説明

換気設備

【課題】換気を必要としないときに通気孔を遮蔽して、通気孔から水分等が室内へ侵入することを防止できる換気設備を提供すること。
【解決手段】輸送機器100に形設された所定室の開口部104aに配設される換気設備1は、室外と連通する通気孔2bが貫通形成された通気部材2を備える。通気孔2bを避けて室内側に配設固定される第1受部材3及び第2受部材4(受部材の一種)に遮蔽部材5が装着されることにより、通気部材2の通気孔2bが遮蔽される。これにより、換気を必要としないときに遮蔽部材5により通気孔2bを遮蔽することができ、通気孔2bを遮蔽することにより通気孔2bから水分等が室内へ侵入することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は換気設備に関し、特に、換気を必要としないときに通気孔を遮蔽して水分等が室内へ侵入することを防止できる換気設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車、鉄道車両等の輸送機器に形設される客室や機器室等には、湿度の調整や排熱等を目的とする換気設備が設けられる。例えば、特許文献1には、輸送機器としてのタンクセミトレーラ(タンク型車両)が開示されている。特許文献1に開示される輸送機器では、各種弁や配管等が収容された機器室が形設されており、機器室の壁面に換気設備が配設されている。その換気設備は、機器室の壁面に開口形成されるスリット状の通気孔と、その通気孔の上に取着される雨よけ用の庇とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−83034号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術では、換気設備の通気孔が常時開いているので、輸送機器の移動中(走行中)に通気孔から雨等の水分や埃等が機器室内に侵入し、侵入した水分等により機器室内の各種弁や配管等が汚れたり腐食したりするという問題点があった。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、換気を必要としないときに通気孔を遮蔽して、通気孔から水分等が室内へ侵入することを防止できる換気設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載の換気設備によれば、輸送機器に形設された所定室に配設される換気設備において、所定室に形成される開口部に配設固定され室外と連通する通気孔を有する通気部材を備え、その通気部材に対して室内側の所定室に通気孔を避けて配設固定される受部材に遮蔽部材が装着されることにより、通気孔が遮蔽される。これにより、換気を必要としないときに遮蔽部材により通気孔を遮蔽することができ、通気孔を遮蔽することにより通気孔から水分等が室内へ侵入することを防止できる効果がある。
【0007】
請求項2記載の換気設備によれば、受部材の挿入部により遮蔽部材が挿脱可能にされ、挿入部から挿入される遮蔽部材の移動が移動規制部により規制される。移動規制部は、遮蔽部材の側面および背面の所定部と相対する第1規制部および第2規制部を備えているので、第1規制部により遮蔽部材の側方への移動が規制され、第2規制部により遮蔽部材の背面側への移動が規制される。これにより請求項1の効果に加え、遮蔽部材を受部材に容易に装着できると共に、輸送機器の移動中に生じる振動等によって遮蔽部材の位置がずれたり外れたりすることを防止できる効果がある。
【0008】
請求項3記載の換気設備によれば、遮蔽部材が挿入部から挿入されて受部材に装着されると遮蔽部により通気孔が遮蔽される。また、遮蔽部により通気孔が遮蔽された状態から遮蔽部材を挿脱方向に所定距離だけずらすことにより、遮蔽部材に貫通形成される通気部により通気孔が室内と連通される。以上のように、遮蔽部材を挿入部から挿入し受部材に装着した状態で、通気孔の遮蔽と開放とを切換えることができる。その結果、通気孔を遮蔽するときだけでなく開放するときも、遮蔽部材を受部材に装着した状態にできる。通気孔を開放するときに遮蔽部材を受部材から取り外したままの状態にしておく必要がないため、請求項2の効果に加え、受部材から取り外した遮蔽部材の保管場所を不要にできる効果がある。
【0009】
