説明

搬送用パレットおよびそれを備える搬送装置

【課題】 被搬送物の位置決めを高精度にかつ容易に行うことができる搬送用パレットおよびそれを備える搬送装置を提供する。
【解決手段】 搬送用パレット1は、コンベア3上に載置されるパレット本体10と、パレット本体10上に設けられ、バックライトユニット2が載置される可動フレーム20とを備え、パレット本体10には、可動フレーム20との接触部に、可動フレーム20との摩擦係数が小さい低摩擦シート体40が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を搬送するために用いられる搬送用パレットおよびそれを備える搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の組立ラインでは、表面から保護シートが剥離された液晶パネルを、吸着ハンドを備えた移載ロボットを用いて、コンベアによって搬送される搬送用パレット上に載置されているバックライトユニットに移載することにより、液晶パネルとバックライトユニットとの組立が行われている。
【0003】
従来から、液晶パネルをバックライトユニットに対して正確な位置に移載するために、移載ロボットに搭載した撮像装置によって、バックライトユニットを撮像して画像認識することで、バックライトユニットの位置を正確に割り出す装置が用いられている。しかしながら、このように位置を割り出すための装置を搭載すると、移載ロボット自体のコストが増大してしまうという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するための従来技術は、たとえば特許文献1に提案されている。特許文献1では、コンベアによって搬送されるパレットの側部にV型溝を形成しておき、コンベアに隣接して設置される可動式の位置決め部材を、その先端部に設けられるベアリングがパレットのV型溝に嵌まり込むように移動させ、さらに、V型溝が形成される側部とは反対側の側部に対向して設置されているパレット位置決めガイドに接触するまで移動させることにより、パレットに予め形成されている製品位置決めガイドを、精度良く位置決めすることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−58447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液晶表示装置の組立工場では、1つの組立ラインを用いて様々な機種の組立を行うことがある。そこで、様々なサイズおよび背面部(液晶パネルが移載される側とは反対側の部分)の形状のバックライトユニットを載置可能にするために、クッション性を有するスポンジ状のクッション部材を、パレット上部に敷設した搬送用パレットが用いられている。
【0007】
しかしながら、このような搬送用パレットを使用すると、バックライトユニットを搬送用パレット上に載置したときに、クッション部材の弾性変形により、バックライトユニットが、載置した位置から面方向(搬送用パレットの厚み方向に垂直な方向)に不規則に位置ずれしてしまうという問題がある。
【0008】
このように、搬送用パレット上に載置されているバックライトユニットは、所定の載置位置に対し不規則に位置ずれを生じているので、特許文献1のように搬送用パレット自体をコンベア上で移動させて位置決めしたとしても、液晶パネルを移載する移載ロボットに予め教示されている移載位置に対して、バックライトユニットを高精度に配置することができないという問題がある。
【0009】
また、組立対象の液晶表示装置が50型、60型のような大型のものである場合、前記組立ラインで用いられる搬送用パレットは、鋼材など重量の大きな材料を用いて頑丈に形成されている。このような搬送用パレットに、さらに搬送対象のバックライトユニットを載置すると、その重量は非常に大きくなってしまうため、特許文献1のように、位置決め部材によって押圧することにより、搬送用パレットごと移動させて高精度に位置決めすることは困難であるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、被搬送物の位置決めを高精度にかつ容易に行うことができる搬送用パレットおよびそれを備える搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、コンベア上に設置され、被搬送物が載置される搬送用パレットであって、
