説明

搬送装置及び画像形成装置

【課題】検出センサに下ベルトの側端が接触した状態が維持されるようにする。
【解決手段】下ベルト110が検出センサ144の先端144Aよりも外周側(具体的には、下側)へ移動することを、スポンジ146が規制する。これにより、下ベルト110が検出センサ144の先端144Aよりも下側へ行きにくい。また、下ベルト110が蛇行した場合でも、下ベルト110が検出センサ144を越えてベルト幅方向の外側に移動しにくい。このため、検出センサ144に下ベルト110の側端110Aが接触した状態が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置としては、特許文献1に開示される記録材搬送装置が公知である。特許文献1に開示される記録材搬送装置は、駆動ロールによって循環移動するようにそれぞれ駆動され、移動経路の一部において互いに記録材を挟持しつつ搬送する一対の無端状ベルト部材を備え、記録材とそれぞれの無端状ベルト部材との間の速度差より、一対の無端状ベルト部材のいずれか一方と無端状ベルトを駆動する駆動ロールとの間での速度差の方が速度差の絶対値が大きくなるように設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−84035号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ベルトの側端に接触してその側端の位置を検出する検出部がベルトに接触する状態が良好に維持されるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、循環移動する環状のベルトと、前記ベルトの外周側に配置され、前記ベルトとの間に被搬送材を挟んで該被搬送材を前記ベルトとで搬送する搬送部材と、前記ベルトの側端側に配置され、側面視にて先端が前記ベルトよりも外周側に延び出ており、前記ベルトの側端に接触して該側端の位置を検出する検出部と、前記ベルトの外周面に接触して、前記ベルトが前記検出部の先端よりも外周側へ移動することを規制する規制部材と、を備える搬送装置である。
【0006】
請求項2の発明は、前記ベルトは、前記搬送部材の下側に配置され、前記検出部は、前記ベルトの移動経路中において前記ベルトの外周面が下側を向く位置で前記ベルトの側端に接触して該側端の位置を検出し、側面視にて先端が前記ベルトよりも下側に延び出ており、前記規制部材は、前記ベルトの外周面に対して下側から接触して、前記ベルトが前記検出部の先端よりも下側へ移動することを規制する請求項1に記載の搬送装置である。
【0007】
請求項3の発明は、前記被搬送材としての記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された画像を加熱して前記記録媒体に定着させる定着装置と、前記ベルトの内周側又は前記搬送部材に設けられ、前記ベルトと前記搬送部材とで搬送される記録媒体を冷却する冷却部を有する請求項1又は請求項2に記載の搬送装置としての冷却装置と、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1の構成によれば、ベルトが検出部の先端よりも外周側へ移動することを規制しない場合に比べ、ベルトの側端に接触してその側端の位置を検出する検出部がベルトに接触する状態が良好に維持できる。
【0009】
本発明の請求項2の構成によれば、ベルトが検出部の先端よりも下側へ移動することを規制しない場合に比べ、ベルトの側端に接触してその側端の位置を検出する検出部がベルトに接触する状態が良好に維持できる。
【0010】
本発明の請求項3の構成によれば、記録媒体を搬送すると共にその記録媒体を冷却する冷却装置において、ベルトが検出部の先端よりも外周側へ移動することを規制しない場合に比べ、ベルトの側端に接触してその側端の位置を検出する検出部がベルトに接触する状態が良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る画像形成ユニットの構成を示す概略図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る冷却装置の構成を示す概略図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る冷却装置の冷却構造を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る冷却装置の下ベルト及びその周辺の構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る冷却装置の下ベルト及びその周辺の構成を示す側面図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る冷却装置の下ベルトにおける蛇行制御を説明するための説明図である。
