説明

揺動型運動装置及び付け替え座部

【課題】使用者の体型や運動目的に合った運動を促し、運動効果を向上させることができる揺動型運動装置、及び同揺動型運動装置に対して付け替え可能な付け替え座部を提供する。
【解決手段】使用者が腰を載せるための着座部14と、その着座部14を揺動運動させる揺動機構13とを備える揺動型運動装置11において、着座部14は、その少なくとも一部が付け替え可能な付け替え座部23により構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が腰を載せるための着座部を揺動運動させることで使用者に運動負荷を付与する揺動型運動装置、及び同揺動型運動装置に対して付け替え可能な付け替え座部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、着座部が所定パターンで揺動運動し、その着座部に着座した使用者に乗馬を模した運動負荷等が付与されるようにした揺動型運動装置がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−61672公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、揺動型運動装置の使用者の体型には、その体格や筋力、関節の柔らかさなどにおいて個人差がある。さらに、同じ使用者であっても、異なる部位を鍛えたいという要求がある。しかし、使用者に体型や運動目的に合った適切な着座姿勢をとらせると共に、その最適な着座姿勢を揺動運動の開始から終了まで保ち続けさせるのは困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者の体型や運動目的に合った運動を促し、運動効果を向上させることができる揺動型運動装置、及び同揺動型運動装置に対して付け替え可能な付け替え座部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段について記載する。
本発明の揺動型運動装置は、使用者が腰を載せるための着座部と、その着座部を揺動運動させる揺動機構とを備える揺動型運動装置において、前記着座部は、その少なくとも一部が付け替え可能な付け替え座部により構成されていることを特徴としている。
【0007】
この揺動型運動装置において、前記付け替え座部及び当該付け替え座部が付け替え可能に装着される装着部のうち少なくとも一方には、当該装着部に対して前記付け替え座部を弾性的に支持可能とする弾性部材が設けられていることが好ましい。
【0008】
この揺動型運動装置は、前記付け替え座部の種類を検出する座部種類検出手段と、該座部種類検出手段が検出した前記付け替え座部の種類に応じて前記揺動機構の駆動態様を変更する変更手段とをさらに備えることが好ましい。
【0009】
この揺動型運動装置は、前記付け替え座部が付け替え可能に装着される装着部に対する前記付け替え座部の相対移動を検出する相対移動検出手段をさらに備えることが好ましい。
【0010】
この揺動型運動装置は、運動目的に合わせて前記揺動機構を制御する制御手段と、前記着座部に付与される圧力を検出する圧力検出手段と、運動目的と適正圧力とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記運動目的に合わせた適切な着座姿勢を報知する報知手段とをさらに備え、前記報知手段は、前記圧力検出手段が検出した検出結果と、前記記憶手段に記憶された前記適正圧力とが異なる場合に、前記適切な着座姿勢を報知することが好ましい。
【0011】
本発明の付け替え座部は、上記揺動型運動装置に対して付け替え可能に構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用者の体型や運動目的に合った運動を促し、運動効果を向上させることができる揺動型運動装置、及び同揺動型運動装置に対して付け替え可能な付け替え座部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施形態の揺動型運動装置を示す側面図。
【図2】図1の揺動型運動装置の斜視図。
【図3】本発明に係る実施形態の第1の付け替え座部の構成を示す断面図。
【図4】本実施形態の第2の付け替え座部の構成を示す断面図。
【図5】本実施形態の第3の付け替え座部の構成を示す断面図。
【図6】本実施形態の第3の付け替え座部に取付部材を取り付けた構成を示す断面図。
【図7】(a)は本実施形態の第4の付け替え座部の構成を示す断面図、(b)は本実施形態の第5の付け替え座部の構成を示す断面図。
【図8】本実施形態の揺動型運動装置の電気的構成を示すブロック図。
【図9】(a)は座面が前傾した場合の揺動型運動装置の状態を示す模式図、(b)は座面が後傾した場合の揺動型運動装置の状態を示す模式図。