請求項4記載の換気設備によれば、挿入部は受部材の上部側に開口形成されているので、挿入部から受部材に挿入された遮蔽部材に、重力により下向きの力が作用する。これにより、請求項2又は3の効果に加え、輸送機器の移動中に振動等が生じても、遮蔽部材が挿入部から抜けて受部材から外れてしまうことを抑制できる効果がある。
【0010】
請求項5記載の換気設備によれば、挿入部から遮蔽部材の一端が挿入されてその一端が第1規制部に当接すると、遮蔽部により通気孔が遮蔽される。また、挿入部から遮蔽部材の他端が挿入されてその他端が第1規制部に当接すると、通気部により通気孔が室内と連通される。以上のように、遮蔽部材の挿入部への挿入方向を変えるだけで通気孔の遮蔽と開放とを切換えることができるので、請求項3又は4の効果に加え、通気孔の遮蔽と開放との切換操作を容易にできる効果がある。
【0011】
請求項6記載の換気設備によれば、遮蔽部材は一端に最も近い通気部と一端との距離を、他端に最も近い通気部と他端との距離と異ならせているので、遮蔽部材の挿入部への挿入方向を変えることで通気孔の遮蔽と開放とを切換えることができる。これにより、請求項5の効果に加え、遮蔽部材の構造を簡略化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態における換気設備が搭載される輸送機器の側面図である。
【図2】換気設備が配設される機器室の側面図である。
【図3】図2のIII−III線における換気設備の断面図である。
【図4】(a)は第1受部材の正面図であり、(b)は第2受部材の正面図であり、(c)は遮蔽部材の正面図であり、(d)は遮蔽部材の側面図である。
【図5】(a)は遮蔽部により通気孔を遮蔽する遮蔽部材の背面図であり、(b)は通気部が通気孔に連通する遮蔽部材の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態における換気設備1が搭載される輸送機器100について説明する。図1は、換気設備1が搭載される輸送機器100の側面図である。
【0014】
図1に示すように、輸送機器100は、液化ガス等が収容されるタンク101と、そのタンク101を支持する輸送機器本体102と、その輸送機器本体102を走行可能に支持する複数の車輪103とを主に備えて構成され、タンク101の後方側に機器室104が形設されている。機器室104は、タンク101の積み荷の積み込みや荷下ろし等の荷役作業に用いられる各種弁や配管等が配設されている。
【0015】
図2は換気設備1が配設される機器室104の側面図である。機器室104は側面に開口部104aが開口形成されており、その開口部104aに換気設備1が配設されている。換気設備1の一部を構成する通気部材2は、開口部104aより大きめに形成された板状の部材である。通気部材2は、雨よけ用の庇2aが上下左右に並んで互いに間隔をあけて複数突設されており、庇2aの内側には、室外と連通するスリット状の通気孔2b(図5参照)が通気部材2の水平方向(図2左右方向)に貫通形成されている。庇2a及び通気孔2bは、上下方向に同一のピッチで形成されており、本実施の形態では、上下方向に6つの庇2a及び通気孔2bが形成されている。通気部材2は、開口部104aを塞ぐように鋲やボルト等の連結部材Cにより周縁部が機器室104の側面に固定されている。
【0016】
次に、図3及び図4を参照して、換気設備1の詳細構成について説明する。図3は図2のIII−III線における換気設備1の断面図であり、図4(a)は第1受部材3の正面図であり、図4(b)は第2受部材4の正面図であり、図4(c)は遮蔽部材5の正面図であり、図4(d)は遮蔽部材5の側面図である。
【0017】
図3に示すように、機器室104に形成された開口部104aに連結部材Cにより通気部材2が固定されている。連結部材Cは、さらに第1受部材3及び第2受部材4を貫通し、通気部材2の背面に第1受部材3及び第2受部材4を固定している。
【0018】
図4(a)に示すように、第1受部材3は、細長い板状に形成される第1受け部31と、その第1受け部31の両側から第1受け部31に対して略直交する方向に立設されると共に第1受け部31と同一平面上に位置する第1立設部32とを備えて構成されている。第1受け部31及び第1立設部32は、連結部材Cが貫設される貫通孔33が、通気部材2に穿設された貫通孔(図示せず)に対応する位置に穿設されている。図3に示すように、貫通孔33に連結部材Cを貫設することにより、第1受部材3は通気部材2の室内側に固定される。
