説明

揮発性物質除去方法及び装置

【課題】 より一層効果的に、揮発性物質が混入している固体物質から揮発性物質を揮発させて除去することができる揮発性物質除去方法及び装置を提供する。
【解決手段】 細粒化混合装置100により、揮発性有機化合物等で汚染された土壌を、水と発熱反応する無機化合物と十分に細粒化しながら均一に混合する。その後、その混合物を空気接触処理装置200に搬入する。空気接触処理装置200の空気接触処理部210では、円筒部211内で汚染土壌から揮発性有機化合物等を揮発させて浄化する。その際、混合物の少なくとも一部は、円筒部211の回転に伴い、突出部212を介して、所定量持ち上げられた後、落下される。これにより、単に撹拌するだけの従来技術に比べ、より一層効果的に、混合物の表面だけでなく内部にまで空気を接触させることができ、以って汚染土壌の浄化効率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物(アセトアルデヒド、アセトン、トリクロロエチレン、ベンゼン、トルエンなどの揮発性化学物質、ガソリンなどの揮発油、トルエン、トリクロロエチレンなどの有機溶剤など)、水銀や砒素などの揮発性金属および金属化合物、アンモニア、硫化水素などの揮発性無機化合物など(これらの物質を揮発性物質とも言う)が混入している固体物質から揮発性物質を除去する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アセトアルデヒド、アセトン、トリクロロエチレン、ベンゼン、トルエン等の揮発性有機化合物や、ガソリン、灯油、軽油等の揮発油が種々の原因で土壌に混入されてそのまま放置された場合、時間の経過に伴って地中深く浸透しついには地下水を汚染するなどの環境汚染や、臭いの問題などを防止することは重要な課題となっている。
【0003】
ここにおいて、例えば、特許文献1には、揮発性有機化合物が含まれた土壌に、水と発熱反応する生石灰等の無機化合物を混合することで、その反応熱を利用して揮発性有機化合物を揮発させて除去する方法が提案されている。
【0004】
かかる方法は、揮発性有機化合物が混入した土壌を少量処理する場合には、作業者の手作業等を介して土壌と生石灰等とをシャベル等を用いて混合して土壌全体を発熱させることができ、揮発性有機化合物を揮発させて除去することができる。しかし、処理すべき土壌量が増加すると土壌と生石灰等の混合を作業者の手作業だけで十分に行わせることは困難であり、生石灰等が塊となって偏在するおそれがある。この場合において、生石灰等と水との発熱反応は生じるものの、偏在した生石灰等の周辺の土壌の温度が上昇するだけで、土壌全体を効果的に昇温させることができない。このため、土壌中の揮発性有機化合物の揮発率が低下し、揮発性有機化合物の除去率を高めることができないといった実情がある。
【0005】
また、上記方法においては、揮発した揮発性有機化合物が大気中へ飛散しないように、処理すべき土壌の周囲を仮設テントなどで包囲したうえで、該仮設テント内の空気をブロワーなどを介して吸引し、該仮設テント内の揮発した揮発性有機化合物を回収するといった方法が採られるのが一般的である。従って、作業者等は、この密閉された仮設テント内で上述した作業等を行なうことになるため、上述した発熱反応熱により高温となる環境下で、かつ、揮発した揮発性有機化合物に曝された環境下で作業者等は作業を行わなければならないといった実情がある。更に、かかる方法では工期が長くなると共に、比較的大きな仮設テントを設置するなどの必要があるため、コストが嵩むなどの実情もある。
【0006】
上述した実情に鑑み、例えば、特許文献2には、図7に示すように、添加装置1により揮発性有機化合物が混合した含水土壌に、水と発熱反応する無機化合物を混合し、その後、混合装置2により土壌と無機化合物とを水分の存在下にこれらが十分に接触する状態で均一に混合して発熱反応を起こさせ、次いで、発熱反応により加熱された混合物を揮発性有機化合物の大気中への揮散を防止した回転式土壌粒状化装置3内で小粒状化させながら揮発性有機化合物を蒸発させ、蒸発物及び処理済土壌を回収するようにしたものが開示されている。
【特許文献1】特許第2589002号明細書
【特許文献2】特開2000−107741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に開示のものによれば、作業者が劣悪な環境下で作業等を行う必要がないうえに、汚染された土壌と無機化合物とを混合した後、これらを小粒状化することで揮発性有機化合物の揮発を促進させ、以って揮発性有機化合物を効果的に揮発させ回収することができる。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載のものでも、汚染された土壌から揮発性有機化合物や揮発油を十分に除去することができない場合もあり、本発明者等は、種々の研究を重ねるうちに、より一層効果的に、揮発性有機化合物や揮発油を揮発させ回収することができる方法を見い出した。
更に、本発明者等は、本発明に係る揮発性物質のなかでも、比較的揮発し難く揮発の際に異臭等を発生する惧れのある油類(例えば、原油、重油、軽油、潤滑油等の石油及び留分等の鉱物系油類や動物性・植物性油類)によって汚染された土壌から、異臭等を周囲へ漏洩等するのを防止しつつ、効果的に、油類を揮発させ回収するのに適した方法を見い出した。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、より一層効果的に、揮発性物質が混入している固体物質から揮発性物質を揮発させて除去することができる揮発性物質除去方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る揮発性物質除去方法は、