【図10】(a)〜(c)は、別の実施形態における着座部の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、各図中に示すように、前後方向を「奥行方向Z」、上下方向を「高さ方向Y」、前後方向及び上下方向と直交する左右方向を「幅方向X」とする。また、幅方向Xにおいては、使用者の右手側から左手側に向かう方向を「左方」、使用者の左手側から右手側に向かう方向を「右方」とする。
【0015】
図1及び図2に示すように、揺動型運動装置11は、床面に設置される脚部12の上側に揺動機構13を介して着座部14が揺動可能に組み付けられるとともに、その揺動機構13の駆動に基づいて着座部14が乗馬を模した揺動パターンを含む各種の揺動パターンにて揺動するものである。
【0016】
脚部12の上部にはベース15が固定されているとともに、着座部14の下部には第1の台座16が固定されている。また、ベース15と第1の台座16との間には第1の台座16を駆動するためのモータ17が収容されている。そして、ベース15と第1の台座16とは、モータ17の回転を第1の台座16の揺動運動に変換する連結リンク18によって接続されている。なお、本実施形態では、これらのベース15、第1の台座16、モータ17及び連結リンク18により、着座部14を揺動運動させる揺動機構13が構成されている。
【0017】
そして、揺動機構13の駆動によって、着座部14において使用者が腰を載せるための座面14aは、図1に示す状態よりも前傾したり後傾したりするようになっている。使用者は、このように座面14aが傾斜したときにバランスをとるようにその体勢を変化させることで、腹筋や背筋などを鍛錬したり、ストレッチ運動を行ったりする。
【0018】
着座部14において使用者の股下部分に対応する部位には、平面視矩形穴状の第1の装着部20が凹設されるとともに、着座部14の左右両側面において使用者の左右の両内股が接する部位には、側面視円形状の第2の装着部21が凹設されている。そして、第1,第2の装着部20,21には、それぞれ少なくとも1つの付け替え座部23〜27が付け替え可能に装着されるようになっている。
【0019】
なお、本実施形態では、図3〜図6に示すように、第1の装着部20には、股下部用の第1〜第3の付け替え座部23〜25を付け替え可能になっていると共に、図7(a)(b)に示すように、第2の装着部21には、第4,第5の付け替え座部26,27を付け替え可能になっている。ただし、図1及び図2では、第1の装着部20に第1の付け替え座部23を装着し、第2の装着部21に第4の付け替え座部26を装着した状態を図示している。
【0020】
図1及び図2に示すように、着座部14における左右両側下部からは、使用者が足を掛けるための2つの鐙29がそれぞれ吊り下げられている。また、着座部14の上面側において前方となる位置には、着座部14に跨って着座した使用者が把持する手綱30と、使用者が操作する操作用パネル31とが取り付けられている。
【0021】
操作用パネル31には、揺動型運動装置11の状態や運動モード、使用者の運動状態などを表示するための表示部32と、揺動型運動装置11の操作を行うための操作部33とが配置されている。操作部33には、例えば揺動運動等の動作を開始及び停止させるためのスイッチや、運動モードを選択するための選択ボタンなどが配置されている。
【0022】
本実施形態の運動モードとしては、着座部14に乗馬を模した揺動をさせるように揺動機構13を駆動する揺動運動モードと、着座部14に着座した使用者の骨盤底筋に刺激を与えるように揺動機構13を駆動する骨盤底筋運動モードとが選択可能となっている。なお、各運動モードに対応して、その運動内容を指導するための音声を発するためのスピーカを操作用パネル31に設けるようにしてもよい。
【0023】
次に、第1,第2の装着部20,21、及び第1,第2の装着部20,21に装着される第1〜第5の付け替え座部23〜27の構成について、図3〜図7に基づいて説明する。
【0024】
図3〜図6に示すように、第1の装着部20の前後両壁及び第1の台座16には、相対移動検出手段としての荷重検出センサ35〜37がそれぞれ設けられている。このうち、前方に設けられた第1の荷重検出センサ35と後方に設けられた第2の荷重検出センサ36は、使用者が着座部14に着座した状態で揺動運動した際に、奥行方向Zにおいて使用者の体重がかかる方向を検出可能になっている。また、同じく第1の台座16に設けられた第3の荷重検出センサ37は、高さ方向Yにおいて使用者の体重のかかり方の変化を検出可能になっている。すなわち、各付け替え座部23〜25は、第1の装着部20に対して僅かなクリアランス程度の距離を相対移動可能な状態で装着されるようになっており、その相対移動の結果が荷重として検出されるようになっている。
