ送る。
【0050】
<風呂熱交換器HE2>
図4と図5に、風呂熱交換器の一実施例を示す。
図1のHE2は、外気と、風呂の浴槽水と熱交換が出来るように設けられた風呂残り湯(或いは風呂貯水)との熱交換をする風呂熱交換器である。
これは、風呂の残り湯の余熱と、第1外気吸込口9から取り入れた外気との間で、熱交換するための熱交換器である。
図4では、風呂浴槽31に熱交換蛇腹32が周囲に取り付けられ、ウレタンフォーム35等にて断熱されている。図4において、33が空気入口で、34が空気出口である。
【0051】
図5では、熱交換器HE2が風呂浴槽の隣に設けられ、風呂水が直接熱交換器の周囲に接触する構造であり、周囲が断熱材35で被覆されている。
この熱交換器HE2は、主として、次のように機能する。
たとえば、冬の夜間等、外気が室温より低い場合、冷たい外気が風呂残り湯の余熱と熱交換され、室内にその外気が供給される。
また、夏の昼間、外気が室温より高い場合、暖かい外気が風呂貯水(あるいは残り湯)と熱交換され、室内にその外気が供給される。
図1のSE3は、温度センサーであり、熱交換器HE2の中における温度を測定し、測定された温度信号を、コントロール部12へ送る。
【0052】
<地中熱交換器HE1>
図1のHE1は、地中に設置された熱交換器であり、第1外気吸込口9から取り入れた外気と地熱とを熱交換して、室内へ外気を送るものである。
この熱交換器HE1は、地中5mぐらいの深さに設置され、腐食の少ないステンレス等の金属材料あるいは塩ビ等の樹脂材料が使用される。但し、出来るだけ熱伝導率の良く構造的に薄くでき伝熱距離を短くすることが可能な材料が望ましい。
この熱交換器HE1は、主として、次のように機能する。
夏季の外気温度が高い時、地中は外気に比較して温度が低いので、この熱交換器HE1により、多少外気より低い温度で換気が行われる。
冬季の外気温度が低い時は、地中の外気に比較して温度が高いので、この熱交換器HE1により、多少外気より高い温度で換気が行われる。
【0053】
<室内換気空気出入口の内外熱交換器HE4>
図1のHE4は、室内に近い位置に設けられた熱交換器である。室内排気口3を介して室内から排気される室内設定温度に比較的近い室内空気と、外気取入口2を介して室内へ取り入れられる外気とが、上記した熱交換器(HE1,HE2,HE3)によって地中熱や風呂残り湯熱、太陽熱等と熱交換して外気に比べて室内温度に近い状態で室内へ供給された空気と、最後に熱交換を行う場所である。
このHE4は、外気取入空気と室内排気空気の温度差が極端に大きくないため、できるだけ伝熱面積が大きく、熱伝導率も大きく、腐食性に優れた材料が望ましい。
また、流路の断面積が狭いと圧力損失が大きくなるため適度の流路の断面積を有することが好ましい。
【0054】
この熱交換器HE4は、図1に示すように、室内排気口3と、エアコン室外機4との間の流路に設けられる。一般的に、断面積が広いほど、空気の速度が遅く、かつ空気の熱交換面との接触時間が増加するので、交換効率が向上する。
たとえば、夏の場合は、室内の外気に比較して温度の低い空気が、この熱交換器HE4を介して排出される。一方、外気の室内温度に比較して温度の高い空気が、吸入される。ここで、室内から排出される空気と室内から排出される空気間で、熱交換が行われる。この場合、両空気間の伝熱面積が大きいほど、熱交換量が大きくなる。また、吸込空気と排気空気の流速が遅いほど、熱交換量は増加する。
この熱交換器HE4としては、圧力損失の少ないクロスフロー方式や交流式のものが使用できる。
また、調湿のため排気空気と吸込空気の熱交換器HE4に、透湿性の材料を使用することもできる。ここでは特に材質、構造を限定するものではない。
【0055】
<室内排出空気とエアコン室外機との熱交換>
エアコン室外機4の熱交換器5は、排出空気の冷熱を利用して外気温度に比較して、熱交換器5の温度を少しでも室内設定温度に近づける作用を有する。
エアコンが動作している状態での夏の換気の場合、室内から外気温度に比較して温度の低い空気が、エアコンの室外機の熱交換器5に供給される。エアコンの熱交換器5は、外気温度より高い温度で動作していることが多いため、室内からの排気空気にて冷却され効率が向上する。
一方、エアコンが動作している状態での冬の換気の場合、室内から外気温度に比較して温度の高い空気が、エアコンの室外機の熱交換器5に供給される。エアコンの熱交換器5は、外気温度より低い温度で動作していることが多いため、室内からの排気空気にて加温され効率が向上する。
この発明では、室内からの排気空気を使用して、エアコン室外機の熱交換器温度を室内温度に近づけるようにすることにより、更にエアコンの効率を向上させることができる。エアコンの熱交換器の温度と室内温度(エアコンの室内機側の熱交換器温度)の差を小さくすることができるからである。
【0056】
<ダンパーの切り替え>
ここでは、まず、 地中熱交換器HE1の出口において、屋根熱交換器HE3あるいは風呂熱交換器HE2への外気取入の切換か、または室内空気出入口近傍(交差部)に設けられた熱交換器HE4への切り替えを行う分岐ダンパーについて説明する。
図1の分岐ダンパーV2と、分岐ダンパーV5は、第1外気吸込口9から取り入れられ地中の熱交換器HE1にて熱交換された外気を、屋根熱交換器HE3あるいは風呂熱交換器HE2へ送るか、または室内空気出入口(交差部)の内外熱交換器HE4へ送るかを、切り替える分岐ダンパーである。
これらの分岐ダンパー(V2,V5)は、SE2センサーからの外気温度、SE1センサーからの室内温度、SE4センサーからの風呂熱交換器温度、およびSE3センサーからの屋根熱交換器温度等の情報をもとに、コントロール部12によって生成された切替信号により作動する。
【0057】
図1に示すように、地中熱交換器HE1にて熱交換済みの外気を、屋根熱交換器HE3あるいは風呂熱交換器HE2に送るための切り替え分岐ダンパー(V3,V4)を設ける。
屋根熱交換器の温度センサーSE4からコントロール部12へ送られる温度信号と、風呂熱交換器HE2に設けられた温度センサーSE3からコントロール部12へ送られる温度信号とにより、コントロール部12が、地下熱交換器HE1を経由した外気を、屋根熱交換器HE3あるいは風呂熱交換器HE2のどちらの流路に送るのか適しているかを判断して、電気信号にて分岐ダンパーV3、V4を切り替える。
たとえば、冬季、屋根熱交換器HE3の温度が、風呂熱交換器HE2の温度より高い場合は、屋根熱交換の方が適していると判断され、空気の流路が屋根熱交換器HE3へ接続されるように、分岐ダンパー(V3,V4)を切り替える。
一方、風呂熱交換器の温度が、屋根熱交換器の温度より高い場合は、風呂熱交換の方が適していると判断されるので、空気の流路が風呂熱交換器HE2の方へ接続されるように、分岐ダンパー(V3,V4)を切り替える。
【0058】
<換気停止時におけるエアコン使用のためのダクト切り替え>
図1の分岐ダンパーV1は、換気動作をしない場合のエアコンによる空調動作(換気しない状態でエアコンの冷房動作あるいは暖房動作)と、換気動作時の空気の流れを切り替える分岐ダンパーであり、室内排気口3と室外機4との間に設けられる。ただし、室外機4に一体化されるように設けてもよい。
換気が不要なとき、またはエアコン7あるいは電気暖房機器10が動作している場合は、分岐ダンパーV1を、外気を取り入れる方向に切り変える。この時、室内排気口3とエアコン室外機4は、流路が遮断される。
換気が必要な場合は、室内換気方向に分岐ダンパーV1を切り替え、換気ファン6により、室内空気を室内から外部へ排出する。
【0059】
ダンパーV6は、室内と屋外の温度を計測した結果、温度差があまりない春、秋の場合は、地中、屋根(あるいは風呂)における熱交換器と熱交換する必要がなく、少しではあるが、外気取り入れダクトの圧力損失によるエネルギーロスを削減するために設けられる。
制御としては、春・秋モードの換気時は、外気を第2外気吸込口から取り入れる様にV6ダンパーの大気側を開く。一方、夏・冬モードの換気時は、第1外気吸込口から取り入れる様にV6ダンパーの大気側を閉じる。この制御により、春・秋モードでは、ダクトの中の空気を輸送する距離を減らすことができ排気ファンの動力を抑制できる。
【0060】
<室内温度センサーSE1、室外温度センサーSE2>
図1に示した室内温度センサーSE1と、第1外気吸込口9に設けられた温度センサーSE2から、温度データを含む信号がコントロール部12に送られる。
コントロール部12は送られてきたこれらの温度データを基にして、室内外の温度差と予め設定記憶されていた季節判断定数との大小関係を比較し、季節(季節モード)を判断し、住宅に設置された空気ダクト経路を制御して熱交換を実施する。
温度センサーの種類は限定するものではないが、少しの空気の流れで温度がばらつかないように、センサー内部に多少熱容量を有するものを用いることが好ましい。
【0061】
<コントロール部12>
図1のコントロール部12は、CPU(中央演算ユニット)、メモリ、I/Oコントローラ、タイマー等を有するマイクロコンピュータからなる。
この発明では、ROMやRAMなどのメモリに、365日の暫定換気スケジュール(換気パターン、あるいは換気情報とも呼ぶ)を、予め記憶しておく。後述するような換気情報は、初期設定されるかあるいはユーザによって設定変更される。
【0062】
コントロール部12は、原則として、予め設定された換気パターンの情報に基づいて、換気処理を行う。また、エアコン、電気暖房機器10の動作状況、ガス石油暖房機器13の動作状況を検出しながら、換気のタイミングを調整する。換気処理は、主として、エアコン室外機4のファン動作、第2外気吸込口11の分岐ダンパーV6、分岐ダンパーV1、地中熱交換器HE1、風呂熱交換器HE2および屋根熱交換器HE3の分岐ダンパー(V2,V3,V4,V5)を制御して行う。
【0063】
換気パターンの情報とは、たとえば実動作の外気温度と、室内温度と、換気時刻とが対応づけられて、予めメモリに記憶されたものである。また換気パターンの情報は、次年目からはエアコン、電気暖房機器の動作予測の参考データとする。
また、コントロール部12は、有線LANや無線通信などを介して、携帯電話やパソコン等に接続され、住宅の電気製品(例えば照明、厨房機器、洗濯器等)との連動操作をしてもよい。
例えば、照明のオン・オフの信号を、コントロール部12に送り、この信号に基づいて換気パターンを変えることも可能である。
【0064】
<換気動作の制御の実施例>
この発明の換気動作の一実施例を示す。
