説明

損傷検出方法、損傷検出装置、損傷検出システム

【課題】簡単な計算により建物の損傷の有無を判定することができる廉価な損傷検出装置を提供する。
【解決手段】損傷検出システム10は、構造物11の複数箇所に設置された複数の損傷検出端末20と、損傷検出端末20とネットワーク21経由で接続された監視サーバ22とにより、構造物11の損傷を検出する損傷検出システム10であって、損傷検出端末20は、構造物11に取り付けられ、構造物11に生ずる加速度に応じた測定信号を出力する加速度センサ30と、前記測定信号をA/D変換するA/D変換部31と、A/D変換された測定信号を表わすサンプル値列において、所定時間内の絶対値を加算した加速度振幅絶対値和を算出する絶対値加算部34と、を備え、監視サーバ22は、各損傷検出端末20により算出された加速度振幅絶対値和に基づき、構造物11の損傷の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物が地震などを被災した際に、建物に損傷が発生したか否かを検出するための損傷検出方法、装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、大地震等が起きた際に、建物の構造体に発生した損傷を検出するため、建物の構造体の各部に加速度センサを取り付け、この加速度センサにより測定された加速度に基づき建物の構造体の損傷の有無を判定する方法が知られている。この方法では、健全時と地震後における加速度をFFT解析することにより建物の固有周期を算出し、健全時と地震後の固有周期が異なるか否かに基づき損傷の有無を判定する。
【0003】
また、例えば、特許文献1には、構造物の所定の位置に加速度センサを設置し、地震の前後においてセンサにより取得された振動を用いて演算処理を行い、構造物の各部の剛性を推定し、地震の前後における剛性を比較することにより、損傷の有無及び損傷箇所を特定する装置が記載されている。
【特許文献1】特開2004−264235号報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の方法において固有周期を算出するために用いられるFFT解析などの演算は計算回数が多いため、高性能の演算処理装置が必要となる。また、特許文献1記載の装置では、剛性を算出するために、マトリクス演算などの高度な計算が必要となるため、同様に高性能の演算処理装置を用いなければならず、コスト高になるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡単な計算により建物の損傷の有無を判定することができる廉価な損傷検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の損傷検出方法は、構造物の損傷の有無を検出する方法であって、前記構造物に生じる振動に応じて変化する物理量を測定し、所定時間内の前記測定した物理量の絶対値を積分した振幅絶対値和を算出し、前記振幅絶対値和に基づき、前記構造物の損傷の有無を判定することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の損傷検出装置は、構造物の損傷の有無を検出する装置であって、前記構造物に生じる振動に応じて変化する物理量に応じた測定信号を出力する物理量センサと、 前記測定信号の所定時間内の絶対値を積分した振幅絶対値和を算出する絶対値和算出部と、前記算出した振幅絶対値和に基づき、前記構造物の損傷の有無を判定する損傷判定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の損傷検出装置は、構造物の損傷の有無を検出する装置であって、前記構造物に生じる振動に応じて変化する物理量に応じた測定信号を出力する物理量センサと、 前記測定信号をA/D変換するA/D変換部と、前記測定信号を表わすサンプル値列において所定時間内の絶対値を加算した振幅絶対値和を算出する絶対値和算出部と、前記A/D変換された測定信号の所定時間内の絶対値を加算した振幅絶対値和を算出する絶対値和算出部と、前記算出した振幅絶対値和に基づき、前記構造物の損傷の有無を判定する損傷判定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の損傷検出システムは、構造物の複数箇所に設置された複数の損傷検出端末と、前記損傷検出端末と通信可能に接続された監視サーバとにより、前記構造物の損傷を検出する損傷検出システムであって、前記損傷検出端末は、前記構造物に取り付けられ、前記構造物に生じる振動に応じて変化する物理量に応じた測定信号を出力する物理量センサと、前記測定信号の所定時間内の絶対値を積分した振幅絶対値和を算出する絶