【0019】
第1立設部32は、遮蔽部材5の幅(側面51c(図4(c)参照)間の距離)より少し広めの間隔をあけて平行に第1受け部31の両側に立設されている。第1立設部32の先端間には、遮蔽部材5の幅より少し広めの幅で開放する挿入部34が形成されている。第1立設部32の間隔(内縁32a間の距離)は遮蔽部材5の幅より広いので、挿入部34から第1立設部32の間に遮蔽部材5を挿入できる。
【0020】
また、図3に示すように、第1立設部32は、遮蔽部材5の厚さより少し厚めに形成されている。なお、第1受け部31も、第1立設部32と同様に遮蔽部材5の厚さより少し厚めに形成されている。これにより、第1受部材3が通気部材2の室内側に固定された状態で遮蔽部材5が第1立設部32の間に収容されると、遮蔽部材5の側面51cは第1立設部32の内縁32aに相対する。その結果、遮蔽部材5が第1立設部32の方向へ移動しようとしても、第1立設部32の内縁32aに遮蔽部材5の側面51cが当接するため、遮蔽部材5の側方(図4左右方向)への移動が規制される。
【0021】
また、第1受部材3が通気部材2の室内側に固定された状態で遮蔽部材5が第1立設部32の間に収容されると、遮蔽部材5の一端51a又は他端51b(側面)は第1受け部31の内縁31aに相対する。その結果、遮蔽部材5が第1受け部31の方向へ移動しようとしても、第1受け部31の内縁31aに遮蔽部材5の一端51a又は他端51b(側面)が当接するため、遮蔽部材5の側方(図4下方向)への移動が規制される。
【0022】
図4(b)に示すように、第2受部材4は、細長い板状に形成される第2受け部41と、その第2受け部41の両側から第2受け部41に対して略直交する方向に立設されると共に第2受け部41と同一平面上に位置する第2立設部42とを備えて構成されている。第2受け部41及び第2立設部42は、連結部材Cが貫設される貫通孔43が、通気部材2に穿設された貫通孔(図示せず)に対応する位置に穿設されている。貫通孔43に連結部材Cを貫設することにより、第2受部材4は通気部材2及び第1受部材3の室内側に固定される。
【0023】
第2立設部42は、遮蔽部材5の幅(側面51c(図4(c)参照)間の距離)より少し狭い間隔で第2受け部41の両側に立設されており、第2立設部42の内縁42a間の距離は、遮蔽部材5の幅より少し小さくなるように設定されている。図3に示すように、第1受部材3及び第2受部材4が通気部材2の室内側に固定された状態で遮蔽部材5が第1立設部32の間に収容されると、遮蔽部材5の背面51dの一部は第2立設部42に相対する。その結果、遮蔽部材5が室内側へ移動しようとしても、第2立設部42に遮蔽部材5の背面51dが当接するため、遮蔽部材5の室内側への移動が規制される。
【0024】
第2受け部41は、貫通孔43から内縁41aまでの距離が、第1受け部3(図4(a)参照)の貫通孔33から内縁31aまでの距離より大きくなるように形成されている。そのため、貫通孔33,43に連結部材Cを貫設することにより、第1受け部3及び第2受け部4を重ねて通気部材2の室内側に固定すると、第2受け部41の内縁41aが第1受け部31の内縁31aより迫り出す。その結果、遮蔽部材5が第1受部材3の第1立設部32の間に収容されると、遮蔽部材5の背面51dの一部は第2受け部41に相対する。その結果、遮蔽部材5が室内側に移動しようとしても、第2受け部41に遮蔽部材5の背面51dが当接するため、遮蔽部材5の室内側への移動が規制される。
【0025】
また、第2受部材4は、第2立設部42の先端間に、遮蔽部材5の幅(側面51c(図4(c)参照)間の距離)より少し狭めの幅で開放する開放部44を備えている。貫通孔33,43に連結部材Cを貫設することにより、第1受け部3及び第2受け部4を重ねて通気部材2の室内側に固定すると、開放部44は、第1受部材3に形成された挿入部34に連通する。そのため、挿入部34からの遮蔽部材5の挿脱を容易にすることができる。
【0026】