図6,図7,図8および図9に、換気パターンの一実施例の説明図を示す。
各図面には、換気パターン(エアコン、電気暖房機器およびガス石油暖房機器の動作状況を読み取り修正した後の換気パターン)と、エアコン、電気暖房機器、およびガス石油暖房機器の動作パターンとを示しており、横軸が時間を示している。ここで、図の太い線分があるところが、換気動作中または機器の動作中を示している。
【0065】
<パターン1>
図6(a)に、予めメモリに記憶された初期設定換気パターンの一実施例を示す。
図6(a)は、各2時間インターバル(例えば図中の0hr〜2hr,2hr〜4hr,・・・)の中で前半に換気を実施して2時間インターバル(例えば図中の0hr〜2hr,2hr〜4hr,・・・)の中における所定の換気(室内空気の入れ替え)が終了するように換気扇の動作時間をプログラムした例である。コントロール部12が、このパターンに従って、エアコンあるいは電気暖房機器の動作の確認をして、換気動作を実施してもエネルギーロスが少ないタイミングであることを確認した後、エアコン室外機ファン(換気扇)を動作させる。
ここで、換気扇とは、エアコン室外機ファンを意味し、たとえば、図1では、6として図示したものである。
図6(a)では、換気扇を5分間動作させた後5分停止させ、この動作と停止とを、3回繰り返す換気パターンを示している。すなわち、2時間の間に、合計15分間の換気を行う場合を示している。ここでは、合計15分間の換気にて所定の換気が終了すると仮に設定している。ただし、この回数に限定するものではない。合計換気時間は住宅の大きさやエアコン室外機ファンの能力により左右されるため個々の住宅条件により決められる。
図6(b)は、図6(a)の初期設定換気パターンと重ならないように、換気停止中にエアコンと電気暖房機器等が動作した場合の、理想的な動作パターンを示している。
この場合は、換気と空調とが、完全に別の時間帯で行われているため換気のパターンをシフトする必要が生じていない。
【0066】
<パターン2>
図7に、初期に基本換気パターン(図6(a))を設定したが、換気パターン(図7(a))と、機器の動作パターン(図7(b))とが重ならないように、エアコンおよび電気暖房機器等の動作および停止を検出して、換気扇を動作させる修正された換気パターン(パターン2)を示す。
図7(a)は、換気扇の動作のパターンの一実施例である。
図7(b)は、エアコンあるいは、電気暖房機器の動作(運転、停止)パターンを示している。
コントロール部12がエアコンあるいは電気暖房機器から動作中であることを示す信号情報を検出し、図7(b)に示すようなエアコン等の停止状態のときに、図7(a)に示すようなタイミングで、換気動作を一定時間間隔で行うようにする。
すなわち、エアコン等が動作していないタイミングで、換気動作を行うように、換気扇を制御する。
そして、たとえば、各2時間インターバル(例えば図中の0hr〜2hr,2hr〜4hr,・・・)の中で所定の換気(すなわち、室内容積分の空気を入れ替える換気)を終了した時点で、その2時間における換気動作は終了する。その後、エアコンあるいは電気暖房機器が動作していない状態でも、換気の動作はしないように換気扇を制御する。
さらに、各2時間インターバル(例えば図中の0hr〜2hr,2hr〜4hr,・・・)の中で1回の所定の換気動作は終了し、次の2時間の中で次の所定の換気動作を実行する。
【0067】
<パターン3>
図8に、初期設定換気パターン(図6(a))の換気のタイミングに、エアコン・電気暖房機器の動作状態が重なる場合において、換気と機器動作の重複を認めた換気パターン(パターン3)を示している。ここでは、コントロール部12が換気パターンを変更して、エアコン等の動作中でも換気をする場合を示している。
図8(a)は、換気扇の動作のパターンの一実施例である。
図8(b)は、エアコンあるいは電気暖房機器の動作パターンを示している。
ここでは、コントロール部12がエアコン、電気暖房機器の停止したことを示す信号を受信して、換気動作のタイミングを修正する。
図8(b)に示すようにエアコン等の動作時間が長いため、図6(a)や図7(a)のようにエアコン等の停止中にのみ換気するようにしていたのでは、換気不足になる。そこで、図8(a)では、換気不足にならないように、エアコン等の動作中であっても、同時に換気扇を動作させている。
ここで図8(a)に示すような修正後の換気パターン、すなわち換気扇を動作させるタイミングは、換気制御部101によって決定される。たとえば、各2時間のインターバル(例えば図中の0hr〜2hr,2hr〜4hr,・・・)の中で所定の換気(この2時間のインターバル中で終了する必要がある換気動作)を終了するための残り時間を算出し、残り時間に余裕がある場合は換気動作を後ろへシフトし、残り時間に余裕がない場合はエアコン、電気暖房等の動作の有無に係わらず換気動作を実行するように換気動作プログラムを修正することにより、換気のタイミングを決定する。
【0068】
<パターン4>
図9(a)に、換気扇の動作パターンの一実施例を示す。
図9(b)に、エアコンまたは電気暖房機器の動作パターンの一実施例を示す。
図9(c)に、ガスまたは石油暖房機器の動作パターンの一実施例を示す。
ここでは、エアコンまたは電気暖房機器の動作中、停止中に係わらず、ガスあるいは石油暖房機器が動作している場合において、たとえ、2時間における所定の換気が終了していても、定期的に換気動作を強制的に実施するようにする。
図9(a)において、所定の換気が終了しているが、図9(c)のようにガスあるいは石油暖房機器が動作しているため、図9(b)のエアコン等の動作中に、強制換気を実施している。
ガス石油暖房機器等の動作中に行う強制換気のタイミングと回数は、ガス石油暖房機器の燃焼速度(酸素消費、二酸化炭素排出速度)や部屋の大きさによって決定される。たとえば、完全密閉の部屋にてガス石油暖房機器を連続的に長時間使用しても一酸化炭素中毒にかからない室内空気組成を維持するように、換気のタイミングが決定される。
【0069】
<換気情報の具体例>
ここでは、換気制御に用いる換気パターンの情報(換気情報)について、説明する。
換気情報としては、予め初期設定される初期換気パターン情報(初期換気情報)と、実際に換気を実行した結果のパターン情報である実換気情報とがある。
換気情報は、主として、時刻情報(年、月、日、時、分)と、換気の動作情報(ON(起動)とOFF(停止))と、換気積算時間とからなる。
たとえば、ある2時間の間に、5分間の換気を3回サイクル実行し、換気積算時間を15分、換気停止の合計時間を105分とする場合、次のような初期換気パターン情報が設定される。
【0070】
日時 年/月/日 00時00分 換気 ON
年/月/日 00時01分 換気積算時間 1
年/月/日 00時01分 換気 ON
年/月/日 00時02分 換気積算時間 2
年/月/日 00時02分 換気 ON
年/月/日 00時03分 換気積算時間 3
年/月/日 00時03分 換気 ON
年/月/日 00時04分 換気積算時間 4
年/月/日 00時04分 換気 ON
年/月/日 00時05分 換気積算時間 5
年/月/日 00時05分 換気 OFF
年/月/日 00時06分 換気積算時間 5



年/月/日 01時59分 換気 OFF
年/月/日 02時00分 換気積算時間 15
【0071】
ここで、換気を実行する合計時間である換気積算時間を15分に設定しているが、これは2時間の中で所定の室内換気が終了可能な時間であり、これに限るものではない。たとえば、換気する室内の広さやファンの能力によって、換気積算時間が設定される。
また、上記換気情報では、1分ごとに換気のONとOFFと、その換気積算時間とを設定するようにしているが、この時間間隔は2分ごとでも、5分ごとでもかまわない。ただし、時間間隔が短いほど、より効率的な換気と空調ができる可能性が高い。
【0072】
上記のように初期設定された情報に基づいて、換気を実行するのが理想であるが、エアコン等が任意の時刻に起動および停止させられるため、換気のタイミングが、図7や図8に示したように変更される場合がある。
たとえば、換気をONの状態にするように予め設定されている時刻がきたときに、エアコン等の動作状態(すなわち動作中か、あるいは停止中か)を調査し、エアコン等が動作していないことが検出された場合、この換気情報どおりの換気動作を行う。
また、換気をONの状態にするように予め設定されている時刻がきたときに、エアコン等が動作していることが検出された場合、初期設定されていた換気は行わず、別のタイミングで換気を実行するように、換気情報を変更する。
このとき、たとえば、図7で示したように、エアコン等の動作状況を、できるだけ短い時間間隔で調査し、エアコン等の動作していない時間帯を見つけ出し、エアコン等の停止中に、換気を実行するようにする。
【0073】
次に、実際に換気を実行した結果である実換気情報について、一つの実施例を示す。
日時 年/月/日 00時00分 換気 OFF
年/月/日 00時01分 換気積算時間 0
年/月/日 00時01分 換気 OFF
年/月/日 00時02分 換気積算時間 0
年/月/日 00時02分 換気 ON
年/月/日 00時03分 換気積算時間 1
年/月/日 00時03分 換気 ON
年/月/日 00時04分 換気積算時間 2
年/月/日 00時04分 換気 ON
年/月/日 00時05分 換気積算時間 3
年/月/日 00時05分 換気 ON
年/月/日 00時06分 換気積算時間 4





年/月/日 00時58分 換気 ON
年/月/日 00時59分 換気積算時間 14
年/月/日 01時59分 換気 ON
年/月/日 02時00分 換気積算時間 15
【0074】
ここでは、00時00分から00時02分の間において、設定されていた換気情報では「換気ON」となっており換気をする予定であったが、実際には換気を行わなかったことを示している。すなわち、00時00分と00時01分において、換気はOFFであったこと(換気が停止中)を示している。このように予定の換気が実行されなかったのは、たとえば、この時間帯では、エアコン等が動作中であったことが原因であることが考えられる。
その代わり、00時58分から00時59分にかけてと、01時59分から02時00分にかけての時間帯に、換気を実行している。これにより、換気積算時間としては、初期設定と同じ、15分を実現している。
【0075】
この実換気情報は、エアコン等の動作中には換気を行わなかった場合の換気動作の結果である。上記した図7に示した動作に相当する。