【図8】図8は、本実施形態に係る冷却装置の下ベルトに対して設けられた検出センサ周辺を拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る画像形成装置の構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0013】
本実施形態に係る画像形成装置10は、カラー画像又は白黒画像を形成する装置であり、図1に示すように、水平方向一側(図1における左側)部分を構成する第1筐体10Aと、第1筐体10Aに分割可能に接続され水平方向他側(図1における右側)部分を構成する第2筐体10Bと、を備えている。
【0014】
第2筐体10Bの上部には、コンピュータ等の外部装置から送られてくる画像データに画像処理を施す画像信号処理部13が設けられている。
【0015】
一方、第1筐体10Aの上部には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが水平方向に沿って交換可能に設けられている。
【0016】
なお、第1特別色及び第2特別色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色(透明を含む)から適宜選択される。また、以後の説明では、各構成部品について第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、符号の後にV、W、Y、M、C、Kのいずれかを付して説明し、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
【0017】
また、トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14と対応するように水平方向に沿って設けられている。各トナーカートリッジ14と画像形成ユニット16との間には、露光ユニット40が画像形成ユニット16毎に設けられている。
【0018】
露光ユニット40は、前述した画像信号処理部13によって画像処理を施された画像データを画像信号処理部13から受け取り、この画像データに応じて変調した露光光L(図2参照)を後述の感光体18(図2参照)へ照射するように構成されている。
【0019】
各画像形成ユニット16は、図2に示すように、一方向(図2における時計回り方向)に回転駆動される感光体18を備えている。各露光ユニット40から各感光体18へ露光光Lが照射されることにより、各感光体18には静電潜像が形成される。
【0020】
各感光体18の周囲には、感光体18を帯電する帯電装置の一例としてのコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器20と、露光ユニット40によって感光体18に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置22と、転写後の感光体18に残留する現像剤を除去する除去部材の一例としてのブレード24と、転写後の感光体18に光を照射して除電を行う除電装置26が設けられている。
【0021】
スコロトロン帯電器20、現像装置22、ブレード24、除電装置26は、感光体18の表面と対向して、感光体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
【0022】
現像装置22は、トナーを含んだ現像剤Gを収容する現像剤収容部材22Aと、現像剤収容部材22Aに収容された現像剤Gを感光体18に供給する現像ロール22Bを含んで構成されている。現像剤収容部材22Aは、トナーカートリッジ14(図1参照)とトナー供給路(図示省略)を通して接続されており、トナーカートリッジ14からトナーが供給されるようになっている。
【0023】
図1に示すように、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、各感光体18と接触する環状の中間転写ベルト34と、各感光体18に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる一次転写部材の一例としての一次転写ロール36とを含んで構成されている。
【0024】
中間転写ベルト34は、図示しないモータで駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34に張力を付与する張力付与ロール41と、後述する二次転写ロール62に対向する対向ロール42と、複数の巻掛ロール44とに巻き掛けられており、駆動ロール38により、一方向(図1における反時計回り方向)に循環駆動されるようになっている。
【0025】
