説明

揮発成分採取具

【課題】長期間にわたって徐々に発生してくる室内空間の空気中に存在する微量のにおい成分を、騒音等を発生することなく、居住者の生活にほとんど影響を与えず採取すること。
【解決手段】揮発成分採取具は、棒状の支持体12bの一端に針状吸着部11が支持されてなる吸着器12と、天面13A及び底面13Bを有する基台13とを備える。採取具10の基台13が室内の載置面30に載置された状態で、針状吸着部11の軸方向が、載置面33に対して60〜90度の角度をなすように、吸着器12における支持体12bの他端が基台13の天面13Aに固定されている。基台13はその底面13Bに、基台13を載置面30に着脱可能に止着するための止着部13cを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間の空気中に含まれる香気や臭気の成分の採取具及び採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する意識の高まりによって悪臭を減らすことへの要望が高まっており、特に長時間にわたって徐々に発生して広がる居住空間のにおいが問題となっている。従来問題となっていた生ゴミなどの悪臭発生源に対するにおいの採取は、悪臭の混合臭の濃度が高い場合、例えば1ppmより高い場合は、検知管を使って行われていた。あるいは、吸引ポンプなどを使い、大量の空気を吸着材に流して数十分〜数時間等の短期の採取期間で採取されていた。
【0003】
現在問題となっている居室、病室、介護施設等の居住空間に漂う混合臭全体の濃度が低い場合(例えば100ppb以下)、その混合臭全体の採取に関しては、いわゆる発生源と呼べる悪臭濃度の高い箇所は存在せず、更に、悪臭濃度が低いため採取時間帯による影響も大きく受ける。したがって、長期間の採取によって、採取量を蓄積することが必要となる。しかし、他者による居住空間での長期間の採取は、特に夜間をまたぎ、一昼夜を超える場合にはプライベート侵害の問題、ポンプによる騒音、居住者の日常生活による装置の損傷など、採取上の問題点/リスクがあり、実際の居住空間の悪臭を反映したデータを獲得することは困難であった。
【0004】
この課題に対して、特許文献1では、騒音の全くない採取装置が提案されている。しかしこの装置は、キャニスター部分の容積が大きいので(通常6L以上)、運搬時の労力が大きく、採取される居住者の生活に支障をきたす場合がある。
【0005】
特許文献2及び3には、固相マイクロ抽出法(Solid Phase Micro Extraction、以下「SPME」とも言う。)用のファイバーを用いた空間の揮発成分採取方法が開示されている。SPME用のファイバーを用いた揮発成分の採取方法は、ポンプなどを用いない受動的な方法であり、騒音の心配がなく良好な方法と言える。しかしながら、特許文献2及び3に記載の装置や道具では、小さな入り口からSPME用ファイバーに流入する流体を採取するため、広範囲の平均的な揮発成分を採取するよりは、狭い範囲の流体の揮発成分の採取に適している。したがって、居住空間の揮発成分を採取するためには、SPME用ファイバーを長期間安定して居住空間に設置し、かつ、家具や壁面などから放出される特定の揮発成分のみが多く採取されることを防止して、居住空間において感じる混合臭を採取する必要がある。
【0006】
【特許文献1】特開2002−328078号公報
【特許文献2】特表平5−506715号公報
【特許文献3】米国特許第6929778号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る揮発成分の採取具及び採取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、室内空間の空気中に含まれる揮発成分を採取する揮発成分採取具であって、
前記採取具は、棒状の支持体の一端に針状吸着部が支持されてなる吸着器と、天面及び該天面と対向する底面を有する基台とを備え、
前記採取具の基台が室内の載置面に載置された状態で、前記針状吸着部の軸方向が、前記載置面に対して60〜90度の角度をなすように、前記吸着器における前記支持体の他端が前記基台の天面に固定されており、