【0025】
さらに、第1の装着部20には、該第1の装着部20に装着された付け替え座部23〜25の種類を検出する座部種類検出手段としての接続端子39〜41が第1の台座16の上面に設けられている。なお、接続端子39〜41は、第1の装着部20に付け替え可能な付け替え座部23〜25の数と同数(本実施形態では3つ)設けられ、接続端子39〜41の接続状態に応じて第1の装着部20に装着された付け替え座部23〜25の種類を検出可能になっている。
【0026】
図3に示すように、第1の付け替え座部23は、底面視矩形状の基台部43と、弾性部材としてのばね44と、ばね44を介して基台部43に支持される座部材45とを備えている。すなわち、ばね44は、第1の付け替え座部23が第1の装着部20に装着された際に、第1の装着部20に対して第1の付け替え座部23の座部材45を弾性的に支持可能としている。そして、基台部43の下面前方には凹部46が形成されると共に、その凹部46内には、第1の付け替え座部23が第1の装着部20に装着された際に第1の接続端子39と接続可能とされる接続部47が設けられている。
【0027】
また、座部材45は、着座部14に着座した使用者の骨盤底筋に対応する股下部分に接触して骨盤底筋に刺激を与えるための接触部48A,48Bを有している。この第1の付け替え座部23における座部材45の場合は、異なる骨盤底筋に対応して前後方向に複数(本実施形態では2つ)の接触部48A,48Bを備えている。前側に位置する接触部48Aは特に尿道括約筋や膣活約筋など体幹部前側の骨盤底筋を刺激するためのものである。その一方、後側に位置する接触部48Bは特に肛門括約筋や肛門挙筋など体幹部後側の骨盤底筋を刺激するためのものである。
【0028】
さらに、座部材45の上部には、各接触部48A,48Bに対する使用者の骨盤底筋の接触圧を検出するための圧力検出手段としての圧力検出センサ49がそれぞれ取り付けられている。なお、圧力検出センサ49は付け替え座部23の一部を構成している。
【0029】
次に、図4に基づいて第2の付け替え座部24について説明する。ただし、第2の付け替え座部24は、第1の付け替え座部23と座部材51の形状が異なる点でのみ構成が相違しており、その他の構成は共通しているため、同様の構成部分については同一符号を付すことにして、その詳細な重複説明を省略する。
【0030】
図4に示すように、第2の付け替え座部24は、奥行方向Zにおける前方部分が後方部分に比べて嵩高であると共に、幅方向Xにおける中央部分が両端部分に比べて嵩高な山形状の座部材51を有している。
【0031】
さらに、第2の付け替え座部24では、1つの圧力検出センサ49が座部材51の上面であって奥行方向Z及び幅方向Xの中央部分に設けられていると共に、その基台部43における下面前方の凹部46内には第1の装着部20に装着された際に第2の接続端子40と接続可能とされる接続部47が設けられている。なお、第2の付け替え座部24の座部材51は、第1の付け替え座部23の座部材45に比べて衝撃吸収性に優れており、使用者が高さ方向Yに移動する運動を行う際に使用者への衝撃を軽減するようになっている。
【0032】
次に、図5に基づいて第3の付け替え座部25について説明する。ただし、第3の付け替え座部25も、第1の付け替え座部23とは座部材52の形状が異なると共にばね44を設けない点でのみ構成が相違しており、その他の構成は共通しているため、同様の構成部分については同一符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0033】
図5に示すように、第3の付け替え座部25の座部材52は、奥行方向Zにおける中央部分が両端部分に比べて高さが低くなっている。具体的には、第3の付け替え座部25を第1の装着部20に装着すると、着座部14の座面14aと座部材52の上面とが段差なくなだらかに連続するようになっている。
【0034】
さらに、第3の付け替え座部25では、1つの圧力検出センサ49が座部材52の上面であって奥行方向Z及び幅方向Xの中央部分に設けられていると共に、その基台部43における下面前方の凹部46内には第1の装着部20に装着された際に第3の接続端子41と接続可能とされる接続部47が設けられている。
【0035】
また、図6に示すように、第3の付け替え座部25には、略半球状の取付部材53が取付可能となっている。なお、取付部材53は、座部材52における前側もしくは後側に取付可能となっており、図6では、取付部材53を前側に取り付けた場合を図示している。そして、取付部材53を前側に取り付けた場合には、取付部材53が使用者の前側の骨盤底筋に対応する股下部分に接触し、特に尿道括約筋や膣活約筋など体幹部前側の骨盤底筋を刺激可能となる。その一方、取付部材53を後側に取り付けた場合には、使用者の後側の骨盤底筋に対応する股下部分に接触し、特に肛門括約筋や肛門挙筋など体幹部後側の骨盤底筋を刺激可能となる。