各一次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の感光体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、感光体18に形成されたトナー画像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。
【0026】
中間転写ベルト34を挟んだ駆動ロール38の反対側には、ブレードを中間転写ベルト34に接触させて、中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去する除去装置46が設けられている。
【0027】
転写部32の下方には、用紙等の記録媒体が収容される記録媒体収容部48が水平方向に沿って2個設けられている。
【0028】
各記録媒体収容部48は、第1筐体10Aから引き出し自在とされている。各記録媒体収容部48の一端側(図1における右側)の上方には、各記録媒体収容部48から記録媒体Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。
【0029】
各記録媒体収容部48内には、記録媒体Pが載せられる底板50が設けられている。この底板50は、記録媒体収容部48が第1筐体10Aから引き出されると、図示せぬ制御手段の指示によって下降するようになっている。底板50が下降することで、ユーザーが記録媒体Pを補充する空間が記録媒体収容部48に形成される。
【0030】
第1筐体10Aから引き出された記録媒体収容部48を第1筐体10Aに装着すると、底板50が、制御手段の指示によって上昇するようになっている。底板50が上昇することで、底板50に載せられた最上位の記録媒体Pと送出ロール52とが当るようになっている。
【0031】
送出ロール52の記録媒体搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という場合がある)には、記録媒体収容部48から重なって送り出された記録媒体Pを一枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、記録媒体Pを搬送方向下流側に搬送する複数の搬送ロール54が設けられている。
【0032】
記録媒体収容部48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、記録媒体収容部48から送り出された記録媒体Pを第1折返部60Aで図1における左側に折り返し、さらに、第2折返部60Bで図1における右側に折り返すように、二次転写ロール62と対向ロール42との間の転写位置Tへ延びている。
【0033】
二次転写ロール62は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像が、二次転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されてきた記録媒体Pに二次転写される構成となっている。
【0034】
このように、本実施形態では、二次転写ロール62、画像形成ユニット16、一次転写ロール36及び中間転写ベルト34によって、記録媒体Pに画像を形成する画像形成部が構成されている。
【0035】
搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置される記録媒体収容部(図示省略)から送り出された記録媒体Pが予備経路66を通って搬送経路60に入り込むようになっている。
【0036】
転写位置Tの下流側には、トナー画像が転写された記録媒体Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数の搬送ベルト70が第1筐体10Aに設けられ、搬送ベルト70に搬送された記録媒体Pを下流側に搬送する搬送ベルト80が第2筐体10Bに設けられている。
【0037】
複数の搬送ベルト70及び搬送ベルト80のそれぞれは、環状に形成されており、一対の巻掛ロール72に巻き掛けられている。一対の巻掛ロール72は、記録媒体Pの搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ配置されており、一方が回転駆動することにより、搬送ベルト70(搬送ベルト80)を一方向(図1における時計回り方向)に循環移動させる。
【0038】
搬送ベルト80の下流側には、記録媒体Pに転写されたトナー画像を加熱して記録媒体Pに定着させる定着装置82が設けられている。
【0039】
定着装置82は、定着ベルト84と、定着ベルト84に対して下側から接触するように配置された加圧ロール88と、を備えている。定着ベルト84と加圧ロール88との間には、記録媒体Pを加圧加熱してトナー画像を定着させる定着部Nが形成されている。
【0040】
定着ベルト84は、環状に形成されており、駆動ロール89及び従動ロール90に巻き掛けられている。駆動ロール89は、加圧ロール88に対して上側から対向しており、従動ロール90は、駆動ロール89よりも上側に配置されている。
