説明

搬送装置および画像形成システム

【課題】記録材を搬送する搬送部材が記録材に接触した際に生じる騒音を低減する。
【解決手段】フィニッシャユニット22は、用紙Pを案内する下側案内板226、下側案内板226からの用紙Pを集積する用紙集積部50、用紙集積部50上で用紙Pを搬送するメインパドル部222およびサブパドル部223、用紙集積部50から用紙Pを排出する排出ロール224を備える。メインパドル部222は、それぞれが3つのパドル羽を有する中央パドル80、第1端部パドル81そして第2端部パドル82を備えており、各パドル羽は、メインパドル部222の回転に伴って下側案内板226に接触した後、通過に伴って振動が生じた状態で、用紙集積部50に集積された用紙Pに接触する。そして、各パドル羽が用紙集積部50上の用紙Pと接触するときに、各パドル羽は、メインパドル部222の回転方向とは反対側に向かうように振動している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、用紙を受容して積載する用紙積載台と、用紙の先端部を突き当てて整合する突き当て部材とを有するスタッカにおいて、用紙の受容方向と直交する方向に配置されたパドルと、パドルを回転させる駆動伝達部材と、パドルを用紙の搬送方向と直交する方向に移動させる位置変更部材と、を有し、位置変更部材によりパドルを用紙の搬送方向と直交する方向に移動させ、用紙積載台の載置面に受容される用紙をパドルにより押圧しつつ搬送するものが存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−24506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、記録材を搬送する搬送部材が記録材に接触した際に生じる騒音を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、搬入されてくる記録材を積載する積載部と、回転可能に設けられるとともに、回転に伴って前記積載部上の記録材に間欠的に接触する接触部を有し、当該積載部上の記録材を搬送する搬送部材と、前記接触部と前記積載部上の記録材とが接触する接触領域よりも前記搬送部材の回転方向上流側で当該接触部と接触するように設けられ、当該接触部が当該積載部上の記録材と接触するときに当該接触部が当該搬送部材の回転方向とは反対側に向かうように、当該接触部を振動させる振動部材とを含む搬送装置である。
請求項2記載の発明は、前記振動部材は、搬入されてくる記録材を前記積載部に案内する案内部材を兼ねることを特徴とする請求項1記載の搬送装置である。
請求項3記載の発明は、前記搬送部材は、予め定められた周速度にて回転するとともに、前記接触部が当該搬送部材の回転方向に沿って等間隔に複数個設けられることを特徴とする請求項1記載の搬送装置である。
請求項4記載の発明は、前記積載部に積載された1または複数の記録材に予め決められた後処理を施す後処理部をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の搬送装置である。
【0006】
請求項5記載の発明は、記録材に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって画像が形成された状態で搬入されてくる記録材を積載する積載部と、回転可能に設けられるとともに、回転に伴って前記積載部上の記録材に間欠的に接触する接触部を有し、当該積載部上の記録材を搬送する搬送部材と、前記接触部と前記積載部上の記録材とが接触する接触領域よりも前記搬送部材の回転方向上流側で当該接触部と接触するように設けられ、当該接触部が当該積載部上の記録材と接触するときに当該接触部が当該搬送部材の回転方向とは反対側に向かうように、当該接触部を振動させる振動部材とを含む画像形成システムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、記録材を搬送する搬送部材が記録材に接触した際に生じる騒音を低減することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、装置の構成を簡略化し且つ装置を小型化することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、記録材の搬送力を高めることができるとともに騒音の発生を抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、積載された記録材に後処理を施すことができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、記録材を搬送する搬送部材が記録材に接触した際に生じる騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態における画像形成システムの全体構成例を示した図である。
【図2】フィニッシャユニットの主要部であって、サブパドル部および進退ロールが退避位置に設定された状態を示した図である。
【図3】フィニッシャユニットの主要部であって、サブパドル部および進退ロールが進出位置に設定された状態を示した図である。
【図4】メインパドル部の全体構成の一例を示した図である。
【図5】サブパドル部の全体構成の一例を示した図である。
【図6】メインパドル部における中央パドルの形状を説明するための図である。
【図7】フィニッシャユニットにおいて中央パドルが回転する際の挙動を説明するための図である。
【図8】パドル羽に生じる振動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成システムの構成を示した図である。
この画像形成システムは、例えば電子写真方式によってカラー画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1にて画像が形成された記録材の一例としての用紙Pに対して綴じ等の後処理を行うシート後処理装置2とを有する。
【0010】
画像形成部の一例としての画像形成装置1は、所謂タンデム方式で構成され、各色画像データに基づいて画像形成を行う4つの画像形成ユニット100Y、100M、100C、100K(以下では、必要に応じて、「画像形成ユニット100」と総称することがある)、各画像形成ユニット100に設けられた感光体ドラム107を露光するレーザ露光装置101を備えている。また、画像形成装置1は、各画像形成ユニット100にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト102、各画像形成ユニット100にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト102に順次転写(一次転写)する一次転写ロール103、中間転写ベルト102上に転写された各色トナー像を記録材(用紙)に一括転写(二次転写)する二次転写ロール104、二次転写された各色トナー像を用紙上に定着する定着装置105、さらには、画像形成装置1の動作を制御する本体制御部106を備えている。