なお、一年後の換気情報は、今回の換気情報をもとに再設定されてもかまわない。例えば、一年後の換気動作において前年度のエアコン・暖房機器の動作時間を学習してエアコン・暖房機器の動作が重ならないように、換気設定時刻を変更する学習をしてもかまわない。
【0076】
<換気制御の実施例>
図10に、この発明の換気制御の一実施例のフローチャートを示す。
図10の換気制御においては、次の4つのケースの場合に、ステップS9の換気処理を実行する。
[ケース1]エアコンまたは電気暖房機器が停止中の場合
[ケース2]換気動作の予定時間が後方にシフト(変更)可能な場合
[ケース3]ガスまたは石油暖房機器が動作中で設定した一定時間換気動作がなされていない場合
[ケース4]換気を停止してから所定期間が経過した場合
【0077】
図10のステップS1において、初期換気情報を設定し、メモリに記録する。
たとえば、上記したように図6(a)に示すような初期設定換気パターンを実行するような換気情報(初期換気情報)を、ユーザ自らが入力し、設定する。
図6(a)の場合は、2時間を1単位として、その前半の1時間に3回(5分×3サイクル)換気を実行し、所定の法定された換気を実行する換気パターンである。
ここで、1日の換気パターンだけでなく、1年(365日分)の換気パターンを考慮した情報を設定する。
【0078】
ステップS2において、設定された初期換気情報を、メモリから読み出す。
ステップS3において、現在時刻が、初期換気情報に設定された換気動作時間帯に入いっているか否か確認する。
たとえば、初期換気情報において、「00時09分」が換気の停止(OFF)の時刻に設定されており、「00時10分」が、換気の動作(ON)の時刻に設定されている場合に、現在時刻が「00時09分」であるとすると、現在時刻はまだ換気動作時間帯ではないので、不一致(含まない)ということで、ステップS3をループする。
一方、現在時刻が「00時10分」になったとき、現在時刻と換気動作時間帯とを比較すると、現在時刻(00時10分)は、換気の動作(ON)の時刻であるので、一致(含む)ということで、ステップS4へ進む。
【0079】
ステップS4において、エアコンや電気暖房機器が動作中か否か、確認する。ここで、エアコン等が動作中であるか否かの確認は、たとえば、エアコンの室外機コンプレッサーとエアコン室内機ファンの動作の有無を確認することにより行う。エアコンの室外機コンプレッサーと室内機ファンが動作していればエアコンが動作中であると判断する。
一方、エアコンの室外機コンプレッサーとエアコン室内機ファンが停止中であれば、エアコンは停止中であると判断する。
エアコン等が複数台存在する場合、複数のエアコンの室外機コンプレッサーと室内機ファンが一つでも動作しているときに動作中と判断するが、全てのコンプレッサーとファンが停止しているときは、停止中と判断する。
エアコン等が動作中と判断された場合、ステップS5へ進む。
一方、エアコンや電気暖房機器等が停止中である場合、ステップS9へ進み、換気処理を実行する(ケース1)。換気処理の具体例については、後述する。
【0080】
ステップS5において、換気動作時間をシフト(変更)することが可能か否か、確認する。ここで、シフトとは、本来換気情報で換気動作時間と設定されていたが、現在エアコン等が動作中であるため、現在はその換気動作を行わず保留し、別の時間帯に保留された換気処理を行うように、換気情報を変更することを意味する。
また、別の時間帯に換気を実行可能な時間があった場合、その換気を実行することは、法定された所定の換気動作を満たしたものであるか否かも、確認する。
換気が実行可能な時間帯が存在するか否かは、たとえば、2時間における所定の換気動作を完了するのに必要な換気扇(室外機ファン)の実動作積算時間が決まっているため、2時間のインターバル(例えば図中の0hr〜2hr,2hr〜4hr,・・・)の中での換気扇実動作積算時間から残りの換気動作必要時間を算出し、2時間のインターバルの中での残り時間(インターバルが終了するまでの時間)を比較することによって判断する。
このような換気が実行できる別の時間帯が存在する場合で、かつ法定の換気動作を満たすことができる場合、ステップS6へ進む。このとき、換気を実行可能な時間を一時記憶しておく。
【0081】
一方、ステップS5において、換気動作時間をシフトすることができない場合、すなわち、換気情報の中で、現在時刻よりも後の時間帯の中に、換気を実行できる時間が存在しない場合、あるいは、シフトしても法定の換気動作を満たすことができない場合は、ステップS9へ進み、換気処理を実行する(ケース2)。
【0082】
ステップS6において、ガス暖房機器および石油暖房機器の少なくともどちらか一方が動作中か否か、確認する。
ここで、これらの機器が動作中か否かは、たとえば、ガス暖房機器および石油暖房機器の動作信号を有線あるいは無線通信にて機器監視部104を介して機器監視情報113として受け取り判断する。機器監視情報中の石油暖房機器とガス暖房機器の動作信号を受信した場合は、ガスあるいは石油暖房機器等が、動作中であると判断する。一方、機器監視情報中の石油暖房機器とガス暖房機器の動作信号を受信できない場合は、停止中と判断する。
また、ガス暖房機器等が複数台存在する場合は、その中の一台でも動作している場合は動作中と判断し、全ての石油暖房機器あるいはガス暖房機器が動作していない場合のみ停止中と判断する。
ステップS6で、ガス暖房機器等が、動作中であると判断された場合、ステップS7へ進みさらに換気不動作時間を確認して、一定時間以上換気動作がなされていない場合は、ステップS9へ進み、換気処理を実行する(ケース3)。
一方、ガス暖房機器等が停止中の場合は、ステップS8に進む。
【0083】
ステップS7において、換気不動作期間が経過したか否か、確認する。すなわち、前回の換気処理を停止した後、換気をしていない状態のまま、所定の期間が経過しているか否か、確認する。
ここで、所定の期間とは、一義的に何分間というように定めることはできないが、室内の広さやガスあるいは石油暖房機器の燃焼動作に伴う室内空気組成の変化による一酸化炭素中毒を防止するための目的に設定される時間である。この所定の期間は、たとえば、ステップS1の設定のときに、ユーザが「30分」というような時間を設定すればよい。
この期間が経過しているか否かは、たとえば、実換気情報の中から、最後に実際に行った換気処理の終了時刻を検索し、現在時刻がその時刻から所定の期間が経過した後の時間か否かを判断すればよい。
上記のような所定の期間がすでに経過している場合は、ステップS9へ進み、換気処理を実行する(ケース4)。
一方、そのような所定の期間が、まだ経過していない場合は、ステップS8へ進む。
【0084】
ステップS8において、換気パターンの変更処理を行う。すなわち、ステップS2で読み出され、現在換気のスケジュールとして採用されている換気情報を、ステップS5でシフト可能と判断された時間帯の中で一時記憶された時間を含むものに書き換える。
たとえば、ステップS5において、シフト後の実行可能な時間が現在時刻よりも20分後の時間であると判断されていた場合、換気動作時間を、現在時刻よりも20分後の時刻とするように、換気情報を変更する。
この変更後の換気情報は、後日あるいは次年度に利用するためにメモリに記憶しておく。
ステップS8の後、ステップS3へ戻り、次の換気制御を実行する。
【0085】
上記したような4つのケースの場合、ステップS4,S5,S6およびS7において、それぞれの判断に基づいて、ステップS9の換気処理が実行される。換気処理の具体的な内容は後述するが、主として、所定の条件に基づいて、図1に示した複数の分岐ダンパー(以下、単に、ダンパーとも呼ぶ)V1〜V6を開閉制御することにより、換気処理を実行する。
【0086】
ステップS9の換気処理を実行した後、ステップS10において、実換気情報を生成し、メモリに記憶する。
実換気情報は、上記したように実際に実行された換気の情報であり、換気処理が行われるごとに、新たな情報が、その日の実換気情報の中に追加されていくことになる。
【0087】
<換気処理の具体例>
ここでは、図10に示したステップS9の換気処理の具体例について説明する。
図11に、この発明の換気処理の一実施例のフローチャートを示す。
室内の換気は、一般に季節ごとに異なる処理を行う必要があると考えられ、主として、「春,秋」と「夏」と「冬」の3つの換気に分類される。また、この発明では、夏に行う換気を、2つのモードに分け、地熱交換を利用した換気(モードB)と、地熱交換及び風呂熱交換を利用した換気(モードC)とに分け、いずれか一方のモードの換気処理を行う。
さらに、冬に行う換気を、3つのモードに分け、地熱交換(モードD),地熱及び風呂熱交換(モードE),地熱及び屋根熱交換(モードF)の3つの熱交換のうちいずれかを利用する換気を行うものとする。
また、春と秋は、室内温度と外気温度の差が比較的少なく、ほぼ同様の換気を行えばよいと考えられるので、同じ換気(モードA)を行うものとする。ただし、このような換気のモードに限定されるものではなく、必要に応じて他の換気モードを設定してもよい。
【0088】
この発明では、季節判断定数(A,B)を定義し、この定数と、室内温度および外気温度との比較によって、季節を判断するものとする。
一般に、外気温度が室内温度よりもかなり高くなったときが「夏」であり、逆に外気温度が室内温度よりもかなり低くなったときが「冬」と判断するものとする。
この定数(A,B)は、予め初期設定され、あるいはユーザによって設定されるものであり、温度に相当する定数であり、A>Bとする。
【0089】
ここで、外気温度をTout、室内温度をTinとし、温度差T0(=Tout−Tin)と定数(A,B)との大小関係により、次のような基準で、季節を判断するものとする。
(1)B<T0<Aの場合、「春秋モード」
(2)T0=Tout−Tin≧Aの場合、「夏モード」
(3)T0=Tout−Tin≦Bの場合、「冬モード」
【0090】
図11のステップS101において、まず、季節判断定数(A,B)を設定し、メモリに記憶する。たとえば、A=5,B=−5に設定する。
ここで、定数A,Bは、外気温度(Tout)−室内温度(Tin)から求められた温度差(T0)と比較される値である。たとえば、A=5としたとき、温度差(T0)が、T0≧Aであったとすると、外気温度(Tout)が、室内温度(Tin)よりも5度以上高いことを意味し、上記判断基準により、夏モードと判断される。
