搬送台車
【課題】比較的狭いスペースにおいても通行の妨げとなることなく、容易に移載作業を行うことを可能とする。
【解決手段】搬送台車(500)は、被搬送物(600)を搬送すると共に、ステーション(300)に設けられた入出庫部(310,320)に被搬送物を移載する、又は入出庫部から被搬送物を移載する。搬送台車は、被搬送物を積載する空間である積載部、及び積載部の下方に位置しており入出庫部を側方から少なくとも部分的に囲うように収容する空間である収容部を有し、側方に向けて開口された本体部(510)と、本体部に設けられた走行手段(520)と、本体部における積載部の上方に設けられており、入出庫部が収容部に収容された状態で、積載部に積載された被搬送物を入出庫部に移載する、又は入出庫部から出庫された被搬送物を積載部に移載する移載手段(530,540)とを備える。
【解決手段】搬送台車(500)は、被搬送物(600)を搬送すると共に、ステーション(300)に設けられた入出庫部(310,320)に被搬送物を移載する、又は入出庫部から被搬送物を移載する。搬送台車は、被搬送物を積載する空間である積載部、及び積載部の下方に位置しており入出庫部を側方から少なくとも部分的に囲うように収容する空間である収容部を有し、側方に向けて開口された本体部(510)と、本体部に設けられた走行手段(520)と、本体部における積載部の上方に設けられており、入出庫部が収容部に収容された状態で、積載部に積載された被搬送物を入出庫部に移載する、又は入出庫部から出庫された被搬送物を積載部に移載する移載手段(530,540)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体装置製造用の各種基板等が収容された容器等の被搬送物を、ストッカ等のステーションに搬送する搬送台車の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送台車として、作業者が操作することで、半導体基板等が収容された被搬送物を搬送するもの(PGV:Personal Guided Vehicle)がある。被搬送物は、作業員が搬送台車を走行させることで、被搬送物を保管する棚や製造や検査等の各種作業を行う装置等に搬送され、移載(即ち、荷下ろし)される。被搬送物を移載する際には、作業員がレバーやハンドル等を操作することにより、移載アーム等の搬送台車に設けられた移載用の部位が駆動され、作業者が直接被搬送物を持ち上げることなく移載が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第4092783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば搬送台車によって被搬送物が搬送される半導体製造用のクリーンルームは、建設費用が比較的高額であるため、十分に広い床面積を確保することがコスト的に困難である。このため、搬送台車が走行する通路幅は比較的狭いものとされており、移載を行っている搬送台車が通路に存在している場合には、作業員や他の搬送台車の通行が妨げられてしまうおそれがある。即ち、移載中の搬送台車は、通路における障害物となってしまい各種作業の効率低下を招いてしまうおそれがあるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、比較的狭いスペースにおいても作業や通行の妨げとなることなく、容易に移載作業を行うことが可能な搬送台車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送台車は上記課題を解決するために、被搬送物を搬送すると共に、ステーションから突出するように設けられており前記被搬送物を前記ステーションに入庫又は出庫する入出庫部に前記被搬送物を移載する、又は前記入出庫部から前記被搬送物を移載する搬送台車であって、前記被搬送物を積載する空間である積載部、及び前記積載部の下方に位置しており前記入出庫部を側方から少なくとも部分的に囲うように収容する空間である収容部を有し、側方に向けて開口された本体部と、前記本体部に設けられた走行手段と、前記本体部における前記積載部の上方に設けられており、前記入出庫部が前記収容部に収容された状態で、前記積載部に積載された前記被搬送物を前記入出庫部に移載する、又は前記入出庫部から出庫された前記被搬送物を前記積載部に移載する移載手段とを備える。
【0007】
本発明の搬送台車によれば、例えば作業員が手動で操作を行うことにより、半導体基板等を自動で搬送する搬送システム上におけるステーションに対して、被搬送物が搬送され入庫される。或いは、ステーションから出庫された被搬送物が搬送台車に移載され、他のステーション等に搬送される。尚、ここでの「ステーション」とは、被搬送物を保管するだけの単なる保管場所であてもよいし、被搬送物に対する各種作業を実行可能な作業ステーション、処理装置、更に、入庫する箇所と出庫する箇所とが異なる被搬送物を多少の距離だけ搬送或いは移送する機能を併せ持つ装置や機構であってもよい。
【0008】
ステーションを有する搬送システムにおいては、例えば天井に敷設されたレール等の軌道上を走行する、ビークル、OHT(Overhead Hoist Transport)等の搬送車によって、FOUP(Front Opening Unified Pod)等の被搬送物が搬送される。搬送車は、軌道に沿って設けられた複数のステーション間で被搬送物を搬送する。しかしながら搬送車は、例えば故障やメンテナンス等によりシステムの動作が停止している際に、被搬送物を搬送することができない。また、軌道が敷設されていない場所へは、被搬送物を搬送することができない。
【0009】
他方で、搬送される被搬送物は、搬送する半導体基板等の大口径化に伴い、大型化及び重量化している。具体的には、例えば直径450mmの半導体基板を搬送するためのFOUPは、縦500mm×横560mm×高さ350mmとなり、重量は20kg以上となってしまう。このため、作業員が1人でFOUPを抱えて自力で搬送することは極めて困難である。よって、上述したように、システムにおける搬送車によって被搬送物を搬送できないような場合には、様々な不都合が生じてしまうおそれがある。
【0010】
しかるに本発明の搬送台車は、システムの動作に関係なく被搬送物を搬送することができる。即ち、搬送システムが停止している際でも、作業員が容易に搬送物を搬送することが可能となる。また、搬送元又は搬送先が軌道の敷設されていない場所であったとしても、被搬送物を搬送することが可能となる。
【0011】
本発明の搬送台車は特に、被搬送物を積載する空間である積載部、及び積載部の下方に位置しており入出庫部を側方から少なくとも部分的に囲うように収容する空間である収容部を有し、側方に向けて開口された本体部を備えている。尚、ここでの「側方」とは、搬送台車に対する前後左右の各方向(即ち、水平に沿う各方向)を含む概念であり、広義では上下方向を除く様々な方向を含む。本体部は、典型的にはコの字型とされることで、その内部に積載部及び収容部という比較的広い空間を有するように形成されている。本体部は、例えばパイプ状の骨組みが組み合わされたものであってもよいし、板状のものが組み合わされたものであってもよい。
【0012】
本体部には、例えば滑車等の走行手段が設けられており、作業員が押す或いは引く等の操作を行うことによって、搬送通路上を走行可能とされている。尚、モータ等を備えることにより、電動で走行可能とされていてもよい。被搬送物が本体部における積載部に積載された状態で、搬送台車が走行させられることにより、被搬送物が搬送される。
【0013】
本体部における積載部の上方には移載手段が設けられており、積載部に積載された被搬送物を入出庫部に移載する際には、入出庫部が収容部に収容された状態で移載動作が行われる。また、入出庫部から出庫された被搬送物を搬送台車の積載部に移載する際にも、同様に入出庫部が収容部に収容された状態で移載動作が行われる。入出庫部の収容の際には、本体部の開口から、入出庫部が本体部の内部へと収められる。尚、ここでの「収容」とは、入出庫部全体が本体部に覆われるような状態に限定されず、入出庫部が部分的に本体部によって囲われるような状態を含むものとする。
【0014】
本体部における収容部に入出庫部が収容されることにより、搬送台車はステーション側に近付けられることになる。即ち、収容部が入庫部を収容する分、搬送台車が搬送通路等において占める面積を小さくすることができる。よって、被搬送物を移載する際に、搬送台車が、作業員や他の搬送台車の通行を妨げてしまうことを効果的に防止することが可能である。
【0015】
本発明では更に、移載の際に搬送台車がステーション側に近付けられることで、被搬送物の好適な移載を実現している。例えば、仮に入出庫部を収容部に収容できない状態で移載を行う場合を考えると、移載手段には、被搬送物を移載するために昇降動作及び水平方向への動作が求められてしまう。しかるに本発明に係る搬送台車は、入出庫部を収容部に収容した状態で移載を行うことが可能とされているため、昇降動作のみで移載を行うことが可能である。即ち、搬送台車と被搬送物との互いの距離が縮められることによって、より容易に被搬送物を移載することが可能とされている。
【0016】
以上説明したように、本発明の搬送台車によれば、本体部が入出庫部を収容する収容部を有しているため、比較的狭いスペースにおいても作業や通行の妨げとなることなく、容易に移載作業を行うことが可能である。
【0017】
本発明の搬送台車の一態様では、前記移載手段は、前記被搬送物を把持する把持手段と、前記把持手段を昇降させる昇降手段とを有する。
【0018】