前記基台はその底面に、該基台を前記載置面に着脱可能に止着するための止着部を備えている揮発成分採取具を提供するものである。
【0009】
本発明は、棒状の支持体の一端に針状吸着部が支持されてなる吸着器を有する揮発成分採取具を用いた室内の揮発成分採取方法であって、
前記採取具を室内の載置面に載置した状態で、外部に露出した前記針状吸着部の軸方向と該載置面とのなす角度を60〜90度に設定して、室内空間の空気中に含まれる揮発成分を採取する、室内の揮発成分採取方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、長期間にわたって徐々に発生してくる室内空間の空気中に存在する微量のにおい成分を、騒音等を発生することなく、居住者の生活にほとんど影響を与えず、安定して、かつ、小型の装置で採取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の揮発成分採取具の一実施形態を示す模式図であり、図2は、図1における吸着器の要部拡大図である。図1及び図2に示す採取具10は、室内空間の空気中に含まれる揮発成分を採取するために用いられるものである。特に空気中に含まれる微量の揮発性有機化合物の採取に好適に用いられる。とりわけ、ヒトを始めとする動物から発生する、悪臭源となる揮発成分の採取に好適に用いられる。揮発成分は、室内のにおいの元となる化学物質である。揮発成分は、空気中に一種又は二種以上含まれている。
【0012】
採取具10は、吸着器12と基台13とを備えている。吸着器12は、丸棒状の支持体12bと、該支持体12bの一端に支持された針状吸着部11と、該支持体12bの他端に設けられた雄ネジ部12aを有している。更に吸着器12は、支持体12bの外周面を覆い、かつ支持体12bの軸方向に摺動可能な円筒状の中空パイプ(ニードル)12cを備えている。針状吸着部11は細長い針状ないし繊維状のものであり、一本又は複数本が、支持体12bの一端に所定の手段によって固定されている。針状吸着部11は、物理的吸着及び/又は化学的吸着によって、揮発成分である化学物質を吸着することが可能な材料から構成されている。中空パイプ12cはその内周面が、支持体12bの外周面と接触状態になっている。そして両者間の摩擦力によって、中空パイプ12cを支持体12bの所定の位置に保持可能となっている。
【0013】
採取具10の使用前の状態においては、図2(a)に示すように、中空パイプ12cを支持体12bの上端寄りの位置において固定して、針状吸着部11を中空パイプ12cで覆い、針状吸着部11が外部に露出しないようにしている。そして揮発成分の採取時に、図2(b)に示すように、中空パイプ12cを支持体12bの下端寄りの位置に押し下げて、針状吸着部11が外部に露出するようにする。
【0014】
採取具10における基台13は、天面13A及び該天面13Aと対向する底面13Bを有する直方体の形状を有している。採取具10を水平な載置面30に載置した場合、基台13の天面13Aは載置面30と略平行となる。天面13には、陥没又は削孔によって支持凹部13aが設けられている。支持凹部13aの内周面には、吸着器12の雄ネジ部12aに螺合可能な雌ネジ部13bが形成されている。そして、吸着器12の雄ネジ部12aを基台13の雌ネジ部13bに螺合して固定することで、吸着器12は、基台13の天面から立設される。なお、一つの基台13当たりに、内周面に雌ネジ部13bが形成された支持凹部13aを一つ形成することもでき、あるいは二以上の複数個形成することもできる。支持台13に複数の支持凹部13aを形成することにより、二本以上の吸着器12を基台13に装着することができるので、一度の採取で同時に多量の揮発成分の採取を行うことができる。
【0015】
本実施形態の採取具10は吸着器12を基台13に固定した状態の位置関係に特徴の一つを有する。詳細には、採取具10の基台13が室内の載置面30に載置された状態で、針状吸着部11の軸方向が、載置面30に対して60〜90度、好ましくは80〜90度の角度をなすように、吸着器12における支持体12bの下端部が基台13の天面13Aに固定されている。このような位置関係で吸着器12を基台13に固定することで、載置面30を構成する樹脂等の材料から放出される揮発成分の積極的な吸着を可能な限り低減することができる。その結果、長期間にわたって徐々に発生してくる居住空間の微量のにおい成分(揮発成分)を、効率的に採取することができる。また、上述の位置関係は、採取具10の小型化の観点からも有利である。