対値加算部と、を備え、前記監視サーバは、前記各損傷検出端末により算出された前記振幅絶対値和に基づき、前記構造物の損傷の有無を判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の損傷検出システムは、構造物の複数箇所に設置された複数の損傷検出端末と、前記損傷検出端末と通信可能に接続された監視サーバとにより、前記構造物の損傷を検出する損傷検出システムであって、前記損傷検出端末は、前記構造物に取り付けられ、前記構造物に生じる振動に応じて変化する物理量に応じた測定信号を出力する物理量センサと、前記測定信号をA/D変換するA/D変換部と、前記A/D変換された測定信号を表わすサンプル値列において、所定時間内の絶対値を加算した振幅絶対値和を算出する絶対値加算部と、を備え、前記監視サーバは、前記各損傷検出端末により算出された前記振幅絶対値和に基づき、前記構造物の損傷の有無を判定することを特徴とする。
【0011】
また、上記の損傷検出システムにおいて、前記物理量は加速度であり、前記損傷検出端末は、前記A/D変換された測定信号を表わすサンプル値列において、前記所定の時間内の平均値を算出する平均値算出部と、前記平均値算出部で算出された平均値に基づき、前記構造物の前記物理量センサの取付部位における傾斜の有無を判定する傾斜判定部とを備えてもよい。
【0012】
本発明の損傷検出システムによれば、加速度振幅絶対値和を用いて損傷の有無の判定及び損傷箇所の特定を行うため、複雑な演算処理が不要である。このため、高性能な演算処理装置を用いる必要がなく、低価格なCPUを用いることができるため、損傷検出システムを廉価で提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加速度などの物理量に基づき算出した振幅絶対値和を用いて損傷の有無の判定及び損傷箇所の特定を行うため、複雑な演算処理が不要である。このため、低価格な演算処理装置を用いることができ、損傷検出システムを廉価で提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
従来技術の欄で説明したように、建物の構造体が地震等により損傷を受けると、損傷を受けた部分の剛性が低下するため、固有周期が長周期化する。このため、建物の構造体の各部に加速度センサを取り付け、加速度センサで測定された加速度の固有周期を監視することにより建物の構造体の損傷を検出することが考えられる。しかし、固有周期を算出するためには、FFT解析などの複雑な計算が必要となるため、高性能な演算処理装置が必要となり、コストがかかるという問題がある。
【0015】
ここで、建物の構造体に損傷が発生していない場合には、地震動の振幅が大きくなると、それに比例して構造体に生ずる加速度、速度、変位などの物理量(以下、振動物理量という)の振幅も増加する。しかし、建物の構造体に損傷が生じると剛性が低下し、モード形状に変化が生じるため、その部位における振動物理量の振幅の増加の傾向が変化する。
【0016】
そこで、発明者らは、振動物理量を測定するセンサにより測定された測定信号をA/D変換した後、所定の時間内の各ステップの絶対値を加算することにより算出した総和を監視することにより、建物の損傷の有無を検出する方法を提案する。振動物理量の絶対値の総和は、固有周期のようなFFT解析などの複雑な計算を必要とせず、非常に簡単な計算により得られる。なお、以下の説明では振動物理量として加速度を用いる場合について説明するが、これに限らず、速度、変位などを用いてもよい。
【0017】
さらに、発明者らは、加速度センサを構造体に取り付け、加速度センサにより測定される水平方向に作用する加速度の平均値を監視することにより構造体の傾斜の有無を検出する方法を提案する。加速度センサの取り付けられた構造体が健全状態であれば、加速度センサにより測定される水平方向の加速度の平均値はゼロとなるが、加速度センサを取り付けた構造体に損傷が発生し、構造体が傾いた場合には、地震動に加えて重力加速度が加速度センサに加わるため、測定される加速度の平均値が正負何れかにずれる。このため、加速度センサにより測定される加速度の平均値に基づき、地震により構造体の加速度センサを取り付けた部位に傾斜が生じたか否かを検出する方法が考えられる。
【0018】
そこで、発明者らは、加速度振幅の絶対値の総和(以下、加速度振幅絶対値和という)と、建物の構造体の損傷を検出できることを確かめるため、建物の構造体をモデル化した数値解析モデルを用いて数値シミュレーションを行った。ここで、先ずこの数値シミュレーションについて説明する。
【0019】
図1(A)は、数値解析の対象である構造体を示す図であり、同図(B)は(A)に示す構造体をモデル化した解析モデルを示す図であり、同図(C)は解析モデルにおいて設定した剛性の特性を示すグラフである。同図に示すように、本解析では、連層耐震壁が各階でスラブにより連結された構造体を対象として、トリリニア型の曲げ非線形特性を有する質点系モデルによりモデル化した。なお、Y通り側の連層耐震壁の耐力をX通り側に比べて非常に高く設定しており、X通り側の耐震壁が損傷しやすい。この解析モデルに、図2に示すような、スペクトル特性や経時特性の異なる6種類の地震波の最大加速度が100、200、400、600、800Galになるように基準化して加振した。
【0020】
図3は、解析モデルの2FのX、Y通りの質点における最大応答加速度を示す図であり、同図(A)は、X通りの最大応答加速度、同図(B)は、Y通りの最大応答加速度を示す。図3に示すように、Y通りの応答はいずれの入力地震波に対しても、入力の大きさに応じて略線形的に増大しているが、X通りの応答は各地震波に対して異なる傾向を示している。これは、後述する損傷の進行に応じたものであると考えられる。
【0021】
図4は、解析モデルの1FのX、Y通りの曲げに対する塑性率を示すグラフであり、同図(A)は、X通り耐震壁の塑性率、同図(B)はY通りの耐震壁の塑性率を示す。同図に示すように、X通りの耐震壁は塑性率の増加が早く、特に、地震波Dに対しては、最大加速度を200Galから400Galに増加させると急激に塑性率が増加している。このことから、X通りではY通りに比べて損傷の進行が早く、特に、地震波Dを作用した場合には、より損傷の進行が早いことがわかる。
【0022】
図5は、解析モデルの2Fの加速度振幅絶対値和の推移を示すグラフであり、同図(A)は、解析モデルの2FのX通りの加速度振幅絶対値和、同図(B)は、解析モデルの2FのY通りの加速度振幅絶対値和を示す。同図に示すように、2FのX通りでは、加速度が増加するほど加速度振幅絶対値和は増加する傾向があるが、地震波Dに対しては、200Gal以下の振幅の小さい地震波に対しても加速度振幅絶対値和が大きく、400Galを超えても大きく増加することがない。これは、地震波Dを加振した場合には、解析モデルに早期に損傷が発生したことと対応する。また、2FのY通りにおいても、地震波Dを加振した場合には、他の地震波を加振した場合に比べて絶対値の増加の傾向が異なっている。
【0023】
また、図6は、解析モデルの1Fの加速度振幅絶対値和の推移を示すグラフであり、同図(A)は、解析モデルの1FのX通りの加速度振幅絶対値和、同図(B)は、解析モデルの1FのY通りの加速度振幅絶対値和を示す。同図に示すように、2Fにおける結果に比べて振幅は小さいものの、1Fにおける加速動振幅絶対値和においても地震波Dによる加速度振幅絶対値和は、他の地震波による加速度振幅絶対値和と異なる傾向を示している。このように、加速度振幅絶対値和は損傷の進行と対応しており、加速度振幅絶対値和を監視することにより構造物の損傷を検出できることがわかる。
【0024】
また、図7は、夫々の通りの1Fの加速度振幅絶対値和に対する2Fの加速度振幅絶対値和の比率を示すグラフであり、同図(A)は、X通りの比率、同図(B)は、Y通りの比率を示す。同図に示すように、損傷の進行の遅いY通りでは、加速度振幅絶対値和の比率が略一定で800Gal入力時にやや変動が見られる程度であるが、X通りでは、地震波D及び地震波Fでは、入力加速度によって大きく比率が変化しており、特に地震波Dの場合には200Galで大きく比率が低下している。これは、Y通り側に比べてX通り側の耐震壁は損傷が早期に進行していることに対応する。このように、加速度振幅絶対値和の相対比を監視することにより損傷の有無を判定することができることがわかる。
【0025】
図8は、解析モデルの2Fの加速度平均値を示すグラフであり、同図(A)はX通りにおける加速度平均値、同図(B)はY通りにおける加速度平均値を示す。同図に示すように、Y通りにおける加速度平均値は0.0に近い値であるが、X通りにおける加速度平均値は0.0から大きく外れている。これは、上述したようにY通り側に比べて、X通り側では大きく損傷が進行していることと対応している。このように、加速度平均値を監視することにより、加速度センサの取付部位に傾斜が発生していることを検出することができ、損傷の有無を判定することができることがわかる。
【0026】
上述したように、本解析により、建物の構造体に損傷がない場合は、構造体の各部における加速度振幅絶対値和は、入力地震波が大きくなると、略一様に増加する傾向を有するが、建物の構造体に損傷を生じた場合には、損傷箇所の近傍における加速度振幅絶対値和は、健全部における加速度振幅絶対値和と異なる傾向を示すことが確認された。また、加速度平均値を監視することにより加速度センサの取付部位における傾斜の有無を検出できることが確認された。
【0027】
上記の解析の結果を踏まえて、本実施形態の損傷検出システムは以下のような構成をとることとした。
図9(A)は、本実施形態の損傷検出システム10の構成を示す図であり、(B)は、損傷検出端末20の構成を示す図である。同図(A)に示すように、本実施形態の損傷検出システム10は、建物などの構造体11の各部に取り付けられた複数の損傷検出端末20と、各損傷検出端末20とネットワーク21を介して送受信可能に接続された監視サーバ22とを備える。
【0028】
また、同図(B)に示すように、損傷検出端末20は、加速度センサ30と、A/D変換部31と、絶対値加算部34と、平均値算出部32と、傾斜判定部33と、送受信部35とを備える。また、損傷検出端末20は、各種演算処理を行うCPUを備えており、以下の演算処理は、このCPUにより実行される。
【0029】
加速度センサ30は、地震などにより建物の構造体11の水平方向に直交するx、y2軸の方向における加速度に夫々応じた測定信号を出力する。この測定信号はA/D変換部31に入力される。A/D変換部31は、予め設定されたサンプリング周波数に基づき、測定信号をA/D変換する。A/D変換された測定信号は、絶対値加算部34及び平均値算出部32に入力される。
【0030】
絶対値加算部34は、A/D変換された測定信号の各サンプル値の絶対値を加算して、加速度振幅絶対値和を算出する。絶対値加算部34において算出された加速度振幅絶対値和は送受信部35に入力される。
また、平均値算出部32は、A/D変換された測定信号の平均値を算出する。平均値算出部32において算出された平均値は傾斜判定部33に入力される。
【0031】
傾斜判定部33は、平均値算出部32において算出された測定信号の平均値が正負何れかの値を持つ場合には、構造物に傾斜が生じていると判定する。また、平均値が略ゼロとなる場合には、構造物に傾斜が生じていないと判定する。傾斜判定部33における判定結果は、送受信部35に入力される。
送受信部35は、傾斜判定部33より判定結果を、絶対値加算部34より加速度振幅絶対値和の入力を受付けると、これらをネットワーク21経由で監視サーバ22へ送信する。
【0032】
監視サーバ22には、予め健全時に各損傷検出端末20において算出された加速度振幅絶対値和の相対比が記録されている。監視サーバ22は、各損傷検出端末20より加速度振幅絶対値和を受信すると、各損傷検出端末20における健全時の加速度振幅絶対値和に対する地震時の加速度振幅絶対値和の相対比を算出し、算出した相対比を比較する。そして、算出した相対比が他の相対比に比べて一定以上かい離する場合には、該当する損傷検出端末20の取り付けられている箇所の近傍に損傷が発生していると判定する。
【0033】
監視サーバ22は、この判定結果及び各損傷検出端末20より受信した傾斜の有無などを、必要に応じて、画面出力あるいは印刷出力、さらに警報発令等を行う。これにより、建物の構造体における異常の発生を早期に検出することができる。
【0034】
本実施形態の損傷判定システム10によれば、加速度振幅絶対値和に基づき損傷の有無を検出できるため、複雑な計算が必要とならない。このため、損傷検出端末20の演算処理装置として低価格なCPUを用いることができるため、低コストでシステムを提供することができる。また、このように損傷検出端末20を低コスト化できるため、建物に設置する損傷検出端末20の数を増やすことができる。これにより、一部の損傷検出端末20が故障した場合にも、故障の影響を最小限に抑えることができる。また、加速度の平均値を算出することにより、構造物の傾きの有無も検出することができる。
【0035】
なお、上記の実施形態では、損傷検出端末と監視サーバとの間をネットワークで接続する構成としたが、これに限らず、USB等のインターフェースを介して接続する構成としてもよい。
また、本実施形態では、振動物理量として加速度を用いた場合について説明したが、これに限らず速度や変位を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(A)は、数値解析の対象である構造体を示す図であり、同図(B)は(A)に示す構造体をモデル化した解析モデルを示す図であり、同図(C)は解析モデルにおいて設定した剛性の特性を示すグラフである。
【図2】解析モデルに加えた6種類の地震波を示す図である。
【図3】解析モデルの2FのX、Y通りの質点における最大応答加速度を示す図であり、同図(A)は、X通りの最大応答加速度、同図(B)は、Y通りの最大応答加速度を示す。
【図4】解析モデルの1FのX、Y通りの曲げに対する塑性率を示すグラフであり、同図(A)は、X通り耐震壁の塑性率、同図(B)はY通りの耐震壁の塑性率を示す。
【図5】解析モデルの2Fの加速度振幅絶対値和の推移を示すグラフであり、同図(A)は、解析モデルの2FのX通りの加速度振幅絶対値和、同図(B)は、解析モデルの2FのY通りの加速度振幅絶対値和を示す。
【図6】解析モデルの1Fの加速度振幅絶対値和の推移を示すグラフであり、同図(A)は、解析モデルの1FのX通りの加速度振幅絶対値和、同図(B)は、解析モデルの1FのY通りの加速度振幅絶対値和を示す。
【図7】夫々の通りの1Fの加速度振幅絶対値和に対する2Fの加速度振幅絶対値和の比率を示すグラフであり、同図(A)は、X通りの比率、同図(B)は、Y通りの比率を示す。
【図8】、解析モデルの2Fの加速度平均値を示すグラフであり、同図(A)はX通りにおける加速度平均値、同図(B)はY通りにおける加速度平均値を示す。
【図9】(A)は、本実施形態の損傷検出システムの構成を示す図であり、(B)は、損傷検出端末の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
10 損傷検出システム
11 構造体
20 損傷検出端末
21 ネットワーク
22 監視サーバ
30 加速度センサ
31 A/D変換部
32 平均値算出部
33 傾斜判定部
34 絶対値加算部
35 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の損傷の有無を検出する方法であって、
前記構造物に生じる振動に応じて変化する物理量を測定し、
所定時間内の前記測定した物理量の絶対値を積分した振幅絶対値和を算出し、
前記振幅絶対値和に基づき、前記構造物の損傷の有無を判定することを特徴とする損傷検出方法。
【請求項2】
構造物の損傷の有無を検出する装置であって、
前記構造物に生じる振動に応じて変化する物理量に応じた測定信号を出力する物理量センサと、
前記測定信号の所定時間内の絶対値を積分した振幅絶対値和を算出する絶対値和算出部と、
前記算出した振幅絶対値和に基づき、前記構造物の損傷の有無を判定する損傷判定部と、を備えることを特徴とする損傷検出装置。
【請求項3】
構造物の損傷の有無を検出する装置であって、
前記構造物に生じる振動に応じて変化する物理量に応じた測定信号を出力する物理量センサと、
前記測定信号をA/D変換するA/D変換部と、
前記測定信号を表わすサンプル値列において所定時間内の絶対値を加算した振幅絶対値和を算出する絶対値和算出部と、
前記A/D変換された測定信号の所定時間内の絶対値を加算した振幅絶対値和を算出する絶対値和算出部と、
前記算出した振幅絶対値和に基づき、前記構造物の損傷の有無を判定する損傷判定部と、を備えることを特徴とする損傷検出装置。
【請求項4】
構造物の複数箇所に設置された複数の損傷検出端末と、前記損傷検出端末と通信可能に接続された監視サーバとにより、前記構造物の損傷を検出する損傷検出システムであって、
前記損傷検出端末は、
前記構造物に取り付けられ、前記構造物に生じる振動に応じて変化する物理量に応じた測定信号を出力する物理量センサと、
前記測定信号の所定時間内の絶対値を積分した振幅絶対値和を算出する絶対値加算部と、を備え、
前記監視サーバは、
前記各損傷検出端末により算出された前記振幅絶対値和に基づき、前記構造物の損傷の有無を判定することを特徴とする損傷検出システム。
【請求項5】
構造物の複数箇所に設置された複数の損傷検出端末と、前記損傷検出端末と通信可能に接続された監視サーバとにより、前記構造物の損傷を検出する損傷検出システムであって、
前記損傷検出端末は、
前記構造物に取り付けられ、前記構造物に生じる振動に応じて変化する物理量に応じた測定信号を出力する物理量センサと、
前記測定信号をA/D変換するA/D変換部と、
前記A/D変換された測定信号を表わすサンプル値列において、所定時間内の絶対値を加算した振幅絶対値和を算出する絶対値加算部と、を備え、
前記監視サーバは、
前記各損傷検出端末により算出された前記振幅絶対値和に基づき、前記構造物の損傷の有無を判定することを特徴とする損傷検出システム。
【請求項6】
請求項5記載の損傷検出システムであって、
前記物理量は加速度であり、
前記損傷検出端末は、
前記A/D変換された測定信号を表わすサンプル値列において、前記所定の時間内の平均値を算出する平均値算出部と、
前記平均値算出部で算出された平均値に基づき、前記構造物の前記物理量センサの取付部位における傾斜の有無を判定する傾斜判定部とを備えることを特徴とする損傷検出システム。


【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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