説明

揺動型運動装置

【課題】鐙を使用し、より高い運動効果を得ることができる揺動型運動装置を提供する。
【解決手段】鐙15には、その伸張方向及び前後方向に対向する弾性力による反力を生じさせる弾性部材23が備えられる。即ち、座部13の揺動による通常の運動負荷に加え、その揺動に基づいて使用者が足掛け部21を通じて鐙15を踏み込んで変位させた際、弾性部材23にてその変位方向と対向する方向の反力(負荷)が生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部の揺動にて、着座した使用者に運動負荷を付与する揺動型運動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
揺動型運動装置においては、例えば特許文献1にて示されるように、座部が所定パターンで揺動運動し、その座部に着座した使用者に乗馬を模した運動負荷等が付与されるように構成されるものがある。また、この揺動型運動装置は、座部から鐙が吊り下げられてなり、鐙に使用者の足を載せた状態での座部の揺動による運動負荷を使用者に付与するものである。
【0003】
また、特許文献1にて示される鐙は、足掛け部が弾性材よりなる連結片にて吊り下げられており、足掛け部が座部より外側位置に配置されるようにその弾性力で保持するようになっている。つまり、使用者が座部に跨る際に、足掛け部が座部より外側に離れているために足掛けが容易で、また座部に跨った使用状態で足掛け部が内側に位置するようにその連結片が撓むため、使用時における使用者の膝への負担に配慮するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−56185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の揺動型運動装置では、座部の揺動による運動効果が得られるが、その運動効果をより高めることが要望されており、鐙を使用することでその座部の揺動運動から新たな運動効果を付加できないかが検討されている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、鐙を使用して、より高い運動効果を得ることができる揺動型運動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、基台に駆動機構を介して座部が揺動可能に構成されると共に、前記座部の左右両側に吊り下げられた鐙が備えられ、前記鐙の足掛け部に足を掛け前記座部に跨って着座した使用者に対し、前後方向及び左右方向の揺動を組み合わせた揺動パターンの実行による運動負荷を付与する揺動型運動装置であって、前記鐙自体、若しくは前記鐙と前記基台側との間に、前記鐙の伸張方向及び前後方向の少なくとも一方に対向する弾性力による反力を生じさせる弾性部材が備えられていることをその要旨とする。
【0008】
この発明では、鐙自体、若しくは鐙と装置の基台側との間に、鐙の伸張方向及び前後方向の少なくとも一方に対向する弾性力による反力を生じさせる弾性部材が備えられる。これにより、座部の揺動による通常の運動負荷に加え、その揺動に基づいて使用者が足掛け部を踏み込んで鐙を伸張方向及び前後方向に変位させた際、弾性部材にてその変位方向と対向する方向の反力が生じ、使用者の特に脚部を中心に運動負荷を付加できる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の揺動型運動装置において、前記鐙は、前記弾性部材を備えてなるものであり、前記座部に対して着脱可能に構成されていることをその要旨とする。
【0010】
この発明では、鐙は、弾性部材を備えて座部に対して着脱可能に構成されるため、弾性部材の劣化による鐙の交換が容易となる。また、弾性部材の弾性力が異なる鐙を複数用意することで、使用者毎の運動負荷の変更が容易となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の揺動型運動装置において、前記鐙は、前記足掛け部が連結部材を介して前記座部に吊り下げられてなるものであり、前記弾性部材は、前記連結部材における前記座部寄りに配置されていることをその要旨とする。
【0012】
この発明では、鐙は、足掛け部が連結部材を介して座部に吊り下げられてなり、弾性部材は、連結部材における座部寄りに配置される。これにより、脚部の中でも上腿部を中心に運動負荷を付与できる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の揺動型運動装置において、前記鐙は、前記足掛け部が連結部材を介して前記座部に吊り下げられてなるものであり、前記弾性部材は、前記連結部材における前記足掛け部寄りに配置されていることをその要旨とする。
【0014】
この発明では、鐙は、足掛け部が連結部材を介して座部に吊り下げられてなり、弾性部材は、連結部材における足掛け部寄りに配置される。これにより、脚部の中でも下腿部を中心に運動負荷を付与できる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の揺動型運動装置において、前記鐙は、前記弾性部材を備えてなるものであり、その弾性部材が複数並列的に構成されていることをその要旨とする。
【0016】