この態様によれば、移載手段には把持手段が有されており、把持手段が被搬送物を把持する又は把持している被搬送物を放すことにより移載が行われる。また移載手段には、把持手段に加えて昇降手段が有されており、被搬送物の移載が行われる際には、昇降手段によって把持手段が昇降(即ち、上下に移動)させられる。これにより、把持手段の高さを、被搬送物を移載するために適切な高さに調整することが可能となる。従って、確実に被搬送物を移載することができる。
【0019】
本発明の搬送台車の他の態様では、前記本体部における前記積載部の下方に設けられており、前記積載部に積載された前記被搬送物を下方側から支持することによって、前記被搬送物が前記積載部から落下することを防止する落下防止手段を更に備える。
【0020】
この態様によれば、本体部に落下防止手段が備えられており、積載部に積載された被搬送物が落下してしまうことが防止される。具体的には、落下防止手段は積載部の下方に設けられており、積載部に積載された被搬送物を下方側から支持することによって、被搬送物が積載部から落下してしまうことを防止する。尚、ここでの「支持」とは、積載された被搬送物を常時支えていることを意味するほか、落下しそうになった際に初めて支える状態となることを含む。即ち、落下防止手段は、積載部に積載された被搬送物に常に接触しているようなものであってもよいし、積載部から落下しようとする被搬送物を下方側で受け止めるようなものであってもよい。
【0021】
落下防止手段を備えていることで、搬送中の被搬送物が落下してしまうことを防止することができるため、より好適に被搬送物を搬送することができる。特に、半導体基板のような衝撃に弱い精密な部材又は装置を搬送する際には、上述した効果は顕著に発揮される。
【0022】
上述した落下防止手段を更に備える態様では、前記落下防止手段は、前記収容部に設けられており、前記入出庫部を前記収容部に収容する際に、前記入出庫部を収容する妨げとならない位置に格納されるように構成されてもよい。
【0023】
このように構成すれば、落下防止手段が、積載部の下方に位置する収容部に設けられているため、搬送中に落下するおそれのある被搬送物を下方から支持することで、確実に落下を防止できる。また本態様では特に、落下防止手段は、入出庫部を収容部に収容する際に、入出庫部を収容する妨げとならない位置に格納される。落下防止手段は、例えばレバーやハンドル等の操作に応じて可動とされており、搬送台車を操作する作業員によって、格納された状態となる。また、収容部が収容されることを検知して、自動的に格納されるようにしてもよい。
【0024】
落下防止手段が収容の際に格納されることにより、落下防止手段の存在によって入出庫部の収容を妨げられてしまうことを回避することができる。従って、より好適に搬送及び移載を行うことが可能となる。
【0025】
本発明の搬送台車の他の態様では、前記移載手段は、前記本体部に対して、水平に沿う方向で回転可能とされている。
【0026】
この態様によれば、移載手段を本体部に対して水平に沿う方向で回転させることによって、移載した被搬送物の向きを適宜変更することが可能である。即ち、搬送台車における本体部を回転させることなく、被搬送物の向きを変更することができる。
【0027】
上述した構成では、例えば入出庫部から被搬送物を移載する際と、入出庫部に被搬送物を移載する際とで搬送台車の向きが異なっていても、被搬送物の向きを変えてしまうことなく移載を完了することができる。また、被搬送物を入出庫部から移載する際に、移載手段と被搬送物との向きが揃っていないと確実に移載できないような場合において、移載手段の向きを微調整することが可能である。即ち、より好適に移載動作を行うことが可能となる。
【0028】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0030】
<搬送システム>
先ず、本実施形態に係る搬送台車によって搬送されるFOUPの移載先であるステーションを含んで構成される搬送システムの構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、搬送システムの全体構成を概略的に示す上面図であり、図2は、ステーションの具体的な構成を示す斜視図である。
【0031】
図1において、搬送システムは、軌道100と、複数のビークル200と、複数のステーション300と、搬送通路400とを備えて構成されている。
【0032】
軌道100は、例えば天井に敷設されており、アルミニウムやステンレス等の金属から構成される。尚、ここでは説明の便宜上、軌道100の構成を比較的簡単なものとして図示しているが、実際の軌道100は、例えばより多くの分岐箇所及び合流箇所を有するような、複雑な構成とされてもよい。
【0033】
ビークル200は、軌道100に沿って夫々走行することで、半導体基板等が収容されたFOUPを搬送する。即ち、FOUPは、本発明の「被搬送物」の一例である。ビークル200は、軌道100に吊下げられる形で取り付けられており、例えばリニアモータを動力として軌道100上を走行する。ビークル200の各々は、図示しないコントローラ等によって走行及び搬送等の動作が制御される。尚、ここでは説明の便宜上、軌道100上にビークル200a及びビークル200bの2台しか図示していないが、典型的には、より多く(例えば数十台、或いは数百台)のビークル200が備えられる。
【0034】
ステーション300は、軌道100に沿って複数設けられており、夫々FOUPを保管することが可能とされている。また、FOUPに収容された半導体基板等の部材に対する各種作業を行うことが可能とされていてもよい。
【0035】
図2において、ステーション300は、突出するように設けられた入庫部310及び出庫部320を備えている。入庫部310は、例えばベルトコンベヤ等を有しており、搬送台車から移載されたFOUPをステーション300内部に入庫する。出庫部320は、入庫部310と同様にベルトコンベヤ等を有しており、ステーション300内部のFOUPを出庫し、搬送台車へと移載可能な位置に移動させる。入庫部310及び出庫部320は、図2に示すように別々に設けられなくともよい。即ち、入庫部310が出庫部320の機能を兼ねるように構成されていてもよい。また、入庫部310及び出庫部320は、1つのステーション300に対して、夫々2つ以上設けられていてもよい。
【0036】
尚、ここでは図示を省略しているが、ステーション300には、上述した入庫部310及び出庫部320以外にも、ビークル200に対してFOUPの入庫及び出庫を行う入庫部及び出庫部が備えられている。
【0037】
図1に戻り、搬送通路400は、搬送台車が走行するための通路であり、複数のステーション300間に挟まれるように設けられている。搬送台車は、例えばシステムが停止しておりビークル200が走行できない場合等において、この搬送通路400を走行することによって、FOUPの搬送を行う。また搬送通路400は、上述した搬送以外にも、搬送システムのメンテナンス作業等を行う作業員の通路等としても機能する。
【0038】
<搬送台車>
以下では、本実施形態に係る搬送台車について図3から図18を参照して説明する。
【0039】
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態に係る搬送台車の構成について、図3及び図4を参照して説明する。ここに図3は、第1実施形態に係る未積載時の搬送台車の構成を示す斜視図であり、図4は、第1実施形態に係る積載時の搬送台車の構成を示す斜視図である。
【0040】
図3において、第1実施形態に係る搬送台車500は、本体部510と、ローラ520と、昇降部530と、把持部540とを備えて構成されている。
【0041】
本体部510は、例えばアルミや鉄等の金属で構成されるフレームであり、コの字型の形状とされることで、その内部に比較的大きな空間を有している。本体部の内部の空間には、被搬送物であるFOUPを積載するための空間である積載部、並びにステーション300における入庫部310及び出庫部320を収容するための空間である収容部が含まれている。
【0042】
ローラ520は、本発明の「走行手段」の一例であり、回転することで搬送台車500を走行させることができる。尚、ここでのローラ520は、作業員が搬送台車500を押す又は引く動作を行うことによって回転するように構成されているが、例えば電動モータ等によって回転されるように構成されてもよい。
【0043】
昇降部530は、本発明の「昇降手段」の一例であり、後述する把持部540を本体部510に対して昇降させることが可能とされている。昇降部530による昇降動作によって、把持部530は、FOUPを把持するための適切な高さに調整される。昇降部530の具体的な構成については後に詳述する。
【0044】
把持部540は、本発明の「把持手段」の一例であり、FOUPを把持することが可能とされている。把持部540によってFOUPが把持されることによって、搬送台車500にFOUPが積載された状態となる。把持部540の具体的な構成については後に詳述する。
【0045】
図4において、搬送台車500に積載されたFOUP600は、図に示すように、把持部540に把持された状態で、本体部510の内部の空間に収容される。即ち、図中のFOUP600が収容されている空間が、本体部510における積載部であり、FOUP600の下方に位置する空間が収容部である。収容部への入庫部310及び出庫部320の収容については、移載動作を説明する際に詳述する。
【0046】
次に、上述した昇降部530の具体的な構成について、図5から図7を参照して説明する。ここに図5から図7は夫々、搬送台車における昇降部の具体的な構成を示す側面図である。
【0047】
図5において、昇降部530は、例えば昇降ハンドル531aと、昇降ピニオン531bと、昇降ラック531cとを備えて構成される。昇降の際には、作業員が昇降ハンドル531aを操作することによって、昇降ピニオン531bが回転し、昇降ラック531cが上下に移動する。これによって、昇降ラック531cに取り付けられている把持部540が昇降させられる。