揮発性物質が混入している固体物質と、所望の温度条件を達成して揮発を促進する揮発促進物質と、を混合し、前記固体物質に混入している揮発性物質を揮発させて除去する揮発性物質除去方法であって、
前記揮発性物質が混入している固体物質と、前記揮発促進物質と、を所定に細粒化した状態に混合する工程と、
前記揮発性物質が混入している固体物質と前記揮発促進物質の混合物の内部まで不飽和な雰囲気に曝させる曝気処理を行う工程と、
を含むことを特徴とする。
【0011】
前記曝気処理は、前記混合物の全部或いは一部を所定高さから落下させる処理を含むことができる。
前記曝気処理は、前記混合物の一部を他部から分離した後、前記混合物の一部を所定高さから落下させる処理を含むことができる。
前記混合物の一部は、所定高さから落下された後に、前記他部と混合されることができる。
前記曝気処理は、回転する容器の回転動作を利用して当該容器内で行われることを特徴とすることができる。
また、本発明は、前記回転する容器の傾斜を利用して、前記混合物を当該容器から排出することを特徴とすることができる。
本発明は、前記回転する容器の傾斜角が可変に設定されることを特徴とすることができる。
本発明は、揮発した揮発性物質を回収しながら揮発性物質の除去を行うことを特徴とすることができる。
本発明は、揮発性物質から生じる臭いを消すための物質が添加されることを特徴とすることができる。
本発明は、揮発性物質が油類であることを特徴とすることができる。
【0012】
本発明に係る揮発性物質除去装置は、揮発性物質が混入している固体物質と、所望の温度条件を達成して揮発を促進する揮発促進物質と、を混合し、前記固体物質に混入している揮発性物質を揮発させて除去する揮発性物質除去装置であって、
前記揮発性物質が混入している固体物質と、前記揮発促進物質と、を所定に細粒化した状態に混合する混合手段と、
前記揮発性物質が混入している固体物質と前記揮発促進物質の混合物の内部まで不飽和な雰囲気に曝させる曝気処理を行う曝気手段と、
を含んで構成したことを特徴とする。
【0013】
前記曝気処理は、前記混合物の全部或いは一部を落下させる処理を含むことができる。
前記曝気処理は、前記混合物の一部を他部から分離した後、前記混合物の一部を所定高さから落下させる処理を含むことができる。
前記混合物の一部は、所定高さから落下された後に、前記他部と混合されることができる。
前記曝気手段は、回転する容器の回転動作を利用して当該容器内で前記曝気処理を行うように構成されることができる。
また、本発明は、前記回転する容器の傾斜を利用して、前記混合物を当該容器から排出することを特徴とすることができる。
本発明は、前記回転する容器の傾斜角が可変に設定されることを特徴とすることができる。
本発明は、揮発した揮発性物質を回収しながら揮発性物質の除去を行うことを特徴とすることができる。
本発明は、揮発性物質から生じる臭いを消すための物質が添加されることを特徴とすることができる。
本発明は、揮発性物質が油類であることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、固体物質に混入している揮発性物質を揮発させる際に、揮発性物質が揮発するのに適した環境を提供すべく、揮発性物質が混入している固体物質と揮発促進物質との混合物に対して、その表面だけでなく内部まで不飽和な雰囲気に曝させる曝気処理を行うようにしたので、従来に比べ、揮発性物質の揮発を促進することができ、以って揮発性物質が混入している固体物質から揮発性物質をより迅速かつ確実に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明に係る揮発性物質除去方法及び装置の一態様である土壌浄化方法及び装置の第1の実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0016】
ここで、本発明が対象とする揮発性物質としては、例えば、土壌に混入した揮発性有機化合物、例えば、トリクロロエチレン(沸点88〜90°C)、テトラクロロエチレン(沸点121.2°C)、ジクロロメタン(沸点40°C)、四塩化炭素(沸点76.7°C)、1,2−ジクロロエタン(沸点83.7°C)、1,1−ジクロロエチレン(沸点57.3°C)、1,1,1−トリクロロエタン(沸点74.0°C)、1,1,2−トリクロロエタン(沸点113.7°C)、1,3−ジクロロプロペン(沸点112.6°C)等の有機塩素系化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系化合物、アセトン等のケトン類、シマジン、チオベンカルブ、低沸点の石油系炭化水素(デカン、ドデカン、シクロヘキサン等)等が挙げられる(これら物質は単独の場合は勿論、少なくとも2つの物質が混合している場合も本発明の対象である)。
また、本発明は、有機溶剤や比較的揮発温度の低いガソリン、灯油、軽油等の揮発油なども、その対象とすることができ、更には、水銀、有機金属化合物なども含まれ、従って、本発明に係る揮発性物質としては、揮発性を有する物質であれば特に限定されるものではない。加えて、揮発性物質が溶解した液体も、本発明に係る揮発性物質に含めるものである。
【0017】
そして、本発明に適用可能な所望の温度条件を達成して揮発を促進する揮発促進物質としては、例えば、水と発熱反応する無機化合物などがあり、酸化カルシウム(生石灰)、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化ストロンチウム、酸化カリウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の無水物等のアルカリ土類金属の硫酸塩等が挙げられる。なかでも、生石灰は安全性、価格、発熱量等の点で好ましい。
