説明

搬送装置、印刷装置、及び搬送方法

【課題】シート状物を2組のローラーで処理位置へ搬送する装置であって、2組のローラー間でのシート状物の弛みを常に一定に保ち、装置規模を大きくすることなく、下流側ローラーへのバックテンションの作用をなくすことができる搬送装置等を提供する。
【解決手段】シート状の被処理媒体を搬送路に送り出す上流側ローラーと、当該送り出された媒体を処理位置に供給する下流側ローラーと、前記被処理媒体を一定速度で搬送するために、当該一定速度を前記上流側ローラー及び前記下流側ローラーによる搬送速度の目標速度として、当該両ローラーの駆動を制御する制御部と、を備える搬送装置において、前記制御部が、各搬送動作において、当該搬送動作の開始時点からの前記上流側ローラーによる搬送量と前記下流側ローラーによる搬送量との差に基づいて、当該搬送量差がなくなるように、前記上流側ローラーの前記目標速度を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物を2組のローラーで処理位置へ搬送する装置等に関し、特に、2組のローラー間でのシート状物の弛みを常に一定に保ち、装置規模を大きくすることなく、下流側ローラーへのバックテンションの作用をなくすことができる搬送装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンター等の装置においては用紙などのシート状の媒体に対して処理を行うため、当該シート状物の搬送を行う装置が必要となる。かかる搬送装置として、一般によく用いられるものは、例えば、シート状媒体を格納する部分から当該媒体を搬送路に供給する上流側のローラーと、当該供給された媒体を搬送路にそって印刷等の処理を実行する位置へ搬送する下流側のローラーとを備える。
【0003】
このような搬送装置では、搬送する媒体への印刷等の処理を精度良く高品質で実行するために、上記下流側ローラーからの媒体の供給速度を正確に制御することが求められる。しかし、下流側ローラーにおいて上流側から引っ張られるバックテンションが存在するとその制御が困難である、という課題がある。
【0004】
そこで、それを克服するための技術として、従来、下記特許文献1のような提案がなされている。当該文献では、上流側ローラーの駆動タイミングを早める、また、その搬送量を多くする、という点が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−56367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、上述した早める駆動タイミングや搬送量の増やし方が状況に関わらず固定的に決定されるので、変化する搬送状態に応じて常に適切な制御を行うという点で課題がある。例えば、各ローラーの摩耗状況や媒体の格納状況(媒体がロール紙である場合にはそのロール径)などにより、各ローラーにかかる力や搬送力は変化するので、常に固定値による制御では、上流側ローラーと下流側ローラーの間で媒体が弛みなしの状況になったり、逆に弛みすぎの状態になり搬送経路内の部材にこすれてしまう状況になり得、下流側ローラーにバックテンションが発生する虞がある。また、上記弛みがなくならないように常に多めの弛みを保持し、かつ、弛みが搬送経路内の部材に接触しないようにするためには、装置規模を大きくしなくてはならないという問題がある。
【0007】
特に、搬送が長い時間行われる場合には、定速搬送中であっても、搬送される媒体の格納状況(ロール紙の弛み、ファンフォールド紙)等により、上記両ローラーの搬送量が更に変動することがあり得、上述した問題が大きなものとなる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、シート状物を2組のローラーで処理位置へ搬送する装置であって、2組のローラー間でのシート状物の弛みを常に一定に保ち、装置規模を大きくすることなく、下流側ローラーへのバックテンションの作用をなくすことができる搬送装置、等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、シート状の被処理媒体を搬送路に送り出す上流側ローラーと、当該送り出された媒体を処理位置に供給する下流側ローラーと、前記被処理媒体を一定速度で搬送するために、当該一定速度を前記上流側ローラー及び前記下流側ローラーによる搬送速度の目標速度として、当該両ローラーの駆動を制御する制御部と、を備える搬送装置において、前記制御部が、各搬送動作において、当該搬送動作の開始時点からの前記上流側ローラーによる搬送量と前記下流側ローラーによる搬送量との差に基づいて、当該搬送量差がなくなるように、前記上流側ローラーの前記目標速度を変更する、ことである。
【0010】
更に、上記発明において、その好ましい態様は、前記搬送量差と前記上流側ローラーの目標速度の変更量との関係情報を予め保持し、当該関係情報に従って前記目標速度の変更を実行する、ことを特徴とする。
【0011】
更に、上記発明において、その好ましい態様は、更に、前記上流側ローラー及び前記下流側ローラーのそれぞれに、前記被処理媒体を挟んで当該各ローラーに対向するように設置された従動ローラーと、当該各従動ローラーにそれぞれ設置されたエンコーダーとを有し、前記制御部は、前記各エンコーダーによって検知された情報に基づいて前記搬送量差を求める、ことを特徴とする。