【0041】
駆動ロール89及び従動ロール90は、それぞれに、ハロゲンヒータ等の加熱部が内蔵されている。これにより、定着ベルト84が加熱される。
【0042】
図1に示すように、定着装置82の下流側には、定着装置82から送り出された記録媒体Pを下流側へ搬送する搬送ベルト98が設けられている。搬送ベルト98は、搬送ベルト70と同様に形成されている。
【0043】
搬送ベルト98の下流側には、記録媒体Pを搬送する搬送装置の一例として、定着装置82によって加熱された記録媒体Pを搬送すると共にその記録媒体Pを冷却する冷却装置100が設けられている。この冷却装置100の具体的な構成は、後述する。なお、搬送装置としては、冷却装置100に限られず、例えば、冷却機能を有さない搬送装置であってもよい。
【0044】
冷却装置100の下流側には、記録媒体Pを挟んで搬送し、記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置170が設けられている。
【0045】
矯正装置170の下流側には、記録媒体Pに定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出する検出装置180が設けられている。
【0046】
検出装置180では、光源から記録媒体Pへ出射され、記録媒体Pによって上方に反射された反射光をCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の検出素子で検出することにより、トナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出するようになっている。
【0047】
検出装置180の下流側には、片面に画像が形成された記録媒体Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。
【0048】
一方、両面に画像を形成させる場合は、検出装置180から送出された記録媒体Pは、検出装置180の下流側に設けられた反転経路202に搬送されるようになっている。
【0049】
反転経路202には、搬送経路60から分岐する分岐パス202Aと、分岐パス202Aに沿って搬送される記録媒体Pを第1筐体10A側に向けて搬送する用紙搬送パス202Bと、用紙搬送パス202Bに沿って搬送される記録媒体Pを逆方向に向けて折返してスイッチバック搬送させて表裏を反転させる反転パス202Cが設けられている。
【0050】
この構成により、反転パス202Cでスイッチバック搬送された記録媒体Pは、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
【0051】
次に、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
【0052】
画像信号処理部13で画像処理が施された画像データが、各露光ユニット40に送られる。各露光ユニット40では、画像データに応じて各露光光Lを出射して、スコロトロン帯電器20によって帯電した各感光体18に露光し、静電潜像が形成される。このとき、スコロトロン帯電器20が放電することにより、オゾンが発生する。
【0053】
図2に示すように、感光体18に形成された静電潜像は、現像装置22によって現像され、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される。
【0054】
図1に示すように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの感光体28に形成された各色のトナー画像は、6つの一次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34に順次多重転写される。
【0055】
中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール62によって、記録媒体収容部48から搬送されてきた記録媒体P上に二次転写される。トナー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着装置82に向けて搬送される。
【0056】
記録媒体P上の各色のトナー画像が定着装置82により加熱・加圧されることで記録媒体Pに定着する。さらに、トナー画像が定着された記録媒体Pは、冷却装置100を通過して冷却された後、矯正装置170に送り込まれ、記録媒体Pに生じた湾曲が矯正される。
【0057】
湾曲が矯正された記録媒体Pは、検出装置180によって画像欠陥等が検出された後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
【0058】