また、本発明は、例えば、酸とアルカリの中和反応、過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩、過酸化水素等の分解熱などを反応熱として利用することが可能である。更に、予め所望の温度に加熱・昇温などされた物質を混合して揮発を促進する場合なども含まれ、従って、本発明に係る揮発促進物質としては、所望の温度条件を達成して揮発を促進することができる物質であれば特に限定されるものではない。
【0018】
なお、ここでは、本発明に係る固体物質の代表例として土壌を用いて説明しているが、本発明は土壌に限定されるものではなく、固体物質であれば特に限定されるものではない。例えば、土、砂などを含む土壌の他、石、路盤などの土木構造物、廃棄物、砕石、ガラなども含まれる。
【0019】
本発明に係る揮発性物質除去方法は、本発明者等が見い出した新たな知見に基づいている。
すなわち、従来は、汚染土壌全体で万遍なく発熱反応を起こさせるために、揮発性有機化合物等で汚染された土壌(以下、単に「汚染土壌」とも言う)を、水と発熱反応する無機化合物と均一に混合し、更に小粒状化するようにしていたが、本発明者等は、汚染土壌と無機化合物とを細粒化して均一に混合するだけでなく、汚染土壌と無機化合物との混合物(以下、単に「混合物」とも言う)の内部にまで空気を触れさせる{換言すれば、揮発性物質が揮発できない飽和状態にある雰囲気以外の不飽和な雰囲気(空気以外の気体も対象とすることができる)に曝させる}ことによって、より一層、揮発性有機化合物等の揮発を促進することができるという知見を得た。
【0020】
更に、かかる知見に基づく方法を用いれば、汚染土壌と無機化合物との混合物の温度を高温に維持しなくても、揮発性有機化合物等の揮発を促進することができるという知見も得た。
【0021】
上記の知見に基づく本発明の第1の実施の形態に係る土壌浄化方法は、先ず、揮発性有機化合物等で汚染された土壌を、水と発熱反応する無機化合物と十分に細粒化しながら均一に混合する。なお、混合した後、細粒化しても良い。つまり、土壌と無機化合物とが、細粒化された状態に混合されていれば良いものである。
【0022】
次に、この混合により起きる、土壌中の水分と、前記混合された無機化合物と、の間の発熱反応を効果的に維持促進すると共に、揮発性有機化合物等が揮発するのに適した環境を提供するために、汚染土壌と無機化合物との混合物の表面だけでなく内部まで空気と接触させる曝気処理(不飽和な雰囲気に曝させる処理)を行う。
【0023】
このとき、揮発した揮発性有機化合物等が外気へ漏洩しないように、前記曝気処理をある程度閉じた空間内で行わせる一方、揮発した揮発性有機化合物等を回収するために、該空間をブロワー等で吸引し、揮発性有機化合物等を、例えば、活性炭などに吸着させて回収する。なお、回収方法としては、揮発した揮発性有機化合物等を冷却して液体として回収する方法も採用することができる。
【0024】
上述した曝気処理を所定期間実行し、汚染された土壌から揮発性有機化合物等を十分に揮発させ、汚染された土壌の浄化が完了したら処理を終了する。浄化された土壌は、原位置へ戻してもよいし、他の場所で利用することもできる。
【0025】
なお、無機化合物と土壌中の水分との間の発熱反応を効率よく起こさせるために、土壌の含水率が少ない場合には、土壌と、無機化合物と、を混合する前に、或いは混合中に、水分を供給するようにすることもできる。
土壌と混合する無機化合物の量は、土壌中に含まれる揮発性有機化合物等を揮発させるのに十分な量とすることができるが、例えば、予め揮発性有機化合物や油の種類が判明している或いは予測できる場合には、それを揮発させるために必要な温度に土壌を加熱させることができる量を予め求めて使用することもできる。
【0026】
次に、上述した本発明の第1の実施の形態に係る土壌浄化方法を実行するための土壌浄化装置について、以下に説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る土壌浄化装置においては、揮発性有機化合物等で汚染された土壌を、水と発熱反応する無機化合物と十分に細粒化しながら均一に混合するための細粒化混合装置100が備えられる。
【0027】
該細粒化混合装置100は、揮発性有機化合物等で汚染された土壌を、水と発熱反応する無機化合物と十分に細粒化しながら均一に混合することができる装置であれば適用可能であるが、例えば、図2に示すような装置(特開2005−296903号公報等参照)が好適である。なお、当該細粒化混合装置100が、本発明に係る所定に細粒化した状態に混合する工程を実行することとなり、本発明に係る混合手段に相当する。
【0028】
図2に示すように、細粒化混合装置100には、搬入系61が備えられ、該搬入系61は処理対象である汚染土壌と、水と発熱反応する無機化合物と、を予め所定に混合したものを搬送し、これを処理容器21の入口22から処理容器21内に投入する。
なお、搬入系61を汚染土壌だけを搬送する構成とし、該搬入系61とは別の搬入系を設け、前記処理容器21の入口22付近に、水と発熱反応する無機化合物を入口22に搬入するように構成することもできる。
【0029】
処理容器21内では、電動機15からの動力伝達を受けて回転軸35とこれに装備された複数段かつ放射状の各カッティングブレード41が高速回転され、処理容器21内に投入された土壌及び無機化合物は、入口部22から出口部23に至るまでの間、複数段かつ放射状の各カッティングブレード41(すなわち、高速水平回転中の各カッティングブレード41)で数次にわたる打撃・切断を受け、所定の大きさまで細粒化されながら混合される。なお、一段あたりカッティングブレード数が多くなったり、カッティングブレードの段数が多くなったりするに従い直径が小さくなる傾向を示し、また、各カッティングブレード41の周速が速くなるにしたがい直径が小さくなる傾向を示す。なお、細粒化後における粒子径は、50mm以下であることが好ましい。