【0036】
図7に示すように、第2の装着部21には、第1の台座16と共に揺動運動する第2の台座55が設けられている。さらに、第2の台座55には、第2の装着部21に付け替え可能な第4,第5の付け替え座部26,27の種類を検出する座部種類検出手段としての接続端子56,57が設けられている。なお、接続端子56,57は、第2の装着部21に付け替え可能な付け替え座部26、27の数と同数(本実施形態では2つ)設けられ、接続端子56,57の接続状態に応じて第2の装着部21に装着された付け替え座部26,27の種類を検出可能になっている。
【0037】
また、第4,5の付け替え座部26,27は、それぞれ座部材59,60の形状が異なる点でのみ構成が相違しており、その他の構成は共通しているため、同様の構成部分については同一符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0038】
図7(a),(b)に示すように、第4,第5の付け替え座部26,27における基台部61の右面下方には凹部62が形成されると共に、その凹部62内には接続部63が設けられている。具体的には、第4の付け替え座部26の凹部62内に設けられた接続部63は、第4の付け替え座部26が第2の装着部21に装着された際に第4の接続端子56と接続可能になっている。また、第5の付け替え座部27の凹部62内に設けられた接続部63は、第5の付け替え座部27が第2の装着部21に装着された際に第5の接続端子57と接続可能になっている。
【0039】
また、図7(a)に示すように、第4の付け替え座部26は、高さ方向Yにおける中央部分が嵩高な山形状の座部材59が基台部61に取り付けられている。また、図7(b)に示すように、第5の付け替え座部27の座部材60は、第4の付け替え座部26の座部材59に比べて幅方向Xに厚みを有し、使用者の大腿部をより広がった状態にして支持することができる。さらに、各座部材59,60の高さ方向Yにおける中央部分には、座部材59,60に接触する使用者の大腿部の接触圧を検出するための圧力検出手段としての圧力検出センサ64が取り付けられている。したがって、使用者の股関節の柔らかさに応じた第4,第5の付け替え座部26,27の使用を促すことにより、使用者に適切な着座姿勢をとらせることができる。
【0040】
次に、揺動型運動装置11の電気的構成について説明する。
図8に示すように、揺動型運動装置11は、装置全体の各種動作を制御する制御手段としての制御部66と、荷重検出センサ35〜37及び圧力検出センサ49,64からの検出信号の入力を受けるとともに検出信号を処理して制御部66に出力する信号処理部67とを備えている。すなわち、第1〜第5の付け替え座部23〜27に設けられた圧力検出センサ49,64が検出した接触圧は、接続部47,63、第1〜第5の接続端子39〜41,56,57及び信号処理部67を介して制御部66に出力される。具体的には、例えば、第1の付け替え座部23が第1の装着部20に装着された場合には、圧力検出センサ49が検出した接触圧が、接続部47,第1の接続端子39、信号処理部67を介して制御部66に出力されるようになっている。
【0041】
また、制御部66には、表示部32、操作部33、揺動機構13、記憶手段としての記憶部68が電気的に接続されている。そして、制御部66は、操作部33から出力される各種制御信号が入力されることにより表示部32の表示制御を行うようになっている。すなわち、制御部66は、操作部33から出力される制御信号に基づいて揺動機構13(具体的には、モータ17等)を駆動させることで、着座部14の揺動運動を制御する。
【0042】
さらに、制御部66は、荷重検出センサ35〜37及び圧力検出センサ49,64が検出した検出結果に基づいて、表示部32を制御することにより使用者に適切な着座姿勢を報知したり、付け替え座部23〜27の付け替えを報知したりするようになっている。具体的には、制御部66は、圧力検出センサ49、64が検出した接触圧が、記憶部68に運動目的と対応付けて記憶された適正圧力と異なる場合に、表示部32を制御して適切な着座姿勢を報知する。したがって、表示部32は、報知手段として機能している。
【0043】
次に、揺動型運動装置11の動作及び作用について説明する。