これらの第1受部材3及び第2受部材4が、換気設備1の受部材を構成する。本実施の形態では、第1受部材3及び第2受部材4が別々に形成される場合について説明したが、第1受部材3及び第2受部材4を一体形成することは可能である。第1受部材3及び第2受部材4を一体形成した受部材とすることにより、部品点数を少なくできるので、開口部104aへの受部材の装着を容易にすることができる。
【0027】
図4(c)及び図4(d)に示すように、遮蔽部材5は、通気部材2の通気孔2bを遮蔽する部材であり、矩形の板状に形成されており、第1受部材3及び第2受部材4に装着されると通気部材2の通気孔2bを遮蔽する遮蔽部51と、通気孔2bと連通可能に構成される通気部52とを備えている。通気部52は、遮蔽部材5の一端51a及び他端51bと略平行して複数箇所に貫通形成されるスリット状の部位であり、通気部材2の通気孔2bの位置に対応して通気孔2bと同一のピッチPで形成されている。即ち、遮蔽部材5は、遮蔽部材5の一端51aから他端51bにかけて遮蔽部51と通気部52とが交互に形成されている。
【0028】
遮蔽部材5は、遮蔽部材5の一端51aの最も近くに形成された通気部52と一端51aとの距離Aが、他端51bの最も近くに形成された通気部52と他端51bとの距離Bと異なるように形成されている(A>B)。また、遮蔽部材5は、遮蔽部材5の他端51bから距離Aだけ離れたところに遮蔽部51が位置するように設定されている。
【0029】
摘み部53は、遮蔽部材5の略中央に突出される部位であり、遮蔽部材5の一部を残して円弧状に切り込まれ、残した一部が折曲されて背面51dに突出するように形成される。これにより、摘み部53を手指等で掴んで、室内側から遮蔽部材5の着脱を行うことが可能であり、遮蔽部材5の受部材への着脱作業性を向上できる。
【0030】
次に図5を参照して、換気設備1の使用方法について説明する。図5(a)は遮蔽部51により通気孔2bを遮蔽する遮蔽部材5の背面図であり、図5(b)は通気部52が通気孔2bに連通する遮蔽部材5の背面図である。なお、図5においては、理解を容易にするため、第1受部材3に重ねて固定される第2受部材4の図示を省略している。
【0031】
図5(a)及び図5(b)に示すように、第1受部材3は、第1受け部31が下方、挿入部34(図4(a)参照)が上方に位置するように通気部材2(図2参照)の背面側(室内側)に固定されている。これにより、挿入部34から第1受部材3に挿入された遮蔽部材5に、重力により下向きの力が作用する。その結果、輸送機器100(図1参照)の移動中の振動等により、遮蔽部材5が挿入部34から抜けて第1受部材3及び第2受部材4から外れてしまうことを防止できる。
【0032】
また、第1受部材3の第1立設部32は、遮蔽部材5の幅(図5左右方向)より少し広めの間隔をあけて平行に第1受け部31の両側に立設されており、第1受け部31及び第1立設部32の厚さは、遮蔽部材5の厚さより少し厚めに形成されている。さらに、第1受部材3に重ねて第2受部材4が固定されているので、輸送機器100の移動中に振動等が生じても、遮蔽部材5は第1立設部32間や第1立設部32と第2立設部42(図4(b)参照)との間を自由に移動することができず、遮蔽部材5が挿入部34から抜けて第1受部材3及び第2受部材4から外れてしまうことを防止できる。
【0033】
図5(a)に示すように、輸送機器100の移動時(走行時)には、遮蔽部材5の一端51aから挿入部34に遮蔽部材5が挿入されると、一端51aが第1受け部31の内縁31aに当接し、重力が作用してもそれ以上の遮蔽部材5の下方への移動が規制される。遮蔽部材5は、通気部52が通気部材2(図2参照)の通気孔2bの位置に対応して通気孔2bと同一のピッチPで形成されており、遮蔽部材5の一端51aから他端51bにかけて遮蔽部51と通気部52とが交互に形成されている。さらに、遮蔽部材5の一端51aが第1受け部31の内縁31aに当接したときに遮蔽部51が通気孔2bの位置にくるように距離A(図4(c)参照)が設定されている。これにより通気孔2bが遮蔽部51によって遮蔽され、通気孔2bから室内へ水分や埃等が侵入することが防止される。
【0034】
