説明

搬送装置、及び、画像形成装置

【課題】プリント生産性を低下させることなく、記録媒体の先端がレジストローラに突き当たる際の衝撃音の発生が軽減される、搬送装置、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転駆動を停止して記録媒体Pの先端を突き当てた後に、所定のタイミングで回転駆動を開始して画像形成部7に向けて記録媒体Pを搬送するレジストローラ17、18を備える。そして、このレジストローラ17、18に対して記録媒体Pの搬送方向上流側に配設されるとともに、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる前に記録媒体Pに当接するように移動して記録媒体Pの速力を制動する制動部材31をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成部に向けて記録媒体を搬送する搬送装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、感光体ドラム、中間転写ベルト等の像担持体上に担持された画像を画像形成部で記録媒体上の所望の位置に精度よく転写するために、回転停止状態のレジストローラ(レジストローラ対)に記録媒体の先端を突き当てて記録媒体のスキュー(斜行)等を補正した後に、回転状態のレジストローラによって記録媒体を画像形成部に向けてタイミングよく搬送する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような画像形成装置では、レジストローラに記録媒体の先端が突き当たる際に耳障りな衝撃音が発生する問題が知られている。
そして、このような問題を解決するために、特許文献1等には、記録媒体がレジストローラに衝突する際に、記録媒体の搬送速度を低下させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1等の技術は、記録媒体がレジストローラに衝突する際に、記録媒体の搬送速度を低下させているため、記録媒体の先端がレジストローラに突き当たる際の衝撃音の発生を軽減させる効果が期待できる。しかし、この技術は、記録媒体の搬送速度を低下させるため、画像形成装置におけるプリント生産性を低下させてしまうことになる。
そして、このような問題は、記録媒体が高速度で搬送される高速の画像形成装置では、特に無視できないものとなっている。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、プリント生産性を低下させることなく、記録媒体の先端がレジストローラに突き当たる際の衝撃音の発生が軽減される、搬送装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1記載の発明にかかる搬送装置は、記録媒体上に画像を形成する画像形成部に向けて当該記録媒体を搬送する搬送装置であって、前記画像形成部に対して記録媒体の搬送方向上流側に配設されるとともに、その回転駆動を停止して記録媒体の先端を突き当てた後に所定のタイミングで回転駆動を開始して前記画像形成部に向けて記録媒体を搬送するレジストローラと、前記レジストローラに対して記録媒体の搬送方向上流側に配設されるとともに、記録媒体の先端が前記レジストローラに突き当たる前に当該記録媒体に当接するように移動して当該記録媒体の速力を制動する制動部材と、を備えたものである。
【0007】
また、請求項2記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記制動部材は、その位置を記録媒体の先端が通過するときには当該記録媒体に当接しない位置に離間して、当該記録媒体の先端が前記レジストローラに突き当たる前に当該記録媒体に当接するように移動して、その後に所定時間が経過してから前記レジストローラの回転駆動が開始される前に当該記録媒体に当接しない位置に離間するものである。
【0008】
また、請求項3記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記レジストローラの位置に向けて搬送される記録媒体を案内するガイド部材を備え、前記制動部材は、前記ガイド部材に対向する位置に配設された板状部材又はローラ部材であって、前記ガイド部材との間に記録媒体を挟み込むように移動して当該記録媒体の速力を制動するものである。
【0009】
また、請求項4記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記制動部材は、互いに対向する2つのローラ部材であって、前記2つのローラ部材の間に記録媒体を挟み込むように少なくとも1つのローラ部材が移動して当該記録媒体の速力を制動するものである。
【0010】
また、請求項5記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記制動部材は、記録媒体に当接する当接面が弾性材料で形成されたものである。
【0011】
また、この発明の請求項6記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の搬送装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、記録媒体の先端がレジストローラに突き当たる直前に記録媒体に当接するように移動する制動部材を設けているため、プリント生産性を低下させることなく、記録媒体の先端がレジストローラに突き当たる際の衝撃音の発生が軽減される、搬送装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の画像形成装置に設置された搬送装置を示す構成図である。
【図3】図2の搬送装置において、制動板が記録媒体を挟持する状態を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態2における搬送装置を示す構成図である。
【図5】図4の搬送装置において、制動ローラが記録媒体を挟持する状態を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態3における搬送装置を示す構成図である。
【図7】図6の搬送装置において、制動ローラが記録媒体を挟持する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0015】
実施の形態1.