【0091】
ステップS102において、図1に示した各温度センサー(SE1,SE2,SE3,SE4,SE8)から送られてくる温度データを取得する。
すなわち、温度センサーSE2から得られる外気温度Tout、温度センサーSE1から得られる室内温度Tin、温度センサーSE3から得られる風呂温度Tfu、温度センサーSE4から得られる屋根温度Tya、温度センサーSE8から得られる地熱温度Tciを、取得する。
【0092】
ステップS103において、温度差T0を、Tout−Tinにより算出する。
ステップS104において、温度差T0と、季節判断定数(A,B)との比較を行う。
ステップS105において、B<T0<Aの場合、春秋モードと判断され、ステップS106へ進み、春秋モード(モードA)の換気処理を実行する。
ステップS107において、T0≧Aの場合、夏モードと判断され、ステップS108へ進む。夏モードでは、風呂温度Tfuと、地熱温度Tciとの大小関係によって、2つの換気処理(モードB又はモードC)のうち、いずれかの処理を行う。
【0093】
ステップS108において、風呂温度Tfu>地熱温度Tciの場合、ステップS109へ進み、地熱交換を利用した換気処理を実行する(夏モードB)。
ここで、風呂温度(Tfu)が、地熱温度(Tci)よりも高い場合は、地中熱交換器の方が、温度が低く、風呂熱交換機の方が温度が高いので一度冷却した空気を加温することになるので、地熱のみを利用した熱交換を行う。すなわち、風呂熱交換よりも、地熱交換をした方が、外気吸込空気温度が低い点で好ましいからである。
【0094】
一方、ステップS108において、Tfu>Tciでない場合、ステップS110へ進み、風呂熱交換を利用した換気処理を実行する(夏モードC)。
ここでは、比較的低温である風呂温度による風呂熱交換を行った方が、地熱交換だけをするよりも吸入空気温度を低下させる利点があるからである。
また、図11のステップS105においてB<T0<Aではなく、ステップS107においてT0≧Aでもない場合、このときT0≦Bであるので、冬モードと判断され、ステップS111へ進む。
ステップS111では、3つの冬モード(D,E,F)のうちいずれを採用するかを決めるために、風呂温度(Tfu)と、屋根温度(Tya)と、地中温度(Tci)とを比較する。
【0095】
ステップS112において、地中温度Tciが、他の温度(Tfu,Tya)よりも高い場合、ステップS113へ進み、地熱交換を利用した換気処理を実行する(冬モードD)。
ステップS114において、風呂温度Tfuが、他の温度(Tci,Tya)よりも高い場合、ステップS115へ進み、地熱交換、風呂熱交換を利用した換気処理を実行する(冬モードE)。
ステップS114において、風呂温度Tfuが、他の温度(Tci,Tya)よりも低い場合、ステップS117へ進み、地熱交換、屋根熱交換を利用した換気処理を実行する(冬モードF)。
【0096】
図11の6つの各換気処理は、主として図1に示した6つのダンパー(V1〜V6)を各モードに対応させて開閉することにより行う。それらの具体的処理内容を、図12〜図17に示す。
【0097】
<春秋モードAの換気処理>
図12に、春秋モードA(ステップS106)の換気処理の一実施例のフローチャートを示す。
春や秋では、一般的に、外気温度と室内温度との差が小さいと考えられるので、室内排気口3を介して室内から排気される空気と、分岐ダンパーV6がある第2外気吸込口11から吸い込まれる空気とによる換気のみを行う。
まず、ステップS201において、大気を取り込むために、分岐ダンパーV6を開く。
ステップS202において、分岐ダンパーV1を、閉じる。このとき、他の分岐ダンパー(V2,V3,V4,V5)は制御を行わず、それぞれの分岐ダンパーの分岐経路の接続の向きは、どちらであってもよい。
ステップS203において、換気ファンとして機能するエアコンの室外機ファン6による換気動作を行う。
この室外機ファン6による換気動作とは、たとえば、エアコンの室外機の熱交換器と空気の間にて熱交換するためではなく、室外機ファンにより室内空気を排気させる動作を行うことである。
【0098】
この換気動作により、外気は、第2外気吸込口11から外気取入口2を介して取り入れられる。
一方、室内の空気は、室内排気口3から排出され、熱交換器HE4によって、外気と熱交換された後、室外機ファン6によってエアコン室外機部に設けられた外部排気口から排出される。
このとき、熱交換器HE4では、たとえば、室内排出空気温度と外気取入空気温度の中間温度に近い状態になるような熱交換が行われ、室内温度をほぼ一定に保ったまま新たな空気が導入される。熱交換器HE4は、高い熱伝道率と広い伝熱面積を有しクロスフロー流路等の構造を有しているため熱交換処理に動力は必要としない。
また、換気に必要となる電力は、室外機ファン6を動作させる電力と断続的に動作するためのダンパー可動電力のみであるので、従来のように空調ファンと換気ファンとを別々に設けたものよりも、省消費電力化(省エネ)を図ることができる。
【0099】
<夏モードBの換気処理>
図13に、夏モードB(ステップS109)の換気処理の一実施例のフローチャートを示す。
この夏モードBでは、地熱交換を利用した換気を行う。ここでは外気を第1外気吸込口9から取り入れ、地中熱交換器HE1と熱交換器HE4とを介した熱交換を行って、室内空気の換気を行う。ここでも、室外機ファン6のみを動力源とする換気が行われる。
【0100】
ステップS211において、分岐ダンパーV6を、閉じる。すなわち、分岐ダンパーV6のある第2外気吸込口11は閉じ、ここから空気を取り込まない。
ステップS212において、分岐ダンパーV1を、閉じる。
ステップS213において、地中熱交換器HE1によって熱交換された外気が室内に直接供給できるように、分岐ダンパーV2とV5の接続方向を切りかえる。
【0101】
すなわち、分岐ダンパーV2と分岐ダンパーV5の接続を、地中熱交換器側の経路が接続されるように、制御する。これにより、風呂熱交換器HE2と屋根熱交換器HE3への供給経路は、切り離される。
また、分岐ダンパーV3とV4は、制御を行わなくてよい。すなわち、分岐ダンパー(V3,V4)の接続の向きは、どちらでもよい。
【0102】
ステップS214において、室外機ファン6による換気動作を行う。この換気動作は、上記した春秋モードAのステップS203と同一でよい。
この夏モードBの場合、外気は、第1外気吸込口9から取り入れられ、まず、地中熱交換器HE1により、地中の熱と熱交換される。ここで、比較的温度の高い外気は、冷やされる。
ここで温度が下げられた外気は、分岐ダンパーV2、図1の下ルートの配管、分岐ダンパーV5を介して、熱交換器HE4へ導かれ、外気取入口2から、室内へ供給される。
熱交換器HE4では、外気と、室内排気口3から排出された室内空気との熱交換が行われる。熱交換された後の室内空気は、室外機ファン6により、室外機外部排気口から住宅外へ排出される。
【0103】
この夏モードBは、地熱温度Tciが、風呂温度Tfuよりも低い場合に採用され、地熱交換のみが行われ、風呂熱交換は行われない。これは、図1では、温度の高い風呂熱交換を、地熱交換の後に行うことになるので、夏の空調として不合理だからである。
また、地中熱交換器も、熱伝導率が高く、耐腐食性に優れた金属材料等で構成され、かつ圧損の小さい流路にて形成されているので、この熱交換処理に動力は必要としない。
この夏モードBも、室外機ファン6のみの動力を必要とするだけなので、省電力化を図ることができる。
【0104】
<夏モードCの換気処理>
図14に、夏モードC(ステップS110)の換気処理の一実施例のフローチャートを示す。この夏モードCでは、地中熱交換および風呂熱交換を利用した換気を行う。
ここでは、外気を第1外気吸込口9から取り入れ、地中熱交換器HE1と、風呂熱交換器HE2と、熱交換器HE4とを介した熱交換を行って、室内空気を換気する。ここでも、室外機ファン6のみを動力源とする。
【0105】
ステップS221において、分岐ダンパーV6を、閉じる。
ステップS222において、分岐ダンパーV1を、閉じる。
ステップS223において、4つの分岐ダンパー(V2,V3,V4,V5)の接続を、風呂熱交換器側に切り替える。
すなわち、地中熱交換された外気が、分岐ダンパーV2,分岐ダンパーV3,風呂熱交換器HE2,分岐ダンパーV4,分岐ダンパーV5の順に通過する経路で、取り入れられるようにする。このとき、屋根熱交換器HE3への経路は、切り離されている。
【0106】
ステップS224において、室外機ファン6による換気動作を行う。この換気動作も、春秋モードAや夏モードBと同一でよい。(ダンパーV6の切り替えを除き)
この夏モードCは、風呂温度Tfuが、地熱温度Tciよりも低い場合(Tfu≦Tci)に採用される。
したがって、比較的温度の高い外気が、地中の熱で冷やされ、さらに、地熱温度よりも低い温度の風呂水で冷やされて、熱交換器HE4へ導かれ、外気取入口2から、室内へ供給される。
また、室内空気は、熱交換器HE4で冷やされた空気と熱交換された後、室外機ファン6により、エアコン室外機外部排気口から住宅外へ排出される。
この夏モードCでは、3つの熱交換器(HE1,HE2,HE4)を介して熱交換されるので、夏モードBより低い温度の外気を導入することができ、夏の空調効率を向上でき、省エネ化を図ることができる。
【0107】
<冬モードDの換気処理>
図15に、冬モードD(ステップS113)の換気処理の一実施例のフローチャートを示す。
この冬モードDでは、地熱交換を利用した換気を行う。
ここでは、夏モードBと同様に、外気を第1外気吸込口9から取り入れ、地中熱交換器HE1と、熱交換器HE4とを介した熱交換を行って、室内空気を換気する。
【0108】
ステップS231,S232,S233およびS234は、それぞれ、図13のステップS211,S212,S213およびS214と同じ処理である。
ただし、この冬モードDの場合は、地熱温度Tciが、風呂温度Tfuと屋根温度Tyaのどちらよりも、高い場合に実行される。
冬では、外気が地熱温度よりもかなり低いと考えられるので、温度の最も高い地熱交換によって外気を暖めてから、室内へ導くようにする。これにより、室内への取り入れられる外気は、地中熱交換器により少し加温されることにより、室内に供給された後に、エアコン、電気暖房機器、石油暖房機器等により暖房のために使用するエネルギーを削減でき、省エネを図ることができる。
【0109】
<冬モードEの換気処理>