コンベア上に載置されるパレット本体と、
前記パレット本体上に設けられ、被搬送物が載置される載置台とを備え、
前記パレット本体には、前記載置台との接触部に、前記載置台との摩擦係数が小さい低摩擦部材が設けられていることを特徴とする搬送用パレットである。
【0012】
また本発明は、コンベア上に設置され、被搬送物が載置される搬送用パレットであって、
コンベア上に載置されるパレット本体と、
前記パレット本体上に設けられ、被搬送物が載置される載置台とを備え、
前記載置台には、前記パレット本体との接触部に、前記パレット本体との摩擦係数が小さい低摩擦部材が設けられていることを特徴とする搬送用パレットである。
【0013】
また本発明は、前記載置台の上部に、クッション性を有する部材が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記搬送用パレットと、
搬送面を有し、該搬送面上に前記搬送用パレットが載置されるコンベアと、
前記搬送面に平行に移動可能な押圧部および前記押圧部を移動させる移動手段を備え、前記押圧部を搬送用パレットに載置された被搬送物に押し当てて、該被搬送物を位置決めする位置決め装置とを備えることを特徴とする搬送装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンベア上に設置される搬送用パレット上の被搬送物を、直接押圧してパレット本体に対して相対的に変位させることができるので、搬送用パレット自体を移動させる必要がなく、被搬送物の位置決めを、高精度にかつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る搬送用パレット1の構成を概略的に示す図であり、図1(a)は平面図を示し、図1(b)は側面図を示している。
【図2】本発明の実施形態に係る搬送装置100の構成を概略的に示す側面図である。
【図3】位置決め装置50の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】搬送装置100における位置決め装置50の配置を説明するための図であり、搬送装置100を上方から見た図を示している。
【図5】位置決め装置50によってバックライトユニット2の位置決めが行われた後の状態を示す図であり、搬送装置100を上方から見た図を示している。
【図6】搬送装置100を用いた液晶表示装置の組立工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る搬送用パレット1の構成を概略的に示す図であり、図1(a)は平面図を示し、図1(b)は側面図を示している。
【0018】
本実施形態に係る搬送用パレット1は、液晶表示装置の組立ラインにおいて用いられ、被搬送物であるバックライトユニット2を搬送するために、コンベア3上に設置される。図1では、搬送用パレット1上に載置されるバックライトユニット2を、仮想線で示している。ここで、参照符2aは、60型の液晶表示装置を構成するバックライトユニットを示している。また、参照符2bは、40型の液晶表示装置を構成するバックライトユニットを示している。
【0019】
搬送用パレット1は、コンベア3上に載置されるパレット本体10と、パレット本体10上に設けられ、バックライトユニット2が載置される可動フレーム20とによって構成される。
【0020】
パレット本体10は、矩形板状の基材11と、基材11の厚み方向両側の表面全体に、貼着などの方法によりそれぞれ敷設される矩形板状のゴム製のシート体12a,12bと、シート体12a上面における四隅からそれぞれ垂直に立設する四角柱状の可動フレーム用ガイド部13とを有している。
【0021】
以下、パレット本体10において、その厚み方向に垂直な方向のうち、シート体12a上面における長辺に平行な方向を「長辺方向」と称し、シート体12a上面における短辺に平行な方向を「短辺方向」と称する。
【0022】
基材11は、本実施形態では、その短辺方向および長辺方向の寸法が、60型のバックライトユニット2aの縦方向および横方向の寸法よりも大きくなるように形成されている。また、基材11は、たとえば鋼材などから成り、非常に大きな重量を有している。
【0023】