【0012】
更にまた、上記発明において、好ましい態様は、前記関係情報を、前記被処理媒体の種類毎に保持する、ことを特徴とする。
【0013】
更に、上記発明において、好ましい態様は、前記被処理媒体がロール状に保持された状態から前記上流側ローラーに供給される、ことを特徴とする。
【0014】
更にまた、上記発明において、その好ましい態様は、前記制御部は、前回の搬送動作時における前記上流側ローラー及び前記下流側ローラーの駆動情報に基づいて、搬送動作開始時の前記上流側ローラー及び前記下流側ローラーの起動タイミングを決定する、ことを特徴とする。
【0015】
また、上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、上記のいずれかの搬送装置を備え、前記処理位置で前記被処理媒体に印刷を実行する印刷装置とすることである。
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、シート状の被処理媒体を搬送路に送り出す上流側ローラーと、当該送り出された媒体を処理位置に供給する下流側ローラーと、前記被処理媒体を一定速度で搬送するために、当該一定速度を前記上流側ローラー及び前記下流側ローラーによる搬送速度の目標速度として、当該両ローラーの駆動を制御する制御部と、を備える搬送装置における搬送方法において、前記制御部が、各搬送動作において、当該搬送動作の開始時点からの前記上流側ローラーによる搬送量と前記下流側ローラーによる搬送量との差に基づいて、当該搬送量差がなくなるように、前記上流側ローラーの前記目標速度を変更する、ことである。
【0017】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用した搬送装置を備える印刷装置の実施の形態例に係る概略構成図である。
【図2】搬送動作における給紙ローラー29及び搬送ローラー30の挙動の一例を示した図である。
【図3】搬送制御部22が実行する処理の手順を例示したフローチャートである。
【図4】定速搬送時の制御を説明するための図である。
【図5】ウェイト時間ΔTを説明するための図である。
【図6】モーター27A及び27BのDuty値の一例を経時的に示した図である。
【図7】たるみセンサー34の一例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0020】
図1は、本発明を適用した搬送装置を備える印刷装置の実施の形態例に係る概略構成図である。図1に示すプリンター2が本実施の形態例に係る印刷装置であり、当該印刷装置は、印刷媒体の用紙26を給紙ローラー29(上流側ローラー)及び搬送ローラー30(下流側ローラー)で印刷位置に搬送して印刷処理を実行するが、各搬送動作中において、上記両ローラーによる駆動開始からの搬送量の差に従って、その搬送量差をなくすように給紙ローラー29の目標速度を変化させ、両ローラー間の用紙26の弛みを常に一定に保とうとするものである。
【0021】
更に、本プリンター2は、前回の搬送動作における両ローラーの加速中の駆動状況に基づいて、搬送ローラー30の起動タイミングを適切に遅らせ、更に、両ローラー間の用紙26の弛みを一定に保つようにする。
【0022】
本プリンター2は、図1に示すように、コンピューターなどのホスト装置1からの指示を受けて印刷処理を実行する装置であり、ここでは、一例として、ロール紙25を用紙26として使用し、用紙26を搬送しながら連続的に印刷を実行する印刷装置である。
【0023】
図1ではプリンター2の概略構成を模式的に示しているが、プリンター2は、印刷内容を制御し用紙26に印刷処理を実行する印刷系と用紙26の搬送を担う搬送系が備えられる。
【0024】
印刷系には、印刷制御部21が設けられ、当該印刷制御部21は、ホスト装置1からの印刷指示を受信し、当該指示に従ってヘッド部23に印刷命令を出すと共に搬送系の搬送制御部22に対して用紙26の搬送要求を出す。ヘッド部23では、当該印刷命令に従ってヘッド部23とプラテン24との間を所定速度で移動する用紙26に対して印刷処理を実行する。
【0025】
搬送系では、図1に示されるように、印刷媒体の格納場所にロール紙25として保持される用紙26を、搬送路33に沿ってヘッド部23に搬送し、その後、排紙ローラー32を介してプリンター2から排出する搬送動作が実行される。
【0026】
そのヘッド部23への用紙搬送のために、それぞれ対応するモーター(27A及び27B)で駆動される給紙ローラー29(上流側ローラー)及び搬送ローラー30(下流側ローラー)が備えられる。当該両ローラーには、それぞれ、用紙26を挟んで対向する位置に従動ローラー(28A及び28B)が用紙26側に圧力を加えられた状態で配置される。
【0027】
給紙ローラー29は、ロール紙25として保持される用紙26を搬送路33に供給する機能を有し、減速機を介して伝えられるモーター27Aのトルクによって回転し、従動ローラー28Aと共に押圧する用紙26との間の摩擦力によって用紙26を移動させる。
【0028】
搬送ローラー30は、給紙ローラー29によって供給された用紙26を印刷位置へ、すなわち、ヘッド部23の位置へ搬送する機能を有し、減速機を介して伝えられるモーター27Bのトルクによって回転し、従動ローラー28Bと共に押圧する用紙26との間の摩擦力によって用紙26を移動させる。