【0030】
細粒化混合処理を施された汚染土壌は、処理容器21の出口部23を通って、例えば、ベルトコンベア等から構成される搬出系62を介して、図1に示した空気接触処理装置200に供給される。
【0031】
なお、かかる細粒化混合処理において揮発性有機化合物等が揮発する場合もあるため、必要に応じて、処理容器21の内部を、或いは処理容器21の外周部に閉じた空間を設け該閉じた空間を、ブロワー等で吸引することで、揮発した揮発性有機化合物等を効果的に回収し、例えば、活性炭などに吸着させて回収するように構成することもできる。
【0032】
次に、本実施の形態に係る空気接触処理装置200について説明する。なお、かかる空気接触処理装置200が、本発明に係る曝気手段に相当する。
図1に示すように、空気接触処理装置200は、電動モータなどを含んで構成される回転駆動部(図示せず)により回転駆動される回転式の空気接触処理部210と、汚染土壌と無機化合物の混合物を前記処理部210へ供給(搬入)する入口部220と、前記空気接触処理部210で処理され浄化された混合物(土壌)を排出(搬出)する出口部230と、を備えて構成される。
【0033】
空気接触処理部210は、図3に示すように、内部に空間を有する中空状の円筒部211を含んで構成され、円筒部211の内周面には、長手方向に所定長さで延在し、所定量内方に突出する突出部212が設けられている。前記突出部212は、円筒部211の回転中心軸廻りに均等或いは不均等に複数配設してもよい。なお、突出部212の突出方向は、図3に示したように円筒部211の中心軸方向に向かう半径方向に限定されるものでなく、半径方向に対して所定角度をもって交差する方向に形成されることができる。また、突出部212の形状は、図3に示した形状に限定されるものではなく、混合物を掻き集めたり、持ち上げたりするのに有利な形状、例えば、混合物を載置する面の断面が凹曲面形状となるように形成することもできる。
【0034】
ここで、円筒部211には、処理容器21の出口部23から排出(搬出)される、細粒化混合装置100において細粒化されて混合された汚染土壌と無機化合物の混合物が、入口部220を介して供給(搬入)される。
【0035】
円筒部211内に供給された混合物は、汚染土壌中の水分と無機混合物との混合による発熱反応により昇温され、汚染土壌に含まれる揮発性有機化合物等の揮発が行われる。このとき、円筒部211は、入口部220及び出口部230と協働して、ある程度閉じた空間を形成することになるため、前記発熱反応熱を保温する作用があり、従って、円筒部211内の混合物の温度を所定に維持することが比較的容易で、汚染土壌中の揮発性有機化合物等の揮発を効果的に維持促進することに寄与する。
【0036】
更に、円筒部211の内周には突出部212が配設されているため、図4に示すように、混合物の少なくとも一部は、円筒部211の回転に伴い、突出部212を介して、所定量持ち上げられた後、突出部212の先端が下方を向く位置へ回転移動するに連れて徐々に落下される。
【0037】
すなわち、本実施の形態では、突出部212を介して混合物の少なくとも一部を持ち上げる際に、混合物の少なくとも一部を他部から分離することになるため、混合物が空気(すなわち、不飽和な雰囲気)と接触する面積を増加させることができ、以って、混合物を単に撹拌するだけの従来技術に比べ、効果的かつ確実に、混合物の表面だけでなく内部にまで空気を接触させることができる。
【0038】
また、落下される少なくとも一部の混合物は、落下される際に、反転されるなどの動作を伴いながら、ばら撒かれることになるため、内部まで空気と接触する機会が増えることになり、以って混合物を単に撹拌するだけの従来技術に比べ、効果的かつ確実に、混合物の表面だけでなく内部にまで空気を接触させることができる。なお、上記では、混合物の少なくとも一部を落下させるとして説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、混合物の全部を落下させ、それにより内部まで空気と接触する機会を増やすようにしても良いものである。
【0039】
このように、本実施の形態によれば、円筒部211内の混合物全体の隅々まで空気(不飽和な雰囲気)と効率良く接触させることができるので、従来のような単に混合物を撹拌するものに比べて、揮発性有機化合物等の揮発を大幅に促進することができ、以って汚染土壌の浄化効率を高めることができる。言い換えれば、本実施の形態は、汚染された土壌に含まれる揮発性有機化合物等が揮発するのに適した環境を提供することができ、揮発性有機化合物等により汚染された土壌の浄化効率を高めることができる。
また、混合物を細粒化して分散混合したうえで、上述した空気との接触処理を行うため、最大限、土壌の浄化効率を高めることができるため、無機化合物の使用量を最小に留めることができ、浄化のための処理時間を短縮することができる。更には、処理すべき土壌が粘性土であっても良好に浄化することができる。
【0040】
ここで、図1に示したように、円筒部211は、混合物を搬出させるべき方向に進むほど低い位置となるように所定の傾斜角Aをもって配設されている。従って、入口部220から円筒部211内に搬入された混合物は、円筒部211の回転動作に伴い、前記突出部212を介して、円筒部211内において効果的に空気と接触されながら、徐々に出口部230へと進められる。
【0041】
円筒部211の長手方向長さ、内径寸法、回転速度は、入口部220から搬入された混合物が、出口部230へ到達するまでに、揮発性有機化合物や油を十分に揮発させることができる値に設定される。
【0042】
ここで、一例を挙げると、例えば、混合物の投入量を20m/hourとした場合において、揮発性有機化合物等を十分に揮発させるためには、円筒部211内に該混合物を10〜15分程度の時間滞留させることが好ましく、作業場所への運搬性(トラックなどで運搬できる大きさ)などを考慮すると、例えば、円筒部211の長手方向長さを7m程度とし、円筒部211の回転速度を20RPM(Revolution Per Minutes)とすることができる。
【0043】
ここで、混合物の投入量を20m/hourとし、長手方向長さ7mの円筒部211に滞留する時間を10分とした場合、円筒部211内に存する混合物の量は、3.3m(=20m/60min×10min):約5.9tonとなり、円筒部1m当りに0.47m(=3.3m/7):約0.85tonの混合物が存在する。混合物の落下作用を有効なものとするためには、円筒部1m当りについて考えれば、混合物量0.47mの4倍程度の容積が必要と考えられるため、必要な円筒部の内径(直径)は、φ1.5m{=2×(0.47×4/3.14)1/2}となる。
【0044】
また、滞留時間を10分とし、円筒部211の長手方向長さを7m、円筒部211の回転速度を20RPMとした場合には、1回転当りに混合物をフィードすべき量(送り)は、35mm/rev(=7m/200)となる。従って、この場合において、円筒部211の傾斜角Aは、1.6°{=tan−1(35/1240)}となる。従って、揮発性有機化合物や油を十分に揮発させることができる滞留時間の観点から、円筒部211の傾斜角Aは、凡そ、0°<A<5°程度に設定することが好ましい。
【0045】
上記円筒部211内において、汚染土壌中の揮発性有機化合物等が十分に揮発され汚染土壌が浄化された後、混合物は出口部230から外部へ排出(搬出)される。搬出方法は、一般的なベルトコンベア等を利用することができるし、一時的に容器などにストックしその後まとめて運搬するなどの方法を採用することもできる。
【0046】
なお、円筒部211は、その外径部分を入口部220の内径部分、及び出口部230の内径部分によりベアリング等により回転可能に軸支しても良いし、円筒部211に回転中心軸を配設しこれを回転可能に軸支しても良い。
【0047】
ここで、本実施の形態では、円筒部211内において揮発した揮発性有機化合物等が外部へ漏洩しないように、円筒部211、入口部220、出口部230の内部空間をブロワー等の吸引手段250で吸引し、揮発した揮発性有機化合物等を回収するようになっており、例えば、活性炭などの回収手段240に吸着させて回収する。吸引手段250の吸引により生じる前記内部空間内の空気の流れは、図1に示すように、混合物の搬出方向と逆行する方向とするのが、揮発した揮発性物質の混合物側への再吸着防止などの観点から好ましいものである。なお、回収方法としては、揮発した揮発性有機化合物等を冷却して液体として回収する方法も採用することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態においては、揮発性有機化合物等で汚染された土壌を、水と発熱反応する無機化合物と十分に細粒化しながら均一に混合し、この混合により起きる、土壌中の水分と前記混合された無機化合物との間で起きる発熱反応を利用して、汚染土壌中に含まれる揮発性有機化合物等を揮発させて汚染土壌を浄化するものであるが、汚染土壌中に含まれる揮発性有機化合物等を揮発させる際に、揮発性有機化合物等が揮発するのに適した環境を提供すべく、汚染土壌と無機化合物との混合物に対して、その表面だけでなく内部まで空気と接触させる空気接触処理を行う。
かかる空気接触処理を行わせる本実施の形態によれば、従来に比べ、揮発性有機化合物等の揮発を促進することができ、以って汚染土壌をより迅速かつ確実に浄化することができる。
【0049】
なお、本実施の形態に係る空気接触処理装置200をコンパクトに構成することで、該装置を現場に持ち込んで現場での揮発性有機化合物等の除去処理が可能である。
【0050】
ところで、本実施の形態に係る円筒部211の断熱性を高めて、前記発熱反応により生じる熱を効果的に保温して、揮発性有機化合物等の揮発をより一層促進することが求められる場合などにおいては、例えば、前記円筒部211の周囲に断熱材やヒータを配設したり、前記円筒部211を空気の層を間に有する二重管で構成したり、前記空気の層に断熱材やヒータ等を配設したり、或いは、前記空気の層に温風を流したりする構成とすることができる。
【0051】
本実施の形態に係る回収手段240において採用される活性炭は、リサイクルしたものを用いることができる。ここで、活性炭は再生可能であり、活性炭の再生には、熱再生法と、薬品再生法と、がある。
気相に対する溶剤回収、脱臭、空気浄化などに使用した場合には、その吸着が物理吸着或いはそれに近い吸着が主体となっているため、120°C〜150°Cの加熱水蒸気をを用いて再生することで、繰り返し使用することができる。しかし、水処理などの液相に対して使用した場合には、化学吸着或いはそれに近い状態で吸着が起こっているので、加熱水蒸気による再生では足りず、気相吸着の場合の再生に比べて過酷な条件での再生が必要である。一般には、400°C〜950°Cの温度範囲の水蒸気により、いわゆる再賦活する。
再生回数は、回数を重ねると有効吸着量は減少する。一般に、再生損失として、粒状活性炭では3%〜10%、粉末活性炭では20%前後であるといわれ、大規模な再生になると再生操作も大変になる。