可動フレーム用ガイド部13は、パレット本体10上で移動可能に設けられる可動フレーム20が、長辺方向において、パレット本体10の外方へ移動しないように設けられている。したがって、可動フレーム用ガイド部13はそれぞれ、その高さ寸法(厚み方向に平行な方向の寸法)が、後述するフレーム構造部21の第2フレーム部32に当接可能な高さに形成されている。
【0024】
パレット本体10は、シート体12bとコンベア3とが当接するように載置され、詳細には、その長辺方向がコンベア3の搬送方向(図1における左右方向)に一致するように載置される。なお、コンベア3は、パレット本体10が載置される搬送面3aが、水平または略水平となるように設置されている。
【0025】
このように、パレット本体10には、コンベア3との接触部に、ゴム製のシート体12bが敷設され、また、パレット本体10自体、非常に大きな重量を有している。これにより、パレット本体10がコンベア3における搬送面3aから受ける摩擦抵抗は、後述する位置決め装置50がバックライトユニット2を押圧するときの押圧力Fよりも十分に大きくなっている。
【0026】
載置台である可動フレーム20は、パレット本体10上に載置されるフレーム構造部21と、フレーム構造部21に着脱可能に設けられ、バックライトユニット2が載置される一対の台座部22とを有する。
【0027】
フレーム構造部21は、本実施形態では、アルミニウムなどの金属から成る短冊状に形成された複数の板状部材を結合して一体的に構成したものであり、詳細には、最下層に設けられる第1フレーム部31と、第1フレーム部31の上部に設けられる第2フレーム部32および第3フレーム部33とから成る。各板状部材の結合は、ボルトなどによる締結、または溶接など周知の方法によって実現される。他の実施形態では、フレーム構造部21が、一体成形されていてもよい。
【0028】
第1フレーム部31は、同一に形成された一対の板状部材31a,31bを、パレット本体10の短辺方向の寸法よりも小さい距離だけ離間させて、互いに平行に並べることにより構成されている。第1フレーム部31を構成する各板状部材31a,31bは、その長手方向の寸法が、パレット本体10における長辺方向一方側の一対の可動フレーム用ガイド部13と長辺方向他方側の一対の可動フレーム用ガイド部13との離間距離よりも短尺となるように形成されている。
【0029】
また、第1フレーム部31を構成する各板状部材31a,31bには、その長手方向に沿って、台座部22を取り付けるための複数の取付孔34が、等間隔に形成されている。第1フレーム部31において、一方の板状部材31aの各取付孔34と、他方の板状部材31bの各取付孔34とは、長手方向に沿ってそれぞれ対応した位置に形成されている。
【0030】
第2フレーム部32は、一対の板状部材32a,32bを、一対の板状部材31a,31bの長手方向に対して垂直に延びるように、一対の板状部材31a,31bの各一端部および各他端部にそれぞれ架設して構成されている。第2フレーム部32を構成する各板状部材32a,32bは、その長手方向の寸法が、第1フレーム部31を構成する一対の板状部材31a,31b間に架設可能な長さであって、パレット本体10の短辺方向の寸法よりも短尺となるように形成されている。
【0031】
第3フレーム部33は、2本の板状部材33a,33bにより構成され、詳細には、一方の板状部材33aを、一対の板状部材31a,31bに対して垂直に延び、かつ一方の板状部材31aから外方へ突出するように、一対の板状部材31a,31bの各中央部付近に架設し、さらに、他方の板状部材33bを、一対の板状部材31a,31bに対して平行に延びるように、第2フレーム部32における一方の板状部材32aと、一方の板状部材33bにおける一方の板状部材31aから外方へ突出した部分とに亘って架設して構成されている。
【0032】
また、フレーム構造部21には、第2フレーム部32における板状部材32aから垂直に立設し、板状部材32aに平行に延設される矩形板状の第1バックライトユニット用ガイド部(以下、「第1ガイド部」と称する)23と、第3フレーム部33における板状部材33bからから垂直に立設し、板状部材33bに平行に延設される矩形板状の第2バックライトユニット用ガイド部(以下、「第2ガイド部」と称する)24とが設けられている。この第1および第2ガイド部23,24は、可動フレーム20上にバックライトユニット2を載置するときの基準として用いられる。
【0033】