図16に、冬モードE(ステップS115)の換気処理のフローチャートを示す。
この冬モードEでは、夏モードCと同様に、地熱熱交換および風呂熱交換を利用した換気を行う。
ここでは、比較的温度の低い外気を、第1外気吸込口9から取り入れ、地熱交換器HE1と、風呂熱交換器HE2と、熱交換器HE4とを介した熱交換を行って、室内空気を換気する。
この冬モードEは、風呂温度Tfuが、屋根温度Tyaと地熱温度Tciのいずれよりも高い場合に、実行される。
図16のステップS241,S242,S243およびS244は、それぞれ図14のステップS221,S222,S223およびS224と同じ処理である。
【0110】
この処理により、比較的低い温度の外気は、地熱で暖められ、さらに温度の高い風呂熱で暖められた後、熱交換器HE4へ導かれて、室内へ供給される。
したがって、排気される室内空気と、外気取入口2から供給される外気との温度差が小さくなるので、より効率的な空調ができ、省エネを図ることができる。
【0111】
<冬モードFの換気処理>
図17に、冬モードF(ステップS117)の換気処理のフローチャートを示す。
この冬モードFでは、地熱熱交換および屋根熱交換を利用した換気を行う。
ここでは、比較的低い温度の外気を、第1外気吸入口9から取り入れ、地熱交換器HE1と、屋根熱交換器HE3と、熱交換器HE4とを介した熱交換を行って、室内空気を換気する。
この冬モードFは、屋根温度Tyaが、地熱温度Tciと風呂温度Tfuのいずれよりも高い場合に、実行される。
【0112】
図17のステップS251において、分岐ダンパーV6を、閉じる。
ステップS252において、分岐ダンパーV1を、閉じる。
ステップS253において、4つの分岐ダンパー(V2,V3,V4,V5)の接続を、屋根熱交換器HE3側に切り替える。
すなわち、地熱交換された外気が、分岐ダンパーV2,分岐ダンパーV3,屋根熱交換器HE3,分岐ダンパーV4,分岐ダンパーV5の順に通過する経路で、取り入れられるようにする。このとき、風呂熱交換器HE2への経路は、切り離されている。
ステップS254において、室外機ファン6による換気動作を行う。この換気動作も、春秋モードAや夏モードBと同一の動作でよい。
【0113】
この冬モードFでの換気は、熱交換として、風呂熱交換の代わりに屋根熱交換を利用することを除いて、冬モードEと同じである。
この冬モードFでも、外気が温度の高い地熱で暖められ、さらに温度の高い屋根熱で暖められた後に、室内に導かれるので、排気される室内空気の温度と、外気取入口2から導入される外気の温度との差を小さくでき、空調を効率的に行うことができ、省エネを図ることができる。
【0114】
<各モードの換気処理の実施例>
以下に、上記した6つのモード(A〜F)に従って、実際に換気処理を行った場合の実施例を示す。
【0115】
<実施例1>
ここでは、春秋モードA(図6,図12)の場合で、エアコン等の機器が不動作の場合について説明する。
【0116】
まず、図6に示す初期換気パターンの情報(初期換気情報)を入力する(ステップS1)。
例えば、次のようなデータを入力する。
4月1日0時00分から4月1日0時 4分:5分間換気、
4月1日0時05分から4月1日0時 9分:換気停止、
4月1日0時10分から4月1日0時 14分:5分間換気、
4月1日0時15分から4月1日0時 19分:換気停止、
4月1日0時20分から4月1日0時 25分:5分間換気、
4月1日0時25分から4月1日0時 29分:換気停止、
4月1日0時30分から4月1日1時 59分:換気停止。
【0117】
その後、2時間サイクルごとに、同様の換気、停止動作を入力し、メモリに記憶する。
この換気パターンに従った換気を行うため、記憶された初期換気情報を、メモリから読み出す(ステップS2)。
【0118】
時刻が4月1日0時0分になった時点で、エアコンや電気暖房機器が動作しているかを確認する(ステップS3,S4)。
エアコンや電気暖房機器が動作していない場合は、換気動作を実施する(ステップS4,S9)。
【0119】
ここで、外気温度Toutが室内温度Tinより5℃以上高い場合を夏とし、外気温度が室内温度より5℃以下低い場合を冬に設定するものとする。
すなわち、季節判断定数として、A=5、B=−5を設定する(ステップS101)。
【0120】
各温度センサーから、温度データを取得する(ステップS102)。
外気温度を、温度センサーSE2から読み込む。ここで、たとえば、検出された外気温度(Tout)を20度とする。
室内温度を、温度センサーSE1から読み込む。ここで、たとえば、検出された室内温度(Tin)を16度とする。
風呂熱交換器の温度(風呂温度)を、温度センサーSE3から読み込む。
屋根熱交換器の温度(屋根温度)を、温度センサーSE4から読み込む。
地中熱交換器の温度(地熱温度)を、温度センサーSE8から読み込む。
ただし、この実施例では、これら3つの熱交換器の温度は、使用しない。
【0121】
温度差T0(Tout−Tin)を計算し(ステップS103)、季節判断定数(A,B)と比較する(ステップS104)。ここでは、T0=Tout−Tin=20−16=4である。
外気温度と室内温度との差(T0)は5℃未満なので、春秋モードと判別する(ステップS105,S106)。
【0122】
ダンパーV6を大気側に開き、外気を取り入れる(ステップS201)。
同時にダンパーV1を閉じて、エアコン室外機4の吸い込みと住宅室内からの室内排気口3を接続する(ステップS202)。
1分間、換気動作を実施する(ステップS203)。
【0123】
時刻と換気動作(換気動作を実施したか不実施か)と換気積算時間(この換気サイクル内での換気積算時間)を、メモリに書き込む(ステップS10)。
再度、エアコンや電気暖房機器が動作しているか否か調べる(ステップS4)。
以上の処理を繰り返し実行する。このときの換気パターンは、図6(a)に示すような動作となる。
【0124】
<実施例2>
ここでは、春秋モードA(図7,図12)の場合で、エアコン等の機器が動作している場合の例について説明する。
ここで、エアコンや電気暖房機器は不定期動作とし、ガス石油暖房器は不動作とする。
まず、図6に示す初期換気パターン(初期換気情報)を入力する(ステップS1)。
例えば、次のようなデータを入力する。
4月1日0時00分から4月1日0時 4分:5分間換気、
4月1日0時05分から4月1日0時 9分:換気停止、
4月1日0時10分から4月1日0時 14分:5分間換気、
4月1日0時15分から4月1日0時 19分:換気停止、
4月1日0時20分から4月1日0時 25分:5分間換気、
4月1日0時25分から4月1日0時 29分:換気停止、
4月1日0時30分から4月1日1時 59分:換気停止。
【0125】
その後、2時間サイクルごとに、同様の換気、停止動作を入力し、メモリに記憶する。
記憶された初期換気情報を、メモリから読み出す(ステップS2)。
【0126】
時刻が4月1日0時0分になった時点で、エアコンや電気暖房機器が動作しているかを確認する(ステップS3,S4)。
エアコンや電気暖房機器が動作していない場合は、換気動作を実施する(ステップS4,S9)。
【0127】
実施例1と同様に、外気温度Toutが室内温度Tinより5℃以上高い場合を夏とし、外気温度が室内温度より5℃以下低い場合を冬に設定するものとする。
すなわち、季節判断定数として、A=5 B=−5を設定する(ステップS101)。
【0128】
各温度センサーから、温度データを取得する(ステップS102)。
外気温度をセンサーSE2から読み込む(Tout=20とする)。
室内温度をセンサーSE1から読み込む(Tin=16とする)。
風呂温度をセンサーSE3から読み込む。
屋根温度をセンサーSE4から読み込む。
地熱温度をセンサーSE8から読み込む。
【0129】
温度差T0(Tout−Tin)を計算し(ステップS103)、季節判断定数(A,B)と比較する(ステップS104)。ここでは、T0=Tout−Tin=20−16=4である。
外気温度と室内温度との差(T0)は5℃未満なので、春秋モードと判断する(ステップS105,S106)。
【0130】
ダンパーV6を大気側に開き、外気を取り入れる(ステップS201)。
同時にダンパーV1を閉じて、エアコン室外機4の吸い込みと住宅からの室内排気口3を接続する(ステップS202)。
1分間換気動作を実施する(ステップS203)。
時刻と換気動作と換気積算時間を、メモリに書き込む(ステップS10)。
再度、エアコンや暖房機器が動作しているか否か調べる(ステップS4)。
【0131】
ここで、エアコン等が動作していることが検出されたとする。
このとき、換気動作を停止する。また残りの時間から、換気動作をシフトしたとしても、所定の換気動作が終了するか否か調べる(ステップS5)。
換気動作をシフトしてもよい場合、石油あるいはガス暖房機器が動作しているか調べる(ステップS6)。
石油あるいはガス暖房機器が動作していない場合は、さらに、前回の換気から所定時間以上換気していないかを調べる(ステップS7)。ここで、たとえば、30分以上換気動作がなされていない場合は、ステップS9へ進み、強制換気を実施する。
【0132】
一方、石油暖房機器が不動作で、所定の不動作期間(30分)も経過していない場合、新たな換気予定時間、換気積算時間を、メモリに記憶する(ステップS8)。
次の換気予定時刻に到達したら、同様にエアコンや電気暖房機器の動作状況を確認して、以下の処理を繰り返す(ステップS3,S4)。
【0133】
この実施例2の場合の換気パターンは、例えば図7(a)であり、エアコンや暖房機器の動作パターンは、図7(b)に示したものとなる。エアコンや電気暖房機器の動作状況に応じて、換気処理のタイミングを、後方にシフトしている。
【0134】
<実施例3>
ここでは、春秋モードA(図9,図12)の場合で、エアコン等の機器が動作している場合の例を説明する。実施例2と異なり、エアコン及び電気暖房機器の他に、特別な換気を必要とするガスや石油の暖房機器が不定期に動作しているものとする。
【0135】
まず、図6に示す初期換気パターン(初期換気情報)を入力する(ステップS1)。
例えば、次のようなデータを入力する。
4月1日0時00分から4月1日0時 4分:5分間換気、
4月1日0時05分から4月1日0時 9分:換気停止、
4月1日0時10分から4月1日0時 14分:5分間換気、
4月1日0時15分から4月1日0時 19分:換気停止、