【0016】
微量の揮発成分の更に効率的な採取の観点から、吸着器12は、その全長(ただし雄ネジ部12aを除く。)が9〜12cmであることが好ましい。また吸着器12の針状吸着部11の長さは1〜2cmであることが好ましい。
【0017】
吸着器12としては、市販されているものを用いることが可能である。特に、SPMEファイバーアセンブリー(Sigma-Aldrich社)を用いることが好ましい。SPMEファイバーアセンブリーとしては、一端にGC-MSの分析装置に固定可能な雄ネジ部12aが形成されているものを採用することができる。SPMEファイバーアセンブリーは、吸着器12を構成する細い棒状の支持体12bの先端に1〜2cmのファイバーからなる針状吸着部11が取着されたものからなる。SPMEファイバーアセンブリーの針状吸着部11は、揮発成分の採取前には棒状の支持体12bの外周面に摺動可能に取着された中空パイプ(ニードル)12cによって覆われている。
【0018】
針状吸着部11としては、採取したい揮発成分の性質や極性に応じて適切なSPME用ファイバーを選択すればよい。SPME用ファイバーは、例えばフューズドシリカの表面に各種コーティング相を形成したものからなる。あるいは、フューズドシリカの表面に薄いポリマーをコーティングし、更にその上に各種コーティング相を形成したものからなる。コーティング相としては、例えばポリジメチルシロキサン等の非極性のシリコン系材料、極性を有するポリアクレート系材料、ポリジビニルベンゼン系材料、吸着力の強い材料である活性炭系材料等が市販されている。具体的にはCarboxen(商品名)、Carbowax(商品名)、 Polydimethylsiloxan(PDMS)、 Divinyl benzene(DVB)等を用いることができる。
【0019】
支持台13は、その材質や製造方法に特に限定はないが、揮発成分の発生が少ない点からシリコン樹脂が好ましい。加工性や変形の少なさの点からは、アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂で支持台13を形成した場合には、支持台13から揮発成分の発生を減らすために1週間程度放置してから用いることが望ましい。
【0020】
支持台13は、縦15〜30mm、横15〜100mmの天面を備え、厚み5〜25mmとし、コンパクトに形成することが好ましい。また、支持凹部13aは吸着器12(SPMEファイバーアセンブリー)の雄ネジ部12aを螺合可能な大きさの雌ネジ部13bを形成し、例えば、直径3〜5mmで形成される。なお、室内の広範囲の平均的なにおいを効果的に採取する観点から、支持台13に装着された吸着器12の針状吸着部11への空気の流れに影響を与える可能性のある高さを有する凸部や蓋は、支持台13に設けないことが好ましい。つまり、支持台13の天面13Aは概ね平坦であることが好ましい。
【0021】
採取具10は、基台13の底面13Bに、基台13を載置面30に着脱可能に止着するための止着部を備えている。止着部13cは、例えば支持台13の底面13Bに塗布された粘着剤、又は支持台13の底面13Bに貼着された粘着シート又は基台13の底面に貼着された磁石シートから形成されている。
【0022】
止着部13cを粘着剤の塗布又は粘着シートで形成する場合、止着部13cを形成する粘着剤として、例えば、アクリル系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、熱硬化性ゴム系粘着剤等を使用することができる。また、これらの粘着剤の粘着強度を抑制して載置面30から剥離容易とするために、例えばアクリル系粘着剤を用いるときには、アクリル酸とアクリル酸エステルの配合を変えるとともに、粘着剤に無機系の中空微粒子や、多孔質シリカ等の多孔質フィラー、ポリメタクリル酸メチル等の非粘着性固体粒子を分散させることが有利である。これらの粒子が粘着表面に現れることによって貼り付け時の粘着面積を減少させられるからである。