この発明では、鐙は、弾性部材を備えその弾性部材が複数並列的に構成されるため、弾性部材の1つが万一断裂しても鐙としての機能を維持できる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の揺動型運動装置において、前記鐙の足掛け部には、足指にて把持可能な凸部を有していることをその要旨とする。
【0017】
この発明では、鐙の足掛け部は、足指にて把持可能な凸部を有しているため、更に足指への運動負荷を付加できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鐙を使用して、より高い運動効果を得ることができる揺動型運動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態における揺動型運動装置の斜視図である。
【図2】同揺動型運動装置の側面図である。
【図3】(a)〜(c)は同揺動型運動装置の動作説明図である。
【図4】(a)〜(d)は別例における鐙の構成図である。
【図5】(a)(b)は別例における弾性部材の取り付け態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2は、本実施形態の揺動型運動装置10を示す。揺動型運動装置10は、床面に設置される基台11に駆動機構12を介して座部13が揺動可能に組み付けられ、モータを駆動源とした駆動機構12の駆動に基づいて、座部13が前後方向及び左右方向の揺動を組み合わせた例えば乗馬を模した揺動パターンを含む各種の揺動パターンにて揺動するものである。
【0021】
また、この揺動型運動装置10には、座部13に跨って着座した使用者が把持する手綱14が座部13の前部に取り付けられるとともに、座部13の左右両側下部から鐙15がそれぞれ吊り下げられている。鐙15は、使用者の足を載せるべく略三角環状の足掛け部21と、該足掛け部21を座部13に連結する連結片22とを備え、足掛け部21を下端に連結した連結片22の上端が座部13に対して着脱可能に連結されている。また、連結片22は、コイルスプリング等よりなる弾性部材23を介装して構成され、吊り下げ方向(伸縮方向)及び前後方向の傾動に対して弾性力による反力が生じるように構成されている。
【0022】
即ち、座部13に跨って着座した使用者は、座部13の各種の揺動パターンにより揺動負荷が付与されて運動効果が得られるとともに、図3(a)〜(c)に示すように、例えば前後揺動の際に、鐙15の足掛け部21に掛けた足を通じて使用者の脚部に弾性部材23の弾性力による反力が自然に作用し、脚部を中心に相乗的な運動効果が得られる。具体的に、座部13が図3(b)の通常状態から図3(a)の前傾状態になると、使用者は反射的に足を前方に出して脚部にて踏ん張ろうとするため、その足の動きに追従する足掛け部21にて弾性部材23の下部側が前方に向くように該弾性部材23が屈曲するとともに、該弾性部材23が下方に向けて伸張する。また、図3(c)の後傾状態になると、使用者は反射的に膝を曲げて後方側で足掛け部21を踏み込もうとするため、その足の動きに追従する足掛け部21にて弾性部材23の下部側が後方に向くように該弾性部材23が屈曲するとともに、同じく弾性部材23が下方に向けて伸張する。このような弾性部材23の屈曲及び伸張を通常状態に復帰しようとする反力が運動負荷として足掛け部21を通じて使用者の足から脚部に作用し、その脚部を中心に運動効果が付加されるようになる。
【0023】
従って、本実施形態の揺動型運動装置10では、座部13の揺動による通常の運動負荷に加え、鐙15の足掛け部21に使用者が足を掛けるだけでその揺動による鐙15の弾性部材23からの反力にて使用者に運動負荷が付加されるため、より高い運動効果が得られるようになっている。
【0024】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、鐙15には、その伸張方向及び前後方向に対向する弾性力による反力を生じさせる弾性部材23が備えられている。これにより、座部13の揺動による通常の運動負荷に加え、その揺動に基づいて使用者が足掛け部21を通じて鐙15を踏み込んで伸張方向及び前後方向に変位させた際、弾性部材23にてその変位方向と対向する方向の反力が生じ、使用者の特に脚部を中心に運動負荷を付加できるため、より高い運動効果を得ることができる。
【0025】
(2)本実施形態では、鐙15は、座部13に対して着脱可能に構成されているため、備えられる弾性部材23の劣化による鐙15の交換が容易である。また、弾性部材23の弾性力が異なる鐙15を複数用意することで、使用者毎の運動負荷の変更が容易である。
【0026】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態で用いる弾性部材23をコイルスプリング以外で構成してもよく、例えば他のバネ材やゴム材を用いて構成してもよい。
【0027】
・上記実施形態では特に言及しなかったが、図1及び図2のように弾性部材23を連結片22の中央位置に配置するのみならず、配置を適宜変更してもよい。
例えば図4(a)は、弾性部材23を連結片22の座部13寄りに偏倚させて配置したものであり、このようにすれば、脚部の中でも上腿部を中心に運動負荷の付与が可能となる。また図4(b)は、弾性部材23を連結片22の足掛け部21寄りに偏倚させて配置したものであり、このようにすれば、脚部の中でも下腿部を中心に運動負荷の付与が可能となる。