図1〜図3にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部(画像形成部)、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12〜14は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、17、18は転写部7に向けて記録媒体Pを搬送するレジストローラ(レジストローラ対)、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、を示す。
【0016】
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0017】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、画像形成部としての転写部7で、レジストローラ17、18により搬送された記録媒体P上に転写される。
【0018】
一方、転写部7(画像形成部)に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12、13、14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。
【0019】
その後、記録媒体Pは、複数の搬送ローラが配設された搬送経路Kを通過して、レジストローラ17、18の位置に達する。そして、レジストローラ17、18の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。
【0020】
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによって画像が定着される。画像が定着された記録媒体Pは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(ニップ部である。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0021】
次に、図2及び図3にて、本実施の形態1において特徴的な搬送装置30について詳述する。
図2及び図3を参照して、搬送装置30には、記録媒体Pの搬送経路に沿って、搬送ローラ15、16(搬送ローラ対)、ガイド部材19、制動部材としての制動板31、フォトセンサ40、レジストローラ17、18(レジストローラ対)、等が配設されている。
この搬送装置30によって、記録媒体P上に画像を形成する画像形成部としての転写部7(感光体ドラム5と転写ローラとの対向位置である。)に向けて記録媒体Pが搬送されることになる。
【0022】
詳しくは、給紙部から搬送経路Kを経て搬送ローラ15、16の位置に達した記録媒体Pは、さらにガイド部材19(ガイド板)に案内されながら、レジストローラ17、18の位置に搬送される。そして、レジストローラ17、18の位置に搬送された記録媒体Pは、その先端が、回転駆動が停止されたレジストローラ17、18に突き当たることによってスキュー補正(斜行補正)、縦レジスト補正(搬送方向の位置ズレ補正)がされた後に、感光体ドラム5上の画像にタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望の画像が転写されることになる。
【0023】
さらに補足的に説明すると、レジストローラ17、18は、転写部7(画像形成部)に対して記録媒体Pの搬送方向下流側に配設されたローラ対である。レジストローラ17、18は、不図示のモータによって、搬送ローラ15、16等とは独立して回転駆動・回転停止されるように構成されている。そして、このモータのオン・オフ動作によって、上述したように、回転駆動を停止した状態のレジストローラ17、18に記録媒体Pの先端が突き当ってスキュー補正・縦レジスト補正がされた後に、所定のタイミングで回転駆動を開始したレジストローラ17、18によって転写部7(画像形成部)に向けて記録媒体Pが搬送されることになる。
【0024】
ここで、本実施の形態1における搬送装置30には、レジストローラ17、18に対して記録媒体Pの搬送方向上流側の位置に、制動部材としての制動板31が配設されている。この制動板31(制動部材)は、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる前(直前のタイミングである。)に、その記録媒体Pに当接するように移動して、その記録媒体Pの速力を制動するためのものである。
詳しくは、図2を参照して、制動板31(制動部材)は、ガイド部材19に対向する位置に配設された板状部材であって、移動機構32〜34によってガイド部材19に対して近接・離間するように構成されている。そして、図3に示すように、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる直前に、ガイド部材19との間に記録媒体Pを挟み込むように制動板31が移動することで、レジストローラ17、18に突き当たる記録媒体Pの速力を制動する。
【0025】