特に、粒状活性炭の価格は、吸着能と再生による寿命を考えなければならない。吸着実験の成果のみならず、再生実験の結果も合わせて的確な評価をする必要がある。
【0052】
ところで、本実施の形態に係る円筒部211の長手方向と略直交する方向の断面形状は、円形状に限定されるものではなく、楕円形状、多角形形状など、内部空間を有する他の形状であっても良いことは勿論である。
【0053】
本実施の形態に係る突出部は、例えば、図5に示す突出部212Aのように、所定のリード角Bをもたせて形成することもできる。かかる構成とすれば、回転動作に伴って、円筒部211内の混合物(突出部212A上に載置された混合物も含む)が、前記ねじれ角Bに沿って案内されつつ移動されることになる。従って、円筒部211に所定の傾斜角Aを持たせなくても、混合物を搬出させるべき方向に所定に進ませることが可能となる。
【0054】
なお、本実施の形態では、混合物を持ち上げ落下させる手段として、突出部212を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、円筒部211の内周面に揺動可能に取り付けられたバケット(カゴ)状の手段により、混合物を持ち上げ落下させるように構成することも可能である。
【0055】
ところで、本実施の形態では、内部空間をブロワー等の吸引手段250で吸引するが、その際に、開口部や隙間などから外気が当該内部空間内に流入することになるため、混合物の内部まで空気と接触させる処理(曝気処理)において、揮発性物質が十分に揮発できる新気を混合物の内部に供給することができることとなり、以って効果的に曝気処理を行うことができることとなる。
【0056】
また、本実施の形態では、混合物の内部まで空気と接触させる処理(混合物の内部まで不飽和な雰囲気に曝させる曝気処理)として、混合物を落下させることを一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、混合物の内部まで不飽和な雰囲気に曝させることができる処理であれば本発明の範囲に属するものである。例えば、混合物の下方から上方に向けて空気を供給する処理なども、本発明の範囲に属するものである。
【0057】
次に、本発明に係る第2の実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0058】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様、本発明に係る揮発性を有する揮発性物質に適用可能であるが、当該第2の実施の形態では、本発明に係る揮発性物質のなかでも、比較的揮発し難く、特に揮発の際に油臭等の異臭を発生する惧れのある油類(原油、重油、軽油、潤滑油等の石油及び留分等の鉱物系油類や動物性・植物性油類、例えば、軽質油に含まれる低沸点の揮発性成分(ベンゼン、ナフタレン、フェノール、キシレン等の芳香族類、直鎖の飽和炭化水素など))などが混入して汚染された土壌から、異臭を周囲に漏洩等することなく油類を揮発させ回収するのに適した揮発性物質除去方法及び装置の一態様について説明する。なお、第1の実施の形態において説明したと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略するものとする。
【0059】
図6に示すように、第2の実施の形態に係る揮発性物質除去装置は、図1に示した第1の実施の形態と同様とすることができるが、ここでは、例えば、油類等で汚染された土壌と、揮発促進物質である薬剤(例えば、生石灰、商品名「カルコア(登録商標)」(高級脂肪酸で生石灰をコーティングした材料))と、を予めある程度混合したものを、細粒化混合装置100に投入して十分に細粒化しながら均一に混合する。
【0060】
本発明に係る混合手段として機能する細粒化混合装置100は、例えば、図2に示したような装置を採用することができる。
【0061】
前記細粒化混合装置100により細粒化混合処理を施された汚染土壌は、空気接触処理装置200に供給(搬入)される。本発明に係る曝気手段として機能する空気接触処理装置200は、第1の実施の形態と同様に、電動モータなどを含んで構成される回転駆動部(図示せず)により回転駆動される回転式の空気接触処理部210と、汚染土壌と無機化合物の混合物を前記処理部210へ供給(搬入)する入口部220と、前記空気接触処理部210で処理され浄化された混合物(土壌)を排出(搬出)する出口部230と、を備えて構成される。
【0062】
ここで、第2の実施の形態では、図6に示したように、油類等から揮発した成分や異臭などが外部へ漏洩するのを防止するために、細粒化混合装置100の処理容器21の出口部23(図2(A)参照)と、空気接触処理装置200の入口部220と、が外部との連通を遮断しつつ接続されるように構成されている。
【0063】
また、第2の実施の形態では、油類等を揮発させるため、揮発の際に油臭等の異臭が発生する惧れがある。このため、第2の実施の形態においては、例えば、入口部220に供給通路310を介して油臭低減剤、脱臭剤などを添加供給する脱臭剤添加装置300が接続されている。これは、主に油類等が汚染土壌から揮発する際に生じる油臭等の異臭の消臭、脱臭を目的とした物質(薬剤など)で、例えば、重曹、オゾンガス、過酸化水素、縮合型タンニンなどを採用することができる。また、例えば、異臭をマスキングして臭いを消すための物質(薬剤など)を採用或いは併用することも可能である。更に、図6に示すように、出口部230に、活性炭処理塔(消臭塔)のような回収手段240を設置して、揮発の際に発する油臭等の異臭を防止することが好ましい。
【0064】
空気接触処理部210は、図3に示したものと同様で、内部に空間を有する中空状の円筒部211を含んで構成され、円筒部211の内周面には、長手方向に所定長さで延在し、所定量内方に突出する突出部212が設けられている。