【0029】
給紙ローラー29及び搬送ローラー30には、それぞれ、エンコーダー31A及び31Bが設けられ、それらによって検知される両ローラーの回転速度が搬送制御部22へ通知される。なお、これらエンコーダーは、それぞれ、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の従動ローラー28A及び28Bに設置されるようにしてもよい。一般的に、駆動側ローラーの場合には、用紙26との間のすべりが発生したり、磨耗によるローラー径の経年変化も激しいため、エンコーダーを従動ローラー28A及び28Bに設置した場合の方がより正確な計測を行うことが可能である。
【0030】
図1に示す搬送制御部22は、搬送系を制御する部分であり、印刷制御部21からの指示に基づいて用紙26の上記搬送動作を制御する。特に、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の駆動・停止を制御して印刷位置への用紙26の良好な搬送を実行させる。この給紙ローラー29及び搬送ローラー30の駆動・停止制御に本プリンター2の特徴があり、その具体的内容については後述する。
【0031】
搬送制御部22は、図示していないが、CPU、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性メモリ)等で構成されており、搬送制御部22が実行する上記処理は、主にROMに格納されるプログラムに従ってCPUが動作することによって実行される。
【0032】
上記RAMには、処理に必要な各データが一時的に保持され、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の駆動・停止制御に必要な上記搬送動作時の各駆動データ、後述するウェイト時間ΔTはここに記憶される。記憶される各駆動データには、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の、駆動開始時刻、搬送速度、及び対応するモーター27のDuty値(ここではモーター27に供給される電流量)が含まれる。
【0033】
また、上記NVRAMには、上記ウェイト時間ΔTを決定するための関係情報、給紙ローラー29の目標速度を決定するための関係情報等が予め記憶されている。これらの関係情報については後述する。
【0034】
なお、給紙ローラー29、搬送ローラー30、及び搬送制御部22を含む当該搬送系が本発明の搬送装置に相当する。
【0035】
以上説明したような構成を有する本プリンター2では、用紙26の搬送制御に特徴があり、以下、その具体的な内容について説明する。
【0036】
前述のとおり、本プリンター2では、所定の(一定の)速度で搬送される用紙26に対して印刷処理を実行するので、基本的には、搬送制御部22は、印刷処理が開始されると、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の搬送速度が当該所定速度に素早くなるように制御し、印刷処理が終了するまでその搬送速度を維持し、印刷処理が終了すると両ローラーを停止させる。かかる搬送動作、搬送処理が印刷処理を実行する度に繰り返し実行される。
【0037】
また、用紙26を最初にセットする場合には、搬送制御部22は、給紙ローラー29と搬送ローラー30の間で用紙26に一定の弛み(例えば、図1に示すような弛み)ができるように両ローラーを制御して、用紙26を所定の位置まで搬送しておく。これは、前述したように、搬送ローラー30にバックテンションが作用しないようにするためのものであり、これにより搬送ローラー30から常に一定の速度で用紙26を印刷位置へ供給することができるようになる。
【0038】
ここで、給紙ローラー29は、上流側に位置するロール紙25から用紙26を引き出すための力をバックテンションとして受けることになるので、通常、用紙26の搬送中に搬送ローラー30よりも大きなバックテンションを受けることになる。
【0039】
従って、上記各搬送動作の開始時において、給紙ローラー29の方が上記所定速度に到達するまでに時間がかかる傾向にある。図2は、搬送動作における給紙ローラー29及び搬送ローラー30の挙動の一例を示した図である。当該図において、横軸は、駆動を開始してからの経過時間(T)を表し、縦軸は、各ローラーの搬送速度(V)を表している。そして、グラフの曲線Aが給紙ローラー29の挙動を示し、曲線Bが搬送ローラー30の挙動を示している。
【0040】
上述のとおり、搬送ローラー30と比べて給紙ローラー29の方により大きなバックテンションが作用するので、図2に示すとおり、目標とする上記所定速度(Vt)に達するまでの搬送速度の立ち上がりが給紙ローラー29(曲線A)の方が緩やかとなってしまう。そのため、両ローラーが上記所定速度に達するまでの両ローラーの用紙搬送量に差が生じることにある。図2に示す例では、曲線Bと曲線Aの間にできた面積分の搬送量差(ΔL)が生じることになる。
【0041】
従って、上記搬送動作の開始時に両ローラーを同時に起動すると、両ローラーが所定速度Vtに達し同じ搬送量で制御されるまでに、搬送ローラー30の方が当該搬送量差(ΔL)分多く搬送することになる。これは、上述した用紙26の弛みを減らしてしまうことであり、その搬送量差によっては弛みがなくなってしまう虞もある。そこで、本プリンター2の搬送制御部22では、この起動開始時の(加速中の)搬送量差を解消することを一つの目的とする。
【0042】
また、所定速度Vtに達した以降(図2のCで示す期間)においても、上述したように、特にその期間が長い場合には、給紙ローラー29と搬送ローラー30の搬送量に差が生じる場合がある。この期間では、基本的には、両ローラーによる搬送速度の目標値を所定速度Vtにして制御を実行するが、ローラーにかかる負荷変動によって搬送速度が所定速度Vtから外れた場合には、そのことによる搬送量の差は考慮されず、搬送速度を所定速度Vtに戻そうとする制御が行われるので、上記搬送量差が生じる虞がある。
【0043】
当該搬送量差は、やはり、上述した一定の弛みを変動させてしまうものであり好ましくない。そこで、当該定速時の搬送量差を解消することも当該搬送制御部22による制御の一つの目的である。
【0044】
本搬送制御部22では、以上の目的を達成し、上記初期状態で生成した弛みを上記各搬送動作中においてほぼ一定に保てるような制御を実行する。以下、その具体的な制御内容を説明する。
【0045】
図3は、搬送制御部22が実行する処理の手順を例示したフローチャートである。以下、図3に従って上記搬送動作についての制御内容を説明する。なお、当該制御における一つの特徴は、上述した駆動開始時の搬送量差を搬送ローラー30の起動タイミングを遅らせることによって解消するというものであり、その起動タイミングを、ロール紙25の残量などその時の装置状況をよく表す、前回の搬送動作時における駆動データに基づいて決定しようとするものである。ここで、当該駆動データとして、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の立ち上がり時間差(上記所定速度Vtに到達するまでの時間差)、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の立ち上がるまでの搬送量差(ΔL)、及び、上記所定速度に達した後の給紙ローラー29及び搬送ローラー30の各モーター27のDuty値差(ΔD)、をそれぞれ用いた方法が実行され得る。
【0046】
当該制御の更なる特徴は、上記起動タイミング制御で解消し切れなかった搬送量差及び上述した定速搬送時に発生する搬送量差を解消すべく、その時点で検知される、その搬送動作開始からの両ローラーの搬送量差に従って、定速搬送時における給紙ローラー29の目標速度を変更する、というものである。
【0047】
各搬送動作において、まず、搬送制御部22は、印刷制御部21から用紙の搬送開始指示を受信すると(ステップS1)、前述したRAMに記憶されているウェイト時間ΔTの値を取得する(ステップS2)。このウェイト時間ΔTは、上述した、搬送ローラー30の起動タイミングを遅らせるための待ち時間であり、各搬送動作の終了後に決定し、次の搬送動作のために保持されている情報である。すなわち、前回の搬送動作時に決定された値である。具体的な決定方法については後述する。なお、当該プリンター2の起動後、最初の搬送動作である場合には、上記NVRAMに保持される予め定められたデフォルト値を取得する。また、各搬送動作時に決定したウェイト時間ΔTの値を上記NVRAMに記憶して、そこから取得するようにしても良い。
【0048】
また、搬送制御部22は、上記指示の後、給紙ローラー29の駆動を開始させる(ステップS3)。すなわち、モーター27Aを起動させ、その後、給紙ローラー29における搬送速度が目標とする上記所定速度Vtになるように制御を継続する。なお、搬送制御部22は、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の駆動制御を、エンコーダー31A及び31Bの検知結果に基づくPID制御で行う。
【0049】
次に、搬送制御部22は、当該給紙ローラー29の駆動開始後、上記取得したウェイト時間ΔTが経過するのを待って(ステップS4)、搬送ローラー30の駆動を開始させる(ステップS5)。すなわち、モーター27Bを起動させ、その後、搬送ローラー30における搬送速度が目標とする上記所定速度になるように制御を継続する。
【0050】
このように、搬送ローラー30の起動タイミングをウェイト時間ΔTだけ遅らせることにより、上述した起動開始時における搬送量差がほぼ解消される。その具体的な内容については後述する。
【0051】
その後、給紙ローラー29及び搬送ローラー30が上記所定速度Vtに達すると、両ローラーについて定速駆動の制御を実行する(ステップS6)。当該制御において、搬送ローラー30については、常に一定の速度で用紙26を印刷位置へ供給することが求められるので、上記所定速度Vtを目標速度としたPID制御を実行する。
【0052】
一方、給紙ローラー29については、基本的には搬送ローラー30と同様に上記所定速度Vtを目標速度としたPID制御を実行するが、当該搬送動作の開始からの両ローラーの搬送量に差(ΔL)がある場合には、その搬送量差がゼロになるように、PID制御において目標速度を上記所定速度Vtから所定量ずらした制御を行う。すなわち、給紙ローラー29による上記搬送量の方が多い場合には、目標速度を上記所定速度Vtよりも小さい値とし、その逆の場合には、目標速度を上記所定速度Vtよりも大きい値としたPID制御を行う。
【0053】
具体的には、上述したNVRAMに予め記憶された、当該目標速度を決定するための関係情報Gを用いて、上記所定速度Vtからの変化量ΔVを、ΔV=G×ΔLなる式で求め、その変化量ΔVを用いて、その時点のPID制御の目標である、目標速度(=Vt+ΔV)を決定する。
【0054】
図4は、当該定速搬送時の制御を説明するための図である。図4には、定速搬送時の給紙ローラー29(図中の線A)及び搬送ローラー30(図中のB)による搬送速度V(図4の(A))、及び、両ローラーの上記搬送量差ΔL(図4の(B)、線AA)を経時的に例示している。ここでは、時刻T01から時刻T03の期間付近で給紙ローラー29にかかる負荷が急に脈動し、それによってPID制御による給紙ローラー29の速度が変動した場合を想定している。なお、搬送ローラー30については、上記所定速度Vtで概ね一定に制御されている。
【0055】
この場合、時刻T02以降、給紙ローラー29による搬送量が搬送ローラー30の搬送量よりも多くなってしまうので、上述した給紙ローラー29の目標速度設定により、給紙ローラー29については、適宜、上記所定速度Vtよりも遅い目標速度が設定されてPID制御がなされる。そして、上記脈動により時刻T03において最高に達した速度から徐々に速度が降下し、時刻T04以降は、実際の速度が上記所定速度Vtよりも遅くなるので、線AAに示されるように、搬送量差ΔLが減少し始め、その差がゼロになると(時刻T05)給紙ローラー29の目標速度が上記所定速度Vtに戻るように制御される。
【0056】
なお、単に目標速度を上記所定速度Vtにする制御では、負荷の変動が無ければ、給紙ローラー29の速度は、時刻T03以降、徐々に降下してVtに近づいていくことになり、搬送量差ΔLがゼロになることなく制御が継続されることになる。
【0057】
このような定速搬送時の制御により、上記ウェイト時間ΔTによる制御で解消し切れなかった加速中に発生する搬送量差、及び、定速搬送時に発生する搬送量差をリアルタイムの制御で解消することができる。なお、上記搬送量差は、各エンコーダー31A及び31Bによって検知された値から求められる。
【0058】
なお、上述した関係情報G(ここでは、定数)は、予め実験により適切な値を決定して記憶しておく。また、この関係情報Gは、用紙26の材質や厚さなど用紙種類によって異なるので、用紙種類毎に適切な値を決定して識別可能にNVRAMに記憶しておくことが好ましい。この場合には、印刷制御部21から搬送開始の指示を受ける際(S1)などに、用紙種類の情報を受信し、その情報に基づいて相応した上記関係情報を用いて制御を行う。
【0059】
また、関係情報Gは、給紙ローラー29に作用するバックテンションの大きさによって変えることが好ましく、そのバックテンションに影響を及ぼすロール紙25の径によって関係情報Gを補正するようにしても良い。すなわち、関係情報Gをロール紙径を変数とする関数で表現しても良い。この場合、制御時のロール紙径は、プリンター2に設けられたタッチセンサーや反射式センサーで直接計測する方法、ロール紙25の取付け後の回転数やロール紙25の取付け後のエンコーダー(31A、31B)の検知情報(累計搬送量)に基づいて推定する方法などにより取得することができる。
【0060】
なお、目標速度を決定するための情報(搬送量差ΔL)と目標速度からの変化量(ΔV)の関係を線形としたが、それらの関係を ΔV=f(ΔL)なる線形でない関数fとしてもよい。また、弛み量をより精度よく制御する場合には、変化量ΔVを、上述した比例制御(偏差×ゲインG)だけではなく、積分制御(偏差の積分×ゲインGi)や微分制御(偏差の微分×ゲインGd)を考慮して求めればよい。これらの場合にも、関数fやPID制御方法(G,Gi,Gd,ΔVの計算式)を事前に定め、関係情報として記録しておく。
【0061】
以上説明した定速搬送の後、印刷制御部21から搬送の停止指示を受信すると(ステップS7)、搬送制御部22は、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の駆動を停止させる制御を行う(ステップS8)。当該制御では、両ローラーについて、それぞれ、単に素早く速度をゼロにする制御を行ってもよいが、好ましくは、今回の搬送動作における両ローラーの搬送量が同じになるように各ローラーを停止させる制御を実行する。これにより、当該搬送動作の開始時における給紙ローラー29・搬送ローラー30間の用紙26の弛みが更に確実に保持される。
【0062】
このようにして、両ローラーが停止されて今回の搬送動作が終了すると、搬送制御部22は、今回の搬送動作における給紙ローラー29及び搬送ローラー30の駆動状況から、次の搬送動作における上記ウェイト時間ΔTを決定し、その値を上記RAMに、前に保持していた値を削除して、記憶する(ステップS9)。
【0063】
当該ウェイト時間ΔTは、駆動開始時における給紙ローラー29と搬送ローラー30の挙動の差による搬送量の相違を克服するためのものであるので、両ローラーの駆動開始時の挙動からこのウェイト時間ΔTを決定する方法を取ることができる。具体的には、上述したとおり、一つの方法として、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の立ち上がり時間差から求める。
【0064】