まず、揺動型運動装置11における運動モード(運動目的)の一つである骨盤底筋運動モードについて説明する。骨盤底筋運動モードは、第1の付け替え座部23を第1の装着部20に装着することで、使用者の骨盤底筋を効果的に鍛錬するための運動モードであり、第1の付け替え座部23が第1の装着部20に装着されることにより自動的に選択される。したがって、制御部66は変更手段としても機能している。また、骨盤底筋運動モードは、第3の付け替え座部25に取付部材53を取り付けた場合にも選択される。
【0044】
具体的には、例えば揺動機構13を駆動する前に、第1の装着部20に第1の付け替え座部23を装着しておく。そして、この状態で揺動機構13の駆動を開始すると、図9(a)に示すように座面14aが前傾したときには後側の接触部48Bが使用者の体幹部後側の骨盤底筋を刺激すると共に、圧力検出センサ49によって接触圧を検出する。また、図9(b)に示すように座面14aが後傾したときには前側の接触部48Aが使用者の体幹部前側の骨盤底筋を刺激すると共に、圧力検出センサ49によって接触圧が検出される。
【0045】
これにより、着座部14の揺動運動に伴って使用者の骨盤底筋が適度に刺激され、骨盤底筋の筋活動が活性化される。また、座部材45の接触によって使用者に骨盤底筋の位置を知覚させることになるので、揺動運動中においても、使用者は骨盤底筋を収縮及び弛緩させる骨盤底筋の運動をより意識的に行うことができる。さらに、揺動型運動装置11は、圧力検出センサ49によって検出された接触圧に基づいて、使用者に対して適切な姿勢を報知したり、揺動機構13の駆動態様を変更したりする。具体的には、例えば前方の圧力検出センサ49が検出した接触圧と後方の圧力検出センサ49が検出した接触圧が大きく異なる場合、すなわち、互いの接触圧の差が大きい場合には、その接触圧の差が小さくなるように、揺動機構13の駆動態様を変更する。
【0046】
また、座面14aが前傾したときには、後方に設けられた第2の荷重検出センサ36に付与される荷重が増加するのに対し、座面14aが後傾したときには前方に設けられた第1の荷重検出センサ35に付与される荷重が増加する。そして、表示部32に第1,第2の荷重検出センサ35、36が検出した荷重の変化に基づいて算出された使用者の実際の運動量を表示する。
【0047】
このとき第2の装着部21には、第4,第5の付け替え座部26,27のうち、使用者が任意に選択した付け替え座部26,27が装着されるようになっている。しかし、例えば第5の付け替え座部27を装着した状態において、圧力検出センサ64が検出した圧力が所定の圧力よりも大きい場合には、表示部32に厚みの小さな第4の付け替え座部26への付け替えを促すメッセージを表示する。
【0048】
次に、揺動型運動装置11における運動モードの一つである揺動運動モードについて説明する。揺動運動モードは、揺動機構13を駆動することで使用者の腹筋や背筋などを鍛錬するための運動モードであり、第2の付け替え座部24もしくは第3の付け替え座部25が第1の装着部20に装着されることにより自動的に選択される。
【0049】
具体的には、揺動機構13を駆動する前に、第1の装着部20に第2の付け替え座部24もしくは取付部材53を取り外した状態の第3の付け替え座部25を装着しておく。そして、この状態で揺動機構13の駆動を開始すると、着座部14の揺動に合わせて使用者が揺動運動する。なお、使用者が揺動運動すると、第1〜第3の荷重検出センサ35〜37が検出する荷重が変化し、表示部32に各荷重検出センサ35〜37が検出した荷重の変化に基づいて算出された使用者の実際の運動量を表示する。
【0050】
また、第3の付け替え座部25を第1の装着部20に装着した状態において、圧力検出センサ49が検出した接触圧が予め設定された規定値よりも大きい場合には、第3の付け替え座部25に比べて衝撃吸収性に優れた第2の付け替え座部24への付け替えを促すメッセージを表示部32に表示する。
【0051】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)着座部14の一部を付け替え座部23〜27が付け替え可能とされた第1,第2の装着部20,21としたため、付け替え座部23〜27を付け替えることにより、使用者の体格や運動目的に合った運動を促し、運動効果を向上させることができる。すなわち、例えば、骨盤底筋を鍛えたい場合には、着座部14における使用者の骨盤底筋に対応する第1の装着部20に第1の付け替え座部23を装着することにより、骨盤底筋に第1の付け替え座部23を接触させることができる。したがって、着座部14が骨盤底筋と接触しない状態で揺動運動を行う場合と比べて運動効果を向上させることができる。また、例えば使用者の股関節の柔らかさに応じて第2の装着部21に装着される第4,第5の付け替え座部26,27を付け替えることにより、使用者に無理なく運動を行わせることができる。
【0052】