特に、本実施の形態における輸送機器100(タンク型車両)では、車輪103の後方に機器室104が設けられているので、換気設備1の通気孔2bが常時開いていると、塩化カルシウム等の融雪材が散布された積雪路を輸送機器100が走行するときに、融雪材が溶けた水分が通気孔2bから侵入し易く、機器室104内の各種弁や配管等が腐食し易いという問題点があった。これに対し、本実施の形態では、通気孔2bが遮蔽部材5(遮蔽部51)によって遮蔽されるので、通気孔2bから室内へ水分が侵入することを防止でき、機器室104内の各種機器の腐食を抑制できる。
【0035】
また、輸送機器100(図1参照)の停止時や荷役作業時、メンテナンス時などに換気を必要とするときには、作業者は、機器室104内に入って摘み部53を掴み、遮蔽部材5を上方へスライドさせ、遮蔽部材5を第1受部材3から取り出し、挿入部34(図4(a)参照)から抜く。次いで、図5(b)に示すように、遮蔽部材5を反転させ、遮蔽部材5の他端51bから挿入部34に遮蔽部材5を挿入し、下方に移動させる。そうすると他端51bが第1受け部31の内縁31aに当接し、重力が作用してもそれ以上の遮蔽部材5の下方への移動が規制される。遮蔽部材5は、距離A(図4(c)参照)が距離Bと異なるように形成されており、遮蔽部材5の他端51bが第1受け部31の内縁31aに当接したときに通気部52が通気孔2bの位置にくるように距離Bが設定されている。さらに、通気部52は通気部材2の通気孔2bの位置に対応して通気孔2bと同一のピッチPで形成されているので、通気部52と通気孔2bとを連通させることができ、通気孔2bから室内の換気を行うことができる。
【0036】
以上説明したように本実施の形態によれば、換気設備1は、機器室104に形成される開口部104aに配設固定され室外と連通する通気孔2bを有する通気部材2を備え、その通気部材2に対して室内側に通気孔2bを避けて配設固定される第1受部材3及び第2受部材4に遮蔽部材5が装着されることにより、通気孔2bが遮蔽される。これにより、換気を必要としないときに遮蔽部材5により通気孔2bを遮蔽することができ、通気孔2bから水分等が室内へ侵入することを防止できる。
【0037】
また、第1受部材3に形成された挿入部34により遮蔽部材5が挿脱可能にされ、挿入部34から挿入される遮蔽部材5の側面51c(一端51a及び他端51bを含む)及び背面51dの所定部と相対する第1受部材3の内縁31a,32a及び第2受部材4を備えている。第1受部材3により遮蔽部材5の側方(図5上下方向および左右方向)への移動が規制され、第2受部材4により遮蔽部材5の背面51d側への移動が規制される。これにより遮蔽部材5を第1受部材3及び第2受部材4に容易に装着できると共に、輸送機器100の移動中に生じる振動等によって遮蔽部材5の位置がずれたり外れたりすることを防止できる。
【0038】
また、遮蔽部材5が挿入部34から挿入されて第1受部材3及び第2受部材4に装着されると、遮蔽部51により通気孔2bを遮蔽できる。また、遮蔽部材5は、挿入部34からの挿脱方向(図5上下方向)に沿って遮蔽部51と通気部52とが交互に形成されているので、遮蔽部51により通気孔52が遮蔽された状態から遮蔽部材5を挿脱方向に所定距離だけずらすことにより、遮蔽部材5に貫通形成される通気部52により通気孔2bが室内と連通される。その結果、遮蔽部材5を挿入部34から挿入し第1受部材3及び第2受部材4に装着した状態で、通気孔2bの遮蔽と開放とを切換えることができる。これにより、通気孔2bを遮蔽するときだけでなく開放するときも、遮蔽部材5を第1受部材3及び第2受部材4に装着した状態にできる。通気孔2bを開放するときに遮蔽部材5を第1受部材3及び第2受部材4から取り外したままの状態にしておく必要がないため、第1受部材3及び第2受部材4から取り外した遮蔽部材5の保管場所や固定手段を不要にできる。
【0039】
また、挿入部34から遮蔽部材5の一端51aが挿入されてその一端51aが第1受け部31の内縁31aに当接すると、遮蔽部5により通気孔2bが遮蔽される(図5(a)参照)。また、挿入部34から遮蔽部材5の他端51bが挿入されてその他端51bが第1受け部31の内縁31aに当接すると、通気部52により通気孔2bが室内と連通される。このように遮蔽部材5の挿入部34への挿入方向を変えるだけで通気孔2bの遮蔽と開放とを切換えることができるので、通気孔2bの遮蔽と開放との切換操作を容易にできる。
【0040】