【0048】
図6において、昇降部530は、昇降ハンドル532aと、ベルト巻き取り部532bと、昇降ベルト532cとを備えるように構成されてもよい。この場合には、作業員が昇降ハンドル532aを操作することによって、ベルト巻き取り部532bが回転し、昇降ベルト532cがベルト巻き取り部532bに巻き取られる、或いは巻き出される。これによって、昇降ベルト532cに取り付けられている把持部540が昇降させられる。
【0049】
図7において、昇降部530は、昇降ハンドル533aと、昇降駆動部533bと、昇降ベルト533cと、昇降支持部533dと、リニアガイド533eとを備えて構成されてもよい。この場合には、作業員が昇降ハンドル533aを操作することによって、昇降駆動部533bが駆動される。昇降駆動部533bが駆動されることによって、昇汞支持部533dは、リニアガイド533eに沿って上下に移動する。これによって、昇降ベルト532cを介して昇降支持部533dに取り付けられている把持部540が昇降させられる。
【0050】
尚、ここで挙げた昇降部530の構成は一例に過ぎず、異なる構成を有する昇降部530を用いた場合でも、上述した本実施形態に係る搬送台車500を実現することは可能である。
【0051】
次に、上述した昇降部530によって駆動される把持部540の具体的な構成について、図8から図10を参照して説明する。ここに図8から図10は夫々、搬送台車における把持部の具体的な構成を示す部分拡大図である。
【0052】
図8において、把持部540は、例えば回転駆動部541と、2つの接続板542a及び542cと、2つのグリップ部543a及び543bとを備えて構成される。FOUP600を把持する際には、作業員が回転駆動部541に取り付けられたつまみ(図示せず)等を操作することにより、接続板542a及び542cが駆動され、それに伴ってグリップ部543a及び543bが開閉動作を行う。図8に示す構成では、回転駆動部541を右に回すことでグリップ部543a及び543bが開き、回転駆動部541を左に回すことでグリップ部543a及び543bが閉じる。
【0053】
図9において、把持部540は、2つのガイド溝544a及び544bを有する回転駆動部541と、接続部545aを有するグリップ部543a及び接続部545bを有するグリップ部543bとを備えて構成されてもよい。この場合、回転駆動部541に取り付けられたつまみ等が操作されることにより、接続部545a及び545bがガイド溝544a及び544bに沿って移動し、グリップ部543a及び543bが開閉動作を行う。図9に示す構成では、回転駆動部541を右に回すことでグリップ部543a及び543bが閉じ、回転駆動部541を左に回すことでグリップ部543a及び543bが開く。
【0054】
図10において、把持部540は、互いに噛合わされた4つの把持ピニオン546a、546b、546c及び546dと、2つのグリップ部547a及び547bとを備えて構成されてもよい。この場合、把持ピニオン546aに取り付けられたつまみ等が操作されることにより、他の把持ピニオン546b、546c及び546dが回転し、グリップ部547a及び547bが開閉動作を行う。尚、図10におけるグリップ部547a及び547bは、図8及び図9におけるグリップ部543a及び543bと異なり、回転運動によって開閉させられるため、形状が異なったものとなっている。図10に示す構成では、把持ピニオン546aを右に回すことでグリップ部547a及び547bが開き、把持ピニオン546aを左に回すことでグリップ部547a及び547bが閉じる。
【0055】
尚、ここで挙げた把持部540の構成は一例に過ぎず、異なる構成を有する把持部540を用いた場合でも、上述した本実施形態に係る搬送台車500を実現することは可能である。
【0056】
次に、第1実施形態に係る搬送台車500のFOUP600を移載する際の動作について、図11から図14を参照して説明する。ここに図11は、FOUPを入庫する際の搬送台車及びステーションの位置関係について示す斜視図であり、図12は、第1実施形態に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図である。また図13は、比較例に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図であり、図14は、FOUPを出庫する際の搬送台車及びステーションの位置関係について示す斜視図である。尚、図11から図14では、説明の便宜上、図3及び図4等に示した搬送台車の詳細な部材を適宜省略して図示しており、以降の図についても同様とする。
【0057】
図11及び図12において、第1実施形態に係る搬送台車500におけるFOUP600の入庫時には、搬送台車500の収容部に、入庫部310が収容された状態となる。即ち、搬送台車500の本体部510が、入庫部310を側方から囲うような状態となる。積載されたFOUP600を入庫部310に移載する際には、図12に示すように、昇降部530が駆動されることによって把持部540が下降し、入庫部310上にFOUP600が置かれる。尚、移載を行う際には、ローラ520はストッパ等によって回転しないように固定される。
【0058】
図13において、仮に入庫部310を収容できない搬送台車500aでFOUP600移載を行う場合を考えると、入庫部310を収容できない分、搬送台車500aは搬送通路400におけるスペースを大きく占めてしまう。この結果、搬送通路400における搬送台車500aを操作する作業員のスペースや、他の作業で搬送通路400を通行しようとする作業員のスペースは極端に制限されてしまう。従って、上述したような場合には、作業効率の低下等の実践上の様々な不都合が生じてしまうおそれがある。
【0059】
これに対し本実施形態に係る搬送台車500は、図11及び図12に示したように、搬送台車500の本体部510に入庫部310が収容されるため、搬送通路400のスペースを十分に保つことができる。従って、比較的狭いスペースにおいても好適に移載動作を行うことが可能である。
【0060】
また、図13で示すような場合、搬送台車500aにおける把持部540には、昇降部530による昇降動作に加えて、アーム550による水平方向への動作が求められてしまう。これに対しても、本実施形態に係る搬送台車500は、入庫部310を収容した状態でFOUP600を移載することが可能とされているため、昇降部530における昇降動作さえ可能であれば、アーム550による水平方向への動作は行わずともよい。よって、比較的簡易な構成でFOUP600の移載を実現することができる。また、FOUP600の移載に要する時間も短縮することが可能である。
【0061】
図14において、第1実施形態に係る搬送台車500におけるFOUP600の出庫時には、搬送台車500の収容部に、出庫部320が収容された状態となる。即ち、搬送台車500の本体部510が、出庫部320を側方から囲うような状態となる。よって、図11及び図12で示した入庫の際と同様に、好適にFOUP600を移載することが可能となる。
【0062】
以上説明したように、第1実施形態に係る搬送台車500によれば、本体部510が入庫部310及び出庫部320を収容する収容部を有しているため、比較的狭いスペースにおいても作業や通行の妨げとなることなく、容易に移載作業を行うことが可能である。
【0063】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る搬送台車について、図15及び図16を参照して説明する。ここに図15は、第2実施形態に係る搬送台車における把持部の構成を示す斜視図であり、図16は、第2実施形態に係る搬送台車の構成を示す斜視図である。尚、第2実施形態は、上述の第1実施形態と比べて把持部の構成が異なり、その他の構成等については概ね同様である。このため第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。また、図15及び図16では、図3及び図4等に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付している。
【0064】
図15において、第2実施形態に係る搬送台車500は、把持部540が図に示すような形状として形成されており、第1実施形態に係る把持部540(図8から図10参照)のように、把持部540自体に駆動箇所が設けられていない。このような把持部540でFOUP600を把持する際には、把持部540が水平方向に(即ち、図中の矢印の方向に)スライドさせられることで、FOUP600における取手部分と本体部分との隙間に、把持部540の一部がはめ込まれる。
【0065】
図16において、第2実施形態に係る搬送台車500は、上述したように、把持部540自体に駆動箇所を設けなくともよいため、比較的簡単な構成で実現することが可能である。即ち、把持部540を昇降させる昇降部530が設けられていれば、確実にFOUP600を移載することが可能である。
【0066】
FOUP600を積載する際には、搬送台車500がローラ520によって移動させられることによって、把持部540がFOUP600を把持する状態とされる。より具体的には、先ず昇降部530によって、FOUP600と把持部540との互いの高さが調整された後、ローラ520によって搬送台車500がFOUP600側に走行し、FOUP600を把持する。そして、昇降部530によって、把持部が上昇させられることで、FOUP600は搬送台車500に積載された状態となる。尚、積載したFOUP600を入庫する際には、上述した動作と逆の動作が行われることで、確実にFOUP600をステーション300に移載することが可能である。