【0011】
画像形成装置1の各画像形成ユニット100では、感光体ドラム107への帯電工程、レーザ露光装置101からの走査露光による感光体ドラム107での静電潜像形成工程、形成された静電潜像への各色トナーの現像工程等を経て、各色のトナー像が形成される。各画像形成ユニット100に形成された各色トナー像は、それぞれに対応する一次転写ロール103により中間転写ベルト102上に順次静電転写される。そして、各色トナー像は、中間転写ベルト102の移動に伴って二次転写ロール104が設けられた位置に向けて搬送される。
【0012】
一方、画像形成装置1には、異なるサイズや異なる紙種の複数の用紙P1〜P4(以下では、これらをまとめて「用紙P」と呼ぶこともある)が、それぞれ用紙収容部110A〜110Dに収容されている。そして、本体制御部106により例えば用紙P1が指定された場合には、ピックアップロール111により用紙収容部110Aから用紙P1が取り出され、搬送ロール112によって1枚ずつレジストロール113の位置まで搬送される。なお、本体制御部106により用紙P2〜P4が指定された場合にも、それぞれ同様である。そして、中間転写ベルト102上の各色トナー像が二次転写ロール104の配置位置に搬送されるタイミングに合わせて、レジストロール113から用紙Pが供給される。それにより、各色トナー像は、二次転写ロール104により形成された転写電界の作用によって用紙P上に一括して静電転写(二次転写)される。
【0013】
その後、各色トナー像が二次転写された用紙Pは、中間転写ベルト102から剥離されて定着装置105に搬送される。定着装置105では、熱及び圧力による定着処理により各色トナー像が用紙P上に定着され、画像が形成される。そして、画像が形成された用紙Pは、搬送ロール114によって画像形成装置1の用紙排出部Tから排出され、画像形成装置1に接続されたシート後処理装置2に搬送される。
シート後処理装置2は、画像形成装置1の用紙排出部Tの下流側に配置され、画像が形成された用紙Pに対して穴あけや綴じ等の後処理を行う。
【0014】
また、シート後処理装置2は、画像形成装置1の用紙排出部Tに接続されたトランスポートユニット21、トランスポートユニット21に取り込まれた用紙Pに対して予め定められた後処理を施すフィニッシャユニット22、シート後処理装置2の各機構部を制御する用紙処理制御部23を備えている。ここで、用紙処理制御部23は、信号ライン(図示せず)で本体制御部106と接続され、相互に制御信号等の送受信を行う。
なお、図1のシート後処理装置2では、用紙処理制御部23がフィニッシャユニット22の筐体内に設けられているが、用紙処理制御部23は画像形成装置1の筐体内に設けてもよい。また、画像形成装置1の本体制御部106が用紙処理制御部23の制御機能を備えた構成としてもかまわない。
【0015】
シート後処理装置2において、トランスポートユニット21は、例えば2穴や4穴等の穴あけ(パンチ)を施すパンチ機能部30、および、画像形成装置1にて画像が形成された用紙Pをフィニッシャユニット22に向けて搬送する複数の搬送ロール211を備えている。
【0016】
一方、シート後処理装置2において、フィニッシャユニット22は、トランスポートユニット21から送られてくる用紙Pをフィニッシャユニット22内に搬入する搬入ロール221と、搬入ロール221によって搬送される用紙Pに、必要に応じて折り目を付与する処理を施す折り処理機能部40と、折り処理機能部40を通過した用紙Pを集積する用紙集積部50と、用紙集積部50に集積された用紙Pの束の一端に、必要に応じて端綴じを施す端綴じ機能部60と、用紙集積部50から排出される用紙Pあるいは用紙Pの束を積載(スタック)するスタッカ部70とを備えている。ここで、スタッカ部70は、排出されてくる用紙Pの束が積載されるのに従い、図中下方に移動するようになっている。
【0017】
また、フィニッシャユニット22は、用紙集積部50に供給されてきた用紙Pを端綴じ機能部60側に向けて搬送するメインパドル部222およびサブパドル部223と、用紙集積部50に集積された用紙Pまたは用紙Pの束を、スタッカ部70に排出する排出ロール224とをさらに備えている。そして、これらメインパドル部222、サブパドル部223および排出ロール224は、それぞれ、図中手前側から奥側へと向かう方向を軸として回転可能に設けられている。
【0018】
本実施の形態において、メインパドル部222は、用紙集積部50の上部であって、サブパドル部223よりも端綴じ機能部60に近い側に設けられている。一方、サブパドル部223は、用紙集積部50の上部であって、メインパドル部222よりも端綴じ機能部60から遠い側に設けられている。そして、本実施の形態では、メインパドル部222が、用紙集積部50の上方に位置を固定して配置されるのに対し、サブパドル部223は、用紙集積部50の上方において用紙集積部50に対し進退可能に設けられている。
【0019】
また、排出ロール224は、用紙集積部50の下方において位置が固定された状態で回転可能に設けられる固定ロール224aと、固定ロール224aの上方において用紙集積部50に対し進退可能且つ回転可能に設けられ、進出時には固定ロール224aと接触し、退避時には固定ロール224aから離隔する進退ロール224bとを有している。
【0020】
ここで、本実施の形態では、排出ロール224が、用紙集積部50における用紙Pの出口側(スタッカ部70側)に設けられており、サブパドル部223と排出ロール224における進退ロール224bとが隣接して配置されている。そして、本実施の形態では、サブパドル部223と進退ロール224bとが、一体的に進退するように構成されている。
【0021】
図2および図3は、フィニッシャユニット22の主要部、より具体的には、用紙集積部50および端綴じ機能部60周辺の構成を説明するための図である。ここで、図2は、フィニッシャユニット22を構成するサブパドル部223および進退ロール224bが、用紙集積部50から遠ざかる退避位置Peに配置された状態を例示している。また、図3は、これらサブパドル部223および進退ロール224bが、退避位置Peから進出方向Aに沿って移動し、より用紙集積部50に近づいた進出位置Paに配置された状態を例示している。