また、遮蔽部材5は一端51aに最も近い通気部52と一端51aとの距離A(図4(c)参照)を、他端51bに最も近い通気部52と他端51bとの距離Bと異ならせているので、遮蔽部材5の挿入部34への挿入方向を変えることで、一端51a又は他端51bのいずれから挿入するかにより、通気孔2bの遮蔽と開放とを切換えることができる。その結果、遮蔽部材5の構造を簡略化できると共に、換気設備1を堅牢にできる。
【0041】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値(例えば通気部材2の庇2a及び通気孔2bの数)は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0042】
上記実施の形態では、輸送機器100の一例としてセミタンクトレーラ(タンク型車両)の場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、フルトレーラ等の他の自動車、鉄道車両等の他の輸送機器に適用することは当然可能である。
【0043】
上記実施の形態では、輸送機器100の機器室104に配設される換気設備1について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、換気設備1は輸送機器100に形設される客室等(所定室)に適用することが可能である。
【0044】
上記実施の形態では、枠状に形成された第1受部材3及び第2受部材4により受部材が構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、通気部材2の背面側(室内側)に遮蔽部材5を保持できるように構成されていれば、他の形態とすることは当然可能である。他の形態としては、例えば、第1受部材3や第2受部材4を断片的に形成し、互いに隙間をあけて通気部材2の背面側に配設するものが挙げられる。断片的に隙間をあけて配設することにより、塵や埃等を隙間から落下させることができ、第1受部材3等に塵や埃等を堆積し難くできる。
【0045】
上記実施の形態では、遮蔽部材5が矩形状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、円形、楕円形、長円形等の円形状、六角形等の多角形状等、任意の形状にすることは当然可能である。
【0046】
上記実施の形態では、挿入部34が受部材(第1受部材3及び第2受部材4)の上部側に形成された場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、遮蔽部材5を横からスライドするように受部材の横方向に挿入部34を形成することは当然可能である。なお、この場合は、輸送機器100が移動するときに遮蔽部材5が挿入部34から外れてしまうことを防ぐため、挿入部34側への遮蔽部材5の移動を規制するストッパを設けることが望ましい。
【0047】
上記実施の形態では、挿入部34を第1受部材3に形成することにより遮蔽部材5を着脱可能にする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、挿入部34を形成することなく、遮蔽部材5を着脱可能にする他の受部材を採用することは可能である。他の受部材としては、例えば、遮蔽部材5の表面および通気部材2の背面に設けられる面ファスナーが挙げられる。
【0048】
また、第1受部材3に対して第2受部材4が着脱可能に構成された受部材とすることも可能である。この場合、遮蔽部材5を装着するときは、まず第1受部材3から第2受部材4を取り外した後、第1受部材3の内縁31a,32aの内側に遮蔽部材5を収装する。次いで、第2受部材4を第1受部材3に取り付けて、遮蔽部材5が背面51d側へ外れないようにする。なお、第1受部材3に対して第2受部材4を着脱可能にする手段としては、面ファスナー、磁石、締結部材等の公知の手段を用いることが可能である。
【0049】
上記実施の形態では、遮蔽部材5に遮蔽部51及び通気部52が形成された場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、遮蔽部材5に通気部52を設けない構成、即ち、遮蔽部材5を単なる板とすることは当然可能である。遮蔽部材5に通気部52を設けないときは、遮蔽部材5を第1受部材3及び第2受部材4に装着すると通気部2bが遮蔽され、第1受部材3及び第2受部材4から遮蔽部材5を取り外すと、通気部2が開放され換気が可能となる。なお、この場合は、第1受部材3及び第2受部材4から取り外した遮蔽部材5の保管場所や、保管場所への定着手段を確保する必要がある。