(2)着座部14において、その一部を付け替え可能な第1〜第5の付け替え座部23〜27で構成することにより、着座部14全体を交換する場合に比べて容易に使用者の体格や筋力、関節の柔らかさなどの個人差に対応することができる。
【0053】
(3)第1の装着部20に装着された付け替え座部23〜25を第1〜第3の接続端子39〜41が検出することにより、装着された付け替え座部23〜25の種類に応じて揺動機構13の駆動モードを変更することができる。すなわち、装着された付け替え座部23〜27に応じて運動モードを自動的に切り替えることができるため、使用者の操作を簡素化することができる。
【0054】
(4)第1〜第3の荷重検出センサ35〜37が付け替え座部23〜25と第1の装着部20との僅かな相対移動を検出することに基づいて実際の運動状態を検出することができるため、実際の運動状態に基づいた運動量を使用者に報知することができる。
【0055】
(5)圧力検出センサ49,64が付け替え座部23〜27にかかる接触圧を検出することにより、使用者が適切な姿勢で運動を行っているか否かを判断することができる。そして、適切な姿勢で運動が行われていない場合には、揺動パターンを変化させたり、適切な姿勢を報知したりすることにより、使用者の運動効果を向上させることができる。
【0056】
(6)骨盤底筋に直接刺激を与える場合には、好ましい接触圧が使用者によって異なっている。この点、ばね44を備える第1の付け替え座部23と、ばね44を備えない第3の付け替え座部25とを付け替えることにより、適した接触圧での運動を促すことができる。
【0057】
(7)第1の付け替え座部23を第1の装着部20に装着した場合には、複数の接触部48A,48Bによって、骨盤底筋を構成する各筋に対して個別に刺激を与えることができる。すなわち、例えば、使用者の体幹部の前側と後側とに対応して2つの接触部48A,48Bを設けた場合には、一方の接触部48Aによって尿道括約筋や膣活約筋など体幹部前側の骨盤底筋を刺激することができる。また、他方の接触部48Bによって肛門括約筋や肛門挙筋など体幹部後側の骨盤底筋を刺激することができる。
【0058】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更して実施することもできる。
・図10に示すように、着座部14全体を付け替え可能としてもよい。そして、この場合には、着座部14に第1,第2の装着部20,21を設けなくてもよい。
【0059】
具体的には、図10(a)に示すように、揺動型運動装置70は、脚部71の上方に設けられて着座部72aを支持する支持部73が揺動機構(図示略)の駆動に伴って揺動するようになっている。そして、図10(a)〜(c)に示すように、支持部73に対して各着座部72a〜72cが付け替え可能となっている。
【0060】
すなわち、図10(a)に示すように、着座部72aは、全体が断面視略逆U字状をなすと共に、幅方向Xにおける中央部分が上方に隆起した凸部74を有している。すなわち、この着座部72aに使用者が着座した状態で揺動運動をすると、凸部74が骨盤底筋に接触し、骨盤底筋が鍛えられるようになっている。
【0061】
また、図10(b)及び図10(c)に示すように、着座部72b,72cは、互いに幅方向Xの両側部分の厚みが異なるように形成されている。すなわち着座部72bの厚みに比べて、着座部72cの厚みは大きくなっている。したがって、使用者は、股関節の柔らかさに応じて着座部72b,72cを選択することにより、適切な姿勢をとることができる。
【0062】
・着座部14に対して、着座部14の全体を覆うカバーを付け替え可能としてもよい。例えば、カバーを洗濯可能とすることにより、着座部14を清潔に使用することができる。
【0063】
・第3の付け替え座部25を第1の装着部20に装着した状態において、骨盤底筋運動モードで揺動機構13を駆動させてもよい。また、第1,第2の付け替え座部23、24を第1の装着部20に装着した状態、及び第3の付け替え座部25に取付部材53を取り付けた状態において、揺動運動モードで揺動機構13を駆動させてもよい。
【0064】
・第1,第2の装着部20,21は、どちらか一方のみを着座部14に設けるようにしてもよい。すなわち、付け替え座部23〜27は、着座部14の一部に付け替え可能であればよい。また、装着部20,21が設けられる位置も、上部及び両側部に限らずに運動目的に合わせて任意に変更することができる。また、着座部14に3つ以上の装着部を設けてもよい。
【0065】
・第1,第2の装着部20,21を同一形状に形成し、第1〜第5の付け替え座部23〜27を第1,第2の装着部20,21の何れにも付け替え可能としてもよい。