【0022】
本実施の形態のフィニッシャユニット22は、折り処理機能部40(図1参照)を通過してきた用紙Pを用紙集積部50へと導くための搬送経路を構成する案内部材、より具体的には、搬送経路における上側の案内部材として機能する上側案内板225と、搬送経路における下側の案内部材として機能する下側案内板226とをさらに備えている。これら上側案内板225および下側案内板226は、用紙Pを図中右斜め下方向に案内した後、図中において水平方向からわずかに右斜め上方向に案内するように、それぞれが湾曲した形状を有している。そして、上側案内板225における用紙Pの出口側には、搬送されてくる用紙Pに接触し、この用紙Pを除電する除電ブラシ227が取り付けられている。また、本実施の形態では、下側案内板226が、振動部材の一例として機能している。
【0023】
なお、以下の説明においては、上側案内板225および下側案内板226から排出されてくる用紙Pの移動方向を、搬入方向D1と称する。また、以下では、搬入方向D1に沿って移動する用紙Pの進行方向前側を『先端』と呼び、この場合における用紙Pの進行方向後側を『後端』と呼ぶ。
【0024】
また、フィニッシャユニット22において、積載部の一例としての用紙集積部50は、上側案内板225および下側案内板226による用紙Pの出口の下方において、図中左斜め下方から図中右斜め上方に向かって傾斜配置される底板51と、底板51の図中左下側に設けられ、底板51に積載された用紙Pの後端の位置を規制する規制板52とを備えている。なお、用紙集積部50における規制板52側には、後処理部の一例としての端綴じ機能部60が設けられており、底板51上に集積された用紙Pに端綴じ処理を施す場合、規制板52は、底板51との境界部を軸として回転することにより、図示した位置から移動(退避)するようになっている。
【0025】
さらに、フィニッシャユニット22において、メインパドル部222は、用紙集積部50の底板51と下側案内板226とに挟まれた部位に配置されており、図中時計回り方向に回転するように構成されている。ここで、メインパドル部222における回転軸の位置は固定されている。そして、メインパドル部222は、回転に伴い、底板51(あるいは底板51上に集積された用紙P)および下側案内板226の両者に接触するようになっている。
【0026】
さらにまた、フィニッシャユニット22において、サブパドル部223は、メインパドル部222よりもフィニッシャユニット22の出口に近い側において、排出ロール224の固定ロール224aと対向するように配置されており、図中時計回り方向に回転するように構成されている。ここで、サブパドル部223における回転軸の位置は、図2および図3に示すように、移動できるように構成されている。そして、サブパドル部223は、図3に示す進出位置Paに配置された場合に、回転に伴って底板51(あるいは底板51上に集積された用紙P)に接触するようになっている。また、サブパドル部223は、図2に示す退避位置Peに配置された場合には、回転を行っても、底板51(あるいは底板51上に集積された用紙P)に接触しないようになっている。
【0027】
なお、以下の説明においては、用紙集積部50における、メインパドル部222およびサブパドル部223によって搬送される用紙Pの移動方向を、導入方向D2と称する。この例では、搬入方向D1と導入方向D2とが逆向きになるため、導入方向D2における用紙Pの進行方向前側が『後端』となり、この場合における用紙Pの進行方向後側が『先端』となる。
【0028】
そして、フィニッシャユニット22において、排出ロール224は、サブパドル部223に隣接して配置されており、駆動側となる固定ロール224aが図中時計回り方向に、従動側となる進退ロール224bが図中反時計回り方向に、それぞれ回転するように構成されている。これらのうち、固定ロール224aにおける回転軸の位置は固定されている。また、排出ロール224を構成する進退ロール224bにおける回転軸の位置は、図2および図3に示すように、移動できるように構成されている。そして、進退ロール224bは、図3に示す進出位置Paに配置された場合に、回転に伴って固定ロール224a(あるいは固定ロール224a上に存在する用紙P)に接触するようになっている。また、進退ロール224bは、図2に示す退避位置Peに配置された場合には、回転を行っても、固定ロール224a(あるいは固定ロール224a上に存在する用紙P)に接触しないようになっている。そして、進退ロール224bは、固定ロール224aと接触した際に、固定ロール224aから駆動力を受けて回転する。
【0029】
なお、以下の説明においては、用紙集積部50における、排出ロール224によって搬送される用紙Pの移動方向を、排出方向D3と称する。この例では、導入方向D2と排出方向D3とが逆向きになるため、排出方向D3における用紙Pの進行方向前側が『先端』となり、この場合における用紙Pの進行方向後側が『後端』となる。
【0030】
また、本実施の形態のフィニッシャユニット22は、用紙集積部50に集積される用紙Pの先端および後端以外の端部となる2つの側端の位置を揃えるための幅位置揃え機構(図示せず)が設けられている。
【0031】
次に、フィニッシャユニット22に設けられるメインパドル部222およびサブパドル部223の構成について、より具体的に説明を行う。
図4は、メインパドル部222の全体構成の一例を示した図である。
本実施の形態のメインパドル部222は、図3に示すように、用紙Pの幅方向において中央に設けられる中央パドル80と、中央パドル80の両側にそれぞれ設けられる第1端部パドル81および第2端部パドル82とを備えている。これらのうち、中央パドル80は、円形状の断面を有する回転軸800と、回転軸800の外周面から突出するように設けられた第1パドル羽801、第2パドル羽802および第3パドル羽803を有している。また、第1端部パドル81は、円形状の断面を有する回転軸810と、回転軸810の外周面から突出するように設けられた第1パドル羽811、第2パドル羽812および第3パドル羽813を有している。さらに、第2端部パドル82は、円形状の断面を有する回転軸820と、回転軸820の外周面から突出するように設けられた第1パドル羽821、第2パドル羽822および第3パドル羽823を有している。なお、本実施の形態において、搬送部材の一例としての中央パドル80、第1端部パドル81および第2端部パドル82は、共通の構成を有しているが、その詳細については後述する。
【0032】