各台座部22は、四角柱状に形成された基部35と、クッション性を有するクッション部36とから成る。基部35は、その長手方向の寸法が、第1フレーム部31を構成する一対の板状部材31a,31b間に架設可能な長さとなるように形成されている。また、基部35には、その長手方向に沿う一表面における両端部近傍に、第1フレーム部31に形成された取付孔34に嵌合可能な突起部がそれぞれ突設されている。
【0034】
クッション部36は、基部35の前記突起部が突設される一表面とは反対側の表面全体に敷設されている。基部35は、台座部22をフレーム構造部21に取り付けたとき、クッション部36が可動フレーム20における最上部に配置されるように形成されている。
【0035】
クッション部36は、バックライトユニット2が載置されたときに、そのバックライトユニット2の重みによって弾性変形する程度のクッション性を有するように形成され、たとえばウレタンゴムなどの合成樹脂によって実現される。
【0036】
このように、バックライトユニット2が載置される台座部22には、バックライトユニット2が接触する部分に、クッション部36が敷設されているので、本実施形態に係る搬送用パレット1は、様々なサイズおよび背面部の形状のバックライトユニット2を載置することができる。
【0037】
一対の台座部22は、搬送対象のバックライトユニット2のサイズおよび背面部の形状により、作業者によって適宜取付位置が選択されて、フレーム構造部21に取り付けられる。図1では、40型のバックライトユニット2bに適した取付位置に、各台座部22が取り付けられている。
【0038】
上記構成の可動フレーム20は、第1フレーム部31における板状部材31a,31bが、パレット本体10の長辺方向に沿って延び、かつ、第1ガイド部23が設けられる板状部材32aが、搬送方向下流側に配置されるように、パレット本体10上に載置される。
【0039】
本実施形態に係る搬送用パレット1には、パレット本体10において、可動フレーム20との接触部に、換言すれば、最下層に配置されている第1フレーム部31に対向する部分に、可動フレーム20との摩擦係数が小さい低摩擦シート体40が貼着されて固定されている。
【0040】
この低摩擦シート体40は、バックライトユニット2がクッション部36から受ける摩擦抵抗R1よりも、可動フレーム20が、低摩擦シート体40が貼着されたパレット本体10から受ける摩擦抵抗R2の方が小さくなるように、すなわちR1>R2となるように形成されたシート状部材である。
【0041】
ここで、バックライトユニット2の重量をM1とすると、バックライトユニット2がクッション部36から受ける摩擦抵抗R1とは、クッション部36とバックライトユニット2との静止摩擦係数μ1に、バックライトユニット2の重力f1(=M1×重力加速度)を乗算したものに相当する。
【0042】
また、可動フレーム20の重量をM2とすると、可動フレーム20が、低摩擦シート体40が貼着されたパレット本体10から受ける摩擦抵抗R2とは、低摩擦シート体40と可動フレーム20との静止摩擦係数μ2に、バックライトユニット2および可動フレーム20の重力の和f2(=(M1+M2)×重力加速度)を乗算したものに相当する。
【0043】
したがって、低摩擦シート体40は、可動フレーム20との静止摩擦係数μ2が、μ1×{M1/(M1+M2)}よりも小さくなるような材料を用いたシート体により実現される。本実施形態に係る搬送用パレット1は、可動フレーム20を、その重量M2がバックライトユニット2の重量M1に比べて十分に小さく(たとえば、(M2/M1)<0.1〜0.2)なるように形成しているので、低摩擦シート体40は、可動フレーム20との静止摩擦係数μ2が小さな低摩擦シート体40を用いることで実現される。このような低摩擦シート体40は、たとえばフッ素シート、または、ポリアセタールから成るシートによって実現される。
【0044】
本実施形態に係る搬送用パレット1は、上記構成により、搬送用パレット1に載置される搬送対象のバックライトユニット2を、可動フレーム20が、低摩擦シート体40が貼着されたパレット本体10から受ける摩擦抵抗R2よりも大きな押圧力Fで、パレット本体10の長辺方向または短辺方向に沿って押圧することにより、バックライトユニット2と可動フレーム20とを、パレット本体10上で一体的にスライド移動させることができる。
【0045】