さらに詳しくは、制動板31(制動部材)は、その両端部が搬送装置30の側板に、上下方向に移動可能に保持されている。また、制動板31の両端部には、制動板31を上方に付勢するスプリング(不図示である。)が設置されている。
移動機構は、制動板31に係合する揺動板32、揺動板32に作用して制動板31をガイド部材19に向けて付勢するカム33、ガイド部材19から離間する方向に揺動板32を付勢する引張スプリング34、カム33を回転駆動する駆動モータ45(ステッピングモータ)、カム33の回転方向の姿勢を検知する位置センサ(不図示である。)、等で構成されている。揺動板32は、搬送装置30の側板に、支軸32aを中心に回動可能に保持されている。
そして、制御部46によって制御された駆動モータ45によってカム33が図2の状態に回転駆動されたとき、揺動板32が、引張スプリング34の付勢力と、制動板31を上方に付勢するスプリング(不図示である。)の付勢力と、により自身の自重に抗するように上方に移動して、制動板31の位置を通過する記録媒体Pに対して制動板31が離間することになる(図2の状態である。)。
これに対して、制御部46によって制御された駆動モータ45によってカム33が図3の状態に回転駆動されたとき、揺動板32が、引張スプリング34の付勢力と、制動板31を上方に付勢するスプリング(不図示である。)の付勢力と、に抗するように、カム33により下方に押し下げられて、制動板31の位置を通過する記録媒体Pに対して制動板31が当接することになる(図3の状態である。)。すなわち、制動板31とガイド部材19との間に記録媒体Pが挟まれて、記録媒体Pの速力が制動されることになる。
【0026】
以下、このように構成された搬送装置30における、制動板31(制動部材)の動作について詳述する。
まず、図2に示すように、制動板31の位置を記録媒体Pの先端が通過するときには、制動板31は記録媒体Pに当接しない位置に離間している。
その後、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる直前に、記録媒体Pに当接するように制動板31が移動する。詳しくは、制動板31とレジストローラ17、18との間に配設されたフォトセンサ40によって、記録媒体Pの先端が光学的に検知されると、その検知情報が制御部46に送られて、制御部46によって駆動モータ45が制御されて、カム33が図3の位置に回転駆動され、制動板31とガイド部材19との間に記録媒体Pが挟み込まれる。これにより、レジストローラ17、18に記録媒体Pが衝突する直前に、記録媒体Pの速力が弱められて、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる際の衝撃音の発生が軽減されることになる。
【0027】
その後、制動板31とガイド部材19との間に記録媒体Pを挟み込んだ状態で所定時間(本実施の形態1では、0.1秒以下に設定している。)が経過してから、記録媒体Pに当接しない位置に制動板31が離間される(図2の状態になる)。詳しくは、フォトセンサ40によって記録媒体Pの先端が光学的に検知されてから所定時間(微小時間)が経過したことが制御部46のタイマで識別されると、制御部46によって駆動モータ45が制御されて、カム33が図2の位置に回転駆動され、制動板31がガイド部材19(記録媒体P)から離間する方向に移動する(記録媒体Pの挟み込みが解除される。)。なお、このような制動板31の離間動作は、レジストローラ17、18の回転駆動が開始される前におこなわれる。
【0028】
このように、制動板31の接離動作は、レジストローラ17、18の回転駆動が開始されるタイミング(転写部7へ記録媒体Pを搬送するタイミング)を遅らせることなく瞬間的におこなわれるため、画像形成装置1におけるプリント生産性は低下しないことになる。
また、レジストローラ17、18に記録媒体Pが突き当たった時点(又は、突き当たった時点から微小時間遅れたタイミング)で、制動板31は記録媒体Pから離間した状態(記録媒体Pを拘束しない状態である。)になっているため、レジストローラ17、18に突き当たった後の記録媒体Pには、その搬送方向の慣性力によって適度な撓みが形成されて、スキュー補正と縦レジスト補正とが不具合なく実行されることになる。
なお、制動板31とガイド部材19とによって記録媒体Pを挟持するタイミングは、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる直前のタイミングであるほど、上述した衝撃音を軽減する効果が大きくなる。すなわち、制動板31とガイド部材19とによる記録媒体Pの挟持を解除した後に、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たるまでの時間(又は、距離)が長くなると、その間に記録媒体Pの速力が増した状態でレジストローラ17、18に突き当たってしまうため、上述した衝撃音を軽減する効果が小さくなってしまう。
【0029】