【0028】
・上記実施形態では特に言及しなかったが、図1及び図2のように弾性部材23を1つとするのみならず、複数とし、並列的な構成としてもよい。
例えば図4(c)は、2つの弾性部材23を並列的に構成したものであり、このようにすれば、弾性部材23の1つが万一断裂しても鐙15としての機能を維持することができる。
【0029】
・上記実施形態での鐙15の足掛け部21に、図4(d)に示すように、足指にて把持可能な凸部21aを設けてもよい。このようにすれば、更に足指への運動負荷の付加が可能となる。
【0030】
・上記実施形態では、鐙15自体に弾性部材23を用いて構成したが、例えば図5(a)(b)に示すように、鐙15と装置10の基台11側との間に介装する構成としてもよい。尚、図5(a)は、鐙15(例えば足掛け部21)と基台11の床板11aとの間に弾性部材23が備えられるものであり、図5(b)は、鐙15(例えば足掛け部21)と基台11の支柱11bとの間に弾性部材23が備えられるものである。
【0031】
・上記実施形態では、鐙15の伸張方向及び前後方向の両方に弾性部材23による反力が作用する構成であったが、いずれか一方でもよく、また左右方向にその反力を作用させる構成としてもよい。
【0032】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 基台に駆動機構を介して座部が揺動可能に構成されると共に、前記座部の左右両側に吊り下げられた鐙が備えられ、前記鐙の足掛け部に足を掛け前記座部に跨って着座した使用者に対し、前後方向及び左右方向の揺動を組み合わせた揺動パターンの実行による運動負荷を付与する揺動型運動装置であって、
前記鐙と前記基台側との間に、前記鐙の伸張方向、前後方向及び左右方向の少なくとも一方に対向する弾性力による反力を生じさせる弾性部材が備えられていることを特徴とする揺動型運動装置。
【0033】
この構成によれば、座部の揺動による通常の運動負荷に加え、その揺動に基づいて使用者が足掛け部を踏み込んで鐙を伸張方向、前後方向及び左右方向に変位させた際、弾性部材にてその変位方向と対向する方向の反力が生じ、使用者の特に脚部を中心に運動負荷を付加できるため、より高い運動効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0034】
10…揺動型運動装置、11…基台、12…駆動機構、13…座部、15…鐙、21…足掛け部、21a…凸部、22…連結片(連結部材)、23…弾性部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に駆動機構を介して座部が揺動可能に構成されると共に、前記座部の左右両側に吊り下げられた鐙が備えられ、前記鐙の足掛け部に足を掛け前記座部に跨って着座した使用者に対し、前後方向及び左右方向の揺動を組み合わせた揺動パターンの実行による運動負荷を付与する揺動型運動装置であって、
前記鐙自体、若しくは前記鐙と前記基台側との間に、前記鐙の伸張方向及び前後方向の少なくとも一方に対向する弾性力による反力を生じさせる弾性部材が備えられていることを特徴とする揺動型運動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動型運動装置において、
前記鐙は、前記弾性部材を備えてなるものであり、前記座部に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする揺動型運動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の揺動型運動装置において、
前記鐙は、前記足掛け部が連結部材を介して前記座部に吊り下げられてなるものであり、
前記弾性部材は、前記連結部材における前記座部寄りに配置されていることを特徴とする揺動型運動装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の揺動型運動装置において、
前記鐙は、前記足掛け部が連結部材を介して前記座部に吊り下げられてなるものであり、
前記弾性部材は、前記連結部材における前記足掛け部寄りに配置されていることを特徴とする揺動型運動装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の揺動型運動装置において、
前記鐙は、前記弾性部材を備えてなるものであり、その弾性部材が複数並列的に構成されていることを特徴とする揺動型運動装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の揺動型運動装置において、
前記鐙の足掛け部は、足指にて把持可能な凸部を有していることを特徴とする揺動型運動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−120728(P2011−120728A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280681(P2009−280681)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)