【0067】
以上説明したように、第2実施形態に係る搬送台車500によれば、搬送台車の構成を、より簡単なものとすることができる。
【0068】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る搬送台車について、図17及び図18を参照して説明する。ここに図17は、第3実施形態に係る搬送台車の構成を示す側面図であり、図18は、第3実施形態に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図である。尚、第3実施形態は、上述の第1及び第2実施形態と比べて落下防止部を備える点で異なり、その他の構成等については概ね同様である。このため第3実施形態では、第1及び第2実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。また、図17及び図18では、図11等に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付している。
【0069】
図17において、第3実施形態に係る搬送台車500は、上述した第1及び第2実施形態の構成に加えて、積載されたFOUP600の落下を防止するための落下防止部560を備えて構成されている。
【0070】
落下防止部560は、本発明の「落下防止手段」の一例であり、本体部510における積載部の下方に設けられている。落下防止部560は、例えば板状の部材として形成されており、積載されたFOUP600を下方側から支持することによって落下を防止する。
【0071】
図18において、落下防止部560は、入庫部310又は出庫部320を収容部に収容する際に、収容の妨げとならない位置に格納される。具体的には、落下防止手部540は、例えばレバーやハンドル等の操作に応じて可動とされており、FOUP600を移載する際には、図に示すように入庫部310と接触しないような位置に格納された状態となる。
【0072】
落下防止部560が収容の際に格納されることにより、落下防止部560の存在によって入庫部310又は出庫部320の収容が妨げられてしまうことを回避することができる。従って、より好適に搬送及び移載を行うことが可能となる。
【0073】
以上説明したように、第3実施形態に係る搬送台車500によれば、落下防止部560を備えていることで、搬送中のFOUP600が落下してしまうことを防止することができる。特に、半導体基板のような衝撃に弱い精密な部材又は装置を搬送する際には、上述した効果は顕著に発揮される。
【0074】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る搬送台車について、図19及び図20を参照して説明する。ここに図19は、第4実施形態に係る搬送台車の構成を示す斜視図であり、図20は、搬送システムにおける各ステーションの配置を示す上面図である。尚、第4実施形態は、上述の各実施形態と比べて移載したFOUPを回転可能な点が異なり、その他の構成等については概ね同様である。このため第4実施形態では、第1から第3実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。また、図19及び図20では、図1及び図4等に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付している。
【0075】
図19において、第4実施形態に係る搬送台車500は、昇降部530及び把持部540を回転可能とするためのターンテーブル570を備えて構成されている。ターンテーブル570は、水平方向に沿って回転可能とされており、昇降部530及び把持部540の向きを変更することが可能である。
【0076】
第4実施形態に係る搬送台車500では更に、回転補強バー580が備えられている。回転補強バー580を回転させて、その向きを変更すれば、搬送台車500の本体部510の開口の向きを変更することができる。即ち、搬送台車500の収容部に入庫部310及び出庫部320を収容する向きを180°変更することができる。回転補強バー580及び上述したターンテーブル570の回転を組み合わせることによって、搬送台車500の前後を意識することなく、FOUP500に対する移載動作を行うことが可能となる。尚、回転補強バー580は、搬送台車500の強度を保つためのものであり、強度が十分に確保できるような場合であれば、設けられずともよい。
【0077】
図20に示すように、第4実施形態に係る搬送台車500は、搬送通路400が比較的狭く、各ステーション300における入庫部310及び出庫部320が向かい合うように配置された場合に顕著に効果を発揮する。具体的には、互いに向かい合う入庫部310及び出庫部320間でFOUPの移載を行う場合、搬送台車500を回転させることなく(即ち、平行移動させるだけで)移載を行うことができる。また、ターンテーブル570は、把持部540と移載しようとしているFOUP400との向きの調整等にも利用することが可能である。
【0078】
以上説明したように、第4実施形態に係る搬送台車500によれば、ターンテーブル570を備えることによって、より好適にFOUP400の移載動作を行うことが可能である。
【0079】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う搬送台車もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】搬送システムの全体構成を概略的に示す上面図である。
【図2】ステーションの具体的な構成を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る未積載時の搬送台車の構成を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る積載時の搬送台車の構成を示す斜視図である。
【図5】搬送台車における昇降部の具体的な構成を示す側面図(その1)である。
【図6】搬送台車における昇降部の具体的な構成を示す側面図(その2)である。
【図7】搬送台車における昇降部の具体的な構成を示す側面図(その3)である。
【図8】搬送台車における把持部の具体的な構成を示す部分拡大図(その1)である。
【図9】搬送台車における把持部の具体的な構成を示す部分拡大図(その2)である。
【図10】搬送台車における把持部の具体的な構成を示す部分拡大図(その3)である。
【図11】FOUPを入庫する際の搬送台車及びステーションの位置関係について示す斜視図である。
【図12】第1実施形態に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図である。
【図13】比較例に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図である。
【図14】FOUPを出庫する際の搬送台車及びステーションの位置関係について示す斜視図である。
【図15】第2実施形態に係る搬送台車における把持部の構成を示す斜視図である。
【図16】第2実施形態に係る搬送台車の構成を示す斜視図である。
【図17】第3実施形態に係る搬送台車の構成を示す側面図である。
【図18】第3実施形態に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図である。
【図19】第4実施形態に係る搬送台車の構成を示す斜視図である。
【図20】搬送システムにおける各ステーションの配置を示す上面図である。
【符号の説明】
【0081】
100…軌道、200…ビークル、300…ステーション、310…入庫部、320…出庫部、400…搬送通路、500…搬送台車、510…本体部、520…ローラ、530…昇降部、531a,532a,533a…昇降ハンドル、531b…昇降ピニオン、531c…昇降ラック、532b…ベルト巻き取り部、532c,533c…昇降ベルト、533b…昇降駆動部、533d…昇降支持部、533e…リニアガイド、540…把持部、541…回転駆動部、542…接続板、543、547…グリップ部、544…ガイド溝、545…接続部、546…把持ピニオン、550…アーム、560…落下防止部、570…ターンテーブル、580…回転補強バー
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体装置製造用の各種基板等が収容された容器等の被搬送物を、ストッカ等のステーションに搬送する搬送台車の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送台車として、作業者が操作することで、半導体基板等が収容された被搬送物を搬送するもの(PGV:Personal Guided Vehicle)がある。被搬送物は、作業員が搬送台車を走行させることで、被搬送物を保管する棚や製造や検査等の各種作業を行う装置等に搬送され、移載(即ち、荷下ろし)される。被搬送物を移載する際には、作業員がレバーやハンドル等を操作することにより、移載アーム等の搬送台車に設けられた移載用の部位が駆動され、作業者が直接被搬送物を持ち上げることなく移載が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第4092783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば搬送台車によって被搬送物が搬送される半導体製造用のクリーンルームは、建設費用が比較的高額であるため、十分に広い床面積を確保することがコスト的に困難である。このため、搬送台車が走行する通路幅は比較的狭いものとされており、移載を行っている搬送台車が通路に存在している場合には、作業員や他の搬送台車の通行が妨げられてしまうおそれがある。即ち、移載中の搬送台車は、通路における障害物となってしまい各種作業の効率低下を招いてしまうおそれがあるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、比較的狭いスペースにおいても作業や通行の妨げとなることなく、容易に移載作業を行うことが可能な搬送台車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送台車は上記課題を解決するために、被搬送物を搬送すると共に、ステーションから突出するように設けられており前記被搬送物を前記ステーションに入庫又は出庫する入出庫部に前記被搬送物を移載する、又は前記入出庫部から前記被搬送物を移載する搬送台車であって、前記被搬送物を積載する空間である積載部、及び前記積載部の下方に位置しており前記入出庫部を側方から少なくとも部分的に囲うように収容する空間である収容部を有し、側方に向けて開口された本体部と、前記本体部に設けられた走行手段と、前記本体部における前記積載部の上方に設けられており、前記入出庫部が前記収容部に収容された状態で、前記積載部に積載された前記被搬送物を前記入出庫部に移載する、又は前記入出庫部から出庫された前記被搬送物を前記積載部に移載する移載手段とを備える。