そして、本実施の形態のメインパドル部222は、中央パドル80、第1端部パドル81および第2端部パドル82それぞれの回転軸800、回転軸810および回転軸820に通される共通のシャフト83をさらに有しており、フィニッシャユニット22に回転可能に取り付けられる。そして、メインパドル部222は、シャフト83に接続される駆動部(図示せず)からの回転駆動力を受けることで、図3中に示す矢印方向に回転する。
【0033】
そして、本実施の形態では、メインパドル部222をシャフト83の一端側からみたときに、中央パドル80に設けられた第1パドル羽801と、第1端部パドル81に設けられた第1パドル羽811と、第2端部パドル82に設けられた第1パドル羽821とが重なり、中央パドル80に設けられた第2パドル羽802と、第1端部パドル81に設けられた第2パドル羽812と、第2端部パドル82に設けられた第2パドル羽822とが重なり、中央パドル80に設けられた第3パドル羽803と、第1端部パドル81に設けられた第3パドル羽813と、第2端部パドル82に設けられた第3パドル羽823とが重なるように、シャフト83に対する中央パドル80、第1端部パドル81および第2端部パドル82の取り付け位置が決められている。これにより、中央パドル80に設けられた第1パドル羽801と、第1端部パドル81に設けられた第1パドル羽811と、第2端部パドル82に設けられた第1パドル羽821とが、ほぼ同時に用紙Pあるいは下側案内板226に接触し、また、中央パドル80に設けられた第2パドル羽802と、第1端部パドル81に設けられた第2パドル羽812と、第2端部パドル82に設けられた第2パドル羽822とが、ほぼ同時に用紙Pあるいは下側案内板226に接触し、さらに、中央パドル80に設けられた第3パドル羽803と、第1端部パドル81に設けられた第3パドル羽813と、第2端部パドル82に設けられた第3パドル羽823とが、ほぼ同時に用紙Pあるいは下側案内板226に接触する。なお、本実施の形態では、中央パドル80に設けられた第1パドル羽801〜第3パドル羽803、第1端部パドル81に設けられた第1パドル羽811〜第3パドル羽813、第2端部パドル82に設けられた第1パドル羽821〜第3パドル羽823が、それぞれ接触部として機能している。
【0034】
図5は、サブパドル部223の全体構成の一例を示した図である。なお、図5においては、サブパドル部223に近接して設けられる排出ロール224の記載を省略している。
本実施の形態のサブパドル部223は、1つのサブパドル90を備えている。そして、サブパドル部223は、円形状の断面を有する回転軸900と、回転軸900の外周面から突出するように設けられた第1パドル羽901、第2パドル羽902および第3パドル羽903を有している。なお、本実施の形態において、サブパドル90は、メインパドル部222を構成する中央パドル80、第1端部パドル81および第2端部パドル82と共通の構成を有しているが、その詳細については後述する。
【0035】
そして、本実施の形態のサブパドル部223は、サブパドル90の回転軸900に通されるシャフト93をさらに有しており、フィニッシャユニット22に回転可能に取り付けられる。そして、サブパドル部223は、シャフト93に接続される駆動部(図示せず)からの回転駆動力を受けることで、図5中に示す矢印方向に回転する。なお、本実施の形態では、サブパドル部223におけるサブパドル90と、排出ロール24における進退ロール224b(図2、図3参照)とが、シャフト93に沿う軸方向にずらして配置されており、これらサブパドル90と進退ロール224bとが、互いに干渉しないようになっている。
【0036】
続いて、メインパドル部222を構成する中央パドル80、第1端部パドル81、第2端部パドル82、および、サブパドル部223を構成するサブパドル90の形状について説明する。なお、本実施の形態では、上述したようにこれら各パドルが共通の形状を有している。そこで、以下では、メインパドル部222を構成する中央パドル80を例として説明を行う。
【0037】
図6は、メインパドル部222における中央パドル80の形状を説明するための図である。ここで、図6(a)は例えば規制板52側からみた中央パドル80の正面図であり、図6(b)は中央パドル80の側面図である。
本実施の形態の中央パドル80は、図6(b)に示すように、第1パドル羽801〜第3パドル羽803の根元(付け根)の厚みT1は5mm、第1パドル羽801〜第3パドル羽803の先端の厚みT2は5mmに設定されている。また、図6(a)に示すように、第1パドル羽801〜第3パドル羽803の根元の幅B1は10mm、第1パドル羽801〜第3パドル羽803の先端の幅B2は10mmに設定されている。
また、本実施の形態の第1パドル羽801〜第3パドル羽803は、図6(b)に示すように、回転軸800の中心と第1パドル羽801〜第3パドル羽803の根元とを結ぶ線に対して、第1パドル羽801〜第3パドル羽803の主な面が成す角度が90度になるように設定されている。
そして、回転軸800の中心から放射方向に向けた第1パドル羽801〜第3パドル羽803の先端までの長さであるパドル半径Raが25mmとなっている。第1パドル羽801〜第3パドル羽803の長さLは、18mmに設定されている。また、回転軸800の半径Rcは8.5mm、回転軸800に形成される貫通孔の半径Rhが2.75mmとなっている。
【0038】
中央パドル80を構成する材料としては、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)やシリコーンゴムなどの弾性体を用いることができる。本実施の形態では、中央パドル80の材料として、EPDMを用いている。
本実施の形態の中央パドル80の材料に添加する加硫促進剤、充填剤及び軟化剤には以下の材料を用いることができる。加硫促進剤としては、硫黄化合物、過酸化化合物などを用いることができる。充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、ケイ砂などを用いることができる。軟化剤としては、パラフィン系オイルやナフテン系オイルなどの鉱油を用いることができる。
なお、本実施の形態の中央パドル80は、回転軸800と第1パドル羽801〜第3パドル羽803とが一体に形成されている。
【0039】
では、図1〜図6を参照しつつ、本実施の形態の画像形成システムの動作を説明する。
なお、ここでは、シート後処理装置2において、パンチ機能部30および折り処理機能部40による処理は行わずに、用紙集積部50に2枚の用紙Pを集積した後、これら2枚の用紙Pからなる用紙束に、端綴じ機能部60を用いた端綴じ処理を施して出力する場合を例とする。