ここで、本実施の形態1において、制動板31(制動部材)は、記録媒体Pに当接する当接面をゴム材料等の弾性材料で形成することが好ましい。これにより、制動板31を記録媒体Pに当接させたときの摩擦抵抗を大きくすることができて、記録媒体Pに対する制動性能が向上することになって、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる際の衝撃音の発生がさらに軽減されることになる。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態1においては、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる直前に記録媒体Pに当接するように移動する制動板31(制動部材)を設けているため、プリント生産性を低下させることなく、記録媒体Pの先端がレジストローラに突き当たる際の衝撃音の発生を軽減することができる。
【0031】
なお、本実施の形態1では、制動板31とレジストローラ17、18との間に配設されたフォトセンサ40によって、記録媒体Pの先端を光学的に検知したタイミングに連動して、制動板31を移動させてガイド部材19との間に記録媒体Pを挟み込んだ。
これに対して、記録媒体Pを検知するフォトセンサを制動板31よりも上流側(記録媒体Pの搬送方向上流側である。)に配設して、記録媒体Pを光学的に検知してから所定時間(フォトセンサの位置から制動板31の位置に至る搬送距離と、記録媒体Pの搬送速度と、から算出される時間+αである。)が経過した後に、制動板31を移動させてガイド部材19との間に記録媒体Pを挟み込むように制御することもできる。
さらには、記録媒体Pを検知するフォトセンサを給紙部の位置に配設して、給紙部における給紙動作が開始されてから所定時間(給紙部の位置から制動板31の位置に至る搬送距離と、記録媒体Pの搬送速度と、から算出される時間+αである。)が経過した後に、制動板31を移動させてガイド部材19との間に記録媒体Pを挟み込むように制御することもできる。
そして、これらの場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0032】
実施の形態2.
図4及び図5にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図4は、実施の形態2における搬送装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。また、図5は、制動部材が記録媒体Pを挟持する状態を示す図であって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。
本実施の形態2における搬送装置は、制動部材として制動ローラ51を用いている点が、制動部材として制動板31を用いている前記実施の形態1のものとは相違する。
【0033】
本実施の形態2における搬送装置30も、前記実施の形態1のものと同様に、搬送ローラ15、16(搬送ローラ対)、ガイド部材19、制動部材51、フォトセンサ40、レジストローラ17、18(レジストローラ対)、等が配設されている。
ここで、本実施の形態2における制動部材は、ガイド部材19に対向する位置に配設されたローラ部材としての制動ローラ51であって、ガイド部材19との間に記録媒体Pを挟み込むように移動して記録媒体Pの速力を制動するように構成されている。
【0034】
この制動ローラ51(制動部材)は、その両端の軸部が、軸受を介して搬送装置30の側板に上下方向に移動可能に保持されている。また、制動ローラ51の両端軸部を保持する軸受には、制動ローラ51を上方に付勢するスプリング(不図示である。)が設置されている。そして、このように構成された制動ローラ51は、前記実施の形態1のものと同様に構成された移動機構32〜34(揺動板32が制動ローラ51の軸部に係合している。)によって上下方向に移動されることになる。
【0035】
詳しくは、まず、図4に示すように、制動ローラ51の位置を記録媒体Pの先端が通過するときには、制動ローラ51は記録媒体Pに当接しない位置に離間している。
その後、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる直前に、記録媒体Pに当接するように制動ローラ51が移動する。詳しくは、フォトセンサ40によって記録媒体Pの先端が光学的に検知されると、その検知情報が制御部46に送られて、制御部46によって駆動モータ45が制御されて、カム33が図5の位置に回転駆動され、制動ローラ51とガイド部材19との間に記録媒体Pが挟み込まれる。これにより、レジストローラ17、18に記録媒体Pが衝突する直前に、記録媒体Pの速力が弱められて、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる際の衝撃音の発生が軽減されることになる。
なお、本実施の形態2では、記録媒体Pを制動ローラ51を用いて挟持しているために、記録媒体Pの速力によって制動ローラ51が図5の時計方向に連れ回りすることになり、記録媒体Pに対して適度な制動力を与えることになる。これにより、記録媒体Pに対して大き過ぎる制動力が与えられて、搬送中の記録媒体Pにジャム(搬送不良)が生じる不具合を抑止することができる。
【0036】