4月1日0時20分から4月1日0時 25分:5分間換気、
4月1日0時25分から4月1日0時 29分:換気停止、
4月1日0時30分から4月1日1時 59分:換気停止。
【0136】
その後、2時間サイクルごとに、同様の換気、停止動作を入力し、メモリに記憶する。
記憶された初期換気情報を、メモリから読み出す(ステップS2)。
時刻が4月1日0時0分になった時点で、エアコンあるいは電気暖房機器が動作しているかを確認する(ステップS3,S4)。
エアコンあるいは電気暖房機器が動作していない場合は、換気動作を実施する(ステップS4,S9)。
外気温度Toutが室内温度Tinより5℃以上高い場合を夏とし、外気温度が室内温度より5℃以下低い場合を冬に設定するため、実施例1と同様に、季節判断定数として、A=5、B=−5を設定する(ステップS101)。
【0137】
各温度センサーから、温度データを取得する(ステップS102)。
外気温度をセンサーSE2から読み込む。検出された外気温度Toutを20度とする。
室内温度をセンサーSE1から読み込む。検出された室内温度Tinを16度とする。
風呂温度をセンサーSE3から読み込む。検出された風呂温度Tfuを24度とする。
屋根温度をセンサーSE4から読み込む。検出された屋根温度Tyaを50度とする。
地熱温度をセンサーSE8から読み込む。検出された地熱温度Tciを22度とする。
【0138】
温度差T0を計算し(ステップS103)、季節判断定数(A,B)と比較する(ステップS104)。ここでは、T0=Tout−Tin=20−16=4である。
外気温度(20度)と室内温度(16度)との差(T0=4)は5℃未満なので、春秋モードと判別する(ステップS105,S106)。
【0139】
ダンパーV6を大気側に開き、外気を取り入れる(ステップS201)。
同時にダンパーV1を閉じて、エアコン室外機4の吸い込みと住宅からの室内排気口3を接続する(ステップS202)。
1分間、換気動作を実施する(ステップS203)。
時刻と換気動作と換気積算時間を、メモリに書き込む(ステップS10)。
ステップS3へ戻り、上記動作を繰り返し、換気パターンで設定された換気を実行する。
【0140】
次に、石油あるいはガス暖房機器が動作しているか調べる(ステップS6)。石油暖房機器等が動作していない場合は、前回の換気から所定時間以上換気していないか(換気不動作期間の経過)を調べる(ステップS7)。
石油あるいはガス暖房機器が動作していた場合で、換気の不動作期間が所定時間(例えば一酸化炭素中毒回避のために30分を仮設定)以上経過した場合は、換気処理を実行する(ステップS9)。
【0141】
図9(a)が、この実施例3の換気パターンを示したものであり、図9(b)が、エアコン等の動作パターンを示したものであり、図9(c)が石油あるいはガス暖房機器の動作パターンである。
【0142】
<実施例4>
ここでは、夏モードB(図13)の場合で、エアコン等が動作している場合の例について説明する。
まず、図6に示す初期換気パターン(初期換気情報)を入力する(ステップS1)。
例えば、次のようなデータを入力する。
8月1日0時00分から8月1日0時04分 5分間換気、
8月1日0時05分から8月1日0時09分 換気停止、
8月1日0時10分から8月1日0時14分 5分間換気、
8月1日0時15分から8月1日0時19分 換気停止、
8月1日0時20分から8月1日0時25分 5分間換気、
8月1日0時25分から8月1日0時29分 換気停止、
8月1日0時30分から8月1日1時59分 換気停止。
【0143】
その後、2時間サイクルごとに、同様の換気、停止動作を入力し、メモリに記憶する。
記憶された初期換気情報を、メモリから読み出す(ステップS2)。
時刻が8月1日0時0分になった時点で、エアコンと電気暖房機器が動作しているかを確認する(ステップS3,S4)。
ここで、エアコンあるいは電気暖房機器が動作していた場合は、換気動作をシフトしても所定の換気動作が終了できるか調べる(ステップS5)。
【0144】
シフトしてもよい場合は、ガスあるいは石油暖房機器が動作しているか調べる(ステップS6)。動作していない場合は、さらに換気動作が所定期間以上実施されていないかどうか(不動作期間の経過)を調べる(ステップS7)。
ガス暖房機器が不動作かつ不動作期間が経過していない場合、換気をシフトした後の新たな換気予定時間や、積算換気時間を、メモリに記憶させる(ステップS8)。
【0145】
ステップS3へ戻り、再度上記処理を繰り返す。エアコン等が動作していない状態の場合と(ステップS4)、換気動作をシフトすると所定の換気動作が終了しなくなる場合(ステップS5)は、どちらも換気動作を実行する(ステップS9)。
【0146】
ステップS9の中で、各温度センサーから、温度データを取得する(ステップS102)。
外気温度をセンサーSE2から読み込む。外気温度Toutを35度とする。
室内温度をセンサーSE1から読み込む。室内温度Tinを25度とする。
風呂温度をセンサーSE3から読み込む。風呂温度Tfuを24度とする。
屋根温度をセンサーSE4から読み込む。屋根温度Tyaを50度とする。
地熱温度をセンサーSE8から読み込む。地熱温度Tciを22度とする。
【0147】
温度差T0を計算し(ステップS103)、季節判断定数(A,B)と比較する(ステップS104)。ここでは、T0=Tout−Tin=35−25=10である。
外気温度Toutと室内温度Tinとの差(T0=10)が5℃以上であるので、夏モードと判断する(ステップS105,S107)。
【0148】
地熱温度(Tci=22)と、風呂温度(Tfu=24)とを比較する(ステップS108)。風呂温度(Tfu)の方が高いので、夏モードBの換気処理を実行する(ステップS109)。
【0149】
ダンパーV6を閉じて、第1空気吸込口9から空気を取り入れる経路に切り替える(ステップS211)。
同時にダンパーV1を閉じて、エアコン室外機4の吸い込みと住宅からの室内排気口3を接続する(ステップS212)。
地熱温度(Tci=22)が風呂温度(Tfu=24)に比較して低いので、ダンパーV2とダンパーV5を、地中熱交換器を接続する経路に切り替える(ステップS213)。
次に、1分間換気動作を実施する(ステップS214)。
時刻と換気動作と換気積算時間をメモリに書き込む(ステップS10)。
上記動作を繰り返し、設定された換気パターンの換気を実行する。
2時間の所定の換気動作を終了して、次の2時間の換気動作に入る。
【0150】
図18(a)に、この実施例4において、取り込んだ外気の温度プロフィールと、排気空気の温度プロフィールとの一実施例のグラフを示す。
夏の温度の高い外気(35度)は、地中熱交換器HE1で熱交換し温度が低下させられる。その後熱交換器HE4によって、室内から排出される室内空気と熱交換され、さらに温度を低下させられて、室内に供給される。室内に取り入れられた空気と室内の空気が、混じりエアコンにより冷却され室内温度25℃に調節される。
一方、室内からの排出される空気(25度)は、導入された外気と熱交換器HE4にて熱交換することにより温度が上昇させられ、その後エアコンの室外機4の熱交換器5にて熱交換され、温度がさらに上昇し大気中に放出され大量の外気と混合して大気温度になる。
これに対して、図18(b)は、従来換気の場合の一例であり、外気(大気)は35℃の温度まま室内へ取り入れられ、室内空気と混合されながらエアコンにより25℃に冷却される。一方、排出空気は、室温のまま室外へ放出される。
本発明の換気方式は、従来換気方式に比較し室内へ供給されエアコンにより冷却される前の空気温度と室内空気温度の差が小さく、エアコンに使用されるエネルギーが少なくなる。その結果、換気と室内空調に使用されるトータルエネルギーが減少する。
【0151】
<実施例5>
ここでは、夏モードC(図14)の場合で、エアコン等が動作していない場合の例について説明する。
まず、図6に示す初期換気パターン(初期換気情報)を入力する(ステップS1)。
例えば、次のようなデータを入力する。
8月1日0時00分から8月1日0時04分 5分間換気、
8月1日0時05分から8月1日0時09分 換気停止、
8月1日0時10分から8月1日0時14分 5分間換気、
8月1日0時15分から8月1日0時19分 換気停止、
8月1日0時20分から8月1日0時25分 5分間換気、
8月1日0時25分から8月1日0時29分 換気停止、
8月1日0時30分から8月1日1時59分 換気停止。
【0152】
その後、2時間サイクルごとに、同様の換気、停止動作を入力し、メモリに記憶する。
記憶された初期換気情報を、メモリから読み出す(ステップS2)。
時刻が8月1日0時0分になった時点で、エアコンと電気暖房機器が動作しているかを確認する(ステップS3,S4)。
エアコンや電気暖房機器が動作している場合は、換気動作をシフトしても所定の換気動作が終了できるか調べる(ステップS5)。
エアコンや電気暖房機器が動作していない場合は、換気動作を実行する(ステップS9)。
【0153】
ステップS9において、各温度センサーから、温度データを取得する(ステップS102)。
外気温度をセンサーSE2から読み込む。外気温度Toutを、35度とする。
室内温度をセンサーSE1から読み込む。室内温度Tinを、25度とする。
風呂温度をセンサーSE3から読み込む。風呂温度Tfuを、22度とする。
屋根温度をセンサーSE4から読み込む。屋根温度Tyaを、50度とする。
地熱温度をセンサーSE8から読み込む。地熱温度Tciを、24度とする。
【0154】
温度差T0を計算し(ステップS103)、季節判断定数(A,B)と比較する(ステップS104)。ここでは、T0=Tout−Tin=35−25=10である。
外気温度Toutと室内温度Tinとの差(T0=10)は、5℃以上なので、夏モードと判断する(ステップS105,S107)。
【0155】
地熱温度(Tci=24)と風呂温度(Tfu=22)とを比較する(ステップS108)。
風呂温度(Tfu)の方が低いので、夏モードCの換気処理を実行する(ステップS110)。
ダンパーV6を閉じて、第1空気吸込口9から外気を取り入れる経路に切り替える(ステップS221)。
同時にダンパーV1を閉じて、エアコン室外機4の吸い込み経路と住宅からの換気のための排気経路を接続する(ステップS222)。
ダンパーV2,V3,V4およびV5を、風呂交換器側の経路に切り替える(ステップS223)。
【0156】
1分間、換気動作を実施する(ステップS224)。