【0065】
そして、当該円筒部211には、細粒化混合装置100において細粒化されて混合された汚染土壌と無機化合物の混合物が入口部220を介して供給(搬入)される。
【0066】
円筒部211内に供給された混合物は、第1の実施の形態と同様に、汚染土壌中の水分と無機混合物との混合による発熱反応により昇温され、汚染土壌に含まれる油類等の揮発が行われる。更に、円筒部211の内周には突出部212が配設されているため、混合物の少なくとも一部は、円筒部211の回転に伴い、突出部212を介して、所定量持ち上げられた後、落下される。
【0067】
すなわち、第2の実施の形態においても、円筒部211内の混合物全体の隅々まで空気(不飽和な雰囲気)と効率良く接触させることができるので、従来のような単に混合物を撹拌するものに比べて、油類等の揮発を大幅に促進することができ、以って汚染土壌の浄化効率を高めることができる。言い換えれば、本実施の形態は、汚染された土壌に含まれる油類等が揮発するのに適した環境を提供することができ、土壌の浄化効率を高めることができる。
【0068】
また、混合物を細粒化して分散混合したうえで、上述した空気との接触処理を行うため、最大限、土壌の浄化効率を高めることができるため、無機化合物の使用量を最小に留めることができ、例え揮発し難い油類等であっても、従来の方法に比較して、浄化のための処理時間を短縮することができる。
【0069】
ここで、第2の実施の形態に係る円筒部211は、図1に示したように、混合物を搬出させるべき方向に進むほど低い位置となるように所定の傾斜角Aをもって配設されることができるが、第2の実施の形態においては、例えば、円筒部211内への混合物の滞留時間や円筒部211内における混合物の搬出(移動)速度を考慮して、比較的揮発し難い油類を十分に揮発させることができるように、前記傾斜角Aを可変とする構成を採用することができる。
【0070】
すなわち、本実施の形態において対象とする油類は比較的揮発し難いため、円筒部211内に比較的長い時間滞留させて十分に揮発を行なわせることが必要な場合も想定される。
【0071】
従って、かかる場合に対応するために、本実施の形態では、例えば、円筒部211に所定量の汚染土壌と無機化合物の混合物を供給したら、最初に供給した混合物が円筒部211から出口部230へ搬出される前に、前記所定の傾斜角Aを略0°C(すなわち略水平)に変更すると共に、円筒部211への混合物の供給を一旦停止する或いはその供給量を微量に抑える。
【0072】
そして、円筒部211内に既に供給された混合物から所定に油類等を揮発させることができる期間、例えば、前記所定の傾斜角Aを略0°C(略水平)に維持しつつ円筒部211を回転させて空気接触処理部210にて油類等を揮発させる。
【0073】
その後、円筒部211内に供給された混合物から所定に油類等を揮発させることができたら、前記所定の傾斜角Aを大きくして、円筒部211内の油類等の揮発処理を施された混合物を比較的速い移動速度で出口部230へ進めてベルトコンベア等の搬送手段に排出すると共に、入口部220から逐次、次に揮発処理を施すべき混合物を空気接触処理部210(円筒部211)に供給する。
【0074】
このような処理を繰り返すことで、比較的揮発し難い油類等であっても良好に揮発させ、効率良く且つ確実に土壌を浄化することができることになる。
【0075】
なお、前記所定の傾斜角度Aは、電動モータ等を介して所定のタイミングで自動的に変更する構成することもできるし、作業者が適宜マニュアル操作で変更するようにすることもできる。
【0076】
ところで、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、円筒部211内において揮発した油類等や揮発時に生じる異臭が外部へ漏洩しないように、円筒部211、入口部220、出口部230の内部空間をブロワー等の吸引手段250で吸引し、揮発した油類等や揮発時に生じた異臭を回収する構成とすることができる。例えば、活性炭などの回収手段240に吸着させて回収することができる。吸引手段250の吸引により生じる前記内部空間内の空気の流れは、図1に示したように、混合物の搬出方向と逆行する方向とするのが、揮発した油類等の混合物側への再吸着防止などの観点から好ましいものである。
【0077】
ただし、上述したように、比較的揮発し難い油類等であっても良好に揮発させ、効率良く且つ確実に土壌を浄化することができるように、円筒部211を所定期間水平に維持した状態で油類等を揮発させる場合には、上述した油類等の混合物側への再吸着の惧れは少ないため、前記内部空間と、回収手段240、吸引手段250と、を接続する回収通路260を、図6に示したように配設することも可能である。
【0078】
ところで、前記吸引手段250による吸引負圧を利用して、前記脱臭剤添加装置300から消臭、脱臭を目的とした薬剤を前記内部空間内に供給する構成とすることも可能である。
【0079】
以上説明したように、第2の実施の形態は、油類等で汚染された土壌を、揮発促進物質と十分に細粒化しながら均一に混合し、この混合により起きる発熱反応を利用して、汚染土壌中に含まれる油類等を効果的に揮発させて汚染土壌を浄化するものであるが、汚染土壌中に含まれる油類等を揮発させる際に、油類等が揮発するのに適した環境を提供すべく、汚染土壌と揮発促進物質との混合物に対して、その表面だけでなく内部まで空気と接触させる空気接触処理を行う。
【0080】
かかる空気接触処理を行わせる本実施の形態によれば、従来に比べ、比較的揮発し難い油類等であっても揮発を促進することができ、以って汚染土壌をより迅速かつ確実に浄化することができる。