【0040】
なお、動作開始前のフィニッシャユニット22において、サブパドル部223および進退ロール224bは、退避位置Peに配置されている。また、動作開始前のフィニッシャユニット22において、メインパドル部222およびサブパドル部223は、ともに回転を停止している。さらに、動作開始前のフィニッシャユニット22において、固定ロール224aは回転を停止しており、しかも、回転が可能なフリーな状態に設定されている。
【0041】
動作の開始に伴い、メインパドル部222およびサブパドル部223が回転を開始する。なお、この例では、メインパドル部222およびサブパドル部223の両者が、予め定められた一定の回転速度(周速度)で、回転を行うものとする。
また、動作の開始に伴い、画像形成装置1では、1枚目の用紙Pに対する画像形成がなされ、画像形成後の1枚の用紙Pは、画像形成装置1からトランスポートユニット21を介してフィニッシャユニット22内に搬入される。そして、フィニッシャユニット22内に搬入されてきた1枚目の用紙Pは、搬入ロール221等により、上側案内板225および下側案内板226の間に形成される搬送経路内をさらに移動し、進行方向前側を先端とし且つ進行方向後側を後端として、搬入方向D1に沿って排出される。
【0042】
排出されてきた1枚目の用紙Pは、重力により、メインパドル部222とサブパドル部223との間、および、固定ロール224aと進退ロール224bとの間を通過しつつ、用紙集積部50(底板51)に向かって落下してくる。また、サブパドル部223および進退ロール224bが、退避位置Peから進出位置Paへと移動する。なお、このとき、固定ロール224aは、回転を停止したまま(フリーな状態のまま)である。
【0043】
次に、搬入方向D1に沿い且つ底板51側に落下してきた1枚目の用紙Pの先端側が、図中時計回り方向に回転するサブパドル部223のサブパドル90に設けられた第1パドル羽901〜第3パドル羽903に間欠的に接触する。これにより、1枚目の用紙Pは、その進行方向が反転され、今度は、進行方向前側を後端とし且つ進行方向後側を先端として、底板51上を導入方向D2に沿って移動し始める。なお、このとき、1枚目の用紙Pは、排出ロール224すなわち固定ロール224aおよび進退ロール224bによって挟まれた状態となるが、固定ロール224aおよび進退ロール224bがフリーな状態にあるので、1枚目の用紙Pの移動の妨げとはならない。
【0044】
続いて、導入方向D2に沿って底板51上を移動する1枚目の用紙Pの後端側が、図中時計回り方向に回転するメインパドル部222の中央パドル80、第1端部パドル81および第2端部パドル82のそれぞれに設けられた第1パドル羽801、811、821〜第3パドル羽803、813、823に間欠的に接触する。これにより、1枚目の用紙Pは、引き続き、進行方向前側を後端とし且つ進行方向後側を先端として、底板51上を導入方向D2に沿って移動していく。
【0045】
そして、導入方向D2に沿って移動する1枚目の用紙Pの後端が、用紙集積部50における規制板52の壁面に突き当たると、1枚目の用紙Pの導入方向D2に沿う移動が規制され、1枚目の用紙Pが停止する。それから、サブパドル部223および進退ロール224bが、進出位置Paから退避位置Peへと移動する。なお、このとき、固定ロール224aは、回転を停止したまま(フリーな状態のまま)である。
【0046】
続いて、用紙集積部50に積載された1枚目の用紙Pに対する、幅位置揃え機構(図示せず)を用いた側端位置揃えが実行される。これにより、用紙集積部50上で、1枚目の用紙Pの位置決め(前後方向および幅方向)がなされる。
【0047】
また、この間に、画像形成装置1では、2枚目の用紙Pに対する画像形成がなされ、画像形成後の2枚目の用紙Pは、画像形成装置1からトランスポートユニット21を介してフィニッシャユニット22内に搬入される。そして、フィニッシャユニット22内に搬入されてきた2枚目の用紙Pは、搬入ロール221等により、上側案内板225および下側案内板226の間に形成される搬送経路内をさらに移動し、進行方向前側を先端とし且つ進行方向後側を後端として、搬入方向D1に沿って排出される。なお、本実施の形態では、用紙集積部50上で1枚目の用紙Pに対する側端位置揃えが終了した後に、用紙集積部50上に2枚目の用紙Pが排出されてくるように、用紙Pの供給タイミングが設定されている。
【0048】
排出されてきた2枚目の用紙Pは、重力により、メインパドル部222とサブパドル部223との間、および、固定ロール224aと進退ロール224bとの間を通過しつつ、用紙集積部50(底板51)に向かって落下してくる。また、サブパドル部223および進退ロール224bが、退避位置Peから進出位置Paへと移動する。なお、このとき、固定ロール224aは、回転を停止したまま(フリーな状態のまま)である。
【0049】
次に、搬入方向D1に沿い且つ底板51側に落下してきた2枚目の用紙Pの先端側が、図中時計回り方向に回転するサブパドル部223のサブパドル90に設けられた第1パドル羽901〜第3パドル羽903に間欠的に接触する。これにより、2枚目の用紙Pは、その進行方向が反転され、今度は、進行方向前側を後端とし且つ進行方向後側を先端として、底板51上を導入方向D2に沿って移動し始める。ただし、このとき、底板51上には、既に1枚目の用紙Pが積載されており、2枚目の用紙Pは、実際には、1枚目の用紙Pの上を移動していくことになる。なお、このとき、1枚目の用紙Pおよび2枚目の用紙Pは、排出ロール224すなわち固定ロール224aおよび進退ロール224bによって挟まれた状態となるが、固定ロール224aおよび進退ロール224bがフリーな状態にあるので、2枚目の用紙Pの移動の妨げとはならない。
【0050】
続いて、導入方向D2に沿って底板51上を移動する2枚目の用紙Pの後端側が、図中時計回り方向に回転するメインパドル部222の中央パドル80、第1端部パドル81および第2端部パドル82のそれぞれに設けられた第1パドル羽801、811、821〜第3パドル羽803、813、823に間欠的に接触する。これにより、2枚目の用紙Pは、引き続き、進行方向前側を後端とし且つ進行方向後側を先端として、底板51上の1枚目の用紙P上を導入方向D2に沿って移動していく。
【0051】
そして、導入方向D2に沿って移動する2枚目の用紙Pの後端が、用紙集積部50における規制板52の壁面に突き当たると、2枚目の用紙Pの導入方向D2に沿う移動が規制され、2枚目の用紙Pが停止する。それから、サブパドル部223および進退ロール224bが、進出位置Paから退避位置Peへと移動する。なお、このとき、固定ロール224aは、回転を停止したまま(フリーな状態のまま)である。