時刻と換気動作と換気積算時間を、メモリに書き込む(ステップS10)。
ステップS3へ戻り、上記の動作を繰り返す。
その後、2時間の換気プロセスを終了した場合、次の2時間の換気プロセスに入る。
【0157】
図19に、この実施例5において、取り込んだ外気(取込外気)と排出空気との温度プロフィールを示す。
温度の高い外気(Tout=35度)は、地中熱交換器(Tci=24度)で熱交換され温度が多少低下し(地中熱交換器との接触時間にもよるが35℃〜24℃の間の温度)、風呂熱交換器(Tfu=22度)にて熱交換され温度がさらに低下する(風呂熱交換器温度が22℃であるが熱交換後の温度は、多少高い温度までしか冷却されない。)
最後に、室内からの排出空気(Tin=25度)と熱交換されて、室内に導入される。
一方、室内からの排出空気(Tin=25度)は、熱交換器4による熱交換によって温度が上昇する。さらに室外機の熱交換器5と熱交換して、外部に排出される。
なお、エアコンが動作している場合は、外気温度(Tout=35度)より室外機の熱交換器温度が高い場合が多く、排気される空気は、外気温度より高い場合もある。
【0158】
<実施例6>
ここでは、冬モードE(図16)の場合で、エアコン等が動作している場合の例について説明する。
まず、図6に示す初期換気パターン(初期換気情報)を入力する(ステップS1)。
たとえば、次のようなデータを入力する。
1月1日0時00分から1月1日0時04分 5分間換気、
1月1日0時05分から1月1日0時09分 換気停止、
1月1日0時10分から1月1日0時14分 5分間換気、
1月1日0時15分から1月1日0時19分 換気停止、
1月1日0時20分から1月1日0時25分 5分間換気、
1月1日0時25分から1月1日0時29分 換気停止、
1月1日0時30分から1月1日1時59分 換気停止。
【0159】
その後、2時間サイクルごとに、同様の換気動作を、積算時間で15分間動作、換気停止が105分間になるように入力し、メモリに記憶する。
記憶された初期換気情報を、メモリから読み出す(ステップS2)。
【0160】
時刻が1月1日0時0分になった時点で、換気予定時刻か否かを調べる(ステップS3)。
換気予定時刻になっている場合、エアコンと電気暖房機器が動作しているかを確認する(ステップS4)。
エアコンや電気暖房機器が動作している場合は、換気動作をシフトしても所定の換気動作が終了できるか確認する(ステップS5)。
換気動作をシフトすると所定の換気動作が終了しない場合は、エアコン、電気暖房機器が動作していても換気処理を実行する(ステップS9)。
【0161】
シフトしても所定の換気動作が終了する場合は、ガスあるいは石油暖房機器が動作しているか調べる(ステップS6)。さらに、換気不動作期間(たとえば30分)がすでに経過したか否か確認する(ステップS7)。
ガスあるいは石油暖房機器が動作しておらず、不動作期間も経過していない場合、換気をシフトするための新たな時刻と換気動作、積算換気時間を、メモリに記憶する(ステップS8)。
再度、ステップS3へ戻り、上記処理を繰り返す。
【0162】
エアコン等が動作していない状態か(ステップS4)、換気動作をシフトすると所定の換気動作が終了しなくなる場合か(ステップS5)、石油あるいはガス暖房機器が動作中か(ステップS6)、所定期間以上換気動作がなされていない状態となっている場合(ステップS7)は、いずれも換気処理を実行する(ステップS9)。
【0163】
ステップS9において、各温度センサーから、温度データを取得する(ステップS102)。
外気温度をセンサーSE2から読み込む。外気温度Toutを、5度とする。
室内温度をセンサーSE1から読み込む。室内温度Tinを、18度とする。
風呂温度をセンサーSE3から読み込む。風呂温度Tfuを、30度とする。
屋根温度をセンサーSE4から読み込む。屋根温度Tyaを、15度とする。
地熱温度をセンサーSE8から読み込む。地熱温度Tciを、10度とする。
【0164】
温度差T0を計算し(ステップS103)、季節判断定数(A,B)と比較する(ステップS104)。ここでは、T0=Tout−Tin=5−18=−13である。
外気温度と室内温度との差(T0=−13)は、-5℃よりも低いので、冬モードと判断 する(ステップS105,S107)。
【0165】
風呂温度(Tfu=30)が、屋根温度(Tya=15)と地熱温度(Tci=10)よりも高いので、冬モードEの換気処理を実行する(ステップS115)。
【0166】
ダンパーV6を閉じて、空気吸込口9から空気を取り入れる経路に切り替える(ステップS241)。
同時にダンパーV1を閉じてエアコン室外機4の吸い込みと住宅からの室内排気口3を接続する(ステップS242)。
ダンパーV2,V3,V4およびV5を、風呂熱交換器側に切り替える(ステップS2 43)。
1分間、換気動作を実施する(ステップS244)。
【0167】
時刻と換気動作と換気積算時間を、メモリに書き込む(ステップS10)。
ステップS3へ戻り、上記動作を繰り返す。
その後、2時間の所定の換気動作を終了して、次の換気動作を実施する。
なお、所定の換気が終了しても、ガスおよび石油暖房機器が動作している場合は、換気動作を実行することが好ましい。
【0168】
図21に、この実施例6において、取り込み空気(取込外気)と排出空気の温度プロフィールを示す。
冬の冷たい外気(Tout=5度)は、まず、地熱交換器(Tci=10度)にて熱交換され温度が多少上昇する。温度は、外気温度5度〜地中熱交換器10度の間の温度になる。
その後、風呂熱交換器(Tfu=30度)にて熱交換され、更に温度が上昇する。温度は、風呂熱交換器温度より多少低い温度なる。
さらに、室内から排出される換気空気(Tin=18度)と熱交換され、加温されて室内に取り入れられる。
一方、排出空気(Tin=18度)は、取り入れた外気と熱交換して多少温度が低下する。
更に、エアコンの室外機4の熱交換器5と熱交換することにより、外気温度以下に低下させられた後、外部に排出される。
また、図20(b)従来換気の場合の取り込み空気(取込外気)と排出空気の温度プロフィールを示す。
冬の外気(Tout=5度)は直接室内へ取り込まれ室内空気と混合されながらエアコン等の暖房機器にて加温されながら18度に調節される。
一方、排出空気は、18度で排出され外気と混合され大気温度になる。
【0169】
<実施例7>
ここでは、冬モードF(図17)の場合の換気処理の一実施例について説明する。
まず、図6に示す初期換気パターン(初期換気情報)を入力する(ステップS1)。
例えば、次のデータを入力するものとする。
1月1日0時00分 から1月1日0時04分 5分間換気、
1月1日0時05分 から1月1日0時09分 換気停止、
1月1日0時10分 から1月1日0時14分 5分間換気、
1月1日0時15分 から1月1日0時19分 換気停止、
1月1日0時20分 から1月1日0時25分 5分間換気、
1月1日0時25分 から1月1日0時29分 換気停止、
1月1日0時30分 から1月1日1時59分 換気停止。
【0170】
その後、2時間サイクルごとに、積算時間で15分間の換気動作と、105分間の停止動作を実施するように、データを入力し、メモリに記憶する。
記憶された初期換気情報を、メモリから読み出す(ステップS2)。
時刻が1月1日0時0分になった時点で、読み出した換気情報を確認して、換気予定時刻か否かを調べる(ステップS3)。
【0171】
換気予定時刻になっている場合、エアコンと電気暖房機器が動作しているかを確認する(ステップS4)。
エアコンや電気暖房機器が動作している場合は、換気動作をシフトしてもよいか否か(換気開始時刻をシフトしても所定の換気動作が終了できるか否か)を調べる(ステップS5)。
換気動作がシフト可能な場合、ガスあるいは石油暖房機器が動作しているか否か調べる(ステップS6)。動作していない場合は、換気不動作期間が経過していないかを確認する(ステップS7)。
【0172】
ガスあるいは石油暖房機器が動作しておらず、不動作期間も経過していない場合、換気動作をシフトした後の新たな時刻と換気動作、積算換気時間を、メモリに記憶する(ステップS8)。
再度ステップS3へ戻り、上記処理を繰り返す。
【0173】
エアコン等が動作していない状態(ステップS4)、あるいは換気動作をシフトすることができない場合(ステップS5)は、換気動作を実行する(ステップS9)。
【0174】
ステップS9において、各温度センサーから、温度データを取得する(ステップS102)。
外気温度センサーSE2から読み込む。外気温度Toutを、5度とする。
室内温度センサーSE1から読み込む。室内温度Tinを、18度とする。
風呂温度をセンサーSE3から読み込む。風呂温度Tfuを、15度とする。
屋根温度をセンサーSE4から読み込む。屋根温度Tyaを、22度とする。
地熱温度をセンサーSE8から読み込む。地熱温度Tciを、17度とする。
【0175】
温度差T0=Tout−Tin=5−18=−13を計算する(ステップS103)。
温度差T0と季節判断定数(A,B)とを比較する(ステップS104)。
外気温度Toutと室内温度Tinの温度差(T0=−13)は、-5℃よりも低いので、冬モードと判断する(ステップS105,S107)。
【0176】
屋根温度(Tya=22)が、風呂温度(Tfu=15)と地熱温度(Tci=17)よりも高いので、冬モードFと判断し、冬モードの換気処理を実行する(ステップS117)。
【0177】
ダンパーV6を閉じて、第1空気吸込口9から空気を取り入れる経路に切り替える(ステップS251)。
同時にダンパーV1を閉じて、エアコンの室外機4の吸い込みと住宅からの室内排気口3を接続する(ステップS252)。
ダンパーV2とダンパーV3とダンパーV4とダンパーV5を、屋根熱交換器側に切り替える(ステップS253)。
1分間、換気動作を実施する(ステップS254)。
【0178】
時刻と換気動作と換気積算時間を、メモリに書き込む(ステップS10)。
ステップS3へ戻り、上記動作を繰り返す(ステップS3〜S10)。
その後、2時間で所定の換気動作を終了して、次の換気動作を実施する。
【0179】
図22に、この実施例7において、取り入れ空気(取込外気)と排気空気の温度プロフィールを示す。
ここで、冬の冷たい外気(Tout=5)は、地中熱交換器(Tci=17)にて熱交換され、少し温度が上昇する。温度は、5度〜17度の間の温度になる。