【0081】
なお、本実施の形態に係る空気接触処理装置200をコンパクトに構成することで、該装置を現場に持ち込んで現場での油類等の除去処理が可能である。
また、本実施の形態によれば、汚染土壌の処理・仮置きに関わるスペースを省略することができると共に、揮発した油類等が大気中へ飛散しないように、処理すべき土壌の周囲を仮設テントなどで包囲したうえで、該仮設テント内の空気をブロワーなどを介して吸引し、該仮設テント内の揮発した油類等を回収するといった方法と比較して、作業環境の改善、工期の短縮、コストの低減等を図ることができる。
【0082】
なお、本実施の形態において説明した前記所定の傾斜角Aを可変にする構成は、第1の実施の形態にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】(A)は同上実施の形態に係る細粒化混合装置の構成例を示す側面図であり、(B)は(A)に示される容器21の断面図である。
【図3】同上実施の形態に係る円筒部の斜視図である。
【図4】同上実施の形態に係る円筒部を回転軸方向から見た図である。
【図5】同上実施の形態に係る円筒部の他の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る第2の実施の形態の全体構成を概略的に示す図である。
【図7】従来の土壌浄化装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
100 細粒化混合装置(本発明に係る混合手段に相当する)
200 空気接触処理装置(本発明に係る曝気手段に相当する)
210 空気接触処理部
211 円筒部
212 突出部
220 入口部
230 出口部
240 回収手段(活性炭など)
250 吸引手段(ブロワーなど)
260 回収通路
300 脱臭剤添加装置
310 供給通路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性物質が混入している固体物質と、所望の温度条件を達成して揮発を促進する揮発促進物質と、を混合し、前記固体物質に混入している揮発性物質を揮発させて除去する揮発性物質除去方法であって、
前記揮発性物質が混入している固体物質と、前記揮発促進物質と、を所定に細粒化した状態に混合する工程と、
前記揮発性物質が混入している固体物質と前記揮発促進物質の混合物の内部まで不飽和な雰囲気に曝させる曝気処理を行う工程と、
を含むことを特徴とする揮発性物質除去方法。
【請求項2】
前記曝気処理が、前記混合物の全部或いは一部を所定高さから落下させる処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の揮発性物質除去方法。
【請求項3】
前記曝気処理が、前記混合物の一部を他部から分離した後、前記混合物の一部を所定高さから落下させる処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の揮発性物質除去方法。
【請求項4】
前記混合物の一部が、所定高さから落下された後に、前記他部と混合されることを特徴とする請求項3に記載の揮発性物質除去方法。
【請求項5】
前記曝気処理が、回転する容器の回転動作を利用して当該容器内で行われることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の揮発性物質除去方法。
【請求項6】
前記回転する容器の傾斜を利用して、前記混合物を当該容器から排出することを特徴とする請求項5に記載の揮発性物質除去方法。
【請求項7】
前記回転する容器の傾斜角が可変に設定されることを特徴とする請求項6に記載の揮発性物質除去方法。
【請求項8】
揮発した揮発性物質を回収しながら揮発性物質の除去を行うことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1つに記載の揮発性物質除去方法。
【請求項9】
前記揮発性物質から生じる臭いを消すための物質が添加されることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1つに記載の揮発性物質除去方法。
【請求項10】
前記揮発性物質が油類であることを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1つに記載の揮発性物質除去方法。
【請求項11】
揮発性物質が混入している固体物質と、所望の温度条件を達成して揮発を促進する揮発促進物質と、を混合し、前記固体物質に混入している揮発性物質を揮発させて除去する揮発性物質除去装置であって、
前記揮発性物質が混入している固体物質と、前記揮発促進物質と、を所定に細粒化した状態に混合する混合手段と、
前記揮発性物質が混入している固体物質と前記揮発促進物質の混合物の内部まで不飽和な雰囲気に曝させる曝気処理を行う曝気手段と、
を含んで構成したことを特徴とする揮発性物質除去装置。
【請求項12】
請求項2から請求項10の何れか1つに記載の揮発性物質除去方法を実行するための手段を備えて構成したことを特徴とする請求項11に記載の揮発性物質除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−55410(P2008−55410A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190268(P2007−190268)
【出願日】平成19年7月22日(2007.7.22)
【出願人】(000231198)日本国土開発株式会社 (51)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)
【Fターム(参考)】