【0023】
次に、上述の採取具10を用いた揮発成分の採取方法について説明する。本採取方法においては、採取具10を室内の載置面30に載置した状態で、外部に露出した針状吸着部11の軸方向と載置面30とのなす角度を60〜90度、好ましくは80〜90度に設定して、室内空間の空気中に含まれる揮発成分を採取する。室内空間とは、一般家屋(一戸建て住宅及びマンション等の集合住宅)における居室、病院やペットクリニックにおける病室、介護施設における居室、学校の教室、オフィスビルにおけるオフィスルーム、飲食店におけるホールや厨房、電車や自動車の車内、飛行機の機内、船舶の船室などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。載置面30としては、例えば室内の床面に置かれた机やテープの天面などの水平面を用いることができる。この水平な載置面30は、室内における床面又は天井から離間していることが好ましい。室内における採取具10の載置位置に特に制限はなく、例えば室内の中央や隅部等を採用できる。
【0024】
揮発成分の採取期間は、例えば食事やおむつ交換時等の突発的に発生する揮発成分が、採取した揮発成分中に高い割合を占めて平均的な室内のにおいの採取を妨げることがないようにする観点、及び長期間にわたって徐々に発生してくるような居住空間の微量の揮発成分、例えば0.1〜10ppbレベルの濃度の揮発成分を十分に採取する観点から、一昼夜ないし一ヶ月間とすることが好ましく、更に好ましくは三日ないし二週間とする。採取具10には、基台13の底面13Bに止着部13cが備えられているので、このような長期にわたり採取を行っても、採取具10の位置ずれ等が起こりにくいので、揮発成分の採取を安定して行うことができる。
【0025】
本採取方法によれば、長期間の採取によって100ppb以下、特に0.1〜10ppbで居住空間等の室内空間に漂うヒト由来のにおい成分(揮発成分)等をGC/MS等によって分析可能なレベルの量まで採取することができる。ヒト由来のにおい成分としては、例えば、酪酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸などの炭素数が2〜10の脂肪酸類や、ノナナール等の不飽和アルデヒド類が挙げられる。室内空間のにおいは、これらのにおい成分と他の揮発成分との混合臭である。
【0026】
本採取方法においては、載置面30から放出される揮発成分(この揮発成分は、採取の対象として望ましいものではない。)の採取量を少なくして、室内の広範囲の平均的な揮発成分を効果的に採取する観点から、針状吸着部11を載置面30から10〜15cm離して位置させて揮発成分を採取することが好ましい。
【0027】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、螺合によって吸着器12を基台13に固定したが、これに代えて、嵌合や接着剤による接着等の様々な手段で固定を行うことができる。
【0028】
また、前記実施形態においては採取具の載置面30は水平面であったが、載置面はこれに限られず、例えば壁面等の鉛直面を載置面としてもよい。また、水平な載置面として、室内の床面及び天井面を採用してもよい。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はかかる実施例に制限されない。
【0030】
〔実施例1〕
図1に示す採取具10を用いて、病室内の空気中に含まれる揮発成分の採取を行った。採取は、室内のにおいが問題となっている病室Aと、においの問題がない病室であって、病室Aと同床面積の病室Bで行った。採取具10における基台13はアクリル製であり、縦20mm、横70mmの長方形の天面13A及び底面13Bを備え、厚み20mmの直方体であった。支持台13の底面に、縦20mm、横70mm、厚み1mmの磁石シートを接着剤等によって貼着した。基台13の天面13Aの中央には支持凹部13aを三個形成した。支持凹部13aはその中心軸が、天面13Aに対して90度の角度をなすように形成した。支持凹部13aに直径4mmで雌ネジ部13bを形成した。