図5は、ウェイト時間ΔTを説明するための図である。図5の(A)は、図2に示したグラフと同様、給紙ローラー29と搬送ローラー30が同時に駆動開始をした場合の経時的な速度変化を示しており、上記立ち上がり時間差は、ここではΔT1に相当する。すなわち、各ローラーが駆動を開始してから目標の所定速度Vtに達するまでの所要時間差である。
【0065】
図5の(B)は、図3に基づいて説明した本プリンター2における制御を実行した場合の、給紙ローラー29と搬送ローラー30の経時的な搬送速度変化を示している。曲線Bで示される搬送ローラー30の駆動開始が、前述の説明のとおり、曲線Aで示される給紙ローラー29の駆動開始よりもウェイト時間ΔTだけ遅らされている。これにより、2つのローラーが両方とも目標の所定速度Vtに達した時点(図中のT3)までに、両ローラーがそれぞれ搬送する量が概ね同じとなり(図中のΔL1とΔL2の面積がほぼ同じとなり)、当該搬送動作中に上記用紙26の弛みがほぼ一定に保たれることになる。
【0066】
上述した立ち上がり時間差ΔT1とウェイト時間ΔTは概ね比例的な関係にあるといえるので、予め実験によりΔT=k1×ΔT1の比例係数k1を決定しておき、その情報を上述した関係情報としてNVRAMに記憶しておく。従って、当該方法では、給紙ローラー29及び搬送ローラー30について、それぞれ、駆動開始から上記所定速度到達までの時間を求め、図5の(B)に示す例では、TAとTBを求め、それらの差からΔT1を算出し、上記関係情報である比例係数k1を用いて、ΔT=k1×ΔT1の関係からウェイト時間ΔTを決定する。
【0067】
なお、上述したRAMに記憶される各駆動データは、上述した定速搬送時の制御やこのウェイト時間ΔTの決定に用いるが、これらのデータは搬送制御部22が適宜取得して記憶する。また、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の搬送速度及び対応するモーター27のDuty値(ここではモーター27に供給される電流量)は、所定の時間間隔で記憶される。
【0068】
二つ目の方法は、給紙ローラー29及び搬送ローラー30の立ち上がるまでの搬送量差ΔLから決定する方法である。この場合にも、当該搬送量差ΔLとウェイト時間ΔTは概ね比例的な関係にあるといえるので、予め実験によりΔT=k2×ΔLの比例係数k2を決定しておき、その情報を上述した関係情報としてNVRAMに記憶しておく。従って、当該方法では、給紙ローラー29及び搬送ローラー30について、それぞれ、駆動開始から、給紙ローラー29の駆動開始から上記所定速度到達までの時間(図5の(B)に示すTA)に用紙26を搬送した量を求め、それらの差からΔLを算出し、上記関係情報である比例係数k2を用いて、ΔT=k2×ΔLの関係からウェイト時間ΔTを決定する。
【0069】
図5の(B)に示す例においては、給紙ローラー29の加速中の上記搬送量は時刻T1からT3までの搬送量であり、搬送ローラー30の加速中の上記搬送量はT2からT4までの搬送量となって、これら搬送量の差からΔLが算出される。
【0070】
次に、三つ目の方法について説明する。当該方法は、駆動開始時における給紙ローラー29と搬送ローラー30の挙動の差を、上記所定速度Vtに達した後の給紙ローラー29及び搬送ローラー30の各モーター27のDuty値差ΔDで計ろうとするものである。すなわち、上記Duty値差ΔDからウェイト時間ΔTを決定する。
【0071】
図6は、モーター27A及び27BのDuty値の一例を経時的に示した図である。Duty値は、各モーター27に供給される電流量を相対値で示したものであり、この値が大きいほどローラーに加えるべき力が大きいことを示す。
【0072】
図6では、給紙ローラー29と搬送ローラー30の駆動開始からのモーター27A(曲線A)及び27B(曲線B)のDuty値を示している。通常、起動時には大きな力が必要であるので、Duty値は図6に示す山状となり、目標速度に達した以降はほぼ一定したDuty値となる。
【0073】
同じ目標速度に制御しようとする二つのローラーについて、このDuty値がより大きいということは、駆動の負荷が(駆動に必要な動力が)より大きいことを意味し、すなわち、給紙ローラー29へ作用するバックテンションがより大きいことを示している。従って、Duty値差により駆動開始時の前述した立ち上がりの遅れを計ることが可能である。そこで、この方法では、Duty値差からウェイト時間ΔTを決定する。また、用いるDuty値差は、駆動開始時の制御においては、Duty値が大きく変動し安定していないため、上記所定速度に達成した以降の安定した時間帯(例えば、図6のPに示す時間帯)でのDuty値差ΔDを用いる。
【0074】
この場合にも、当該Duty値差ΔDとウェイト時間ΔTは概ね比例的な関係にあるといえるので、予め実験によりΔT=k3×ΔDの比例係数k3を決定しておき、その情報を上述した関係情報としてNVRAMに記憶しておく。従って、当該方法では、給紙ローラー29及び搬送ローラー30が上記所定速度に到達した以降の各ローラーの代表的なDuty値を求め、それらの差からΔDを算出し、上記関係情報である比例係数k3を用いて、ΔT=k3×ΔDの関係からウェイト時間ΔTを決定する。
【0075】
なお、上記代表的なDuty値は、予め設定した時間内で検知される複数のDuty値の平均値とすることができる。
【0076】