【0050】
上記実施の形態では、遮蔽部材5による通気孔2bの遮蔽と開放とを切換えるときに、遮蔽部材5を第1受部材3から一旦取り出し、遮蔽部材5を反転させて、再び遮蔽部材5を第1受部材3に挿入する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、遮蔽部材5によって通気孔2bが遮蔽されている状態(図5(a)参照)から、遮蔽部材5を約1/2P(但し、通気部52のピッチP)の距離だけ上方(図5上方向)に移動させると、通気部52と通気孔2bとを連通させることができる。こうすると遮蔽部材5の一端51aと第1受け部31の内縁31aとの間に約1/2Pの隙間ができるので、この隙間に約1/2Pの厚さのスペーサーを介挿する。これにより重力による遮蔽部材5の下降が防止され、通気部52と通気孔2bとが連通する状態を保つことができる。なお、この場合は、約1/2Pの厚さのスペーサーが必要となるが、本実施の形態によれば、遮蔽部材5の距離Aと距離Bとを異ならせているので、このスペーサーを不要にできる。
【0051】
上記実施の形態では説明を省略したが、遮蔽部材5の紛失を防止するため、遮蔽部材5(例えば摘み部53)に紐、ワイヤー、チェーン等を繋いでおくことが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 換気設備
2 通気部材
2b 通気孔
3 第1受部材(受部材の一部)
31a,32a 内縁(第1規制部)(移動規制部の一部)
34 挿入部
4 第2受部材(受部材の一部)
41 第2受け部(第2規制部)(移動規制部の一部)
42 第2立設部(第2規制部)(移動規制部の一部)
5 遮蔽部材
51 遮蔽部
51a 一端(側面の一部)
51b 他端(側面の一部)
51c 側面
51d 背面
52 通気部
100 輸送機器
104 機器室(所定室)
104a 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送機器に形設された所定室に配設される換気設備において、
前記所定室に形成される開口部に配設固定され室外と連通する通気孔を有する通気部材と、
その通気部材に対して室内側の前記所定室に前記通気孔を避けて配設固定される受部材と、
その受部材に着脱可能に設けられ、前記受部材に装着されると前記通気孔を遮蔽する遮蔽部材とを備えていることを特徴とする換気設備。
【請求項2】
前記受部材は、前記遮蔽部材が挿脱可能に構成される挿入部と、その挿入部から挿入される前記遮蔽部材の移動を規制する移動規制部とを備え、
その移動規制部は、前記遮蔽部材の側面および背面の所定部と相対する第1規制部および第2規制部を備えていることを特徴とする請求項1記載の換気設備。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、前記挿入部から挿入されて前記受部材に装着されると前記通気孔を遮蔽する遮蔽部と、その遮蔽部に対し前記遮蔽部材の挿脱方向に所定距離だけずれた位置に貫通形成され前記通気孔と連通可能に構成される通気部とを備えていることを特徴とする請求項2記載の換気設備。
【請求項4】
前記挿入部は、前記受部材の上部側に開口形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の換気設備。
【請求項5】
前記遮蔽部材は、前記挿入部から一端が挿入されてその一端が前記第1規制部に当接すると前記遮蔽部により前記通気孔を遮蔽する一方、前記挿入部から他端が挿入されてその他端が前記第1規制部に当接すると前記通気部と前記通気孔とを連通することを特徴とする請求項3又は4に記載の換気設備。
【請求項6】
前記遮蔽部材は、前記一端に最も近い前記通気部と前記一端との距離を、前記他端に最も近い前記通気部と前記他端との距離と異ならせていることを特徴とする請求項5記載の換気設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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