・付け替え座部23〜27に弾性を与えるばね(弾性部材)を第1,第2の装着部20,21に設けてもよい。なお、この場合には、第1,第2の付け替え座部23,24がばね44を有しない構成としてもよい。また、第1〜第5の付け替え座部23〜27は、第1,第2の装着部20,21の構成に関わらずにばね44及び基台部43,61を有しない構成としてもよい。さらに、第3〜第5の付け替え座部25〜27において、ばねを設けてもよい。さらに、ばね44は、座部材45,51を弾性支持可能であればよく、ゴムや緩衝材などを用いることもできる。
【0066】
・第1の装着部20において、荷重検出センサ35〜37を備えない構成としてもよい。また、この場合には、第1〜第3の付け替え座部23〜25もしくは第1の装着部20にスイッチを備え、運動に伴ってスイッチの状態が切り替えられたか否かによって使用者の運動状態を検出してもよい。また、第2の装着部21及び図10に示す揺動型運動装置における支持部73に荷重検出センサを設けるようにしてもよい。
【0067】
・第1〜第5の付け替え座部23〜27において、圧力検出センサ49,64を備えない構成としてもよい。
・揺動型運動装置11は、使用者が着座部14に着座して馬を模した運動を行う装置に限らず、運動装置又は健康器具等であってもよい。例えば、使用者が着座した状態で足踏み運動をする運動装置において、着座部を揺動させると共に、着座部の一部を付け替え可能としてもよい。
【0068】
・着座部14は必ずしも使用者が全体重を預けて着座したり跨ったりするものでなくてもよい。すなわち、使用者が着座部14に着座した場合に足が床面に着いていてもよいし、足を前方に伸ばすような体勢で着座部14に着座するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
11,70…揺動型運動装置、13…揺動機構、14,72a〜72c…着座部、20,21…第1,第2の装着部、23〜27…第1〜第5の付け替え座部、32…表示部(報知手段)、35〜37…第1〜第3の荷重検出センサ(相対移動検出手段)、39〜41,56、57…第1〜第5の接続端子(座部種類検出センサ)、47…ばね(弾性部材)、49,64…圧力検出センサ(圧力検出手段),66…制御部(制御手段、変更手段)、68…記憶部(記憶手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が腰を載せるための着座部と、その着座部を揺動運動させる揺動機構とを備える揺動型運動装置において、
前記着座部は、その少なくとも一部が付け替え可能な付け替え座部により構成されていることを特徴とする揺動型運動装置。
【請求項2】
前記付け替え座部及び当該付け替え座部が付け替え可能に装着される装着部のうち少なくとも一方には、当該装着部に対して前記付け替え座部を弾性的に支持可能とする弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の揺動型運動装置。
【請求項3】
前記付け替え座部の種類を検出する座部種類検出手段と、
該座部種類検出手段が検出した前記付け替え座部の種類に応じて前記揺動機構の駆動態様を変更する変更手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の揺動型運動装置。
【請求項4】
前記付け替え座部が付け替え可能に装着される装着部に対する前記付け替え座部の相対移動を検出する相対移動検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の揺動型運動装置。
【請求項5】
運動目的に合わせて前記揺動機構を制御する制御手段と、
前記着座部に付与される圧力を検出する圧力検出手段と、
運動目的と適正圧力とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記運動目的に合わせた適切な着座姿勢を報知する報知手段と
をさらに備え、
前記報知手段は、前記圧力検出手段が検出した検出結果と、前記記憶手段に記憶された前記適正圧力とが異なる場合に、前記適切な着座姿勢を報知することを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の揺動型運動装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の揺動型運動装置に対して付け替え可能に構成されたことを特徴とする付け替え座部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−110458(P2012−110458A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260841(P2010−260841)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)