さらに、太陽の熱により加熱された屋根熱交換器(Tya=22)と熱交換され、温度が上昇する。温度は、22℃より低い温度に熱交換される。
最後に室内排気空気と熱交換され、更に温度が上昇し、室内に供給される。
一方、排出空気(Tin=18)は、室内取入空気と熱交換して温度が低下し、さらにエアコン室外機4の熱交換器5と熱交換して、温度がさらに低下した状態で、外部へ排出される。
【0180】
<実施例8>
ここでは、冬モードD(図15)の場合の換気処理の一実施例について説明する。
図6に示す換気の初期動作パターン(初期換気情報)を入力する(ステップS1)。
たとえば、次のデータを入力する。
1月1日0時00分 から1月1日0時04分 5分間換気、
1月1日0時05分 から1月1日0時09分 換気停止、
1月1日0時10分 から1月1日0時14分 5分間換気、
1月1日0時15分 から1月1日0時19分 換気停止、
1月1日0時20分 から1月1日0時25分 5分間換気、
1月1日0時25分 から1月1日0時29分 換気停止、
1月1日0時30分 から1月1日1時59分 換気停止。
【0181】
その後、2時間サイクルごとに、同様の換気動作を、積算時間で15分間動作、換気停止が105分間となるように入力し、メモリに記憶する。
記憶された初期換気情報を、メモリから読み出す(ステップS2)。
【0182】
換気予定時刻になった場合、エアコンと電気暖房機器が動作しているか否か確認する(ステップS3,S4)。
エアコン等が動作している場合、換気動作をシフトしても所定の換気が終了できるか確認する(ステップS5)。
【0183】
シフトが可能な場合、ガス石油暖房機器が動作中か否か確認する(ステップS6)。
さらに、換気不動作期間(たとえば30分)が経過したか否か確認する(ステップS7)。
ガス石油暖房機器が動作しておらず、換気不動作期間も経過していない場合、換気処理は行わず、換気パターン(換気情報)をシフト後の情報に変更する(ステップS8)。
一方、ガス石油暖房機器が動作中であるか、あるいは換気不動作期間がすでに経過している場合は、換気処理を実行する(ステップS9)。
エアコンや電気暖房機器が動作していない場合や、シフトできない場合も、換気処理を実行する(ステップS9)。
【0184】
ステップS9において、各温度センサーから、現在の温度データを取得する(ステップS102)。
ここで、次の温度データが、取得されたものとする。
外気温度センサーSE2:外気温度Toutを、5度とする。
室内温度センサーSE1:室内温度Tinを、18度とする。
風呂温度センサーSE3:風呂温度Tfuを、10度とする。
屋根温度センサーSE4:屋根温度Tyaを、15度とする。
地熱温度センサーSE8:地熱温度Tciを、17度とする。
【0185】
温度差T0=Tout−Tin=5−18=−13を計算する(ステップS103)。
温度差T0と、季節判断定数(A,B)とを比較する(ステップS104)。
温度差T0(=−13)は、定数A(=5)よりも小さいので、冬モードと判断する(ステップS105,S107)。
さらに、地熱温度Tci(=17)は、風呂温度Tfu(=10)と屋根温度Tya(=15)よりも高いので、冬モードDと判断し、地熱交換を利用した換気処理を実行する(ステップS112,S113)。
【0186】
ダンパーV6を閉じる(ステップS231)。
ダンパーV1を閉じる(ステップS232)。
ダンパーV2とV5とを、地中熱交換器が外気取入口2への経路に接続されるように切り替える(ステップS233)。
室外機ファンを用いて、一定時間(たとえば1分間)、換気動作を行う(ステップS234)。
【0187】
実換気情報(換気実施時間、換気のONまたはOFF、積算換気時間)を、メモリに記憶する(ステップS10)。
その後、ステップS3へ戻り、上記処理(ステップS3〜S10)を繰り返す。
冬モードDで、エアコン等が動作中であり、ガス暖房機器等が不動作である場合は、たとえば図8のような換気パターンとなる。また、エアコン及びガス暖房機器等がどちらも動作中である場合は、たとえば、図9のような換気パターンとなる。
【0188】
図20(a)に、冬モードDの場合の取り入れ空気(取込外気)と排出空気の温度プロフィールの一実施例を示す。
室内温度Tin(=18)よりも低い温度Tout(=5)の外気は、地中熱交換器HE1にて地熱と熱交換して、温度が上昇する。温度は、外気温度5度〜地中熱交換器温度17度の間の温度範囲内で加温される。
更に、取り入れ空気(取込外気)は、熱交換器HE4により排出空気と熱交換され、温度がさらに上昇し、室内へ供給される。
一方、室内からの排出空気(Tin=18)は、熱交換器HE4により、取り入れ空気(取込外気)と熱交換して温度が低下させられ、エアコン室外機6の熱交換器5と熱交換して、温度がさらに低下させられ外部に排出される。
なお、エアコンが間欠的に室内暖房をしている場合は、エアコンの室外機の熱交換器の温度が、外気温度より低下している場合もある。
【符号の説明】
【0189】
1 住宅
2 外気取入口
3 室内排気口
4 エアコン室外機
5 室外機熱交換器(空調熱交換器)
6 室外機ファン(換気ファン)
7 エアコン室内機
8 エアコン圧縮機
9 第1外気吸込口
10 電気暖房機器
11 第2外気吸込口
12 コントロール部
13 ガス或いは石油暖房機器
14 交差部
15 外部排気口
101 換気制御部(コントロール部)
102 温度監視部(温度センサー)
103 温度監視機器
104 機器監視部
105 空調機器
106 換気動力部(換気ファン)
107 経路切替部
110 記憶部(メモリ)
111 初期換気情報
112 実換気情報
113 機器監視情報
114 温度データ
115 ダンパー制御情報
HE 熱交換部
HE1 地中熱交換器
HE2 風呂熱交換器
HE3 屋根熱交換器
HE4 内外熱交換器
SE1 温度センサー(室内温度)
SE2 温度センサー(外気取入口)
SE3 温度センサー(風呂熱交換器)
SE4 温度センサー(屋根熱交換器)
SE5 温度センサー(エアコン吹き出し)
SE6 温度センサー(室内外気取入口)
SE7 温度センサー(エアコン室外機熱交換)
SE8 温度センサー(地中熱交換器)
SE9 温度センサー(電気暖房機器)
SE10 温度センサー(ガス或いは石油暖房機器)
V1 分岐ダンパー
V2 分岐ダンパー
V3 分岐ダンパー
V4 分岐ダンパー
V5 分岐ダンパー
V6 分岐ダンパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空気を外部へ排出する排気経路と、
外気を室内へ吸込む吸込経路と、
排気経路上に配置され、室内空気の空調を行うとともに排気経路を通過してきた空気を外部へ強制的に排出する換気動力部と、
排気経路と吸込経路とが隣接交差する位置に配置され、排気経路を流れる排気空気と吸込経路を流れる吸込空気とに接触して熱交換を行う交差部と、
吸込経路上であって、外気が導入される外気吸込口と前記交差部との間に接続された外気の温度調整をする熱交換部と、
室内と、前記外気吸込口と、前記熱交換部の温度を測定する温度監視部と、
前記温度監視部が測定した温度に基づいて、前記換気動力部を制御する換気制御部と
を備えたことを特徴とする換気システム。
【請求項2】
前記換気動力部は、空調機器の換気ファンであり、
排気経路上に設けられた前記交差部と、外部へ空気を排気する外部排気口との間に設けられたことを特徴とする請求項1の換気システム。
【請求項3】
前記交差部は、前記排気経路と吸込経路とが並行して配置された領域にあり、その領域内の排気経路を流れる排気空気と吸込経路を流れる吸込空気との両方に接触する内外熱交換器を備えたことを特徴とする請求項1または2の換気システム。
【請求項4】
前記熱交換部は、地中熱交換器,風呂熱交換器,および屋根熱交換器のうち少なくとも1つ以上の熱交換器を含むことを特徴とする請求項1,2または3のいずれかの換気システム。
【請求項5】
前記熱交換部が複数の熱交換器からなる場合、
前記外気吸込口と交差部との間の吸込経路に接続される熱交換器を切り替える経路切替部をさらに備え、
接続された熱交換器によって温度調整された後の吸込空気が、前記交差部へ導かれることを特徴とする請求項4の換気システム。
【請求項6】
前記温度監視部が、前記熱交換部の各熱交換器の温度を測定し、
前記換気制御部が、測定された各熱交換器の温度の差に基づいて、吸込経路に接続する熱交換器を決定し、前記経路切替部によって、決定された熱交換器を吸込経路に接続させることを特徴とする請求項5の換気システム。
【請求項7】
前記換気動力部と前記経路切替部とを制御するタイムスケジュールが設定された初期換気情報を記憶した記憶部をさらに備え、
前記換気制御部は、前記初期換気情報に基づいて、前記換気動力部と前記経路切替部とを制御して、所定の法定された換気処理を実行することを特徴とする請求項6の換気システム。
【請求項8】
空調機器の動作および停止を検出する機器監視部をさらに備え、
前記換気制御部は、前記機器監視部によって空調機器が動作していることが検出されたときは、前記初期換気情報によって設定されていた換気処理を実行せずに保留し、
その後の空調機器が停止しているときに、保留されていた換気処理を実行するようにすることを特徴とする請求項7の換気システム。
【請求項9】
前記空調機器が、エアコン,電気暖房機器,石油暖房機器,ガス暖房機器のいずれかであることを特徴とする請求項8の換気システム。
【請求項10】
前記空調機器が、エアコンまたは電気暖房機器である場合、
所定の法定された換気処理を実行するために、前記機器監視部によって前記空調機器が動作していることが検出された場合でも、換気処理を保留せずに続行することを特徴とする請求項9の換気システム。
【請求項11】
前記空調機器に、石油暖房機器またはガス暖房機器が含まれている場合、
前記機器監視部によって前記石油暖房機器またはガス暖房機器が動作していることが検出されたときに、前記初期換気情報によって設定されていたタイムスケジュールとは別に、換気処理を実行することを特徴とする請求項10の換気システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−52904(P2011−52904A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202738(P2009−202738)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】