【0007】
本発明の搬送台車によれば、例えば作業員が手動で操作を行うことにより、半導体基板等を自動で搬送する搬送システム上におけるステーションに対して、被搬送物が搬送され入庫される。或いは、ステーションから出庫された被搬送物が搬送台車に移載され、他のステーション等に搬送される。尚、ここでの「ステーション」とは、被搬送物を保管するだけの単なる保管場所であてもよいし、被搬送物に対する各種作業を実行可能な作業ステーション、処理装置、更に、入庫する箇所と出庫する箇所とが異なる被搬送物を多少の距離だけ搬送或いは移送する機能を併せ持つ装置や機構であってもよい。
【0008】
ステーションを有する搬送システムにおいては、例えば天井に敷設されたレール等の軌道上を走行する、ビークル、OHT(Overhead Hoist Transport)等の搬送車によって、FOUP(Front Opening Unified Pod)等の被搬送物が搬送される。搬送車は、軌道に沿って設けられた複数のステーション間で被搬送物を搬送する。しかしながら搬送車は、例えば故障やメンテナンス等によりシステムの動作が停止している際に、被搬送物を搬送することができない。また、軌道が敷設されていない場所へは、被搬送物を搬送することができない。
【0009】
他方で、搬送される被搬送物は、搬送する半導体基板等の大口径化に伴い、大型化及び重量化している。具体的には、例えば直径450mmの半導体基板を搬送するためのFOUPは、縦500mm×横560mm×高さ350mmとなり、重量は20kg以上となってしまう。このため、作業員が1人でFOUPを抱えて自力で搬送することは極めて困難である。よって、上述したように、システムにおける搬送車によって被搬送物を搬送できないような場合には、様々な不都合が生じてしまうおそれがある。
【0010】
しかるに本発明の搬送台車は、システムの動作に関係なく被搬送物を搬送することができる。即ち、搬送システムが停止している際でも、作業員が容易に搬送物を搬送することが可能となる。また、搬送元又は搬送先が軌道の敷設されていない場所であったとしても、被搬送物を搬送することが可能となる。
【0011】
本発明の搬送台車は特に、被搬送物を積載する空間である積載部、及び積載部の下方に位置しており入出庫部を側方から少なくとも部分的に囲うように収容する空間である収容部を有し、側方に向けて開口された本体部を備えている。尚、ここでの「側方」とは、搬送台車に対する前後左右の各方向(即ち、水平に沿う各方向)を含む概念であり、広義では上下方向を除く様々な方向を含む。本体部は、典型的にはコの字型とされることで、その内部に積載部及び収容部という比較的広い空間を有するように形成されている。本体部は、例えばパイプ状の骨組みが組み合わされたものであってもよいし、板状のものが組み合わされたものであってもよい。
【0012】
本体部には、例えば滑車等の走行手段が設けられており、作業員が押す或いは引く等の操作を行うことによって、搬送通路上を走行可能とされている。尚、モータ等を備えることにより、電動で走行可能とされていてもよい。被搬送物が本体部における積載部に積載された状態で、搬送台車が走行させられることにより、被搬送物が搬送される。
【0013】
本体部における積載部の上方には移載手段が設けられており、積載部に積載された被搬送物を入出庫部に移載する際には、入出庫部が収容部に収容された状態で移載動作が行われる。また、入出庫部から出庫された被搬送物を搬送台車の積載部に移載する際にも、同様に入出庫部が収容部に収容された状態で移載動作が行われる。入出庫部の収容の際には、本体部の開口から、入出庫部が本体部の内部へと収められる。尚、ここでの「収容」とは、入出庫部全体が本体部に覆われるような状態に限定されず、入出庫部が部分的に本体部によって囲われるような状態を含むものとする。
【0014】
本体部における収容部に入出庫部が収容されることにより、搬送台車はステーション側に近付けられることになる。即ち、収容部が入庫部を収容する分、搬送台車が搬送通路等において占める面積を小さくすることができる。よって、被搬送物を移載する際に、搬送台車が、作業員や他の搬送台車の通行を妨げてしまうことを効果的に防止することが可能である。
【0015】
本発明では更に、移載の際に搬送台車がステーション側に近付けられることで、被搬送物の好適な移載を実現している。例えば、仮に入出庫部を収容部に収容できない状態で移載を行う場合を考えると、移載手段には、被搬送物を移載するために昇降動作及び水平方向への動作が求められてしまう。しかるに本発明に係る搬送台車は、入出庫部を収容部に収容した状態で移載を行うことが可能とされているため、昇降動作のみで移載を行うことが可能である。即ち、搬送台車と被搬送物との互いの距離が縮められることによって、より容易に被搬送物を移載することが可能とされている。
【0016】
以上説明したように、本発明の搬送台車によれば、本体部が入出庫部を収容する収容部を有しているため、比較的狭いスペースにおいても作業や通行の妨げとなることなく、容易に移載作業を行うことが可能である。
【0017】
本発明の搬送台車の一態様では、前記移載手段は、前記被搬送物を把持する把持手段と、前記把持手段を昇降させる昇降手段とを有する。
【0018】
この態様によれば、移載手段には把持手段が有されており、把持手段が被搬送物を把持する又は把持している被搬送物を放すことにより移載が行われる。また移載手段には、把持手段に加えて昇降手段が有されており、被搬送物の移載が行われる際には、昇降手段によって把持手段が昇降(即ち、上下に移動)させられる。これにより、把持手段の高さを、被搬送物を移載するために適切な高さに調整することが可能となる。従って、確実に被搬送物を移載することができる。
【0019】
本発明の搬送台車の他の態様では、前記本体部における前記積載部の下方に設けられており、前記積載部に積載された前記被搬送物を下方側から支持することによって、前記被搬送物が前記積載部から落下することを防止する落下防止手段を更に備える。
【0020】
この態様によれば、本体部に落下防止手段が備えられており、積載部に積載された被搬送物が落下してしまうことが防止される。具体的には、落下防止手段は積載部の下方に設けられており、積載部に積載された被搬送物を下方側から支持することによって、被搬送物が積載部から落下してしまうことを防止する。尚、ここでの「支持」とは、積載された被搬送物を常時支えていることを意味するほか、落下しそうになった際に初めて支える状態となることを含む。即ち、落下防止手段は、積載部に積載された被搬送物に常に接触しているようなものであってもよいし、積載部から落下しようとする被搬送物を下方側で受け止めるようなものであってもよい。
【0021】
落下防止手段を備えていることで、搬送中の被搬送物が落下してしまうことを防止することができるため、より好適に被搬送物を搬送することができる。特に、半導体基板のような衝撃に弱い精密な部材又は装置を搬送する際には、上述した効果は顕著に発揮される。
【0022】
上述した落下防止手段を更に備える態様では、前記落下防止手段は、前記収容部に設けられており、前記入出庫部を前記収容部に収容する際に、前記入出庫部を収容する妨げとならない位置に格納されるように構成されてもよい。
【0023】
このように構成すれば、落下防止手段が、積載部の下方に位置する収容部に設けられているため、搬送中に落下するおそれのある被搬送物を下方から支持することで、確実に落下を防止できる。また本態様では特に、落下防止手段は、入出庫部を収容部に収容する際に、入出庫部を収容する妨げとならない位置に格納される。落下防止手段は、例えばレバーやハンドル等の操作に応じて可動とされており、搬送台車を操作する作業員によって、格納された状態となる。また、収容部が収容されることを検知して、自動的に格納されるようにしてもよい。
【0024】
落下防止手段が収容の際に格納されることにより、落下防止手段の存在によって入出庫部の収容を妨げられてしまうことを回避することができる。従って、より好適に搬送及び移載を行うことが可能となる。
【0025】
本発明の搬送台車の他の態様では、前記移載手段は、前記本体部に対して、水平に沿う方向で回転可能とされている。
【0026】
この態様によれば、移載手段を本体部に対して水平に沿う方向で回転させることによって、移載した被搬送物の向きを適宜変更することが可能である。即ち、搬送台車における本体部を回転させることなく、被搬送物の向きを変更することができる。
【0027】