なお、これら3つの方法において、ここでは、ウェイト時間を決定するための情報(ΔT1、ΔL、ΔD、これらを総称してΔX)とウェイト時間ΔTの関係を線形としたが、それらの関係をΔT=f(ΔX)なる線形でない関数fとしてもよい。この場合にも関数fを事前に定め、関係情報として記録しておく。
【0077】
このようにして、ウェイト時間ΔTを決定し、それを上記RAMに記憶し、この値を更新すると(ステップS9)、当該搬送動作についての一連の制御処理が終了し、以降、同様の処理を繰り返し実行する。
【0078】
なお、上述したウェイト時間を決定するための情報(ΔT1、ΔL、ΔD)とウェイト時間の関係は、用紙26の種類等によって異なるため、本プリンター2で使用される各用紙毎に上記関係情報を用意しておくようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、用紙26の弛みを一定に保つために、ウェイト時間ΔTによる制御と給紙ローラー29の目標速度を変更する制御の両方を実行するようにしたが、後者だけを実行するようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態の制御に、更に、たるみセンサーを用いた危険回避のための制御を追加する構成としてもよい。図7は、当該構成におけるたるみセンサー34の一例を示した概略図である。当該構成は、図1に示した構成に図7に示すようなたるみセンサー34を加えたものであり、当該たるみセンサー34により、給紙ローラー29と搬送ローラー30の間の用紙26の弛みが許容範囲を越えないように制御するものである。従って、たるみセンサー34は当該弛みの上限値(UL)と下限値(LL)を検知できる機能を有する。
【0081】
当該弛みの上限値とは、それ以上弛みの量が増えると搬送路33の部材に接触するなど搬送上の不具合が発生する虞がある限界値であり、図7では用紙26が上昇できる限界位置を表す。また、上記弛みの下限値とは、弛みの量がそれ以下に減ると、搬送ローラー30へのバックテンションが発生してしまう虞がある限界値であり、図7では用紙26が下降できる限界位置を表す。
【0082】
図7のたるみセンサー34は、常に用紙26に軽く触れており用紙26の弛みに応じて上下に移動する先端部と、その上下動に従って支点を中心に回動する棒状部材と、その棒状部材の先端部とは反対側の端部の移動量を検知する検知部等から構成され、その検知部が上記上限値(UL)又は上記下限値(LL)に達した事を検知した場合には、そのことが搬送制御部22に通知される。
【0083】
なお、図7に示すたるみセンサー34は一例であって、上記弛みの上下限値を検知できるものであれば光センサーやタッチセンサーなど異なる構成のセンサーをたるみセンサーとして用いることができる。
【0084】
上述した実施形態の制御では、前回の搬送動作時の駆動状態に基づく制御(ウェイト時間による制御)及びその時点の上記搬送量差に基づくリアルタイム制御を行って、その搬送動作開始時の上記弛み量を保持するが、エンコーダー31A、31Bの計測誤差等が累積して、一定に保たれるはずの上記弛みが徐々に増加又は減少していく可能性もある。また、何らかの故障によって、急に制御が正常に行われない事態が発生し上記弛み量が急激に変化する虞もある。
【0085】
当該たるみセンサーを追加する構成は、このような事態に対する危険回避を目的とするものであり、搬送制御部22は、上述した実施形態での制御に加え、たるみセンサー34が上記上限値(UL)又は上記下限値(LL)に達した事を検知した場合に、搬送動作を停止させる、又は、上記搬送量差に基づくリアルタイム制御(給紙ローラー29の目標速度を変更する制御)においてその搬送量差ΔLをリセットする、という制御を実行する。
【0086】
前者の場合には、搬送動作が直ぐに停止されるので、上記弛みが増加しすぎて用紙ジャムを起こしてしまうことや上記弛みが減少しすぎて搬送ローラー30にバックテンションが作用し不良な印刷を実施してしまうこと等を回避することができる。
【0087】
後者の場合には、上記上限値又は上記下限値に達したことが検知された際に、その時点の上記搬送量差ΔLを、上記上限値又は上記下限値に対して予め定められているリセット値に変更し、それ以降は、そのリセット値をそれ以降の搬送量差で更新した値として、制御を行う。すなわち、このようにリセットされた搬送量差ΔLに従って、上述した給紙ローラー29の目標速度を変更する制御を実行する。なお、上記リセット値は、上記初期状態で生成する一定に保つべき弛みの場合に両ローラー(給紙ローラー29と搬送ローラー30)間に存在する用紙26の長さと、上記上限値又は上記下限値に達した際に両ローラー間に存在する用紙26の長さとの差分であり、予め定められた値が上記NVRAMに記憶される。
【0088】
このように、たるみセンサー34を用いた制御を加えることにより、累積された計測誤差を解消することができ、より正確な制御が可能になる。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態例に係るプリンター2の搬送系では、その時点で検知される両ローラー(給紙ローラー29と搬送ローラー30)による搬送量の差に基づいて、その搬送量差をなくす方向にリアルタイムで制御が行われるので、搬送動作の開始時における両ローラー間の弛みが常に概ね一定に保たれ、搬送路33の空間が小さくても用紙26をその部材に触れさせることなく良好に搬送することができる。従って、装置規模を大きくすることなく、常に搬送ローラー30へのバックテンションの作用を回避することが可能となる。これにより、印刷位置への一定速度での用紙供給が実現され、高品質な印刷が可能となる。