このように、バックライトユニット2自体を移動させて位置決めを行うことができるので、バックライトユニット2がクッション部36上に位置ずれを起こして載置されている場合であっても、バックライトユニット2を所定の位置に、高精度に位置決めすることができる。
【0046】
上記の実施形態に係る搬送用パレット1は、パレット本体10に、可動フレーム20との摩擦係数が小さい低摩擦シート体40を固定することにより構成されているが、他の実施形態では、可動フレーム20におけるパレット本体10との接触部に、パレット本体10との摩擦係数が小さい低摩擦シート体40を固定することにより構成してもよい。
【0047】
この場合には、低摩擦シート体40は、バックライトユニット2がクッション部36から受ける摩擦抵抗R1よりも、低摩擦シート体40が貼着された可動フレーム20がパレット本体10から受ける摩擦抵抗R3の方が小さくなるように、すなわちR1>R3となるように、材料・材質が選択されて形成される。
【0048】
さらに他の実施形態では、パレット本体10および可動フレーム20の両方に、摩擦係数が小さい低摩擦シート体40を固定することにより構成してもよい。この場合には、低摩擦シート体40は、バックライトユニット2がクッション部36から受ける摩擦抵抗R1よりも、低摩擦シート体40が貼着された可動フレーム20が、低摩擦シート体40が貼着されたパレット本体10から受ける摩擦抵抗R4の方が小さくなるように、すなわちR1>R4となるように、材料・材質が選択されて形成される。
【0049】
図2は、本発明の実施形態に係る搬送装置100の構成を概略的に示す側面図である。本実施形態に係る搬送装置100は、前述の搬送用パレット1と、搬送用パレット1が載置されるコンベア3と、コンベア3の上方に設けられる複数の位置決め装置50と、昇降装置60と、制御装置70とを備え、液晶表示装置の組立ラインにおいて、バックライトユニット2を搬送するために用いられる。
【0050】
コンベア3は、制御装置70からの指令により、駆動/駆動停止が制御される。本実施形態では、搬送用パレット1が、後述する昇降台62の上方まで搬送されると、制御装置70が、コンベア3の駆動を停止させるように構成されている。なお、前述するように、コンベア3は、パレット本体10が載置される搬送面3aが、水平または略水平となるように設置されている。
【0051】
昇降装置60は、コンベア3の搬送面3aを横切るように鉛直方向に昇降可能に設けられる昇降台62と、昇降台62を昇降移動させるアクチュエータ61とを備える。昇降装置60は、制御装置70からの指令に応じて、アクチュエータ61を作動させて、昇降台62を、搬送面3aよりも下方の待機位置P1から搬送面3aよりも上方の調整位置P2へ上昇させ、または、調整位置P2から待機位置P1へ降下させる。
【0052】
本実施形態では、バックライトユニット2の位置決めを行うために、コンベア3により昇降台62の上方まで搬送されてきた搬送用パレット1を、昇降装置60により、所定の位置まで上昇させるように構成されている。アクチュエータ61は、たとえば複動式エアシリンダによって実現される。
【0053】
図3は、位置決め装置50の構成を概略的に示す斜視図である。各位置決め装置50は、同一のサイズおよび形状に形成される2つのローラ52と、各ローラ52を、軸線J1,J2まわりに回転自在に支持するローラ支持部53と、ローラ支持部53を、一方向に沿って往復移動させるアクチュエータ51とを備える。以下、位置決め装置50において、ローラ支持部53が往復移動する方向を往復方向と称し、参照符Aを付して示す。
【0054】
ローラ支持部53は、往復方向Aに延びる軸部53aの先端に、往復方向Aに延び、かつ往復方向Aに垂直な離間方向に離間する2つの指部53bを備えるハンドが形成されている。さらに、その各指部53bの先端には、2つのローラ52を支持するための支軸53cがそれぞれ突設されている。
【0055】
各支軸53cは、その軸線J1,J2が、往復方向Aおよび前記離間方向のいずれにも垂直な高さ方向に沿って延び、かつ、前記離間方向に沿って離間するように設けられている。
【0056】
各ローラ52は、支軸53cによって、前記高さ方向における同一の高さ位置に支持され、また、その外周面52aの一部が、指部53bの先端から往復方向Aに突出するように設けられている。
【0057】