上述した構成では、例えば入出庫部から被搬送物を移載する際と、入出庫部に被搬送物を移載する際とで搬送台車の向きが異なっていても、被搬送物の向きを変えてしまうことなく移載を完了することができる。また、被搬送物を入出庫部から移載する際に、移載手段と被搬送物との向きが揃っていないと確実に移載できないような場合において、移載手段の向きを微調整することが可能である。即ち、より好適に移載動作を行うことが可能となる。
【0028】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0030】
<搬送システム>
先ず、本実施形態に係る搬送台車によって搬送されるFOUPの移載先であるステーションを含んで構成される搬送システムの構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、搬送システムの全体構成を概略的に示す上面図であり、図2は、ステーションの具体的な構成を示す斜視図である。
【0031】
図1において、搬送システムは、軌道100と、複数のビークル200と、複数のステーション300と、搬送通路400とを備えて構成されている。
【0032】
軌道100は、例えば天井に敷設されており、アルミニウムやステンレス等の金属から構成される。尚、ここでは説明の便宜上、軌道100の構成を比較的簡単なものとして図示しているが、実際の軌道100は、例えばより多くの分岐箇所及び合流箇所を有するような、複雑な構成とされてもよい。
【0033】
ビークル200は、軌道100に沿って夫々走行することで、半導体基板等が収容されたFOUPを搬送する。即ち、FOUPは、本発明の「被搬送物」の一例である。ビークル200は、軌道100に吊下げられる形で取り付けられており、例えばリニアモータを動力として軌道100上を走行する。ビークル200の各々は、図示しないコントローラ等によって走行及び搬送等の動作が制御される。尚、ここでは説明の便宜上、軌道100上にビークル200a及びビークル200bの2台しか図示していないが、典型的には、より多く(例えば数十台、或いは数百台)のビークル200が備えられる。
【0034】
ステーション300は、軌道100に沿って複数設けられており、夫々FOUPを保管することが可能とされている。また、FOUPに収容された半導体基板等の部材に対する各種作業を行うことが可能とされていてもよい。
【0035】
図2において、ステーション300は、突出するように設けられた入庫部310及び出庫部320を備えている。入庫部310は、例えばベルトコンベヤ等を有しており、搬送台車から移載されたFOUPをステーション300内部に入庫する。出庫部320は、入庫部310と同様にベルトコンベヤ等を有しており、ステーション300内部のFOUPを出庫し、搬送台車へと移載可能な位置に移動させる。入庫部310及び出庫部320は、図2に示すように別々に設けられなくともよい。即ち、入庫部310が出庫部320の機能を兼ねるように構成されていてもよい。また、入庫部310及び出庫部320は、1つのステーション300に対して、夫々2つ以上設けられていてもよい。
【0036】
尚、ここでは図示を省略しているが、ステーション300には、上述した入庫部310及び出庫部320以外にも、ビークル200に対してFOUPの入庫及び出庫を行う入庫部及び出庫部が備えられている。
【0037】
図1に戻り、搬送通路400は、搬送台車が走行するための通路であり、複数のステーション300間に挟まれるように設けられている。搬送台車は、例えばシステムが停止しておりビークル200が走行できない場合等において、この搬送通路400を走行することによって、FOUPの搬送を行う。また搬送通路400は、上述した搬送以外にも、搬送システムのメンテナンス作業等を行う作業員の通路等としても機能する。
【0038】
<搬送台車>
以下では、本実施形態に係る搬送台車について図3から図18を参照して説明する。
【0039】
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態に係る搬送台車の構成について、図3及び図4を参照して説明する。ここに図3は、第1実施形態に係る未積載時の搬送台車の構成を示す斜視図であり、図4は、第1実施形態に係る積載時の搬送台車の構成を示す斜視図である。
【0040】
図3において、第1実施形態に係る搬送台車500は、本体部510と、ローラ520と、昇降部530と、把持部540とを備えて構成されている。
【0041】
本体部510は、例えばアルミや鉄等の金属で構成されるフレームであり、コの字型の形状とされることで、その内部に比較的大きな空間を有している。本体部の内部の空間には、被搬送物であるFOUPを積載するための空間である積載部、並びにステーション300における入庫部310及び出庫部320を収容するための空間である収容部が含まれている。
【0042】
ローラ520は、本発明の「走行手段」の一例であり、回転することで搬送台車500を走行させることができる。尚、ここでのローラ520は、作業員が搬送台車500を押す又は引く動作を行うことによって回転するように構成されているが、例えば電動モータ等によって回転されるように構成されてもよい。
【0043】
昇降部530は、本発明の「昇降手段」の一例であり、後述する把持部540を本体部510に対して昇降させることが可能とされている。昇降部530による昇降動作によって、把持部530は、FOUPを把持するための適切な高さに調整される。昇降部530の具体的な構成については後に詳述する。
【0044】
把持部540は、本発明の「把持手段」の一例であり、FOUPを把持することが可能とされている。把持部540によってFOUPが把持されることによって、搬送台車500にFOUPが積載された状態となる。把持部540の具体的な構成については後に詳述する。
【0045】
図4において、搬送台車500に積載されたFOUP600は、図に示すように、把持部540に把持された状態で、本体部510の内部の空間に収容される。即ち、図中のFOUP600が収容されている空間が、本体部510における積載部であり、FOUP600の下方に位置する空間が収容部である。収容部への入庫部310及び出庫部320の収容については、移載動作を説明する際に詳述する。
【0046】
次に、上述した昇降部530の具体的な構成について、図5から図7を参照して説明する。ここに図5から図7は夫々、搬送台車における昇降部の具体的な構成を示す側面図である。
【0047】
図5において、昇降部530は、例えば昇降ハンドル531aと、昇降ピニオン531bと、昇降ラック531cとを備えて構成される。昇降の際には、作業員が昇降ハンドル531aを操作することによって、昇降ピニオン531bが回転し、昇降ラック531cが上下に移動する。これによって、昇降ラック531cに取り付けられている把持部540が昇降させられる。
【0048】
図6において、昇降部530は、昇降ハンドル532aと、ベルト巻き取り部532bと、昇降ベルト532cとを備えるように構成されてもよい。この場合には、作業員が昇降ハンドル532aを操作することによって、ベルト巻き取り部532bが回転し、昇降ベルト532cがベルト巻き取り部532bに巻き取られる、或いは巻き出される。これによって、昇降ベルト532cに取り付けられている把持部540が昇降させられる。
【0049】
図7において、昇降部530は、昇降ハンドル533aと、昇降駆動部533bと、昇降ベルト533cと、昇降支持部533dと、リニアガイド533eとを備えて構成されてもよい。この場合には、作業員が昇降ハンドル533aを操作することによって、昇降駆動部533bが駆動される。昇降駆動部533bが駆動されることによって、昇汞支持部533dは、リニアガイド533eに沿って上下に移動する。これによって、昇降ベルト532cを介して昇降支持部533dに取り付けられている把持部540が昇降させられる。
【0050】
尚、ここで挙げた昇降部530の構成は一例に過ぎず、異なる構成を有する昇降部530を用いた場合でも、上述した本実施形態に係る搬送台車500を実現することは可能である。
【0051】
次に、上述した昇降部530によって駆動される把持部540の具体的な構成について、図8から図10を参照して説明する。ここに図8から図10は夫々、搬送台車における把持部の具体的な構成を示す部分拡大図である。
【0052】
図8において、把持部540は、例えば回転駆動部541と、2つの接続板542a及び542cと、2つのグリップ部543a及び543bとを備えて構成される。FOUP600を把持する際には、作業員が回転駆動部541に取り付けられたつまみ(図示せず)等を操作することにより、接続板542a及び542cが駆動され、それに伴ってグリップ部543a及び543bが開閉動作を行う。図8に示す構成では、回転駆動部541を右に回すことでグリップ部543a及び543bが開き、回転駆動部541を左に回すことでグリップ部543a及び543bが閉じる。
【0053】
図9において、把持部540は、2つのガイド溝544a及び544bを有する回転駆動部541と、接続部545aを有するグリップ部543a及び接続部545bを有するグリップ部543bとを備えて構成されてもよい。この場合、回転駆動部541に取り付けられたつまみ等が操作されることにより、接続部545a及び545bがガイド溝544a及び544bに沿って移動し、グリップ部543a及び543bが開閉動作を行う。図9に示す構成では、回転駆動部541を右に回すことでグリップ部543a及び543bが閉じ、回転駆動部541を左に回すことでグリップ部543a及び543bが開く。
【0054】