【0090】
また、上記制御に用いられる両ローラーの回転速度を検知する各エンコーダー31A及び31Bを、それぞれ、従動ローラー各28A及び28Bに設けることでより正確な制御を実現することができる。
【0091】
また、上述した関係情報Gを用紙種類やロール紙径に応じて変更(補正)することで、より適確な制御を実行することが可能である。
【0092】
さらに、直前の状況に基づいて、搬送ローラー30の起動タイミングを適切に遅らせる制御を行うので、ローラーの加速時に発生する両ローラーの搬送量差を早い段階で解消することができ、より正確な制御が可能となる。
【0093】
また、当該搬送方法は、給紙ローラー29へのバックテンションが変化し易いロール紙25を用いた装置においてより有効に作用する。
【0094】
さらに、たるみセンサー34を用いた上記制御を加えることで、より安全な搬送動作ができると共に制御の正確性を向上させることができる。
【0095】
なお、本実施の形態例では、印刷媒体が紙であったがシート状の媒体であればこれに限定されることはない。
【0096】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【符号の説明】
【0097】
1 ホスト装置、 2 プリンター、 21 印刷制御部、 22 搬送制御部、 23 ヘッド部、 24 プラテン、 25 ロール紙、 26 用紙、 27A、B モーター、 28A、B 従動ローラー、 29 給紙ローラー、 30 搬送ローラー、 31A、B エンコーダー、 32 排紙ローラー、 33 搬送路、 34 たるみセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被処理媒体を搬送路に送り出す上流側ローラーと、当該送り出された媒体を処理位置に供給する下流側ローラーと、前記被処理媒体を一定速度で搬送するために、当該一定速度を前記上流側ローラー及び前記下流側ローラーによる搬送速度の目標速度として、当該両ローラーの駆動を制御する制御部と、を備える搬送装置であって、
前記制御部は、各搬送動作において、当該搬送動作の開始時点からの前記上流側ローラーによる搬送量と前記下流側ローラーによる搬送量との差に基づいて、当該搬送量差がなくなるように、前記上流側ローラーの前記目標速度を変更する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記搬送量差と前記上流側ローラーの目標速度の変更量との関係情報を予め保持し、当該関係情報に従って前記目標速度の変更を実行する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1あるいは2において、
更に、前記上流側ローラー及び前記下流側ローラーのそれぞれに、前記被処理媒体を挟んで当該各ローラーに対向するように設置された従動ローラーと、当該各従動ローラーにそれぞれ設置されたエンコーダーとを有し、
前記制御部は、前記各エンコーダーによって検知された情報に基づいて前記搬送量差を求める
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記関係情報を、前記被処理媒体の種類毎に保持する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記被処理媒体がロール状に保持された状態から前記上流側ローラーに供給される
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記制御部は、前回の搬送動作時における前記上流側ローラー及び前記下流側ローラーの駆動情報に基づいて、搬送動作開始時の前記上流側ローラー及び前記下流側ローラーの起動タイミングを決定する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の搬送装置を備え、前記処理位置で前記被処理媒体に印刷を実行する印刷装置。
【請求項8】
シート状の被処理媒体を搬送路に送り出す上流側ローラーと、当該送り出された媒体を処理位置に供給する下流側ローラーと、前記被処理媒体を一定速度で搬送するために、当該一定速度を前記上流側ローラー及び前記下流側ローラーによる搬送速度の目標速度として、当該両ローラーの駆動を制御する制御部と、を備える搬送装置における搬送方法であって、
前記制御部が、各搬送動作において、当該搬送動作の開始時点からの前記上流側ローラーによる搬送量と前記下流側ローラーによる搬送量との差に基づいて、当該搬送量差がなくなるように、前記上流側ローラーの前記目標速度を変更する
ことを特徴とする搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−254858(P2012−254858A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128702(P2011−128702)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】