【0052】
続いて、用紙集積部50に積載された2枚目の用紙Pに対する、幅位置揃え機構(図示せず)を用いた側端位置揃えが実行される。これにより、用紙集積部50上で、2枚目の用紙Pの位置決め(前後方向および幅方向)がなされる。その結果、用紙集積部50では、2枚の用紙Pが重なるとともに揃えられた状態となる。
【0053】
それから、サブパドル部223および進退ロール224bが、退避位置Peから進出位置Paへと移動する。なお、このとき、固定ロール224aは回転を停止し且つ回転が規制(ロック)された状態となる。また、用紙集積部50に集積された2枚の用紙Pは、固定ロール224aと進退ロール224bとによって挟まれた状態となる。
【0054】
次に、用紙集積部50において規制板52が回転し、2枚の用紙Pの後端側が綴じ機能部60に対向した状態となる。このとき、2枚の用紙Pからなる用紙束は、回転が規制された排出ロール224によって保持されているため、揃えられた状態が乱されにくくなっている。そして、綴じ機能部60を用いて、底板51上で重ね合わされた2枚の用紙Pからなる用紙束の後端側に、端綴じ処理を行う。そして、端綴じ処理が完了すると、用紙集積部50において規制板52が逆向きに回転し、元の状態へと戻る。なお、端綴じ処理は、一箇所に施すようにしてもよいし、複数箇所に施すようにしてもよい。
【0055】
続いて、端綴じ処理が施された用紙束を排出ロール224で挟み込んだ状態で、固定ロール224aが図中時計回り方向に回転し始める。これにより、この用紙束は、進行方向前側を先端とし且つ進行方向後側を後端として、底板51上を排出方向D3に沿って移動し始める。その後、この用紙束は、スタッカ部70に排出され且つ積載される。
【0056】
用紙束がスタッカ部70に排出された後、固定ロール224aの回転が停止し、さらに、サブパドル部223および進退ロール224bが、進出位置Paから退避位置Peへと移動する。このとき、固定ロール224aは、フリーな状態に設定される。そして、メインパドル部222およびサブパドル部223の回転が停止し、1つの用紙束(端綴じ処理済み)の作成が完了する。
【0057】
ではここで、上述した画像形成システムの動作におけるメインパドル部222の具体的な動作を説明する。なお、本実施の形態では、メインパドル部222を構成する中央パドル80、第1端部パドル81および第2端部パドル82が共通の構成を有していることから、中央パドル80を例として説明を行う。
【0058】
図7は、フィニッシャユニット22において中央パドル80が回転する際の挙動を説明するための図である。ここで、図7(a)〜(f)は、停止していた中央パドル80が、回転し始めてから120°回転するまでの挙動を例示している。なお、以下の説明においては、中央パドル80において、第1パドル羽801が図6(b)に示す状態にあること、第2パドル羽802が図6(b)に示す状態にあること、そして、第3パドル羽803が図6(b)に示す状態にあることを、それぞれ、『基本状態』と呼ぶことにする。
【0059】
図7(a)は停止状態にある中央パドル80を示している。この例では、第1パドル羽801が下側案内板226に接触した状態となっている一方で、第2パドル羽802および第3パドル羽803の両者は、下側案内板226および底板51の両者に接触しない状態となっている。その結果、第1パドル羽801は、その自由端側が基本状態(図中に破線で示す)に比べて中央パドル80の回転方向上流側に屈曲した状態(以下では、圧迫状態と呼ぶ)となっており、第2パドル羽802および第3パドル羽803の両者は、それぞれ基本状態となっている。
【0060】
なお、以下の説明においては、第1パドル羽801、第2パドル羽802あるいは第3パドル羽803と下側案内板226とが接する領域を第1接触領域と呼び、第1パドル羽801、第2パドル羽802あるいは第3パドル羽803と底板51(あるいは底板51上の用紙P)とが接する領域を第2接触領域(本発明における接触領域に対応)と呼ぶ。また、以下の説明においては、中央パドル80の回転方向に沿い、第1接触領域の下流側端部から第2接触領域の上流側端部に至る領域を上流側非接触領域と呼び、中央パドル80の回転方向に沿い、第2接触領域の下流側端部から第1接触領域の上流側端部に至る領域を下流側非接触領域と呼ぶ。
【0061】
したがって、図7(a)では、第1パドル羽801が第1接触領域に、第2パドル羽802が下流側非接触領域に、そして第3パドル羽803が上流側非接触領域に、それぞれ位置していることになる。
【0062】
図7(b)は中央パドル80の回転駆動が開始され、図7(a)に示す停止状態から時計回り方向に約24°回転した状態を示している。この例では、第1パドル羽801が第1接触領域から上流側非接触領域に移動する一方、第2パドル羽802は引き続き下流側非接触領域に、また、第3パドル羽803は引き続き上流側非接触領域に、それぞれ位置している。
【0063】
このとき、第1パドル羽801には、第1接触領域から上流側非接触領域に移動することで圧迫状態が解消されることに伴い、中央パドル80の回転方向に対し、回転軸800への付け根を支点としその自由端が前後方向に移動する振動が発生している。なお、図7(b)に示す例では、第1パドル羽801の自由端側が、図中破線で示す基本状態に比べて、中央パドル80の回転方向下流側に向かって屈曲した状態(以下では『進み状態』と呼ぶ)となっている。一方、下流側非接触領域に存在する第2パドル羽802および上流側非接触領域に存在する第3パドル羽803は、引き続き基本状態を維持している。
【0064】
図7(c)は、中央パドル80が、図7(b)に示す状態からさらに時計回り方向に約24°回転した状態を示している。この例では、第3パドル羽803が上流側非接触領域から第2接触領域に移動する一方、第1パドル羽801は引き続き上流側非接触領域に、また、第2パドル羽802は引き続き下流側非接触領域に、それぞれ位置している。
【0065】
このとき、第3パドル羽803は、上流側非接触領域から第2接触領域に移動することで、基本状態から、その自由端側が基本状態(図中に破線で示す)に比べて中央パドル80の回転方向上流側に屈曲した圧迫状態へと移行している。また、この例において、上流側非接触領域に存在し且つ振動している第1パドル羽801は、図7(b)に示す進み状態から基本状態へと移行している。一方、下流側非接触領域に存在する第2パドル羽802は、引き続き基本状態を維持している。
【0066】