図10において、把持部540は、互いに噛合わされた4つの把持ピニオン546a、546b、546c及び546dと、2つのグリップ部547a及び547bとを備えて構成されてもよい。この場合、把持ピニオン546aに取り付けられたつまみ等が操作されることにより、他の把持ピニオン546b、546c及び546dが回転し、グリップ部547a及び547bが開閉動作を行う。尚、図10におけるグリップ部547a及び547bは、図8及び図9におけるグリップ部543a及び543bと異なり、回転運動によって開閉させられるため、形状が異なったものとなっている。図10に示す構成では、把持ピニオン546aを右に回すことでグリップ部547a及び547bが開き、把持ピニオン546aを左に回すことでグリップ部547a及び547bが閉じる。
【0055】
尚、ここで挙げた把持部540の構成は一例に過ぎず、異なる構成を有する把持部540を用いた場合でも、上述した本実施形態に係る搬送台車500を実現することは可能である。
【0056】
次に、第1実施形態に係る搬送台車500のFOUP600を移載する際の動作について、図11から図14を参照して説明する。ここに図11は、FOUPを入庫する際の搬送台車及びステーションの位置関係について示す斜視図であり、図12は、第1実施形態に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図である。また図13は、比較例に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図であり、図14は、FOUPを出庫する際の搬送台車及びステーションの位置関係について示す斜視図である。尚、図11から図14では、説明の便宜上、図3及び図4等に示した搬送台車の詳細な部材を適宜省略して図示しており、以降の図についても同様とする。
【0057】
図11及び図12において、第1実施形態に係る搬送台車500におけるFOUP600の入庫時には、搬送台車500の収容部に、入庫部310が収容された状態となる。即ち、搬送台車500の本体部510が、入庫部310を側方から囲うような状態となる。積載されたFOUP600を入庫部310に移載する際には、図12に示すように、昇降部530が駆動されることによって把持部540が下降し、入庫部310上にFOUP600が置かれる。尚、移載を行う際には、ローラ520はストッパ等によって回転しないように固定される。
【0058】
図13において、仮に入庫部310を収容できない搬送台車500aでFOUP600移載を行う場合を考えると、入庫部310を収容できない分、搬送台車500aは搬送通路400におけるスペースを大きく占めてしまう。この結果、搬送通路400における搬送台車500aを操作する作業員のスペースや、他の作業で搬送通路400を通行しようとする作業員のスペースは極端に制限されてしまう。従って、上述したような場合には、作業効率の低下等の実践上の様々な不都合が生じてしまうおそれがある。
【0059】
これに対し本実施形態に係る搬送台車500は、図11及び図12に示したように、搬送台車500の本体部510に入庫部310が収容されるため、搬送通路400のスペースを十分に保つことができる。従って、比較的狭いスペースにおいても好適に移載動作を行うことが可能である。
【0060】
また、図13で示すような場合、搬送台車500aにおける把持部540には、昇降部530による昇降動作に加えて、アーム550による水平方向への動作が求められてしまう。これに対しても、本実施形態に係る搬送台車500は、入庫部310を収容した状態でFOUP600を移載することが可能とされているため、昇降部530における昇降動作さえ可能であれば、アーム550による水平方向への動作は行わずともよい。よって、比較的簡易な構成でFOUP600の移載を実現することができる。また、FOUP600の移載に要する時間も短縮することが可能である。
【0061】
図14において、第1実施形態に係る搬送台車500におけるFOUP600の出庫時には、搬送台車500の収容部に、出庫部320が収容された状態となる。即ち、搬送台車500の本体部510が、出庫部320を側方から囲うような状態となる。よって、図11及び図12で示した入庫の際と同様に、好適にFOUP600を移載することが可能となる。
【0062】
以上説明したように、第1実施形態に係る搬送台車500によれば、本体部510が入庫部310及び出庫部320を収容する収容部を有しているため、比較的狭いスペースにおいても作業や通行の妨げとなることなく、容易に移載作業を行うことが可能である。
【0063】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る搬送台車について、図15及び図16を参照して説明する。ここに図15は、第2実施形態に係る搬送台車における把持部の構成を示す斜視図であり、図16は、第2実施形態に係る搬送台車の構成を示す斜視図である。尚、第2実施形態は、上述の第1実施形態と比べて把持部の構成が異なり、その他の構成等については概ね同様である。このため第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。また、図15及び図16では、図3及び図4等に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付している。
【0064】
図15において、第2実施形態に係る搬送台車500は、把持部540が図に示すような形状として形成されており、第1実施形態に係る把持部540(図8から図10参照)のように、把持部540自体に駆動箇所が設けられていない。このような把持部540でFOUP600を把持する際には、把持部540が水平方向に(即ち、図中の矢印の方向に)スライドさせられることで、FOUP600における取手部分と本体部分との隙間に、把持部540の一部がはめ込まれる。
【0065】
図16において、第2実施形態に係る搬送台車500は、上述したように、把持部540自体に駆動箇所を設けなくともよいため、比較的簡単な構成で実現することが可能である。即ち、把持部540を昇降させる昇降部530が設けられていれば、確実にFOUP600を移載することが可能である。
【0066】
FOUP600を積載する際には、搬送台車500がローラ520によって移動させられることによって、把持部540がFOUP600を把持する状態とされる。より具体的には、先ず昇降部530によって、FOUP600と把持部540との互いの高さが調整された後、ローラ520によって搬送台車500がFOUP600側に走行し、FOUP600を把持する。そして、昇降部530によって、把持部が上昇させられることで、FOUP600は搬送台車500に積載された状態となる。尚、積載したFOUP600を入庫する際には、上述した動作と逆の動作が行われることで、確実にFOUP600をステーション300に移載することが可能である。
【0067】
以上説明したように、第2実施形態に係る搬送台車500によれば、搬送台車の構成を、より簡単なものとすることができる。
【0068】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る搬送台車について、図17及び図18を参照して説明する。ここに図17は、第3実施形態に係る搬送台車の構成を示す側面図であり、図18は、第3実施形態に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図である。尚、第3実施形態は、上述の第1及び第2実施形態と比べて落下防止部を備える点で異なり、その他の構成等については概ね同様である。このため第3実施形態では、第1及び第2実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。また、図17及び図18では、図11等に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付している。
【0069】
図17において、第3実施形態に係る搬送台車500は、上述した第1及び第2実施形態の構成に加えて、積載されたFOUP600の落下を防止するための落下防止部560を備えて構成されている。
【0070】
落下防止部560は、本発明の「落下防止手段」の一例であり、本体部510における積載部の下方に設けられている。落下防止部560は、例えば板状の部材として形成されており、積載されたFOUP600を下方側から支持することによって落下を防止する。
【0071】
図18において、落下防止部560は、入庫部310又は出庫部320を収容部に収容する際に、収容の妨げとならない位置に格納される。具体的には、落下防止手部540は、例えばレバーやハンドル等の操作に応じて可動とされており、FOUP600を移載する際には、図に示すように入庫部310と接触しないような位置に格納された状態となる。
【0072】
落下防止部560が収容の際に格納されることにより、落下防止部560の存在によって入庫部310又は出庫部320の収容が妨げられてしまうことを回避することができる。従って、より好適に搬送及び移載を行うことが可能となる。
【0073】
以上説明したように、第3実施形態に係る搬送台車500によれば、落下防止部560を備えていることで、搬送中のFOUP600が落下してしまうことを防止することができる。特に、半導体基板のような衝撃に弱い精密な部材又は装置を搬送する際には、上述した効果は顕著に発揮される。
【0074】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る搬送台車について、図19及び図20を参照して説明する。ここに図19は、第4実施形態に係る搬送台車の構成を示す斜視図であり、図20は、搬送システムにおける各ステーションの配置を示す上面図である。尚、第4実施形態は、上述の各実施形態と比べて移載したFOUPを回転可能な点が異なり、その他の構成等については概ね同様である。このため第4実施形態では、第1から第3実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。また、図19及び図20では、図1及び図4等に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付している。