その後、制動ローラ51とガイド部材19との間に記録媒体Pを挟み込んだ状態で所定時間(本実施の形態2では、0.1秒以下に設定している。)が経過してから、記録媒体Pに当接しない位置に制動ローラ51が離間される(図4の状態になる)。なお、このような制動ローラ51の離間動作は、レジストローラ17、18の回転駆動が開始される前におこなわれる。
【0037】
なお、本実施の形態2における制動ローラ51(制動部材)にも、記録媒体Pに当接する当接面(表面層)をゴム材料等の弾性材料(弾性層)で形成することができる。これにより、制動ローラ51を記録媒体Pに当接させたときの摩擦抵抗を大きくすることができて、記録媒体Pに対する制動性能が向上することになって、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる際の衝撃音の発生がさらに軽減されることになる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態2においては、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる直前に記録媒体Pに当接するように移動する制動ローラ51(制動部材)を設けているため、プリント生産性を低下させることなく、記録媒体Pの先端がレジストローラに突き当たる際の衝撃音の発生を軽減することができる。
【0039】
実施の形態3.
図6及び図7にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図6は、実施の形態3における搬送装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。また、図7は、制動部材が記録媒体Pを挟持する状態を示す図であって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。
本実施の形態3における搬送装置は、制動部材として2つの制動ローラ51、52を用いている点が、制動部材として1つの制動ローラ51を用いている前記実施の形態2のものとは相違する。
【0040】
本実施の形態3における搬送装置30も、前記実施の形態2のものと同様に、搬送ローラ15、16(搬送ローラ対)、ガイド部材19、制動ローラ51(制動部材)、フォトセンサ40、レジストローラ17、18(レジストローラ対)、等が配設されている。
ここで、本実施の形態3における制動部材は、互いに対向する2つのローラ部材としての制動ローラ51、52であって、2つの制動ローラ51、52の間に記録媒体Pを挟み込むように一方の制動ローラ51が移動して記録媒体Pの速力を制動するように構成されている。
【0041】
この移動する制動ローラ51(制動部材)は、前記実施の形態2のものと同様に、その両端の軸部が、軸受を介して搬送装置30の側板に上下方向に移動可能に保持されている。また、制動ローラ51の両端軸部を保持する軸受には、制動ローラ51を上方に付勢するスプリング(不図示である。)が設置されている。そして、このように構成された上方の制動ローラ51は、前記実施の形態1のものと同様に構成された移動機構32〜34(揺動板32が制動ローラ51の軸部に係合している。)によって上下方向に移動されることになる。
【0042】
詳しくは、まず、図6に示すように、2つの制動ローラ51、52の位置を記録媒体Pの先端が通過するときには、上方の制動ローラ51は記録媒体Pに当接しない位置に離間している。
その後、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる直前に、記録媒体Pに当接するように上方の制動ローラ51が移動する。詳しくは、フォトセンサ40によって記録媒体Pの先端が光学的に検知されると、その検知情報が制御部46に送られて、制御部46によって駆動モータ45が制御されて、カム33が図7の位置に回転駆動され、2つの制動ローラ51、52の間に記録媒体Pが挟み込まれる。これにより、レジストローラ17、18に記録媒体Pが衝突する直前に、記録媒体Pの速力が弱められて、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる際の衝撃音の発生が軽減されることになる。
なお、本実施の形態3では、記録媒体Pを2つのローラ部材(制動ローラ51、52)を用いて挟持しているために、記録媒体Pの速力によって制動ローラ51、52がそれぞれ連れ回りすることになり、記録媒体Pに対して適度な制動力を与えることになる。これにより、記録媒体Pに対して大き過ぎる制動力が与えられて、搬送中の記録媒体Pにジャム(搬送不良)が生じる不具合を抑止することができる。
【0043】
その後、2つの制動ローラ51、52の間に記録媒体Pを挟み込んだ状態で所定時間(本実施の形態3では、0.1秒以下に設定している。)が経過してから、記録媒体Pに当接しない位置に上方の制動ローラ51が離間される(図6の状態になる)。なお、このような制動ローラ51の離間動作は、レジストローラ17、18の回転駆動が開始される前におこなわれる。
【0044】