図7(d)は、中央パドル80が、図7(c)に示す状態からさらに時計回り方向に約24°回転した状態を示している。この例では、第1パドル羽801は引き続き上流側非接触領域に、第2パドル羽802は引き続き下流側非接触領域に、そして第3パドル羽803は引き続き第2接触領域に、それぞれ位置している。
【0067】
このとき、上流側非接触領域に存在し且つ振動している第1パドル羽801は、図7(c)に示す基本状態から、図中破線で示す基本状態に比べて、その自由端側が中央パドル80の回転方向下流側に向かって屈曲した状態(以下では『遅れ状態』と呼ぶ)へと移行している。また、この例において、第2接触領域に存在する第3パドル羽803は、引き続き圧迫状態を維持している。一方、下流側非接触領域に存在する第2パドル羽802は、引き続き基本状態を維持している。
【0068】
図7(e)は、中央パドル80が、図7(d)に示す状態からさらに時計回り方向に約24°回転した状態を示している。この例では、第1パドル羽801は引き続き上流側非接触領域に、第2パドル羽802は引き続き下流側非接触領域に、そして第3パドル羽803は引き続き第2接触領域に、それぞれ位置している。
【0069】
このとき、上流側非接触領域に存在し且つ振動している第1パドル羽801は、図7(d)に示す遅れ状態から基本状態へと移行している。また、この例において、第2接触領域に存在する第3パドル羽803は、引き続き圧迫状態を維持している。一方、下流側非接触領域に存在する第2パドル羽802は、引き続き基本状態を維持している。
【0070】
図7(f)は、中央パドル80が、図7(e)に示す状態からさらに時計回り方向に約24°回転した状態を示している。この例では、第2パドル羽802が下流側非接触領域から第1接触領域に移動し、また、第3パドル羽803が第2接触領域から下流側非接触領域に移動する一方、第1パドル羽801は引き続き上流側非接触領域に位置している。
【0071】
このとき、第2パドル羽802は、下流側非接触領域から第1接触領域に移動することで、基本状態から、その自由端側が基本状態(図中に破線で示す)に比べて中央パドル80の回転方向上流側に屈曲した圧迫状態へと移行している。また、第3パドル羽803には、第2接触領域から下流側非接触領域に移動することで圧迫状態が解消されることに伴い、中央パドル80の回転方向に対し、回転軸800への付け根を支点としその自由端が前後方向に移動する振動が発生している。なお、図7(f)に示す例では、第3パドル羽803の自由端側が、図中破線で示す基本状態に比べて、中央パドル80の回転方向下流側に向かって屈曲した進み状態となっている。一方、上流側非接触領域に存在し且つ振動している第1パドル羽801は、図7(e)に示す基本状態から進み状態へと移行している。
【0072】
その後、上流側非接触領域で振動する第1パドル羽801は、上流側非接触領域から第2接触領域に移動する。また、中央パドル80の回転に伴い、第2パドル羽802および第3パドル羽803も、第1接触領域から上流側非接触領域に移動することで振動が発生した状態で、第2接触領域に突入する。
【0073】
一方、これと併行して、下流側非接触領域で振動する第3パドル羽803は、下流側非接触領域から第1接触領域に移動する。また、中央パドル80の回転に伴い、第1パドル羽801および第2パドル羽802も、第2接触領域から下流側非接触領域に突入することで振動が発生した状態で、第1接触領域に移動する。
【0074】
このように、本実施の形態では、中央パドル80を構成する第1パドル羽801〜第3パドル羽803が、下側案内板226と接触する第1接触領域を通過することに伴って振動し、振動した状態で底板51(あるいは底板51上の用紙P)と接触する第2接触領域に到達する。また、本実施の形態では、中央パドル80を構成する第1パドル羽801〜第3パドル羽803が、底板51(あるいは底板51上の用紙P)と接触する第2接触領域を通過することに伴って振動し、振動した状態で下側案内板226と接触する第1接触領域に到達する。
【0075】
なお、このような挙動については、中央パドル80とともにメインパドル部222を構成する第1端部パドル81および第2端部パドル82においても、同様に生じ得る。
【0076】
では次に、メインパドル部222を構成するパドルに設けられたパドル羽に生じる振動について具体的に説明する。なお、本実施の形態では、メインパドル部222を構成する中央パドル80、第1端部パドル81および第2端部パドル82が共通の構成を有しており、しかも、各パドルにおける3つのパドル羽も共通の構成を有していることから、中央パドル80における第1パドル羽801を例として説明を行う。
【0077】
図8は、パドル羽(ここでは中央パドル80における第1パドル羽801)に生じる振動を説明するための図である。なお、図8において、横軸は時間の経過を、縦軸はパドル羽の振幅を、それぞれ示している。
【0078】
本実施の形態では、第1パドル羽801が圧迫状態から解放された際に、第1パドル羽801の材質や形状に基づいた固有振動が発生する。この固有振動は、横軸を時間とし、縦軸を振幅としたときに、正弦波状の軌跡を描くようになっている。
【0079】
ここで、固有振動の周期を振動周期Tvとしたとき、振動周期Tvは、第1パドル羽801が進み状態(図7(b)、(f)参照)となる進み期間Tpと、第1パドル羽801が遅れ状態(図7(d)参照)となる遅れ期間Tdとの和で表される。そして、進み期間Tpには、正の振幅が最大となる極大点tmaxが存在し、遅れ期間Tdには、負の振幅が最大となる極小点tminが存在する。
【0080】
また、極小点tminから次の極小点tminに至る期間を振動周期Tvとして把握した場合、振動周期Tvは、第1パドル羽801が遅れ状態から進み状態へと加速しながら移行する(極小点tminから極大点tmaxに至る)加速期間Taと、第1パドル羽801が進み状態から遅れ状態へと減速しながら移行する(極大点tmaxから極小点tminに至る)減速期間Tsとの和で表される。そして、加速期間Taには、加速中に振幅が0すなわち第1パドル羽801が基本状態(図7(e)参照)となる加速ゼロクロス点txaが存在し、減速期間Tsには、加速中に振幅が0すなわち第1パドル羽801が基本状態(図7(c)参照)となる減速ゼロクロス点txsが存在する。なお、図から明らかなように、加速期間Taにおいては、加速ゼロクロス点txaにおいて最も正の傾きが大きく(加速度が高く)なり、減速期間Tsにおいては、減速ゼロクロス点txsにおいて最も負の傾きが大きく(減速度が高く)なる。
【0081】