上記構成の位置決め装置50は、制御装置70からの指令に応じて、アクチュエータ51を作動させて、押圧部である各ローラ52を、往復方向Aに沿って、アクチュエータ51から離反する方向、または、アクチュエータ51に近接する方向へ移動させる。アクチュエータ51は、たとえば複動式エアシリンダによって実現される。
【0058】
図4は、搬送装置100における位置決め装置50の配置を説明するための図であり、搬送装置100を上方から見た図を示している。また、図4は、位置決め装置50によってバックライトユニット2の位置決めが行われる前の状態を示している。
【0059】
図4に示すように、本実施形態に係る搬送装置100では、4つの位置決め装置50が用いられ、昇降装置60によって所定の高さ位置まで上方へ移動された搬送用パレット1上のバックライトユニット2を取り囲むようにそれぞれ設置されている。
【0060】
詳細には、各位置決め装置50は、バックライトユニット2に対し、搬送方向の上流側および下流側、ならびに、搬送方向に垂直な幅方向(図4における上下方向)の両側にそれぞれ設置されている。
【0061】
また、各位置決め装置50は、各ローラ52がバックライトユニット2を臨み、かつ軸線J1,J2が鉛直方向に延びるように設けられ、搬送方向の上流側および下流側に設けられる位置決め装置50については、往復方向Aが搬送方向に一致するように、幅方向の両側に設けられる位置決め装置50については、往復方向Aが幅方向に一致するように設けられている。
【0062】
さらに、各位置決め装置50は、図2に示すように、アクチュエータ51を作動させてローラ52をバックライトユニット2に近接する方向へ移動させたとき、ローラ52の外周面52aが、搬送用パレット1には接触せず、該搬送用パレット1上のバックライトユニット2を直接押圧できるような高さ位置に設けられている。
【0063】
本実施形態に係る搬送装置100は、上記のように位置決め装置50を配置しているので、アクチュエータ51を作動させてローラ52をバックライトユニット2に近接する方向へ移動させることで、ローラ52の外周面52aによって、バックライトユニット2を、搬送方向または幅方向に押圧することができる。
【0064】
また、バックライトユニット2自体は、前記実施形態に係る搬送用パレット1上に載置されているので、バックライトユニット2を押圧するときの押圧力Fが、可動フレーム20が、低摩擦シート体40が貼着されたパレット本体10から受ける摩擦抵抗R2よりも大きくなるように、各位置決め装置50を予め調整しておくことにより、バックライトユニット2を可動フレーム20とともに、パレット本体10上でスライド移動させることができる。
【0065】
図5は、位置決め装置50によってバックライトユニット2の位置決めが行われた後の状態を示す図であり、搬送装置100を上方から見た図を示している。以上のように、本実施形態に係る搬送装置100は、搬送用パレット1上に位置ずれを起こしてバックライトユニット2が載置されていたとしても、位置決め装置50により、バックライトユニット2を直接押圧して移動させることができるので、予め定める移載位置P3に対して、高精度に位置決めすることができる。ここで、移載位置P3とは、吸着ハンド5aを備える移載ロボット5によって、液晶パネル4が移載される位置のことであり、この移載位置P3は、移載ロボット5に予め教示されている。したがって、移載ロボット5は、バックライトユニット2に対し、正確な位置に液晶パネル4を移載することができる。
【0066】
図6は、搬送装置100を用いた液晶表示装置の組立工程を示すフローチャートである。コンベア3上には、複数の搬送用パレット1が載置され、各搬送用パレット1には、搬送対象のバックライトユニット2が載置されている状態で、組立工程が開始される。
【0067】
ステップS1で、制御装置70は、コンベア3を駆動させることにより、搬送用パレット1を搬送する。そして、ステップS2で、制御装置70は、搬送用パレット1が昇降台62の上方まで搬送されたときに、コンベア3の駆動を停止させる。
【0068】
そして、ステップS3で、制御装置70は、アクチュエータ61を作動させることにより、昇降台62を待機位置P1から調整位置P2へ上昇させる。これに伴って、昇降台62上方に搬送された搬送用パレット1も、所定の高さ位置まで上昇される。
【0069】