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、検出装置180を通過後に、記録媒体Pが反転経路202で反転され、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
【0059】
なお、画像形成装置10の構成としては、上記の構成に限られず、例えば、中間転写体を有さない直接転写型の画像形成装置でもよく、画像が形成可能な画像形成装置であれば、上記構成以外の画像形成装置であってもよい。
【0060】
(本実施形態に係る冷却装置100の構成)
次に、本実施形態に係る冷却装置100の構成について説明する。図3は、本実施形態に係る冷却装置の構成を示す概略図である。
【0061】
本実施形態に係る冷却装置100は、図3に示すように、循環移動する環状のベルト110と、ベルト110の外周側(具体的には上側)に配置された搬送部材の一例としての環状のベルト120と、を備えている。
【0062】
以下、ベルト110に対して上側に配置されるベルト120を上ベルト120と称して説明し、ベルト120に対して下側に配置されるベルト110を下ベルト110と称して説明する。なお、ベルト120及びベルト110としては、上下方向に並んで配置される構成に限られず、例えば、水平方向に沿って並んで配置される構成であってもよい。
【0063】
下ベルト110及び上ベルト120には、例えば、ポリイミド製フィルムが用いられる。なお、下ベルト110及び上ベルト120としては、他の材質を用いても良い。また、環状の下ベルト110及び環状の上ベルト120としては、シーム(継ぎ目)有りのベルトでもあっても、シーム無しのベルトであってもよい。
【0064】
下ベルト110の内周側には、下ベルト110が巻き掛けられる巻掛部材の一例としての巻掛ロール112が複数(本実施形態において6つ)配置されている。複数の巻掛ロール112は、下ベルト110に駆動力を付与する駆動部材の一例としての駆動ロール112Aと、下ベルト110に張力付与する張力付与部材の一例としての張力付与ロール112Bと、下ベルト110を支持する支持部材の一例としての複数(本実施形態において4つ)の支持ロール112C・112D・112E・112Fと、を備えて構成されている。
【0065】
複数の巻掛ロール112は、下ベルト110の移動方向上流側から下ベルト110の移動経路に沿って、支持ロール112C、支持ロール112D、駆動ロール112A、支持ロール112E、支持ロール112F、張力付与ロール112Bの順で配置されている。
【0066】
また、支持ロール112C・112Dは、上ベルト120との間に下ベルト110を挟んで、上ベルト120に対向して配置されている。駆動ロール112Aは、支持ロール112Dの下側に配置され、支持ロール112Eは、駆動ロール112Aの下側に配置されている。また、張力付与ロール112Bは、支持ロール112Cの下側に配置され、支持ロール112Fは、張力付与ロール112Bの下側に配置されている。
【0067】
支持ロール112C・112D・112E・112Fは、下ベルト110に従動して回転する従動ロールで構成されている。駆動ロール112Aは、図示しない駆動モータから駆動力を付与されて回転駆動するようになっている。駆動ロール112Aが回転駆動することにより、下ベルト110は、一方向(図3における時計回り方向)へ循環移動(回転)するようになっている。張力付与ロール112Bには、圧縮ばね等の弾性部材116が設けられており、弾性部材116の弾性力によって、下ベルト110の外周側へ向かう力が作用している。これにより、下ベルト110は、張力が付与された状態で循環移動するようになっている。
【0068】
なお、複数の巻掛ロール112の個数は、6つに限られず、2〜5つ、7つ以上であってもよい。また、複数の巻掛ロール112としては、駆動ロール112A、張力付与ロール112B及び支持ロール112C・112D・112E・112Fの配置位置を変更して構成してもよい。
【0069】
また、下ベルト110の内周側には、下ベルト110を上ベルト120へ押し付ける押付部材の一例としての押付ロール114が複数(本実施形態において4つ)配置されている。具体的には、複数の押付ロール114は、上ベルト120及び下ベルト110を挟んで後述の接触部材130に対向配置されている。この複数の押付ロール114は、循環移動する下ベルト110に従動して回転するようになっている。
【0070】
また、複数の押付ロール114には、圧縮ばね等の弾性部材118が設けられており、この弾性部材118の弾性力によって、押付ロール114が下ベルト110を上ベルト120側に押し付けている。
【0071】