本実施の形態では、第1接触領域から上流側非接触領域に移動することに伴って、上述したような固有振動が生じた第1パドル羽801を、減速期間Tsの最中に上流側非接触領域から第2接触領域に移動させるための設定を行っている。また、本実施の形態では、第2接触領域から下流側非接触領域に移動することに伴って、上述したような固有振動が生じた第1パドル羽801を、減速期間Tsの最中に下流側非接触領域から第1接触領域に移動させるための設定を行っている。なお、このような設定は、中央パドル80(第1パドル羽801を含む)を構成する材質、第1パドル羽801の寸法、中央パドル80の周速度、中央パドル80と下側案内板226および底板51との位置関係等の調整によりなされる。
【0082】
例えば第1パドル羽801を、加速期間Taの最中に上流側非接触領域から第2接触領域に移動させるようにした場合、底板51(あるいは底板51上の用紙P)に対し、第1パドル羽801が強く突き当たることになり、発生する騒音が増大する懸念がある。これに対し、本実施の形態では、第1パドル羽801を、減速期間Tsの最中に上流側非接触領域から第2接触領域に移動させるようにしたので、第1パドル羽801が上述した例よりも弱く突き当たることになり、発生する騒音が低減されることになる。
【0083】
また、例えば第1パドル羽801を、加速期間Taの最中に下流側非接触領域から第1接触領域に移動させるようにした場合、下側案内板226に対し、第1パドル羽801が強く突き当たることになり、発生する騒音が増大する懸念がある。これに対し、本実施の形態では、第1パドル羽801を、減速期間Tsの最中に下流側非接触領域から第1接触領域に移動させるようにしたので、第1パドル羽801が上述した例よりも弱く突き当たることになり、発生する騒音が低減されることになる。
【0084】
なお、第1パドル羽801を底板51(あるいは底板51上の用紙P)または下側案内板226に突き当てるタイミングについては、減速期間Tsの最中であればいつであってもよいが、減速度が最も高くなる減速ゼロクロス点に設定すれば、さらに騒音の発生を抑制することが可能になる。また、底板51上に複数の用紙Pが積載され得ること、および、底板51上への用紙Pの積載枚数が変動し得ることを考慮すれば、減速期間Ts且つ遅れ期間Tdとなる範囲内から選択することが望ましい。
【0085】
なお、本実施の形態では、中央パドル80、第1端部パドル81および第2端部パドル82のそれぞれが、3つずつパドル羽を有している場合を例として説明を行ったが、これに限られるものではなく、それぞれが少なくとも1つのパドル羽を有していればよい。
また、本実施の形態では、用紙Pの搬送経路を構成する下側案内板226を用いて各パドル羽に振動を生じさせていたが、これに限られるものではなく、各パドルに振動を生じさせるための部材を、下側案内板226とは別に設けるようにしてもかまわない。
さらに、本実施の形態では、メインパドル部222の周速度を一定としていたが、これに限られるものではなく、例えば第1接触領域あるいは第2接触領域に到達する前にメインパドル部222の周速度を減速するようにしてもよい。
さらにまた、本実施の形態では、メインパドル部222を構成する中央パドル80,第1端部パドル81および第2端部パドル82として、それぞれ一体的に構成されたものを用いていたが、これに限られるものではなく、回転軸と各パドル羽とを異なる部品で構成し、これらを組み立てたものとしてもかまわない。
【符号の説明】
【0086】
100(100Y、100M、100C、100K)…画像形成ユニット、2…シート後処理装置、21…トランスポートユニット、22…フィニッシャユニット、50…用紙集積部、51…底板、52…規制板、60…端綴じ機能部、70…スタッカ部、80…中央パドル、81…第1端部パドル、82…第2端部パドル、83…シャフト、90…サブパドル、221…搬入ロール、222…メインパドル部、223…サブパドル部、224…排出ロール、225…上側案内板、226…下側案内板、227…除電ブラシ、Tv…振動周期、Tp…進み期間、Td…遅れ期間、Ta…加速期間、Ts…減速期間、txa…加速ゼロクロス点、txs…減速ゼロクロス点、tmax…極大点、tmin…極小点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入されてくる記録材を積載する積載部と、
回転可能に設けられるとともに、回転に伴って前記積載部上の記録材に間欠的に接触する接触部を有し、当該積載部上の記録材を搬送する搬送部材と、
前記接触部と前記積載部上の記録材とが接触する接触領域よりも前記搬送部材の回転方向上流側で当該接触部と接触するように設けられ、当該接触部が当該積載部上の記録材と接触するときに当該接触部が当該搬送部材の回転方向とは反対側に向かうように、当該接触部を振動させる振動部材と
を含む搬送装置。
【請求項2】
前記振動部材は、搬入されてくる記録材を前記積載部に案内する案内部材を兼ねることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送部材は、予め定められた周速度にて回転するとともに、前記接触部が当該搬送部材の回転方向に沿って等間隔に複数個設けられることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項4】
前記積載部に積載された1または複数の記録材に予め決められた後処理を施す後処理部をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項5】
記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成された状態で搬入されてくる記録材を積載する積載部と、
回転可能に設けられるとともに、回転に伴って前記積載部上の記録材に間欠的に接触する接触部を有し、当該積載部上の記録材を搬送する搬送部材と、
前記接触部と前記積載部上の記録材とが接触する接触領域よりも前記搬送部材の回転方向上流側で当該接触部と接触するように設けられ、当該接触部が当該積載部上の記録材と接触するときに当該接触部が当該搬送部材の回転方向とは反対側に向かうように、当該接触部を振動させる振動部材と
を含む画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−103799(P2013−103799A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248796(P2011−248796)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】