なお、本実施の形態3における2つの制動ローラ51、52(制動部材)にも、記録媒体Pに当接する当接面(表面層)をゴム材料等の弾性材料(弾性層)で形成することができる。これにより、制動ローラ51、52を記録媒体Pに当接させたときの摩擦抵抗を大きくすることができて、記録媒体Pに対する制動性能が向上することになって、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる際の衝撃音の発生がさらに軽減されることになる。
【0045】
また、本実施の形態3では、2つの制動ローラ51、52のうち、一方の制動ローラ51のみを移動させて、2つの制動ローラ51、52で記録媒体Pを挟持するように構成した。
これに対して、2つの制動ローラ51、52のうち、他方の制動ローラ52のみを移動させて、2つの制動ローラ51、52で記録媒体Pを挟持するように構成することもできる。さらには、2つの制動ローラ51、52の双方を移動させて、2つの制動ローラ51、52で記録媒体Pを挟持するように構成することもできる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態3においては、記録媒体Pの先端がレジストローラ17、18に突き当たる直前に記録媒体Pに当接するように移動する制動ローラ51、52(制動部材)を設けているため、プリント生産性を低下させることなく、記録媒体Pの先端がレジストローラに突き当たる際の衝撃音の発生を軽減することができる。
【0047】
なお、前記各実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置される搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、前記各実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置である。)に設置される搬送装置であって、記録媒体上に画像を形成する画像形成部に向けてレジストローラによって記録媒体をタイミングを合わせて搬送する搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
5 感光体ドラム、
7 転写部(画像形成部)、
15、16 搬送ローラ、
17、18 レジストローラ、
19 ガイド部材、
30 搬送装置、
31 制動板(板状部材、制動部材)、
32 揺動板、 33 カム、 34 引張スプリング、
40 フォトセンサ、
51、52 制動ローラ(ローラ部材、制動部材)、 P 記録媒体。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開平9−175693号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に画像を形成する画像形成部に向けて当該記録媒体を搬送する搬送装置であって、
前記画像形成部に対して記録媒体の搬送方向上流側に配設されるとともに、その回転駆動を停止して記録媒体の先端を突き当てた後に所定のタイミングで回転駆動を開始して前記画像形成部に向けて記録媒体を搬送するレジストローラと、
前記レジストローラに対して記録媒体の搬送方向上流側に配設されるとともに、記録媒体の先端が前記レジストローラに突き当たる前に当該記録媒体に当接するように移動して当該記録媒体の速力を制動する制動部材と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記制動部材は、その位置を記録媒体の先端が通過するときには当該記録媒体に当接しない位置に離間して、当該記録媒体の先端が前記レジストローラに突き当たる前に当該記録媒体に当接するように移動して、その後に所定時間が経過してから前記レジストローラの回転駆動が開始される前に当該記録媒体に当接しない位置に離間することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記レジストローラの位置に向けて搬送される記録媒体を案内するガイド部材を備え、
前記制動部材は、前記ガイド部材に対向する位置に配設された板状部材又はローラ部材であって、前記ガイド部材との間に記録媒体を挟み込むように移動して当該記録媒体の速力を制動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記制動部材は、互いに対向する2つのローラ部材であって、前記2つのローラ部材の間に記録媒体を挟み込むように少なくとも1つのローラ部材が移動して当該記録媒体の速力を制動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記制動部材は、記録媒体に当接する当接面が弾性材料で形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−25550(P2012−25550A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166597(P2010−166597)
【出願日】平成22年7月24日(2010.7.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】