複数の押付ロール114が下ベルト110を上ベルト120側へ押し付けることにより、下ベルト110と上ベルト120との接触状態及び上ベルト120と接触部材130との接触状態が維持される。なお、押付部材としては、例えば、回転しないロールであっても良く、下ベルト110を上ベルト120へ押し付ける部材であればよい。
【0072】
一方、上ベルト120の内周側には、上ベルト120が巻き掛けられる巻掛部材の一例としての巻掛ロール122が複数(本実施形態において5つ)配置されている。複数の巻掛ロール122は、上ベルト120に駆動力を付与する駆動部材の一例としての駆動ロール122Aと、上ベルト120に張力を付与する付与部材の一例としての張力付与ロール122Bと、上ベルト120を支持する支持部材の一例としての複数(本実施形態において3つ)の支持ロール122C・122D・122Eとを備えて構成されている。
【0073】
複数の巻掛ロール122は、上ベルト120の移動方向上流側から上ベルト120の移動経路に沿って、支持ロール122C、駆動ロール122A、支持ロール122D、支持ロール122E、張力付与ロール122Bの順で配置されている。
【0074】
駆動ロール122Aは、支持ロール112Dとの間に上ベルト120及び下ベルト110を挟んで、支持ロール112Dに対向して配置されている。支持ロール122Dは、駆動ロール122Aの上側に配置されている。支持ロール122Cは、支持ロール112Cとの間に上ベルト120及び下ベルト110を挟んで、支持ロール112Cに対向して配置されている。張力付与ロール122Bは、支持ロール122Cの上側に配置され、支持ロール122Eは、張力付与ロール122Bの上側に配置されている。
【0075】
支持ロール122C・122D・122Eは、上ベルト120に従動して回転する従動ロールで構成されている。駆動ロール122Aは、図示しない駆動モータから駆動力を付与されて回転駆動するようになっている。駆動ロール122Aが回転駆動することにより、上ベルト120は、一方向(図3における反時計回り方向)へ循環移動(回転)するようになっている。張力付与ロール122Bには、圧縮ばね等の弾性部材126が設けられており、弾性部材126の弾性力によって、上ベルト120の外周側へ向かう力が作用している。これにより、上ベルト120は、張力が付与された状態で循環移動するようになっている。
【0076】
なお、複数の巻掛ロール122の個数は、5つに限られず、2〜4つ、6つ以上であってもよい。また、複数の巻掛ロール122は、駆動ロール122A、張力付与ロール122B及び支持ロール122C・122D・122Eの配置位置を変更して構成してもよい。
【0077】
上記のように、下ベルト110に接触する上ベルト120が循環移動することにより、搬送部材の一例としての上ベルト120が、被搬送材の一例としての記録媒体Pを下ベルト110との間に挟んで記録媒体Pを下ベルト110とで搬送するようになっている。なお、搬送部材としては、ベルトに限られず、例えば、下ベルト110の外周面に沿って配置された複数の搬送ロールであってもよい。また、搬送部材としては、記録媒体Pの搬送方向にならって回転や循環移動するものでなくてもよく、記録媒体Pが搬送部材との間で滑りながら搬送されるものであってもよく、下ベルト110との間に記録媒体Pを挟んで搬送するものであればよい。
【0078】
また、上ベルト120の内周側には、上ベルト120の内周一部に接触する接触部材130が、下ベルト110との間に上ベルト120を挟むように、下ベルト110に対向して配置されている。接触部材130は、図3に示すように、側面視にて(巻掛ロール122の軸方向一方から他方に向けて見た場合において)、上方が開放されたコの字(Uの字)形状をしている。
【0079】
また、接触部材130は、底面130Aが下方へ出っ張る凸状に形成されており、その底面130Aが、上ベルト120が接触する接触面をなしている。また、接触部材130は、記録媒体Pに接触する上ベルト120に接触することにより、上ベルト120を介して記録媒体Pから吸熱する吸熱部材として機能する。
【0080】
接触部材130には、図4に示すように、接触部材130からの熱を放熱するための放熱部材の一例としての放熱板132が設けられている。放熱板132は、上ベルト120のベルト幅方向(ベルト移動方向と直交する方向)に沿って配置されると共に、上ベルト120のベルト移動方向に沿って複数配列されている。
【0081】
接触部材130及び放熱板132としては、上ベルト120よりも熱伝導性が良い材料が用いられ、例えば、金属材料で形成されている。金属材料としては、例えば、アルミニウムが用いられる。なお、接触部材130及び放熱板132の材料としては、上記の材料に限定されるものではない。
【0082】
このように、本実施形態では、上ベルト120及び下ベルト110によって搬送される記録媒体Pを冷却する冷却部の一例としてのヒートシンクが、接触部材130及び放熱板132によって構成されている。放熱板132の側方には、送風手段の一例としてのファン134が設けられている。このファン134は、放熱板132の間に空気を送り込んで、放熱板132から熱を奪い、熱気を外部へ排出させるようになっている。
【0083】
ここで、本実施形態では、図5に示すように、複数の巻掛ロール122の軸方向両端部をそれぞれ回転可能に支持する一対の側板140A・140Bが、下ベルト110の側端110Aに沿って、下ベルト110の側方に設けられている。詳細には、側板140A・140Bは、下ベルト110の側端110Aから見てベルト幅方向の外側に配置されている。
【0084】
側板140Bの下部には、ベルト幅方向に沿って長さを有し下ベルト110の外周面に対向する一対の対向板142A・142Bの一端部がそれぞれ取り付けられている。一対の対向板142A・142Bの他端部は、取付板148を介して側板140Aの下部にそれぞれ取り付けられている。
具体的には、図6に示すように、対向板142Bは、下ベルト110の移動経路において、支持ロール112Eから支持ロール112Fまでの間に位置する下ベルト110の外周面の一部に対向するようになっている。対向板142Aは、下ベルト110の移動経路において、支持ロール112Eから支持ロール112Fまでの間に位置する下ベルト110の外周面の一部に、対向板142Bよりも下ベルト110の移動方向下流側で対向するようになっている。
【0085】
側板140Aには、先端部が下ベルト110の側端110Aに接触してその側端110Aの位置を検出する検出部の一例としての検出センサ144が設けられている。この検出センサ144の先端部は、図示しない弾性部材の弾性力により、下ベルト110の側端110Aに押し付けられており、常時に側端110Aに接触するようになっている。なお、検出部としては、下ベルト110が蛇行せずに循環移動している場合に非接触で、下ベルト110が蛇行してベルト幅方向にずれた場合に接触する構成となっていてもよい。また、検出センサ144の先端144Aは、図6に示すように、側面視にて下ベルト110よりも外周側(具体的には、下側)に延び出ている。
【0086】
検出センサ144は、下ベルト110の移動経路中において、下ベルト110の外周面が下側を向く位置で、下ベルト110の側端110Aに接触してその側端110Aの位置を検出するようになっている。詳細には、下ベルト110の移動経路において、支持ロール112Eから支持ロール112Fまでの間の支持ロール112Fの近傍で、検出センサ144は、下ベルト110の側端110Aに接触するようになっている。なお、下ベルト110の移動経路中において、下ベルト110の外周面が下側を向く位置とは、本実施形態においては、駆動ロール112Aから支持ロール112E・112Fを経由して張力付与ロール112Bに達するまでの位置である。
【0087】
この検出センサ144が検出した検出結果は、例えば、下ベルト110の蛇行制御に用いられる。この蛇行制御は、例えば、以下のように行われる。すなわち、検出センサ144が検出した検出結果に基づき、例えば、図7(A)に示すように、張力付与ロール112Bの軸方向一端部(図7における左端部)を、弾性部材116の張力付与ロール112Bへの加圧方向と交差する方向(例えば、上方)へ傾かせることにより、下ベルト110をベルト幅方向の一方側(図7における右側)に移動させる。また、図7(B)に示すように、張力付与ロール112Bの軸方向一端部(図7における左端部)を、図7(A)における方向と反対側(例えば、下方)へ傾かせることにより、下ベルト110をベルト幅方向の他方側(図7における左側)に移動させる。なお、図7(A)、(B)では、傾かせる前の張力付与ロール112Bの軸心が一点鎖線Aにて示され、傾かせた後の張力付与ロール112Bの軸心が一点鎖線Bにて示されている。
【0088】
図5及び図6に示すように、対向板142Bよりも検出センサ144の近くに配置された対向板142Aには、下ベルト110の外周面に接触して、下ベルト110が検出センサ144の先端144Aよりも外周側(具体的には、下側)へ移動することを規制する規制部材の一例としてのスポンジ146が設けられている。
【0089】
スポンジ146は、図8に示すように、下ベルト110に対向する対向面(具体的には、上面)146Aが、検出センサ144の先端144Aよりも、下ベルト110側(図8における上側)に配置されている。これにより、下ベルト110が検出センサ144の先端144Aよりも外側(図8における下側)に移動する前に、スポンジ146に接触して、下ベルト110が検出センサ144の先端144Aよりも外周側へ移動することを規制するようになっている。なお、スポンジ146は、図8に示すように、下ベルト110の外周面に対して隙間を有しており、下ベルト110が外側(図8における下側)に移動せずに循環移動する通常時においては、下ベルト110に非接触となっている。
【0090】
なお、規制部材としては、スポンジに限られず、例えば、スポンジ以外の多孔質材、ゴム、不織布などであってもよく、下ベルト110の移動を規制するものであればよい。なお、下ベルト110の外周面に接触するものであるので、下ベルト110が傷つかない程度に軟らかいものを用いることが望ましい。また、規制部材としては、対向板142Aだけでなく、対向板142Bに設けられていてもよい。
【0091】
(本実施形態に係る冷却装置の作用)
次に、本実施形態に係る冷却装置の作用を説明する。
【0092】
本実施形態に係る冷却装置100では、図3に示すように、上ベルト120と下ベルト110との間に記録媒体Pを挟んで上ベルト120及び下ベルト110が循環移動することで、記録媒体Pを搬送する。搬送される記録媒体Pは、ヒートシンクを構成する接触部材130及び放熱板132により、上ベルト120を介して吸熱されて冷却される。
【0093】
循環移動する下ベルト110においては、図5に示すように、検出センサ144が下ベルト110の側端110Aに接触してその側端110Aの位置を検出する。
【0094】
ここで、検出センサ144が下ベルト110に接触する位置は、下ベルト110の移動経路中において下ベルト110の外周面が下側を向く位置であるので、下ベルト110がその自重により下方へ垂れ下がりやすく、下ベルト110が波を打つ場合がある。また、下ベルト110が蛇行した場合は、下ベルト110が検出センサ144を越えてベルト幅方向の外側に移動しようとする。
【0095】
これに対して、本実施形態では、図8に示すように、下ベルト110が検出センサ144の先端144Aよりも外周側(具体的には、下側)へ移動することを、スポンジ146が規制する。これにより、下ベルト110が検出センサ144の先端144Aよりも下側へ行きにくく、下ベルト110の波打ちを抑制する。また、下ベルト110が蛇行した場合でも、下ベルト110が検出センサ144を越えてベルト幅方向の外側に移動しにくい。このため、検出センサ144に下ベルト110の側端110Aが接触する状態が維持され、検出センサ144の検出不良が抑制される。
【0096】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0097】
10 画像形成装置
16 画像形成ユニット(画像形成部の一例)
34 中間転写ベルト(画像形成部の一例)
36 一次転写ロール(画像形成部の一例)
62 二次転写ロール(画像形成部の一例)
82 定着装置
100 冷却装置(搬送装置の一例)
110 下ベルト(ベルトの一例)
110A 側端
120 上ベルト(搬送部材の一例)
130 接触部材(冷却部の一例)
132 放熱板(冷却部の一例)
144 検出センサ(検出部の一例)
144A 先端
146 スポンジ(規制部材の一例)
P 記録媒体(被搬送材の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環移動する環状のベルトと、
前記ベルトの外周側に配置され、前記ベルトとの間に被搬送材を挟んで該被搬送材を前記ベルトとで搬送する搬送部材と、
前記ベルトの側端側に配置され、側面視にて先端が前記ベルトよりも外周側に延び出ており、前記ベルトの側端に接触して該側端の位置を検出する検出部と、
前記ベルトの外周面に接触して、前記ベルトが前記検出部の先端よりも外周側へ移動することを規制する規制部材と、
を備える搬送装置。
【請求項2】
前記ベルトは、前記搬送部材の下側に配置され、
前記検出部は、前記ベルトの移動経路中において前記ベルトの外周面が下側を向く位置で前記ベルトの側端に接触して該側端の位置を検出し、側面視にて先端が前記ベルトよりも下側に延び出ており、
前記規制部材は、前記ベルトの外周面に対して下側から接触して、前記ベルトが前記検出部の先端よりも下側へ移動することを規制する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記被搬送材としての記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって形成された画像を加熱して前記記録媒体に定着させる定着装置と、
前記ベルトの内周側又は前記搬送部材に設けられ、前記ベルトと前記搬送部材とで搬送される記録媒体を冷却する冷却部を有する請求項1又は請求項2に記載の搬送装置としての冷却装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−121676(P2011−121676A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279643(P2009−279643)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】