そして、ステップS4で、制御装置70は、各位置決め装置50を動作させることにより、搬送用パレット1上に載置されているバックライトユニット2を押圧し、バックライトユニット2を移載位置P3まで移動させる。
【0070】
そして、ステップS5で、移載ロボット5は、液晶パネル4を吸着把持した状態で、移載位置P3の上方で待機している吸着ハンド5aを降下させて、液晶パネル4をバックライトユニット2に移載する。これにより、液晶パネル4とバックライトユニット2とが組み立てられる。
【0071】
そして、ステップS6で、制御装置70は、アクチュエータ61を作動させることにより、昇降台62を調整位置P2から待機位置P1へ降下させる。これにより、搬送用パレット1は、再び搬送面3a上に載置される。以上で、液晶表示装置の組立工程は終了する。液晶パネル4が組み付けられたバックライトユニット2は、コンベア3により次工程に搬送される。
【0072】
上記実施形態に係る搬送装置100は、バックライトユニット2を四方から取り囲むように4つの位置決め装置50が設置されているが、他の実施形態に係る搬送装置は、搬送方向上流側に設置される位置決め装置50を省略して構成されてもよい。
【0073】
また、他の実施形態に係る搬送装置は、昇降装置60を省略し、搬送用パレット1が搬送面3aに載置されている状態で、バックライトユニット2の位置決めを行うように構成されてもよい。この場合、搬送装置の制御装置は、搬送用パレット1上に載置されるバックライトユニット2が、搬送方向下流側に設置される位置決め装置50に確実に接触するまで移動させてから、コンベア3の駆動を停止し、その後、幅方向両側に設置される位置決め装置50を駆動させる。これにより、バックライトユニット2を高精度に位置決めすることができる。
【0074】
以上に示す実施形態では、被搬送物としてバックライトユニット2が用いられている場合について説明しているが、これに限らず、他の部材を被搬送物としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 搬送用パレット
2 バックライトユニット
3 コンベア
4 液晶パネル
5 移載ロボット
5a 吸着ハンド
10 パレット本体
20 可動フレーム
21 フレーム構造部
22 台座部
36 クッション部
40 低摩擦シート体
50 位置決め装置
51 アクチュエータ
52 ローラ
60 昇降装置
61 アクチュエータ
62 昇降台
70 制御装置
100 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア上に設置され、被搬送物が載置される搬送用パレットであって、
コンベア上に載置されるパレット本体と、
前記パレット本体上に設けられ、被搬送物が載置される載置台とを備え、
前記パレット本体には、前記載置台との接触部に、前記載置台との摩擦係数が小さい低摩擦部材が設けられていることを特徴とする搬送用パレット。
【請求項2】
コンベア上に設置され、被搬送物が載置される搬送用パレットであって、
コンベア上に載置されるパレット本体と、
前記パレット本体上に設けられ、被搬送物が載置される載置台とを備え、
前記載置台には、前記パレット本体との接触部に、前記パレット本体との摩擦係数が小さい低摩擦部材が設けられていることを特徴とする搬送用パレット。
【請求項3】
前記載置台の上部に、クッション性を有する部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の搬送用パレット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の搬送用パレットと、
搬送面を有し、該搬送面上に前記搬送用パレットが載置されるコンベアと、
前記搬送面に平行に移動可能な押圧部および前記押圧部を移動させる移動手段を備え、前記押圧部を搬送用パレットに載置された被搬送物に押し当てて、該被搬送物を位置決めする位置決め装置とを備えることを特徴とする搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−218858(P2012−218858A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84908(P2011−84908)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】