【0075】
図19において、第4実施形態に係る搬送台車500は、昇降部530及び把持部540を回転可能とするためのターンテーブル570を備えて構成されている。ターンテーブル570は、水平方向に沿って回転可能とされており、昇降部530及び把持部540の向きを変更することが可能である。
【0076】
第4実施形態に係る搬送台車500では更に、回転補強バー580が備えられている。回転補強バー580を回転させて、その向きを変更すれば、搬送台車500の本体部510の開口の向きを変更することができる。即ち、搬送台車500の収容部に入庫部310及び出庫部320を収容する向きを180°変更することができる。回転補強バー580及び上述したターンテーブル570の回転を組み合わせることによって、搬送台車500の前後を意識することなく、FOUP500に対する移載動作を行うことが可能となる。尚、回転補強バー580は、搬送台車500の強度を保つためのものであり、強度が十分に確保できるような場合であれば、設けられずともよい。
【0077】
図20に示すように、第4実施形態に係る搬送台車500は、搬送通路400が比較的狭く、各ステーション300における入庫部310及び出庫部320が向かい合うように配置された場合に顕著に効果を発揮する。具体的には、互いに向かい合う入庫部310及び出庫部320間でFOUPの移載を行う場合、搬送台車500を回転させることなく(即ち、平行移動させるだけで)移載を行うことができる。また、ターンテーブル570は、把持部540と移載しようとしているFOUP400との向きの調整等にも利用することが可能である。
【0078】
以上説明したように、第4実施形態に係る搬送台車500によれば、ターンテーブル570を備えることによって、より好適にFOUP400の移載動作を行うことが可能である。
【0079】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う搬送台車もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】搬送システムの全体構成を概略的に示す上面図である。
【図2】ステーションの具体的な構成を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る未積載時の搬送台車の構成を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る積載時の搬送台車の構成を示す斜視図である。
【図5】搬送台車における昇降部の具体的な構成を示す側面図(その1)である。
【図6】搬送台車における昇降部の具体的な構成を示す側面図(その2)である。
【図7】搬送台車における昇降部の具体的な構成を示す側面図(その3)である。
【図8】搬送台車における把持部の具体的な構成を示す部分拡大図(その1)である。
【図9】搬送台車における把持部の具体的な構成を示す部分拡大図(その2)である。
【図10】搬送台車における把持部の具体的な構成を示す部分拡大図(その3)である。
【図11】FOUPを入庫する際の搬送台車及びステーションの位置関係について示す斜視図である。
【図12】第1実施形態に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図である。
【図13】比較例に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図である。
【図14】FOUPを出庫する際の搬送台車及びステーションの位置関係について示す斜視図である。
【図15】第2実施形態に係る搬送台車における把持部の構成を示す斜視図である。
【図16】第2実施形態に係る搬送台車の構成を示す斜視図である。
【図17】第3実施形態に係る搬送台車の構成を示す側面図である。
【図18】第3実施形態に係る搬送台車のFOUP移載時の動作を示す側面図である。
【図19】第4実施形態に係る搬送台車の構成を示す斜視図である。
【図20】搬送システムにおける各ステーションの配置を示す上面図である。
【符号の説明】
【0081】
100…軌道、200…ビークル、300…ステーション、310…入庫部、320…出庫部、400…搬送通路、500…搬送台車、510…本体部、520…ローラ、530…昇降部、531a,532a,533a…昇降ハンドル、531b…昇降ピニオン、531c…昇降ラック、532b…ベルト巻き取り部、532c,533c…昇降ベルト、533b…昇降駆動部、533d…昇降支持部、533e…リニアガイド、540…把持部、541…回転駆動部、542…接続板、543、547…グリップ部、544…ガイド溝、545…接続部、546…把持ピニオン、550…アーム、560…落下防止部、570…ターンテーブル、580…回転補強バー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送すると共に、ステーションから突出するように設けられており前記被搬送物を前記ステーションに入庫又は出庫する入出庫部に前記被搬送物を移載する、又は前記入出庫部から前記被搬送物を移載する搬送台車であって、
前記被搬送物を積載する空間である積載部、及び前記積載部の下方に位置しており前記入出庫部を側方から少なくとも部分的に囲うように収容する空間である収容部を有し、側方に向けて開口された本体部と、
前記本体部に設けられた走行手段と、
前記本体部における前記積載部の上方に設けられており、前記入出庫部が前記収容部に収容された状態で、前記積載部に積載された前記被搬送物を前記入出庫部に移載する、又は前記入出庫部から出庫された前記被搬送物を前記積載部に移載する移載手段と
を備えることを特徴とする搬送台車。
【請求項2】
前記移載手段は、
前記被搬送物を把持する把持手段と、
前記把持手段を昇降させる昇降手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の搬送台車。
【請求項3】
前記本体部における前記積載部の下方に設けられており、前記積載部に積載された前記被搬送物を下方側から支持することによって、前記被搬送物が前記積載部から落下することを防止する落下防止手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送台車。
【請求項4】
前記落下防止手段は、前記収容部に設けられており、前記入出庫部を前記収容部に収容する際に、前記入出庫部を収容する妨げとならない位置に格納されることを特徴とする請求項3に記載の搬送台車。
【請求項5】
前記移載手段は、前記本体部に対して、水平に沿う方向で回転可能とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送台車。
【請求項1】
被搬送物を搬送すると共に、ステーションから突出するように設けられており前記被搬送物を前記ステーションに入庫又は出庫する入出庫部に前記被搬送物を移載する、又は前記入出庫部から前記被搬送物を移載する搬送台車であって、
前記被搬送物を積載する空間である積載部、及び前記積載部の下方に位置しており前記入出庫部を側方から少なくとも部分的に囲うように収容する空間である収容部を有し、側方に向けて開口された本体部と、
前記本体部に設けられた走行手段と、
前記本体部における前記積載部の上方に設けられており、前記入出庫部が前記収容部に収容された状態で、前記積載部に積載された前記被搬送物を前記入出庫部に移載する、又は前記入出庫部から出庫された前記被搬送物を前記積載部に移載する移載手段と
を備えることを特徴とする搬送台車。
【請求項2】
前記移載手段は、
前記被搬送物を把持する把持手段と、
前記把持手段を昇降させる昇降手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の搬送台車。
【請求項3】
前記本体部における前記積載部の下方に設けられており、前記積載部に積載された前記被搬送物を下方側から支持することによって、前記被搬送物が前記積載部から落下することを防止する落下防止手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送台車。
【請求項4】
前記落下防止手段は、前記収容部に設けられており、前記入出庫部を前記収容部に収容する際に、前記入出庫部を収容する妨げとならない位置に格納されることを特徴とする請求項3に記載の搬送台車。
【請求項5】
前記移載手段は、前記本体部に対して、水平に沿う方向で回転可能とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送台車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−132404(P2010−132404A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309662(P2008−309662)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(309031466)ムラテックオートメーション株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(309031466)ムラテックオートメーション株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
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