吸着器12として、Polydimethylsiloxan(PDMS)を装着したSPMEファイバーアセンブリー(Sigma-Aldrich社)を用いた。吸着器12は二本用意し、吸着器12の下端部に、この雌ネジ部13bに螺合する雄ネジ部12aを形成した。吸着器12は二本用意した理由は、複数本の測定結果の平均値をとることで、測定精度を高めるためである。基台13を、室温25℃の病室における隅2箇所の床面上に置いた鉄製のキャビネットの天面(つまり載置面30、床面からの高さ2m)に載置し磁石シートで固定した。そして、基台13の雌ネジ部13bに、各吸着器12の雄ネジ部12aを螺合した。これによって、棒状の吸着器12が載置面30に対して90度の角度で起立状態となった。針状吸着部11は、載置面30から11cm上方に位置していた。また針状吸着部11は、室内の隅を構成する2つの壁から約50cm離間していた。なおこの状態では、吸着器12における針状吸着部11は、中空パイプ12cによって覆われていた。次いで、中空パイプ12cを下方に押し下げて、針状吸着部11を外部に露出させ、揮発成分の採取を開始した。採取は1週間にわたって行った。採取期間中、室内で換気などによる空気の流動や、看護師の日常の作業が行われるにもかかわらず、採取具10は転倒することもなく、また室内における看護師等の作業に支障を与えることもなかった。
【0031】
採取期間経過後、吸着器12における中空パイプ12cを押し上げて針状吸着部11を該中空パイプ12cで覆い、次いで吸着器12を支持台13から取り外した。そして、吸着器12の針状吸着部11(SPME用ファイバー)を、GC/MSに導入し、該針状吸着部11に吸着している揮発成分を分析した。そして、病室Aと病室Bの分析結果を対比した。その結果、イソ吉草酸などのヒト由来のにおい成分(揮発成分)が病室Aから検出された。
【0032】
〔比較例1〕
実施例1で用いた採取具10を、図3に示すように、吸着器12の針状吸着部11の軸方向が載置面30に対して概ね水平になるように横に寝かして載置した。この状態下にした2本の吸着器12について、実施例1と同様の採取を行った。この結果、ベンゼンや2−エチルヘサノールなどキャビネットの塗料由来と思われる成分が非常に多く検出され、目的とするヒト由来のにおい成分はほとんど検出されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の揮発成分採取具の一実施形態を示す模式図である。
【図2】図1に示す採取具における要部拡大図である。
【図3】比較例1で用いた揮発成分採取具を示す模式図である。
【符号の説明】
【0034】
10 揮発成分採取具
11 針状吸着部
12 吸着器
12b 支持体
13 基台
13A 天面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間の空気中に含まれる揮発成分を採取する揮発成分採取具であって、
前記採取具は、棒状の支持体の一端に針状吸着部が支持されてなる吸着器と、天面及び該天面と対向する底面を有する基台とを備え、
前記採取具の基台が室内の載置面に載置された状態で、前記針状吸着部の軸方向が、前記載置面に対して60〜90度の角度をなすように、前記吸着器における前記支持体の他端が前記基台の天面に固定されており、
前記基台はその底面に、該基台を前記載置面に着脱可能に止着するための止着部を備えている揮発成分採取具。
【請求項2】
前記針状吸着部が固相マイクロ抽出法(SPME)ファイバーからなる請求項1記載の揮発成分採取具。
【請求項3】
前記止着部が、前記支持台の底面に塗布された粘着剤、前記支持台の底面に貼着された粘着シート又は前記支持台の底面に貼着された磁石シートからなる請求項1又は2記載の揮発成分採取具。
【請求項4】
棒状の支持体の一端に針状吸着部が支持されてなる吸着器を有する揮発成分採取具を用いた室内の揮発成分採取方法であって、
前記採取具を室内の載置面に載置した状態で、外部に露出した前記針状吸着部の軸方向と該載置面とのなす角度を60〜90度に設定して、室内空間の空気中に含まれる揮発成分を採取する、室内の揮発成分採取方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate