搬送コンベヤ
【課題】搬送コンベヤの積載部を簡単に取り外せるようにしてコンベヤと周辺領域の洗浄の容易化を図り、かつ、死角の無い洗浄を可能ならしめることを課題としている。
【解決手段】スプロケット2、3間に個別に掛け渡される無端の左右一対のコンベヤチェーン4と、そのコンベヤチェーンに駆動されて往路、復路を走行周回する積載部5と、コンベヤチェーン4を支えるガイド路を有し、被搬送物を載せて走行する前記積載部5を、無端のネット6とそのネットの網目に挿通される支軸7とで構成し、コンベヤチェーンのチェーンリンク4aに設けたアタッチメント4bの軸受部10に支軸7を着脱自在に取り付けた。
【解決手段】スプロケット2、3間に個別に掛け渡される無端の左右一対のコンベヤチェーン4と、そのコンベヤチェーンに駆動されて往路、復路を走行周回する積載部5と、コンベヤチェーン4を支えるガイド路を有し、被搬送物を載せて走行する前記積載部5を、無端のネット6とそのネットの網目に挿通される支軸7とで構成し、コンベヤチェーンのチェーンリンク4aに設けたアタッチメント4bの軸受部10に支軸7を着脱自在に取り付けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜や肉などの洗浄、殺菌、加熱、冷却と言った処理を流れ作業で連続的に行うときの搬送ラインとして好適な搬送コンベヤ、詳しくは、搬送面を構成する部材を簡単に取り外せるようにしてコンベヤの全域と周辺領域の洗浄を支障なく行えるようにした搬送コンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、野菜などを搬送しながら洗浄する場合、搬送装置としてベルトコンベヤ、ネットコンベヤ、エプロンコンベヤなどの搬送コンベヤが従来から用いられている。
【0003】
なお、下記特許文献1には、左右一対のローラチェーン間にチェーンのローラの支軸を兼用した固定軸を掛け渡し、その固定軸を、搬送面を構成するネットの網目に挿通してネットの走行をローラチェーンで駆動して行うネットコンベヤが開示されている。
【0004】
そして、そのネットコンベヤについては、ネット受けレールを死角の無い状態で洗浄可能としたものが提案されている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−51717号公報
【特許文献2】特開2004−115142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食品の搬送に利用されるコンベヤは、常に清潔さを保つ必要があるため、周辺設備も含めた定期的洗浄が要求される。その洗浄は、例えば、水槽の内部に設置される野菜などの洗浄ラインのコンベヤの場合、全体を水槽外に取り出して行っている。
【0007】
このような面倒な方法を採っているのは、洗浄の死角となる箇所を減少させるためである。コンベヤが水槽内にあると、洗浄不可能な箇所や洗浄し難い箇所ができて全域の洗浄が行えず、また、コンベヤが障害物になって水槽の底や内側側面と言った周辺領域の洗浄も不十分になるので、その不具合を少しでも減少させるために、コンベヤの全体を水槽から取り出している。
【0008】
しかしながら、この方法は作業が大掛りになり、コンベヤを吊上げるクレーンなどの設備も必要になる。また、コンベヤの全体を吊上げる必要があるので、作業の安全性にも問題が生じる。
【0009】
また、作業が大掛りになるため、頻繁な洗浄も行い難い。加えて、搬送面がベルトやスラットバーで構成されたコンベヤであると、水槽外に取り出しても搬送面の裏側の洗浄が行い難く、全域を十分に洗浄するのが難しい。
【0010】
なお、前記特許文献1のネットコンベヤは、ネットを固定軸でローラチェーンに一体化させているため、ネットの着脱が行えない。
【0011】
前記特許文献2のネットコンベヤは、ネット受けレールをコンベヤフレームに着脱自在に取り付け、それを取り外すことでネット受けレールの死角のない洗浄と、周辺機器やコンベヤフレームの洗浄の容易化を可能となしている。
【0012】
このように、コンベヤの一部を分解可能となすことで洗浄がし易くなるが、エンドレスのネットは、取り外し難いため満足のいく洗浄は望み難い。特に、特許文献1のように、ローラチェーンでネットを駆動して走行させるものは、ネットの着脱ができないために、全領域を十分に洗浄することは極めて難しい。
【0013】
この発明は、水切り性に優れるネットなどで構成された搬送面を有する搬送コンベヤを、そのコンベヤの各部と周辺領域の洗浄が容易に、死角の無い状態で行えるものにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、この発明においては、搬送コンベヤを以下の通りに構成した。即ち、左右2組の駆動スプロケット及び従動スプロケットと、各々が前記左右の駆動スプロケットと従動スプロケット間に個別に平行に掛け渡される2条の無端のコンベヤチェーンと、そのコンベヤチェーンに駆動されて往路、復路を走行周回する積載部と、少なくとも往路において前記コンベヤチェーンを支えるガイド路を組み合わせた。
そしてさらに、前記コンベヤチェーンの搬送路の内側に置かれるチェーンリンクに、アタッチメントをチェーンピッチPの整数倍のピッチで設け、被搬送物を載せて走行する前記積載部を、搬送面を構成する無端のネットとそのネットの網目に挿通される前記支軸とで構成し、前記アタッチメントに形成した軸受部に前記支軸を着脱自在に取り付けた(第1形態)。
【0015】
また、もうひとつの策として、前記コンベヤチェーンの搬送路の内側に置かれるチェーンリンクにアタッチメントをチェーンピッチPと同一ピッチで設け、被搬送物を載せて走行する積載部を左右のコンベヤチェーン間に横架する支軸で構成し、前記アタッチメントに形成した軸受部に前記支軸を着脱自在に取り付けた(第2形態)。
【0016】
アタッチメントの軸受部に対する前記支軸の着脱は、例えば、下記(1)、(2)の構造で行うことができる。
【0017】
(1)前記軸受部を、前記支軸を遊嵌可能で入口が前記アタッチメントの上縁に解放し、かつ、入口幅が前記支軸の外径よりも小さい軸受溝で構成し、前記支軸の両端もしくは両端近傍に前記軸受溝の入口を通過可能な減寸部を設け、その減寸部を軸直角向きに移動させて前記軸受溝に挿入し、さらに、前記支軸の前記減寸部と非減寸部との間に形成される段差面を前記軸受溝の溝縁に支軸の軸方向移動が阻止されるように係止させて支軸を前記軸受溝内に保持する。
(2)前記軸受部を、前記支軸を遊嵌可能で入口が前記アタッチメントの上縁に解放し、下端側の溝幅がコンベヤの進行方向に広がった軸受溝で構成し、その軸受溝に前記支軸を挿入し、さらに、その支軸をコンベヤの進行方向後方に変位させ、支軸の軸方向移動をコンベヤチェーンのチェーンリンクで制限して支軸を前記軸受溝内に保持する。
【0018】
なお、上記(1)の構造での減寸部は、下記a)、b)の方法で形成することができる。
a)支軸の外周の180°回転した位置に、二面幅の平行な溝底面を有する溝を設ける。
b)支軸の端部や端部近傍を小径に加工する。
【0019】
a)の方法で前記減寸部を生じさせた支軸は、前記軸受溝に減寸部を挿入した後に適当な角度回転させるだけで減寸部と非減寸部の境界部に生じた段差面を軸受溝の溝縁に係止させることができる。
【0020】
また、b)の方法で前記減寸部を生じさせた支軸は、前記軸受溝に減寸部を挿入した後に支軸をコンベヤの進行方向後方に変位させることで減寸部と非減寸部の境界部に生じた段差面を軸受溝の溝縁に係止させることができる。
【0021】
支軸の着脱を上記(2)の構造で行うものは、軸受溝に挿入した支軸の挿入後の軸方向移動がチェーンリンクによって規制されて支軸が許容範囲で最大限に軸方向に移動したときにも軸受溝から外れないようにしておけば、減寸部のないストレートな支軸を使用することができる。
【0022】
前記アタッチメントに対して、溝幅が全域において支軸径よりも大きい軸受溝を形成することが許容される場合には、この(2)の構造を利用することができる。
【0023】
なお、支軸で引き動かすネットが設けられていない第2形態の搬送コンベヤの場合、軸受溝のコンベヤ進行方向後方の溝面に対して支軸を押し付ける力が働き難い。このため、この第2形態の搬送コンベヤに上記(2)の構造を採用するときには、軸受溝の入口に、挿入される支軸に押されて弾性変形して入口を支軸の通過が許容される位置まで広げ、支軸の挿入が完了した位置で弾性復元して入口を支軸の通過が阻止されるところまで狭めるストッパを設けておくのがよい。
【0024】
そのストッパは、第1形態の搬送コンベヤにも採用することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明の第1形態の搬送コンベヤは、左右のコンベヤチェーン間に支軸を渡し、その支軸を、搬送面を構成する無端のネットの網目に挿通し、その支軸と前記ネットとでコンベヤの積載部を構成している。
【0026】
また、第2形態の搬送コンベヤは、左右のコンベヤチェーン間に横架する支軸を狭ピッチで配置して支軸のみで前記積載部を構成している。
【0027】
積載部を構成するその支軸は、第1形態、第2形態ともコンベヤチェーンのチェーンリンクに形成されたアタッチメントに着脱自在に挿入しており、第1形態のコンベヤはその支軸を外せばネットも外れる。これにより、第1形態、第2形態とも、左右のコンベヤチェーンを分解せずに積載部を簡単にコンベヤチェーンから外して従来、洗浄がしづらかった搬送面の裏側も支障なく容易に洗浄することが可能になる。
【0028】
また、積載部を取り外すとコンベヤの下や側部に隠れていた周辺領域の面が表に表れるので、周辺領域も容易に確実に洗浄することができ、洗浄の容易化と死角の無い洗浄の目的が達成される。
【0029】
なお、第1形態は、ネットが必要であるが、支軸の設置ピッチをチェーンピッチよりも大きくすることで支軸の総数を減少させることができ、積載部の着脱の手間が第2形態に比べて減少する利点がある。また、ネットの網目を小さくすることで小サイズの搬送物に対応できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の搬送コンベヤの第1形態を示す斜視図
【図2】図1の搬送コンベヤの一部を拡大して示す斜視図
【図3】図1の搬送コンベヤの一部を拡大して示す平面図
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面図
【図5】図1の搬送コンベヤに採用したコンベヤチェーンの一部を示す斜視図
【図6】図5のコンベヤチェーンのアタッチメントの詳細を示す斜視図
【図7】支軸の減寸部の他の例を示す斜視図
【図8】支軸の減寸部のさらに他の例を示す斜視図
【図9】この発明の搬送コンベヤの第2形態を示す斜視図
【図10】図9の搬送コンベヤの一部を拡大して示す斜視図
【図11】アタッチメントの軸受溝の入口にストッパを設けた例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面の図1〜図11に基づいて、この発明の搬送コンベヤの実施の形態を説明する。図1〜図6に示した搬送コンベヤ1は、この発明の第1形態であって、駆動スプロケット2、従動スプロケット3、その駆動スプロケット2と従動スプロケット3間に掛け渡すコンベヤチェーン4、金属の無端のネット6及び支軸7からなる積載部5と、コンベヤチェーン4を支持するガイド路8(図2〜図6参照)と、支軸7の外れ防止用のレール13を組み合わせて構成されている。
【0032】
駆動スプロケット2は、駆動源9(モータや減速機付きモータ)によって回転駆動される。この駆動スプロケット2と従動スプロケット3は、左右対称に2組設けられ(図1には片方のみを開示)、各組の駆動スプロケット2と従動スプロケット3間にそれぞれ無端のコンベヤチェーン4が平行に掛け渡されている。
【0033】
コンベヤチェーン4は、図2、図3に示すような、チェーンリンク4aに軸受部10を設けたローラチェーンが用いられている。搬送路の内側に置かれるチェーンリンク4aには、図5に詳細を示すように、リンクの下縁(コンベヤの往路で下になる側の縁)から内側に張り出して上に向けて屈曲・起立するアタッチメント4bがチェーンピッチPの整数倍のピッチ(図示のそれは2・P)で設けられている。例示の軸受部10は、そのアタッチメント4bに形成された軸受溝10aによって構成されている。
【0034】
図1〜図3に示した積載部5は、搬送面がネット6によって構成される。ネット6は、網目の位置が3次元的に変位しており、その網目に支軸7が挿通され、その支軸の両端が、左右のコンベヤチェーンの軸受溝10aに落とし込まれて支軸がアタッチメント4bに保持されるようになっている。
【0035】
ガイド路8は、コンベヤの往路と復路に設置されてコンベヤチェーン4を支える。その
コンベヤチェーン4が積載部5を支持し、これにより、コンベヤによる食品などの積載、搬送が可能になる。
【0036】
上記ガイド路8は、アングル材などで構成することができる。コンベヤの往路では、積載部5の搬送面に搬送物が載るので、コンベヤチェーン4をガイド路8で支え、そのコンベヤチェーン4経由で積載部5を受け支える。
【0037】
コンベヤの復路のガイド路8は必須ではないが、復路では、ガイド路8があることで、積載部5の荷重によるコンベヤチェーン4の垂れ下がりを無くすことができる。
【0038】
軸受部10を構成する軸受溝10aは、下端が支軸7を遊嵌可能な大きさになっており、図6に示した入口幅wが支軸7の外径Dよりも小さい。支軸7の両端近傍には、その軸受溝10aの入口を通過可能な減寸部7aが設けられており、その減寸部7aを軸受溝10aの入口に対応させた位置で支軸7を軸直角向きに移動させて軸受溝10aに挿入される。
【0039】
図示の減寸部7aは、軸の外周の180°回転した2箇所に、溝底が二面幅の面7bで構成される溝を形成して生じさせたものであって、平行な二面幅の面7b間の距離Lは軸受溝10aの入口幅wよりも小さい。
【0040】
減寸部7aは、図7に示すように、支軸7の端部を小径にして作り出してもよいし、図8に示すように、支軸7の端部近傍に環状溝を設けて作り出してもよい。
【0041】
その減寸部7aを軸受溝10aに挿入する。図6の減寸部7aは、所定の向き(二面幅の面7bが溝の向きと平行になる向き)にすることで軸受溝10aに挿入することができる。その支軸7を、軸受溝10a内で適当な角度(180°と360°を除く)回転させる(その後にさらにコンベヤの進行方向後方に変位させることも可能)。その操作で支軸7の外周に生じた段差面7cが軸受溝10aの溝縁に係止し、それにより支軸7の軸方向変位が阻止されて支軸7が軸受溝10a内に保持される。
【0042】
図7や図8の減寸部7aを設けた支軸7も、軸受溝10aの下端側の溝幅を拡げておいて(コンベヤ進行方向の寸法を大きくしておく)軸受溝10aに挿入した後にコンベヤの進行方向後方に数ミリメータ変位させることで、外周の段差面7cを軸受溝10aの溝縁に係止させて挿入後の支軸の軸方向移動を防止することができる。
【0043】
支軸7は、コンベヤが駆動されると、コンベヤチェーン4から動力伝達がなされる位置までコンベヤの進行方向後方に変位して軸受溝10aの溝面に押し付けられる。これにより、軸受溝10a内での支軸7の保持が安定し、積載部5が復路に移動したときにも、支軸7が軸受溝10a内に確実に保持される。
【0044】
このように、支軸7を、軸受溝10aの溝幅広げ部でコンベヤの進行方向後方に変位させて溝縁に係止させれば、減寸部の無い支軸を入口幅が支軸外径よりも大きな軸受溝に挿入してコンベヤチェーンに連結することが可能である。この構造を採用するときには、以下を注意する。
【0045】
即ち、外径が一定している支軸は、軸受溝10a内で軸方向に変位可能であるので、チェーンリンク4aがストッパとして働いて支軸の軸方向移動量が規制され、その軸方向変位量が許容上限に達した位置でも支軸7が軸受溝10aから抜け出さないようにする。
【0046】
コンベヤの復路と往路から復路に移るターン部及び復路から往路に戻るターン部には、上記外れ防止用レール13が設置されている。このレール13は、摩擦係数の小さい樹脂で形成されたレールであって、コンベヤの復路及びコンベヤの両端のターン部において、コンベヤチェーン4のアタッチメント4bに設けられた軸受溝10aの開口を塞ぐ。これにより、支軸7が外れ易くなる往路などでもアタッチメント4bから確実に外れ止めされる。
【0047】
この第1形態の搬送コンベヤ1は、支軸7をアタッチメント4bから外すと搬送面を構成するネット6も外れる。これにより、コンベヤチェーン4を残したまま積載部5を取り除いて搬送面の裏側も支障なく洗浄することが可能になる。
【0048】
また、積載部5を外すとコンベヤの下や側部に隠れていた周辺領域の面が表面に表れるため、周辺領域も容易に確実に洗浄することが可能になる。
【0049】
次に、この発明の搬送コンベヤの第2形態を図9、図10に示す。この第2形態の搬送コンベヤ1は、第1形態で設けたネットを使用せずに積載部5を支軸7のみで構成した点が第1形態と相違する。
【0050】
コンベヤチェーン4は、チェーンリンク4aに軸受部10を設けたローラチェーンが用いられており、そのローラチェーンの全てのチェーンリンク4aに、前述のアタッチメント4bが設けられている。アタッチメント4bの設置ピッチはチェーンピッチPと同一であり、そのアタッチメント4bに軸受溝10aによって構成された軸受部10が設けられている。
【0051】
軸受溝10aは、第1形態のそれと同様の溝である。支軸7も第1形態で採用したものと同様の軸であり、その支軸7が軸受溝10aに挿入されて保持される。
【0052】
この第2形態には、支軸7で引き動かすネットが存在しない。そのために、支軸7には、その支軸を固定する力(軸受溝の溝面に押し付ける力)が働かない。その状況では、支軸7の保持が不安定になるので、図11に示すようなストッパ11を軸受溝10aの入口に設けておくのがよい。
【0053】
図11のストッパ11は、弾性を有する線材や帯材で形成されてアタッチメント4bに取り付けられている。このストッパ11は、支軸7を、その支軸の自重による挿入力よりも大きな力を加えて軸受溝10aに挿入するときに、その支軸7に押されて弾性変形し、軸受溝10aの入口を支軸7の通過が許容される位置まで広げる。
【0054】
また、支軸7が通過した後に弾性復元して前記入口を支軸7の通過が阻止されるところまで狭め、そのために、積載部5がコンベヤの復路に移動したときにも支軸7が軸受溝10aに安定して保持される。
【0055】
この第2形態は、積載部5を構成する支軸7を取り外して洗浄することができる。また、支軸7を外すと左右のコンベヤチェーン間が完全に解放されるため、コンベヤの周辺領域も支障なく洗浄することができる。
【0056】
なお、図示のようなストッパ11は、既述の第1形態にも採用しうる。
【0057】
この発明の搬送コンベヤ1は、洗浄設備、殺菌設備、加熱設備、冷却設備などに利用することができる。洗浄設備では、搬送コンベヤ1を水槽(図示せず)内に設置するか又は搬送面上の搬送物に対して水や洗浄液を噴射するノズル(これも図示せず)を往路の途中に設置するとよい。
【0058】
また、殺菌設備、加熱設備、冷却設備では、殺菌ゾーン、加熱ゾーン、冷却ゾーンの中に搬送コンベヤ1をひき通せばよい。
【0059】
図1〜図4、図9、図10の12は、スタンド付きフレームである。
【符号の説明】
【0060】
1 搬送コンベヤ
2 駆動スプロケット
3 従動スプロケット
4 コンベヤチェーン
4a チェーンリンク
4b アタッチメント
5 積載部
6 ネット
7 支軸
7a 減寸部
7b 二面幅の面
7c 段差面
8 ガイド路
9 駆動源
10 軸受部
10a 軸受溝
11 ストッパ
12 スタンド付きフレーム
13 支軸の外れ防止用レール
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜や肉などの洗浄、殺菌、加熱、冷却と言った処理を流れ作業で連続的に行うときの搬送ラインとして好適な搬送コンベヤ、詳しくは、搬送面を構成する部材を簡単に取り外せるようにしてコンベヤの全域と周辺領域の洗浄を支障なく行えるようにした搬送コンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、野菜などを搬送しながら洗浄する場合、搬送装置としてベルトコンベヤ、ネットコンベヤ、エプロンコンベヤなどの搬送コンベヤが従来から用いられている。
【0003】
なお、下記特許文献1には、左右一対のローラチェーン間にチェーンのローラの支軸を兼用した固定軸を掛け渡し、その固定軸を、搬送面を構成するネットの網目に挿通してネットの走行をローラチェーンで駆動して行うネットコンベヤが開示されている。
【0004】
そして、そのネットコンベヤについては、ネット受けレールを死角の無い状態で洗浄可能としたものが提案されている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−51717号公報
【特許文献2】特開2004−115142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食品の搬送に利用されるコンベヤは、常に清潔さを保つ必要があるため、周辺設備も含めた定期的洗浄が要求される。その洗浄は、例えば、水槽の内部に設置される野菜などの洗浄ラインのコンベヤの場合、全体を水槽外に取り出して行っている。
【0007】
このような面倒な方法を採っているのは、洗浄の死角となる箇所を減少させるためである。コンベヤが水槽内にあると、洗浄不可能な箇所や洗浄し難い箇所ができて全域の洗浄が行えず、また、コンベヤが障害物になって水槽の底や内側側面と言った周辺領域の洗浄も不十分になるので、その不具合を少しでも減少させるために、コンベヤの全体を水槽から取り出している。
【0008】
しかしながら、この方法は作業が大掛りになり、コンベヤを吊上げるクレーンなどの設備も必要になる。また、コンベヤの全体を吊上げる必要があるので、作業の安全性にも問題が生じる。
【0009】
また、作業が大掛りになるため、頻繁な洗浄も行い難い。加えて、搬送面がベルトやスラットバーで構成されたコンベヤであると、水槽外に取り出しても搬送面の裏側の洗浄が行い難く、全域を十分に洗浄するのが難しい。
【0010】
なお、前記特許文献1のネットコンベヤは、ネットを固定軸でローラチェーンに一体化させているため、ネットの着脱が行えない。
【0011】
前記特許文献2のネットコンベヤは、ネット受けレールをコンベヤフレームに着脱自在に取り付け、それを取り外すことでネット受けレールの死角のない洗浄と、周辺機器やコンベヤフレームの洗浄の容易化を可能となしている。
【0012】
このように、コンベヤの一部を分解可能となすことで洗浄がし易くなるが、エンドレスのネットは、取り外し難いため満足のいく洗浄は望み難い。特に、特許文献1のように、ローラチェーンでネットを駆動して走行させるものは、ネットの着脱ができないために、全領域を十分に洗浄することは極めて難しい。
【0013】
この発明は、水切り性に優れるネットなどで構成された搬送面を有する搬送コンベヤを、そのコンベヤの各部と周辺領域の洗浄が容易に、死角の無い状態で行えるものにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、この発明においては、搬送コンベヤを以下の通りに構成した。即ち、左右2組の駆動スプロケット及び従動スプロケットと、各々が前記左右の駆動スプロケットと従動スプロケット間に個別に平行に掛け渡される2条の無端のコンベヤチェーンと、そのコンベヤチェーンに駆動されて往路、復路を走行周回する積載部と、少なくとも往路において前記コンベヤチェーンを支えるガイド路を組み合わせた。
そしてさらに、前記コンベヤチェーンの搬送路の内側に置かれるチェーンリンクに、アタッチメントをチェーンピッチPの整数倍のピッチで設け、被搬送物を載せて走行する前記積載部を、搬送面を構成する無端のネットとそのネットの網目に挿通される前記支軸とで構成し、前記アタッチメントに形成した軸受部に前記支軸を着脱自在に取り付けた(第1形態)。
【0015】
また、もうひとつの策として、前記コンベヤチェーンの搬送路の内側に置かれるチェーンリンクにアタッチメントをチェーンピッチPと同一ピッチで設け、被搬送物を載せて走行する積載部を左右のコンベヤチェーン間に横架する支軸で構成し、前記アタッチメントに形成した軸受部に前記支軸を着脱自在に取り付けた(第2形態)。
【0016】
アタッチメントの軸受部に対する前記支軸の着脱は、例えば、下記(1)、(2)の構造で行うことができる。
【0017】
(1)前記軸受部を、前記支軸を遊嵌可能で入口が前記アタッチメントの上縁に解放し、かつ、入口幅が前記支軸の外径よりも小さい軸受溝で構成し、前記支軸の両端もしくは両端近傍に前記軸受溝の入口を通過可能な減寸部を設け、その減寸部を軸直角向きに移動させて前記軸受溝に挿入し、さらに、前記支軸の前記減寸部と非減寸部との間に形成される段差面を前記軸受溝の溝縁に支軸の軸方向移動が阻止されるように係止させて支軸を前記軸受溝内に保持する。
(2)前記軸受部を、前記支軸を遊嵌可能で入口が前記アタッチメントの上縁に解放し、下端側の溝幅がコンベヤの進行方向に広がった軸受溝で構成し、その軸受溝に前記支軸を挿入し、さらに、その支軸をコンベヤの進行方向後方に変位させ、支軸の軸方向移動をコンベヤチェーンのチェーンリンクで制限して支軸を前記軸受溝内に保持する。
【0018】
なお、上記(1)の構造での減寸部は、下記a)、b)の方法で形成することができる。
a)支軸の外周の180°回転した位置に、二面幅の平行な溝底面を有する溝を設ける。
b)支軸の端部や端部近傍を小径に加工する。
【0019】
a)の方法で前記減寸部を生じさせた支軸は、前記軸受溝に減寸部を挿入した後に適当な角度回転させるだけで減寸部と非減寸部の境界部に生じた段差面を軸受溝の溝縁に係止させることができる。
【0020】
また、b)の方法で前記減寸部を生じさせた支軸は、前記軸受溝に減寸部を挿入した後に支軸をコンベヤの進行方向後方に変位させることで減寸部と非減寸部の境界部に生じた段差面を軸受溝の溝縁に係止させることができる。
【0021】
支軸の着脱を上記(2)の構造で行うものは、軸受溝に挿入した支軸の挿入後の軸方向移動がチェーンリンクによって規制されて支軸が許容範囲で最大限に軸方向に移動したときにも軸受溝から外れないようにしておけば、減寸部のないストレートな支軸を使用することができる。
【0022】
前記アタッチメントに対して、溝幅が全域において支軸径よりも大きい軸受溝を形成することが許容される場合には、この(2)の構造を利用することができる。
【0023】
なお、支軸で引き動かすネットが設けられていない第2形態の搬送コンベヤの場合、軸受溝のコンベヤ進行方向後方の溝面に対して支軸を押し付ける力が働き難い。このため、この第2形態の搬送コンベヤに上記(2)の構造を採用するときには、軸受溝の入口に、挿入される支軸に押されて弾性変形して入口を支軸の通過が許容される位置まで広げ、支軸の挿入が完了した位置で弾性復元して入口を支軸の通過が阻止されるところまで狭めるストッパを設けておくのがよい。
【0024】
そのストッパは、第1形態の搬送コンベヤにも採用することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明の第1形態の搬送コンベヤは、左右のコンベヤチェーン間に支軸を渡し、その支軸を、搬送面を構成する無端のネットの網目に挿通し、その支軸と前記ネットとでコンベヤの積載部を構成している。
【0026】
また、第2形態の搬送コンベヤは、左右のコンベヤチェーン間に横架する支軸を狭ピッチで配置して支軸のみで前記積載部を構成している。
【0027】
積載部を構成するその支軸は、第1形態、第2形態ともコンベヤチェーンのチェーンリンクに形成されたアタッチメントに着脱自在に挿入しており、第1形態のコンベヤはその支軸を外せばネットも外れる。これにより、第1形態、第2形態とも、左右のコンベヤチェーンを分解せずに積載部を簡単にコンベヤチェーンから外して従来、洗浄がしづらかった搬送面の裏側も支障なく容易に洗浄することが可能になる。
【0028】
また、積載部を取り外すとコンベヤの下や側部に隠れていた周辺領域の面が表に表れるので、周辺領域も容易に確実に洗浄することができ、洗浄の容易化と死角の無い洗浄の目的が達成される。
【0029】
なお、第1形態は、ネットが必要であるが、支軸の設置ピッチをチェーンピッチよりも大きくすることで支軸の総数を減少させることができ、積載部の着脱の手間が第2形態に比べて減少する利点がある。また、ネットの網目を小さくすることで小サイズの搬送物に対応できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の搬送コンベヤの第1形態を示す斜視図
【図2】図1の搬送コンベヤの一部を拡大して示す斜視図
【図3】図1の搬送コンベヤの一部を拡大して示す平面図
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面図
【図5】図1の搬送コンベヤに採用したコンベヤチェーンの一部を示す斜視図
【図6】図5のコンベヤチェーンのアタッチメントの詳細を示す斜視図
【図7】支軸の減寸部の他の例を示す斜視図
【図8】支軸の減寸部のさらに他の例を示す斜視図
【図9】この発明の搬送コンベヤの第2形態を示す斜視図
【図10】図9の搬送コンベヤの一部を拡大して示す斜視図
【図11】アタッチメントの軸受溝の入口にストッパを設けた例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面の図1〜図11に基づいて、この発明の搬送コンベヤの実施の形態を説明する。図1〜図6に示した搬送コンベヤ1は、この発明の第1形態であって、駆動スプロケット2、従動スプロケット3、その駆動スプロケット2と従動スプロケット3間に掛け渡すコンベヤチェーン4、金属の無端のネット6及び支軸7からなる積載部5と、コンベヤチェーン4を支持するガイド路8(図2〜図6参照)と、支軸7の外れ防止用のレール13を組み合わせて構成されている。
【0032】
駆動スプロケット2は、駆動源9(モータや減速機付きモータ)によって回転駆動される。この駆動スプロケット2と従動スプロケット3は、左右対称に2組設けられ(図1には片方のみを開示)、各組の駆動スプロケット2と従動スプロケット3間にそれぞれ無端のコンベヤチェーン4が平行に掛け渡されている。
【0033】
コンベヤチェーン4は、図2、図3に示すような、チェーンリンク4aに軸受部10を設けたローラチェーンが用いられている。搬送路の内側に置かれるチェーンリンク4aには、図5に詳細を示すように、リンクの下縁(コンベヤの往路で下になる側の縁)から内側に張り出して上に向けて屈曲・起立するアタッチメント4bがチェーンピッチPの整数倍のピッチ(図示のそれは2・P)で設けられている。例示の軸受部10は、そのアタッチメント4bに形成された軸受溝10aによって構成されている。
【0034】
図1〜図3に示した積載部5は、搬送面がネット6によって構成される。ネット6は、網目の位置が3次元的に変位しており、その網目に支軸7が挿通され、その支軸の両端が、左右のコンベヤチェーンの軸受溝10aに落とし込まれて支軸がアタッチメント4bに保持されるようになっている。
【0035】
ガイド路8は、コンベヤの往路と復路に設置されてコンベヤチェーン4を支える。その
コンベヤチェーン4が積載部5を支持し、これにより、コンベヤによる食品などの積載、搬送が可能になる。
【0036】
上記ガイド路8は、アングル材などで構成することができる。コンベヤの往路では、積載部5の搬送面に搬送物が載るので、コンベヤチェーン4をガイド路8で支え、そのコンベヤチェーン4経由で積載部5を受け支える。
【0037】
コンベヤの復路のガイド路8は必須ではないが、復路では、ガイド路8があることで、積載部5の荷重によるコンベヤチェーン4の垂れ下がりを無くすことができる。
【0038】
軸受部10を構成する軸受溝10aは、下端が支軸7を遊嵌可能な大きさになっており、図6に示した入口幅wが支軸7の外径Dよりも小さい。支軸7の両端近傍には、その軸受溝10aの入口を通過可能な減寸部7aが設けられており、その減寸部7aを軸受溝10aの入口に対応させた位置で支軸7を軸直角向きに移動させて軸受溝10aに挿入される。
【0039】
図示の減寸部7aは、軸の外周の180°回転した2箇所に、溝底が二面幅の面7bで構成される溝を形成して生じさせたものであって、平行な二面幅の面7b間の距離Lは軸受溝10aの入口幅wよりも小さい。
【0040】
減寸部7aは、図7に示すように、支軸7の端部を小径にして作り出してもよいし、図8に示すように、支軸7の端部近傍に環状溝を設けて作り出してもよい。
【0041】
その減寸部7aを軸受溝10aに挿入する。図6の減寸部7aは、所定の向き(二面幅の面7bが溝の向きと平行になる向き)にすることで軸受溝10aに挿入することができる。その支軸7を、軸受溝10a内で適当な角度(180°と360°を除く)回転させる(その後にさらにコンベヤの進行方向後方に変位させることも可能)。その操作で支軸7の外周に生じた段差面7cが軸受溝10aの溝縁に係止し、それにより支軸7の軸方向変位が阻止されて支軸7が軸受溝10a内に保持される。
【0042】
図7や図8の減寸部7aを設けた支軸7も、軸受溝10aの下端側の溝幅を拡げておいて(コンベヤ進行方向の寸法を大きくしておく)軸受溝10aに挿入した後にコンベヤの進行方向後方に数ミリメータ変位させることで、外周の段差面7cを軸受溝10aの溝縁に係止させて挿入後の支軸の軸方向移動を防止することができる。
【0043】
支軸7は、コンベヤが駆動されると、コンベヤチェーン4から動力伝達がなされる位置までコンベヤの進行方向後方に変位して軸受溝10aの溝面に押し付けられる。これにより、軸受溝10a内での支軸7の保持が安定し、積載部5が復路に移動したときにも、支軸7が軸受溝10a内に確実に保持される。
【0044】
このように、支軸7を、軸受溝10aの溝幅広げ部でコンベヤの進行方向後方に変位させて溝縁に係止させれば、減寸部の無い支軸を入口幅が支軸外径よりも大きな軸受溝に挿入してコンベヤチェーンに連結することが可能である。この構造を採用するときには、以下を注意する。
【0045】
即ち、外径が一定している支軸は、軸受溝10a内で軸方向に変位可能であるので、チェーンリンク4aがストッパとして働いて支軸の軸方向移動量が規制され、その軸方向変位量が許容上限に達した位置でも支軸7が軸受溝10aから抜け出さないようにする。
【0046】
コンベヤの復路と往路から復路に移るターン部及び復路から往路に戻るターン部には、上記外れ防止用レール13が設置されている。このレール13は、摩擦係数の小さい樹脂で形成されたレールであって、コンベヤの復路及びコンベヤの両端のターン部において、コンベヤチェーン4のアタッチメント4bに設けられた軸受溝10aの開口を塞ぐ。これにより、支軸7が外れ易くなる往路などでもアタッチメント4bから確実に外れ止めされる。
【0047】
この第1形態の搬送コンベヤ1は、支軸7をアタッチメント4bから外すと搬送面を構成するネット6も外れる。これにより、コンベヤチェーン4を残したまま積載部5を取り除いて搬送面の裏側も支障なく洗浄することが可能になる。
【0048】
また、積載部5を外すとコンベヤの下や側部に隠れていた周辺領域の面が表面に表れるため、周辺領域も容易に確実に洗浄することが可能になる。
【0049】
次に、この発明の搬送コンベヤの第2形態を図9、図10に示す。この第2形態の搬送コンベヤ1は、第1形態で設けたネットを使用せずに積載部5を支軸7のみで構成した点が第1形態と相違する。
【0050】
コンベヤチェーン4は、チェーンリンク4aに軸受部10を設けたローラチェーンが用いられており、そのローラチェーンの全てのチェーンリンク4aに、前述のアタッチメント4bが設けられている。アタッチメント4bの設置ピッチはチェーンピッチPと同一であり、そのアタッチメント4bに軸受溝10aによって構成された軸受部10が設けられている。
【0051】
軸受溝10aは、第1形態のそれと同様の溝である。支軸7も第1形態で採用したものと同様の軸であり、その支軸7が軸受溝10aに挿入されて保持される。
【0052】
この第2形態には、支軸7で引き動かすネットが存在しない。そのために、支軸7には、その支軸を固定する力(軸受溝の溝面に押し付ける力)が働かない。その状況では、支軸7の保持が不安定になるので、図11に示すようなストッパ11を軸受溝10aの入口に設けておくのがよい。
【0053】
図11のストッパ11は、弾性を有する線材や帯材で形成されてアタッチメント4bに取り付けられている。このストッパ11は、支軸7を、その支軸の自重による挿入力よりも大きな力を加えて軸受溝10aに挿入するときに、その支軸7に押されて弾性変形し、軸受溝10aの入口を支軸7の通過が許容される位置まで広げる。
【0054】
また、支軸7が通過した後に弾性復元して前記入口を支軸7の通過が阻止されるところまで狭め、そのために、積載部5がコンベヤの復路に移動したときにも支軸7が軸受溝10aに安定して保持される。
【0055】
この第2形態は、積載部5を構成する支軸7を取り外して洗浄することができる。また、支軸7を外すと左右のコンベヤチェーン間が完全に解放されるため、コンベヤの周辺領域も支障なく洗浄することができる。
【0056】
なお、図示のようなストッパ11は、既述の第1形態にも採用しうる。
【0057】
この発明の搬送コンベヤ1は、洗浄設備、殺菌設備、加熱設備、冷却設備などに利用することができる。洗浄設備では、搬送コンベヤ1を水槽(図示せず)内に設置するか又は搬送面上の搬送物に対して水や洗浄液を噴射するノズル(これも図示せず)を往路の途中に設置するとよい。
【0058】
また、殺菌設備、加熱設備、冷却設備では、殺菌ゾーン、加熱ゾーン、冷却ゾーンの中に搬送コンベヤ1をひき通せばよい。
【0059】
図1〜図4、図9、図10の12は、スタンド付きフレームである。
【符号の説明】
【0060】
1 搬送コンベヤ
2 駆動スプロケット
3 従動スプロケット
4 コンベヤチェーン
4a チェーンリンク
4b アタッチメント
5 積載部
6 ネット
7 支軸
7a 減寸部
7b 二面幅の面
7c 段差面
8 ガイド路
9 駆動源
10 軸受部
10a 軸受溝
11 ストッパ
12 スタンド付きフレーム
13 支軸の外れ防止用レール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右2組の駆動スプロケット(2)及び従動スプロケット(3)と、各々が前記左右の駆動スプロケット(2)と従動スプロケット(3)間に個別に平行に掛け渡される2条の無端のコンベヤチェーン(4)と、そのコンベヤチェーンに駆動されて往路、復路を走行周回する積載部(5)と、少なくとも往路において前記コンベヤチェーンを支えるガイド路(8)を有し、
前記コンベヤチェーン(4)の搬送路の内側に置かれるチェーンリンク(4a)に、アタッチメント(4b)をチェーンピッチPの整数倍のピッチで設け、被搬送物を載せて走行する前記積載部(5)を、搬送面を構成する無端のネット(6)とそのネットの網目に挿通される支軸(7)とで構成し、前記アタッチメント(4b)に形成した軸受部(10)に前記支軸(7)を着脱自在に取り付けた搬送コンベヤ。
【請求項2】
左右2組の駆動スプロケット(2)及び従動スプロケット(3)と、各々が前記左右の駆動スプロケット(2)と従動スプロケット(3)間に個別に平行に掛け渡される2条の無端のコンベヤチェーン(4)と、そのコンベヤチェーンに駆動されて往路、復路を走行周回する積載部(5)と、少なくとも往路において前記コンベヤチェーン(4)を支えるガイド路(8)を有し、
前記コンベヤチェーン(4)の搬送路の内側に置かれるチェーンリンク(4a)に、アタッチメント(4b)をチェーンピッチPと同一ピッチで設け、被搬送物を載せて走行する積載部(5)を左右のコンベヤチェーン間に横架する支軸(7)で構成し、前記アタッチメントに形成した軸受部(10)に前記支軸(7)を着脱自在に取り付けた被搬送物を載せて走行する積載部(5)を左右のコンベヤチェーン間に横架する支軸(7)で構成し、前記アタッチメントに形成した軸受部(10)に前記支軸(7)を着脱自在に取り付けた搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記軸受部(10)を、前記支軸(7)を遊嵌可能で入口が前記アタッチメント(4b)の上縁に解放し、かつ、入口幅(w)が前記支軸(7)の外径(D)よりも小さい軸受溝(10a)で構成し、前記支軸(7)の両端もしくは両端近傍に前記軸受溝(10a)の入口を通過可能な減寸部(7a)を設け、その減寸部(7a)を軸直角向きに移動させて前記軸受溝(10a)に挿入し、さらに、前記支軸(7)の前記減寸部(7a)と非減寸部との間に形成される段差面(7c)を前記軸受溝(10a)の溝縁に支軸(7)の軸方向移動が阻止されるように係止させて前記支軸(7)を前記軸受溝(10a)内に保持するようにした請求項1又は2に記載の搬送コンベヤ。
【請求項4】
前記減寸部(7a)を、前記支軸(7)の外周の180°回転した位置に、平行な二面幅の面(7b)を溝底として有する溝を設けるか又は前記支軸(7)の一部を小径に加工して生じさせた請求項3に記載の搬送コンベヤ。
【請求項5】
前記軸受部(10)を、前記支軸(7)を遊嵌可能で入口が前記アタッチメント(4b)の上縁に解放し、下端側の溝幅がコンベヤの進行方向に広がった軸受溝(10a)で構成し、その軸受溝(10a)に前記支軸(7)を挿入し、さらに、その支軸(7)をコンベヤの進行方向後方に変位させ、支軸(7)の軸方向移動をコンベヤチェーンのチェーンリンク(4a)で制限して支軸(7)を前記軸受溝(10a)内に保持するようにした請求項1又は2に記載の搬送コンベヤ。
【請求項6】
前記軸受溝(10a)の入口に、挿入される支軸(7)に押されて弾性変形して入口を支軸の通過が許容される位置まで広げ、支軸(7)の通過後に弾性復元して入口を支軸(7)の通過が阻止されるところまで狭めるストッパ(11)を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の搬送コンベヤ。
【請求項1】
左右2組の駆動スプロケット(2)及び従動スプロケット(3)と、各々が前記左右の駆動スプロケット(2)と従動スプロケット(3)間に個別に平行に掛け渡される2条の無端のコンベヤチェーン(4)と、そのコンベヤチェーンに駆動されて往路、復路を走行周回する積載部(5)と、少なくとも往路において前記コンベヤチェーンを支えるガイド路(8)を有し、
前記コンベヤチェーン(4)の搬送路の内側に置かれるチェーンリンク(4a)に、アタッチメント(4b)をチェーンピッチPの整数倍のピッチで設け、被搬送物を載せて走行する前記積載部(5)を、搬送面を構成する無端のネット(6)とそのネットの網目に挿通される支軸(7)とで構成し、前記アタッチメント(4b)に形成した軸受部(10)に前記支軸(7)を着脱自在に取り付けた搬送コンベヤ。
【請求項2】
左右2組の駆動スプロケット(2)及び従動スプロケット(3)と、各々が前記左右の駆動スプロケット(2)と従動スプロケット(3)間に個別に平行に掛け渡される2条の無端のコンベヤチェーン(4)と、そのコンベヤチェーンに駆動されて往路、復路を走行周回する積載部(5)と、少なくとも往路において前記コンベヤチェーン(4)を支えるガイド路(8)を有し、
前記コンベヤチェーン(4)の搬送路の内側に置かれるチェーンリンク(4a)に、アタッチメント(4b)をチェーンピッチPと同一ピッチで設け、被搬送物を載せて走行する積載部(5)を左右のコンベヤチェーン間に横架する支軸(7)で構成し、前記アタッチメントに形成した軸受部(10)に前記支軸(7)を着脱自在に取り付けた被搬送物を載せて走行する積載部(5)を左右のコンベヤチェーン間に横架する支軸(7)で構成し、前記アタッチメントに形成した軸受部(10)に前記支軸(7)を着脱自在に取り付けた搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記軸受部(10)を、前記支軸(7)を遊嵌可能で入口が前記アタッチメント(4b)の上縁に解放し、かつ、入口幅(w)が前記支軸(7)の外径(D)よりも小さい軸受溝(10a)で構成し、前記支軸(7)の両端もしくは両端近傍に前記軸受溝(10a)の入口を通過可能な減寸部(7a)を設け、その減寸部(7a)を軸直角向きに移動させて前記軸受溝(10a)に挿入し、さらに、前記支軸(7)の前記減寸部(7a)と非減寸部との間に形成される段差面(7c)を前記軸受溝(10a)の溝縁に支軸(7)の軸方向移動が阻止されるように係止させて前記支軸(7)を前記軸受溝(10a)内に保持するようにした請求項1又は2に記載の搬送コンベヤ。
【請求項4】
前記減寸部(7a)を、前記支軸(7)の外周の180°回転した位置に、平行な二面幅の面(7b)を溝底として有する溝を設けるか又は前記支軸(7)の一部を小径に加工して生じさせた請求項3に記載の搬送コンベヤ。
【請求項5】
前記軸受部(10)を、前記支軸(7)を遊嵌可能で入口が前記アタッチメント(4b)の上縁に解放し、下端側の溝幅がコンベヤの進行方向に広がった軸受溝(10a)で構成し、その軸受溝(10a)に前記支軸(7)を挿入し、さらに、その支軸(7)をコンベヤの進行方向後方に変位させ、支軸(7)の軸方向移動をコンベヤチェーンのチェーンリンク(4a)で制限して支軸(7)を前記軸受溝(10a)内に保持するようにした請求項1又は2に記載の搬送コンベヤ。
【請求項6】
前記軸受溝(10a)の入口に、挿入される支軸(7)に押されて弾性変形して入口を支軸の通過が許容される位置まで広げ、支軸(7)の通過後に弾性復元して入口を支軸(7)の通過が阻止されるところまで狭めるストッパ(11)を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の搬送コンベヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−49516(P2013−49516A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188230(P2011−188230)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名 FOOMA JAPAN2011(国際食品工業展) 主催者名 社団法人日本食品機械工業会 開催日 平成23年6月7日から6月10日
【出願人】(591043787)株式会社アルス (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名 FOOMA JAPAN2011(国際食品工業展) 主催者名 社団法人日本食品機械工業会 開催日 平成23年6月7日から6月10日
【出願人】(591043787)株式会社アルス (16)
【Fターム(参考)】
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